JP5861129B2 - 線状のアルコキシチタン酸・リン酸重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
リン酸またはアルキルリン酸エステルの添加には、連続添加、逐次添加、一括添加がある。なかでも好ましいのは連続添加法であり、反応が均一に進むため、膠化白濁点を容易に見つけ出せ、かつ制御できる。
この場合の重合を停止する時機としては、リン酸の場合はアルコキシチタン酸1モル(4価)に対し、添加量が0.05モル以上で4.0モル未満となった時点が好ましく、より好ましくは、アルコキシチタン酸4モルに対する添加量が0.1〜3.7モルとなった時点である。アルキルリン酸エステルの場合はアルコキシチタン酸1モル(4価)に対し、添加量が0.05モル以上で4.0モル未満となった時点が好ましく、より好ましくは、添加量が0.1〜3.9モルとなった時点である。重合温度としてはアルコキシチタン酸が析出しない温度以上、重合濃度が10質量%のときは5℃以上で、好ましくは30℃以下、重合速度をコントロールしない場合は20℃以下を採用することが望ましい。重合温度が高くなると重合反応速度が速くなりすぎ、重合生成液が膠化白濁する時点を把握することが難しくなることがある。また、撹拌下に重合を進めることが望ましく、撹拌速度としてはたとえば撹拌羽根の回転径が50mmの時500rpm以上、好ましくは1000rpm以上を選定することが好ましい。なお、リン酸を用いる場合は、アルコール(イソプロピルアルコール、メタノールなど)で希釈して添加する方が反応をコントロールしやすい点から好ましい。また、アルキルリン酸エステルは過剰に添加すると重合生成液が膠化白濁した後は溶剤として働き、重合生成液の粘度を下げる。
この場合は、アルキルリン酸エステルの添加量に加えて、重合温度と重合時間と、さらには撹拌速度が重合を停止する時機の決定に重要となる。なお、リン酸を用いる場合は反応速度が速いので一括添加ではなく連続添加が最も好ましい。
テトライソプロポキシチタン酸の4質量%イソプロピルアルコール溶液を25±1℃に保ちながら、これにリン酸の8.5質量%イソプロピルアルコール溶液を連続的に滴下して重合を開始し、1000±10rpmの撹拌速度で撹拌しながら30分以上掛けて滴下を続け、リン酸の滴下量(テトライソプロポキシチタン酸1モル(4価)に対するリン酸の添加モル数)と重合生成液の粘度(テックジャム(株)製のB型粘度計KN33124B2を使用)の関係を調べた。重合生成液の液温は25±5℃に維持した。
実施例1においてテトライソプロポキシチタン酸に代えて、他のテトラアルコキシチタン酸、すなわちテトラメトキシチタン酸、テトラエトキシチタン酸、またはテトラブトキシチタン酸を用いたほかは実施例1と同様にして重合を行ない、テトラアルコキシチタン酸1モル(4価)に対しリン酸の滴下量が1モル、2モル、3モルおよび4モルのときの重合生成液の粘度を実施例1と同様にして調べた。結果を表2に示す。
テトライソプロポキシチタン酸の4質量%イソプロピルアルコール溶液に、トリメチルリン酸の8.5質量%イソプロピルアルコール溶液を、テトライソプロポキシチタン酸1モル(4価)に対するトリメチルリン酸の添加モル数が1モルとなるように1000±10rpmの撹拌下に30分間掛けて滴下して重合を行った。滴下終了後撹拌を止め、反応時と同様に液温を常温(約25±5℃)に保ち、重合生成液の粘度を経時的に調べた。その結果、25日後に1×102cP、50日後に1×103cP、75日後に1.0×104cPとなり、100日後に透明膠化し、110日後に白濁した。なお、テトライソプロポキシチタン酸とトリメチルリン酸が等モルの場合白濁(または乳白色化)するが(たとえば実施例1)、テトライソプロポキシチタン酸よりもトリメチルリン酸のモル数が小さいと重合生成液は透明なままで、水およびアルコールに無限大に溶解する(たとえば後述する実施例13)。
実施例3において、トリメチルリン酸に代えてトリエチルリン酸、トリイソプロピルリン酸、またはトリブチルリン酸を用いたほかは実施例3と同様にして反応を行い、実施例3と同様に25日後、50日後、および75日後の粘度を調べた。結果を表3に示す。
テトライソプロポキシチタン酸の4質量%イソプロピルアルコール溶液を70℃に加温し、この溶液に、トリメチルリン酸の8.5質量%イソプロピルアルコール溶液(常温反応ではそのままの原液でもよい)をテトライソプロポキシチタン酸1モル(4価)に対するトリメチルリン酸の添加モル数が0.2モルとなるように撹拌下(1000±10rpm)に一括で加えて重合を開始した。重合は撹拌下(1000±10rpm)に液温70℃を維持しながら進め、重合生成液の粘度を経時的に調べた。その結果、2時間後に1×102cP、4時間後に1×103cP、7時間後に1.0×104cPとなり、9時間後に透明膠化し、11時間後には白濁した。
実施例1において、リン酸の滴下量がテトライソプロポキシチタン酸1モル(4価)に対し1モルとなった時点でリン酸の滴下を終了して得られたテトライソプロポキシチタン酸・リン酸重合体を純水で希釈して2質量%濃度の希釈液を調製した。
実施例3で得られたテトライソプロポキシチタン酸・トリメチルリン酸重合体を純水/メタノール(1/1)で希釈して2質量%、0.2質量%、0.02質量%、0.002質量%および0.0002質量%濃度の希釈液を調製した。
実施例3で得られたテトライソプロポキシチタン酸・トリメチルリン酸重合体を純水/メタノール(1/1)で希釈して2質量%、0.2質量%、0.02質量%、0.002質量%および0.0002質量%濃度の希釈液を調製した。
実施例1において、リン酸の滴下量がテトライソプロポキシチタン酸1モル(4価)に対し1モルとなった時点でリン酸の滴下を終了して得られたテトライソプロポキシチタン酸・リン酸重合体を純水で希釈して2質量%濃度の希釈液を調製した。
実施例1において、リン酸の滴下量が3.5モルとなった時点でリン酸の滴下を終了して得られたテトライソプロポキシチタン酸・リン酸重合体を純水で希釈して2質量%濃度の希釈液を調製した。
(付着性試験)
刷毛で塗装した際の希釈液の状態および乾燥後の膜の形成状態を目視で観察する。
(評価基準)
◎:全くはじかずきわめて均一に付着し、乾燥後も均一な厚さの膜を形成する。
○:液滴を形成せず均一に付着するが、乾燥後の膜の表面にうねりが若干見られる。
△:液滴が集まって部分的な付着となり、乾燥後もムラのある膜となる。
×:大きな液滴として表面に残り、膜を形成しない。
実施例1および2でそれぞれ得られたテトライソプロポキシチタン酸・リン酸重合体(IT−P)とテトライソプロポキシチタン酸・トリメチルリン酸重合体(IT−PM)をメタノール/水(1/1質量比)で希釈して2質量%、0.2質量%、0.02質量%、0.002質量%および0.0002質量%濃度の希釈液を調製した。
実施例1でテトライソプロピルチタン酸1モル(4価)にリン酸1モルを用いて得られたテトライソプロポキシチタン酸・リン酸重合体(IT-P)をメタノール/水(1/1質量比)、メタノールまたはイソプロピルアルコールでいずれも2質量%、0.2質量%、0.02質量%、0.002質量%および0.0002質量%濃度に希釈して希釈液を調製した。これらの希釈液をいずれも25±5℃で10日間放置した後、さらに室内(冬季5℃、夏季30℃)で長期間放置して白濁が生じるまでの月数を調べた。結果を表9に示す。
テトライソプロポキシチタン酸の4質量%イソプロピルアルコール溶液に、リン酸の8.5質量%イソプロピルアルコール溶液を、テトライソプロポキシチタン酸1モル(4価)に対するリン酸の添加モル数を0.2モルとなるように1000±10rpmの撹拌下に30分間掛けて滴下して重合を行い、重合生成液を得た。重合は重合温度を25±5℃に設定しこの温度を維持するために水冷しながら行った。
ポリエチレン樹脂製の食品包装用袋にポリプロピレン製の化学粉砕したミクロンパウダー(平均粒径50μm:(有)山曹ミクロン製)50gを入れ、これに実施例1(リン酸の添加量がチタン酸1モル(4価)に対し1モル)で製造したテトライソプロポキシチタン酸・リン酸重合体(IT−P6)の4質量%イソプロピルアルコール溶液を表11に示す量で加えて混ぜ合わせ、ついでアルミニウム製容器中で80℃にて1時間通気乾燥して、処理粉末を調製した。
テトライソプロポキシチタン酸の4質量%イソプロピルアルコール溶液に、リン酸の8.5質量%イソプロピルアルコール溶液を、テトライソプロポキシチタン酸1モル(4価)に対するリン酸の添加モル数を0.5モルとなるように1000±10rpmの撹拌下に30分間掛けて滴下して重合を行い、粘度が1000cPになった時点で重合を停止して、塩素を含まない重合生成液を得た。重合は重合温度を25±5℃に設定しこの温度を維持するために水冷しながら行った。
実施例3で製造したテトライソプロポキシチタン酸・トリメチルリン酸連鎖移動重合体と、イソプロピルアルコール遊離体とトリメチルリン酸未反応物の混合物について、非エームス(Ames)試験を行ったところ、陰性であった。
Claims (2)
- 水および鉱酸の不存在下に、アルコキシチタン酸のアルコール溶液にリン酸またはアルキルリン酸エステルを加えて連鎖移動重合を開始し、重合生成液の粘度が上昇し、膠化する寸前に、前記リン酸または前記アルキルリン酸エステルの添加を中止して、重合を停止することを特徴とする線状のアルコキシチタン酸・リン酸重合体の製造方法。
- アルコール溶液が、メタノール、エタノール、ブタノールおよびイソプロパノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶液である請求項1記載の製造方法。
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