JPH0931146A - フェノール樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂組成物の製造方法

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JPH0931146A
JPH0931146A JP18391295A JP18391295A JPH0931146A JP H0931146 A JPH0931146 A JP H0931146A JP 18391295 A JP18391295 A JP 18391295A JP 18391295 A JP18391295 A JP 18391295A JP H0931146 A JPH0931146 A JP H0931146A
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Hiroyuki Fukuzumi
浩之 福住
Kamio Yonemoto
神夫 米本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形時間を短縮しても、耐熱性や絶縁抵抗等
の特性が良好に維持できる、フェノール樹脂組成物の製
造方法を提供する。 【解決手段】 一次反応として酸性触媒でノボラック化
反応した後、二次反応として塩基性触媒を加えレゾール
化反応するフェノール樹脂組成物の製造方法において、
ノボラック化反応をする際のフェノール類とアルデヒド
類のモル比を、1:0.8〜1.3で反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェノール樹脂組
成物の製造方法に関し、具体的には、例えば電子機器等
に使われる紙基材積層板用フェノール樹脂組成物の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子機器に使用される紙基材フェ
ノール樹脂積層板は、桐油等で変性したレゾール型フェ
ノール樹脂を溶剤等で粘度調整し、紙基材に含浸乾燥さ
せ、これを複数枚重ね、用途に応じてこの片面または両
面に接着剤つき金属箔を重ねた後、加熱・加圧成形して
製造されている。
【0003】そして、含浸性の改良、及び電気特性の改
良等のためノボラック化反応をした後、その樹脂をさら
にレゾール化反応するフェノール樹脂組成物の製造方法
が知られている(例えば、特開平2−73820号)。
しかし、ノボラック化反応とレゾール化反応の比率によ
っては品質が安定せず、生産性向上及び省エネルギーの
ために成形時間を短縮しようとすると、耐熱性や絶縁抵
抗等の電気特性が低下するという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を改善するために成されたもので、その目的とするとこ
ろは、ノボラック化反応をした後、さらにレゾール化反
応するフェノール樹脂組成物の製造方法であって、生産
性向上及び省エネルギーのために成形時間を短縮して
も、耐熱性や絶縁抵抗等の特性が良好に維持できるフェ
ノール樹脂組成物が得られる製造方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
フェノール樹脂組成物の製造方法は、一次反応として酸
性触媒でノボラック化反応した後、二次反応として塩基
性触媒を加えレゾール化反応するフェノール樹脂組成物
の製造方法であって、ノボラック化反応とレゾール化反
応合計のフェノール類とアルデヒド類のモル比が、1:
1.0〜1.5であるフェノール樹脂組成物の製造方法
において、ノボラック化反応をする際のフェノール類と
アルデヒド類のモル比が、1:0.8〜1.3であるこ
とを特徴とする。
【0006】本発明の請求項2に係るフェノール樹脂組
成物の製造方法は、請求項1記載のフェノール樹脂組成
物の製造方法において、ノボラック化反応の後、塩基性
化合物を添加して中和した後、レゾール化反応すること
を特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法においては、ま
ず一次反応としてフェノール類とアルデヒド類を酸性触
媒でノボラック化反応を行う。次に、中和した後、二次
反応としてアルデヒド類と塩基性触媒を追加しレゾール
化反応を行い、減圧下で脱水し、水分量を調整した後、
メタノール等の溶剤を適宜に配合して製造される。
【0008】本発明のフェノール樹脂組成物を構成する
フェノール類としては、例えばフェノール、クレゾー
ル、レゾルシン、プロピルフェノール等、フェノール性
水酸基を有するものの単独または、混合物が挙げられ、
アルデヒド類としては、パラホルムアルデヒド、ホルマ
リン水溶液等が挙げられる。上記フェノール類は、桐
油、脱水ヒマシ油等の油で変性した後に、アルデヒド類
と反応させるようにすることが好ましい。但し、モル比
の計算は、変性したフェノール類は除いたフリーのフェ
ノール類のモル数で計算する。フリーのフェノール類の
分析方法としては、ゲルパーミエイションクロマトグラ
フィ(GPC)、またはフリーのフェノール類を気化さ
せ重量測定する方法等が用いられる。
【0009】酸性触媒としては例えばシュウ酸、コハク
酸、マレイン酸、フマル酸、パラトルエンスルホン酸、
ギ酸、酢酸等の有機酸、あるいは塩酸、硫酸、燐酸等の
無機酸が挙げられる。桐油、脱水ヒマシ油等の油でフェ
ノール類を変性するのに用いられた触媒を共通に使用し
ても良い。また、塩基性触媒としては例えばアンモニ
ア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルア
ミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ヘキサメチレン
テトラミン、ジ−n−プロピルアミン、i−プロピルア
ミン、n−プロピルアミン、トリエタノールアミン、ト
リメタノールアミン、ピリジン、ジベンジルアミン、ベ
ンジルアミン等の有機塩基、あるいは水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化リチウム等の無機塩基が挙げられ、単独
または併用し用いられる。
【0010】ノボラック化反応を行う場合のフェノール
類とアルデヒド類のモル比率は、フェノール1モルに対
しアルデヒド0.8〜1.3モルであることが重要であ
り、成形時間を短縮した場合、1.3モルを超えると絶
縁抵抗が低下し、0.8モル未満の場合は耐熱性が低下
する。
【0011】レゾール化反応を行う場合、本発明のノボ
ラック化反応で得られたノボラック型フェノール樹脂組
成物にアルデヒド類を必要に応じて追加し反応を行う。
この場合のノボラック化反応とレゾール化反応合計のフ
ェノール類とアルデヒド類のモル比は、フェノール1モ
ルに対しアルデヒド1.0〜1.5モル必要であり、
1.5モルを超えると未反応アルデヒドが増え積層板と
した時の臭気が悪くなり、1モル未満の場合は未反応フ
ェノールが増え積層板とした時の臭気が悪くなるため実
用的でない。ノボラック化反応に用いたフェノール類と
アルデヒド類のモル比率が、フェノール1モルに対しア
ルデヒド1.0〜1.3モルであり、かつ未反応アルデ
ヒドが残る反応条件でノボラック化反応をした場合は、
レゾール化反応に際し、新たにアルデヒド類を追加しな
くとも良い。
【0012】ノボラック化反応の後、塩基性化合物を添
加して中和を行う。塩基性化合物としては、上記塩基性
触媒と同様の化合物を用いることができる。
【0013】なお、上記フェノール樹脂組成物は、必要
に応じて、アンチモン、トリフェニルホスフェイト、ビ
スフェノールAのブロム化物等の難燃剤、無機、有機の
充填剤や、エポキシ樹脂等のフェノール樹脂を変性する
ための樹脂を適宜に配合しても良い。
【0014】本発明のフェノール樹脂組成物の製造方法
によると、フェノール類とアルデヒド類の比率が、レゾ
ール化反応で残留する両者の未反応モノマーが減少する
範囲であるため、同じ温度・圧力・時間で成形した場
合、積層板中の残留未反応モノマーが減少し、残留未反
応モノマーが原因となる耐熱性や絶縁抵抗の低下が起き
難くなる。
【0015】そのため、本発明のフェノール樹脂組成物
の製造方法において、ノボラック化反応のフェノール類
とアルデヒド類のモル比が、1:0.8〜1.3の範囲
であるということは、成形時間を短縮しても耐熱性や絶
縁抵抗等の特性が良好な積層板が得られる作用がある。
従って、上記樹脂組成物を用いると生産性向上及び省エ
ネルギーを達成して、コスト低減を可能にする。
【0016】
【実施例】
実施例1 一次反応として、フェノール60重量部(以下部と記
す)と桐油40部と酸性触媒パラトルエンスルホン酸
0.5部を100℃で1時間反応させ桐油フェノール反
応物Aを得た。この桐油フェノール反応物Aをゲルパー
ミエイションクロマトグラフィ(GPC)で分析するこ
とにより、桐油フェノール反応物A中にはフリーのフェ
ノールを44部含有していることを確認した。次いで、
この桐油フェノール反応物Aに37重量%のホルマリン
を30部添加し、90℃で2時間反応させてノボラック
型フェノール樹脂組成物を合成した。この時のフェノー
ルとホルマリンのモル比は1:0.8となる。
【0017】次いで二次反応として、このノボラック型
フェノール樹脂組成物にトリエタノールアミンを0.4
部添加して中和した後、37重量%のホルマリンを16
部、塩基性触媒として25%アンモニア2部とトリエチ
ルアミン2部を添加し、80℃で3時間反応させた。そ
の反応液を、150mmHgの減圧下で脱水しメタノー
ルで希釈して、固形分50重量%の樹脂組成物を得た。
この時の、ノボラック化反応とレゾール化反応合計のフ
ェノールとホルマリンのモル比は1:1.2となる。
【0018】次に予め下記の方法で一次含浸した重量1
26g/m2のクラフト紙に上記フェノール樹脂組成物を
二次含浸し、プリプレグを得た。一次含浸は次のように
行った。フェノール100部と37重量%のホルマリン
70部を反応させたフェノール樹脂生成物と、メラミン
100部と37重量%のホルマリン100部を反応させ
たメラミン樹脂生成物を等量混合した樹脂に、水とメタ
ノールを等量混合したメタノール水溶液を添加し、固形
分15%の一次含浸ワニスを得た。この一次含浸ワニス
を重量126g/m2のクラフト紙に含浸した後に、13
5℃の乾燥機で30秒処理し、一次プリプレグAを得
た。この一次プリプレグAに上記フェノール樹脂組成物
を含浸した後に、155℃の乾燥機で100秒処理し、
二次プリプレグBを得た。このプリプレグ中における樹
脂の総含有率は50%であった。
【0019】次に、プリプレグBを8枚重ね、最上層に
厚さ0.035mmの銅箔を接着剤を介して配設し、こ
れを圧力100kg/cm2、温度160℃で50分間成
形し1.6mmの絶縁板を得た。
【0020】実施例2 実施例1と同様の桐油フェノール反応物Aに37重量%
のホルマリンを46部添加し反応させてノボラック型フ
ェノール樹脂組成物を合成した。この時のフェノールと
ホルマリンのモル比は1:1.2となる。
【0021】このノボラック型フェノール樹脂組成物
を、実施例1と同様にトリエタノールアミンで中和した
後、塩基性触媒として25%アンモニア2部とトリエチ
ルアミン2部を添加し、ホルマリンを追加せずに反応さ
せることによりフェノール樹脂組成物を得た。この時
の、ノボラック化反応とレゾール化反応合計のフェノー
ルとホルマリンのモル比は1:1.2となる。次に、実
施例1と同様にプリプレグを重ね成形し、1.6mmの
基板を得た。
【0022】実施例3 ノボラック化反応において、桐油フェノール反応物Aに
37重量%のホルマリンを46部添加し反応させるこ
と、およびレゾール化反応において、37重量%のホル
マリンを11部添加し反応させること以外は実施例1と
同様に反応させ、フェノール樹脂組成物を得た。この時
のノボラック化反応のフェノールとホルマリンのモル比
は1:1.2となる。また、この時のノボラック化反応
とレゾール化反応合計のフェノールとホルマリンのモル
比は1:1.5となる。次に、実施例1と同様にプリプ
レグを重ね成形し、1.6mmの基板を得た。
【0023】実施例4 塩基性触媒として25%アンモニア3部とトリエチルア
ミン2部を添加し反応させること以外は実施例1と同様
に反応させ、フェノール樹脂組成物を得た。次に、実施
例1と同様にプリプレグを重ね成形し、1.6mmの基
板を得た。
【0024】実施例5 酸性触媒としてシュウ酸0.5部を添加し反応させるこ
と以外は実施例1と同様に反応させ、フェノール樹脂組
成物を得た。次に、実施例1と同様にプリプレグを重ね
成形し、1.6mmの基板を得た。
【0025】比較例1 ノボラック化反応において、桐油フェノール反応物Aに
37重量%のホルマリンを15部添加し反応させるこ
と、およびレゾール化反応において、37重量%のホル
マリンを31部添加し反応させること以外は実施例1と
同様に反応させ、フェノール樹脂組成物を得た。この時
のノボラック化反応のフェノールとホルマリンのモル比
は1:0.4となる。また、この時のノボラック化反応
とレゾール化反応合計のフェノールとホルマリンのモル
比は1:1.2となる。
【0026】比較例2 ノボラック化反応において、桐油フェノール反応物Aに
37重量%のホルマリンを53部添加し反応させるこ
と、およびレゾール化反応において、37重量%のホル
マリンを4部添加し反応させること以外は実施例1と同
様に反応させ、フェノール樹脂組成物を得た。この時の
フェノールとホルマリンのモル比は1:1.4となる。
また、この時の、ノボラック化反応とレゾール化反応合
計のフェノールとホルマリンのモル比は1:1.5とな
る。次に、実施例1と同様にプリプレグを重ね成形し、
1.6mmの基板を得た。
【0027】また、得られたプリプレグを8枚重ね、最
上層に厚さ0.035mmの銅箔を接着剤を介して配設
し、これを圧力100kg/cm2、温度160℃で70
分間成形して積層板を得た。
【0028】得られた実施例1〜5と、比較例1、2の
積層板の半田耐熱性、及び絶縁抵抗値を評価した。半田
耐熱性は260℃の半田にフロートし、剥離、膨れなど
の異常が発生するまでの時間を測定した。絶縁抵抗はJ
IS−C−6481に基づき、C−96/20/65+
D−2/100の処理条件で測定した。結果は表1に示
したとおり、実施例1〜5は成形時間が短くても(16
0℃50分)、成形時間が長い(160℃70分)比較
例2の場合と同様に、半田耐熱性、絶縁抵抗とも優れた
積層板が得られた。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明の請求項1〜2に係るフェノール
樹脂組成物の製造方法で得られたフェノール樹脂組成物
を用いると、成形時間を短縮しても、耐熱性や絶縁性の
良好な積層板が得ることができる。従って、生産性向上
及び省エネルギーによるコスト低減が可能になる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次反応として酸性触媒でノボラック
    化反応した後、二次反応として塩基性触媒を加えレゾー
    ル化反応するフェノール樹脂組成物の製造方法であっ
    て、ノボラック化反応とレゾール化反応合計のフェノー
    ル類とアルデヒド類のモル比が、1:1.0〜1.5で
    あるフェノール樹脂組成物の製造方法において、ノボラ
    ック化反応をする際のフェノール類とアルデヒド類のモ
    ル比が、1:0.8〜1.3であることを特徴とするフ
    ェノール樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 ノボラック化反応の後、塩基性化合物を
    添加して中和した後、レゾール化反応することを特徴と
    する請求項1記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009299054A (ja) * 2008-05-16 2009-12-24 Toyo Ink Mfg Co Ltd レゾール型フェノール樹脂及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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