JP2000086938A - 光触媒性塗料組成物 - Google Patents

光触媒性塗料組成物

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JP2000086938A JP10283546A JP28354698A JP2000086938A JP 2000086938 A JP2000086938 A JP 2000086938A JP 10283546 A JP10283546 A JP 10283546A JP 28354698 A JP28354698 A JP 28354698A JP 2000086938 A JP2000086938 A JP 2000086938A
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勝一 千葉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光触媒粒子、バインダ、溶媒とを含有してなる
光触媒性塗料組成物において、優れた光触媒機能を有す
る光触媒膜を物品の表面に簡便に形成することができる
塗料組成物を提供すること。さらに、優れた光触媒機能
を有する光触媒膜を形成した物品を提供すること。 【解決手段】ジカルボン酸およびその誘導体からなる群
より選択される少なくとも一種の化合物と、光触媒粒子
と、バインダと、溶媒とを含有させて、光触媒性塗料組
成物とする。さらに、この光触媒性塗料組成物を物品の
表面に塗布しあるいは吹き付けし、次いで、乾燥するこ
とにより、光触媒膜を形成してなる物品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒膜の形成に
利用するための光触媒性塗料組成物、光触媒膜を形成し
た物品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンにそのバンドギャップ以上の
エネルギーを有する光を照射すると、光励起し、酸化チ
タン粒子表面に正孔と電子が発生する。特に酸化チタン
粒子表面に生じた正孔は非常に強力な酸化力を有してい
ることから、有害物質、悪臭物質、刺激性物質、環境汚
染物質、黴、藻類、細菌などの有害物を除去できる。こ
のように光を照射すると価電子帯の電子が励起する物質
を光触媒と呼び、光励起により発現する前記の有害物除
去機能などを一般に光触媒機能と呼び、近年研究が盛ん
に行われている。さらに、この光触媒機能を利用して、
物品の表面を親水性にし、汚れを付着しにくくしたり、
曇りを防止したりすることもでき、光触媒の適用場面が
広がりつつある。
【0003】光触媒は、それぞれの用途に応じて、粉体
の状態、成形体の状態、光触媒を分散したゾルの状態、
物品の表面に固定した状態で用いられるが、反応系から
の飛散や流出を防止できるなどの取扱いのよさから物品
の表面に固定した状態で用いられる場合が多い。さら
に、前記の親水化機能を利用する場合には、物品の表面
に光触媒膜を均一に形成して固定化する必要がある。光
触媒を固定化するには、光触媒粒子をバインダ、溶媒に
分散させた光触媒性塗料組成物を物品の表面に塗布した
り、吹き付けたりする方法が、光触媒膜を均一に形成す
ることができるため好ましい方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】光触媒粒子、バイン
ダ、溶媒とを含有してなる前記の光触媒性塗料組成物を
用いて光触媒膜を形成すると、光触媒粒子がバインダで
覆われやすく、本来の光触媒機能を発現できにくい場合
があり、さらなる改善が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、より一層
優れた光触媒機能を発現できる光触媒膜を作成するため
に種々検討した結果、ジカルボン酸およびその誘導体か
らなる群より選択される少なくとも一種の化合物と、光
触媒粒子と、バインダと、溶媒とを含有させて光触媒性
塗料組成物とすると、所望の光触媒膜が得られることを
見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、優れ
た光触媒機能を有する光触媒膜を形成する光触媒性塗料
組成物を提供することにある。さらには、その光触媒性
塗料組成物を用いて光触媒膜を形成してなる物品、およ
びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、ジカルボン酸およびそ
の誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化
合物と、光触媒粒子と、バインダと、溶媒とを含有させ
てなることを特徴とする光触媒性塗料組成物である。本
発明の光触媒性塗料組成物は、ジカルボン酸およびその
誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合
物、光触媒粒子、バインダ、溶媒を常法によりそれぞれ
混合して製造することができる。
【0007】光触媒粒子とは、そのバンドギャップ以上
のエネルギーを持つ波長の光を照射すると光触媒機能を
発現する粒子のことであり、酸化チタン、酸化亜鉛、酸
化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロンチウムなど
の公知の金属化合物半導体を、単一または二種以上を組
み合わせて用いることができる。特に、高い光触媒機能
を有し、化学的に安定であり、かつ、無害である酸化チ
タンが好ましい。この酸化チタンの平均粒子径は、1〜
500nmの範囲が好ましく、1〜100nmの範囲が
より好ましく、1〜50nmの範囲がさらに好ましく、
1〜10nmの範囲が優れた光触媒機能を有するためも
っとも好ましい。さらに、光触媒粒子の内部および/ま
たはその表面に、第二成分として、V、Fe、Co、N
i、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Ptおよび
Auからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属およ
び/または金属化合物を含有させると、一層高い光触媒
機能を有するため好ましい。前記の金属化合物として
は、例えば、金属の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化
物、硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、さらには金属イオ
ンなどを含む。第二成分の含有量はその物質により適宜
設定できる。前記の金属および/または金属化合物を含
有させる光触媒粒子としては、酸化チタンが好ましい。
光触媒粒子の配合量は、光触媒性塗料組成物中に0.0
1〜10重量%程度であり、0.05〜5重量%が好ま
しく、0.1〜5重量%がより好ましく、0.1〜1重
量%がさらに好ましい。光触媒粒子の配合量が上記範囲
より少ないと、光触媒機能が低下しやすく、また、上記
範囲より多いと光触媒膜を形成しにくくなるため好まし
くない。
【0008】本発明において用いる光触媒粒子は、公知
の方法で得られる。例えば酸化チタンを得る方法として
は、硫酸チタン、硫酸チタニル、塩化チタン、チタン
アルコキシドなどのチタン化合物を、必要に応じて核形
成用種子の存在下に、加熱加水分解する方法、必要に
応じて核形成用種子の存在下に、硫酸チタン、硫酸チタ
ニル、塩化チタン、チタンアルコキシドなどのチタン化
合物にアルカリを添加し、中和する方法、塩化チタン
やチタンアルコキシドなどを気相酸化する方法、前記
、の方法で得られた酸化チタンを焼成あるいは水熱
処理する方法などがあり、特に、前記の方法で得られ
た酸化チタンは、光触媒機能が高いため好ましい。本発
明において酸化チタンとは、酸化チタンのほか、含水酸
化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタ
ン酸、水酸化チタンなどと一般に呼ばれているものを含
み、その結晶型は問わない。光触媒粒子の内部および/
またはその表面に、第二成分として、V、Fe、Co、
Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Ptおよ
びAuからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属お
よび/または金属化合物を含有させるには、光触媒粒子
を製造する際に該金属および/または該金属化合物を添
加し、吸着させる方法、光触媒粒子を製造した後に該金
属および/または該金属化合物を添加し、吸着させ、必
要に応じて加熱したり、あるいは必要に応じて還元した
りする方法を用いることができる。
【0009】光触媒粒子は、ゾルの状態のものを用いる
と、平滑な光触媒膜や透明性の高い光触媒膜が得られや
すいため、好ましい。例えば、酸化チタンゾルを得るに
は、(1)含水酸化チタンなどの酸化チタンを一塩基酸
およびその塩で解膠処理したり、(2)四塩化チタンを
低温の水に添加した後透析したり、(3)塩酸水溶液に
チタンアルコキシドを添加したりして得ることができ
る。上記(1)の方法において、含水酸化チタンは、例
えば硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン等の水溶
性無機チタン化合物などのチタン化合物を加熱加水分解
したり、チタン化合物水溶液に水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、アンモニア水などのアルカリを添加し、中
和したりして得ることができる。加水分解して得られる
含水酸化チタンは、普通このものをアルカリで中和し、
固液分離、洗浄、脱水して、内部に残存している硫酸根
をできるだけ除去した後この脱水物に塩酸、硝酸、酢
酸、塩素酸、クロル酸などの一塩基酸またはその塩を加
えて解膠処理する。解膠処理で生成する酸化チタンゾル
は、一塩基酸またはその塩を分散安定化剤として含有し
ており、通常pH3以下の酸性を示す。酸化チタン粒子
の粒子径は、加熱加水分解を行ったり、中和温度を下げ
たり、中和反応を遅くしたりすることによって、より微
細なものとすることができる。このようにして得られた
酸性域のpHで安定な酸化チタンゾルに、アルカリを徐
々に加えpHを上げると、中性域、アルカリ性域のpH
で安定な酸化チタンゾルが得られる。得られた中性域、
アルカリ性域の酸化チタンゾルから、必要に応じて、不
純物を除去することもできる。
【0010】バインダとしては、例えば、アルキルシリ
ケート、ハロゲン化ケイ素およびこれらの部分加水分解
物などの加水分解性ケイ素化合物を加水分解して得られ
た生成物、シリカ、コロイダルシリカ、水ガラス、オル
ガノポリシロキサンなどのケイ素化合物、リン酸亜鉛、
リン酸アルミニウムなどのリン酸塩、重リン酸塩、セメ
ント、石灰、セッコウ、ほうろう用フリット、グラスラ
イニング用うわぐすり、プラスターなどの無機系バイン
ダ、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマーなどの有
機系バインダなどのバインダの一種または二種以上を配
合してもよい。バインダは、光触媒の光触媒機能により
劣化したり、分解したりするため、使用場面、光触媒機
能の程度や用途に応じてバインダの種類を適宜選択する
必要がある。バインダとしては、光触媒粒子が持つ光触
媒機能による劣化、分解の速度が極めて遅いことから、
アルキルシリケートなどの加水分解性ケイ素化合物の加
水分解生成物、シリコーン系ポリマー、フッ素系ポリマ
ーが好ましい。アルキルシリケートとは、一般式として
Sin n-1 (OR)2n+2(但しSiはケイ素、Oは酸
素、Rはアルキル基を示す。)で表される化合物をい
い、nが1〜6であって、Rは炭素数が1〜4のアルキ
ル基であるものがケイ素の割合が多い点でより好まし
い。バインダの配合量は、固形分に換算して、光触媒粒
子に対して10〜2000重量%程度であり、25〜1
000重量%が好ましく、25〜500重量%がより好
ましく、25〜250重量%がさらに好ましい。バイン
ダの配合量が上記範囲より少ないと光触媒膜としたとき
光触媒が脱離しやすく、また、上記範囲より多いと光触
媒機能が低下しやすくなるため好ましくない。
【0011】溶媒としては、無機溶媒または有機溶媒、
それらの混合物を用いることができる。無機溶媒として
は水が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、エタ
ノール、2−プロパノール、エチレングリコール等のア
ルコール類、ケトン類などを用いることができる。取扱
い性、塗工性の点からアルコールを含有してなるものが
好ましい。溶媒の配合量は、作業性に応じて適宜設定す
ることができる。
【0012】本発明の光触媒性塗料組成物には、ジカル
ボン酸およびその誘導体からなる群より選択される少な
くとも一種の化合物を含有させる。ジカルボン酸とは、
分子内にカルボキシル基COOHを二個持つ有機化合物
であり、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸などの脂肪族飽和ジカルボン酸、マ
レイン酸、フマル酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジ
カルボン酸などを用いることができる。ジカルボン酸誘
導体とは、前記のジカルボン酸のエステル化物、ジカル
ボン酸の塩、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸アジ
ド、ジカルボン酸アミド、ジカルボン酸イミドなどのジ
カルボン酸に小部分の構造上の変化があってできる化合
物のことであり、例えば、ジカルボン酸メチル、ジカル
ボン酸エチル、ジカルボン酸プロピル、ジカルボン酸ブ
チル、ジカルボン酸ナトリウム、ジカルボン酸アンモニ
ウムなどを用いることができる。また、ジカルボン酸ま
たはその誘導体を含有した商品、例えば、三種のジカル
ボン酸エステルを配合した商品名ローディアソルブ(ロ
─ヌ・プーラン ジャパン社製)を用いてもよい。ジカ
ルボン酸およびその誘導体の含有量は、光触媒性塗料組
成物中の光触媒粒子に対して0.5〜500重量%程度
であり、5〜500重量%が好ましく、10〜500重
量%がより好ましく、25〜250重量%がさらに好ま
しい。ジカルボン酸およびその誘導体の含有量が上記範
囲より少ないと添加効果が発現しにくく、また、上記範
囲より多くしてもそれ以上の顕著な効果が認められにく
いため好ましくない。なお、ジカルボン酸またはその誘
導体を含有することによる作用機構は、未だに明らかに
なっていないが、溶媒の蒸発速度を遅くしたり、酸触媒
としてバインダの硬化速度を促進したりする作用がある
と考えられ、ジカルボン酸またはその誘導体を含有した
光触媒性塗料組成物を用いて作成した光触媒膜が多孔性
になることにより、光触媒機能、特に親水化機能が改善
できると推察している。なお、本発明の光触媒性塗料組
成物には、ジカルボン酸およびその誘導体からなる群よ
り選択される少なくとも一種の化合物、光触媒粒子、バ
インダ、溶媒以外に、分散剤、界面活性剤、硬化剤、架
橋剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
【0013】次に、本発明は、前記の光触媒性塗料組成
物を用いて物品の表面上に光触媒膜を形成してなること
を特徴とする物品である。物品としては、セラミック
ス、ガラスなどの無機材質の物品、プラスチック、ゴ
ム、木、紙などの有機材質の物品、アルミニウムなどの
金属、綱などの合金などの金属材質の物品を用いること
ができる。物品の大きさや形には特に制限されない。物
品上に形成される光触媒膜の膜厚は、用途に応じて適宜
設定することができ、例えば、0.01〜100μm程
度の膜厚とすることができる。本発明の光触媒性塗料組
成物を用いて、物品上に光触媒膜を形成するには、物品
に光触媒性塗料組成物を塗布したりあるいは吹き付けた
りして行うことができ、具体的には、例えば、含浸法、
ディップコーティング法、スピナーコーティング法、ブ
レードコーティング法、ローラーコーティング法、ワイ
ヤーバーコーティング法、リバースロールコーティング
法、刷毛塗り法、スポンジ塗り法などの通常の方法で塗
布したり、あるいは、スプレーコーティング法などの通
常の方法で吹き付けたりすることができる。このように
して塗布あるいは吹き付けた後、乾燥または焼成して溶
媒を除去する。乾燥または焼成の温度は、700℃より
低い温度で行うのが好ましく、室温〜500℃の温度で
行うのがより好ましい。この場合、700℃より高いと
光触媒機能が低下しやすくなるため好ましくない。乾
燥、焼成の際に、ジカルボン酸およびその誘導体からな
る群より選択される少なくとも一種の含有した化合物
は、分解したり、蒸発したりする場合がある。さらに、
必要に応じて、用いたバインダを固化するために、例え
ば紫外線照射などの方法を用いてもよい。なお、物品に
光触媒性塗料組成物を塗布したりあるいは吹き付けした
りする前に、必要に応じて、前記の有機系バインダ、ア
クリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミ
ン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂などの有機系バイ
ンダや前記の無機系バインダをプライマーあるいは塗装
として予め物品に塗布したりあるいは吹き付けしたりし
てもよい。
【0014】本発明の光触媒膜を形成した物品は、光触
媒として有用である。光触媒のバンドギャップ以上のエ
ネルギーを持つ波長の光を照射させることにより、その
回りに存在する有毒物質、悪臭物質、刺激性物質、環境
汚染物質、菌、黴、藻類、細菌などの有害物を除去でき
るほか、物品の表面を親水性にし、汚れを防止したり、
曇りを防止することができる。照射する光としては、紫
外線を含有した光などが挙げられ、例えば、太陽光や蛍
光灯、ブラックライト、ハロゲンランプ、キセノンフラ
ッシュランプ、水銀灯などの光を用いることができる。
特に、光触媒として酸化チタンを用いる場合には、30
0〜400nmの近紫外線を含有した光が好ましい。光
の照射量や照射時間などは処理する物質の種類や量によ
って適宜設定できる。
【0015】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0016】実施例1 光触媒性塗料(ST−K03、石原産業社製:光触媒と
して平均粒子径30nmの酸化チタンを含有するゾル
を、バインダとして加水分解性ケイ素化合物の加水分解
生成物を、溶媒として水とアルコールを配合したもの)
にコハク酸ジメチル、イソプロパノールを添加して、本
発明の光触媒性塗料組成物(試料A)を得た。この試料
Aは、酸化チタン濃度が2重量%であり、ケイ素化合物
中のケイ素をSiO2 に換算した量(固形分)は酸化チ
タンに対して100重量%、コハク酸ジメチルは酸化チ
タンに対して245重量%含有していた。
【0017】実施例2 実施例1において、コハク酸ジメチルに代えてアジピン
酸ジメチルを使用したこと以外は実施例1と同様に処理
して、本発明の光触媒性塗料組成物(試料B)を得た。
この試料Bは、酸化チタン濃度が2重量%であり、ケイ
素化合物中のケイ素をSiO2 に換算した量(固形分)
は酸化チタンに対して100重量%、アジピン酸ジメチ
ルが酸化チタンに対して245重量%含有していた。
【0018】実施例3 実施例1において、コハク酸ジメチルに代えてグルタル
酸ジメチルを使用したこと以外は実施例1と同様に処理
して、本発明の光触媒性塗料組成物(試料C)を得た。
この試料Cは、酸化チタン濃度が2重量%であり、ケイ
素化合物中のケイ素をSiO2 に換算した量(固形分)
は酸化チタンに対して100重量%、グルタル酸ジメチ
ルは酸化チタンに対して245重量%含有していた。
【0019】比較例1 実施例1において、コハク酸ジメチルを用いないこと以
外は実施例1と同様に処理して、光触媒性塗料組成物
(試料D)を得た。この試料Dは、酸化チタン濃度が2
重量%であり、ケイ素化合物中のケイ素をSiO2 に換
算した量(固形分)は酸化チタンに対して100重量%
含有していた。
【0020】前記の実施例、比較例で得られた光触媒性
塗料組成物(試料A、B、C、D)を、スピンコータ
(ミカサ社製:1H−360S)を用いて回転数を15
00rpmとして10秒でガラス板に塗布し、その後1
50℃の温度で10分間乾燥させて試験板(物品)とし
た。これらの試験板(物品)を用いて、暗所で24時間
放置した後の水との接触角(表1中、光照射時間0分の
データ)、試験板(物品)に紫外線光量1mW/cm2
のブラックライトを所定時間照射した後の水との接触角
を測定した結果を表1に示す。この結果から、本発明の
光触媒性塗料組成物を用いた試験板(物品)は、光照射
前でも水との接触角が低く(0〜10°の範囲とするこ
とができる)、光照射下での接触角の低下が早いこと、
すなわち、初期親水化活性に優れていることがわかっ
た。
【0021】
【表1】
【0022】次に、紫外線を照射して水の接触角が0°
になった前記の試験板(物品)を暗所で保持した結果を
表2に示す。この結果から、本発明の光触媒性塗料組成
物を用いた試験板(物品)は、接触角が低い状態を維持
しやすいこと、すなわち、親水化活性の維持性にも優れ
ていることがわかった。
【0023】
【表2】
【0024】次に、紫外線を照射して水の接触角が0°
になった前記の試験板(物品)に、汚れ成分を付着させ
て、親水化活性の回復性を調べた。それぞれの試験板
(物品)に0.005%のリノール酸トリグリセリドの
キシレン溶液をスピンコータ(ミカサ社製:1H−36
0S)を用いて回転数を1000rpmとして10秒で
塗布し、その後100℃の温度で10分間乾燥させた。
これらの試験板(物品)を用いて、光照射前の水との接
触角、試験板(物品)に紫外線光量1mW/cm2 のブ
ラックライトを所定時間照射した後の水との接触角を測
定した結果を表3に示す。この結果から、本発明の光触
媒性塗料組成物を用いた試験板(物品)は、光照射前で
も水との接触角が低く、光照射下での接触角の低下が早
いこと、すなわち、親水化活性の回復性に優れているこ
とがわかった。
【0025】
【表3】
【0026】
【発明の効果】本発明は、ジカルボン酸およびその誘導
体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物
と、光触媒粒子と、バインダと、溶媒とを含有してなる
ことを特徴とする光触媒性塗料組成物であって、光触媒
機能に優れた光触媒膜を作成することができ、光触媒機
能を物品の表面に簡便に付与することができる。特に、
本発明の光触媒性塗料組成物は、親水化機能(初期親水
化活性、親水化活性の維持性、親水化活性の回復性)に
優れた光触媒膜を形成することができ、防汚性、防曇性
などにも優れた物品を得ることができる。また、本発明
は、前記の光触媒性塗料組成物を用いて物品の表面上に
光触媒膜を形成してなることを特徴とする物品であっ
て、光触媒機能を有する物品、特に親水化機能に優れた
物品として、工業用、あるいは、家庭用に広範囲に用い
ることができる。また、本発明は、前記の光触媒性塗料
組成物を物品の表面に塗布しあるいは吹き付けし、次い
で、乾燥することを特徴とする光触媒膜を形成してなる
物品の製造方法であって、あらゆる物品の表面に光触媒
機能を付与することができ、光触媒機能を有する物品を
簡便に製造することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジカルボン酸およびその誘導体からなる群
    より選択される少なくとも一種の化合物と、光触媒粒子
    と、バインダと、溶媒とを含有してなることを特徴とす
    る光触媒性塗料組成物。
  2. 【請求項2】ジカルボン酸およびその誘導体からなる群
    より選択される少なくとも一種の化合物の含有量が光触
    媒粒子に対して0.5〜500重量%であることを特徴
    とする請求項1に記載の光触媒性塗料組成物。
  3. 【請求項3】光触媒粒子の含有量が0.01〜10重量
    %であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒性塗
    料組成物。
  4. 【請求項4】光触媒粒子が、1〜500nmの範囲の平
    均粒子径を有する酸化チタンであることを特徴とする請
    求項1に記載の光触媒性塗料組成物。
  5. 【請求項5】バインダが、加水分解性ケイ素化合物の加
    水分解生成物であることを特徴とする請求項1に記載の
    光触媒性塗料組成物。
  6. 【請求項6】加水分解性ケイ素化合物がSin
    n-1 (OR)2n+2(但しnは1〜6、Rは炭素数が1〜
    4のアルキル基)で表されるアルキルシリケートである
    ことを特徴とする請求項5に記載の光触媒性塗料組成
    物。
  7. 【請求項7】溶媒が、アルコールを含有してなるもので
    あることを特徴とする請求項1に記載の光触媒性塗料組
    成物。
  8. 【請求項8】請求項1に記載の光触媒性塗料組成物を用
    いて物品の表面上に光触媒膜を形成してなることを特徴
    とする物品。
  9. 【請求項9】請求項1に記載の光触媒性塗料組成物を物
    品の表面に塗布しあるいは吹き付けし、次いで、乾燥す
    ることを特徴とする光触媒膜を形成してなる物品の製造
    方法。
JP28354698A 1998-09-17 1998-09-17 光触媒性塗料組成物 Expired - Lifetime JP4034885B2 (ja)

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WO2002085989A1 (en) * 2001-04-25 2002-10-31 Nanopac Ltd. Photocatalytic coating material having photocatalytic activity and adsorption property and method for preparing the same
JP2010110672A (ja) * 2008-11-04 2010-05-20 Sumitomo Chemical Co Ltd 光触媒体分散液

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