JPH09248467A - 酸化チタン薄膜形成用組成物及びそれを用いる光触媒構造体 - Google Patents

酸化チタン薄膜形成用組成物及びそれを用いる光触媒構造体

Info

Publication number
JPH09248467A
JPH09248467A JP8085707A JP8570796A JPH09248467A JP H09248467 A JPH09248467 A JP H09248467A JP 8085707 A JP8085707 A JP 8085707A JP 8570796 A JP8570796 A JP 8570796A JP H09248467 A JPH09248467 A JP H09248467A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium oxide
titanium
thin film
composition
forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8085707A
Other languages
English (en)
Inventor
Noriyoshi Saito
徳良 斉藤
Kazunori Saito
一徳 斎藤
Hisashi Honda
久司 本田
Tsutomu Watanabe
力 渡辺
Hiroshi Kamata
博士 鎌田
Akira Fujishima
昭 藤嶋
Kazuhito Hashimoto
和仁 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Lighting and Technology Corp
Nippon Soda Co Ltd
Original Assignee
Toshiba Lighting and Technology Corp
Nippon Soda Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Lighting and Technology Corp, Nippon Soda Co Ltd filed Critical Toshiba Lighting and Technology Corp
Priority to JP8085707A priority Critical patent/JPH09248467A/ja
Publication of JPH09248467A publication Critical patent/JPH09248467A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた光触媒活性を有し、且つ、優れた光学特
性、機械的耐久性及び化学的耐久性を併せ持つバランス
のとれた薄膜形成用組成物を提供する。また、耐熱性基
体に酸化チタン薄膜を成膜し、優れた光学特性、機械的
耐久性及び化学的耐久性を有し、且つ、防汚活性の優れ
た光触媒構造体を提供する。 【解決手段】本発明は、酸化チタンゾルと安定化チタン
アルコキシドを含有してなる酸化チタン薄膜形成用組成
物及びそれを耐熱性基体に担持してなる光触媒構造体で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた光触媒活性
を有し、且つ、優れた光学特性(可視光透過率など)、
機械的耐久性(密着性、硬度、磨耗性など)及び化学的
耐久性(耐水性、耐酸・アルカリ性など)などを有する
酸化チタン薄膜を耐熱性基体表面に設けることを可能に
する酸化チタン薄膜形成用組成物及びそれを用いる光触
媒構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から光を照射すると悪臭物質の吸着
・分解による消臭機能、有機汚染付着物質の酸化・分解
による防汚機能及び殺菌機能を示す光触媒は良く知られ
ており、特に、酸化チタンを用いる試みは数多く報告さ
れている。悪臭物質の消臭に関しては、酸化チタンの微
粉末を各種材料からなる多孔質状、ハニカム状及びシ−
ト状の基材に担持させて、これに紫外線を照射する方法
が多く採用されている。酸化チタン微粉末を各種基材に
担持する方法としては、酸化チタン微粉末を揮発性有
機溶剤等に懸濁させ、基材に塗布または含浸させたのち
乾燥する、各基材の製造過程で酸化チタン微粉末を混
入させる、基材に水溶性高分子、有機系接着剤、無機
系接着剤を用いて酸化チタン微粉末を接着する、チタ
ンアルコキシド及び酸化チタン微粉末からなる組成物に
不織布などの基材を浸積した後、チタンアルコキシドを
加水分解し、150℃程度の温度で乾燥する(特開平4
−174679)などの方法が提案されている。これら
の方法では、酸化チタン微粉末と基材との接着力が弱い
(、、)、酸化チタン微粉末の大部分が基材内に
取り込まれて、基材表面の酸化チタンが少ない()な
どの欠点を有している。更に、消臭を目的としているた
め、酸化チタン微粉末の比表面積を最大化し、悪臭物質
が吸着しやすい表面にしているため、逆に汚染物質が付
着しやすい。
【0003】一方、防汚や抗菌に関しては、酸化チタ
ン微粉末を高温のタイル表面等に吹きつけて、高温で焼
結する(特開平5−253544)、酸化チタンゾル
にポリエチレングリコ−ル(平均分子量20、000)
を添加した組成物を硝子基板に塗布し、450℃で焼成
する(特開平7−51646)、チタンアルコキシド
のアルコ−ル溶液に塩酸とジイソプロパノ−ルアミンを
加えて透明なゾル液を調製し、ディップコ−ティング法
により硝子基板に成膜し、630℃で焼成する(特開平
7−100378)などの方法が提案されている。しか
し、これらの方法では、防汚性や抗菌性は高いが酸化チ
タン膜が半透明なため、光透過率が低い(、)、光
透過率は高いが組成液の安定性や膜の密着性が悪い
()などの問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た光触媒活性を有し、且つ、優れた光学特性(可視光透
過率など)、機械的耐久性(密着性、硬度、磨耗性な
ど)及び化学的耐久性(耐水性、耐酸・アルカリ性な
ど)を併せ持つバランスのとれた薄膜形成用組成物を提
供することにある。また、本発明の他の目的は、硝子基
体に酸化チタン薄膜を成膜し、優れた光学特性、機械的
耐久性及び化学的耐久性を有し、且つ、効率のよい防汚
性(自己浄化性)光触媒構造体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この目的
を達成すべく鋭意研究を進めた結果、酸化チタンゾルと
安定化チタンアルコキシドを共存させることにより、酸
化チタンゾルを長期にわたって安定的に分散させたアル
コ−ル含有水溶液が得られることを見いだし、この知見
を基に優れた光学特性、機械的耐久性及び化学的耐久性
と光触媒活性の高い酸化チタン薄膜の検討を行い、本発
明を完成するに至った。
【0006】上記の課題を解決するために本発明にかか
る酸化チタン薄膜形成用組成物は、(構成1) 酸化チ
タンゾルと安定化チタンアルコキシドを含有してなる組
成とし、この構成1の態様として、(構成2) 前記酸
化チタンゾルの平均粒子径が、50nm以下である構成
とし構成1又は2の態様として、(構成3) 前記酸化
チタンゾルの解膠剤が、硝酸である構成とし、構成1乃
至3のいずれかの態様として、(構成4) 前記酸化チ
タンゾルの分散剤が、アルコ−ル系有機溶剤を含む水溶
液である構成とし、構成1乃至4のいずれかの別の態様
として、(構成5) 前記安定化チタンアルコキシドの
安定化剤が、チタンとキレ−ト環を形成し得る1種又は
2種以上の有機化合物である構成とし、構成5の態様と
して、(構成6) 前記安定化チタンアルコキシドの安
定化剤が、グリコ−ル類及び/またはβ−ジケトン類で
ある構成とし、構成1乃至6のいずれかの態様として、
(構成7) 前記酸化チタンゾル由来の酸化チタン含量
が、全酸化チタン量の5乃至60重量%である構成と
し、また、本発明にかかる光触媒構造体は(構成8)
前記酸化チタン薄膜形成用組成物を耐熱性基体表面に担
持してなる構成とし構成8の態様として、(構成9)
前記酸化チタン薄膜形成用組成物を耐熱性基体表面に塗
布し、350℃乃至750℃の温度で焼成して担持せし
めた構成とし、構成8乃至9の態様として、(構成1
0) 前記耐熱性基体が、硝子基体であることを特徴と
する構成としたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】上述の構成1によれば、酸化チタ
ンゾルを長期にわたって安定的に分散させたアルコ−ル
含有水溶液が得られ、この組成物を用いて硝子基体に塗
布・焼成することにより、優れた光学特性、機械的耐久
性、及び化学的耐久性、効率のよい防汚性光触媒構造体
を得ることが可能になった。
【0008】構成2によれば、酸化チタンの平均粒子径
を50nm以下にすることにより、酸化チタン薄膜形成
用組成物の安定性の向上と酸化チタン薄膜の可視光透過
性の向上に寄与する。平均粒子径は好ましくは更に小さ
いほうが良く、5〜10nm程度が特に好ましい。この
平均粒子径は、X線粒径をShellerの式より算出
したものである。平均粒子径が50nm以上になると酸
化チタン微粒子が沈降しやすくなり、更に酸化チタン薄
膜の透過率が低下する。
【0009】構成3によれば、酸化チタンゾルの解膠剤
を硝酸にすることにより、酸化チタン微粒子を凝集する
ことなく安定的に分散でき、更に光触媒活性を高くでき
る。さらに、安定化チタンアルコキシドとの組成物を硝
子基体に塗布後、焼成過程において有機物の酸化促進効
果と揮発によって薄膜中に残存しないためと考えられ
る。
【0010】構成4によれば、分散剤が水の酸化チタン
ゾルと安定化チタンアルコキシドの有機溶剤溶液を均一
に混合して、酸化チタンゾルを沈降することなく安定に
分散出来る。
【0011】構成5によれば、チタンとキレート環を形
成し得る有機化合物(以下、キレート化剤と言う)を使
用して安定化したチタンアルコキシドを用いることによ
り、酸化チタンゾル中の水によるチタンアルコキシドの
急速な加水分解防止と酸化チタン微粒子の沈降を防止出
来る。チタンとキレート環を形成し得る有機化合物とし
ては、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン
等のβ−ジケトン類、アセト酢酸、プロピオニル酢酸等
のα−、または、β−ケト酸類、ケト酸類のメチル、エ
チル、プロピル、ブチル等の低級アルキルエステル類、
グリコール酸、乳酸等のオキシ酸類、オキシ酸のメチ
ル、エチル、プロピル、ブチル等の低級アルキルエステ
ル類、ジオール類、アミノアルコール類などであり、1
種だけでなく2種以上を混合して用いてもよい。
【0012】本発明において、チタンアルコキシドと
は、Ti(OR)4で表されるチタンアルコキシド類であ
り、例えば、テトラメトキシシタン、テトラエトキシチ
タン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチ
タン、ジエトキシジイソプロポキシチタン、ジメトキシ
ジブトキシチタン等である。チタンアルコキシド1モル
当たりに添加するキレート化剤の総モル数は、1モル以
上で、好ましくは2モル以上である。また、キレート化
剤をアルコール類と併用して用いるときは、大過剰添加
しても差し支えない。
【0013】構成6によれば、酸化チタンゾル中の水に
よるチタンアルコキシドの急速な加水分解防止と酸化チ
タン微粒子の沈降を特に好ましく防止出来、更に、硝子
基体上に塗布・焼成した酸化チタン薄膜の光触媒活性と
光学特性、機械的耐久性などの向上に寄与する。 Ti(OR)4 +2(AA)→ Ti(AA)2(OR)2 (但し、AAはアセチルアセトンを示す)で生成したT
i(AA)2(OR)2(TAAと略記する)は、イソプロピ
ルアルコール共存化では、水溶性を示し、溶液はPH5
程度の弱酸性を示すので、好適であり更に、水溶性のグ
リコール類を添加することにより、酸化チタンゾルとチ
タンアルコキシド分散液の安定性を向上させる。
【0014】本発明において、グリコール類は、水溶性
で常温で液体のグリコール類が特に好ましく、例えば、
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキ
シドなどのアルキレンオキシドを水で開環して得られ
る、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール等のアルキレングリコール及び
アルキレンオキシドを重合して得られるポリアルキレン
グリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、それらの共重合体等のアルキレンオキ
シドの重合物を含む。チタンアルコキシド1モル当たり
に添加するグリコール類のモル数(Gモル)とβ−ジケ
トン類のモル数(Kモル)の総モル数は、1モル以上
で、好ましくは、2モル以上である。GとKの割合は、
総モル数、酸化チタンゾルの性状によって異なるが、総
モル数が2の時、G≧1、K≦1が好ましい。
【0015】構成7によれば、光触媒活性と光学特性、
機械的耐久性及び化学的耐久性のバランスを取ることが
出来るが、酸化チタンゾル由来の酸化チタン含量が、5
重量%以下では光触媒活性の不足が、60重量%以上で
は、組成物の安定性、光学特性及び機械的特性などの低
下を伴う。更に好ましくは、15〜40重量%の酸化チ
タン含量が良い。
【0016】構成8乃至9によれば、前記酸化チタン薄
膜形成用組成物を耐熱性基体に塗布し、350℃から7
50℃で焼成することにより、優れた光触媒活性、光学
特性、機械的耐久性及び化学的耐久性の酸化チタン薄膜
の光触媒構造体を得る。更に好ましくは、450℃から
650℃での焼成により、安定化チタンアルコキシド
が、アナターゼ型の酸化チタン薄膜になり、優れた光触
媒活性を示す。機械的耐久性や化学的耐久性向上のため
には、高温度での焼成が好ましいが、750℃以上の温
度での焼成により、結晶型がルチル型になり、光触媒活
性の低下や酸化チタン薄膜の白濁下が始まり、透過率が
低下し、好ましくない。又、350℃以下の温度での焼
成では、アナターゼ型の酸化チタン薄膜になりにくく、
かつ機械的耐久性や化学的耐久性も劣るものしか得られ
ない。
【0017】耐熱性基体として構成10のように、硝子
基体を使用することにより、本発明の酸化チタン薄膜の
特性は一層活かされることになる。即ち、本発明にかか
る光触媒薄膜は透過率が高く光触媒活性も高いものであ
るため、基体として透光性の硝子基体を使用すれば、そ
の特徴を充分発揮することが出来る。また、汎用されて
いる安価なソーダーライム硝子などを耐熱性基体として
使用すると、建築物用窓硝子、自動車、電車等の輸送機
関用の窓硝子、照明器具用の蛍光管、電球、前面硝子お
よび硝子製本体などへ応用することができる。
【0018】
【実施例】
<安定化チタンアルコキシドの調製>反応容器に、テト
ラプロポキシチタン284g(1モル)を仕込み、室温
下で撹拌しながらトリエチレングリコール150g(1
モル)を添加し、70℃で30分反応させたあと、アセ
チルアセトン100g(1モル)を添加し、更に30分
反応させ、エチルアルコールを添加して均一に混合し、
酸化チタン含量が約5. 0重量%の安定化チタンアルコ
キシド(A−1)を得た。トリエチレングリコール及び
アセチルアセトンの代わりに、アセチルアセトン、オク
チレングリコール及びトリエタノールアミンそれぞれの
単独を2モル添加した他は、A−1と同様にして、A−
2,A−3、A−4を調製した。又、A−2とA−3の
等量混合物をA−5とした。
【0019】<酸化チタンゾルの調製>硫酸チタニル溶
液を加水分解して得た酸化チタン粒子を濾過、洗浄後、
硝酸水溶液で分散させ、PH約1. 5、平均粒子系約7
nmで、酸化チタン含量30重量%のアナターゼ型の酸
化チタンゾル(B−1)を得た。四塩化チタン水溶液と
重炭酸ナトリウム水溶液から、ゲルを作製、水洗濾過
し、水で希釈後、オートクレーブ中で熟成処理して、P
H9、平均粒子系約20nmのアナターゼ型酸化チタン
ゾル(B−2)を得た。
【0020】〔酸化チタン薄膜形成用組成物の実施例〕 <実施例1>酸化チタンゾル(B−1)50gにエチル
アルコール/ 酢酸エチル(50/ 50重量%)の混合溶
媒100gを添加し、均一に分散させた。この分散液に
安定化チタンアルコキシド(A−1)1000gを少量
ずつ混合しながら滴下し、均一に混合して、酸化チタン
薄膜形成用組成物(D−1)を調製した。D−1中の酸
化チタン総量は、約6重量%であり、酸化チタンゾル由
来の酸化チタン含量は酸化チタン全量の23.0重量%
であった。
【0021】<実施例2〜5>酸化チタンゾルおよび安
定化チタンアルコキシドの種類を変えて、実施例1と同
様にして、酸化チタン薄膜形成用組成物D−2〜D−5
を調製した。
【0022】<比較例1>安定化チタンアルコキシドの
代わりに安定化していないテトラプロポキシチタンを用
いて、実施例1と同様にして酸化チタン薄膜形成用組成
物D−6を調製した。酸化チタンゾルを添加するとすぐ
に多量の沈殿物が生じた。
【0023】実施例1〜6および比較例1で調製した酸
化チタン薄膜形成用組成物の組成比等を表−1にまとめ
て示した。また、これらの組成物を室温にて1ヶ月保管
した後の変化を目視にて判定しその安定性を確認した。
その結果も合わせて表−1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】〔光触媒構造体の実施例〕 <実施例7>実施例1で調製した組成物(D−1)を用
いて、ソーダライム硝子に約100nmの酸化珪素薄膜
をプレコートした基板を用いて、ディップ法にて成膜し
500℃で60分焼成し、白濁のない透明な膜厚約10
0nmのアナターゼ型酸化チタン薄膜硝子を得た。
【0026】<実施例8〜13>実施例1〜6で調製し
た組成物(D−1〜D−6)を用いて、焼成温度、膜厚
を変えた他は実施例7と同様の操作を行い、酸化チタン
担持硝子を作成した。
【0027】<比較例2>強制撹袢した比較例1で調製
したD−6に実施例7と同様のプレコート硝子を用い
て、ディップ法にて酸化チタン粉末を付着させ、500
℃で1時間焼成し、酸化チタン担持硝子を作成したがこ
の膜は白濁不透明であった。
【0028】実施例7〜13および比較例2で得られた
光触媒構造体の防汚性、可視光透過性、機械的耐久性及
び化学的耐久性を下記の方法で測定した結果を表−2に
示した。
【0029】防汚機能測定法 防汚機能の指標としてリノール酸を主成分とする市販の
サラダ油の分解実験を行った。酸化チタン薄膜をつけた
ガラス体の表面に紙で薄くサラダ油を1cm2当たり
0. 1〜0. 15mgになるよう塗布した。塗布量は塗
布前後の重量測定により求めた。少なくとも200〜4
00nmの光の一部を含む紫外線光の光をガラス体表面で
3mW/cm2となるように設置して照射後、経過時間
と重量変化量の関係を求めるため所定時間におけるガラ
ス体の重量を精密天秤で測定し、分解活性の指標とし
た。8時間後の分解率で防汚性をランク付けした。A
(90〜100%),B(70〜89%), C(50〜69%), D(49% 以
下) 約1リットルの反応容器に所定のサンプルを設置し、所
定量のたばこの煙を付着後、1mW/cm2の紫外線を
照射しながら、色差計にて色の変化を測定し、たばこの
ヤニの分解性を評価した。1時間後の分解率で防汚性を
ランク付けした。A(90〜100%),B(70〜89%), C(50
〜69%), D(49% 以下)
【0030】消臭機能測定法 約1. 5リットルの反応容器に所定のサンプルを設置
し、内部が1300ppmの濃度になるようアセトアル
デヒドガスを注入した後、1. 2mW/cm2の紫外線
照射を行い、濃度減少により消臭機能を測定した。1時
間後の分解率で防汚性をランク付けした。A(90〜100
%),B(70〜89%), C(50〜69%), D(49%以下)
【0031】光直線透過率の測定 酸化チタンを付けたガラス体の一部を切断し幅10m
m、長さ20mmの試料を準備した。同様な試料を酸化
チタンを付けていないガラス体で準備して、片方を試料
側、片方を参照側として、島津製UV−3100PC分
光光度計により550nmの波長の光に対する直線透過
率を測定した。
【0032】機械的耐久性測定法 密着性はセロテープ剥離試験、硬度は鉛筆硬度試験、磨
耗性は消しゴム磨耗試験で行った。密着性および磨耗性
は剥離しないもの、磨耗しないものを合格とした。
【0033】化学的耐久性試験法 耐沸騰水試験はJIS K5400で、耐アルカリ試験
は0. 05%NaOH水溶液を使用してJIS K54
00の方法に準じて24時間浸積して試験した。
【0034】
【0035】表−2の結果より、実施例7の酸化チタン
薄膜硝子は、可視光透過率85%、防汚性Aランク、鉛
筆硬度6H、及び密着性、耐沸騰水性、耐アルカリ性が
合格であり、優れた光学特性、機械的耐久性、化学的耐
久性を有し、かつ、効率のよい防汚性の光触媒構造体で
あった。また、実施例8〜13の酸化チタン薄膜硝子
も、可視光透過率70%以上、鉛筆硬度4H以上、及び
密着性、耐沸騰水性、耐アルカリ性が合格であり、優れ
た光学特性、機械的耐久性、化学的耐久性を有し、か
つ、効率のよい防汚性の光触媒構造体であった。
【0036】<光触媒活性試験>実施例7、実施例13
及び比較例2で作成した酸化チタン薄膜に関して、たば
このヤニの付着性、ヤニの分解性及びアセトアルデヒド
の消臭性を比較し、表−3に示した。
【0037】
【0038】比較例2の膜表面は非常に多孔質で表面積
が大きく、煙草のヤニを吸着しやすく、ヤニの分解性や
アセトアルデヒドの分解・消臭には適しているが、膜表
面が白濁しており、膜の密着性も弱いので、光の透過性
を必要とする用途や膜表面に手で接触したりする装置に
は使用できない。一方、実施例7および13では、汚れ
にくくかつ、付着した汚れは即座に分解できる自己浄化
性を有し、かつ、透明で耐久性にも優れている。特に、
実施例7はそのバランスがよくとれた光触媒構造体であ
る。また、これらの酸化チタン薄膜硝子は、通常の白色
蛍光灯の光の元でも大腸菌に対する殺菌性があり,病院
や食品産業などで有効に利用できるものであった。
【0039】<実施例14>360Wの高圧水銀灯装置
の前面硝子に、ディップ・焼成法にて約100nmの酸
化珪素薄膜を作成し、その上に実施例1で用いた酸化チ
タン薄膜組成物(D−1)を実施例1と同様な操作を行
って、約200nmのアナターゼ型酸化チタン薄膜を成
膜し、水銀灯用酸化チタン薄膜硝子を作成した。この酸
化チタン薄膜硝子を高速道路照明用の前面硝子として用
いて、従来の前面硝子と車の排気ガスによる汚れをトン
ネル内で4ヶ月間比較した。従来硝子を用いた方は、汚
れもひどく、24%の照度低下が認められたが、酸化チ
タン薄膜を用いた硝子は、汚れも少なく、汚れによる照
度低下は6%で、優れた防汚性を示した。
【0040】
【発明の効果】本発明の酸化チタン薄膜形成用組成物
は、調製後安定に保存でき、また、本発明の酸化チタン
薄膜形成用組成物を用いることにより優れた光触媒活性
を有し、かつ、優れた光学特性、機械的耐久性及び化学
的耐久性等、バランスのとれた酸化チタン薄膜光触媒構
造体を提供でき、特に、高い透過率と、防汚性能が必要
とされる屋外用照明器具に用いるに最適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 久司 神奈川県横須賀市船越町1−201−1 東 芝ライテック株式会社研究所内 (72)発明者 渡辺 力 神奈川県横須賀市船越町1−201−1 東 芝ライテック株式会社研究所内 (72)発明者 鎌田 博士 神奈川県横須賀市船越町1−201−1 東 芝ライテック株式会社研究所内 (72)発明者 藤嶋 昭 神奈川県川崎市中原区中丸子710番地5 (72)発明者 橋本 和仁 神奈川県横浜市栄区飯島町2073番地2 ニ ューシティ本郷台D棟213号

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化チタンゾルと安定化チタンアルコキシ
    ドを含有してなる酸化チタン薄膜形成用組成物
  2. 【請求項2】酸化チタンゾルの平均粒子径が、50nm
    以下である請求項1記載のの酸化チタン薄膜形成用組成
  3. 【請求項3】酸化チタンゾルの解膠剤が、硝酸である請
    求項1又は2記載の酸化チタン薄膜形成用組成物
  4. 【請求項4】酸化チタンゾルの分散剤が、アルコ−ル系
    有機溶剤を含む水溶液である請求項1乃至3のいずれか
    に記載の酸化チタン薄膜形成用組成物
  5. 【請求項5】安定化チタンアルコキシドの安定化剤が、
    チタンとキレ−ト環を形成し得る1種又は2種以上の有
    機化合物である請求項1乃至4のいずれかに記載の酸化
    チタン薄膜形成用組成物
  6. 【請求項6】安定化チタンアルコキシドの安定化剤が、
    グリコ−ル類及び/又はβ−ジケトン類である請求項1
    乃至5のいずれかに記載の酸化チタン薄膜形成用組成物
  7. 【請求項7】酸化チタンゾル由来の酸化チタン含量が、
    全酸化チタン量の5乃至60重量%である請求項1乃至
    6のいずれかに記載の酸化チタン薄膜形成用組成物
  8. 【請求項8】酸化チタンゾルと安定化チタンアルコキシ
    ドを含有してなる酸化チタン薄膜形成用組成物を耐熱性
    基体表面に担持してなる光触媒構造体
  9. 【請求項9】酸化チタンゾルと安定化チタンアルコキシ
    ドを含有してなる酸化チタン薄膜形成用組成物を耐熱性
    基体表面に塗布し、350℃乃至750℃の温度で焼成
    することにより担持させた請求項8記載の光触媒構造体
  10. 【請求項10】耐熱性基体が、硝子基体であることを特
    徴とする請求項8又は9記載の光触媒構造体
JP8085707A 1996-03-14 1996-03-14 酸化チタン薄膜形成用組成物及びそれを用いる光触媒構造体 Pending JPH09248467A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8085707A JPH09248467A (ja) 1996-03-14 1996-03-14 酸化チタン薄膜形成用組成物及びそれを用いる光触媒構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8085707A JPH09248467A (ja) 1996-03-14 1996-03-14 酸化チタン薄膜形成用組成物及びそれを用いる光触媒構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09248467A true JPH09248467A (ja) 1997-09-22

Family

ID=13866306

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8085707A Pending JPH09248467A (ja) 1996-03-14 1996-03-14 酸化チタン薄膜形成用組成物及びそれを用いる光触媒構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09248467A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11269414A (ja) * 1998-03-25 1999-10-05 Central Glass Co Ltd 光触媒膜形成用インキおよび光触媒膜の形成方法
JP2002145614A (ja) * 2000-11-08 2002-05-22 Taki Chem Co Ltd 酸化チタンゾル組成物
JP2003095657A (ja) * 2001-09-25 2003-04-03 Taki Chem Co Ltd 有機溶媒分散型酸化チタンゾル及びその製造方法
JP2006188377A (ja) * 2005-01-04 2006-07-20 Kochi Univ 無機粒子・酸化チタン複合体層の製造方法
JP2006257070A (ja) 2005-02-16 2006-09-28 Nippon Soda Co Ltd 液状抗菌剤組成物
JP2007090618A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 防汚部材
US7883821B2 (en) * 2006-12-15 2011-02-08 Tdk Corporation Process for producing titanium-containing metal oxide, hologram recording material, process for producing the same, and hologram recording medium
US8445118B2 (en) 2006-07-13 2013-05-21 Central Japan Railway Company Coating liquid, metal compound film formed by coating liquid, and forming method thereof
WO2019225696A1 (ja) * 2018-05-25 2019-11-28 コニカミノルタ株式会社 分子変換部材、積層体及び基材の改質方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11269414A (ja) * 1998-03-25 1999-10-05 Central Glass Co Ltd 光触媒膜形成用インキおよび光触媒膜の形成方法
JP2002145614A (ja) * 2000-11-08 2002-05-22 Taki Chem Co Ltd 酸化チタンゾル組成物
JP2003095657A (ja) * 2001-09-25 2003-04-03 Taki Chem Co Ltd 有機溶媒分散型酸化チタンゾル及びその製造方法
JP4521801B2 (ja) * 2001-09-25 2010-08-11 多木化学株式会社 有機溶媒分散型酸化チタンゾル及びその製造方法
JP2006188377A (ja) * 2005-01-04 2006-07-20 Kochi Univ 無機粒子・酸化チタン複合体層の製造方法
JP2006257070A (ja) 2005-02-16 2006-09-28 Nippon Soda Co Ltd 液状抗菌剤組成物
JP2007090618A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 防汚部材
US8445118B2 (en) 2006-07-13 2013-05-21 Central Japan Railway Company Coating liquid, metal compound film formed by coating liquid, and forming method thereof
JP5243248B2 (ja) * 2006-07-13 2013-07-24 東海旅客鉄道株式会社 塗布液、及び金属化合物薄膜の形成方法
US7883821B2 (en) * 2006-12-15 2011-02-08 Tdk Corporation Process for producing titanium-containing metal oxide, hologram recording material, process for producing the same, and hologram recording medium
WO2019225696A1 (ja) * 2018-05-25 2019-11-28 コニカミノルタ株式会社 分子変換部材、積層体及び基材の改質方法
JPWO2019225696A1 (ja) * 2018-05-25 2021-06-17 コニカミノルタ株式会社 分子変換部材、積層体及び基材の改質方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0866101B1 (en) Photocatalytic coating composition and photocatalyst-bearing structure
JP3385850B2 (ja) 親水性を備えた複合材
ES2538807T3 (es) Procedimiento de limpieza de un sustrato que tiene una superficie ultrahidrófila y fotocatalítica
EP1036826B1 (en) Photocatalytic oxide composition, thin film, and composite
JP4335446B2 (ja) 酸化チタンゾル、薄膜およびそれらの製造法
JP2006083363A (ja) コーティング材とその用途
KR101346631B1 (ko) 친수성 방담 필름
JPH09248467A (ja) 酸化チタン薄膜形成用組成物及びそれを用いる光触媒構造体
JP4665221B2 (ja) 二酸化チタン光触媒担持体とその製造方法
JPH1112539A (ja) 機能性塗料組成物、および機能性塗膜の形成方法
JP4011705B2 (ja) 光触媒配合物と光触媒含有物並びに光触媒機能発揮材およびその製造方法
JP2001303276A (ja) 琺瑯材
CN1147543C (zh) 用于有机物光催化分解的二氧化钛纳米涂料及其制备方法
JPH10167727A (ja) 変性酸化チタンゾル、光触媒組成物及びその形成剤
JP3791067B2 (ja) 光触媒組成物およびガラス物品
JPH11199860A (ja) 防曇コーティング液とその製造方法
JP3978636B2 (ja) 光触媒膜形成用コーティング組成物
JP2004244608A (ja) 加水分解重縮合物溶液およびその製造方法、ならびにそれを用いた透明皮膜形成用組成物
JP3381886B2 (ja) 光触媒構造体及びその製造方法
CN100450622C (zh) 透明膜形成组合物及其应用
JP2009263651A (ja) 光触媒コーティング組成物
JP2001181535A (ja) 環境浄化用光触媒塗料
JP3806998B2 (ja) 光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体
JP4110279B2 (ja) 光触媒皮膜を塗布した基材および光触媒皮膜を基材上に形成する方法
JPH08309203A (ja) 光触媒組成物