JP3806998B2 - 光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体 - Google Patents

光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸化チタン系の光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化チタン光触媒は、光と水の存在下、その表面で強力な酸化力を発現することが知られている。かかる強力な酸化力は、大気、水質等の浄化や、抗菌、防汚、防曇といった機能を発現させることから、種々な分野への利用技術が提案されている。
【0003】
しかし、酸化チタン光触媒を有効な光の到達しない状態に置くと、次第に活性がなくなる。このような現象は特に光活性の低いものや薄膜状のもの等で顕著であり、再び光を照射してもほとんど活性を示さなくなったり、活性発現に長時間の光照射を要するといった場合も多い。
【0004】
このことは、抗菌、防汚、防曇といった、酸化チタンの薄膜が適用されることの多い利用分野で、実使用を妨げる大きな要因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光のきわめて弱い状態に置かれても光触媒作用に基づく機能が維持され、また、光の到達しない状態に長期に置かれた後も再度充分な光活性を呈する、実用的な光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結晶性酸化チタン粒子と、酸化チタンのマトリクスと、吸湿性無機化合物粒子とを含有する光触媒組成物であって、前記光触媒組成物の膜厚が5nm以上100μm以下であり、前記結晶性酸化チタン粒子と前記吸湿性無機化合物粒子の平均粒径がそれぞれ100nm以下である光触媒組成物を提供する。
【0007】
本発明の光触媒組成物は、酸化チタン粒子(第1成分)と、酸化チタンのマトリクス(第2成分)および吸湿性無機化合物粒子(第3成分)を含有してなる。こうした構成とすることで、高い触媒活性とその維持性、耐久性、優れた形態保持性が得られる。
【0008】
本発明の光触媒組成物は、触媒活性の高い第1成分と活性発現に不可欠な水を供給する第3成分を、第2成分で固定したもので、それぞれ相互に補完しあって、高い触媒活性と維持性、および耐久性、形態保持性を発現する。
【0009】
本発明の光触媒組成物の形態は特に限定されず、粒子状、バルク状、膜状などの形態がある。
光触媒の作用部位は前述の如く表面であることから、粒子状形態が最も効果的であるが、反応の場のみならず反応後の取扱いも含め、粒子の取扱いは困難である。バルク状、例えばブロック状では表面の利用効率が低い。成形加工性、取扱性、利用効率等の点から、膜の形態であるのが最も有効である。
【0010】
膜状の形態を取る場合、その膜厚は薄いほど利用効率は高いが、成形性の観点から、膜厚は5nm以上であることが好ましい。また厚くしても利用効率の向上度合は小さくなることから、膜厚は100μm以下であることが好ましい。
膜状の本発明の光触媒組成物は、種々の形状の基体に適用できることから、さまざまな製品に抗菌、防汚、防臭、防曇性等を付与できる。
【0011】
第1成分の酸化チタン粒子は、太陽光等からの光を吸収して励起され、光触媒活性発現に寄与する。本発明における酸化チタン粒子は、一次粒子に近い形状および/または軽く凝集した形状で存在し、高い触媒活性を実現している。
【0012】
第1成分の酸化チタン粒子は結晶性である。特に、酸化チタン粒子の60重量%以上がアナターゼ型であることが好ましい。
第1成分の酸化チタン粒子中には、40%を超えない範囲でルチル型結晶を含有しうる。ルチル型結晶は、アナターゼ型より低いエネルギの光でも励起されることから、ルチル相に形成された励起子がアナターゼ相に作用し、本発明の光触媒組成物をより高活性にできるものと期待される。
【0013】
第1成分の酸化チタン粒子は、平均粒径が1〜300nmであることが好ましい。1nmより小さいと相互作用を持つ光の波長域が小さくなり、太陽エネルギでは活性を発現しがたくなる。一方、300nmよりも大きいと、強靭な光触媒組成物の成形体が得にくくなる。
なお、本発明における「平均粒径」とは、一次粒子と凝集粒子との混合物の平均粒径の意である。
【0014】
第1成分の酸化チタン粒子の含有量は、光触媒組成物に対し0.5〜90重量%であることが好ましい。0.5重量%未満では光エネルギを有効に取込めず、90重量%超では、光のきわめて弱い状態に置いた場合に光触媒作用に基づく機能が維持されない傾向にあり、また耐久性が劣る傾向にある。
【0015】
第2成分の酸化チタンは、第1成分の酸化チタン粒子と第3成分の酸化ケイ素粒子を固定して形態を保持するバインダーの働きを担うとともに、光触媒効果の発現にも寄与する。
【0016】
通常、第2成分における酸化チタンは、ゾル・ゲル法で形成された薄膜同様、太陽光等から得られる光エネルギではほとんど触媒作用を示さないものと考えられる。しかし本発明においては、ミクロに分散された第1成分の酸化チタン粒子に吸収された光エネルギの一部が第2成分の酸化チタンに伝達され、これが励起エネルギとなって触媒活性を発現させているものと判断される。
第2成分の酸化チタンの含有量は、優れた形態保持性が得られることから、光触媒組成物に対し2重量%以上であることが好ましい。
【0017】
第3成分の吸湿性無機化合物粒子の含有量は、光触媒組成物に対し0.5〜90重量%であることが好ましい。0.5重量%未満では、水の保持と供給を有効に行えず、90重量%超では光活性が阻害される傾向にある。
第3成分の吸湿性無機化合物粒子は、粒子の形状で適用されるため光触媒活性を担う酸化チタン相に及ぼす悪影響がほとんどない。
【0018】
第3成分の吸湿性無機化合物粒子としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化銅、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化セリウム、ゼオライト、塩化カルシウムなどの粒子が挙げられる。
【0019】
透明膜の製造が容易で、光触媒組成物中に均質に配置されて酸化チタン相と強靭な複合体を形成しうることから、第3成分は金属酸化物粒子であることが好ましい。特に良好な結果が得られることから酸化ケイ素粒子が好ましい。
【0020】
また、第1成分の酸化チタン粒子と第3成分の吸湿性無機化合物粒子との合計量は、光触媒組成物に対して98重量%以下であるのが好ましい。98重量%超では、光活性と耐久性とが劣る傾向にある。
【0021】
本発明の光触媒組成物には、その他目的に応じ、Pd、Pt、といった金属類、V(IV)、Mn(III )、Fe(III )、Ni(II)、Mo(V)、Ru(III )、Rh(III )、Re(V)、Os(III )といった金属イオン類、酸化タングステン、酸化イットリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムといった金属酸化物類等を添加できる。
【0022】
本発明の光触媒組成物を表面に施したガラス、セラミックス、タイル、セメント、コンクリート等は、窓、鏡、壁、屋根、床、天井、内装材等に用いられる。汚れの付着や藻の発生を防止できることから、ソーラー電池、ソーラー温水器の受光面に用いるのも効果的である。さらにガラスビーズ、バルーン等の表面に施し、水中、水面に設置して、水の浄化等に用いるのも有効である。
【0023】
本発明は、また、酸化チタンゾルと、酸化チタン前駆体化合物と、吸湿性無機化合物粒子を形成するゾルとを含有する光触媒組成物形成剤を提供する。
酸化チタンゾルは、前述した酸化チタン粒子の原料となる。
酸化チタンゾルとしては、特に限定されず、水や有機溶剤等を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散されたものが用いられる。
酸化チタン粒子としては、アナターゼ、ルチル等の結晶質が用いられる。
【0024】
例えば水を分散媒とした水性酸化チタンゾルは、製造方法も公知で容易に製造でき、チタニアゾルとして広く市販されており、好ましく用いられる。
後述する酸化チタン前駆体化合物との相性から、水性酸化チタンゾルを使用できない場合がある。このような場合には、相関移動活性を有する化合物で水性酸化チタンゾルを処理して製造される変性酸化チタンゾルを使用することが好ましい。
また、酸化チタン粒子表面を有機物等で修飾し有機溶剤に分散させた有機系酸化チタンゾルも使用できる。
【0025】
酸化チタンゾルは、平均粒径が1〜300nmの酸化チタン粒子が分散されてなる酸化チタンゾルであることが好ましい。平均粒径が1nmより小さいと相互作用を持つ光の波長域が小さくなり、太陽光エネルギでは活性を示しにくくなる。300nmより大きいと高い活性を得にくくなる。特に、1〜100nmが好ましい。
【0026】
酸化チタン前駆体化合物としては、最終的に酸化チタンとなるものであれば特に限定されない。取扱いの容易な点から、水や有機溶剤等に、可溶または分散可能なものであることが好ましい。
酸化チタン前駆体化合物は、その溶液として、および/またはその分散液として加えられることが好ましい。
酸化チタン前駆体化合物は、前述した酸化チタンのマトリクスの原料となる。酸化チタンのマトリクスは、本発明の光触媒組成物に特定の連続した形状を付与する役割を担ううえ、粒子成分のバインダーとしての機能をも担う。
【0027】
したがって酸化チタン前駆体化合物としては、成形加工性に優れ、かつ、強靭な成形体を形成できるものが好ましい。かかる理由から、本発明の酸化チタン前駆体化合物としては、ペルオキソチタン酸および/またはペルオキソチタン酸の部分縮合体であることが好ましい。また、同様の理由から、チタンのアルコキシド、チタンのアセチルアセトネート、チタンのカルボキシレートおよびチタンのキレートからなる群から選ばれる1種以上も好ましい。
【0028】
吸湿性無機化合物粒子を形成するゾルは、前述した吸湿性無機化合物粒子の原料となる。
吸湿性無機化合物粒子を形成するゾルを構成する酸化物粒子としては、吸湿性無機化合物粒子として列記した前述の酸化物の粒子が用いられる。
吸湿性無機化合物粒子として酸化ケイ素粒子が好ましい理由と同じ理由から、吸湿性無機化合物粒子を形成するゾルとしては、酸化ケイ素ゾルが好ましい。
【0029】
酸化ケイ素を水や有機溶媒に分散させたゾルは公知であり、広く市販され、容易に入手できる。本発明には、水性酸化ケイ素ゾルや、オルガノ酸化ケイ素ゾルが好ましく用いられる。
【0030】
酸化ケイ素ゾルは、平均粒径1〜300nmの酸化ケイ素粒子が分散されてなる酸化ケイ素ゾルが好ましい。粒径が1nmより小さいと水を吸着して保持する力が弱まり、光触媒である酸化チタンに充分な水を供給できにくくなる。特に5nm以上が好ましい。一方、粒径を大きくしても効率は悪くなる。すなわち、酸化ケイ素粒子に捕らえられた水が酸化チタンと相互作用するのはその界面であるから、粒径は小さいほど相互作用を持つ機会が増加する。したがって粒径は300nm以下が好ましい。特に、100nm以下が好ましい。
【0031】
本発明の光触媒組成物形成剤は、酸化チタン前駆体化合物と、酸化チタンゾルと、酸化ケイ素ゾルとを混合して製造される。混合は、pHを調整する等の処置を施すことにより、容易に行える。
【0032】
また、pHや濃度の大きく異なる場合であっても、1つの成分を撹拌しながら他の1つの成分を徐々に加え、その後同様にして残りの1つの成分を加えることにより、ゲル化等の不都合を起こすことなく混合できる。
また、組合せによっては3つの成分を一度に混合した後、1〜2分間撹拌することでも、不都合なく製造できる。
【0033】
本発明の光触媒組成物形成剤には、他の成分を加えることができる。界面活性剤類、消泡剤類、粘度調整剤類等の添加は、一般に成形加工性を高める目的から行われており、本発明にも有効である。
【0034】
また、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、酸類、アルカリ類、ジアセトンアルコール、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ニトロベンゼン、ポリエチレングリコールなどを必要に応じて添加できる。
【0035】
基体上に、前記の光触媒組成物形成剤が塗布されることで光触媒組成物付き基体が得られる。
塗布方法としては、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷等が挙げられる。
通常は、塗布後、適宜乾燥、熱処理が施される。
【0036】
本発明の光触媒組成物形成剤を用いると薄膜形成が容易となり、得られる薄膜の触媒活性も高い。また、透明膜や半透明膜も容易に成形できるため、光エネルギを有効に取込むことができる。
【0037】
透明膜は、第1成分の酸化チタン粒子の粒径、第3成分の酸化ケイ素粒子の粒径、光触媒組成物形成剤のpH、製膜プロセス等を制御することで得ることができる。
【0038】
例えば、第1成分と第3成分の2つの粒子成分の平均粒径をそれぞれ100nm以下に保持することにより、透明膜を調製できる。かかる透明膜は、透明材料からなる成形体にも適用でき、基材の持つ外観、表情を損なうことなく、新たな機能を付与できる。透明材料としては、ガラスが特に好ましい。
【0039】
【作用】
本発明の光触媒組成物は、太陽光等の一般住環境下で得られる光エネルギで励起され、高い触媒活性を示す。光エネルギ源としては、一般の室内照明灯である蛍光灯の発する光においても有効である。さらにブラックライト、フィラメントランプ、キセノンランプ、水銀灯からの光等に対しても有効である。
【0040】
本発明の光触媒組成物は、光エネルギの取込みと触媒活性作用を機能的に結び付け、高効率の光触媒作用を発現している。
【0041】
触媒がその機能を発現するためには、a)光エネルギを吸収する、b)吸収したエネルギで励起子を形成する、c)励起子は反応の場すなわち表面に移動し、水と相互作用してその触媒機能を発現する、といった経路を経る。酸化チタンは現在最も実用的で優れた光触媒であると考えられている。
【0042】
しかもバンドギャップに相当するエネルギを持つ光の波長が400nm前後であることから、酸化チタン微粒子は、太陽光からも充分な励起エネルギを吸収し、形成された励起子が表面に移動して触媒作用を発現する。
【0043】
本発明の光触媒組成物を構成する第1成分である酸化チタン粒子は、酸化チタン粒子の持つ光活性を損なうことなく固定化されたもので、かかる作用を担い、きわめて高い触媒効果を発揮する。
【0044】
第2成分である酸化チタンのマトリクスは、第1成分である酸化チタン粒子を利用しようとする位置、形態に固定する作用を担っている。しかも第2成分の酸化チタンのマトリクスは、従来有効にその触媒活性を引出せなかった薄膜形状にあっても、高活性を発現する。
【0045】
これは、第1成分の酸化チタン粒子が薄膜中の第2成分の酸化チタンと相互作用し、活性化させたためと判断される。すなわち前記の経路c)における励起子は、粒子/膜界面に移動して膜中の第2成分の酸化チタンに作用し、新たな励起子を形成する。かかる励起子が膜表面に移動し、高い触媒活性を発現する。
【0046】
第3成分の酸化ケイ素粒子に代表される吸湿性無機化合物粒子は、酸化チタン光触媒が活性を発現するのに必須である水を確保し、常に光触媒へ水を供給するように働く。このため、光触媒が薄膜状であったり光量の少ない状況に置かれた場合であっても、常に高い触媒活性を発現できるよう作用する。
【0047】
特に吸湿性酸化物がマトリクス状すなわち連続膜ではなく、粒子状であることが重要である。
一般に酸化ケイ素などの薄膜をゾル・ゲル法等で調製すると、膜内に気泡が残存することが知られている。したがって、かかる薄膜も吸湿性を持ちうると判断される。しかし、光触媒機能を担うのは表面の酸化チタンであるから、酸化ケイ素薄膜が表面にあっては、触媒活性は阻害されてしまう。
これに対し粒子状の酸化ケイ素は膜中に均質に配置され、表面に露出するのはごく一部である。したがって添加された酸化ケイ素粒子が光活性を阻害することはない。
【0048】
【実施例】
例1、4、6が実施例に相当し、それ以外は比較例に相当する。
【0049】
(例1)
酸化チタン換算濃度1.72重量%のペルオキソポリチタン酸の水溶液14.83gと、平均粒径10nm、pH10、酸化チタン換算濃度15.1重量%の水性酸化チタンゾル2.81gと、平均粒径20nm、pH9、酸化ケイ素換算濃度30.5重量%の水性酸化ケイ素ゾル0.56gとを混合撹拌し、本発明の光触媒組成物形成剤(1)を得た。
この(1)を市販のフロートガラスにスピンコートして100℃で乾燥後、500℃で10分間焼成して、膜厚120nmの、酸化ケイ素粒子を含有した透明酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0050】
(例2)
酸化チタン換算濃度1.72重量%のペルオキソポリチタン酸の水溶液14.83gと、平均粒径10nm、pH10、酸化チタン換算濃度15.1重量%の水性酸化チタンゾル3.94gとを混合撹拌し、光触媒組成物形成剤(2)を得た。
例1の形成剤(1)の代わりに形成剤(2)を用いたことを除き、例1と同様にして、膜厚110nmの、透明酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0051】
(例3)
例1の(1)の代わりに酸化チタン換算濃度1.72重量%のペルオキソポリチタン酸の水溶液のみを用いたことを除き、例1と同様にして、膜厚100nmの、透明酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0052】
(例4)
平均粒径7nm、pH1.5、酸化チタン換算濃度30重量%の水性酸化チタンゾルを、平均分子量600のポリエチレングリコールで処理して、酸化チタン換算濃度20重量%の変性酸化チタンゾルを得た。
次に、チタンブトキシド340g、アセチルアセトン200g、ヘキシレングリコール264gを混合撹拌した後、エタノールを加えて、酸化チタン換算濃度8重量%の、酸化チタンの前駆体(キレート)溶液を得た。
【0053】
前記変性酸化チタンゾル0.4gと、前記酸化チタンの前駆体溶液10.5g、および、イソプロパノールを分散媒とした、平均粒径20nm、酸化ケイ素換算濃度30.1重量%のオルガノ酸化ケイ素ゾル0.27gとを混合撹拌し、本発明の光触媒組成物形成剤(3)を得た。
【0054】
この形成剤(3)を市販のフロートガラスにスピンコートして100℃で乾燥後、600℃で焼成して、膜厚35nmの、酸化ケイ素粒子を含有した透明酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0055】
(例5)
例4の変性酸化チタンゾル0.4gと酸化チタンの前駆体溶液10.5gを混合撹拌し、酸化チタン膜形成剤(4)を得た。
例4の形成剤(3)の代わりに形成剤(4)を用いたことを除き、例4と同様にして、膜厚37nmの、透明酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0056】
(例6)
酸化チタン換算濃度1.66重量%のペルオキソポリチタン酸の水溶液15.36gと、例1の水性酸化チタンゾル0.2gと、および、メタノールを分散媒とした、平均粒径20nm、酸化ケイ素濃度30.3重量%のオルガノ酸化ケイ素ゾル0.15gとを混合撹拌し、本発明の光触媒組成物形成剤(5)を得た。
例4の形成剤(3)の代わりに形成剤(5)を用いたことを除き、例4と同様にして、膜厚29nmの、酸化ケイ素粒子を含有した透明酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0057】
(例7)
酸化チタン換算濃度1.66重量%のペルオキソポリチタン酸の水溶液15.36gと、例1の水性酸化チタンゾル0.2gと、および、テトラメトキシシラン0.12gとを混合撹拌し、酸化チタン膜形成剤(6)を得た。
例4の形成剤(3)の代わりに形成剤(6)を用いたことを除き、例4と同様にして、膜厚30nmの、酸化ケイ素マトリクスを含有した透明酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0058】
(例8)
酸化チタン換算濃度1.66重量%のペルオキソポリチタン酸の水溶液15.36gと、例1の水性酸化チタンゾル0.4gとを混合撹拌し、酸化チタン膜形成剤(7)を得た。
例4の形成剤(3)の代わりに形成剤(7)を用いたことを除き、例4と同様にして、膜厚28nmの、透明酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0059】
(例9)
酸化チタン膜を付けない市販のフロートガラスを用意した。
【0060】
以上の例1〜3のガラスについて、防汚特性と光触媒活性を調べた。結果を表1に示す。
防汚特性は、市販水溶性染料の5%エタノール溶液でマーク後、10時〜16時の6時間太陽光下に暴露し、次式で求めた汚染物除去率で評価した。
汚染物除去率(%)=(△E1 −△E2 )/△E1 ×100、ここで△E1 は汚染物マークガラスの膜付きガラスに対する色差、△E2 は汚染物マークガラスを6時間太陽光下に暴露した後の膜付きガラスに対する色差を示す。
【0061】
光触媒活性は、アセトアルデヒドの分解速度から評価した。測定は、密閉容器に所定量のアセトアルデヒドを充填し、ブラックライトを30分間照射した後の濃度を測定して求めた。
【0062】
また、以上の例3〜8について水の接触角を測定した結果を表2に示す。また、呼気を吹きかけた後の曇り具合も観察した。結果を表2に示す。
測定は次の5つの状態のそれぞれについて、協和界面化学(株)製の接触角メーターを用いて行った。
1):ガラスにリノール酸を塗布して1日後、エタノール洗浄して測定。
2):1)につづき、ブラックライトを1時間照射した後に測定。
3):2)につづき、1ヶ月間室内に放置した後に測定。なお、室内は、12時間/日、約600ルックスの照明を照らし、残りの時間は暗所とする。
4):3)につづき、ブラックライトを1時間照射した後に測定。
5):4)につづき、1ヶ月間暗所に置いた後、ブラックライトを1時間照射して測定。
【0063】
表1より明らかなように、本発明の光触媒組成物付きガラスは、触媒活性を下げることなく、高い汚染物除去率とアセトアルデヒド分解速度を持ち、優れた防汚、防臭、大気浄化性能を有する。また表2より明らかなように、本発明の光触媒組成物付きガラス(例4および6)は、光の到達しない状態に置かれた後も再度充分な光活性を呈し、長期にわたって高い親水性表面を維持し、優れた防曇性能も有する。
【0064】
また、以上の評価とは別に、例4および6について、ガラスとの密着性、光触媒組成物の強度、耐久性についても評価した結果、いずれも実用上問題ない充分な耐久性を有することが確認された。
【0065】
【表1】
Figure 0003806998
【0066】
【表2】
Figure 0003806998
【0067】
【発明の効果】
本発明の光触媒組成物は、光のきわめて弱い状態に置かれても光触媒作用に基づく機能が維持される。また、光の到達しない状態に長期に置かれた後も再度充分な光活性を呈し、多くの有機物をその最終段階にまで酸化し、抗菌、防汚、防臭、防曇性等を発現する。
【0068】
本発明の光触媒組成物形成剤を用いると、活性が高く、実用的な光触媒組成物を製造できる。また、透明膜の製造が容易であり、種々の形状への加工も可能である。さらに得られる組成物と基体との密着性も高く、強度、耐久性等にも優れている。

Claims (11)

  1. 結晶性酸化チタン粒子と、酸化チタンのマトリクスと、吸湿性無機化合物粒子とを含有する光触媒組成物であって、前記光触媒組成物の膜厚が5nm以上100μm以下であり、前記結晶性酸化チタン粒子と前記吸湿性無機化合物粒子の平均粒径がそれぞれ100nm以下である光触媒組成物
  2. 前記結晶性酸化チタン粒子の60重量%以上がアナターゼ型である請求項1に記載の光触媒組成物。
  3. 前記結晶性酸化チタン粒子の含有量が光触媒組成物に対し0.5〜90重量%である請求項1または2に記載の光触媒組成物。
  4. 前記酸化チタンのマトリクスは、前記結晶酸化チタン粒子成分のバインダーとしての機能を有する請求項1、2または3に記載の光触媒組成物。
  5. 前記吸湿性無機化合物粒子が酸化ケイ素粒子である請求項1〜いずれか1項に記載の光触媒組成物。
  6. 請求項1〜いずれか1項に記載の光触媒組成物をガラスの表面に施した光触媒組成物付きガラス。
  7. 請求項に記載の光触媒組成物付きガラスをソーラー電池の受光面に用いたソーラー電池。
  8. 酸化チタンゾルと、酸化チタン前駆体化合物と、吸湿性無機化合物粒子を形成するゾルとを含有する光触媒組成物形成剤であって、前記光触媒組成物の膜厚が5nm以上100μm以下であり、前記結晶性酸化チタン粒子と前記吸湿性無機化合物粒子の平均粒径がそれぞれ100nm以下である光触媒組成物形成剤
  9. 前記酸化チタン前駆体化合物が、ペルオキソチタン酸および/またはペルオキソチタン酸の部分縮合体、あるいはチタンのアルコキシド、チタンのアセチルアセトネート、チタンのカルボキシレートおよびチタンのキレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項に記載の光触媒組成物形成剤。
  10. 前記吸湿性無機化合物粒子を形成するゾルが酸化ケイ素ゾルである請求項またはに記載の光触媒組成物形成剤。
  11. 基体上に、請求項8、9または10の光触媒組成物形成剤が塗布されてなる光触媒組成物付き基体。
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