JPH10165811A - 光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体 - Google Patents

光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体

Info

Publication number
JPH10165811A
JPH10165811A JP8335847A JP33584796A JPH10165811A JP H10165811 A JPH10165811 A JP H10165811A JP 8335847 A JP8335847 A JP 8335847A JP 33584796 A JP33584796 A JP 33584796A JP H10165811 A JPH10165811 A JP H10165811A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium oxide
particles
photocatalyst composition
component
photocatalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8335847A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3806998B2 (ja
Inventor
Ryoji Yamada
亮治 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP33584796A priority Critical patent/JP3806998B2/ja
Publication of JPH10165811A publication Critical patent/JPH10165811A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3806998B2 publication Critical patent/JP3806998B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】光のきわめて弱い状態に置かれても光触媒作用
に基づく機能が維持され、また、光の到達しない状態に
長期に置かれた後も再度充分な光活性を呈する、実用的
な光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基
体の提供。 【解決手段】酸化チタン粒子と、酸化チタンのマトリク
スと、吸湿性無機化合物粒子とを含有する光触媒組成物
とその形成剤および光触媒組成物付き基体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化チタン系の光触
媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体に関
する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン光触媒は、光と水の存在下、
その表面で強力な酸化力を発現することが知られてい
る。かかる強力な酸化力は、大気、水質等の浄化や、抗
菌、防汚、防曇といった機能を発現させることから、種
々な分野への利用技術が提案されている。
【0003】しかし、酸化チタン光触媒を有効な光の到
達しない状態に置くと、次第に活性がなくなる。このよ
うな現象は特に光活性の低いものや薄膜状のもの等で顕
著であり、再び光を照射してもほとんど活性を示さなく
なったり、活性発現に長時間の光照射を要するといった
場合も多い。
【0004】このことは、抗菌、防汚、防曇といった、
酸化チタンの薄膜が適用されることの多い利用分野で、
実使用を妨げる大きな要因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光のきわめ
て弱い状態に置かれても光触媒作用に基づく機能が維持
され、また、光の到達しない状態に長期に置かれた後も
再度充分な光活性を呈する、実用的な光触媒組成物とそ
の形成剤および光触媒組成物付き基体の提供を目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸化チタン粒
子と、酸化チタンのマトリクスと、吸湿性無機化合物粒
子とを含有する光触媒組成物を提供する。
【0007】本発明の光触媒組成物は、酸化チタン粒子
(第1成分)と、酸化チタンのマトリクス(第2成分)
および吸湿性無機化合物粒子(第3成分)を含有してな
る。こうした構成とすることで、高い触媒活性とその維
持性、耐久性、優れた形態保持性が得られる。
【0008】本発明の光触媒組成物は、触媒活性の高い
第1成分と活性発現に不可欠な水を供給する第3成分
を、第2成分で固定したもので、それぞれ相互に補完し
あって、高い触媒活性と維持性、および耐久性、形態保
持性を発現する。
【0009】本発明の光触媒組成物の形態は特に限定さ
れず、粒子状、バルク状、膜状などの形態がある。光触
媒の作用部位は前述の如く表面であることから、粒子状
形態が最も効果的であるが、反応の場のみならず反応後
の取扱いも含め、粒子の取扱いは困難である。バルク
状、例えばブロック状では表面の利用効率が低い。成形
加工性、取扱性、利用効率等の点から、膜の形態である
のが最も有効である。
【0010】膜状の形態を取る場合、その膜厚は薄いほ
ど利用効率は高いが、成形性の観点から、膜厚は5nm
以上であることが好ましい。また厚くしても利用効率の
向上度合は小さくなることから、膜厚は100μm以下
であることが好ましい。膜状の本発明の光触媒組成物
は、種々の形状の基体に適用できることから、さまざま
な製品に抗菌、防汚、防臭、防曇性等を付与できる。
【0011】第1成分の酸化チタン粒子は、太陽光等か
らの光を吸収して励起され、光触媒活性発現に寄与す
る。本発明における酸化チタン粒子は、一次粒子に近い
形状および/または軽く凝集した形状で存在し、高い触
媒活性を実現している。
【0012】第1成分の酸化チタン粒子は結晶性である
ことが好ましい。特に、酸化チタン粒子の60重量%以
上がアナターゼ型であることが好ましい。第1成分の酸
化チタン粒子中には、40%を超えない範囲でルチル型
結晶を含有しうる。ルチル型結晶は、アナターゼ型より
低いエネルギの光でも励起されることから、ルチル相に
形成された励起子がアナターゼ相に作用し、本発明の光
触媒組成物をより高活性にできるものと期待される。
【0013】第1成分の酸化チタン粒子は、平均粒径が
1〜300nmであることが好ましい。1nmより小さ
いと相互作用を持つ光の波長域が小さくなり、太陽エネ
ルギでは活性を発現しがたくなる。一方、300nmよ
りも大きいと、強靭な光触媒組成物の成形体が得にくく
なる。なお、本発明における「平均粒径」とは、一次粒
子と凝集粒子との混合物の平均粒径の意である。
【0014】第1成分の酸化チタン粒子の含有量は、光
触媒組成物に対し0.5〜90重量%であることが好ま
しい。0.5重量%未満では光エネルギを有効に取込め
ず、90重量%超では、光のきわめて弱い状態に置いた
場合に光触媒作用に基づく機能が維持されない傾向にあ
り、また耐久性が劣る傾向にある。
【0015】第2成分の酸化チタンは、第1成分の酸化
チタン粒子と第3成分の酸化ケイ素粒子を固定して形態
を保持するバインダーの働きを担うとともに、光触媒効
果の発現にも寄与する。
【0016】通常、第2成分における酸化チタンは、ゾ
ル・ゲル法で形成された薄膜同様、太陽光等から得られ
る光エネルギではほとんど触媒作用を示さないものと考
えられる。しかし本発明においては、ミクロに分散され
た第1成分の酸化チタン粒子に吸収された光エネルギの
一部が第2成分の酸化チタンに伝達され、これが励起エ
ネルギとなって触媒活性を発現させているものと判断さ
れる。第2成分の酸化チタンの含有量は、優れた形態保
持性が得られることから、光触媒組成物に対し2重量%
以上であることが好ましい。
【0017】第3成分の吸湿性無機化合物粒子の含有量
は、光触媒組成物に対し0.5〜90重量%であること
が好ましい。0.5重量%未満では、水の保持と供給を
有効に行えず、90重量%超では光活性が阻害される傾
向にある。第3成分の吸湿性無機化合物粒子は、粒子の
形状で適用されるため光触媒活性を担う酸化チタン相に
及ぼす悪影響がほとんどない。
【0018】第3成分の吸湿性無機化合物粒子として
は、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化
鉄、酸化銅、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化セリウ
ム、ゼオライト、塩化カルシウムなどの粒子が挙げられ
る。
【0019】透明膜の製造が容易で、光触媒組成物中に
均質に配置されて酸化チタン相と強靭な複合体を形成し
うることから、第3成分は金属酸化物粒子であることが
好ましい。特に良好な結果が得られることから酸化ケイ
素粒子が好ましい。
【0020】また、第1成分の酸化チタン粒子と第3成
分の吸湿性無機化合物粒子との合計量は、光触媒組成物
に対して98重量%以下であるのが好ましい。98重量
%超では、光活性と耐久性とが劣る傾向にある。
【0021】本発明の光触媒組成物には、その他目的に
応じ、Pd、Pt、といった金属類、V(IV)、Mn
(III )、Fe(III )、Ni(II)、Mo(V)、R
u(III )、Rh(III )、Re(V)、Os(III )
といった金属イオン類、酸化タングステン、酸化イット
リウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムと
いった金属酸化物類等を添加できる。
【0022】本発明の光触媒組成物を表面に施したガラ
ス、セラミックス、タイル、セメント、コンクリート等
は、窓、鏡、壁、屋根、床、天井、内装材等に用いられ
る。汚れの付着や藻の発生を防止できることから、ソー
ラー電池、ソーラー温水器の受光面に用いるのも効果的
である。さらにガラスビーズ、バルーン等の表面に施
し、水中、水面に設置して、水の浄化等に用いるのも有
効である。
【0023】本発明は、また、酸化チタンゾルと、酸化
チタン前駆体化合物と、吸湿性無機化合物粒子を形成す
るゾルとを含有する光触媒組成物形成剤を提供する。酸
化チタンゾルは、前述した酸化チタン粒子の原料とな
る。酸化チタンゾルとしては、特に限定されず、水や有
機溶剤等を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散
されたものが用いられる。酸化チタン粒子としては、ア
ナターゼ、ルチル等の結晶質、または非晶質が用いられ
る。
【0024】例えば水を分散媒とした水性酸化チタンゾ
ルは、製造方法も公知で容易に製造でき、チタニアゾル
として広く市販されており、好ましく用いられる。後述
する酸化チタン前駆体化合物との相性から、水性酸化チ
タンゾルを使用できない場合がある。このような場合に
は、相関移動活性を有する化合物で水性酸化チタンゾル
を処理して製造される変性酸化チタンゾルを使用するこ
とが好ましい。また、酸化チタン粒子表面を有機物等で
修飾し有機溶剤に分散させた有機系酸化チタンゾルも使
用できる。
【0025】酸化チタンゾルは、平均粒径が1〜300
nmの酸化チタン粒子が分散されてなる酸化チタンゾル
であることが好ましい。平均粒径が1nmより小さいと
相互作用を持つ光の波長域が小さくなり、太陽光エネル
ギでは活性を示しにくくなる。300nmより大きいと
高い活性を得にくくなる。特に、1〜100nmが好ま
しい。
【0026】酸化チタン前駆体化合物としては、最終的
に酸化チタンとなるものであれば特に限定されない。取
扱いの容易な点から、水や有機溶剤等に、可溶または分
散可能なものであることが好ましい。酸化チタン前駆体
化合物は、その溶液として、および/またはその分散液
として加えられることが好ましい。酸化チタン前駆体化
合物は、前述した酸化チタンのマトリクスの原料とな
る。酸化チタンのマトリクスは、本発明の光触媒組成物
に特定の連続した形状を付与する役割を担ううえ、粒子
成分のバインダーとしての機能をも担う。
【0027】したがって酸化チタン前駆体化合物として
は、成形加工性に優れ、かつ、強靭な成形体を形成でき
るものが好ましい。かかる理由から、本発明の酸化チタ
ン前駆体化合物としては、ペルオキソチタン酸および/
またはペルオキソチタン酸の部分縮合体であることが好
ましい。また、同様の理由から、チタンのアルコキシ
ド、チタンのアセチルアセトネート、チタンのカルボキ
シレートおよびチタンのキレートからなる群から選ばれ
る1種以上も好ましい。
【0028】吸湿性無機化合物粒子を形成するゾルは、
前述した吸湿性無機化合物粒子の原料となる。吸湿性無
機化合物粒子を形成するゾルを構成する酸化物粒子とし
ては、吸湿性無機化合物粒子として列記した前述の酸化
物の粒子が用いられる。吸湿性無機化合物粒子として酸
化ケイ素粒子が好ましい理由と同じ理由から、吸湿性無
機化合物粒子を形成するゾルとしては、酸化ケイ素ゾル
が好ましい。
【0029】酸化ケイ素を水や有機溶媒に分散させたゾ
ルは公知であり、広く市販され、容易に入手できる。本
発明には、水性酸化ケイ素ゾルや、オルガノ酸化ケイ素
ゾルが好ましく用いられる。
【0030】酸化ケイ素ゾルは、平均粒径1〜300n
mの酸化ケイ素粒子が分散されてなる酸化ケイ素ゾルが
好ましい。粒径が1nmより小さいと水を吸着して保持
する力が弱まり、光触媒である酸化チタンに充分な水を
供給できにくくなる。特に5nm以上が好ましい。一
方、粒径を大きくしても効率は悪くなる。すなわち、酸
化ケイ素粒子に捕らえられた水が酸化チタンと相互作用
するのはその界面であるから、粒径は小さいほど相互作
用を持つ機会が増加する。したがって粒径は300nm
以下が好ましい。特に、100nm以下が好ましい。
【0031】本発明の光触媒組成物形成剤は、酸化チタ
ン前駆体化合物と、酸化チタンゾルと、酸化ケイ素ゾル
とを混合して製造される。混合は、pHを調整する等の
処置を施すことにより、容易に行える。
【0032】また、pHや濃度の大きく異なる場合であ
っても、1つの成分を撹拌しながら他の1つの成分を徐
々に加え、その後同様にして残りの1つの成分を加える
ことにより、ゲル化等の不都合を起こすことなく混合で
きる。また、組合せによっては3つの成分を一度に混合
した後、1〜2分間撹拌することでも、不都合なく製造
できる。
【0033】本発明の光触媒組成物形成剤には、他の成
分を加えることができる。界面活性剤類、消泡剤類、粘
度調整剤類等の添加は、一般に成形加工性を高める目的
から行われており、本発明にも有効である。
【0034】また、メタノール、エタノール、プロパノ
ール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の
多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエー
テル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル等の
グリコール誘導体類、アセトン、メチルエチルケトン等
のケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル等のエステル
類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミ
ド類、ジメチルアミン、トリエタノールアミン等のアミ
ン類、酸類、アルカリ類、ジアセトンアルコール、ジメ
チルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ニトロベ
ンゼン、ポリエチレングリコールなどを必要に応じて添
加できる。
【0035】基体上に、前記の光触媒組成物形成剤が塗
布されることで光触媒組成物付き基体が得られる。塗布
方法としては、スプレーコート、ディップコート、スピ
ンコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷等が挙げられ
る。通常は、塗布後、適宜乾燥、熱処理が施される。
【0036】本発明の光触媒組成物形成剤を用いると薄
膜形成が容易となり、得られる薄膜の触媒活性も高い。
また、透明膜や半透明膜も容易に成形できるため、光エ
ネルギを有効に取込むことができる。
【0037】透明膜は、第1成分の酸化チタン粒子の粒
径、第3成分の酸化ケイ素粒子の粒径、光触媒組成物形
成剤のpH、製膜プロセス等を制御することで得ること
ができる。
【0038】例えば、第1成分と第3成分の2つの粒子
成分の平均粒径をそれぞれ100nm以下に保持するこ
とにより、透明膜を調製できる。かかる透明膜は、透明
材料からなる成形体にも適用でき、基材の持つ外観、表
情を損なうことなく、新たな機能を付与できる。透明材
料としては、ガラスが特に好ましい。
【0039】
【作用】本発明の光触媒組成物は、太陽光等の一般住環
境下で得られる光エネルギで励起され、高い触媒活性を
示す。光エネルギ源としては、一般の室内照明灯である
蛍光灯の発する光においても有効である。さらにブラッ
クライト、フィラメントランプ、キセノンランプ、水銀
灯からの光等に対しても有効である。
【0040】本発明の光触媒組成物は、光エネルギの取
込みと触媒活性作用を機能的に結び付け、高効率の光触
媒作用を発現している。
【0041】触媒がその機能を発現するためには、a)
光エネルギを吸収する、b)吸収したエネルギで励起子
を形成する、c)励起子は反応の場すなわち表面に移動
し、水と相互作用してその触媒機能を発現する、といっ
た経路を経る。酸化チタンは現在最も実用的で優れた光
触媒であると考えられている。
【0042】しかもバンドギャップに相当するエネルギ
を持つ光の波長が400nm前後であることから、酸化
チタン微粒子は、太陽光からも充分な励起エネルギを吸
収し、形成された励起子が表面に移動して触媒作用を発
現する。
【0043】本発明の光触媒組成物を構成する第1成分
である酸化チタン粒子は、酸化チタン粒子の持つ光活性
を損なうことなく固定化されたもので、かかる作用を担
い、きわめて高い触媒効果を発揮する。
【0044】第2成分である酸化チタンのマトリクス
は、第1成分である酸化チタン粒子を利用しようとする
位置、形態に固定する作用を担っている。しかも第2成
分の酸化チタンのマトリクスは、従来有効にその触媒活
性を引出せなかった薄膜形状にあっても、高活性を発現
する。
【0045】これは、第1成分の酸化チタン粒子が薄膜
中の第2成分の酸化チタンと相互作用し、活性化させた
ためと判断される。すなわち前記の経路c)における励
起子は、粒子/膜界面に移動して膜中の第2成分の酸化
チタンに作用し、新たな励起子を形成する。かかる励起
子が膜表面に移動し、高い触媒活性を発現する。
【0046】第3成分の酸化ケイ素粒子に代表される吸
湿性無機化合物粒子は、酸化チタン光触媒が活性を発現
するのに必須である水を確保し、常に光触媒へ水を供給
するように働く。このため、光触媒が薄膜状であったり
光量の少ない状況に置かれた場合であっても、常に高い
触媒活性を発現できるよう作用する。
【0047】特に吸湿性酸化物がマトリクス状すなわち
連続膜ではなく、粒子状であることが重要である。一般
に酸化ケイ素などの薄膜をゾル・ゲル法等で調製する
と、膜内に気泡が残存することが知られている。したが
って、かかる薄膜も吸湿性を持ちうると判断される。し
かし、光触媒機能を担うのは表面の酸化チタンであるか
ら、酸化ケイ素薄膜が表面にあっては、触媒活性は阻害
されてしまう。これに対し粒子状の酸化ケイ素は膜中に
均質に配置され、表面に露出するのはごく一部である。
したがって添加された酸化ケイ素粒子が光活性を阻害す
ることはない。
【0048】
【実施例】例1、4、6が実施例に相当し、それ以外は
比較例に相当する。
【0049】(例1)酸化チタン換算濃度1.72重量
%のペルオキソポリチタン酸の水溶液14.83gと、
平均粒径10nm、pH10、酸化チタン換算濃度1
5.1重量%の水性酸化チタンゾル2.81gと、平均
粒径20nm、pH9、酸化ケイ素換算濃度30.5重
量%の水性酸化ケイ素ゾル0.56gとを混合撹拌し、
本発明の光触媒組成物形成剤(1)を得た。この(1)
を市販のフロートガラスにスピンコートして100℃で
乾燥後、500℃で10分間焼成して、膜厚120nm
の、酸化ケイ素粒子を含有した透明酸化チタン膜付きガ
ラスを得た。
【0050】(例2)酸化チタン換算濃度1.72重量
%のペルオキソポリチタン酸の水溶液14.83gと、
平均粒径10nm、pH10、酸化チタン換算濃度1
5.1重量%の水性酸化チタンゾル3.94gとを混合
撹拌し、光触媒組成物形成剤(2)を得た。例1の形成
剤(1)の代わりに形成剤(2)を用いたことを除き、
例1と同様にして、膜厚110nmの、透明酸化チタン
膜付きガラスを得た。
【0051】(例3)例1の(1)の代わりに酸化チタ
ン換算濃度1.72重量%のペルオキソポリチタン酸の
水溶液のみを用いたことを除き、例1と同様にして、膜
厚100nmの、透明酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0052】(例4)平均粒径7nm、pH1.5、酸
化チタン換算濃度30重量%の水性酸化チタンゾルを、
平均分子量600のポリエチレングリコールで処理し
て、酸化チタン換算濃度20重量%の変性酸化チタンゾ
ルを得た。次に、チタンブトキシド340g、アセチル
アセトン200g、ヘキシレングリコール264gを混
合撹拌した後、エタノールを加えて、酸化チタン換算濃
度8重量%の、酸化チタンの前駆体(キレート)溶液を
得た。
【0053】前記変性酸化チタンゾル0.4gと、前記
酸化チタンの前駆体溶液10.5g、および、イソプロ
パノールを分散媒とした、平均粒径20nm、酸化ケイ
素換算濃度30.1重量%のオルガノ酸化ケイ素ゾル
0.27gとを混合撹拌し、本発明の光触媒組成物形成
剤(3)を得た。
【0054】この形成剤(3)を市販のフロートガラス
にスピンコートして100℃で乾燥後、600℃で焼成
して、膜厚35nmの、酸化ケイ素粒子を含有した透明
酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0055】(例5)例4の変性酸化チタンゾル0.4
gと酸化チタンの前駆体溶液10.5gを混合撹拌し、
酸化チタン膜形成剤(4)を得た。例4の形成剤(3)
の代わりに形成剤(4)を用いたことを除き、例4と同
様にして、膜厚37nmの、透明酸化チタン膜付きガラ
スを得た。
【0056】(例6)酸化チタン換算濃度1.66重量
%のペルオキソポリチタン酸の水溶液15.36gと、
例1の水性酸化チタンゾル0.2gと、および、メタノ
ールを分散媒とした、平均粒径20nm、酸化ケイ素濃
度30.3重量%のオルガノ酸化ケイ素ゾル0.15g
とを混合撹拌し、本発明の光触媒組成物形成剤(5)を
得た。例4の形成剤(3)の代わりに形成剤(5)を用
いたことを除き、例4と同様にして、膜厚29nmの、
酸化ケイ素粒子を含有した透明酸化チタン膜付きガラス
を得た。
【0057】(例7)酸化チタン換算濃度1.66重量
%のペルオキソポリチタン酸の水溶液15.36gと、
例1の水性酸化チタンゾル0.2gと、および、テトラ
メトキシシラン0.12gとを混合撹拌し、酸化チタン
膜形成剤(6)を得た。例4の形成剤(3)の代わりに
形成剤(6)を用いたことを除き、例4と同様にして、
膜厚30nmの、酸化ケイ素マトリクスを含有した透明
酸化チタン膜付きガラスを得た。
【0058】(例8)酸化チタン換算濃度1.66重量
%のペルオキソポリチタン酸の水溶液15.36gと、
例1の水性酸化チタンゾル0.4gとを混合撹拌し、酸
化チタン膜形成剤(7)を得た。例4の形成剤(3)の
代わりに形成剤(7)を用いたことを除き、例4と同様
にして、膜厚28nmの、透明酸化チタン膜付きガラス
を得た。
【0059】(例9)酸化チタン膜を付けない市販のフ
ロートガラスを用意した。
【0060】以上の例1〜3のガラスについて、防汚特
性と光触媒活性を調べた。結果を表1に示す。防汚特性
は、市販水溶性染料の5%エタノール溶液でマーク後、
10時〜16時の6時間太陽光下に暴露し、次式で求め
た汚染物除去率で評価した。 汚染物除去率(%)=(△E1 −△E2 )/△E1 ×1
00、ここで△E1 は汚染物マークガラスの膜付きガラ
スに対する色差、△E2 は汚染物マークガラスを6時間
太陽光下に暴露した後の膜付きガラスに対する色差を示
す。
【0061】光触媒活性は、アセトアルデヒドの分解速
度から評価した。測定は、密閉容器に所定量のアセトア
ルデヒドを充填し、ブラックライトを30分間照射した
後の濃度を測定して求めた。
【0062】また、以上の例3〜8について水の接触角
を測定した結果を表2に示す。また、呼気を吹きかけた
後の曇り具合も観察した。結果を表2に示す。測定は次
の5つの状態のそれぞれについて、協和界面化学(株)
製の接触角メーターを用いて行った。 1):ガラスにリノール酸を塗布して1日後、エタノー
ル洗浄して測定。 2):1)につづき、ブラックライトを1時間照射した
後に測定。 3):2)につづき、1ヶ月間室内に放置した後に測
定。なお、室内は、12時間/日、約600ルックスの
照明を照らし、残りの時間は暗所とする。 4):3)につづき、ブラックライトを1時間照射した
後に測定。 5):4)につづき、1ヶ月間暗所に置いた後、ブラッ
クライトを1時間照射して測定。
【0063】表1より明らかなように、本発明の光触媒
組成物付きガラスは、触媒活性を下げることなく、高い
汚染物除去率とアセトアルデヒド分解速度を持ち、優れ
た防汚、防臭、大気浄化性能を有する。また表2より明
らかなように、本発明の光触媒組成物付きガラス(例4
および6)は、光の到達しない状態に置かれた後も再度
充分な光活性を呈し、長期にわたって高い親水性表面を
維持し、優れた防曇性能も有する。
【0064】また、以上の評価とは別に、例4および6
について、ガラスとの密着性、光触媒組成物の強度、耐
久性についても評価した結果、いずれも実用上問題ない
充分な耐久性を有することが確認された。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】本発明の光触媒組成物は、光のきわめて
弱い状態に置かれても光触媒作用に基づく機能が維持さ
れる。また、光の到達しない状態に長期に置かれた後も
再度充分な光活性を呈し、多くの有機物をその最終段階
にまで酸化し、抗菌、防汚、防臭、防曇性等を発現す
る。
【0068】本発明の光触媒組成物形成剤を用いると、
活性が高く、実用的な光触媒組成物を製造できる。ま
た、透明膜の製造が容易であり、種々の形状への加工も
可能である。さらに得られる組成物と基体との密着性も
高く、強度、耐久性等にも優れている。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化チタン粒子と、酸化チタンのマトリク
    スと、吸湿性無機化合物粒子とを含有する光触媒組成
    物。
  2. 【請求項2】吸湿性無機化合物粒子が酸化ケイ素粒子で
    ある請求項1の光触媒組成物。
  3. 【請求項3】酸化チタンゾルと、酸化チタン前駆体化合
    物と、吸湿性無機化合物粒子を形成するゾルとを含有す
    る光触媒組成物形成剤。
  4. 【請求項4】吸湿性無機化合物粒子を形成するゾルが酸
    化ケイ素ゾルである請求項3の光触媒組成物形成剤。
  5. 【請求項5】基体上に、請求項3または4の光触媒組成
    物形成剤が塗布されてなる光触媒組成物付き基体。
JP33584796A 1996-12-16 1996-12-16 光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体 Expired - Fee Related JP3806998B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33584796A JP3806998B2 (ja) 1996-12-16 1996-12-16 光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33584796A JP3806998B2 (ja) 1996-12-16 1996-12-16 光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10165811A true JPH10165811A (ja) 1998-06-23
JP3806998B2 JP3806998B2 (ja) 2006-08-09

Family

ID=18293066

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33584796A Expired - Fee Related JP3806998B2 (ja) 1996-12-16 1996-12-16 光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3806998B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001259435A (ja) * 2000-03-24 2001-09-25 Seiwa Kogyo Kk 光触媒担持体
WO2002081383A1 (fr) * 2001-04-06 2002-10-17 Kazuo Takaku Eau a rayonnement infrarouge lointain et son procede de fabrication
JP2009275257A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Katsuyuki Nakano 光カソード防食剤および光カソード防食剤がコートされた金属材料
JP4663065B2 (ja) * 2000-06-09 2011-03-30 日本曹達株式会社 光触媒コーティング剤及び光触媒担持構造体
JP2014188417A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Panahome Corp 光触媒組成物の製造方法および光触媒体の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001259435A (ja) * 2000-03-24 2001-09-25 Seiwa Kogyo Kk 光触媒担持体
JP4663065B2 (ja) * 2000-06-09 2011-03-30 日本曹達株式会社 光触媒コーティング剤及び光触媒担持構造体
WO2002081383A1 (fr) * 2001-04-06 2002-10-17 Kazuo Takaku Eau a rayonnement infrarouge lointain et son procede de fabrication
JP2009275257A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Katsuyuki Nakano 光カソード防食剤および光カソード防食剤がコートされた金属材料
JP2014188417A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Panahome Corp 光触媒組成物の製造方法および光触媒体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3806998B2 (ja) 2006-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5547823A (en) Photocatalyst composite and process for producing the same
US5897958A (en) Modified titanium oxide sol, photocatalyst composition and photocatalyst composition-forming agent
JP3559892B2 (ja) 光触媒皮膜およびその形成方法
JP3690864B2 (ja) 光触媒体の製造法
JP3356437B2 (ja) 光触媒、その製造法及び多機能部材
JP3796403B2 (ja) 光触媒性酸化物含有組成物、薄膜および複合体
WO2018110173A1 (ja) 光触媒材及び光触媒塗料組成物
JP3791067B2 (ja) 光触媒組成物およびガラス物品
JPH10167727A (ja) 変性酸化チタンゾル、光触媒組成物及びその形成剤
JP3806998B2 (ja) 光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体
KR100784137B1 (ko) 상온 경화형 이산화티탄계 광촉매 조성물 및 코팅방법
JP3027739B2 (ja) 光触媒体およびその製造方法
CN100450622C (zh) 透明膜形成组合物及其应用
JP2009263651A (ja) 光触媒コーティング組成物
JP2004202335A (ja) 可視光応答性を有する光触媒複合粉体
JPH10212120A (ja) 酸化チタン膜の製造方法及び酸化チタン分散液組成物
JP2004154779A (ja) 光触媒皮膜を塗布した基材および光触媒皮膜を基材上に形成する方法
JP2004082088A (ja) 光触媒および光触媒材料
JP2005219966A (ja) 酸化チタン溶液の製造方法および酸化チタン溶液ならびに光触媒コーティング材料
TWI239269B (en) Interior design material or indoor furniture with titanium oxide
CN100572421C (zh) 烃氧基金属的水解缩聚溶液和由其制备的透明膜
JP4034885B2 (ja) 光触媒性塗料組成物
JP4098005B2 (ja) 光触媒および光触媒材料
JP2005126314A (ja) 酸化チタン溶液の製造方法および酸化チタン溶液ならびに光触媒コーティング材料
JP2000334309A (ja) 光触媒

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050823

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051018

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060425

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060508

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees