JP5606437B2 - 新規チタン酸モノマーおよびその高分子ならびにその製造方法および用途 - Google Patents

新規チタン酸モノマーおよびその高分子ならびにその製造方法および用途 Download PDF

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Description

本発明は新規チタン酸モノマーおよび高分子およびその製造方法ならびに用途に関する。さらに詳しくは、チタンを代表とする多価の金属に保護基を形成し、水溶性透明のモノマーを合成しこのモノマーを基幹原料にして、これにリン酸、水溶性リン酸化合物やキレートを形成する試薬トリアルキルホスフィンオキサイドまたはキレート作用を有するイオン交換樹脂、例えばアニオン交換樹脂を用いて連鎖移動重合し、透明なポリマーを形成させ、モノマーをアンダーコート剤や、光輝剤、セルフクリーニング剤、接着剤、耐磨耗・耐熱光輝剤などに用い、ポリマーを暗所から紫外下までの活性なる触媒に供し、連鎖移動剤の極性と添加量により、極性を自由に選択し、連鎖移動剤をチタンに対し等価モルを用いると、暗所での活性は最大となるが、紫外下では活性が少ないアンダーコート剤や暗所触媒に供し、1/2モル代価以下になるに従って、光活性を増す触媒を自由に設計でき、高親油性、高親水性を自由に設計でき、異質のアンダーコート剤や、接着剤を用いる必要がなく、塗布した直後JIS法(テトラバッグ法)では活性を示さないような値になるが、光または、自己分子内活性、および熱、ならびにキレート剤および過酸化水素に接触させる条件により、活性を短時間に発現する新規チタニアで、非光下から紫外下までの触媒、リン酸チタニア膜形成剤、パーオキシリン酸チタニア膜形成剤、分子内自己活性剤、コゲ付・焼付き剥離剤、塩ビクロス結合型チタニア、表面極性転換剤、耐酸性チタン膜形成剤、電磁波防御剤、超伝導剤、繊維・糸やプラスチックの帯電防止剤、耐摩耗賦与剤・耐熱・光輝性賦与剤、乾式潤滑剤、防錆剤、耐熱光輝を賦与する表面処理剤、親油性塗料膜形成剤、親水性塗料膜形成剤、高親油性・親水性を賦与する表面処理剤、除苔剤、防苔剤、殺菌剤、抗菌剤、殺カビ剤、抗カビ剤、チタン酸糸またはフィルムの成型体、消臭剤、NOX−SOX固定化触媒、セラミックコンデンサー用チタン酸バリウム合成剤、水に可溶なキレート剤の不溶化(固定化)剤、キレート剤、水系エステル交換触媒、CO2、H2O分解触媒、粒子状チタニアの結合型接着剤、多糖類の加水分解触媒、防錆剤、木材防腐防蟻剤、農薬、養魚薬、防汚・除汚(セルフクリーニング)剤、紫外線熱線防御剤、劣化・白華表面の修復剤などに供することができ、塗布法用途だけでなく紡糸・フィルム状に成型することができ、添加剤、合成試薬などにも用いられる、新規チタン酸モノマーおよび高分子およびその製造方法ならびに用途に関する。
なお、本発明において、「チタニア」とは、「保護基を有するチタン酸モノマーおよび連鎖移動重合により得られるポリマー」を指す用語である。
公知公用のチタニアは、チタン化合物が殆どが粒子状(立方晶など)からなり、数ナノ〜50ナノを用いて、ガラス透明性・防汚剤(接触角5度以下の親水膜)を提供し、(特許文献1:特開平10−314598号公報)、50〜300ナノの大粒子を光活性触媒として、水に分散または、粉体として、接着剤やアンダーコート剤を用いて、使用されてきた。
これらの改良技術として、佐賀型チタニア・パーオキシチタン酸(水酸化チタン酸ゾルの表面を過酸化水素でパーオキシ化した1〜2%透明液)が開発されたが、(特許文献2:特開平9−124865号公報、特許文献3:特開平9−71418号公報)長期間光触媒防汚活性を維持できない原因として考えられるのが、過酸化基が、大気ガスおよび降砂等に含まれる還元剤で還元され、主として活性を示していた部分が活性の低い酸化チタン粒子すなわち酸化チタン微粒子の表面に露出するパーオキシ基が還元され、水酸基にもどるためか、経時により数ナノ〜数十ナノの粒子が再凝集粗大粒子化し、白華、脱落するかどちらかと考えられる(アモルファス型パーオキシチタン酸膜→還元→水酸化チタン粒状結晶→白華→脱落)。
さらに改良された大阪市、工、研とYOOコーポレーションの共願特許リン酸チタニア(特許文献4:特開2004−130195号公報、特許文献5:特願2001−111097号公報)があるが、IPAと水1対1に四塩化チタンを0.5%というきわめてうすい量加えて反応する方法で、四塩化チタンは、2%以下のチタン酸化物として1〜50ナノの粒子を形成し、IPAと粒子の表面に生成する水酸化チタン末端基(チタン酸末端)が(イソプロピルアルコールと保護コロイド)系を形成し、殆ど透明な液となるが、これは、あくまでも数ナノ〜数10ナノの粒子の表面にあるヒドロキシル基(チタン酸基とIPAが、分子結合する)保護コロイドによるものであり、リン酸を加えると同時に、強力なリン酸とのキレート反応が進み、酸化チタン結晶粒子の表面にのみ存在するヒドロキシル基(チタン酸基)にリン酸が結合して、大粒子となり沈殿する(100〜400ナノの粒子が静置すると沈殿する)、この分離する液を均一に振とうして、ガラスに塗布し、700℃で焼成して活性を測定し、分離するエマルジョンを被体に塗布して活性を測定し、リン酸チタニアとして販売しているが、常温塗布用としては分離沈殿するために使用が難しく、普及してない。さらに上澄み液を透明リン酸チタニアとして販売しているが、チタンは殆ど含まれず、リン酸液に近く、暗所消臭効果は、リン酸による化学的吸着であることが判明してきている。(リン酸チタニアとは言えない)そのため、これらのチタニアは、3か月程度で失効することが多く、粒子チタニアとしての欠点は、解決されていない。
さらに、そのクレームの中に「アルコールと四塩化チタンを反応したものも用いるように請求しているが、実施例に表示していないため、本発明の「保護基を形成する高濃度のメトキシチタン酸水溶透明液」を発明するに至っておらず、しかも、アルコールは「エタノールかイソプロピルアルコールが好ましい」とあるため、「水を加えないメタノールと塩酸系またはメタノールに四塩化チタンやアルコキシチタン酸を加えて、高濃度の保護基を有するメトキシチタン酸モノマーを合成し、水に無限に溶解し、アルコールやキシレンなどの親水性・親油性溶剤に溶解するモノマーはもちろん、水や有機溶剤に透明に溶解する高濃度のポリマー」の発明に至っていない。さらに加えると、得られたリン酸チタニア化合物は、アルコキシ水酸化チタン酸Ti(OH)4(OR)4、アルコキシ、ヒドロキシチタン酸の縮合体表面に露出したヒドロキシチタン酸基とリン酸の化合物とされており、アルコール、特にイソプロピルアルコールの強い保護コロイド作用による「保護コロイドチタン酸」であって、「水中でアルコキシチタン酸を形成し得ていない」。なぜなら、アルコキシチタン酸は、水に触れると加水分解され、水酸化チタンになるのは常識だからである。
その後、YOOコーポレーションは、これらの欠点を解決するためにアモルファス・金属複合体が特許文献6(特開2005−82763号公報)で公開されているが、リン酸を加える前の保護コロイド液は、0.5%にしか過ぎず、リン酸を加えた段階で、沈殿を生じてその濾液上澄みを濾別して膜用リン酸チタニア金属複合体として用いているが、チタンの含有量は、複合添加する金属とリン酸に比べると極めて微量で、同一のオーダーでは分析しにくいほどのものでリン酸チタニアという表現に値しない。しかもナトリウムなどのチタン触媒毒となる金属を複合するため、光および暗所でのリン酸チタニアの活性であるという論旨を説明できていない。
日板技術研究所の特許・特開他数件は、アルキルシラン(アルコオキシラン)などを水和縮合重合し、その中に、光活性の酸化チタン微粒子を加え酸化チタンの粒子の表面を多孔質のシラン等の膜で、コロイド保護し、塗布した時、素地を痛めない(類似する各社の製品が上市されているが)、チタン粒子と接着部材による膜の形成であり、チタニアの活性を妨害する因子は避けられない。(接着が自由に設計できる塗料と同じ技術であり、親水性表面をチタニアで提供する特許文献1(特開平10−314598号公報)に対抗して旭化成(へーベル壁材)他が外壁材に開発したアクリル系の(親水性セルフクリーニング壁材技術)と同一の精神からなり、そのセルフクリーニング効果は排気ガスなどの油性の汚れには抜群であるが、汚水、降砂などの親水性汚れには、防汚効果より汚れ付着効果が著しくなる欠点があり、ましてや触媒効果はない。正規なチタニア触媒の課題である、透明で、高濃度で、暗所から紫外線下まで消臭、抗菌、防汚、活性を恒久的に付与し、維持するという課題を解決するものでない。同じようにチタニアの表面を多孔質無機物でコーティングするものとして、特許文献7(特開平9−164188号公報)があり、逆にセラミック粉体多孔質にリン酸チタニウム溶液を含浸させて、乾燥して用いる特許文献8(特開2005−104817号公報)があるが、チタニアの前記諸課題を解決するものではない。
これに類するものとして(大阪チタニウムテクノロジー)社のアパタイトで、粒子状のチタニアを被覆した製品が開発されているが、その関連特許として、独立行政法人産業技術総合研究所の特許文献9(特許第3837517号公報:出願2001.9)に類似し、特許文献10(特開2008−72003号公報)日板技術研究所の特許の中にも包括されるもので、チタニアの活性を100%発現するものでなく、アパタイトは酸性雨で溶解される可能性があり、外壁には長期に耐えられないし、結晶が粒状であるチタニアを用いることに変わりなく、公知チタニアの欠点課題を解決するものではない。
チタニアの世界初の発見者である藤島/本多効果を世界に先駆け世に出した藤島氏は、JR東海で共同開発した技術(特許文献10:特開2008−72003号公報の応用または類似技術)が、朝日新聞2008年4月4日発表されたが、その技術に明記しているように、公知チタニアは粒子チタニアしかできず、脱落により、長期使用できないし、アンダーコート剤が多く開発されているが、全て、その接着剤は、恒久的でないが、ニオブをアンダーコートすれば恒久的にセルフクリーニングを維持できるとされている。
しかし、チタニア粒子が表面に露出していることは、汚れ・脱落による光輝の減衰、活性の低下、大気降雨中よりもたらされる、超微粒子の汚染物質の集合場所に変わり、塗料が数年に一度更新する必要が生じると同じ問題が、発生することが考えられ、長い年月安定した膜の維持の実績を経てなく、粒子チタニアの欠点を解決するものではない。
これらの欠点に着目して、大塚化学が開発した板状結晶を形成するチタニア(特許文献11:特開2002−104876号公報)が注目されるが、窒化チタンで焼成法で合成し、水溶性にはできない。この板状チタニアは、大阪市工研とYOOコーポレーションが開発したリン酸チタニア沈殿物エマルジョンを塗布し、高温焼付けした粒状チタニア縮合体が、発現する・暗所でも活性を示す機能は備えていないし、自由にその極性を超親水性から超疎水性まで変えることもできないし、分散剤を用いて板状結晶液を作成して塗布することができても、応力の歪により、剥離する現象をすべての被材表面で解決することはできない。
剥離がおこると、粒子状チタニアと同一のクレームにつながることは否めない。
また、特許文献12(特開平11−228140号公報)に、チタニア繊維が提案されているが、その製法と装置は複雑で、本発明のチタン酸ポリマーをそのまま紡糸したり、糸や繊維や、あらゆる表面に合成塗料のようにコーティングすることができ、親水性塗料、親油性塗料用の膜の形成が可能でしかも殆んどの被塗布表面に存在する活性基と化学結合する機能を有する本技術に比べ比類に値しない。
板状結晶の鉄を開発した東京大学個体化学研究室、蔭山洋准教授の技術などによれば、あくまでも3価5価の鉄を板状結晶にし、世界で初めての技術として、ネイチャーに登録された素晴らしい技術であるが、チタニアやその他の金属を自由自在に板状結晶にする技術に至っていない。
しかし、この技術を用いれば、超伝導による、発電素子や電磁波防御などに用いる画期的技術とされているが、平板結晶として、大塚化学の平板チタニアの欠点を解決できない問題を生じることは否めない。
特許文献13(特開2005−97395号公報)に防錆顔料組成物の特許および特許文献14(特開平6−55075号公報)の中に、結晶性リン酸チタニウムを用いているが、透明なリン酸チタニウム水溶液は使用していないし、また明記していない。特許文献8(特開2005−104817号公報)には「リン酸チタニム化合物を含む溶液」とあるが、その合成法、組成、含量、リン酸とチタンの配合比など明記しておらず、佐賀型またはYOO型(特許文献4:特開2004−130195号公報、特許文献15:特開2001−111097号公報)に類するスラリー状組成物または上澄液と想定され、粒状チタニアの領域を脱し得ないと考える。
ましてアルコキシチタン酸、パーオキシチタン酸、リン酸チタニウムなどのチタン酸化合物で、透明な水溶液で、2%以上のモノマー(佐賀型が2%で最高濃度)での合成技術やその重合粘液が重合するに従って、水飴状から粘重になり、やがて透明なゼリー状に膠化し、これを水や有機溶媒に添加、溶解すると透明な溶液にもどる、チタニウムまたは、リン酸チタニウムは存在しない。
従来、チタニアは、粒状しか形成できず、1〜50ナノの微粒子は親水性表面を形成するセルフクリーニング用として用いるが、光活性は低く、50〜300ナノの不透明ゾル、エマルジョン状のものは光活性を示すが、接着性が劣り、接着剤を用いても脱落や基材の浸蝕、劣化による白華をおこし、長期性能を維持できなかった。
これに対し、さらにYOO他の特許では、リン酸チタニアが、暗所活性を示すとしているが、透明液の中にはチタンは殆ど含まれずゾルのリン酸チタニアを常温でコーティング剤で接着にしても白華脱落は防ぐことができず、3ヶ月〜6ヶ月で性能は消失することがわかり、佐賀型パーオキシチタン酸は、1〜50ナノの粒子であると考えられ、最近、物理的処理で7ナノにまで粉砕する技術ができたと発表されたが、1次サイズである分子サイズが10〜20オングストローム(1〜2ナノ)のモノマーまたは線状高分子に比べ比類に値せず、透明であってもあくまでも粒子集合体で、半年〜1年で活性を消失する。
なお、発明者が2002年に佐賀大学の協力をえて開発した製品(品名IS)と類似品を高光活性チタニアとして高活性粒状チタニアと佐賀型を混ぜて用いるチタニアを販売している会社があるが、その活性は、石原型以上であるが、0.5〜1年以上で白華、脱落を防ぐことはできない。なお、本技術に類するものは、すでに3件の特許が公開されているが、本発明のモノマーまたはポリマーを接着剤とした高活性粒状チタニア組成分が脱落せず、5年以上活性を示している技術と比較できない。
これらに注目してアモルファスチタニアに関する特許がYOO他にも沢山出願されているが、白華、脱落は防ぐことはできず、性能を恒久的に維持できていない。
さらに、追記すると、本発明にきわめて近似する技術として、特許文献16(特開2006−206855号公報)、特許文献17(特開2006−56866号公報)、特許文献18(特開2005−154397号公報)などにあるように、アルコキシチタン酸と脂肪族アミン、オキシ酸、グリコール、シリコンアルキルを反応させて水溶性のオリゴマーを合成する技術が松本製薬工業より提案されているが、四価のチタン酸基のいくつかを常温、常圧で揮発することのない反応試薬で封止して、重合して行くもので、フェノール樹脂やメラミン樹脂、尿素樹脂の縮合重合の水溶性レゾール樹脂(ワニス)と同一の形態の縮合オリゴマーであり、線状ポリマーを形成しながら増粘して膠化するのではなく、4感応チタン酸基の縮合重合であり、重合をすすめる段階で架橋ゲル化するメカニズムに近く、本発明が提案する用途に適合するものでもないし、競合するに値するものでもない。
つぎに、特許文献19(特開2008−156280号公報)は、アルコキシチタン酸が、常温・常圧で蒸発しにくいキレート剤と反応し、アルコールと反応または保護コロイドを形成し、水または水と溶解する溶媒と加水分解反応(すなわち水酸基を保有するオリゴマー)する方法が提案されているが、YOOの特許に近似し、形成されるアルコキシチタン酸は、水酸化チタン基を有し、透明の水溶液を得たとしても、その濃度は微少で、あくまでもチタン酸粒子縮合体であるにかわりなく、本発明と全く異なる分子組成、構造を形成することは明白である。
つぎに特許文献20(特開平3−126643号公報)には、チタン酸とアセトアルデヒドや、オクチレングリコールでキレートを形成させた縮合重合(多感応基を重合させて、ゲル化不溶化をする寸前で停止する条件で重合)溶液を用いているが、ガラス表面に塗布し300℃で加熱し、熱線反射ガラスの製法で、本特許は常温で同一の用途に用いることができ、高温に耐えられないガラスにも応用可能故、比較に値しない。
つぎに、特許文献21(特開2004−182960号公報)には、チタン化合物とキレート剤とリン酸化合物の混合物の水溶性化合物について提案しているが、本発明とその目的・効能・組成・分子構造・反応のメカニズムは異なるもので、本発明を害するものではない。
ましてや本発明は、キレート剤やリン酸化合物を用いるとき、すでに保護基を形成しており、キレート結合やリン酸チタン結合をさせず、これを連鎖移動触媒に用いて線状高分子を膠化するに至るまで高分子合成して、水に無限に溶解し、有機溶剤に溶解する透明な液を提供する技術で、その反応のメカニズム、精神、物質の構造、機能、効能、用途を本発明に対し差別化できるものでなく、比類に値しない。
ましてや、本発明の製品が発現する効果として、直接塗布するだけで除汚、除苔ができ、高濃度モノマー、ポリマーの合成、完全水溶化、暗所から紫外下まで自由に活性を選択、親水〜疎水まで自由に設計、光輝性と透明性と触媒活性の共有、塗布後保護基を形成する水が脱水し、膜を形成後、熱、紫外線、キレート剤、過酸化水素および分子内活性により脱メチル化し、酸化チタン網状結合やリン酸チタン結合を形成する後架橋による活性化や、紡糸、フィルム成型や、活性末端を有する天然および合成高分子や無機質表面に化学活性基を備えたものとの反応修飾する機能や、電磁波防御、超電導体、化学的触媒、紫外線遮断などの機能を広く有するチタニアは存在しない。
特開平10−314598号公報 特開平9−124865号公報 特開平9−71418号公報 特開2004−130195号公報 特願2001−111097号公報 特開2005−82763号公報 特開平9−164188号公報 特開2005−104817号公報 特許第3837517号公報 特開2008−72003号公報 特開2002−104876号公報 特開平11−228140号公報 特開2005−97395号公報 特開平6−55075号公報 特開2001−111097号公報 特開2006−206855号公報 特開2006−56866号公報 特開2005−154397号公報 特開2008−156280号公報 特開平3−126643号公報 特開2004−182960号公報
本発明は、これらを全て解決し、全ての基材に接着性がすぐれ、高濃度で合成し、水に無限大に、有機溶剤に透明に溶解するモノマーを提供し、このモノマーをチタン(チタンイオン、チタン酸イオン)とメタノールと塩酸の共存下、または過酸化水素と塩酸、過酸化水素とメタノールの共存下に合成し、これらのモノマーに、キレートを形成するキレート剤、および塩酸をイオン交換しながらキレートを形成するアニオン交換樹脂を、キレート剤としてでなく、連鎖移動触媒として用い連鎖移動重合し、線状高分子を合成し、極性と暗所活性/光下低活性⇔暗所および光下活性⇔暗所不活性/光下活性に自由に設計することができ、基幹分子を同一とし、これを変成するだけで活性と極性を自由に選択することができ、塗布後、分子内活性、紫外線、熱、キレート剤、過酸化水素の作用により、脱水乾固すると同時に脱メチルして酸化チタン結合、あるいはリン酸チタン結合になり、活性の付与と膜の強度、硬度を上げることができ、下地表面に露出する活性基と化学結合することができ、白華、基材の劣化を防ぎ光下から、暗所活性まで恒久的に維持することができる新規チタン酸モノマー、高分子、およびそれらの製造方法および用途を提供することである。
本発明の新規チタン酸モノマーおよび高分子の製造方法は、
(1)水を加えない過剰のアルコールと、生産性上、2%以上、好ましくは15〜35%の鉱酸がチタン酸に対し1/2モル以上とが共存する系に純粋なアルコキシチタン酸モノマーを加えるか、水を加えない過剰のアルコールに四塩化チタンを加えて、保護機能を形成させたアルコキシチタン酸モノマーを合成する工程、または、水を加えない過剰の過酸化水素30%以上、好ましくは50%以上に、四塩化チタンを加えるか、水を加えない過剰の過酸化水素とアルコール系に純粋なアルコキシチタン酸モノマーを加えて、保護機能を形成させたパーオキシチタン酸モノマーまたはパーオキシ、メトキシチタン酸モノマーを合成する工程に続き
(2)前記アルコキシチタン酸モノマーまたはパーオキシチタン酸モノマーまたはパーオキシ・メトキシチタン酸モノマー(以下、パーオキシチタン酸モノマーという)に、重合濃度に応じて水を加えて希釈水和反応をするかまたは水を加えないでアルコール特にメタノールを加え希釈する希釈工程と、
(3)前記希釈工程ののちに、イオン交換樹脂を含む連鎖移動触媒を加えて、低分子ポリマーから透明な膠化点に至る高分子まで重合する重合工程と、
(4)連鎖移動触媒で重合したポリマーを、イオン交換樹脂で脱鉱酸する工程と、
(5)イオン交換重合した後、リン酸やアルキルリン酸を加えて、錯体を形成させる工程と、
(6)水和したモノマーまたはポリマーに、チタン酸1モルに対し1/2モル価以下の過酸化水素を加え、パーオキシアルキルチタン酸モノマーまたはポリマーを形成する工程と、
(7)前記重合工程ののちに塗布に供するために、過剰の水に稀釈溶解し、完全に水和するか、キシレンなどの親油性からアルコール、ケトンなどの親水性有機溶剤の単独または混合溶剤を用いる溶解工程とからなる、
新規チタン酸モノマーおよび高分子およびその製造方法である。
また、本発明は、(1)〜(2)の工程により得られるアルコキシチタン酸モノマーまたはパーオキシチタン酸モノマーである。
また、本発明は、(1)〜(4)の工程により得られる新規チタン酸高分子である。
前記過剰のアルコールが、メタノールまたはエタノールであり、前記鉱酸が塩酸であることが好ましい。
前記過剰のアルコールが、メタノールであることが好ましい。
また、本発明は、塗布した直後に、JIS法での測定条件(短時間)で即光活性を示すために、紫外線、加熱およびリン酸化合物を代表とするキレート剤や過酸化水素を接触、処理してなるチタン酸モノマーおよび高分子の製造方法である。
前記キレート剤がリン酸化合物またはアニオン交換樹脂であることが好ましい。
前記過剰のアルコールおよび前記鉱酸が、前記アルコキシチタン酸モノマーに対して、1/2代価モル以上から等価以下まで共存されてなることが好ましい。
光触媒活性により、有機物下地を劣化させないために、リン酸、トリメチルリン酸や触媒毒となるアルカリを含み、メトキキシチタン酸モノマーまたはポリマーのアルコキシチタン酸基と反応してキレート結合する化合物として、ケイ酸、リン酸アルカリ化合物、ケイ酸メチルリン酸アルカリ化合物をアンダーコートし、その上にチタン酸モノマーまたはポリマーを塗布する塗布工程をさらに含むことが好ましい。
前記アルカリが、ナトリウム、カリウムを含むことが好ましい。
前記アルコキシチタン酸モノマーが、水を加えない四塩化チタンを、水を加えないアルコール中に加えるかまたはアルコキシチタン酸を、水を加えないアルコールと2%以上、好ましくは15〜35%の鉱酸をチタン酸に対し1/2モル以上加える方法、または、水を加えない四塩化チタンを、水を加えない30%以上、好ましくは50%以上の過酸化水素に加えるか、アルコキシチタン酸を水を加えない30%以上、好ましくは50%以上の過酸化水素とアルコールに加える方法によって合成されてなることが好ましい。
前記製造方法により製造された保護機能が形成されたアルコキシチタン酸モノマーまたは高分子またはパーオキシチタン酸高分子を用いて、非光下から紫外下までの触媒、リン酸チタニア膜形成剤、パーオキシリン酸チタニア膜形成剤、分子内自己活性剤、コゲ付・焼付き剥離剤、塩ビクロス結合型チタニア、表面極性転換剤、耐酸性チタン膜形成剤、電磁波防御剤、超伝導剤、繊維・糸やプラスチックの帯電防止、耐摩耗・耐熱・光輝・高親水性・高親油性表面を賦与する表面処理剤、親油性・親水性塗料用膜形成剤、除苔剤、防苔剤、殺菌剤、殺カビ剤、チタン酸糸またはフィルムの成型体、消臭剤、NOX−SOX固定化触媒、セラミックコンデンサー用チタン酸バリウム合成剤、水に可溶なキレート剤の不溶化(固形化)剤、キレート剤、水系エステル交換触媒、CO2、H2O分解触媒、粒子状チタニアの結合型接着剤、多糖類の加水分解触媒、防錆剤、木材防腐防蟻剤、農薬、養魚薬、防汚・除汚(セルフクリーニング)剤、紫外線熱線防御剤、劣化・白華した表面の修復剤、水溶性キレート剤の不溶化(固定化)剤、キレート剤などに供してなることが好ましい。
また、前記製造方法により製造された保護機能が形成されたアルコキシチタン酸モノマーまたは高分子またはパーオキシチタン酸高分子を用いて、非光下から紫外下までの触媒、リン酸チタニア膜形成剤、パーオキシリン酸チタニア膜形成剤、分子内自己活性剤、コゲ付・焼付き剥離剤、塩ビクロス結合型チタニア、表面極性転換剤、耐酸性チタン膜形成剤、電磁波防御剤、超伝導剤、繊維・糸やプラスチックの帯電防止、耐摩耗・耐熱・光輝・高親水性・高親油性表面を賦与する表面処理剤、親油性・親水性塗料用膜形成剤、除苔剤、防苔剤、殺菌剤、抗菌剤、殺カビ剤、抗カビ剤、チタン酸糸またはフィルムの成型体、消臭剤、NOX−SOX固定化触媒、セラミックコンデンサー用チタン酸バリウム合成剤、水系エステル交換触媒、CO2、H2O分解触媒、粒子状チタニアの結合型接着剤、多糖類の加水分解触媒、防錆剤、木材防腐防蟻剤、農薬、養魚薬、防汚・除汚(セルフクリーニング)剤、紫外線熱線防御剤、劣化・白華した表面の修復剤、水溶性キレート剤の不溶化(固定化)剤、キレート剤などに供してなる用途である。
前記連鎖移動重合触媒に、水に可溶なリン酸、リン酸塩、リン酸アルキルエステルからなる群より選ばれるリン酸化合物やアルコキシチタン酸またはチタン酸またはチタンイオンとキレートを形成し、常温で蒸発する有機物または無機化合物の単独または混合物またはアニオン交換樹脂などの試薬を用いてもキレート結合や化学結合を形成しない保護基を介して、これらが直鎖移動触媒となることが好ましい。
前記水に可溶なリン酸アルキルエステルが、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸イソプロピル、リン酸ブチルおよび揮発性リン酸化合物であることが好ましい。
本発明の新規チタン酸モノマーおよび高分子の製造方法によれば、全ての基材に接着性がすぐれ、高濃度で合成し、水に無限大に透明に溶解し、有機溶媒にも溶解するモノマーを提供し、このモノマーを連鎖移動重合し、極性と暗所活性/光下不活性⇔暗所および光下活性⇔暗所不活性/光下活性に自由に設計することができ、基幹分子を同一とし、これを変成するだけで活性と極性を選択するために、自由に制御でき、基材との親和性(極性)が異なるための剥離による白華、基材の劣化による白華、チタン酸モノマーおよび高分子の粒状化(酸化チタン、水酸化チタン)による白華を防御し、基材との化学結合を有し、その膜の強度安定性を恒久にし、暗所から光下までの活性および光輝・防汚・セルフクリーニング性、電磁・電気的機能・防蝕機能などを恒久的に維持することができる。
紫外ランプを照射した場合のガスの分解速度を示すグラフである。 実施例11において、110℃/2Hr処理と、リン酸処理したテストピースを用いて、JIS法テトラバッグに入れ、暗所での活性と、紫外ランプをあてた時の活性を測定した結果を示すグラフである。 実施例2で得られたポリマーTIPT−MC4−PM518とTMT−MC2−10PM27.4を用い、比較例に佐賀型チタニアTAと石原型チタニアSTS−01の2%をテストピースに塗布し、20℃±1℃、湿度50%以下に7時間保持乾燥させテトラバッグ法でアセトアルデヒドを100ppm注入して試験した結果を示すグラフである。 実施例28において、経時毎のCO(一酸化炭素)の生成量を測定した結果を示すグラフである。 実施例29において、テトラバッグに蓄積する水素の濃度を測定した結果を示すグラフである。 実施例30において、下地表面に親和性を選定する方法について実験した結果を示す説明図である。 TIPT−MC2−P6のIRチャートである。 TIPT−MC2−PM20のIRチャートである。 YOO型懸濁液のIRチャートである。 石原型STS−01のIRチャートである。
本発明における「純粋な」アルコキシチタン酸モノマーとは、工業用に市販されているものを指す。
本発明は、前記に掲げた公知公用のチタニアの欠点を解決し、下地に塗布した接触部分では活性を示さず、塗布後に空気と接触する部分が、光により活性する機能を発見し、光のないところでは、分子構造の中に形成される結合活性基部位活性点で自ら活性を示し、時間をかけて活性を発現していくものであり、塗布直後はその活性能が極めて小さい(特にJIS法テトラバッグ法は小さく、メチレンブルー消去法や青苔などの消去活性もゆるやか)保護基を有するモノマーおよびポリマーであり、その活性のメカニズムとして考えられるのは、アルコキシチタン酸基、リン酸チタン酸錯体(パーオキシチタン酸基、パーオキシリン酸チタン酸錯体)、アルコキシリン酸チタン酸錯体が塗布脱水乾固されると保護基が破壊され、脱アルコキシ化され、酸化チタン結合とリン酸チタン結合が形成され、特に、リン酸チタン結合の間に生ずるアノード/カソード、黄リン/赤リンの酸化還元電位により分子内活性を生ずる活性点が生れると推論される。
本発明の基本ベースとなる保護基を有するモノマーであるチタニアをアンダーコートするか、さらに分解されやすい下地には触媒毒とキレート剤の共存するアンダーコート剤(リン酸とケイ酸ソーダ(極性)、例えばトリメチルリン酸とケイ酸ソーダ(非極性))を用いれば、全く下地を侵すことなく、下地チタニアまたはチタニアと結合する化合物と活性点を持つチタニアが、自己分子内活性因子(基)や光により、分子間反応による強い結合を形成し、オングストロームから数ナノの網状構造を形成し、その一次元の想定膜厚は、公知粒状チタニアが最も小さい粒子として、佐賀型の7ナノがあるが、本チタニアは、10〜20オングストローム(1〜2ナノ)の線状高分子で公知に比べ1/10〜1/100になると考えられ、折り曲げや摩擦および衝撃などの応力に耐え、恒久的チタニア膜を提供するものである。さらに極性を自由に調節変換できるため、どのような表面にも塗布され、どのような極性の表面も付与し、光透過、光光輝の超微細網状(粒子状チタニアの微粒子に対抗)チタニアであるにもかかわらず、暗所〜紫外下まで公知チタニアと同等以上の活性を与えることができ、光活性のない親水防汚型チタニア(接触角5°以下)と同一のセルフクリーニング性に加え、強力な触媒活性を備える製品を提供し、公知親水性チタニアが親水性の汚れを防ぐことができないのに比べ本技術は可能とし、公知高活性チタニアが不透明で乳白エマルジョンであるのに、本技術は透明網状膜を形成し、所謂、金属を平板網目状結晶にすることができる画期的なもので、さらに公知チタニア触媒の欠点を解決するだけでなく線状高分子を用いて紡糸することによりチタニアの糸を提供することができ、今まで不可能であった長繊維を提供でき、架橋することにより、網目状の布・フィルムを形成することができ、導電性、電磁波防御材、耐酸性チタン膜形成剤、電磁波防御剤、超伝導剤、繊維、糸やプラスチックの帯電防止、耐摩耗・耐熱・光輝・高親水・高親油性表面を賦与する表面処理剤、親油性・親水性塗料用膜形成剤、除苔剤、防苔剤、殺菌剤、抗菌剤、殺カビ剤、抗カビ剤、チタン酸糸またはフィルムの成型体、消臭剤、NOX−SOX固定化触媒、セラミックコンデンサー用チタン酸バリウム合成剤、水系エステル交換触媒、CO2、H2O分解触媒、粒子状チタニアの結合型接着剤、多糖類の加水分解触媒、防錆剤、木材防腐防蟻剤、農薬、養魚薬、防汚・除汚(セルフクリーニング)剤、紫外線・熱線防御剤、劣化・白華化した表面の修復剤、水に可溶なキレート剤の不溶化(固定化)剤、キレート剤などの多用途の金属機能材を提供することができる。
本技術は、ストロンチュームチタニアを用いて、(財)理化学研究所が発見した「伝導しない性質と伝導する性質」を併せ持つ技術理論に合致すると考えられるもので「光活性のない性質と光活性の大きな性質」を兼ね備えた新規無機高分子の新規物質、機能、活性を発現提供する顕著性、進歩性、新規性に極めてすぐれた新規チタニアおよびその製造技術である。
更に本技術の新規性、顕著性、進歩性を詳細に説明する為に本発明の起点となった着想と完成に至った技術の経過詳細を請求項の順にしたがって説明する。
チタンは4価であり、如何なる化学反応をしても、チタン酸単独化合物として透明なチタン水溶液、ましてや有機溶媒溶液を創生することは化学理論から不可能とされていることに着目し、もしこれを可能にすることができると、不可能が可能になり、公知の理論をくつがえすことになると考え、まず、純粋なチタン鋼の腐蝕理論に着目し、文献「アグネ社刊1965年第一版から腐蝕因子の中で、透明な水溶液として溶出したチタン化合物が被塗布表面に、塗布して、全て蒸発して、酸化チタンおよびチタン化合物の膜を形成する組成を調べた結果、「119ページに記されている酸化剤の存在下」(出典文献 住友金属技報 5,95’(1964))と「122ページに記されているメタノール(アルコール)と塩酸の共存系」(神鋼研究所報告 No1491(1962))において、著しい腐蝕が生じることに着目した。
四塩化チタンまたはアルコキシチタン酸化合物を、水を加えない、(a)濃過酸化水素水または(b)濃過酸化水素とアルコール(メタノール)の共存下または(c)塩酸とアルコール(メタノール)共存下に加え、(a)「過酸化チタン酸」と(b)「過酸化アルコキシチタン酸」と(c)「アルコキシチタン酸」の透明な保護基を形成したモノマー化合物を公知では不可なる(チタン酸モノマーとして2%以上(佐賀型の最高濃度)から最高濃度として、メタノールをチタン酸と等モル価に近い濃度までにおさえ)高濃度で合成することができた。
原料に供する四塩化チタンは8%以下になると白色の水酸化チタン(ヒドロキシチタン酸)基を表面に有する酸化チタンとして沈殿し、水に溶解しなくなることが化工第23巻第1号p129〜131にある。又、アルコキシチタン酸は水に全く溶けず、加水分解されて同上となりうることは、公知である。
更に、佐賀型のパーオキシチタン酸は8%以上の四塩化チタンを1%の水に加え、水和して上記ヒドロキシチタン酸ゾルを形成し、これに過酸化水素を加え、光活性の低い透明な液を形成し、これを90度以下で長時間(10時間近く1%の透明パーオキシチタン酸(多分オルトチタン酸パーオキサイドではないか)を加熱濃縮し、2%になると活性を示すようになるが、それ以上すると沈殿ゲル化する)かけて濃縮熱処理して、2%が限界となる、透明な、光活性があるとされるパーオキシチタン酸粒子を提供している。
本発明でえられる上記パーオキシチタン酸モノマーおよびアルコキシパーオキシチタン酸モノマーは、透明な化合物として、存在しない、高濃度(実験した最高値はアルコールや過酸化水素を小過剰モル(アルコキシチタン酸または四塩化チタン(1モル4価)を1モルとしたとき、アルコールまたは過酸化水素を4モル価(チタン酸1モル)+α、すなわちαはメタノールや過酸化水素の蒸発分解ロスを考え、0.1モル価程度)用いただけで、他はアルコキシチタン酸または四塩化チタンを用いる濃度まで)で合成することができ、水や有機溶媒で希釈して白濁沈殿することなく、連鎖移動重合により高分子化して膠化したポリマーでも希釈溶解すると透明な水溶液または有機溶媒溶液を提供することができる。
合成された上記パーオキシチタン酸モノマーとアルコキシチタン酸モノマーはFT−IR解析の結果、酸化チタン結合や水酸化チタン(ヒドロキシチタン)基の含有量のきわめて少ない純度の高いテトラメチルチタン酸(c)I主体、ジメチルジパーオキシチタン酸(b)III、ジパーオキシ、ジクロルチタン酸(a)IIを主体としたモノマーで、水和反応して行くと、下記の分子構造の保護基構造を形成していると推論する。
[推定式]
Figure 0005606437
Figure 0005606437
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チタン金属の腐蝕は上記の化学式に示されるように腐蝕溶出したチタンイオンが安定化され、水に無限に溶出してゆき(なお、本発明における無限に溶解するとは、2%以上(合成はもちろん2%以下でも可能であるが透明な公知チタニアは2%以下故2%以上とした)から、チタン酸に対しメタノールを等モル価近くまでの高濃度で合成されたモノマーを水で希釈することを指す。酸化チタンに進まない為に腐蝕に対して最も不動効果を形成する、酸化チタン膜が形成されず、次々に浸蝕されて行くと考えられ、公知チタニアの製法、製品が、酸化チタン結合とその粒子の表面に露出した水酸化チタン(ヒドロキチタン酸)基を形成するのは、チタン金属が酸化膜(酸化チタンと水酸化チタン)を形成して不動化することに一致する。
上記の方法で得られた(a)、(b)、(c)の保護基を有するモノマーに水を加えて行くとモノマー濃度がどのようにうすくなっても透明な希釈水溶液となり、塗料に用いる有機溶剤の単独または混合物にも溶解し、水和しないモノマーも含め、これに、水溶性のリン酸または、リン酸化合物を代表とするチタン酸イオンと強力なキレートを形成するキレート剤やイオン交換樹脂を加えて行くと、公知の技術では、即、リン酸チタニア、またはキレート剤とのチタンキレート沈殿物が生じ、100%沈殿濾別できるゾルになるが、本発明の技術では、モノマー濃度に依存し、キレート剤や、チタン酸とキレートを形成するイオン交換樹脂を加えて行くと、モノマーの粘度が数cP/20℃(B型粘度計)が、次第に増粘し、水飴状になり、やがて透明なる膠化点(ゼル、ゼリー状)になる。塩酸が4モル価に近づくと膠化せず増粘して行き、やがて粘度が低下してくる。
この膠化高分子ポリマーを多量の水に溶解すると、均一透明なる水溶液になり、また、水和しないモノマーから形成したポリマーを最高値として、含水率に応じて有機溶剤の単独または混合物に無限から有限に溶解し、白濁も沈殿も生じない。
以上のことから、(a)、(b)、(c)の保護基に、キレート剤やイオン交換樹脂が働き、保護基が塩酸や過酸化水素を遊離させ、開環しながらキレート剤が付加し、このキレート剤が外れながら、アルコキシ基やパーオキシ基が残り、線状高分子に生長していくものと考えられる。この重合のメカニズムは、キレート剤が、キレートを形成せず、イオン交換樹脂がチタン酸とキレートを形成せず、連鎖移動重合触媒となって連鎖移動重合を形成するものと考えられる。
なお、上記反応を例示すると、反応系(c)I[化3]によれば下記のようになると推定する。モノマー上に安定化された水和保護基は、式3のようになっているのではないかとも考えられる。
[推定反応式]
反応系(c)Iの連鎖移動重合の推定式を[化4]に示し、その末端基は[化5]のようになっていると考えられ、線状ポリマーの連鎖を形成する分子の節の構造は[化29]に準ずると考えられる。
Figure 0005606437
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次に連鎖移動触媒はリン酸またはリン酸化合物およびイオン交換樹脂に限定されるものではないが、本技術の目的とするのは、チタン酸とリン酸の結合点において、酸化還元電位を生じ、アノードとカソードの現象や、黄リンと赤リンの互換の現象が生じて、暗所(非光下)で強力な分子内、自己活性を示す目的で、実施例は、リン酸化合物に限定したが、イオン交換樹脂を用いて連鎖移動重合した後、リン酸化合物を加える方法も含め、チタンイオンとキレートを形成する化合物であれば、同じような連鎖移動重合が行なわれ、本発明に詳細に記載しない新しい用途分野の新規機能材を創生する可能性があり、例えば、この連鎖移動触媒の有機性を大にしたものを用い、対チタン比に対して大にすれば、100%のシリコーンポリマーを代表とする例に似た、100%のチタン系のプラスチックまたは塗料を自由に設計できると考えられ、更に他の多価金属の線状ポリマー創生が可能となることも、本定義理論より推定される。
次に連鎖移動触媒が最も極性の大きいリン酸は最も親水性の膜を形成し、アルキル基の大なる非極性にシフトするリン酸エステルを用いると、極性の小さい膜を形成すると共に、親水性の被塗布面には親水性の製品を親油性(撥水性)の被塗布面には疎水性(極性の小さい)製品を、使用できるよう自由に設計することができる。
次に、連鎖移動触媒を用いない、保護基を有する水に無限大に溶解するモノマーおよびこれを用いて、イオン交換樹脂で脱塩しながら重合したポリマーは非光下では殆ど活性を示さないが、光下では太陽熱や紫外線により脱メチル化し、酸化チタン縮合を網状に形成し、高い活性を示し、光輝、透明性は抜群であり、被塗布面の極性に左右されにくく、広いアンダーコート剤にも用いられ、逆に紫外線等の劣化で塗布面が劣化白華した合成塗料の表面の修復に有効であり(塗料の劣化表面の末端基と化学結合して、修復されると考えられる)、リン酸またはリン酸エステルをチタン酸に対し、等価近くになるように用いると、塗布後、乾燥して、経日すると、殆ど全てがリン酸チタニア結合になり、暗所(非光下)では最大の分子内自己活性を示し、光下では活性が小さい故に、紫外下で被塗布面が、分解白華しやすい表面にアンダーコート剤として有効である。
なお、チタニアおよびチタン酸化合物を塗布して白華が生じるには(1)チタン化合物が酸化チタンの粗大粒子になる現象「自己白華」と(2)被塗布面との極性が合致しない場合と、塗布濃度が高いために剥離する現象「剥離白華」と(3)被塗布面が有機層が光触媒活性により、劣化しておこる現象「浸蝕白華」があることを発明することができた。本発明の商品は結晶状粒子チタン化合物でないために、あえて強烈な活性を賦与した酸化チタン結合を一部含むもの以外は「自己白華」はおこらない。次に、極性が合致しない「剥離白華」は、被塗布面との塗布テストを行ない、均一に極性が合致するグレードを選べばよい故、「剥離白華」は心配不要である。最も注意すべきは「浸蝕白華」であるが、上述のようにリン酸を過剰に含む暗所型を用いても、含まない保護基を有するアルコキシチタン酸モノマーやイオン交換重合して得られたポリマーを用いる時は勿論、被塗布面の化学組成(酸化劣化が起こりやすい塗膜表面)によっては、「侵食白華」を生ずることがあるので、その場合は、本発明のチタン酸化合物と化学結合し、チタニアの触媒毒となるNa、Kを含む組成のアンダーコート剤(アルコキシリン酸ケイ酸アルカリ(非極性用親油性)やリン酸ケイ酸アルカリ(極性用親水性))を用いると、「剥離白華」および「浸蝕白華」の両方ともおこらないで、より長期安定した膜および活性を維持することができる。
次に本チタニアを塗布したあと、アルコールの沸点以上の温度をかけるか、紫外線をあてるか、自然紫外線を受けるか、アンダーコートまたはオーバーコートにリン酸またはリン酸化合物などのキレート剤を用いるか過酸化水素を乾燥したチタニア膜にオーバーコートすると、線状高分子に残っているアルキル基が脱離反応をして、酸化チタン結合やリン酸チタン結合、パーオキシチタン結合を形成して、網状になり、急激に活性を増すことが可能である。
過剰のアルコール、水、過酸化水素、塩酸の存在下では、保護基は安定しているが、水やアルコールが蒸発乾固して膜を形成すると、これらの反応が加速される。
即ち、塗布した時はJIS法テトラトバッグ法では、臭気元として注入したアセトアルデヒドの濃度より高い値を示し、経時毎に減少して完全に分子内のアルキル基が分解、消失しながら、アセトアルデヒドも分解することを見出した。
次に、パーオキシチタン酸モノマーは、佐賀型パーオキシチタン酸のアンダーコート剤として用いる加熱していないグレードと同様、光活性が少ないので、アンダーコート剤に用いることができ、光輝、接着性は、佐賀型が粒子であるのに比して本技術は単一分子レベルのモノマーである故はるかに優れ、佐賀型アンダーコート剤(ティーオテクノ社製)TK(粒状チタニアをリン酸化合物で縮合重合したもの(この技術も本発明の技術に帰属する))と本発明モノマーを用いて連鎖移動重合したものは、佐賀型の特許法のように、加熱処理しなくても、光活性が付与されるが、佐賀型は塗布すると2〜3ヵ月で活性(佐賀型が、粒子型であることによる活性、光輝の低下をうらづけたことになる)が著しく落ちるが、本件のものは活性はわずかに落ち、光輝は変わらないのは、線状高分子であるためであり、活性の低下は還元された部分のパーオキシ基の酸化力の減衰に相当すると考えられ、佐賀型は、パーオキシ基が水酸基になり、酸化チタン結合になりにくいが、本発明のパーオキシチタン酸ポリマーは、塗布乾燥脱水により保護基が破壊され、塗布膜が経時するにつれ、酸化チタン結合を形成すると考えられる。
一方、このポリマーはきわめて糸引性(紡糸性)、が高く、成形性に優れ、IPA(イソプロピルアルコール)などのチタン酸と保護コロイドを形成する溶液を用いるか、熱風中に紡糸することにより、弾性、延伸性のある糸を形成し、インフレーションなどでフィルム状に成形することができ、導電繊維や電磁波制御フィルムなどの用途が期待される。
次に塩酸や鉱酸を用いないで合成されたパーオキシアルコキシチタン酸モノマーやイオン交換重合したアルコキシチタン酸ポリマーや、連鎖移動重合後にイオン交換されたポリマーは、自動車等に求められている、ノンクロムメッキ防錆剤、乾式潤滑剤、チタンライニング剤などの代替として用いることが可能であることを見出した。
以下、本発明の新規チタン酸モノマーおよび高分子およびその製造方法および用途についてより詳細に説明する。
本発明の新規チタン酸モノマーおよび高分子の製造方法は、
(1)水を加えない過剰のアルコール、とくにメタノール、と鉱酸、とくに塩酸とが共存する系に市販されているアルコキシチタン酸モノマーを加えるか、水を加えない過剰のアルコール系に四塩化チタンを加えて、保護機能を形成させたアルコキシチタン酸モノマーを合成する工程または、水を加えない過剰の過酸化水素(市販の30%以上、好ましくは50%以上の試薬)に、四塩化チタンを加えるか、水を加えない過剰の過酸化水素とアルコール系に純粋なアルコキシチタン酸モノマーを加えて、保護機能を形成させたパーオキシチタン酸モノマー、パーオキシアルコキシチタン酸モノマーを合成する工程に続き
(2)前記保護機能形成工程(またはパーオキシチタン酸モノマーの合成工程)ののちに、重合濃度に合せて水を加え稀釈しながら水和反応により、完溶するアルコキシチタン酸モノマーと、パーオキシチタン酸モノマー、パーオキシアルコキシチタン酸モノマーを合成する合成工程と、
(3)前記アルコキシチタン酸モノマーまたはパーオキシチタン酸モノマー、パーオキシアルコキシチタン酸モノマーに、重合濃度に応じて水を加えるか、水の代りにアルコールまたはアルコールとの混合または単独で、モノマーが可溶な有機溶剤で希釈する希釈工程と、
(4)前記希釈工程ののちに、イオン交換樹脂または連鎖移動重合触媒を加えて、低分子ポリマーから透明な膠化点に至るまで重合する重合工程と、
(5)前記イオン交換しない重合工程ののちに、そのまま過剰の水に溶解してイオン交換塔に通すか、イオン交換樹脂を過剰の水に分散させ、ポリマーを溶解して、イオン交換したものを、濾過し、脱塩して塗布に供する溶解工程と、
(6)水和したモノマーまたはポリマーに、チタン酸基1モルに対し、過酸化水素0.5モル以下を加え、パーオキシチタン酸メチル(アルキル)を形成する工程と、
(7)前記重合工程ののちに塗布に供するために、過剰の水か有機溶剤に溶解し完全に溶解する溶解工程
とからなることを特徴とする。
まず、(1)の工程について説明する。(c)Iの工程は、アルコキシチタン酸モノマーと、過剰のアルコール、とくにメタノールと、鉱酸、とくに塩酸とを共存させ、前記アルコキシチタン酸モノマーの官能基に保護機能を形成させる保護機能形成工程と、(a)II 過酸化水素と四塩化チタン、(b)IIIまたは過酸化水素とメタノールとアルコキシチタン酸を共存せしめ、保護機能を形成させる工程。
[推定式]
Figure 0005606437
Figure 0005606437
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前記過剰のアルコールとしては、メタノールやエタノールまたはこれらの混合物を用いることができるが、保護基の安定性という点から、メタノールを用いることが好ましい。また、前記過剰のアルコールの量としては、アルコキシチタン酸または四塩化チタンに対して等価モル以上、好ましくは、少過剰以上が保護基の安定形成のために必要であり、塩酸または過酸化水素は、アルコキシチタン酸モノマーに対して1/2代価モル以上〜等価までが好ましい。1/2代価モル未満の場合、保護基形成が不安定になり、次の重合工程で分岐反応や、ヒドロキシチタン基や、酸化チタン結合やリン酸チタン架橋が起こり、白濁、沈殿を生じ、高分子透明体を得にくくなるという問題があり、等価を超える場合、モノマーとして安定し、連鎖移動重合しにくくなり、加熱すると重合が生じるが、直鎖移動重合をおこしにくく、分岐重合、白濁沈澱するため重合を制御しにくくなるという問題がある。
前記鉱酸としては、塩酸や硫酸、硝酸、フッ酸、臭酸などを用いることができ、保護基の形成安定性から、塩酸を用いることが好ましい。
なお、前記アルコキシチタン酸モノマーが、四塩化チタンまたはアルコキシチタン酸と、水を加えないアルコールと作業上、生産性上2%以上、好ましくは35%〜10%の鉱酸中に加える方法、または、四塩化チタンまたはアルコキシチタン酸を、水を加えない過酸化水素または水を加えない過酸化水素とアルコールの共存下に加える方法によって合成されてなることが好ましい。その理由としては、原料として用いる四塩化チタン、過酸化水素、アルコールの含水率を限定するものではないが、市販されている工業用を水を加えないで用いればよい(過酸化水素は30%以上、さらには50%以上、とくには70%以上が好ましい)。
また、前記アルコキシチタン酸モノマーの官能基に保護機能を持たせる機序としては、チタン酸4価モルに対して、1/2モル価から等モル価の間に鉱酸、最も好ましいのは塩酸と、過剰モル、少なくとも等モル価以上のアルコール、最も好ましいのはメタノールの共存下に水を加えずアルコキシチタン酸を加えると、アルコキシチタン酸が加水分解されて、ヒドロキシチタン酸になったり、水に析出することなしに透明な保護機能をもったモノマーを形成することができるのは、式((a)(b)(c))に示すように、チタン酸基2モルと、メタノールと塩酸または過酸化水素と塩酸、過酸化水素とメタノールにより環状の保護基が形成されるためと考えられる。
次に、(2)の工程について説明する。(2)の工程は、(1)の工程ののちに、水による希釈工程により、完溶するアルコキシチタン酸モノマーを合成する工程である。保護機能を形成していないと、白濁・沈殿を生じるため、その判定となる。
(3)の工程について説明する。(3)の工程は、前記アルコキシチタン酸モノマーの重合濃度に応じて水を加え希釈する工程である。ここで、前記アルコキシチタン酸モノマーの重合濃度としては、0.5〜50%が好ましい。0.5%以下の場合、生産性が悪くなるという問題があり、50%以上の場合、重合度を高くすることが難しくなるという問題がある。なお、重合の程度は、増粘して行き、やがて膠化点に至るが、その寸前で撹拌に負荷がかかり停止する方法により好ましい終点を確認することができるが、粘度計を設置するか、安全な触媒量に設定すればよい。
(4)の工程について説明する。(4)の工程は、(3)の工程ののちに、連鎖移動重合触媒またはイオン交換樹脂を加えて、透明な膠化点に至るまで重合する工程である。前記連鎖移動重合触媒としては、水に可溶なリン酸やリン酸アルキルエステル、アニオン交換樹脂を代表とするキレート性を有するイオン交換樹脂またはチタン酸とキレートを形成する化合物の単独または混合物からなり、キレートを形成する化合物としてEDTAなどの水溶性キレート剤を用いることができるが、蒸発しない有機化合物であれば、外壁などに塗布したとき、この成分がポリマーに結合していても、自己分解して白華・光輝低下などの原因になる故、常温・常圧で揮発する化合物が好ましく、無機化合物の場合は、本技術の主目的用途に対して、触媒活性の妨害や、用途の妨害をする不純物となることが考えられる点を考慮し、チタン酸および酸化チタン形成時に新規機能を付与する用途、例えば本技術の保護基を有するチタン酸モノマーおよびポリマーと、水溶性キレート剤をキレート結合させ、ゲルを形成させ、固体の水不溶のキレート剤などの機能製品に用いる以外は用いない方が好ましい。また、前記水に可溶なリン酸化合物やリン酸アルキルエステルは、保護機能を安定に保持できるのは、構造式(a)(b)(c)のように、メタノールや過酸化水素が前記文献の腐食の理論から好ましく、エタノールでも可能であるが、メタノールに特定する方が好ましい点から、リン酸メチル化合物であることが好ましく、また、前記透明な膠化点に至ったかは、目視または攪拌負荷停止、粘度計制御により判断することができる。
次に本発明を実施例により、具体的に説明する。
実施例1
イソプロピルアルコール264g(4.4モル)にテトラクロルチタン190gを加えながら冷却水で冷却し、50℃以下で反応させ、加え終わった後、30℃以下になった時点で、反応を終了させ、テトライソプロピルチタン酸エステルTIPTC4−(1)とし、次にテトライソプロポキシチタン酸エステル分子量284をTIPT(2)とし、次にメタノール160gに対し、テトラクロルチタン190gを加えて50℃以下で反応させ、30℃以下になった時点でテトラメトキシチタン酸エステルとし「TMT−C4−(3)」とし、さらにこれに加え試薬のテトラメチルチタン酸(分子量172)を「TMT(4)」とした。
次に、50%の過酸化水素水272g(2倍過剰(四塩化チタン1モルに対し、2モルのH22が保護基形成に寄与するため2倍代価過剰))に190gのテトラクロルチタンを加え、50℃以下になるように、大量合成では適宜冷却しながら反応させ、これをパーオキシチタン酸「POT−OC4」(a)とした。さらに、50%の過酸化水素水272gとメタノール1kgの溶液に、テトラメトキシチタン酸172gを50℃以下で反応させ、得られたものを「POT−OM2」(b)とした。
TIPT−C4−(1)にメタノール1kgを加え、水冷しながら40℃以下で反応し、エステル交換反応をして、保護基を形成したモノマー「TIPT−MC4」とし、メタノール1kgに36.5%塩酸を200g加えた液に「TIPT−(2)」を加えて50℃以下になるように水冷下でエステル交換反応して保護基を形成させたモノマーを「TIPT−MC2」とし、TMT−C4にメタノール1kgを加えて「TMT−MC4」(3)とし、次にメタノール1kgに、塩酸2モルを加えた液にTMTを加え、40℃以下で保護基を形成したものを「TMT−MC2」とした。
次に、TIPT−MC4に1kgの水を加え、40℃以下で、水和反応を行なったところ、透明なモノマーを得、「TIPT−MC4 10」とした。同じようにTIPT−2MC2に1kgの水を加え、同様に反応した結果、透明なモノマーを得、「TIPT−MC2 10」とした。同じようにTMT−MC4に水1kgを加えて同様に反応した結果、透明なモノマーを得、「TMT−MC4 10」(3)とした。さらにTMT−MC2に水1kgを加え水和し、「TMT−MC2 10」(4)とした。同じようにPOT−OC4に水2kgを加えて同様な反応を行なって得られた透明なモノマーを「POT−OC4 10%」とした。さらに、POT−OM2に水1kgを加え、水和反応して透明なモノマーを得、これを「POT−OM2 10」とした。
得られたそれぞれの10%相当モノマーを水に希釈すると無限に溶解し、白色沈殿を生じず、3年間保存しても、透明で沈殿を生じず、IRスペクトルを測定すると、
Figure 0005606437
の700cm-1〜1200cm-1の吸収は微少で、
Figure 0005606437
2800〜3000cm-1、1350〜1450cm-1のメトキシチタン酸の吸収が主体であることが判明したために、TIPT出発原料でも、殆どメトキシチタン酸になり、パーオキシチタン酸系は、
Figure 0005606437
の1800cm-1前後と1000cm-1前後の吸収が殆どで、本法で合成されるモノマーは透明であり、白濁の原因となる
Figure 0005606437
1000〜1400cm-1、3000〜3400cm-1の吸収や、
Figure 0005606437
の1000〜1200cm-1、1700cm-1の酸化チタンの吸収は殆ど検出されなかったことから、モノマーは純粋に塊状重合はもちろん、線状のオリゴマーも形成されていない純粋なモノマーであると推定される。
以上により、それぞれのモノマーは、水を大量に加えてもキレート剤を触媒量(重合濃度×触媒量により重合度を制御する)大量に加えても、白色沈殿を生じないのは、下記のように保護基が形成されたモノマーであると推定される。
すなわち、TIPT−(1)MC4、TIPT−(2)MC2、TMT−MC4、TMT−MC2は殆ど塩酸とメタノールとチタンが五員環または六員環の形成をして「テトラメトキシチタン酸塩酸塩」(c)Iになると考えられ、一方、POT−OC4は(a)IIの式POT−OM2は(b)IIIの式になっていると考えられる。
[推定式]
Figure 0005606437
Figure 0005606437
Figure 0005606437
モノマーの合成された時点での反応式は、食塩プレートにこれを塗布し、常温で過剰の揮発分を除去し、恒量に達した時のIRスペクトルから推定した。
Figure 0005606437
原料は、試薬一級で、全て和光純薬製を使用した。
しかし過剰の溶媒系ではメタノールと塩酸、過酸化水素、過酸化水素とメタノールがチタン酸と錯体のような形で保護基を形成しているのではないかと考える。
Figure 0005606437
Figure 0005606437
なお、通常、アルコリシスは低分子アルコールが高分子のアルコールに置換するが、塩酸と、塩酸が含む水とメタノールが、分子間結合してチタン酸メチル塩酸塩として安定化され、イソプロポキシチタン酸結合が不安定になって、メトキシチタン酸塩にアルコリシスすると考えられる。これは、チタンの腐食に関する文献によれば、塩酸とメタノール系が極度に腐食し、エタノールがこれに続くが、他のアルコールでは殆ど腐食はしないことから証明される。
四塩化チタンは、10%までは透明な水溶液であるが、水を加えて希釈していくと、8%以下になると白色沈殿を生じ、ゾルとなる。
これは10%以上でも酸化チタン結合とその表面(末端)に水酸基(チタン酸基)をもった透明液に見える50ナノ以下の微細結晶として存在するものと考えられる。
化学工業論文集 第23巻第1号(1997)p129〜131参考。
さらに、アルコキシチタン酸として、公知公用化されている代表的モノマーにテトライソプロポキシチタン酸、テトラブチルオキシチタン酸、テトラメトキシチタン酸があるが、水に不溶でアルコールにはモノマー合成に用いるアルコールにしか溶解せず、水と接触すると加水分解されていき、酸化チタン(水酸基を有する)ゾルになることから、アルコキシチタン酸だけでなく、水に溶解しない金属のアルコキシ化合物を、水に無限に、また有機溶剤に溶解することのできる技術は世界に存在しなかったが、他の金属も本手法により、水溶化または有機溶剤に可溶化することが可能であると考える。
このモノマーは、透明であらゆる素材に容易に均質に塗布され、透明を示し、紫外線・熱・キレート剤、過酸化水素により網状架橋し、強力な膜を形成することができ、チタンライニング剤などの用途に用いられ、紡糸、フィルム加工が可能で、単独またはバインダーを用いて押出成型、プレス成型、鋳型、造粒、ライニング加工などが可能となり、新技術・新用途の道がひらかれる可能性がある。
布に含浸させたり、糸状、フィルム状に成型したり、糸やフィルムにコーティングすると、電磁波防御新素材、静電気防御新素材の開発が可能である。
比較例1
YOO型チタニアの合成法にもとづき、水とイソプロピルアルコール1:1の混合液2kgにテトラクロルチタン1モルを加えると、白沈を生じて沈殿した。
酸化チタン結晶の表面に水酸基(チタン酸)を有する沈殿物を濾過して透明な液の部分を分析すると、チタンの含有量は、0.5重量%であった。チタン酸のイソプロピルによる保護コロイド液と考えられ「Y−TIP」とした。
次に、佐賀型チタニアの合成法にもとづき、水2kgの中に四塩化チタン190gを加えていくと、ただちに白沈を生じ、酸化チタン(水酸化チタン)ゾルを形成した。
このものに50%の過酸化水素4モル(272g)を大過剰加え、濾過して得られた水溶液のパーオキシチタン酸の含有量は1%であった。パーオキシチタン酸の飽和濃度であると考え、これを(S−POT)とした。
なお、
Figure 0005606437
は4価であるので、1モルは4モル価となる。
実施例2
実施例1で合成された保護基を形成したモノマー10%相当溶液1モル(塩酸4モル価対等モル価)を用いて、連鎖移動重合触媒(キレート剤)に85%リン酸およびトリメチルホスフェート(リン酸トリメチルエステル)を加え重合し、次第に粘稠になり、透明な膠化点または最高粘重点(粘度が上昇して粘重になり、膠化せず、さらに追加して行くと粘度が低下し始める点)に至る濃度を測定した、また、塩酸2モル価(対チタン1/2モル)モノマーを同様に連鎖移動重合し、膠化点に至る触媒の濃度を測定した結果、表1のとおりであった。なお、反応時の回転速度は、10m/min以上で行い、滴下速度と冷却効率により、回転速度を調節した。
Figure 0005606437
1モルのチタンに対し、HClが4モル(等モル価)になると重合が高分子に至らず、低分子でターミネーションして行き、膠化点に至らず、リン酸およびリン酸トリメチルが溶媒になって行くために粘度が低下して行くと考えられる。大過剰のリン酸化合物を加えても、白濁するキレート沈殿を生じないのは、保護基の安定性が証明されるものである。
比較例2
比較例1で合成された「Y−TIP」0.5%液と「S−POT」1%液にリン酸とトリメチルリン酸エステルを加えていくと、「Y−TIP」は1滴加えただけで白沈を生じ、濾液を分析すると、上澄液には、チタンは含まれていなかった。
一方、「S−POT」1%液に、リン酸とトリメチルリン酸エステルを加えていくと、粘度が増し、乳白色化して膠化点に至った。
膠化する寸前に停止すると水に白濁溶解するが、膠化したものは水を加えて溶解しても溶解しなかった。以上により、Y−TIP 0.5%液も、S−POTも、酸化チタン粒子の数ナノ〜50ナノの透明液であるため、線状高分子に至らず、縮合重合の架橋粒状結晶ゾルが形成されることが明らかである。
実施例3
重合濃度の影響と原料がTMTとTIPTが近似することを証明する実施例
モノマーTMT−MC2(塩酸2/4モル価の液)10%相当と2%相当液およびTMT−MC2 10%相当と2%相当液に塩酸を追加してメトキシチタン酸に対して3/4モル価とした液TMT−MC3の10%相当、2%相当およびTMT−MC4の10%相当と2%相当液(メトキキチタン酸に対し4/4モル価)おのおの、200gに、8.5%リン酸を加えて行き、膠化点(または増粘のピーク)に至るリン酸触媒の添加限界を測定した結果、表2のとおりとなった。さらにTIPT−MC2(塩酸2/4モル価)10%相当と2%相当およびTIPT−MC4(塩酸4/4モル価)10%相当と2%相当およびTIPT−MC2に塩酸を加え、TIPT−MC3(塩酸3/4モル価)10%相当と2%相当を用いて同様の試験を行なった結果のg数を( )内に示す。
Figure 0005606437
塩酸2/4モル価以下では、リン酸を加えると白濁し1.8/4モル価以下になると沈殿を伴う白濁を形成するが、2/4モル価以上であれば、白濁しないで次第に重合が起こり、増粘し、やがて透明な膠化点に至る。膠化点に至り、強制的に攪拌しながら更にリン酸を加えていくとやがて、粘重な液にもどるのは、8.5%のリン酸を用いるゆえ、溶媒(溶解)効果と考える。大量のリン酸を加えていっても白沈を生じないことから、保護基の存在が証明される。膠化点時に攪拌が不均一になるため、膠化点後のポリマーのサンプルをさらに希釈すると、白いオリン状のポリマーが沈殿せず懸濁する、これは不均一系でポリアクリルアミドが一部クロスリンキングした時に生ずる現象と同じで、明らかに線状ポリマーが撹拌停止するまでは形成していることの証しとなり連鎖移動重合されたと考えられる。
前記1.8〜2.0モルの白濁するが沈殿しないポリマーは直線ポリマーに水酸化チタンを末端とする、酸化チタンの凝集体がグラフト化されたものか、線状ポリマーがクロスリンキングしたものと考えられる。
さらにTIPTから出発してもTMT型に転換されていることが、( )内のデータと近似することから推定される。
実施例4
リン酸含有量および白濁(水酸化チタン含有)の光下および非光下活性の対比例
実施例3で合成したTMT系2%相当モノマー濃度で合成されたポリマーをモノマーも含め、石原産業株式会社製チタニアのSTS・21を比較例として用い、プレパラートに塗布し、ブラックライト500Wで紫外線を8時間照射後、メチレンブルー法(テストピースにメチレンブルー液をスプレーで吹きつけ乾燥して)再度紫外線下におき、分解(消色)速度の順を判定した結果を表3に示す。
A〜Eは、リン酸含有率で非光下と光下活性が逆転する。Fとモノマーはリン酸を含まない。モノマーは分子内自己活性機能を備えていない故、屋外で紫外および太陽熱により、長時間脱メチルするエネルギーが与えられないと、酸化チタン結合になりにくいため、活性が低いと考える。紫外照射メチレンブルーテスト法の結果では下記の値を得た。
Figure 0005606437
パーオキシチタン酸ポリマーの挙動について実験した。
実施例5
モノマー濃度を加え、実施例2と同一の条件でモノマー、POT−OC4−10と、POT−OM2−10を用い、リン酸とトリメチルリン酸を加え、膠化点に至るモノマーの濃度に対するリン酸量とトリメチルリン酸量を測定した結果を表4に示す。
Figure 0005606437
実施例6
屋外スレート壁面に、アクリル塗料(日本ペイント株式会社製)を塗布し、5年たった北向きの壁面に生えた青苔(緑苔)の上に、10%相当モノマー1kgを用いて実施例2と同一方法で85%リン酸触媒を6g、リン酸トリメチルを20gで重合を停止したアルコキシチタン酸とパーオキシチタン酸を2%相当に稀釈し、ハケ塗りしたフィールドテスト結果を表5に対比する(この壁面は北向きで上にぶどう棚があり、極悪な環境下)。
Figure 0005606437
「公知粒状チタニアの接着剤効果のテスト」
石原産業製チタニア STS−01 2%品と佐賀型チタニアTA(ティーオテクノ)2%品の混合物を比較例にして同上の試験を行なった結果を表5にABとCで対比する。バインダーとして、佐賀型より本発明品が有効であるのは、市販の粒子状チタニアの末端基である水酸基(チタン酸)と下地表面のエステル基が水溶性アルコキシチタン酸保護基とエステル交換反応や置換反応して強力な化学結合を形成するために、亀裂・剥離・脱落を防ぐため、長期安定するものと考える。
実施例7
水和しないで、無水和系で連鎖移動重合した結果と有機溶剤に対する溶解性。
実施例1と同一条件で合成したモノマーに水を加えず、水和せずそのままを用いて、実施例2と同一の条件で85%リン酸およびリン酸トリメチルを、連鎖移動触媒として重合を行なった結果、水和したときの反応より、はるかに多くのリン酸およびトリメチルリン酸を要した。その結果、暗所活性がより大なるものがえられ、リン酸を用いたものは、より親水性の膜を形成することができ、リン酸トリメチルを用いたものは、より親油性の膜を形成することができることを見出した。えられたものの末尾に−20を付した。表6の右端にリン酸トリメチルを用いて重合したサンプルの有機溶媒溶解性をwt%として示した。
Figure 0005606437
重合の理論からすれば、メタノール1kgと水1kgを含み2kg中で重合する場合と、メタノール1kg中で重合する場合は重合前のモノマー濃度は、約2倍になり、重合速度が上がり、膠化点は早くなり、触媒の量は少なくて済む筈であるが逆になったのは、このメトキシチタン酸を主成分とするポリマーは、水/メタノール系に対する溶解度より、メタノール系での方が大きいゆえ膠化点がおそくなることと、水無添加系での重合では、リン酸と塩酸と過酸化水素水に含有する水のみであり、塩酸とメトキシチタン酸が保護基を形成したモノマーの水和率が極めて低いために連鎖移動触媒の活性がおさえられ、ゆるやかに反応がすすむためと考えられる。連鎖移動の順序は、HClがH2Oに入れかわり、さらにHClが触媒(たとえばリン酸)に入れかわり、末端に形成された、水和メトキチタン酸基とリン酸の連鎖移動により重合すると考えられる。この理論は、チタン酸バリウムの合成の時のシュウ酸法、すなわち、塩化バリウムと四塩化チタンを反応させる時、シュウ酸を共存せしめると脱塩酸され、シュウ酸チタン酸バリウムになるのに似ている。
実施例8
脱塩酸反応による、反応メカニズムの解明と防錆剤用アルコキシチタン酸の検討
実施例1と同一条件で合成したモノマー(TMT−MC2−10、TIPT−MC2−10)と、これを用いて実施例2と同一で重合した膠化点寸前のポリマー(TIPT−MC2−10−P15.6、TMT−MC2−10−P−14.3)を水に希釈して2%相当、1%、0.5%相当液を調製し、弱アニオン交換樹脂(三菱化学株式会社製)を充填したイオン交換−カラム500mm 30mmφに充填し、1分間10ccの速度で100ccを通過させ、フラクションを分け、硝酸銀で、白沈を生じないフラクションを集めて20℃±0.5℃の恒温槽中、B型粘度計で粘度を測定した。また、この重合した液70ccに、8.5%リン酸を5cc加えた後の粘度を測定した結果を( )内に記入した。
結果を表7に示す。
Figure 0005606437
モノマーは、チタン酸メチル塩酸塩またはチタン酸メチル塩酸錯体の型できわめて安定な保護基を形成しているが、塩酸を引抜くと、ただちに白沈を生じると予測したが、イオン交換カラムを通過後、増粘重合がおこり、透明なるポリマーがえられた。考えられることは、塩酸が除かれたあとに水の分子が入れかわり、水和反応しながら連鎖移動重合を生じたと考えられその分子組成を下記化学式5aに推論した。イオン交換樹脂重合した液に、リン酸を加えたが、粘度計は上昇せず、キレート沈殿も生じなかった。
一方、キレート剤で連鎖移動重合したポリマーは脱塩酸しても白沈を生ぜず増粘しないのは、塩酸に入れかわり、水がメトキシチタン酸基とより強い保護基を形成し、リン酸はキレート結合を形成せず、配位結合した錯塩のような弱い結合をするか、水と保護基を形成して、白沈を生じないのではないかと考え、下記化学式5bにその分子組成を推定した。このことから、イオン交換重合したポリマーにリン酸を加えたときの分子構造も、化学式5bになると考えられる。
化学式5a
Figure 0005606437
化学式5b
Figure 0005606437
実施例9
実施例8で合成した無塩素化したサンプルの防錆試験を行なった結果を表8に示す。
ボンディング鋼板0.8mm(脱脂)(新日鐵)をバ布400番で研磨したテストピースにイオン交換樹脂を通過させ無塩素化した液をハケ塗りし、つり糸でつるして110℃/3時間乾燥したサンプルを「5ppmの食塩水」、「延岡水道水」、「イオン交換水」に浸漬して、表面が変色または斑点となる時間を、未処理テストピースを比較例として対比した。
Figure 0005606437
モノマーの塩酸を除去した後の重合物およびリン酸化ポリマーの脱塩酸液は強力な防錆剤となることが判明し、自動車用鋼板のノンクロムメッキに有効であることが期待される。防錆剤としてだけではなく、さらに期待されるのはチタン酸メチルと水またはリン酸とチタン酸メチルが錯体のような保護基を形成し(化学式5b)していると考えられ、自動車の粉体塗料はアクリル系、ウレタン系などがあるが、その表面にメチル基、OH基、イソシアナート基、カルボキシル基、アミノ基などを露出残存せしめていると考えられ、これらの活性水素とチタン酸メチルリン酸錯体は強力に反応することがその原料に用いるアルコキシチタン酸が強力なエステル変換、触媒になることから推論でき、塗料剥離強度、接着性などを大幅に改善することができると考える。
実施例10
紫外処理と熱処理および自己活性化に関する試験を行なった。実施例2に示す連鎖移動重合した液
(A)TIPT−MC2−10−P15.6、(B)TIPT−MC2−10−PM29.4を代表例に用いて紫外線処理賦活、熱処理賦活および自己活性賦活の試験を行なうために各サンプル2%液相当を10cm×10cmのガラス板にスプレー塗布し、常温(20℃±1℃)、湿度50%の部屋で7時間かけて、乾燥したサンプル(A)、(B)を製作する。(A)、(B)を用い、110℃で通気乾燥を1時間、2時間、3時間したサンプル(熱処理賦活(X))および20±1℃の暗所に10日、20日、30日間保持したサンプル(自己分子内賦活(Y))、さらに未処理(紫外線賦活(Z))をJIS法テトラバッグB法でサンプルをバッグ内に入れ、アセトアルデヒド100ppmを注入し、500Wのブラックライト(紫外ランプ)を照射して、ガスの分解速度をプロットした。結果を図1に示す。
(X)熱処理賦活サンプルは最大100〜150ppm、(Y)暗所保持(自己賦活)は最大110〜180ppm、(Z)未処理(紫外線賦活のみ)は最大250ppm〜300ppmに上昇しテトラバッグ内で紫外により、メチル基が脱離すると急に活性を示すことが判明した。熱処理は短時間で活性となり、暗所で長時間保持することにより分子内のリン酸とチタンの間で生じるアノード、カソードや赤リン/黄リンの酸化還元効果により自己活性賦活となると推論される(暗所活性の証明となる)。
実施例11
実施例10と同一のサンプルを用い、110℃/2Hr処理と、リン酸処理したテストピースを用いて、JIS法テトラバッグに入れ、暗所での活性と、紫外ランプをあてた時の活性を測定した。(JIS法に準ず)
110℃/3Hr リン酸処理
熱処理
(A)TIPT-MC2-10-P15.6 (A)-(1) ○ A-(2)
(B)TIPT-MC2-10-PM29.4 (B)-(1) □ B-(2)
(C)STS-21 ×、(D)TA △
リン酸処理とは未処理のテストピースの上に2%のリン酸をスプレーして、温度50%の通気乾燥機の中に1時間保ったサンプルで、過剰のメタノール/水系と安定なメトキシチタン酸ポリマーは乾固され、水和保護基が破壊され、膜を形成した後、リン酸を接触させると保護基のメチル基が脱メチル化され、酸化チタン結合(網状化)や、リン酸チタン結合になることを想定したテストを目的とした。結果を図2に示す。
リン酸で処理したものは暗所でも高い活性をさらに示し、110℃/2Hr処理と同等以上の即活性を示すことが判明し、公知チタニアがテトラバッグで即活性を示すがメトキシチタン酸ポリマーは、JIS法では脱メチルしたガスのため、数時間では活性を示す値が出ないJIS法の欠点(盲点)に制限されていたが、本法(A)、(B)、とくに(B)法を用いる施工法で塩ビクロスや、室内、新築家屋での即効データが求められる時や屋外で冬期、冷寒時、曇天のときの施工法として有効であることが判明した。
(考察)
実施例10の110℃/2Hr処理に比べ、暗所でも脱メチルが自己活性でおこっていると考えられる。
実施例12
塩ビクロスに公知チタニアを塗布すると、チタニアが可塑剤に、吸着、埋もれて、光触媒効果を示さないという課題が、レザーの会社(Kレザー社)で未解決となっていた、塩ビクロスには数拾%のエステル系可塑剤を含んでおり、公知チタニアは水に分散させた粒子チタニアであるために親水性が多く、親油性の可塑剤と接着親和性がなく、結合性もないゆえ、付着しにくく、クロスの孔の中に吸収されにくく、吸収されたとしても、光のあたらない深層部では光活性が与えられず、表面に付着したものは乾燥すると脱落するために、光活性を長時間賦与できなかったと考えられる。
本発明のチタン触媒の暗所活性の最も強い領域のサンプルTIPT−MC4−PM518を用いると、クロスの可塑剤と親和性が大きく、吸収されても非光下でも活性を示し可塑剤の末端にある、エステル基とアルコキシチタン基が塩酸触媒および分子内に結合するリン酸チタン結合およびリン酸基の自己触媒効果により、エステル交換されて化学結合、または分子間結合することが可能であると予想され、きわめて大きな消臭活性を恒久的に維持することを見出した。
さらにこの高暗所型チタン酸触媒はクロスの表面に結合、会合して膜を形成するが、チタン酸ポリマー鎖と反応に要するモル数以上の溶媒効果として存在する過剰または遊離したトリメチルホスフェートが、クロス内部とくにエステル系可塑剤の中に移行し、表面に存在するアルコキシチタン酸ポリマーと結合した部位が露出する形になり、紫外および分子内自己活性により、脱アルキル化して、酸化チタン結合やリン酸チタン結合を形成し、光活性や暗所活性を賦与するために、クロスの表面に恒久的に結合し、浸蝕変質することもなく脱落することもなく活性を恒久的に示すことが推定される。
10cm×10cmに切った塩ビクロス(関東レザー株式会社の無地クロス)に、実施例2で得られたポリマーTIPT−MC4−10−PM518とTMT−MC2−10PM27を用い、比較例に佐賀型チタニアTAと石原型チタニアSTS−01の各々の2%を塗布し、20℃±1℃、湿度50%以下に7時間保持乾燥させテトラバッグ法でアセトアルデヒドを100ppm注入して試験した結果を図3に示す。
(考察)
実施例10のガラステストピースと塩ビシートでは挙動が少し異なり、暗所で自己活性で分解されたメタノールは、ガス化せず、クロスの中の可塑剤に移行し、紫外照射と同時に、急激にガスが発生することが想定される。
実施例13
極性の対比テストおよびセルフクリーニングテスト
親水性最大から、親油性最大のサンプルを下記のように並べ、これに比較例として、佐賀型パーオキシチタン酸TA(ティーオテクノ)を加え、それぞれの2%液を、プレパラートにスプレー塗布し、20±1℃、湿度50%のボックスに5時間保った後、比較例として旭化成ヘーベルの親水性アクリル塗装面を加え、マイクロシリンジに水を入れ、液滴をプレパラート試料に滴下させ、液滴が破壊して流れ広がる点の水の量(ml)を測定した結果の値を表9に示す。また、塗布したプレパラートの表面に2%の過酸化水素水を塗布し、同様の乾燥を行なった後、水滴法で親水性を測定した結果を( )内に示す。
Figure 0005606437
実施例14
旭化成へーベル壁材表面にアクリル塗料(PBコート(HG)大橋化学製)を塗布したサンプルを用いて、水性汚れ液(水100ccに、粘土5gを加え、墨汁1ccで着色したもの)と、油性(鉱油)汚れ液(水100ccにマシン油5ccを加え、墨汁1ccで着色振とうしたもの)を、実施例13で用いた試料をブランクの表面にハケ塗りし、屋内で1週間自然乾燥したあと、屋外に放置して降雨による自然落下、水道水ノズルによる強制落下試験を行なった結果を表10に示す。
Figure 0005606437
実施例15
木材の防腐、白蟻防止効果試験
杉板外壁用フローリング(川上木材製)を株式会社ヤスジマ製減圧加圧式含浸機(ランバー宮崎協同組合所有)で減圧700〜500トール、加圧9〜10kg/cm2の条件で、実施例6で用いたアルコキシチタン酸ポリマー2%液を含浸させ、屋外壁面に取りつけて、カビや苔による変色を対比し、フローリングを10枚結束して、床下に放置し、変色と白蟻の対比を行なった結果を表11に示す。
Figure 0005606437
実施例16
自動車用鋼板接着性テスト
自動車用鋼板テストピース(ボンディング鋼板脱脂(新日鐵製)0.8mmt バ布仕上げ400番)、100×100mm に、実施例8で合成したサンプルの2%液を塗布し(ローラー)、180℃/5分熱処理した後、続けて自動車用塗料(日本ペイント製ビリューシアPL1000)を日本ワグナ社製ガスPEM−T3を用いてスプレー塗布したテストピース3枚を用いて、これに500gの鋼球を落下させる高さをかえ、塗料の剥離する高さを調べた結果を表12に示す。
Figure 0005606437
実施例17
農薬抗菌試験
実施例6で合成した代表サンプル2%相当液を用いた。
黒サビ(スス)病にかかった甘夏柑の殺菌回復の試験を行なった結果を表13に示す。塗布して1ヵ月後の判定を、完全消去 ○、ほとんど消去 △、変化なし ×で示した。
また、薬害なしを( )内に○、少しありを△、かなりありを×で示した。比較例にトップジンM*(日本曹達(株)製)とブランクと対比した。
* 果皮が変色・落下、葉が変色・落葉する度合いを言う。
なし○:変化なし
少しあり△:果皮・葉に光輝が消える
かなりあり×:落果、落葉
Figure 0005606437
メトキシチタン酸は、乾燥し紫外線をうけると、菌体の表面に露出しているスパイク状の蛋白表面のアミノ基や塩基と結合し、菌体の分解を促進すると考えられ、植物の表面はロウ物質や保護膜を形成しているので、損傷が少なく低級生物であるウイルスやカビ、苔の分解・消去効果に著しいが、高等生物である植物や動物、特に人体の表皮に関してはきわめて損傷が少ないことが推定される。
実施例18
トンネル内のNOXとSOXの分解フィールドテスト
実施例6のサンプルより選び、2%液を用いてテストした。
K地Iトンネル壁面に、親水性(A)と親油性(B)の2%液を表面が均一に濡れるまで噴霧塗布し、10ヵ月後に、未処理面を比較例にして、上、中、下の部分に付着したススを100cm×200cmの面積にわたり、20cm×40cm、厚さ約1mmのガーゼでふきとり、これを水500ccに入れて抽出し、その中に含まれる硫酸と硝酸の濃度をイオンクロマトグラフ(東亜DKK(株)製)で測定した結果を、表14に示し、排気ガス中のNOXとSOXの分解能を推定比較した。
Figure 0005606437
さらに、水道水によるススの洗浄を行ない「よくとれたを○」、「とれたを△」、「とれなかったを×」にして()の中に記した。
この結果から推定されることは、NOXとSOXは、親油性でススの中に吸着固定されやすいと考えられる。光の少ないトンネル内でススに吸着されたNOXとSOXはメトキシチタン酸リン酸高分子内で自己活性のメカニズムとして推定されるアノード/カソードおよび赤リン/黄リンの酸化還元作用に接触し、酸化されてきわめて強力な吸水性(親水性)の硫酸、硝酸になり、下部位に流下集積されたと考えられる。
特に(B)は、親油性タイプ故、親油性のNOXとSOXを吸着しやすいと考えてよい。また、親水性(A)の処理部は水道水圧で完全に洗浄できることが確認された。したがって、アンダーコートに(B)を塗布し、オーバーコートに(A)を塗布すれば、NOX、SOXの分解と洗浄のより好ましい条件を提供できると考える。
実施例19
電磁波防御効果のテスト
サランラップに、実施例8で合成したサンプル2%液を塗布し、300ccのビーカーに水100ccを入れた試験用ビーカーを全面覆い、サンプルとし、比較例として未処理のサランラップで覆ったビーカーを用いて、電子レンジ(ナショナル NE−F3)に入れ、水の沸騰し始める時間を測定した結果を表15に示す。テスト個数3点とした。
Figure 0005606437
考察すると、サランラップと親和性の大きいタイプがより防御性が大きいことが判明した。均一な数オングストロームから数ナノの均一な網状膜を形成しているのではないか、また、変形、折り曲げに対応できるのは、サランラップ(登録商標)の中に40±数%の可塑剤が含まれており、メトキシチタン酸基と、エステル交換して結合するため、プラスチック、特にエステル、OHを含む表面に有効であると考える。
実施例20
保護基形成モノマーから、連鎖移動重合またはイオン交換重合したポリマーを塗布乾燥して、触媒活性を示すに至るメカニズムを、上述した実施例と、新たに系から脱塩酸した後、キレート剤を添加した挙動を用いて詳細に解明した。
[推定化学式]
一例
Figure 0005606437
(考察)
連鎖移動重合したポリマーを脱塩酸しても、末端が封止されており、これにさらにキレート剤(連鎖移動触媒)を加えても増粘せず、白沈も生じないのは、水和されたメトキシチタン酸基はきわめて安定で、水系で自己重合もキレート反応も短時間では起こらないことを発見した。
キレート剤(連結移動触媒)にリン酸を用いた場合、リン酸は連鎖移動重合ポリマー末端を停止(封止)し、過剰のリン酸は単にポリマーと塩を形成した形になっており、公知のリン酸チタニアはただちに沈澱ゾルを形成するために、異なることが証明された。
[推定化学式]
Figure 0005606437
Figure 0005606437
この反応の経路から化学量論的に塩酸が最も強い結合力を有すると考えられるが、[H2O]>[HPO3]>[HCl]の順になり、メトキチタン酸塩酸塩(保護基)モノマーを水和しても(I)、水和しなくても(II)、水を加え水和することにより、メトキシチタン酸基が加水分解されるべきが最も強い水和保護基を形成され、さらに塩酸が存在しなくても、この水和保護基末端は最も強いキレート剤であるリン酸を加えてもキレートを形成せず(白沈せず)、安定であるのは、ポリマー末端の停止(封止)構造は、リン酸チタン結合ではなく、チタン酸水和保護基に、リン酸が錯塩のような形で安定化されていると考えられる。換言すれば末端結合の示性式に示した推定化学式
Figure 0005606437
推定化学式
Figure 0005606437
となっており、ポリマー鎖の示性式に示した下記推定化学式
Figure 0005606437
は、2つのメトキシ基が縮合して推定化学式
Figure 0005606437
の形で安定化されているのではないかと推定される。
次に上記で得られた、メトキシチタン酸水和保護基に、キレート剤(例えばリン酸)が、錯体(錯塩)として付加したポリマーを塗布して乾燥すると、脱水濃縮するに従って水和保護基が破壊され、酸化チタン結合やリン酸チタン結合が形成されて行き、さらに高温処理、過酸化水素処理または分子内の酸化還元反応、または紫外線による酸化還元反応、により完全に脱メチルされると同時に、酸化チタン結合とリン酸チタン結合が強固に形成し、前者は光活性を示す網状ポリマーフィルム状となり、後者は暗所活性を示すリン酸チタン結合を形成することが、実施例4、7、10、11、12より推定される。
えられた保護基を有するモノマーおよびポリマーが塗布されて、保護基が破壊されて架橋して行くメカニズムについて推論を下記した。
推定式
Figure 0005606437
実施例21
紡糸テスト 実施例5の10%相当の膠化点寸前の粘重液を使用
(1)POT−OC4−P18.2、(2)POT−OC4−PM35、(3)POT−OM2−P9.0、(4)POT−OM2−PM18.2を0.5mmφの紡口を取りつけた加圧容器に100cc入れ、1kg/cm2±0.01の保圧制御をしながら、遠赤外ヒーターで、空気温度200℃±5℃(紡口出口にセンサーセット)に保持した2mの高さ、100mmφのパイレックスガラスチューブ内に流下せしめ、連続して紡糸できる度合を検討した。その結果を表16に示した。
Figure 0005606437
糸の均質性は、変形して紡糸するか否かを判定し、全く変形しないを◎、少し変形するを○とした。
実施例22
フィルム成型
実施例21と同一のサンプルを用いてテフロン(登録商標)加工した熱ローラー300mmφ、長さ300mm、回転比10:11を間隙0.2mmに保ち、6r/mの速度で回転させ、ローラー表面温度を200℃に保ち、サンプル(1)、(2)、(3)、(4)をローラー中心に流下させ、巻取機にフィルムを巻き取る試験をした結果を表17に示した。
Figure 0005606437
フィルム均質性は、全く変形しないを◎、少し変形するを○とした。
実施例23
使用済靴皮処理テスト 暗所での臭気およびカビテスト
実施例15で用いたサンプルを用いて、使用済の靴全面にスプレーで塗布し、太陽光下に3日間保持し、湿度80%/30℃に保持したBOXに入れ、黒布で光を断ち、未処理にカビが生えるまで1日毎にチェックした結果、未処理区は、1日目よりカビ臭が生じ、3日目にカビが確認された。TMT−MC2−P6、TMT−MC2−PM20共に3ヵ月保持したが、変化なく中止した。臭気も生じなかった。
実施例24
歯の光輝磨耗テスト
実施例8で合成したTMT−MC2−10P14.3NとTIPT−MC2−10P15.6Nの2点を前歯に塗布し、ドライヤーで40℃±10℃の風で10分間乾燥後、2%リン酸を塗布し、10分間乾燥後、ブラックライト(デチトロンLC、サブロン・デンタル社製)を30分照射した結果、強い光輝表面が形成された。1日毎にチェックし、光輝の減衰する期間を測定した結果、2点共8.5ヵ月より、少しづつ光輝が減衰してきた。
比較例として、研磨した後、フッ素処理(ビーブランド・メディコ・デンタル製)をした試験区は、かすかに形成した光輝が10日頃より消失した。
実施例25
ドライ潤滑剤としての利用
イワタニミルサー(型式IMF−710)の鉋金製軸受と同一の軸受を製作し、実施例8に用いた製品2%相当液をメタル部位に注入し、1分間1万回転で回転した後、追加注入する方法で3点試作し、未処理のものを、二硫化モリブデンドライ潤滑剤(日本ドライスライド社製)と対比し、表18に示した。
Figure 0005606437
回転により、酸化チタンとリン酸チタンの膜が形成し、宇宙船などの絶対真空下で用いる二硫化モリブデンのドライ潤滑剤と同様、形成された膜が過剰部分が剥離し、鱗片状の結晶を形成して、ドライ潤滑剤としての効能を発現するものと考えられる。
実施例26
セラミック容器のコゲ付、付着防止効果
(株)大慶製 セラミック容器「二重鍋(A)」、「炊飯落し蓋(B)」、「紅茶ポット(C)」を用いて、実施例14のサンプルを用い、ハケ塗りし、風乾とハケ塗りを3回くり返した後、200℃のオーブントースターに入れて1時間熱処理し取出した(A)には、生の豆乳をいれ、下鍋に湯をわかしながら30分、間接加熱し、水面と壁面に生じる湯葉のコゲ付、(B)は炊飯器(ECJ−IHP18 サンヨー)に3合のコメを炊く中に「大慶製セラミック落し蓋」を入れ、飯粒の付着状態を対比した。(C)には、大慶製紅茶カップに紅茶を入れ、オーブン中で蒸発乾固し、紅茶タンニンの付着状態を対比した。(D)は、大慶式直火セラミックナベを用いて、米飯のコゲつきたきをおこなった。
なお、コゲや付着は、水道水圧をかけることにより「良くとれる ◎」「とれる ○」「とれにくい △」「とれない ×」を基準として評価し、表19に示した。
注)蛋白質、澱粉、タンニンの付着がセルフクリーニングできることが判明した。
Figure 0005606437
実施例27
セラミックつや出しと、耐磨耗性の評価
(株)大慶製のアルミナセラミックボール20mmφに実施例6の2%相当試料を塗布し、風乾を3回くり返し、常温、100℃、200℃、400℃、800℃の炉に入れ、1時間加熱したときの光輝(光輝大:◎、あり:○、なし:×)の評価と、得られたボール(充填率50%)をテスト用ボールミル1リットルに入れ、タルク100メッシュの粉体100gを入れ、60r/mの回転速度で回転し、1時間毎に光輝(磨耗)をチェックした結果を表20に[ ]内に時間で示した。
Figure 0005606437
実施例28
炭酸ガスの分解
ガラス繊維0.1mmφ(旭硝子(株)製)150gにTIPT−HC2P6、TIPT−MC2PM20 2%相当液を含浸させ、通気乾燥することを3回くり返して得たものを、200℃のオーブンに入れ、1時間加熱したサンプルをJIS法テトラバッグに入れ、炭酸ガスをもって5回置換したときの炭酸ガス濃度を測定し、純度99.9%以上であることを確認して、ブラックライト500Wを照射し、経時毎のCO(一酸化炭素)の生成量を測定した結果を図4に示す。
テトラバッグ内にマグネシウム金属線5gを入れ、生成するO2を吸収せしめた結果、COの生成速度は加速され、○−○と△−△になった(測定機は島津製、GC−MS−QP2010を用いた)。結果を図4に示す。
実施例29:水の分解
実施例28で得たと同一のサンプル150gを2リットルのガラス製メスシリンダーに均一になるように充填し、純水を入れ、上部にゴム栓をつけ、その上端にコック付きノズルをつけ、ノズルの先端をゴムホースでJIS法テトラバッグに接続し、テトラバッグからコックまでを窒素で置換して、テトラバッグにマグネシウム金属線5gを入れ、酸素の含有量を0.1ppm以下にした段階でメスシリンダーに沿ってブラックライト500Wを取りつけて照射し、テトラバッグの空間を1/5以下に圧してガスを排気したのちテトラバッグに蓄積する水素の濃度を測定した結果を図5に示す(測定機は島津製、GC−MS−QP2010を用いた)。結果を図5に示す。
実施例30
親和性による剥離、白華、脱落防止
実施例13に親水性(極性)から親油性(非極性)の分子設計を示したが、これを用いて、下地表面に親和性を選定する方法について実験した結果を示す。
1)下地をゼット水または湿布でふきとって風乾した後、毛筆を用いて極性から非極性の材料を塗布し、濡れ表面が安定な膜を保持するとき、親和性があり、収斂して濡れ面が分離するときは親和性がないとして、親和性のあるものを下地コートする。
2)次に汚れの原因になるダスト、排気ガスのような親油性のものが付着する環境には、その上に親水性のグレードを塗布すればよく、土ぼこりなどの親水性汚れが付着する環境では、親油性のグレードを塗布する方法を選定する。結果を図6に示す。
実施例31
ウレタンフッ素塗布板(ファイン4Fセラミック 日本ペイント)にハケ塗りすると実施例14のサンプル親和性は表21のとおりであった。
Figure 0005606437
実施例32
ガラス親和性と下地浸食防止のためのアンダーコート模擬試験
1.ガラスに対する親和性は、実施例31とは逆で、実施例31の表に示す親和性とは逆でA/◎、B/○、C/○、D/×、E/××であった。
2.触媒毒として、ケイ酸ソーダ2%液と、リン酸2%液を反応させ、ケイ酸リン酸ソーダ2%液として「PS」とした。
次にリン酸の代替にトリメチルホフフェート(リン酸トリメチル)2%とケイ酸ソーダ2%を反応して得られたケイ酸リン酸メチルソーダを「PMS」とした。
このもののガラスに対する親和性は、PS/◎、PMS/△であった。リン酸トリメチルの比率を上げると、PMSは極性が低下し親油性を提供できる。
3.ガラスプレパラートにメチレンブルーメタノール液を塗布し、乾燥後、アンダーコート剤にPSを塗布したものと、塗布しない上にA(TIPT−MC4−P254)、B(TMT−MC2P14)をスプレー塗布し、塩ビ波板屋根下(弱い紫外線下)に放置した。未処理を加えて、消色する時間を測定した結果を表22に示す。
Figure 0005606437
実施例33
帯電防止(伝導性)試験
ポリエステルの裏地布40cm角に、実施例6の試料で2%相当液を含浸させ乾かした綿のタオルで脱液し、直射日光下で2日間乾燥し、ハンカチの末端を2本の指でつまみ、10回回転させたのち、スチール製のものさしを直角に取りつけた1インチの鉄パイプを垂直に立てた先端に近づけ、吸着する距離を0.5cm単位で3回くり返し測定した。結果の平均値を、表23に示した。比較例に比べ、きわめて高い帯電防止効果を示した。
Figure 0005606437
実施例34
超伝導性テスト
実施例8で合成したリン酸で連鎖移動重合した後、イオン交換で脱塩したTMT−MC2−10−P14.3NとTIPT−MC2−10−P15.6Nの10%相当液を用い、比較例として市販の窒化チタン粉末(粒径1.5μm、日本新金属株式会社製)を塗料用バインダー(商品名:アクローゼスーパーFSクリアー、固形分40%、大日本塗料株式会社製)の固形分中に50重量%になるように配合し、乳鉢で混練したものを用い、PETフィルム上に塗布乾燥を繰り返して30μmに調節し、130℃で24時間通気乾燥機中で乾燥熱処理したサンプルの表面抵抗値を三菱化学株式会社製の「ハイレスター−IP」を用いて測定した結果を表24に示した。
Figure 0005606437
注:リン酸チタンとしての含量分析は、シャーレに入れ、130℃ 24時間通気乾燥したものを削り取り、元素分析をした値
実施例35
澱粉の糖化試験
実施例28、29で調製したガラスウールを、内径25mmφ、長さ300mmをガラスUチューブで多段に継ぎ、合計2000mmに500gを充填し、チューブ段毎に、200Wのブラックライトを取りつけ、ベータ化(β化)した10%澱粉液(90℃±5℃)を定量ポンプで下部より5リットル/Hrの速度で流した結果、糖化率はTIPT−MC2−P6で95%、TIPT−MC2−PM20で98%であった。澱粉の流速をかえたとき、10リットル/HrではTIPT−MC2−P6で56%、TIPT−MC2−PM20で57%、15リットル/Hrでは、TIPT−MC2−P6で31%、TIPT−MC2−PM20で32%であった。5リットル/Hrで連続運転した結果、触媒効率は3.5時間前後より低下して来たので、液を抜き、水洗して1%塩酸水を10分間充填し、さらに水洗して再開すると、活性は復元することができた。澱粉の中に含まれる微量のNa+、K+イオンによる活性阻害に起因するのではないかと考える。
分析:HPLC法、糖分析計SU−300、東亜DKK(株)製使用
実施例36
養魚生存率試験
実施例35のプラントを用いて、ふ化池より収穫し選別した幼魚鯉(6ヵ月)を用いて生存率を測定した。比較例として「トロピカルゴールド処理区」(津路薬品工業株式会社製)と「未処理区」を用いた。エサは(株)スマック製をテスト区毎に1日10gを与えた。
1m3のタンクに60L/Hrのエアレーションをしながら、新水井戸水10L/Hrを実施例35のプラントを通過させ追加しながら、幼魚鯉50匹を入れ、経日毎の生存率を測定した(生存数)。
Figure 0005606437
(考察)水が分解され、活性酸素を発生させ殺菌効果と排泄物より生ずるBOD成分の分解効果を示すと考える。
実施例37
IRスペクトルを用いて、公知粒状チタニアとの構造対比を行なう。TIPT−MC2P6(図7)、TIPT−MC2PM20(図8)と比較として、石原型STS−01(図10)とYOO型比較例1の懸濁液(図9)のIRスペクトルをとり、その重合構造を推定した。各IRスペクトルの横軸は波数、縦軸は透過率を示す。サンプルはシャーレにとり、常温で通気乾燥40時間して恒量に達したことを確認し、付着した結晶をスパチュラで削り取り、KBrと混合して成型して測定した結果を表26に示す。
Figure 0005606437
[考察]
1)、2)、3)、4)、5)、6)、7)より、比較例のチタニアは水酸化チタンの集合体で、重合・架橋率は低いもので、本発明のチタニアはチタンが架橋重合していることが明白で、石原型はもちろん、YOO型チタニアと全く異なった分子構造であり、その推定分子構造の裏づけとなる。特に1650cm-1のチタン酸エステル
Figure 0005606437
と考える吸収が、比較例に対し差別化される証明である。IRチャートを図7、8、9、10として添付した。
実施例38
紫外線・熱線防御試験
実施例8で合成した2%相当サンプルと、比較例として佐賀型チタニア TA2%を30cm×30cmのガラスにスプレー塗布して、屋外日光下に1週間放置したテストピースを、20mmの発泡スチロールBOX 30cm×30cm×30cmの1面に貼り付け、ガムテープで密閉し、温度計を取りつけ、20℃±1℃の部屋に1時間保持し、屋外温度30℃±1℃の直射日光に並べ、温度の上昇速度を測定した。同時に未処理の値も付記した。
Figure 0005606437
[考察]
透明な膜を形成しても、佐賀型チタニアは数ナノ〜数十ナノの粒子状であり、塗布乾燥すると、パーオキシ基は、酸化チタン結合になりにくく、水酸化チタンに還元され、酸化チタン結合したとしても、粒子間での結合で表面にパーオキシが露出して、これが水酸化チタン基になるため、酸化チタン結合核が均一に配列しないため、紫外線・熱線防御能が小さいのではないかと考える。
実施例39
抗菌、消臭、除雨ダレ、除地衣類試験
実施例6で用いたサンプルと、これを用いてチタン酸基に対し、1/2モルの過酸化水素を加えたものを用い、抗菌、消臭、雨ダレの消去、地衣類の消去試験を行なった結果を表28に示す。
Figure 0005606437
[抗菌試験]
ブルガリヤヨーグルト(明治乳業(株)製)と牛乳(明治乳業(株)製)を3対7の重量比で混合し、30ccの試験管に20g分取し、これに上記チタニアをそれぞれ0.5cc加え、振とうし、20℃±5℃の窓際に静置し、1時間毎にゆっくり傾けて増粘しかかった点を測定し、さらに静置して分離が起こる点を表28の( )内に時間で示した。
[消臭試験]
脱脂綿に上記サンプルを含浸させ、厚布のタオルで脱液し、75℃±1℃の通気乾燥機で1時間乾燥したものを準備した。パラホルムアルデヒド3gを水に浸したティッシュペーパーに包み、上記試験管と同一のものに入れ、上記処理した脱脂綿を10gづつに分割し、これを栓にした。20℃±1℃の窓際に5分間静置して、5人の評価員により、臭わない(5)、少し臭う(4)、臭う(3)、かなり臭う(2)、強力に臭う(1)の評価点をつけさせ、その平均値を四捨五入で表28に示した。
[雨ダレ消去試験]
屋上フェンスにスレートを張り、北向きの側面に生える青苔の消去に関する長期フィールドデータは実施例6(表5)に示した。この側面の継ぎ目に沿ってフェンスカバー下より溶出した黒色の雨ダレの汚れの消去テストを行なった。上記2%液をハケ塗りして、5日単位で消失して行く状況を観察し、完全に消去できたと判定した日数を表28に記した。
[地衣類消去試験]
一ツ葉(まきの木)に生息した灰色の地衣類に上記2%液を含浸した布で押しつけて含浸させ5日毎に観察して、消去完了したと判定した日数を表28に記した。
実施例40
実施例7で得られた製品をメタノール50:キシレン50の溶媒に溶解し10%とし、これに色素ユニライトハイコンク赤((株)ユニライト製)7%を加えたものと、(株)カンペハピオ製 水溶性アクリルシリコン塗料、ハピオセレクト赤を水50%稀釈したものを比較例にし、屋上コンクリート水性アクリルシリコン塗装1年経過した面と、日本ペイント テストピースNA−9903フラット(コテ仕上)にハケ塗りし、光輝の衰退して行く状況を観察した結果を表29に示す。屋内にスレートテストピースに塗布して保管したものの光輝を10にして、光輝の減衰を1ヵ月毎に測り、点数をつけた。
Figure 0005606437
比較例はスタートより、実施例より光輝が劣り、経時毎に光輝は急速に衰退した。
実施例41
1)塩化バリウム(試薬一級和光品)1モルをメタノール重量パーセントで10%になるように分散(一部溶解)させた液を(A)とし、実施例1と同一条件で合成したTIPT−MC2 10%相当液1モルを(B)とした。
2)(A)の液を入れたフラスコに撹拌機(乳化機、キネマテイカ社 PT−2000、スイス)をつけ、ウォーターバスに冷水をオーバーフローさせ、(B)液を滴下ロートに入れ、内温が40℃以上にならないように添加していくと、わずかに乳白色の均一な反応液が得られた。得られた液は、分離沈殿はおこらなかった。
3)反応液であるアルコキシチタン酸バリウムクロリド10%相当液を2%相当に稀釈した。この液を30mmφ×300mmLのカラムに、弱アニオン交換樹脂を充填した交換塔を通過速度10mmL/分の速度で通過させ、50mLごとにフラクションを分取し、硝酸銀で白濁しないフラクションを集めた。
4)得られた試料を2%相当、0.2%相当、0.02%相当に調製し、この液をガーゼに含浸し、プレパラートに塗りつけ、常温で乾燥した結果、2%品がかすかに曇ったようであったが、透明な膜を形成した。得られたアルコキシチタン酸バリウムは、水が蒸発すると保護基が破壊され、脱アルキル化がすすみ、順次分子レベルの純粋なチタン酸バリウムが形成されるのではないかと想定され、その一次粒子はチタン酸バリウムの単位のサイズである数ナノの粒子が集合した形状か、アルコキシチタン酸ポリマーの保護基の部位にバリウムが結合し、隣の鎖と、チタン酸バリウム結合を形成し、50ナノ以下になっていると考えられる。
比較例41
公知のゾルゲル法により、ジイソプロポキシバリウム1モルをイソプロピルアルコールに溶解し、10%液を調製し、これを(A)液とした。
次にテトライソプロピルチタン酸をイソプロピルアルコールに溶解し、10%液とし、これを(B)液とした。
実施例41で使用したフラスコに乳化機を取付けた装置に1モル相当の(A)液を入れ、実施例1と同一の条件で1モル相当の(B)液を滴下して行くと、白濁して行き、滴下終了した時点ではゾル状になった。
このものを、水で2%、0.2%、0.02%に稀釈した試料と、イソプロピルアルコールで2%、0.2%、0.02%に稀釈した試料を、実施例41と同一の方法で、プレパラートに塗りつけた結果、全ての試料は白色不透明となり、乾燥後、ガーゼで拭くと脱落した。
形成された粒子は数百ナノの平均粒子径からなるチタン酸バリウム粒子の集合体と想定される。
実施例42
<水溶性キレート剤の固定化試験>
試薬液(A)[実験1:リン酸チタニアキレート剤]
メタノール50gに塩酸36.5%試薬を0.05モル加えたメタノール塩酸液をフラスコに入れ、3ヶ月型ペラで撹拌しながら、水浴に水を流しつつ、内温が40℃以下になるようにして、テトライソプロポキシチタン酸試薬0.1モルを滴下し、60分かけて反応を終わり、次にメタノール50gに0.05モルのリン酸を溶解した液を内温40℃以下になるようにして、滴下していくと、増粘していき、0.01モル滴下時点で膠化した。フラスコの底をカキ取るようにしながら、月形ペラで撹拌しつつ、残りの0.09モルのリン酸メタノール液を加え、合計60分反応した後、バス温度80℃±5℃に保ち、アスピレーターで少減圧に保ち、溶媒を留去・乾固し、さらに30分保持して、粉体29gを得た。残りはフラスコに付着していた。
この粉体、リン酸チタニア網状化体20gを、純水100ccに入れ、ビーカー内でスターラーで30分撹拌し、濾紙で濾過し、純水300ccで洗浄した後、濾紙と一体で50℃/1時間通気乾燥し、さらに1時間乾燥した段階で、恒量に達した点の濾紙を差引いた重量は19.5gであった。
(B)[実験2:クエン酸チタニアキレート剤]
実験1と同一の装置、配合、条件で、クエン酸チタニアを合成したところ、テトライソプロピルチタン酸0.1モルに対し、膠化点に至るモル数は0.02モルであった。
同様に、線状高分子に残りの0.08モルを加え架橋し、スラリー化(網状化)して、乾固した結果、粉体43gを得、フラスコに微少付着していた。
得られた粉体20gを用いて、実験1と同様に、抽出試験を行なった結果、19.4gを得た。
(C)[実験3:柿皮チタン酸キレート剤]
実験1と同一の条件で、調製したテトライソプロポキシチタン酸0.1モルを含むメタノール、塩酸液に、渋柿の皮を特願2009ー129419の装置で粉砕した、粉体20gを水100ccに加えて分散したスラリーを、実験1と同一の装置と条件で反応させ、乾燥したところ41gをえた(残りは投与量フラスコに付着)。この粉体20gを用いて実験1と同一の条件で抽出し、乾燥して柿皮チタン酸キレート剤18.8gを得た。
比較例として同上柿皮微粉砕品20gを、実験1と同一条件で抽出して、得られた柿皮単独キレート剤は11.5gであった。
(D)[考察]
水溶性チタニアを固定化することにより、カラムに充填し、目的とした金属を、目的としたキレート剤で効率よく回収でき、イオン交換樹脂と同様、再生が可能で資源の少ないレアメタルや、貴重金属の海水からの回収や本発明者が産・官・学で長年共同研究し、本発明者が独自に出願した特願2006−60150、特願2006−280628に提案したバイオマスを用いたキレート剤の架橋剤、とくに低分子水溶性の有機酸、糖類、オリゴ糖の安価な固定化剤に供することができる。
実施例43
<稀釈濃度と「剥離白華」「光輝」の経時変化の対比>
実施例1と同一条件で合成したモノマー「TIPT−MC2」と、これを用いて実施例6で合成したポリマー「TIPT−MC2PM20」、実施例8で合成した脱塩酸ポリマー「TIPT−MC2−P−15.6N」および比較例として「佐賀型TA」を用いて2%、0.2%、0.02%に稀釈した液を外壁材 日本ペイントテストピース「ファインシリコンUV、ND−108」に、スプレーガン塗布し、「光輝」と「剥離白華(比較例は白華)」を経時対比した。光輝優れる,剥離なし,を5点とし、「光輝消失」「剥離白華」を0点とした(5人の評価点の平均値を端数切捨てで表示)。
Figure 0005606437
[考察]
(1)粒子型チタニアの塗布濃度限界は(スプレー表面がぬれる1回塗布)0.2%以上の濃度か、0.2%を数回塗布しないと光輝は出ない。
(2)本発明チタニアは、0.02%でも光輝が著しく0.2〜0.02%の方が光輝および剥離白華防止のために有効であることが判明し、公知チタニアに比べ、経済性、すなわち1m2当りのチタニアの消費量は1/10〜1/50に相当する。
(3)脱塩酸するとより光輝・剥離白華防止に有効であるのは、脱塩酸によるガスのマイナス効果がないためと考えられる。
1 TIPT-MC2-10 P15.6 110℃/3Hr処理後テトラバッグ法で測定 X
2 TIPT-MC2-10 PM29.4 110℃/3Hr処理後テトラバッグ法で測定 X
3 TIPT-MC2-10 P15.6 110℃/2Hr処理後テトラバッグ法で測定 X
4 TIPT-MC2-10 PM29.4 110℃/2Hr処理後テトラバッグ法で測定 X
5 TIPT-MC2-10 P15.6 110℃/1Hr処理後テトラバッグ法で測定 X
6 TIPT-MC2-10 PM29.4 110℃/1Hr処理後テトラバッグ法で測定 X
7 TIPT-MC2-10 P15.6 暗所30日放置後テトラバッグ法で測定 Y
8 TIPT-MC2-10 PM29.4 暗所30日放置後テトラバッグ法で測定 Y
9 TIPT-MC2-10 P15.6 暗所20日放置後テトラバッグ法で測定 Y
10 TIPT-MC2-10 PM29.4 暗所20日放置後テトラバッグ法で測定 Y
11 TIPT-MC2-10 P15.6 暗所10日放置後テトラバッグ法で測定 Y
12 TIPT-MC2-10 PM29.4 暗所10日放置後テトラバッグ法で測定 Y
13 TIPT-MC2-10 P15.6 未処理(コーティング乾燥後、即テトラバッグ法で測定) Z
14 TIPT-MC2-10 PM29.4 未処理(コーティング乾燥後、即テトラバッグ法で測定) Z
15 TIPT-MC2-10 P15.6 リン酸処理 A−(2)
16 TIPT-MC2-10 P15.6 110℃/2Hr熱処理 A−(1)
17 TIPT-MC2-10 PM29.4 リン酸処理 B−(2)
18 TIPT-MC2-10 PM29.4 110℃/2Hr熱処理 B−(1)
19 TA(佐賀型ティーオテクノ品)2% (D)
20 STS-21(石原産業製)2% (C)
21 TMT-MC2-10-PM27
22 TIPT-MC4-10-PM518
23 TA(佐賀型)
24 STS-01(石原型)
25 TIPT-MC2-P6 金属マグネシウムを入れたとき
26 TIPT-MC2-PM20 金属マグネシウムを入れたとき
27 TIPT-MC2-P6 金属マグネシウムを入れないとき
28 TIPT-MC2-PM20 金属マグネシウムを入れないとき
29 TIPT-MC2-P6
30 TIPT-MC2-PM20

Claims (2)

  1. (1)水を加えない過剰のアルコールと、塩酸とが共存する系に純粋なアルコキシチタン酸モノマーを加えて保護機能を形成させたアルコキシチタン酸モノマーを合成する工程であって、前記塩酸が、前記アルコキシチタン酸モノマー1モルに対して、モル以上4モル以下である工程に続き、
    (2)前記アルコキシチタン酸モノマーに、重合濃度に応じて水を加えて希釈水和反応をするか、または水を加えないでメタノールを加え希釈する希釈工程と、
    (3)前記希釈工程ののちに、イオン交換樹脂を含む連鎖移動触媒を加えて、低分子ポリマーから透明な膠化点に至るまで重合する重合工程と、
    (4)連鎖移動重合触媒で重合したポリマーをイオン交換樹脂で脱塩酸する工程と、
    (5)イオン交換重合した後、リン酸またはトリメチルリン酸を加えて、錯体を形成させる工程とからなる、
    新規チタン酸ポリマーの製造方法。
  2. 前記過剰のアルコールが、メタノールである請求項1記載の製造方法。
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