JP4665273B2 - 高弾性硫黄変性クロロプレンゴム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫黄変性クロロプレンゴムに関するものであり、詳しくはゲル部分を含まず、且つ高弾性応力を有する硫黄変性クロロプレンゴムに関するものであり、カレンダーロール加工成型用にも利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
クロロプレンゴムは、各種合成ゴムの中でも各物性のバランスが良好であるため幅広い用途に使用されている。例えば、硫黄変性クロロプレンゴムは繊維との接着性、引張強度、動的特性などが優れているためベルト用途などに広く使用されている。
【0003】
それらのうち、自動車、農機用ベルトなどの高負荷、高性能を要求されるものについては、プーリーからの側圧に耐え得る横方向の高モジュラスと小径プーリーや逆曲げに対応する周方向の柔軟性の両立が必要であり、その手法としてポリエステル、ナイロン、コットンなどの短繊維を配合し、さらにその短繊維をベルト周方向と直角に配向させている。そのため、ベルト成型においてカレンダーロールにより配合物を薄いシート状に成型する工程を設け、短繊維を一定方向に配向させている。その際、シートを薄くする程、短繊維の配向度が向上するため、ベルトの高性能化のためにはカレンダーシートの厚み低減が不可欠である、しかし、それに伴いカレンダーロール表面への配合物の粘着が問題となっていた。
【0004】
これに対し、ゲル部分を含有する硫黄変性クロロプレンゴムを使用することにより配合物のカレンダーロールへの粘着を改良することができるが、ゲル部分を含有すると配合物のミル収縮が大きくなるため、カレンダーロール成型によるシートの厚み低減には限界があった。
【0005】
従って、良好なロール離型性を有し、且つミル収縮の小さい配合物を与え得るゲル部分を含まない硫黄変性クロロプレンゴムが要望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好なロール離型性を有し、且つミル収縮の小さい配合物を与え得るゲル部分を含まない高弾性硫黄変性クロロプレンゴム及びカレンダーロール加工成型用高弾性硫黄変性クロロプレンゴムを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硫黄変性クロロプレンゴムの重合において、適当量の硫黄を共重合させ、ゲル部分を含まない範囲で高重合転化率、高ムーニー粘度化などのゴム弾性を高める手法を選択することによりミル収縮を損なわずロール粘着が改良された配合物が得られることを見出し本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、2−クロロ−1,3−ブタジエン80〜99.7重量%、硫黄0.3〜2重量%、及び2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な少なくとも1種のコモノマー0〜19.7重量%からなる硫黄変性クロロプレンゴムにおいて、0.1重量%テトラヒドロフラン溶液における孔径0.5μmフィルターの透過率が97%以上であるゲル部分を含有しない硫黄変性クロロプレンゴムであって、そのゴム250gを8インチオープンロールに巻きつけ30℃、間隙1mm、ガイド幅20cmの条件で3分間素練りを行った後に、粘弾性測定装置RPA−2000(アルファテクノロジーズ社製)を用いて60℃(予熱2分)、振動周波数10cpm、振動幅60degの条件で測定した弾性応力が10dNm以上であることを特徴とするゲル部分を含まない高弾性硫黄変性クロロプレンゴム及びゲル部分を含まないカレンダーロール加工成型用高弾性硫黄変性クロロプレンゴムに関するものである。
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明のゲル部分を含まない高弾性硫黄変性クロロプレンゴム中における2−クロロ−1,3−ブタジエンは80〜99.7重量%である。2−クロロ−1,3−ブタジエンが80重量%未満の場合は得られる重合体がクロロプレンゴムとしての特性を損なうため好ましくなく、99.7重量%を超える場合は共重合硫黄量が少なく硫黄変性クロロプレンゴムとしての特性が損なわれ好ましくない。
このうち90〜99.6重量%が特に好ましい。
【0011】
本発明のゲル部分を含まない高弾性硫黄変性クロロプレンゴム中における硫黄は0.3〜2重量%である。硫黄が0.3重量%未満の場合は得られる重合体が硫黄変性クロロプレンゴムとしての特性を損なうため好ましくなく、2重量%を超える場合はロールにより原料ゴムを素練りした後の弾性応力が著しく低下するので好ましくない。このうち0.4〜1重量%が特に好ましい。
【0012】
本発明のゲル部分を含まない高弾性硫黄変性クロロプレンゴム中における2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な少なくとも1種のコモノマーは、0〜19.7重量%である。ここでいう共重合可能なコモノマーは特に限定するものではなく、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン等のモノビニル化合物、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和基含有カルボン酸類、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の不飽和基含有カルボン酸エステル類、イソプレン、1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物等が挙げられ、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンが特に好ましい。2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能なコモノマーが19.7重量%を超えると得られる共重合体が硫黄変性クロロプレンゴムとしての特性を損なうため好ましくない。
このうち0〜9.6重量%が特に好ましい。
【0013】
本発明においてゲル部分を含有しない硫黄変性クロロプレンゴムは、そのゴムの0.1重量%テトラヒドロフラン溶液を孔径0.5μmフィルターに透過させ、その透過液をゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)に導入し、得られたピーク面積から算出した孔径0.5μmフィルター透過率が97%以上である。孔径0.5μmフィルター透過率が97%未満でありゲル部分を含有している硫黄変性クロロプレンゴムから得られる配合物は、ミル収縮が大きいので、例えば、カレンダーロール成型における薄いシートの成型等が困難となる。
【0014】
また、本発明における弾性応力は、クロロプレンゴム250gを8インチオープンロールに巻きつけた後、30℃、間隙1mm、ガイド幅20cmの条件で3分間素練りを行った物を試料とした粘弾性測定により評価した。粘弾性測定にはアルファテクノロジーズ社製粘弾性測定装置RPA−2000を使用し、60℃(予熱2分)、振動周波数10cpm、振動幅60degの条件での弾性応力を測定した。その値が10dNm以上の場合に本発明の弾性応力を満足しており、10dNm未満であるとクロロプレンゴムの弾性が低く、例えば配合物のカレンダーロール成型においてロール表面への粘着が強くなり、薄いシートの成型が困難となる。
【0015】
また、ミル収縮とは、ロール等でシート成型した後の収縮のことであり、ミル収縮が大きい配合物をロール等で薄いシートに成型した場合、静置している間にシートが変形し、長さ方向は縮み、幅方向及び厚み方向は大きくなる。よって、このような配合物をロール等により薄いシート状に成型するのは困難である。
【0016】
本発明の硫黄変性クロロプレンゴムの製造方法を以下に説明する。
【0017】
本発明の硫黄変性クロロプレンゴムは、ラジカル重合によって製造され、乳化重合、溶液重合、塊状重合などの方法があり、このうちラジカル乳化重合を例に挙げると以下の方法により製造される。
【0018】
任意量の2−クロロ−1,3−ブタジエン、硫黄、2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な少なくとも1種のコモノマーの混合物を重合器に導入し、30〜50℃で1時間以上撹拌することにより硫黄を完全にモノマーに溶解させる。その後これに乳化剤水溶液を混合し、撹拌して乳化する。この乳化液に重合開始剤を添加し重合を行い、任意の転化率に到達した時点で重合停止剤を投入し重合を終了させる。ここで使用する乳化・分散剤としては、特に限定するものではなくカルボン酸塩型、スルホン酸塩型、硫酸塩型等のアニオン型乳化剤及びノニオン型乳化剤等が用いられ、具体的には、不均化ロジン酸のアルカリ金属塩、ロジン酸のアルカリ金属塩、高級脂肪酸アルカリ金属塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル等が挙げられ、単独あるいは2種以上の併用が可能である。各乳化・分散剤の添加量はその種類により最適範囲は異なるが、乳化重合を安定に実施できる範囲として、仕込み全モノマー100重量部に対して0.1〜10重量部が特に好ましい。重合開始剤としては、特に限定するものではなく公知のフリーラジカル生成物質を用いることができ、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化物、過酸化水素、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の無機又は有機過酸化物等が挙げられ、これら単独あるいは上記化合物と硫酸第一鉄、ハイドロサルファイトナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオ硫酸塩、チオ亜硫酸塩、有機アミン等の還元性物質を併用したレドックス系が使用される。停止剤としては、特に限定するものではなく、例えば、フェノチアジン、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ハイドロキノン、4−メトキシハイドロキノン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等のラジカル禁止剤が挙げられ、単独又は2種以上が使用される。
【0019】
重合温度は0〜60℃の範囲で行うことができ、好ましくは5〜50℃の範囲である。
【0020】
重合停止転化率は50〜95%が好ましい。重合停止転化率が50%未満であると得られる硫黄変性クロロプレンゴムが少なく生産性に劣り、95%を超えるとゲル部分を含まない硫黄変性クロロプレンゴムが得られ難い。このうち特に70〜90%が好ましい。
【0021】
続いて重合停止したラテックスに解膠剤及び解膠助剤を添加し適当なムーニー粘度になるまで解膠を行う。解膠剤にはテトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラオクチルチウラムジスルフィド等のチウラム化合物が挙げられ、安定的にラテックスに添加するにはトルエン等に溶解させた後、前記した乳化剤等を用いて乳化した状態で添加する方法がある。解膠助剤にはジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸アンモニウム等のチオカルバミン酸化合物等が挙げられる。
【0022】
解膠温度は0〜60℃の範囲で行うことができ、好ましくは5〜50℃の範囲である。一般に解膠温度が高いほど解膠反応が速くなる。
【0023】
解膠反応を終了させるムーニー粘度は、本発明の高弾性応力を満足させるものであれば特に限定はしないが、混練作業性を考慮すると20〜80が好ましい。
【0024】
解膠反応終了後、モノマーストリップ等によりラテックス中の未反応モノマーを除去する。その後、ラテックスから凍結凝固あるいは塩析等の方法によりポリマーを単離し、水洗乾燥を経て硫黄変性クロロプレンゴムを得る。
【0025】
この重合方法の例による本発明のゲル部分を含まない高弾性硫黄変性クロロプレンゴムは、例えば、適当量の硫黄を共重合させ、ゲル部分を含まない範囲での高転化率、高粘度化の手法を選択することにより得ることができる。
【0026】
本発明のゲル部分を含有しない高弾性硫黄変性クロロプレンゴムは、通常知られている硫黄変性クロロプレンゴムと同様の方法により成型加硫できる。例えば、加硫剤、加硫促進剤、補強剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤等をロール、ニーダー又はバンバリー等の混練機によってクロロプレンゴムと混合し、目的に応じた形状に成型後、加硫する方法がある。本発明のゲル部分を含有しない高弾性硫黄変性クロロプレンゴムはこの成型工程において、特にカレンダーロールを用いた薄いシートの成型において、ミル収縮を損なわず、ロール粘着を改良した加工性の優れる配合物を与える。
【0027】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0028】
なお、ムーニー粘度、0.5μmフィルター透過率、弾性応力、ミル収縮、ロール離型性及び加硫物特性は、以下の方法により測定、評価した。
【0029】
<ムーニー粘度>
硫黄変性クロロプレンゴムのムーニー粘度は、JIS K6388(1995年度版)に従い測定、評価した。
【0030】
<0.5μmフィルター透過率>
硫黄変性クロロプレンゴムの孔径0.5μmフィルター透過率は、0.1重量%テトラヒドロフラン溶液を孔径0.5μmフィルターに透過させ、その透過液をゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)に導入し、得られたピーク面積より算出した。
【0031】
<弾性応力>
原料ゴムの弾性応力は、クロロプレゴム250gを8インチオープンロールに巻きつけた後、30℃、間隙1mm、ガイド幅20cmの条件で3分間素練りを行った物を試料とし、アルファテクノロジーズ社製粘弾性測定装置RPA−2000により測定、評価した。粘弾性測定条件は、60℃(予熱2分)、振動周波数10cpm、振動幅60degである。
【0032】
<ミル収縮>
配合物特性におけるミル収縮は、後述する配合に従い得られた硫黄変性クロロプレンゴム配合物750gをガイド幅20cm、40℃に調節した8インチオープンロールに巻きつけ、間隙2mmの均一な状態となった時点で切り出し、23℃で3時間静置する前後のシート長さの変化を測定し、収縮率で評価した。
【0033】
<ロール離型性>
ロール離型性は、配合物を90℃に調節した8インチカレンダーロールにて0.5mmシート状に成型した際のロールからの剥がれ易さを感覚的に評価した。
離型性の優れるものを○、劣るものを×で表した。
【0034】
<加硫物特性>
加硫物特性は、JIS K6251(1993年度版)に従いダンベル状3号型の試験片を用い、引張り速度500mm/分にて測定、評価した。
【0035】
なお、以下の記述で重量部とは全モノマー混合物を100重量部とする重量比を表す。
【0036】
実施例1
硫黄変性クロロプレンゴムの製造を以下の手順で行った。
【0037】
表1に示したモノマーを2lの攪拌機付きオートクレーブに仕込み、30℃で1時間撹拌し、硫黄を完全に溶解させた。ロジン酸カリウム4重量部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物0.7重量部、リン酸三ナトリウム0.7重量部、水酸化ナトリウム0.05重量部、蒸留水120重量部からなる乳化液をそれに添加し、充分に窒素置換した後、撹拌し乳化させた。重合器内が40℃一定となるようにジャケット温度を制御しながら3wt%過硫酸カリウム水溶液を滴下し重合を行った。転化率が86%となった時点でN,N−ジエチルヒドロキシルアミンを0.05重量部添加し重合を終了させた。
【0038】
続いて、これにテトラエチルチウラムジスルフィド2重量部のトルエン溶液をロジン酸カリウムで乳化した物、及びジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.3重量部を添加し、ムーニー粘度が60になるまで40℃で解膠を行った。
【0039】
解膠終了後、残存する未反応モノマーを減圧スチームストリッピング法により除去し、得られたラテックスから凍結凝固によりポリマーを析出させ、水洗、熱風乾燥することにより硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
【0040】
得られた硫黄変性クロロプレンゴムのムーニー粘度、0.5μmフィルター透過率及び弾性応力を測定し、その結果を表1に示した。
【0041】
この硫黄変性クロロプレンゴムを表2に示した配合に従い1lニーダーで混練を行い、配合物のミル収縮、ロール離型性を測定し、その結果を表1に示した。
【0042】
配合物を150℃×30分間のプレス加硫することにより加硫ゴムシートを作成し、その加硫物特性を測定し、その結果を表1に示した。
【0043】
これらの結果からゲル部分を含まず高弾性応力を有する硫黄変性クロロプレンゴムが得られたことが明らかであり、それを用いた配合物はミル収縮が小さく、且つロール離型性も優れていた。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
実施例2〜実施例4
表1に示したモノマー組成において、重合温度、重合停止転化率、ムーニー粘度を変更した以外は実施例1と同様の方法で重合、解膠を行い、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
【0047】
実施例1と同様に、ムーニー粘度、0.5μmフィルター透過率、弾性応力、ミル収縮、ロール離型性、加硫物特性を測定し、その結果を表1に示した。
【0048】
これらの結果からゲル部分を含まず高弾性応力を有する硫黄変性クロロプレンゴムが得られたことが明らかであり、それを用いた配合物はミル収縮が小さく、且つロール離型性も優れていた。
【0049】
実施例5
表3に示したモノマー組成において、重合温度、重合停止転化率、ムーニー粘度を変更した以外は実施例1と同様の方法で重合、解膠を行い、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
【0050】
実施例1と同様に、ムーニー粘度、0.5μmフィルター透過率、弾性応力、ミル収縮、ロール離型性、加硫物特性を測定し、その結果を表3に示した。
【0051】
これらの結果からゲル部分を含まず高弾性応力を有する硫黄変性クロロプレンゴムが得られたことが明らかであり、それを用いた配合物はミル収縮が小さく、且つロール離型性も優れていた。
【0052】
【表3】
【0053】
比較例1〜比較例3
表3に示したモノマー組成において、重合温度、重合停止転化率、ムーニー粘度を変更した以外は実施例1と同様の方法で重合、解膠を行い、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
【0054】
実施例1と同様に、ムーニー粘度、0.5μmフィルター透過率、弾性応力、ミル収縮、ロール離型性、加硫物特性を測定し、その結果を表3に示した。
【0055】
これらの結果からゲル部分を含んでいない硫黄変性クロロプレンゴムが得られ、それから得られる配合物のミル収縮は小さかったものの、弾性応力が本発明の範囲よりも低いため配合物のロール離型性が劣った。
【0056】
比較例4
表4に示したモノマー組成において、重合温度、重合停止転化率、ムーニー粘度を変更した以外は実施例1と同様の方法で重合、解膠を行い、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
【0057】
実施例1と同様に、ムーニー粘度、0.5μmフィルター透過率、弾性応力、ミル収縮、ロール離型性、加硫物特性を測定し、その結果を表4に示した。
【0058】
これらの結果からゲル部分を含んでいない硫黄変性クロロプレンゴムが得られ、それから得られる配合物のミル収縮が小さかったものの、弾性応力が本発明の範囲よりも低いため配合物のロール離型性が劣った。
【0059】
【表4】
【0060】
比較例5
表4に示したモノマー組成において、重合温度、重合停止転化率、ムーニー粘度を変更した以外は実施例1と同様の方法で重合、解膠を行い、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
【0061】
実施例1と同様に、ムーニー粘度、0.5μmフィルター透過率、弾性応力、ミル収縮、ロール離型性、加硫物特性を測定し、その結果を表4に示した。
【0062】
これらの結果から得られた硫黄変性クロロプレンゴムは僅かにゲル部分を含んでいるため、それから得られる配合物のミル収縮は大きかった。また弾性応力が本発明の範囲よりも低いため配合物のロール離型性が劣った。
【0063】
比較例6
表4に示したモノマー組成において、A、Bともに重合温度、重合停止転化率を変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。A:B=2:8となるようにラテックスを混合した後、表4に示したムーニー粘度まで実施例1と同様の方法で解膠を行い、硫黄変性クロロプレンゴムを得た。
【0064】
実施例1と同様に、ムーニー粘度、0.5μmフィルター透過率、弾性応力、ミル収縮、ロール離型性、加硫物特性を測定し、その結果を表4に示した。
【0065】
これらの結果から得られた硫黄変性クロロプレンゴムはAに由来するゲル部分を含んでいた。弾性応力は十分に高く本発明の範囲内であったため配合物のロール離型性は優れていたが、ゲル部分を含有するため配合物のミル収縮が大きく劣った。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により得られた硫黄変性クロロプレンゴムはゲル部分を含まず、且つ高弾性応力を有しているため、ミル収縮を損なわず、ロール離型性を改良した配合物を与え得ることが明らかである。
Claims (2)
- 2−クロロ−1,3−ブタジエン80〜99.7重量%、硫黄0.3〜2重量%、及び2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な少なくとも1種のコモノマー0〜19.7重量%、並びにチウラム化合物からなる硫黄変性クロロプレンゴムにおいて、0.1重量%テトラヒドロフラン溶液における孔径0.5μmフィルターの透過率が97%以上であるゲル部分を含有しない硫黄変性クロロプレンゴムであって、そのゴム250gを8インチオープンロールに巻きつけ30℃、間隙1mm、ガイド幅20cmの条件で3分間素練りを行った後に、粘弾性測定装置RPA−2000(アルファテクノロジーズ社製)を用いて60℃(予熱2分)、振動周波数10cpm、振動幅60degの条件で測定した弾性応力が10.2〜10.9dNmであることを特徴とするゲル部分を含まない高弾性硫黄変性クロロプレンゴム。
- 請求項1に記載のゲル部分を含まない高弾性硫黄変性クロロプレンゴムを、カレンダーロール加工成型用に用いることを特徴とするカレンダーロール加工成型用高弾性硫黄変性クロロプレンゴム。
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