JP4034885B2 - 光触媒性塗料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒膜の形成に利用するための光触媒性塗料組成物、光触媒膜を形成した物品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化チタンにそのバンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射すると、光励起し、酸化チタン粒子表面に正孔と電子が発生する。特に酸化チタン粒子表面に生じた正孔は非常に強力な酸化力を有していることから、有害物質、悪臭物質、刺激性物質、環境汚染物質、黴、藻類、細菌などの有害物を除去できる。このように光を照射すると価電子帯の電子が励起する物質を光触媒と呼び、光励起により発現する前記の有害物除去機能などを一般に光触媒機能と呼び、近年研究が盛んに行われている。さらに、この光触媒機能を利用して、物品の表面を親水性にし、汚れを付着しにくくしたり、曇りを防止したりすることもでき、光触媒の適用場面が広がりつつある。
【0003】
光触媒は、それぞれの用途に応じて、粉体の状態、成形体の状態、光触媒を分散したゾルの状態、物品の表面に固定した状態で用いられるが、反応系からの飛散や流出を防止できるなどの取扱いのよさから物品の表面に固定した状態で用いられる場合が多い。さらに、前記の親水化機能を利用する場合には、物品の表面に光触媒膜を均一に形成して固定化する必要がある。光触媒を固定化するには、光触媒粒子をバインダ、溶媒に分散させた光触媒性塗料組成物を物品の表面に塗布したり、吹き付けたりする方法が、光触媒膜を均一に形成することができるため好ましい方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
光触媒粒子、バインダ、溶媒とを含有してなる前記の光触媒性塗料組成物を用いて光触媒膜を形成すると、光触媒粒子がバインダで覆われやすく、本来の光触媒機能を発現できにくい場合があり、さらなる改善が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、より一層優れた光触媒機能を発現できる光触媒膜を作成するために種々検討した結果、ジカルボン酸およびその誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物と、光触媒粒子と、バインダと、溶媒とを含有させて光触媒性塗料組成物とすると、所望の光触媒膜が得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、優れた光触媒機能を有する光触媒膜を形成する光触媒性塗料組成物を提供することにある。さらには、その光触媒性塗料組成物を用いて光触媒膜を形成してなる物品、およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、ジカルボン酸のエステル化物と、光触媒粒子と、バインダと、溶媒とを含有させてなることを特徴とする光触媒性塗料組成物である。本発明の光触媒性塗料組成物は、ジカルボン酸のエステル化物、光触媒粒子、バインダ、溶媒を常法によりそれぞれ混合して製造することができる。
【0007】
光触媒粒子とは、そのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光を照射すると光触媒機能を発現する粒子のことであり、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロンチウムなどの公知の金属化合物半導体を、単一または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に、高い光触媒機能を有し、化学的に安定であり、かつ、無害である酸化チタンが好ましい。この酸化チタンの平均粒子径は、1〜500nmの範囲が好ましく、1〜100nmの範囲がより好ましく、1〜50nmの範囲がさらに好ましく、1〜10nmの範囲が優れた光触媒機能を有するためもっとも好ましい。さらに、光触媒粒子の内部および/またはその表面に、第二成分として、V、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、PtおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属および/または金属化合物を含有させると、一層高い光触媒機能を有するため好ましい。前記の金属化合物としては、例えば、金属の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、さらには金属イオンなどを含む。第二成分の含有量はその物質により適宜設定できる。前記の金属および/または金属化合物を含有させる光触媒粒子としては、酸化チタンが好ましい。光触媒粒子の配合量は、光触媒性塗料組成物中に0.01〜10重量%程度であり、0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましく、0.1〜1重量%がさらに好ましい。光触媒粒子の配合量が上記範囲より少ないと、光触媒機能が低下しやすく、また、上記範囲より多いと光触媒膜を形成しにくくなるため好ましくない。
【0008】
本発明において用いる光触媒粒子は、公知の方法で得られる。例えば酸化チタンを得る方法としては、▲1▼硫酸チタン、硫酸チタニル、塩化チタン、チタンアルコキシドなどのチタン化合物を、必要に応じて核形成用種子の存在下に、加熱加水分解する方法、▲2▼必要に応じて核形成用種子の存在下に、硫酸チタン、硫酸チタニル、塩化チタン、チタンアルコキシドなどのチタン化合物にアルカリを添加し、中和する方法、▲3▼塩化チタンやチタンアルコキシドなどを気相酸化する方法、▲4▼前記▲1▼、▲2▼の方法で得られた酸化チタンを焼成あるいは水熱処理する方法などがあり、特に、前記▲1▼の方法で得られた酸化チタンは、光触媒機能が高いため好ましい。本発明において酸化チタンとは、酸化チタンのほか、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタンなどと一般に呼ばれているものを含み、その結晶型は問わない。光触媒粒子の内部および/またはその表面に、第二成分として、V、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、PtおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属および/または金属化合物を含有させるには、光触媒粒子を製造する際に該金属および/または該金属化合物を添加し、吸着させる方法、光触媒粒子を製造した後に該金属および/または該金属化合物を添加し、吸着させ、必要に応じて加熱したり、あるいは必要に応じて還元したりする方法を用いることができる。
【0009】
光触媒粒子は、ゾルの状態のものを用いると、平滑な光触媒膜や透明性の高い光触媒膜が得られやすいため、好ましい。例えば、酸化チタンゾルを得るには、(1)含水酸化チタンなどの酸化チタンを一塩基酸およびその塩で解膠処理したり、(2)四塩化チタンを低温の水に添加した後透析したり、(3)塩酸水溶液にチタンアルコキシドを添加したりして得ることができる。上記(1)の方法において、含水酸化チタンは、例えば硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン等の水溶性無機チタン化合物などのチタン化合物を加熱加水分解したり、チタン化合物水溶液に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などのアルカリを添加し、中和したりして得ることができる。加水分解して得られる含水酸化チタンは、普通このものをアルカリで中和し、固液分離、洗浄、脱水して、内部に残存している硫酸根をできるだけ除去した後この脱水物に塩酸、硝酸、酢酸、塩素酸、クロル酸などの一塩基酸またはその塩を加えて解膠処理する。解膠処理で生成する酸化チタンゾルは、一塩基酸またはその塩を分散安定化剤として含有しており、通常pH3以下の酸性を示す。酸化チタン粒子の粒子径は、加熱加水分解を行ったり、中和温度を下げたり、中和反応を遅くしたりすることによって、より微細なものとすることができる。このようにして得られた酸性域のpHで安定な酸化チタンゾルに、アルカリを徐々に加えpHを上げると、中性域、アルカリ性域のpHで安定な酸化チタンゾルが得られる。得られた中性域、アルカリ性域の酸化チタンゾルから、必要に応じて、不純物を除去することもできる。
【0010】
バインダとしては、例えば、アルキルシリケート、ハロゲン化ケイ素およびこれらの部分加水分解物などの加水分解性ケイ素化合物を加水分解して得られた生成物、シリカ、コロイダルシリカ、水ガラス、オルガノポリシロキサンなどのケイ素化合物、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどのリン酸塩、重リン酸塩、セメント、石灰、セッコウ、ほうろう用フリット、グラスライニング用うわぐすり、プラスターなどの無機系バインダ、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマーなどの有機系バインダなどのバインダの一種または二種以上を配合してもよい。バインダは、光触媒の光触媒機能により劣化したり、分解したりするため、使用場面、光触媒機能の程度や用途に応じてバインダの種類を適宜選択する必要がある。バインダとしては、光触媒粒子が持つ光触媒機能による劣化、分解の速度が極めて遅いことから、アルキルシリケートなどの加水分解性ケイ素化合物の加水分解生成物、シリコーン系ポリマー、フッ素系ポリマーが好ましい。アルキルシリケートとは、一般式としてSin n-1 (OR)2n+2(但しSiはケイ素、Oは酸素、Rはアルキル基を示す。)で表される化合物をいい、nが1〜6であって、Rは炭素数が1〜4のアルキル基であるものがケイ素の割合が多い点でより好ましい。バインダの配合量は、固形分に換算して、光触媒粒子に対して10〜2000重量%程度であり、25〜1000重量%が好ましく、25〜500重量%がより好ましく、25〜250重量%がさらに好ましい。バインダの配合量が上記範囲より少ないと光触媒膜としたとき光触媒が脱離しやすく、また、上記範囲より多いと光触媒機能が低下しやすくなるため好ましくない。
【0011】
溶媒としては、無機溶媒または有機溶媒、それらの混合物を用いることができる。無機溶媒としては水が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、ケトン類などを用いることができる。取扱い性、塗工性の点からアルコールを含有してなるものが好ましい。溶媒の配合量は、作業性に応じて適宜設定することができる。
【0012】
本発明の光触媒性塗料組成物には、ジカルボン酸およびその誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有させる。ジカルボン酸とは、分子内にカルボキシル基COOHを二個持つ有機化合物であり、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などを用いることができる。ジカルボン酸誘導体とは、前記のジカルボン酸のエステル化物、ジカルボン酸の塩、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸アジド、ジカルボン酸アミド、ジカルボン酸イミドなどのジカルボン酸に小部分の構造上の変化があってできる化合物のことであり、例えば、ジカルボン酸メチル、ジカルボン酸エチル、ジカルボン酸プロピル、ジカルボン酸ブチル、ジカルボン酸ナトリウム、ジカルボン酸アンモニウムなどを用いることができる。また、ジカルボン酸またはその誘導体を含有した商品、例えば、三種のジカルボン酸エステルを配合した商品名ローディアソルブ(ロ─ヌ・プーラン ジャパン社製)を用いてもよい。ジカルボン酸およびその誘導体の含有量は、光触媒性塗料組成物中の光触媒粒子に対して0.5〜500重量%程度であり、5〜500重量%が好ましく、10〜500重量%がより好ましく、25〜250重量%がさらに好ましい。ジカルボン酸およびその誘導体の含有量が上記範囲より少ないと添加効果が発現しにくく、また、上記範囲より多くしてもそれ以上の顕著な効果が認められにくいため好ましくない。なお、ジカルボン酸またはその誘導体を含有することによる作用機構は、未だに明らかになっていないが、溶媒の蒸発速度を遅くしたり、酸触媒としてバインダの硬化速度を促進したりする作用があると考えられ、ジカルボン酸またはその誘導体を含有した光触媒性塗料組成物を用いて作成した光触媒膜が多孔性になることにより、光触媒機能、特に親水化機能が改善できると推察している。なお、本発明の光触媒性塗料組成物には、ジカルボン酸およびその誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物、光触媒粒子、バインダ、溶媒以外に、分散剤、界面活性剤、硬化剤、架橋剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
【0013】
次に、本発明は、前記の光触媒性塗料組成物を用いて物品の表面上に光触媒膜を形成してなることを特徴とする物品である。物品としては、セラミックス、ガラスなどの無機材質の物品、プラスチック、ゴム、木、紙などの有機材質の物品、アルミニウムなどの金属、綱などの合金などの金属材質の物品を用いることができる。物品の大きさや形には特に制限されない。物品上に形成される光触媒膜の膜厚は、用途に応じて適宜設定することができ、例えば、0.01〜100μm程度の膜厚とすることができる。本発明の光触媒性塗料組成物を用いて、物品上に光触媒膜を形成するには、物品に光触媒性塗料組成物を塗布したりあるいは吹き付けたりして行うことができ、具体的には、例えば、含浸法、ディップコーティング法、スピナーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、リバースロールコーティング法、刷毛塗り法、スポンジ塗り法などの通常の方法で塗布したり、あるいは、スプレーコーティング法などの通常の方法で吹き付けたりすることができる。このようにして塗布あるいは吹き付けた後、乾燥または焼成して溶媒を除去する。乾燥または焼成の温度は、700℃より低い温度で行うのが好ましく、室温〜500℃の温度で行うのがより好ましい。この場合、700℃より高いと光触媒機能が低下しやすくなるため好ましくない。乾燥、焼成の際に、ジカルボン酸およびその誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の含有した化合物は、分解したり、蒸発したりする場合がある。さらに、必要に応じて、用いたバインダを固化するために、例えば紫外線照射などの方法を用いてもよい。なお、物品に光触媒性塗料組成物を塗布したりあるいは吹き付けしたりする前に、必要に応じて、前記の有機系バインダ、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂などの有機系バインダや前記の無機系バインダをプライマーあるいは塗装として予め物品に塗布したりあるいは吹き付けしたりしてもよい。
【0014】
本発明の光触媒膜を形成した物品は、光触媒として有用である。光触媒のバンドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光を照射させることにより、その回りに存在する有毒物質、悪臭物質、刺激性物質、環境汚染物質、菌、黴、藻類、細菌などの有害物を除去できるほか、物品の表面を親水性にし、汚れを防止したり、曇りを防止することができる。照射する光としては、紫外線を含有した光などが挙げられ、例えば、太陽光や蛍光灯、ブラックライト、ハロゲンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀灯などの光を用いることができる。特に、光触媒として酸化チタンを用いる場合には、300〜400nmの近紫外線を含有した光が好ましい。光の照射量や照射時間などは処理する物質の種類や量によって適宜設定できる。
【0015】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0016】
実施例1
光触媒性塗料(ST−K03、石原産業社製:光触媒として平均粒子径30nmの酸化チタンを含有するゾルを、バインダとして加水分解性ケイ素化合物の加水分解生成物を、溶媒として水とアルコールを配合したもの)にコハク酸ジメチル、イソプロパノールを添加して、本発明の光触媒性塗料組成物(試料A)を得た。この試料Aは、酸化チタン濃度が2重量%であり、ケイ素化合物中のケイ素をSiO2 に換算した量(固形分)は酸化チタンに対して100重量%、コハク酸ジメチルは酸化チタンに対して245重量%含有していた。
【0017】
実施例2
実施例1において、コハク酸ジメチルに代えてアジピン酸ジメチルを使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、本発明の光触媒性塗料組成物(試料B)を得た。この試料Bは、酸化チタン濃度が2重量%であり、ケイ素化合物中のケイ素をSiO2 に換算した量(固形分)は酸化チタンに対して100重量%、アジピン酸ジメチルが酸化チタンに対して245重量%含有していた。
【0018】
実施例3
実施例1において、コハク酸ジメチルに代えてグルタル酸ジメチルを使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、本発明の光触媒性塗料組成物(試料C)を得た。この試料Cは、酸化チタン濃度が2重量%であり、ケイ素化合物中のケイ素をSiO2 に換算した量(固形分)は酸化チタンに対して100重量%、グルタル酸ジメチルは酸化チタンに対して245重量%含有していた。
【0019】
比較例1
実施例1において、コハク酸ジメチルを用いないこと以外は実施例1と同様に処理して、光触媒性塗料組成物(試料D)を得た。この試料Dは、酸化チタン濃度が2重量%であり、ケイ素化合物中のケイ素をSiO2 に換算した量(固形分)は酸化チタンに対して100重量%含有していた。
【0020】
前記の実施例、比較例で得られた光触媒性塗料組成物(試料A、B、C、D)を、スピンコータ(ミカサ社製:1H−360S)を用いて回転数を1500rpmとして10秒でガラス板に塗布し、その後150℃の温度で10分間乾燥させて試験板(物品)とした。これらの試験板(物品)を用いて、暗所で24時間放置した後の水との接触角(表1中、光照射時間0分のデータ)、試験板(物品)に紫外線光量1mW/cm2 のブラックライトを所定時間照射した後の水との接触角を測定した結果を表1に示す。この結果から、本発明の光触媒性塗料組成物を用いた試験板(物品)は、光照射前でも水との接触角が低く(0〜10°の範囲とすることができる)、光照射下での接触角の低下が早いこと、すなわち、初期親水化活性に優れていることがわかった。
【0021】
【表1】
Figure 0004034885
【0022】
次に、紫外線を照射して水の接触角が0°になった前記の試験板(物品)を暗所で保持した結果を表2に示す。この結果から、本発明の光触媒性塗料組成物を用いた試験板(物品)は、接触角が低い状態を維持しやすいこと、すなわち、親水化活性の維持性にも優れていることがわかった。
【0023】
【表2】
Figure 0004034885
【0024】
次に、紫外線を照射して水の接触角が0°になった前記の試験板(物品)に、汚れ成分を付着させて、親水化活性の回復性を調べた。それぞれの試験板(物品)に0.005%のリノール酸トリグリセリドのキシレン溶液をスピンコータ(ミカサ社製:1H−360S)を用いて回転数を1000rpmとして10秒で塗布し、その後100℃の温度で10分間乾燥させた。これらの試験板(物品)を用いて、光照射前の水との接触角、試験板(物品)に紫外線光量1mW/cm2 のブラックライトを所定時間照射した後の水との接触角を測定した結果を表3に示す。この結果から、本発明の光触媒性塗料組成物を用いた試験板(物品)は、光照射前でも水との接触角が低く、光照射下での接触角の低下が早いこと、すなわち、親水化活性の回復性に優れていることがわかった。
【0025】
【表3】
Figure 0004034885
【0026】
【発明の効果】
本発明は、ジカルボン酸およびその誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物と、光触媒粒子と、バインダと、溶媒とを含有してなることを特徴とする光触媒性塗料組成物であって、光触媒機能に優れた光触媒膜を作成することができ、光触媒機能を物品の表面に簡便に付与することができる。特に、本発明の光触媒性塗料組成物は、親水化機能(初期親水化活性、親水化活性の維持性、親水化活性の回復性)に優れた光触媒膜を形成することができ、防汚性、防曇性などにも優れた物品を得ることができる。
また、本発明は、前記の光触媒性塗料組成物を用いて物品の表面上に光触媒膜を形成してなることを特徴とする物品であって、光触媒機能を有する物品、特に親水化機能に優れた物品として、工業用、あるいは、家庭用に広範囲に用いることができる。
また、本発明は、前記の光触媒性塗料組成物を物品の表面に塗布しあるいは吹き付けし、次いで、乾燥することを特徴とする光触媒膜を形成してなる物品の製造方法であって、あらゆる物品の表面に光触媒機能を付与することができ、光触媒機能を有する物品を簡便に製造することができる。

Claims (9)

  1. ジカルボン酸のエステル化物と、光触媒粒子と、バインダと、溶媒とを含有してなることを特徴とする光触媒性塗料組成物。
  2. ジカルボン酸のエステル化物の含有量が光触媒粒子に対して0.5〜500重量%であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒性塗料組成物。
  3. 光触媒粒子の含有量が0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒性塗料組成物。
  4. 光触媒粒子が、1〜500nmの範囲の平均粒子径を有する酸化チタンであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒性塗料組成物。
  5. バインダが、加水分解性ケイ素化合物の加水分解生成物であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒性塗料組成物。
  6. 加水分解性ケイ素化合物がSinn-1 (OR)2n+2(但しnは1〜6、Rは炭素数が1〜4のアルキル基)で表されるアルキルシリケートであることを特徴とする請求項5に記載の光触媒性塗料組成物。
  7. 溶媒が、アルコールを含有してなるものであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒性塗料組成物。
  8. 請求項1に記載の光触媒性塗料組成物を用いて物品の表面上に光触媒膜を形成してなることを特徴とする物品。
  9. 請求項1に記載の光触媒性塗料組成物を物品の表面に塗布しあるいは吹き付けし、次いで、乾燥することを特徴とする光触媒膜を形成してなる物品の製造方法。
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