JP5464150B2 - 中空粒子の製造方法、中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料 - Google Patents
中空粒子の製造方法、中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5464150B2 JP5464150B2 JP2011003767A JP2011003767A JP5464150B2 JP 5464150 B2 JP5464150 B2 JP 5464150B2 JP 2011003767 A JP2011003767 A JP 2011003767A JP 2011003767 A JP2011003767 A JP 2011003767A JP 5464150 B2 JP5464150 B2 JP 5464150B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- particles
- silica
- particle
- hollow
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Silicon Compounds (AREA)
Description
本発明に係る中空粒子とは、粒子の内部に空孔を有する粒子をいう。空孔とは、空気等のガス、真空空間等が存在している部分をいう。中空粒子における空孔の外側部分は外郭(シェルともいう)とも呼ばれる。なお、シェルに含まれる空間は空孔には含まれない。
本発明に係るコア粒子とは、中空粒子の空孔を形成する前に存在する粒子であり、シェルを形成するための基となる。
コア粒子の除去の手法としては、各種液体による溶解、熱分解、オゾン等による酸化分解、昇華、熱溶融等が適用可能である。特に液体による溶解では、酸、アルカリ溶液、可溶性の錯体形成化合物、酸化・還元剤、光による変性、等各種の可溶化手法が適用可能である。
本発明のシリカ系材料は、二酸化ケイ素(SiO2)を主体とする化合物であり、一部に他の金属酸化物や有機物が含有されていてもよい。二酸化ケイ素(SiO2)を主体とするとは、他の金属酸化物や有機物などの合計モル量に比べて二酸化ケイ素の合計モル量が多いことをいう。また、他の金属酸化物としては、Al、Zr、Ti、その他一般の金属酸化物等が挙げられる。
シリカ系材料(以下、単に「シリカ」とも呼ぶ)を添加することにより、コア粒子の表面にシリカを付着させて、その後乾燥する工程は、コア粒子の表面にシリカを付着させた状態で乾燥することで、形状を保ちながらSiOHの縮合(粒子内部、粒子間)および架橋反応を進め、強固なシェル構造を設けるために行われる。
本発明においては、コア粒子を含む溶液中にシリカを添加する。その際の溶媒は、水溶媒、有機溶媒若しくは水溶媒と有機溶媒の混合溶媒を用いることができる。水溶媒では、純水等を用いることができる。
本発明では、シリカの添加後、コア粒子の除去前に架橋剤及び酸を添加する。シリカがコア粒子に付着してから、コア粒子を除去することにより構造が不安定になる前に、シリカの強固なシェルを形成するためである。また、架橋剤及び酸は、シリカを液中に添加した後、乾燥させる前に添加させることが好ましい。また、水と反応することで架橋能力が著しく損なわれるような架橋剤を用いる場合は、乾燥後に加えることも可能である。
本発明において、架橋は、シリカの−OH同士を架橋させ、粒子同士を結合し強固なシェルとするために行う。適用可能な架橋剤は、無機系の架橋剤と有機系の架橋剤に大別される。一般的には、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三,金子東助編,大成社,(1981))等を参考にできる。
本発明における酸は、シリカに存在するSiOHを、SiO−+M+の形で封鎖している陽イオンを除去するために添加する。ケイ酸塩を形成していると考えられるので、陽イオンとより強く結合できるケイ酸よりも強い酸ないし、別の効果(例えばキレート効果)で陽イオンと強く結びつく酸を添加する。
中空粒子の内部を中空に保ったまま、皮膜中に分散した状態で存在させることで、皮膜の屈折率を低下させることができる。例えば、体積中の50%が空隙であるシリカ系の中空粒子であれば、中空粒子全体としての屈折率は、シリカの屈折率(589nmで、1.46程度)と空気の屈折率(1)の中間の値である、1.23程度となる。この中空粒子を、20体積%含有する皮膜の屈折率は、皮膜を形成する高分子の屈折率が1.5であれば、1.5×0.8+1.23×0.2=1.45程度となり、中空粒子の空隙率を上げることで、皮膜としての屈折率を更に低下させることが出来る。中空粒子の空隙率を上げるには、皮膜を薄くする事が必要であるため、薄くても十分な強度を有する皮膜を得るのに適する本発明は、光学材料としての利用に非常に適している。
中空粒子を皮膜中に分散させた状態で、いわゆる断熱塗料として用いる事が出来るほか、中空粒子を厚膜状に成型して、断熱材料として利用する事ができる。本発明における中空粒子は細孔の大きさが可視光の波長より十分小さい為、高い断熱性能と同時に透明性を有する。断熱性能は粒子の空隙率が高くなると向上する傾向があるため、粒子のシェル体積を小さく出来ることが好ましいが、本手法ではシェルを薄く出来るため高い断熱性能を得ることができる。
成型は、架橋剤単独でも可能であるが、接着機能を有する高分子を併用する事もが可能である。高分子としては、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコーン系等一般的な高分子のほか、一般的に公知等のような材料も適用可能である。
9%に水分散した微粒子炭酸カルシウム(株式会社ニューライム、ユニフレックス SS、1次粒径40nm)43gを200mlのビーカーに入れ、攪拌しながら、25℃で15%微粒子シリカ水分散液2g(平均粒子径5nm、日産化学社製スノーテックスNXS)を加えた。この液を60℃に昇温後、30分間攪拌を続けた。この時、pH=7.9(25℃)であった。その後、1Nアンモニア水溶液でpHを10に調整し、さらに攪拌を激しくし、下記の作製例詳細に示すように各種の架橋剤及び酸を加えた。
作製例1:
ZrO2(+若干のHfO2)換算で35%のZrOCl2系水溶液:0.83g(第一稀元素社製ジルコゾールZC−2)を、ローラーポンプを用い、5分かけて添加した。
ZrO2(+若干のHfO2)換算で35%のZrOCl2系水溶液:0.83g(第一稀元素社製ジルコゾールZC−2)と3mol/l塩酸1gを合わせた液を5分かけて添加した。
ZrO2(+若干のHfO2)換算で13%の(NH4)2ZrO(CO3)2水溶液:2.2g(第一稀元素社製ジルコゾールAC−7)と3mol/l塩酸6gを、別々のポンプを用いて同時に5分かけて添加した。
作製例3で、塩酸添加から10分後に(NH4)2ZrO(CO3)2を、各5分ずつかけて添加した。
作製例3で、(NH4)2ZrO(CO3)2添加から10分後に塩酸を、各5分ずつかけて添加した。
作製例3で、3mol/l塩酸の代わりに、3mol/lのクエン酸水溶液を同時に、5分かけて添加した。
作製例3で、3mol/l塩酸の代わりに、3mol/lの酢酸水溶液を同時に、5分かけて添加した。
架橋剤、酸の添加を行わなかった。
作製例3で、ZrO2(+若干のHfO2)換算で13%の(NH4)2ZrO(CO3)2水溶液:2.2g(第一稀元素社製ジルコゾールAC−7)のみを5分かけて添加した。
作製例1でZrOCl2系水溶液に代わり、Tiとして16.5%を含む四塩化チタン水溶液0.83gを、5分かけて添加した。
作製例10で、四塩化チタンに代わり、テトライソプロポキシチタンを1.7g、3mol/lと塩酸6gを、別々のポンプを用いて同時に5分かけて添加した。
作製例11で、テトライソプロポキシチタンを1.7gのみを、5分かけて添加した。
乾燥後に、水分散型イソシアネート(WE50−100、旭化成社製)1gと、3mol/lの塩酸1gを、別々のローラーポンプを用い5分かけて添加した。
作製例13で、水分散型イソシアネート(WE50−100、旭化成社製)1gのみをローラーポンプを用い、5分かけて添加した。
乾燥後に、ジビニルスルホン1gと3mol/lの燐酸1gを、別々のローラーポンプを用いて5分かけて添加した。
ジビニルスルホン1gのみをローラーポンプを用い、5分かけて添加した。
3mol/lの塩酸1gのみをローラーポンプを用い、5分かけて添加した。
本実施例においては、ISPジャパン社製のPVP/PVA(ポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテート)コポリマー、W−635(PVP/PVA=6/4、屈折率nd=1.50)をバインダーとし、粒子質量分率=0.1で2質量%にした水溶液を、ガラス上にアプリケータで塗布、150℃で乾燥させて1μm厚程度の皮膜を作製し、その屈折率を分光エリプソメーター(Horiba製、MM−16)で測定した。本実施例では波長589nmに対する値(nd)で比較した。実際の空隙率、すなわち粒子全体に対する空隙体積の比をTEM写真から正確に求めることは困難であるが、ポリマーバインダーに分散して塗布乾燥することで皮膜を作製し、この皮膜の屈折率を測定すると、中空粒子内部の空隙が多いほど皮膜の屈折率も低下していく。このことから、中空粒子の空隙率の平均値を逆算することができる。シェルが強固で、乾燥による破壊が少ないほど、粒子のシェルが破壊されにくくなるため、空隙率の平均値は増大し、シェルが強固であると言い換えることもできる。空隙率に依存する屈折率の変化を式にすると下記のようになる。
ここで、xは粒子の中空粒子の体積分率(空隙含む)、npは中空粒子の屈折率、nbはバインダーの屈折率である。さらに、
x=a/Sp/(a/Sp+(1+(1−a)/Sb)
と表される。ここで、aは粒子の質量分率、Spは粒子の見かけ比重(=シリカの真比重×(1−V)、Vは空隙率)、Sbはバインダーの比重である。シリカの屈折率は1.46で、TiO2やZrO2の屈折率は一般に2以上と高いが、元素分析の結果、シェルに取り込まれているTi、Zr原子の割合が、Siに比して1/10以下であったため、シェルの屈折率は1.46として計算した。シリカの真比重=2、バインダーの比重を1.25とし、この関係をグラフにすると図3(PVP/PVA屈折率=1.50)のようになる。さらに、粒子空隙率と皮膜の屈折率を図4(PVP/PVA屈折率=1.50、粒子質量分率=0.1)に示す。これらの図から、皮膜の屈折率測定値から中空粒子の空隙率を逆算することができる。また、粒子の質量分率が同一であれば、皮膜の屈折率が低いほど空隙率が大きいことも分かる。測定した皮膜の屈折率から逆算した中空粒子の空隙率を表1にあわせて示す。
多い(加えたシリカ粒子のほとんどがシェル形状を保っている)>部分的に中空粒子有り(=中空有りシリカ粒子の半分以上がシェル形状を保っている)>部分的(シリカ粒子のうちシェル形状を保っている粒子が半分以下)>少ない(シリカ粒子のうちシェル形状を保っている粒子が10%以下)>なし
とした。
本発明を、中空粒子の集合体からなる断熱シートに成型した例を示す。
Claims (7)
- コア粒子を有する溶液中にシリカ系材料を添加して乾燥を行った後、該コア粒子を除去することで、該シリカ系材料を有する中空粒子を製造する中空粒子の製造方法であって、該シリカ系材料を添加した後、該コア粒子を除去する前に、該シリカ系材料を架橋する架橋剤及び酸を添加することを特徴とする中空粒子の製造方法。
- 水系溶媒に前記シリカ系材料を添加することを特徴とする請求項1に記載の中空粒子の製造方法。
- 前記架橋剤が、ジルコニウムまたはチタンの化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の中空粒子の製造方法。
- 前記酸が、無機酸または多価カルボン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
- 前記コア粒子が、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法で得られた中空粒子を用いることを特徴とする光学材料。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法で得られた中空粒子を用いることを特徴とする断熱材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011003767A JP5464150B2 (ja) | 2011-01-12 | 2011-01-12 | 中空粒子の製造方法、中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011003767A JP5464150B2 (ja) | 2011-01-12 | 2011-01-12 | 中空粒子の製造方法、中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012144394A JP2012144394A (ja) | 2012-08-02 |
JP5464150B2 true JP5464150B2 (ja) | 2014-04-09 |
Family
ID=46788383
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011003767A Active JP5464150B2 (ja) | 2011-01-12 | 2011-01-12 | 中空粒子の製造方法、中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5464150B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101714312B1 (ko) * | 2016-04-14 | 2017-03-08 | 강원대학교산학협력단 | 다공성 조절이 가능한 산화규소 구조체의 제조 방법 |
JP7385735B2 (ja) | 2020-02-28 | 2023-11-22 | セトラスホールディングス株式会社 | 中空粒子、該中空粒子の製造方法、樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物を用いた樹脂成形体および積層体 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3265653B2 (ja) * | 1992-11-12 | 2002-03-11 | ジェイエスアール株式会社 | 複合粒子、中空粒子とそれらの製造方法 |
JP4861634B2 (ja) * | 2005-03-18 | 2012-01-25 | 国立大学法人 名古屋工業大学 | シリカ中空粒子の製造方法 |
JP5545694B2 (ja) * | 2008-10-29 | 2014-07-09 | Dic株式会社 | カーボン含有金属酸化物中空粒子及びその製造方法 |
JP2010105867A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Trial Corp | 粒子の製造方法 |
-
2011
- 2011-01-12 JP JP2011003767A patent/JP5464150B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012144394A (ja) | 2012-08-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
ES2317344T3 (es) | Materiales compuestos que contienen nanoparticulas de carbono. | |
JP6603916B2 (ja) | 無機酸化物被膜 | |
Shchukin et al. | Inorganic macroporous films from preformed nanoparticles and membrane templates: Synthesis and investigation of photocatalytic and photoelectrochemical properties | |
TWI476237B (zh) | 新穎奈米顆粒 | |
JP7322479B2 (ja) | 塗液、複合材料及び塗膜 | |
WO2019069412A1 (ja) | 塗液、塗膜の製造方法及び塗膜 | |
JP2018502718A (ja) | 珪藻被殻を含む組成物及びその用途 | |
WO2019069407A1 (ja) | 塗液、塗膜の製造方法及び塗膜 | |
JP6032591B2 (ja) | シリカナノ中空粒子の製造方法 | |
JP5464150B2 (ja) | 中空粒子の製造方法、中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料 | |
WO2021153764A1 (ja) | 塗液の製造方法及び断熱材の製造方法 | |
WO2021153755A1 (ja) | 断熱材の製造方法 | |
JP6300313B2 (ja) | ルチル型酸化チタンゾル及びその製造方法 | |
JP7196853B2 (ja) | 塗液、塗膜の製造方法及び塗膜 | |
JP4034885B2 (ja) | 光触媒性塗料組成物 | |
CA2922755C (en) | Metal oxide particles with uniform multilayer polymer coatings | |
Zahed | Formation of Meso-Structured Multi-Scale Porous Titanium Dioxide by Combined Soft-Templating, Freeze-Casting and Hard-Templating Using Cellulose Nanocrystals | |
Ma et al. | Insertion of platinum oxide into nanotube of sodium titanate | |
JP2023150249A (ja) | コーティング液 | |
JP2022059803A (ja) | 塗液の製造方法及び断熱材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20121101 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20130415 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130712 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20131219 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131224 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140106 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5464150 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |