JP5464150B2 - 中空粒子の製造方法、中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料 - Google Patents

中空粒子の製造方法、中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料 Download PDF

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Description

本発明は、ナノレベルの空孔を有する中空粒子の製造方法、該中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料に関する。
ナノレベルの空孔を有する中空粒子は、低屈折率の光学材料、高い断熱性能を有する断熱材料等での利用を目的に開発が行われている。中空粒子の中でも、透明性及び強度に優れ、かつ屈折率の低いシリカ系被覆層(シェル)と、ナノサイズの細孔を有する微小な中空粒子が特に注目されている。
その製造方法としては、例えば、エアロゾル法により基本粒子を製造し加熱及び乾燥する方法、金属化合物水性ゾルを噴霧及び乾燥し焼成する方法、W/O型またはO/W/O型エマルジョンを調製し加熱して水及び油を除去する方法等が提案されている。しかしながら、これらの製法により得られた中空粒子は、そのシェルが厚くなりやすいため、空隙率が上がりにくい。一方空隙率を上げるとシェルの強度が低下しやすいという欠点を有する。これは、シェル中の溶媒が揮発する過程で、コア(中空化する部分)が高い流動性を有し不安定であることに起因すると考えられる。
これらの課題を解決するために、特許文献1では、炭酸カルシウム等の強固な支持体粒子上にケイ酸塩を酸処理により沈積させてシリカシェルを形成した後、分離、乾燥し、酸で支持体を溶出する製造方法が提案されている。本法は、水系でコストの低減が期待される手法であるが、実際は、ケイ酸Naと同時に酸で分解する炭酸カルシウムから遊離したCaイオンが速やかにシリカのシラノールと結合し、シリカのシラノール同士の縮合による粒子の融着、強固なシェル形成を妨げるため、100℃以上の加熱のような急激な水からの乾燥に耐えうる、強度のあるシェルを作製するのは容易でない。
また、特許文献2では、以下のような製造方法が提案されている。透過型電子顕微鏡法による一次粒子径が20〜200nmの炭酸カルシウムを水系にて調製し、熟成した後、脱水して含水ケーキの状態とし、該含水ケーキをアルコール中に分散させる。そこに、アンモニア水、水、シリコンアルコキシドを、所定量となるように添加することにより、シリカでコーティングされた炭酸カルシウムを調製する。その後、アルコール及び水による洗浄を行い、再び含水ケーキとし、該含水ケーキを水に分散させ、酸を添加して、シリカナノ中空粒子を得ることができる。しかしながら、この製造方法は多量のアルコール系溶媒を使用するため、装置的な負荷が大きく低コスト化は容易でない。さらに該製造方法では、空隙率の高い中空粒子を作製することも困難であった。
さらに、特許文献3では、水系で、凝集の少ない中空粒子を作製する方法が提案されている。しかし、この製造方法は無機酸での処理後、水熱反応を利用するため、装置が大掛かりになるだけでなく、あくまで水が多い系での処理であるため、シラノールの縮合が必ずしも十分には進まず、粒子の十分な強度を得にくいという課題が残っている。
このように、上記従来の製造方法では、空隙率が高く、かつ十分な強度を持った中空粒子を得ることが難しいという課題を有していた。
特表2000−500113号公報 特開2005−263550号公報 特開2009−234854号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、空隙率が高く、強度の高いシリカ系の中空粒子を得る中空粒子の製造方法、該中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.コア粒子を有する溶液中にシリカ系材料を添加して乾燥を行った後、該コア粒子を除去することで、該シリカ系材料を有する中空粒子を製造する中空粒子の製造方法であって、該シリカ系材料を添加した後、該コア粒子を除去する前に、該シリカ系材料を架橋する架橋剤及び酸を添加することを特徴とする中空粒子の製造方法。
2.水系溶媒に前記シリカ系材料を添加することを特徴とする前記1に記載の中空粒子の製造方法。
3.前記架橋剤が、ジルコニウムまたはチタンの化合物であることを特徴とする前記1または2に記載の中空粒子の製造方法。
4.前記酸が、無機酸または多価カルボン酸であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
5.前記コア粒子が、炭酸カルシウムであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
6.前記1〜5のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法で得られた中空粒子を用いることを特徴とする光学材料。
7.前記1〜5のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法で得られた中空粒子を用いることを特徴とする断熱材料。
本発明によれば、空隙率が高く、強度の高いシリカ系の中空粒子を得る中空粒子の製造方法を提供することができる。さらには空隙率が高く、強度の高い中空粒子が必要とされる光学材料及び断熱材料分野において、該中空粒子を用いた光学材料及び断熱材料を提供することができる。
本発明の作製例1で得られた中空粒子の電子顕微鏡写真である。 比較例の作製例8で得られた中空粒子の電子顕微鏡写真である。 粒子質量分率と皮膜の屈折率を示すグラフである。 粒子空隙率と皮膜の屈折率を示すグラフである。
本発明は、シリカ系材料によりコア粒子のシェルを設ける工程で、特定の製造方法により、微粒子状のシリカ系材料間に強固な結合を設け、その後の乾燥工程を経ることで、後工程でコア粒子の除去、乾燥を経ても容易に破壊されない、これまでにない強度を有するシリカ系材料からなる中空粒子を得る製造方法を提供するものである。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明するが、これらに限定されるものではない。
(中空粒子)
本発明に係る中空粒子とは、粒子の内部に空孔を有する粒子をいう。空孔とは、空気等のガス、真空空間等が存在している部分をいう。中空粒子における空孔の外側部分は外郭(シェルともいう)とも呼ばれる。なお、シェルに含まれる空間は空孔には含まれない。
本発明に係る中空粒子の製造方法は、コア粒子の表面にシリカ系材料を添加した後、該コア粒子を除去することで、該シリカ系材料を有する中空粒子を製造する中空粒子の製造方法であって、該シリカ系材料を添加した後、該コア粒子を除去する前に、該シリカ系材料を架橋する架橋剤及び酸を添加することを特徴とする。
以下、構成要件について詳細に説明する。
(コア粒子)
本発明に係るコア粒子とは、中空粒子の空孔を形成する前に存在する粒子であり、シェルを形成するための基となる。
本発明のコア粒子は、物理的、化学的に容易に除去できる固体粒子であれば良い。各種無機粒子であれば、金属、金属酸化物、水酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ハロゲン化物、カルボン酸塩、その他、各種の化合物が利用可能である。本発明では、光学用途に用いる中空粒子を得るため、コア粒子の粒子径が可視光の波長より十分に小さいことが好ましい。すなわち、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積から得られる1次粒子の円換算平均粒子径で100nm以下であることが好ましい。また、実質的な入手容易性から、5nm以上であることが好ましい。
ここで1次粒子の円換算平均粒子径の測定方法は、各コア粒子の直径の数平均値により求めることができる。すなわちコア粒子の透過型電子顕微鏡観察から、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できるコア粒子をランダムに200個以上観察し、各コア粒子の粒径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。ここで、本発明に係る円換算平均粒子径とは、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できるコア粒子の外縁を2本の平行線で挟んだ距離の内最小の距離を指す。なお、円換算平均粒子径を測定する際、明らかにコア粒子の側面などを表しているものは測定しない。なお、市販により入手したものについては、カタログ等に記載されている1次粒径を参照しても良い。
5〜100nm程度の粒子径の入手容易性、シリカ系材料のシェルにダメージを与えずに容易に溶解できる性質を考慮すると、第2族元素や、亜鉛、銅、鉄、スズ等汎用的な金属の化合物が好ましい。更に第2属元素のうち、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの水不溶性の酸化物、水酸化物ないし塩が好ましく、特に好ましくは炭酸カルシウムである。
(コア粒子の除去)
コア粒子の除去の手法としては、各種液体による溶解、熱分解、オゾン等による酸化分解、昇華、熱溶融等が適用可能である。特に液体による溶解では、酸、アルカリ溶液、可溶性の錯体形成化合物、酸化・還元剤、光による変性、等各種の可溶化手法が適用可能である。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸水溶液、等の無機酸のほか、酢酸、蟻酸等の有機酸ないしその水溶液等が好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等が使用可能である。錯体形成化合物としては、カルボン酸化合物、アンモニア、アミン化合物、ジケトン、イオウ化合物、その他の一般的化合物及びその溶液が使用可能である。これらと各種酸化剤、還元剤、光エネルギー等を組み合わせてコア粒子を可溶化し除去することも可能である。
コア粒子が溶解すると、各種イオンが生成する。乾燥して中空粒子を取り出す前に、これらのイオンを除去することが必要となる。イオンの除去には、水洗のほか、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、キレート樹脂等を用いることができる。
(シリカ系材料)
本発明のシリカ系材料は、二酸化ケイ素(SiO)を主体とする化合物であり、一部に他の金属酸化物や有機物が含有されていてもよい。二酸化ケイ素(SiO)を主体とするとは、他の金属酸化物や有機物などの合計モル量に比べて二酸化ケイ素の合計モル量が多いことをいう。また、他の金属酸化物としては、Al、Zr、Ti、その他一般の金属酸化物等が挙げられる。
本発明で得られる中空粒子は、低屈折率材料として働くため、SiOより大きく屈折率が増大するような組成、例えば、高屈折率材料として知られているTiOやZrOの割合が全体として大きくならないことが好ましいが、少量であるならば高屈折率材料が含まれていてもよい。本発明では酸との協調作用により高屈折率材料が少量含有された状態でも本発明の中空粒子の強度効果をもたらす事を見出した。高屈折率材料は、低屈折率化が重要な目的のひとつである中空粒子と組み合わされることは必ずしも常識的ではないが、その添加量が少量であるならば、全体としての中空化率の向上による低屈折率化に有効であるため、本発明では高屈折率材料でも積極的に利用しても良い。またこの場合の高屈折率材料の割合は、Siに対して100質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、50質量%以下である。
シリカ系材料によるシェルの厚みは10nm以下が好ましく、更に好ましくは5nm以下、0.3nm以上である。シェルは薄いほど空隙率の増大には好ましいものの、0.3nmより小さい場合では強度上の問題が大きくなる為である。またシェルにより構成される中空粒子の空隙率は、30%以上が好ましく、更に好ましくは50%以上、特に70%以上であると好ましい。空隙の大部分はコア粒子の除去で生成されるが、シェル内部に若干する空隙を合わせたものが実際の空隙率である。この空隙率をTEM等から正確に求める事は困難であるが、塗膜中に均一に分散させた後、その塗膜の屈折率を測定する事でそれを正確に評価することが可能である。すなわち、空隙の屈折率は1となるので、塗膜の屈折率が塗膜単体(+シリカ系材料+架橋剤)の屈折率からどれだけ下がっているかを測定し、逆算すればよい。
有機物としては、メチル、エチル等のアルキル基、芳香環を有する化合物のほか、金属酸化物に吸着能力を有する、カルボン酸、アミン、アミド、ウレタン、エポキシ基等、粒子間のバインダーとして作用する各種高分子が含有されていても良い。ただしこれらはシリカと他種金属酸化物の和の体積を上回らないことが好ましい。その理由としては、シリカの優れた強度、低屈折率性、耐熱性を保持するためである。シリカ系の化合物を疎水化する観点からは特にメチル基(ないしトリメチルシリル基)を有することが好ましい。
(付着・乾燥)
シリカ系材料(以下、単に「シリカ」とも呼ぶ)を添加することにより、コア粒子の表面にシリカを付着させて、その後乾燥する工程は、コア粒子の表面にシリカを付着させた状態で乾燥することで、形状を保ちながらSiOHの縮合(粒子内部、粒子間)および架橋反応を進め、強固なシェル構造を設けるために行われる。
シェルの形成は液中で行われるが、(1)シリカ粒子をコア粒子上で直接合成しながらシェルを形成する手法と、(2)別工程で作製したシリカ粒子を、コア粒子に加えてコア粒子上でシェルを形成する2種の手法に大別される。本発明ではどちらの手法も適用可能であるが、(1)の場合、SiO 2−を酸で分解する工程が一般的に採用されるため、カルシウム塩、マグネシウム塩の粒子では、液中にカルシウムやマグネシウムイオンが存在し、それらの塩となることで、SiOのネットワーク構造の進展が阻害され、強度が上がりにくくなることが有る。そのため、少なくとも粒子内部でのSiOHによるネットワーク構造の進展が可能である、(2)の手法を用いることが望ましい。(2)の手法における別工程でのSiO作製は、コア粒子の分散液とは別の容器で、原料となるNaSiO水溶液のようなケイ酸塩化合物の酸による分解を、酸の添加や、H型の陽イオン交換樹脂を触れされることで行う。コア粒子が存在しないと、不要なCaイオン等が存在しないため、SiOのネットワークが粒子内に発達し、SiO粒子自体の強度が増し、その後のシェル化を行ったときにも強度が上げやすい。陽イオン交換樹脂を用いてSiOのネットワークを構成する手法は、NaSiOの分解で発生する塩に含まれるアルカリ金属の含有量を少なくでき、後にその除去工程が不要になるメリットもある。これらの反応は、水中で行われることが好ましいが、体積分率で50%以下の溶剤を含有していてもよい。
シリカ付着後の乾燥工程は、通常の加熱乾燥が可能である。コア粒子が固体で安定であるため、超臨界乾燥や、凍結乾燥等、特殊な乾燥を行う必要はない。事前の水熱反応も不要である。乾燥後の含水率は、全体の10質量%以下となるまで行う事が好ましく、更に好ましくは1質量%以下である。
中空化した後の工程で、液中に再分散させる場合には、乾燥前の工程で適切なバインダーを加えておくことも可能である。ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等一般的な水溶性高分子が使用可能であるが、OHを多く含有すると、バインダー自体に架橋反応が起きる場合があるので、OH、あるいはCOOH等、架橋に寄与する含有量が少ない高分子の適用が好ましい。PVPやPVPと他の分子を共重合させた高分子、親水基として、エチレンオキサイドを有し、末端のOHがアルキルエーテル化されている高分子、ダイアセトンアクリルアミドのような親水性を有する高分子等が好ましい。一方、低分子の活性剤や、各種分散剤を用いることも好ましい。溶剤系の溶媒に分散する場合は、アルコールやカルボン酸などを表面の架橋剤と反応させ、粒子表面を疎水化することが好ましい。
その他、再分散性の向上には、乾燥前に、多量の水溶性塩を加えておく方法、乾燥に噴霧乾燥を用いる方法等も効果がある。
一方、PVA等の反応性官能基を有するポリマー中に、コアを除去する前の粒子を分散後、そのまま塗布し乾燥させ、架橋を進めることで、その後にコアを除去し、分散された状態の中空粒子を作製することも可能になる。乾燥は、PVA等のポリマーが分解されない上限に近い温度まで進めることがシェルの強化の観点から好ましく、具体的には110℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。
(溶媒)
本発明においては、コア粒子を含む溶液中にシリカを添加する。その際の溶媒は、水溶媒、有機溶媒若しくは水溶媒と有機溶媒の混合溶媒を用いることができる。水溶媒では、純水等を用いることができる。
また、有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。
本発明において、シリカの付着は水系で行われることが好ましい。ここでの水系溶媒は、多少の有機溶媒を含んでいても良いが、装置全体の防爆化が必要になる等、大きな装置的制約を伴うような量の有機溶媒は含まない事が好ましい。水系溶媒を用いることで、溶剤を使用する必要がなくなり、環境に良好となり、さらには低コストに繋がるためである。また、本発明の製造方法により、水系溶媒を用いることによっても空隙率が高く、強度の高い中空粒子を作製することが可能となった。
コア粒子が100nm以下の場合、粒子の凝集を抑制するため、10質量%以下の濃度に希釈された状態であることが多い。このとき、全体を溶剤系にする(例えば溶剤にしか溶解しない化合物を用いる)と、全体としても溶剤量が増え、溶剤のコスト、装置のコスト、環境負荷のコスト等、多くの問題が発生する。そのため、本発明は基本的に水に可溶な材料を用いて反応を行うことが好ましい。例えばシリカは、NaSiOの酸による分解から得られるものを利用することが好ましく、架橋剤としては、無機系の架橋剤であれば、水溶性の高い、無機塩類や親水性キレート等の使用が好ましい。
(シリカ系材料の添加後、コア粒子の除去前)
本発明では、シリカの添加後、コア粒子の除去前に架橋剤及び酸を添加する。シリカがコア粒子に付着してから、コア粒子を除去することにより構造が不安定になる前に、シリカの強固なシェルを形成するためである。また、架橋剤及び酸は、シリカを液中に添加した後、乾燥させる前に添加させることが好ましい。また、水と反応することで架橋能力が著しく損なわれるような架橋剤を用いる場合は、乾燥後に加えることも可能である。
以下、架橋剤及び酸についての詳細を述べる。
(架橋剤)
本発明において、架橋は、シリカの−OH同士を架橋させ、粒子同士を結合し強固なシェルとするために行う。適用可能な架橋剤は、無機系の架橋剤と有機系の架橋剤に大別される。一般的には、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三,金子東助編,大成社,(1981))等を参考にできる。
無機系の架橋剤としては、Ti、Zr、Al等の3価以上の金属を中心金属としたアルコキシドや、キレート配位子を有する化合物が適用可能である。また、TiClやTiCl、TiOCl、ZrCl、塩基性塩化ジルコニル(ZrO(OH)Cl)、ZrOCl、AlCl等の水溶性のハロゲン化物塩、硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム、硫酸チタン、硝酸ジルコニウム、硝酸アルミニウム、硝酸チタン等の、硫酸塩、硝酸塩、(NHZrO(COのような塩基性の水溶性化合物等も適用可能である。
なお、本発明では、SiOH同士の縮合に比して、強固に架橋を進めるため、SiOHを有する架橋剤を用いない方が好ましい。また、有機の官能基を配位子として有する、下記のようなTi化合物、Zr化合物も利用することができる。
有機Ti化合物としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−i−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、テトラ−オクタデシロキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、ジメトキシジブトキシチタンおよびジエトキシジプロポキシチタン等のチタンアルコキシド、アセチルアセトンキレート、アセト酢酸エチルキレート、オクチレングリコールキレート、トリエタノールアミン、乳酸、乳酸アンモニウム等のチタンキレート化合物、ステアリン酸アシレートなどが使用可能である。
Zr化合物としては、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシド、ジルコニウムテトラ(2−エチルヘキソキシド)、ジルコニウムテトライソブトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ(2−メチル−2−ブトキシド)などのジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムトリ−n−ブトキシドペンタンジオネート、ジルコニウムジメタクリレートジブトキシドなどのジルコニウム化合物、アセチルアセトンキレート、アセト酢酸エチルキレートなどのキレート化合物、ステアリン酸アシレート等のアシレート、塩化ジルコニルとカルボン酸誘導体との複合化合物等が使用可能である。
金属を含有しない有機系の架橋剤として、OHと反応する各種の架橋剤が使用可能である。イソシアネートや酸無水物、エポキシ化合物、ジビニルスルホンのようなビニル化合物、その他の化合物が適用可能である。
これらのうち、強度にまさる無機系の架橋剤を用いることが好ましく、特に、Ti、Zrを含有する架橋剤を用いることが好ましい。4価の金属であるTi、Zrを含有する架橋剤を用いることにより、Ti、Zrにより架橋されたシェルを有する中空粒子を得ることができる。このように4価の金属により架橋されたシェルは、より強固なシェルを構成することが可能となり、さらに優れた本発明の効果を有する中空粒子を得ることができるため、Ti、Zrを含有する架橋剤を用いることが好ましい。この場合の空隙率は、30%以上が好ましく、更に好ましくは50%以上、特に70%以上であると好ましい。
(酸)
本発明における酸は、シリカに存在するSiOHを、SiO+Mの形で封鎖している陽イオンを除去するために添加する。ケイ酸塩を形成していると考えられるので、陽イオンとより強く結合できるケイ酸よりも強い酸ないし、別の効果(例えばキレート効果)で陽イオンと強く結びつく酸を添加する。
強酸としては、硝酸、硫酸、燐酸、過塩素酸や塩化水素酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸等が挙げられる。この中でも特に好ましいのは、燐酸、塩化水素酸である。
他の酸としては、上記以外の有機酸や無機酸なども使用可能である。有機酸とは、有機化合物のうち酸性をもつものをいう。また、本発明に係る無機酸とは、非金属を含む酸基が水素と結合してできた酸をいう。
有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、トリカルバリル酸、グリコール酸、チオグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、グルコン酸、ピルビン酸、オキサル酢酸、ジグリコール酸、安息香酸、フタル酸、マンデル酸、サリチル酸などが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。この中でも好ましくは、多価カルボン酸(2以上のカルボキシル基を有する有機酸)であり、さらに好ましいのは、クエン酸である。
無機酸としては、酢酸、亜塩素酸、亜硝酸、亜硫酸、亜燐酸、塩素酸、次亜リン酸、アミド硫酸、ホウ酸などが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
酸の添加は、架橋剤と同時または多少前後しても良いが、架橋剤よりあまり前に添加してしまうことは好ましくない。炭酸カルシウムのように、コア粒子から徐々にCaイオンが供給され、再びSiOHが封鎖されてしまう場合があるためである。また架橋剤のみがはじめに添加されていると、水等と反応して活性が下がり、後から生成するSiOHに、十分な架橋効果が期待できなくなる場合があるため、これらは同時に近いタイミングで添加されることが好ましい。なお、金属塩化物のうち水溶液が強酸性を示す、ZrOClやTiCl等の溶液は、水への溶解で塩酸が生成していることから、実質的には酸を同時に添加したものと見なすことができるため、別途酸の添加を行わなくてもよいし、別途酸を添加しても良い。
シリカはコア粒子の表面に付着しているため、添加された酸がコア粒子を溶解する場合でも、まずはSiOHを封鎖している陽イオンを排除する。コア粒子から新たに陽イオンが供給されるより前に架橋剤がSiOHと作用することで、シェルの架橋による強度向上が見込める。
また、加える酸が、コア粒子を溶解する性質をもつ場合、全量溶解するとシリカのシェルが不安定になるため好ましくないが、コア粒子の40質量%以上が溶解せずに残る量より少なければコアの形状を維持できるため実質的には問題がない。さらに好ましくは30質量%以内になるようにする。
(中空粒子の光学材料としての利用)
中空粒子の内部を中空に保ったまま、皮膜中に分散した状態で存在させることで、皮膜の屈折率を低下させることができる。例えば、体積中の50%が空隙であるシリカ系の中空粒子であれば、中空粒子全体としての屈折率は、シリカの屈折率(589nmで、1.46程度)と空気の屈折率(1)の中間の値である、1.23程度となる。この中空粒子を、20体積%含有する皮膜の屈折率は、皮膜を形成する高分子の屈折率が1.5であれば、1.5×0.8+1.23×0.2=1.45程度となり、中空粒子の空隙率を上げることで、皮膜としての屈折率を更に低下させることが出来る。中空粒子の空隙率を上げるには、皮膜を薄くする事が必要であるため、薄くても十分な強度を有する皮膜を得るのに適する本発明は、光学材料としての利用に非常に適している。
(断熱材料としての利用)
中空粒子を皮膜中に分散させた状態で、いわゆる断熱塗料として用いる事が出来るほか、中空粒子を厚膜状に成型して、断熱材料として利用する事ができる。本発明における中空粒子は細孔の大きさが可視光の波長より十分小さい為、高い断熱性能と同時に透明性を有する。断熱性能は粒子の空隙率が高くなると向上する傾向があるため、粒子のシェル体積を小さく出来ることが好ましいが、本手法ではシェルを薄く出来るため高い断熱性能を得ることができる。
厚膜状に成型するには、コア粒子を除去した後に成型するほか、コア粒子除去前に成型し、その後コア粒子をまとめて除去しても良い。厚膜状に成型する際、加圧プレス等の機械的操作を行う場合、コアが残存する状態のままの方が、粒子がプレス圧に耐えられるため成型しやすいからである。架橋はこの成型後に行っても良い。断熱材料の厚みは0.1mm以上であるとその効果が得られ、さらに好ましくは1mm以上である。
粒子の凝集を出来るだけ抑制して成型する事で、粒子間の間隙を均一化するとともに、一時粒子と同程度以下まで小さくする事ができ、断熱性能、透明性を高める事が出来る。具体的には、リシンのようなアミノ酸を用い沈降を進めることで、粒子間距離の均一な凝集、成型を行う事が出来る。(参考文献J.Am.Chem.Soc.,2006,128,13664−13665)
成型は、架橋剤単独でも可能であるが、接着機能を有する高分子を併用する事もが可能である。高分子としては、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコーン系等一般的な高分子のほか、一般的に公知等のような材料も適用可能である。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例1
9%に水分散した微粒子炭酸カルシウム(株式会社ニューライム、ユニフレックス SS、1次粒径40nm)43gを200mlのビーカーに入れ、攪拌しながら、25℃で15%微粒子シリカ水分散液2g(平均粒子径5nm、日産化学社製スノーテックスNXS)を加えた。この液を60℃に昇温後、30分間攪拌を続けた。この時、pH=7.9(25℃)であった。その後、1Nアンモニア水溶液でpHを10に調整し、さらに攪拌を激しくし、下記の作製例詳細に示すように各種の架橋剤及び酸を加えた。
引き続き100℃に昇温、1時間攪拌を続け反応を終了させた(作製例1では、この時の、pH=8.5、25℃であった)。得られた液を遠心分離で上澄みと粒子に分離し、粒子を150℃2時間、窒素下で乾燥させた。乾燥した粒子を、超音波分散機を用いて水に再分散した後、十分な量の酢酸を加え、炭酸カルシウムの分解反応による、炭酸ガスの泡が出なくなるまで反応させた。再び遠心分離を用いて上澄みと粒子に分離後、水中に再分散した粒子に少量のアンモニア水(1N)を加え、pHが7前後になるようにし、再度遠心分離を用いて水洗を行った。得られた中空粒子を150℃で乾燥し、TEM観察した(作製例1について得られた写真を図1に示す)。写真のように、元の粒子の周りにシリカ粒子が付着した形状のままで残る、中空粒子を作製した。
(作製例詳細)
作製例1:
ZrO(+若干のHfO)換算で35%のZrOCl系水溶液:0.83g(第一稀元素社製ジルコゾールZC−2)を、ローラーポンプを用い、5分かけて添加した。
作製例2:
ZrO(+若干のHfO)換算で35%のZrOCl系水溶液:0.83g(第一稀元素社製ジルコゾールZC−2)と3mol/l塩酸1gを合わせた液を5分かけて添加した。
作製例3:
ZrO(+若干のHfO)換算で13%の(NHZrO(CO水溶液:2.2g(第一稀元素社製ジルコゾールAC−7)と3mol/l塩酸6gを、別々のポンプを用いて同時に5分かけて添加した。
作製例4:
作製例3で、塩酸添加から10分後に(NHZrO(COを、各5分ずつかけて添加した。
作製例5:
作製例3で、(NHZrO(CO添加から10分後に塩酸を、各5分ずつかけて添加した。
作製例6:
作製例3で、3mol/l塩酸の代わりに、3mol/lのクエン酸水溶液を同時に、5分かけて添加した。
作製例7:
作製例3で、3mol/l塩酸の代わりに、3mol/lの酢酸水溶液を同時に、5分かけて添加した。
作製例8:
架橋剤、酸の添加を行わなかった。
作製例9:
作製例3で、ZrO(+若干のHfO)換算で13%の(NHZrO(CO水溶液:2.2g(第一稀元素社製ジルコゾールAC−7)のみを5分かけて添加した。
作製例10:
作製例1でZrOCl系水溶液に代わり、Tiとして16.5%を含む四塩化チタン水溶液0.83gを、5分かけて添加した。
作製例11:
作製例10で、四塩化チタンに代わり、テトライソプロポキシチタンを1.7g、3mol/lと塩酸6gを、別々のポンプを用いて同時に5分かけて添加した。
作製例12:
作製例11で、テトライソプロポキシチタンを1.7gのみを、5分かけて添加した。
作製例13:
乾燥後に、水分散型イソシアネート(WE50−100、旭化成社製)1gと、3mol/lの塩酸1gを、別々のローラーポンプを用い5分かけて添加した。
作製例14:
作製例13で、水分散型イソシアネート(WE50−100、旭化成社製)1gのみをローラーポンプを用い、5分かけて添加した。
作製例15:
乾燥後に、ジビニルスルホン1gと3mol/lの燐酸1gを、別々のローラーポンプを用いて5分かけて添加した。
作製例16:
ジビニルスルホン1gのみをローラーポンプを用い、5分かけて添加した。
作製例17:
3mol/lの塩酸1gのみをローラーポンプを用い、5分かけて添加した。
(中空粒子の空隙率評価)
本実施例においては、ISPジャパン社製のPVP/PVA(ポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテート)コポリマー、W−635(PVP/PVA=6/4、屈折率n=1.50)をバインダーとし、粒子質量分率=0.1で2質量%にした水溶液を、ガラス上にアプリケータで塗布、150℃で乾燥させて1μm厚程度の皮膜を作製し、その屈折率を分光エリプソメーター(Horiba製、MM−16)で測定した。本実施例では波長589nmに対する値(n)で比較した。実際の空隙率、すなわち粒子全体に対する空隙体積の比をTEM写真から正確に求めることは困難であるが、ポリマーバインダーに分散して塗布乾燥することで皮膜を作製し、この皮膜の屈折率を測定すると、中空粒子内部の空隙が多いほど皮膜の屈折率も低下していく。このことから、中空粒子の空隙率の平均値を逆算することができる。シェルが強固で、乾燥による破壊が少ないほど、粒子のシェルが破壊されにくくなるため、空隙率の平均値は増大し、シェルが強固であると言い換えることもできる。空隙率に依存する屈折率の変化を式にすると下記のようになる。
平均屈折率(navg)=x×n+(1−x)×n
ここで、xは粒子の中空粒子の体積分率(空隙含む)、nは中空粒子の屈折率、nはバインダーの屈折率である。さらに、
x=a/S/(a/S+(1+(1−a)/S
と表される。ここで、aは粒子の質量分率、Sは粒子の見かけ比重(=シリカの真比重×(1−V)、Vは空隙率)、Sはバインダーの比重である。シリカの屈折率は1.46で、TiOやZrOの屈折率は一般に2以上と高いが、元素分析の結果、シェルに取り込まれているTi、Zr原子の割合が、Siに比して1/10以下であったため、シェルの屈折率は1.46として計算した。シリカの真比重=2、バインダーの比重を1.25とし、この関係をグラフにすると図3(PVP/PVA屈折率=1.50)のようになる。さらに、粒子空隙率と皮膜の屈折率を図4(PVP/PVA屈折率=1.50、粒子質量分率=0.1)に示す。これらの図から、皮膜の屈折率測定値から中空粒子の空隙率を逆算することができる。また、粒子の質量分率が同一であれば、皮膜の屈折率が低いほど空隙率が大きいことも分かる。測定した皮膜の屈折率から逆算した中空粒子の空隙率を表1にあわせて示す。
作製例1(本発明)で得られた中空粒子のTEM写真を図1に、作製例8(比較例)のTEM写真を図2にそれぞれ示す。なお、TEM観察の評価は、中空状にシリカシェルができている度合いを目視観察の結果で記した。シェルが設けられている量が多い順に、
多い(加えたシリカ粒子のほとんどがシェル形状を保っている)>部分的に中空粒子有り(=中空有りシリカ粒子の半分以上がシェル形状を保っている)>部分的(シリカ粒子のうちシェル形状を保っている粒子が半分以下)>少ない(シリカ粒子のうちシェル形状を保っている粒子が10%以下)>なし
とした。
シェルが設けられている量が多い順に、中空粒子の強度が高いことを示す。本発明では、毛管収縮力が強く働く水から、直接150℃に加熱して乾燥しているため、粒子形状が維持されにくいが、比較例に比して、本発明の中空粒子では中空のシェル形状を保つ粒子が多い。また、空隙率も高いことも、乾燥収縮により、中空部の体積が減っておらず、シェルが強固であることを示している。
以上のように、本発明で作製された粒子は高い空隙率を有し、強固なシェル構造からなる中空粒子であることが確認された。さらに、低屈折率材料としても有用であることが示された。
実施例2:中空粒子を用いた断熱材料作製
本発明を、中空粒子の集合体からなる断熱シートに成型した例を示す。
実施例1で作製した、架橋剤添加後の粒子分散液(粒子12.5gを含む)を10cm角で周囲に枠を有する型に流し込み、3時間静置して粒子を沈降させた。さらに全体を1tonのプレスで圧縮、脱水後、150℃で10時間乾燥し、約1mm厚のシート状成型体を得た。この成型体を、0.5N塩酸を用いて炭酸カルシウムの分解による泡が発生しなくなるまで十分に洗浄した。その後、純水への1日浸漬、水の取替えを3回繰り返し、内部の塩を除去した。
得られた、含水シートを、水:148g、ヘキサメチルジシロキサン:26g、2−プロパノール:30g、5N塩酸:60gの混合液に浸し、60℃に保温しながら振盪機(EYELA MMS−210)を用いて3日間反応させた。その後、常温で放置、乾燥して、多孔質のシートを得た。得られたシートの質量と、体積から比重を求めたところ、約0.2であり、空隙率が90%になっていると計算された。また、空隙径を、オートポアIII9420(島津製作所製)を用い、水銀圧入法で測定した。具体的には、測定した空隙径を100個5回測定して、その数平均値を求めることにより求めた。その結果、平均空隙径は41nmとなりナノ細孔を有していることが確認された。この空隙径は、空気の平均自由工程である60〜70nmに比して十分小さいことから、空気よりも熱伝導率の低い断熱材料としての利用が可能である。

Claims (7)

  1. コア粒子を有する溶液中にシリカ系材料を添加して乾燥を行った後、該コア粒子を除去することで、該シリカ系材料を有する中空粒子を製造する中空粒子の製造方法であって、該シリカ系材料を添加した後、該コア粒子を除去する前に、該シリカ系材料を架橋する架橋剤及び酸を添加することを特徴とする中空粒子の製造方法。
  2. 水系溶媒に前記シリカ系材料を添加することを特徴とする請求項1に記載の中空粒子の製造方法。
  3. 前記架橋剤が、ジルコニウムまたはチタンの化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の中空粒子の製造方法。
  4. 前記酸が、無機酸または多価カルボン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  5. 前記コア粒子が、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法で得られた中空粒子を用いることを特徴とする光学材料。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空粒子の製造方法で得られた中空粒子を用いることを特徴とする断熱材料。
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