JP2000254518A - 表面被覆用光触媒並びにこれを用いた表面被覆剤及び光触媒性部材 - Google Patents

表面被覆用光触媒並びにこれを用いた表面被覆剤及び光触媒性部材

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JP2000254518A JP11060767A JP6076799A JP2000254518A JP 2000254518 A JP2000254518 A JP 2000254518A JP 11060767 A JP11060767 A JP 11060767A JP 6076799 A JP6076799 A JP 6076799A JP 2000254518 A JP2000254518 A JP 2000254518A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防汚、脱臭、抗菌作用等という要求を満足で
きる光触媒機能を保持しながら、光触媒と接触するバイ
ンダー、塗膜構成成分や基材の分解、劣化を抑制して各
種用途に適用可能とした表面被覆用光触媒、及び該光触
媒を用いた表面被覆剤等を提供する。 【解決手段】 チタン及び珪素からなる二元系複合酸化
物、チタン及びジルコニウムからなる二元系複合酸化
物、並びにチタン、珪素及びジルコニウムからなる三元
系複合酸化物より選ばれる少なくとも1種の複合酸化物
を含有する表面被覆用光触媒であって、該表面被覆用光
触媒におけるチタンの含有率が20〜95モル%で、且
つX線回折にて測定した一次粒子径が5〜20nmであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種用途に適用可
能な表面被覆剤に好適なチタン系複合酸化物を含有して
なる表面被覆用光触媒及び当該光触媒を含有した塗料等
の表面被覆剤、並びに当該表面被覆剤で表面が被覆され
た光触媒性部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】結晶性
酸化チタンにバンドギャップ以上のエネルギーを有する
波長の光を当てると、光励起されて電子と正孔ができ、
この電子及び正孔により酸化チタン表面にスーパーオキ
シドや水酸ラジカルが生成し強い酸化力を発現する。こ
の光触媒反応を利用して、酸化チタンに吸着された汚染
成分や悪臭成分を酸化分解して無害化したり、さらには
油等の有機物を分解して二酸化炭素と水に変えるという
所謂防汚効果や殺菌効果を基材に付与することが知られ
ている。
【0003】ここで、汚染物質や臭気成分とは、窒素酸
化物、アンモニア等の無機化合物、有機ハロゲン、アル
デヒド類、低級脂肪酸等の有機化合物などが挙げられ
る。
【0004】このように結晶性酸化チタン、特にアナタ
ーゼ型の酸化チタンは、光触媒反応に基づいて種々の優
れた作用を示すので、バインダー等により基材に光触媒
を固定させて、防汚、脱臭、抗菌作用を付与する方法や
基材表面に光触媒が含有、分散されている膜(以下、
「光触媒性膜」という)を形成した複合材が開発されて
いる。
【0005】しかし光触媒は、バインダーや塗膜構成成
分を、さらには基材がプラスチック板や繊維等の有機化
合物の場合には基材自体も、光触媒作用により分解して
しまう。バインダーや塗膜構成成分が分解、劣化する
と、光触媒性膜はひび割れ、き裂が生じて基材から剥離
したり、光触媒が基材自体に作用する場合には、基材自
体の劣化脆化を招いてしまう。
【0006】従って、塗料の白色顔料として使用されて
いる酸化チタンには、光触媒活性が低いルチル型の酸化
チタンを使用したり、更には酸化チタンの表面をシリカ
やアルミナで被覆することにより光触媒作用による樹脂
の劣化を防止するような工夫がなされている。そこで、
表面被覆剤に関しても同様の手法が考えられる。例え
ば、特開平10−5598号公報に、光触媒粒子を不活
性物質である珪素、アルミニウム、及びジルコニウム等
の多孔質壁で内包することによって、酸化チタンの光触
媒機能を保持しつつ基材やバインダーに対する影響を減
じる方法が開示されている。しかし、このような方法
は、やはり表面被覆用光触媒に照射される光量の低下や
有害物質との接触阻害を伴うものであるため、光触媒機
能の低下は避けられない。
【0007】また、光触媒機能を低下させることなく、
基材への光触媒作用による影響を抑制する方法として基
材と光触媒性膜との間に保護膜を介在させる方法も考え
られる。例えば、特開平10−329261号公報にお
いては高分子材料よりなる基材の表面に酸化珪素、酸化
アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機物質薄膜層を
少なくとも1層以上設けてから、光触媒層を積層する方
法が開示されている。しかしながら、このような方法は
工程が複雑であり、コスト高となるばかりか、光触媒層
に有機バインダーを使用できないという点においては同
様であり、用途が限定され好ましくない。
【0008】一方、近年、光触媒作用によっても分解さ
れにくいバインダーや塗膜構成成分であるシリコーン樹
脂やフッ素系樹脂、けい素含有無機化合物を利用するこ
とが提案されている(例えば、特開平7−171408
号公報)。しかし、シリコーン樹脂やフッ素系樹脂は他
の塗膜構成成分に比べて高価であり、また耐衝撃性も小
さいため、耐衝撃性付与のために他の別の樹脂分を混合
している(例えば、特開平9−217028号)。フッ
素系またはシリコーン系樹脂以外の有機高分子を含む場
合には、光触媒作用による樹脂分の分解劣化の問題は依
然として残ることとなる。
【0009】一方、光触媒活性を高める方法に関しても
種々の検討がなされている。例えば、特公平5−551
84号公報には、チタン及び珪素からなる二元系複合酸
化物、チタン及びジルコニウムからなる二元系複合酸化
物、チタン、珪素、及びジルコニウムからなる三元系複
合酸化物とすることにより、複合酸化物の比表面積を高
め、吸着能を高めた光触媒利用の脱臭用触媒が提案され
ている。また、特開平10−180118号公報に、二
酸化チタンの結晶子サイズを限定(5〜30nm)する
ことにより、触媒活性を向上させる方法が提案されてい
る。この公報によれば、二酸化チタンの結晶子サイズを
5〜30nmとコントロールすることにより、二酸化チ
タンの比表面積を増大して、反応活性サイトを増加させ
て、酸化還元力を増大できるとしている。さらに、特開
平9−70532号公報に、酸化物製造時の焼成温度及
びチタニアとシリカの混合比率をコントロールすること
によって、比表面積を増大させて、触媒活性を高めたチ
タニア系触媒の製造方法が開示されている。
【0010】しかし、これらの光触媒活性を高める方法
は、いずれも触媒活性を高めることにおいて効果を達成
し得ても、基材やバインダー等の有機高分子との関係を
考慮していないため、その高められた触媒活性により、
バインダー、塗膜構成成分、基材を分解、劣化させると
いう問題が残ることとなる。
【0011】また、光触媒機能を基材に付与する方法と
して表面被覆剤に酸化チタン等の無機酸化物粉体を使用
せず、チタニアゾル、チタンアルコキシドやその加水分
解物等の酸化チタン前駆体を基材にコーティングした
後、熱処理により酸化チタン膜を形成して、光触媒性部
材を得ることも提案されている。しかしながら、光触媒
活性を有する酸化チタンとするためには、少なくとも3
00℃以上の高温で熱処理する必要があり、樹脂や繊維
等の耐熱性に問題がある基材には適用できない。また、
酸化チタン膜が形成された後は光触媒として作用するた
め、バインダーや基材の劣化を招くという上記と同様の
問題点は解決されていない。
【0012】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、防汚、脱臭、
抗菌作用等という要求を満足できる光触媒機能を保持し
ながら、光触媒と接触するバインダー、塗膜構成成分や
基材の分解、劣化を抑制して各種用途に適用可能とした
表面被覆用光触媒、及び該光触媒を用いた表面被覆剤等
を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、光触媒の
粒子径及び光触媒における酸化チタンの含有率を特定の
範囲にすることにより、必要な光触媒活性を保持しつ
つ、基材や塗膜成分といった樹脂分の分解、劣化が抑制
できることを見い出し、本発明を完成した。
【0014】即ち、本発明の表面被覆用光触媒は、チタ
ン及び珪素からなる二元系複合酸化物、チタン及びジル
コニウムからなる二元系複合酸化物、並びにチタン、珪
素及びジルコニウムからなる三元系複合酸化物より選ば
れる少なくとも1種の複合酸化物を含有する表面被覆用
光触媒であって、該表面被覆用光触媒におけるチタンの
含有率が20〜95モル%で、且つX線回折にて測定し
た一次粒子径が5〜20nmであることを特徴とする。
【0015】本発明の表面被覆剤は、本発明の表面被覆
用光触媒及びバインダーを含有することを特徴とする。
前記バインダーは塗膜成分であってもよい。このような
表面被覆剤は、前記バインダーの分解及び/又は劣化を
抑制できるものである。尚、つまり、本発明にいう表面
被覆剤とは、基材表面に塗布等して、特定性能(本発明
では主成分となる光触媒活性)を付与するために用いら
れる被覆剤全般をいい、塗料も含む概念である。
【0016】本発明の光触媒性部材は、基材に、上記本
発明の表面被覆用光触媒が担持されている。基材表面を
本発明の表面被覆剤で被覆したものであることが好まし
い。このような光触媒性部材は、基材の分解及び/又は
劣化が抑制されている。
【0017】
【発明の実施の形態】はじめに、本発明の表面被覆用光
触媒について説明する。
【0018】本発明の表面被覆用光触媒は、チタンと珪
素及び/またはジルコニウムの二元系あるいは三元系の
複合酸化物よりなる。すなわち、チタン及び珪素からな
る二元系複合酸化物;チタン及びジルコニウムからなる
二元系複合酸化物;チタン、珪素及びジルコニウムから
なる三元系複合酸化物;またはこれらの混合物である。
これらのうち、特に多孔質で高表面積の複合酸化物を得
ることができるチタンと珪素の二元系複合酸化物が好ま
しい。
【0019】本発明の表面被覆用光触媒は、上記のよう
な複合酸化物の結晶形、粒子径、組成比をコントロール
することにより、汚染物質や悪臭成分の分解という光触
媒機能と、表面被覆用光触媒と接触する基材やバインダ
ーに含まれる有機化合物の分解、劣化を抑制するという
相反する要求をバランスすることが可能である。
【0020】例えば、焼成温度(横軸)とX線回折によ
る一次粒子径(縦軸)との関係のグラフ(図1)が示し
ているように、酸化チタン単独(細かい破線)では、複
合酸化物系(実線、荒い破線)と比べて、一次粒子径が
焼成温度の影響を受けて熱処理による結晶成長が起こり
やすく、800℃以上の高温に晒されることによって触
媒活性の低いルチル型への転位が認められた。また光触
媒活性が高いとされる一次粒子径が小さいものを調製す
る場合には、熱処理温度が低くなるために酸化チタンの
結晶化度が低くなり、十分な光触媒活性能は得られな
い。一方、珪素を組み合わせた複合酸化物とすることに
より、熱処理による結晶成長が抑制されたので、950
℃で処理してもルチル型への転位は認められなかった。
すなわち、結晶化度を高めても一次粒子径の小さいもの
を得ることができ、複合酸化物が表面被覆用光触媒とし
て好適であることがわかる。尚、複合酸化物における一
次粒子径については、X線回折にて測定した結晶ピーク
がアナターゼ型酸化チタンとほぼ同じ位置に現れること
から確認される。
【0021】また、複合酸化物として用いることによ
り、単独酸化物では得られないような効果を期待でき
る。例えば、チタン及び珪素からなる二元系複合酸化物
は、田部浩三(触媒、第17巻、No.3、72頁、1
975年)によって知られているように、構成する各々
単独の酸化物には見られない強い固体酸性を発現し、高
い表面積を有している。同様に、チタンとジルコニウム
からなる二元系複合酸化物;チタン、珪素及びジルコニ
ウムよりなる3元系複合酸化物も、酸化チタン単独の場
合では得られないような有利な物性が発揮される。
【0022】本発明の表面被覆用光触媒におけるチタン
の含有率は20モル%以上、好ましく50モル%以上
で、95モル%以下、好ましくは85モル%以下であ
る。
【0023】チタンの含有率が95モル%を超えると、
二元系または三元系複合酸化物としての結晶粒子サイズ
のコントロール効果、表面積の増大効果等を期待できな
いからである。また、表面被覆剤として用いた場合の基
材やバインダーへの影響は、チタン含有率が高くなるほ
ど大きくなるので、表面被覆用光触媒とともに用いるバ
インダーや表面被覆用光触媒で被覆される基材の劣化防
止の観点から、チタン含有率は小さいほど好ましいから
である。一方、表面被覆用光触媒の単位重量あたりの活
性はチタンの含有率に原則として依存するので、所望の
防汚作用等の光触媒作用を満足するためには、チタン含
有率が20モル%以上必要である。尚、後述するように
本発明の表面被覆用光触媒のチタン単位重量あたりの光
触媒活性は酸化チタン単独の場合と比較して著しく向上
しているので、チタン含有率が上記範囲内であれば、表
面被覆用光触媒として要求される光触媒活性を満足する
ことができる。
【0024】本発明の表面被覆用光触媒のX線回折にて
測定した一次粒子径は5nm以上、好ましくは8nm以
上であり、20nm以下、好ましくは15nm以下であ
る。光触媒活性は一次粒子径が8〜15nmにおいて極
大値を示し、一次粒子径が5nmより小さいと光触媒活
性が高いアナターゼ型結晶の形成が不十分であり、一方
20nmを超えるとルチル型への相転位が起こりはじめ
て光触媒としての活性が低下するからである。
【0025】複合酸化物の一次粒子径は、原料の種類、
液濃度、液温、pHや原料の投入方法等の共沈条件や乾
燥焼成におけるガス雰囲気、温度や時間等の焼成条件を
適宜選択することによって調整することができる。前述
のように、複合酸化物は熱処理により粒子成長しにくい
ので、焼成温度により一次粒子径をコントロールするこ
とが容易である。
【0026】次に、本発明の表面被覆用光触媒の製造方
法について説明する。
【0027】複合酸化物を形成するために用いられるチ
タン源としては、塩化チタン、硫酸チタン等の無機系チ
タン化合物、シュウ酸チタン、テトラフルオロエチレン
イソプロピルチタネート等の有機系チタン化合物等が挙
げられ、珪素源としてコロイド状シリカ、水ガラス、四
塩化珪素等の無機系珪素化合物、テトラエチルシリケー
ト等の有機系珪素化合物等が挙げられる。また、ジルコ
ニウム源としては、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウ
ム等の無機系ジルコニウム化合物、及び酢酸ジルコニウ
ム等の有機系ジルコニウム化合物などが挙げられる。
【0028】本発明の表面被覆用光触媒における複合酸
化物は、上記チタン源、珪素源、ジルコニウム源を用い
て、従来より公知の方法により製造することができる。
例えば、チタンと珪素からなる二元系複合酸化物を調製
する方法としては、以下の〜の方法を例示すること
ができる。四塩化チタンをシリカゾルと共に混合し、
アンモニアを添加して沈殿を生成せしめ、この沈殿を洗
浄、乾燥後に焼成する方法四塩化チタンに珪酸ナトリ
ウム水溶液を添加して沈殿を生成させ、これを洗浄、乾
燥後に焼成する方法四塩化チタンの水−アルコール溶
液にテトラエチルシリケ−トを添加し加水分解により沈
殿を生成させ、これを洗浄、乾燥後に焼成する方法上記
調製方法にうち、の方法が特に好ましい。の方法で
は洗浄が不十分な場合に光触媒に悪影響を与えるアルカ
リが複合酸化物に残留する可能性があり、の方法では
原料となるシリケートが他の材料化合物に比べて高価だ
からである。
【0029】上記いずれの方法であっても、チタン源、
珪素源、及びジルコニウム源のモル比を調整することに
より、得ようとする表面被覆用光触媒における複合酸化
物のチタン含有率を調整することができる。
【0030】焼成温度、焼成時間等の焼成条件は、一次
粒子径が本発明の範囲内となるように、焼成に供する酸
化物原料の大きさ、種類、組成(チタン含有率など)に
応じて適宜選択すればよい。
【0031】具体的には、300℃未満の温度では結晶
化が不十分であり、光触媒として有効に利用することが
できない。よって、300℃以上で焼成することが好ま
しく、最適な焼成温度はチタン含有率によって異なる
が、300〜900℃の範囲であり、チタン含有率が低
いほど高温で処理することが好ましい。
【0032】以上のようにして得られる本発明の表面被
覆用光触媒は、表面被覆剤として必要な光触媒機能を有
するにも拘わらず、表面被覆剤に含まれるバインダーや
表面被覆しようとする基材の分解劣化が、従来の光触媒
よりも抑制されている。
【0033】本発明の表面被覆用光触媒が光触媒機能を
維持しながら基材やバインダーの劣化を抑制する理由に
関しては不明であるが、以下のことが考えられる。すな
わち、本発明の表面被覆用光触媒は複合酸化物における
チタン含有率、及び一次粒子径を特定の範囲とすること
により、酸化チタンとしての単位重量あたりの光触媒活
性が酸化チタン単独の場合と比較して著しく高くなる
(市販の光触媒用酸化チタンの3〜5倍)ことが確認さ
れている。従って、例えばチタン/シリカのモル比が2
0/80の複合酸化物を調製すれば、表面被覆用光触媒
としての単位重量あたりの光触媒活性は酸化チタン単独
とほぼ同等となる。しかしながら、複合酸化物は均質で
あるため、バインダーや基材との接触部において光照射
により生成する電子や正孔の密度は酸化チタン単独の1
/5以下になると考えられ、分解や劣化を抑制する効果
が得られると推定される。通常、表面被覆用光触媒は一
次粒子が凝集して0.1μm〜数μm程度の二次粒子と
してバインダー中に分散されるが、複合酸化物は粒子全
体が光触媒として機能し単位重量あたりの光触媒活性が
同等であるため、ガスの拡散が律速となる気相の有害成
分との反応は問題なく進行すると考えられる。尚、この
ことは表面被覆用光触媒の二次粒子径を大きくすること
によって、基材やバインダーと接触するトータルの面積
が小さくなり、基材やバインダーの劣化が更に抑制でき
ることを示唆するものである。以上より、本発明の光触
媒が接触する樹脂やバインダーの分解劣化が抑制される
ことは、チタン以外の成分による単なる希釈によるもの
ではなく、複合酸化物を形成することに基づくと考えら
れる。
【0034】以上のように、本発明の表面被覆剤用光触
媒は、汚染性有機物質の酸化分解という触媒活性を保持
しつつ、一方でバインダーや基材等の有機高分子の分解
劣化を抑制できるので、基材に光触媒機能を付与するた
めに用いられる光触媒として好適である。
【0035】本発明の表面被覆用光触媒は、一般に粉末
状であるから、多孔性物質や糸間間隙や繊維間間隙等の
空隙を有する基材を用いる場合には、水その他の有機溶
剤等に本発明の表面被覆用光触媒を分散させて得られる
スラリーに、基材を浸漬等することにより、表面被覆用
光触媒を基材に担持することができる。また、基材が粉
体を保持できるような空孔等を有していない場合には、
本発明の表面被覆剤を用いることにより本発明の表面被
覆用光触媒を安定に固定担持できる。
【0036】次に、本発明の光触媒機能を有する表面被
覆剤について説明する。
【0037】本発明の表面被覆剤は、上記本発明の表面
被覆用光触媒、及び該粉体を基材に固着するためのバイ
ンダーを含有している。使用するバインダーが基材表面
にて塗膜を形成する場合には、表面被覆剤は塗料として
も利用できる。
【0038】上記バインダーとしては、シリカゾル、ア
ルミナゾル、セメント、水ガラス、リン酸塩等の無機系
バインダーは勿論、有機系バインダーについても、光触
媒により分解されにくいフッ素系樹脂、シリコン系樹脂
のほかに、従来、光触媒作用により分解されるとして使
用が制限されていたアクリル系樹脂、アルキド系樹脂、
ポリビニルアルコール等の有機系バインダーを使用する
こともできる。表面被覆剤に用いられる本発明の表面被
覆用光触媒は、上述のように、光触媒活性を有するにも
拘わらず、バインダーとして用いる有機化合物に対する
分解作用が抑制されているからである。
【0039】本発明の表面被覆剤には、上記表面被覆用
光触媒及びバインダーの他に、必要に応じて溶剤、また
塗料として用いる場合には更に着色剤、その他の充填剤
を適宜含有させてもよい。
【0040】本発明の表面被覆剤は、上記表面被覆用光
触媒及びバインダー、更に必要に応じて添加される溶剤
等を所定量配合し、攪拌機、ホモジナイザーやボールミ
ル等を用いて攪拌、混合分散させることにより調製する
ことができる。
【0041】本発明の表面被覆剤はバインダーを含んで
いるので、バインダーや溶剤の種類、被覆剤の粘度等に
応じて、スプレーコーティング法、ディップコーティン
グ法、スピンコーティング法、ロールコーティング法等
の従来より公知の種々の方法により基材表面に塗布した
後、室温乾燥あるいは加熱により硬化させて、基材表面
に表面被覆用光触媒を固着させることができる。つま
り、有機バインダー(特にアクリル系、ポリビニルアル
コール系バインダー)を使用することにより低温で表面
被覆用光触媒を基材の表面に固定することができる。
【0042】このように、本発明の表面被覆剤は、表面
被覆用光触媒を基材に固定するためのバインダーに関す
る制限が実質上なくなるので、換言すると基材に応じて
好適なバインダーを選択することができるので、耐熱性
に乏しい基材や、光沢性や柔軟性等の理由から商品価値
が減じられるとして無機系バインダーを使用することが
できない基材の表面被覆にも適用できる。
【0043】本発明の光触媒性部材は、基材に本発明の
表面被覆用光触媒が担持されたものである。
【0044】上記基材としては、ガラス、金属、セラミ
ックス等のように耐熱性に優れ、且つ光触媒作用による
酸化分解を受け難い無機系基材はもちろん、繊維、紙、
樹脂、フィルム等の有機系基材を挙げることもできる。
本発明の表面被覆用光触媒は、従来の光触媒に比して、
基材やバインダーに対する分解劣化作用が抑制されてい
るからである。また、基材の形態としては、特に制限な
く、光触媒を保持できるような空孔を有する多孔質体や
糸間間隙又は繊維間間隙等の空隙を有する織布、編布、
不織布;このような空孔や空隙を有しない各種形状の基
材などが挙げられる。
【0045】本発明の表面処理剤にはバインダーが含ま
れているので、触媒を保持できるような空隙や空孔等を
有しない基材に対しても安定に固定担持できるからであ
る。また、本発明の表面被覆剤を使用すれば、従来のよ
うに、焼結や高温焼成しなくても、耐熱性に乏しい有機
系基材表面にも光触媒を固定できるからである。
【0046】本発明の光触媒性部材に紫外線照射する
と、部材に固定された表面被覆用光触媒が、窒素酸化物
(NOx)、有機塩素化合物、VOCやアンモニア等の
有害物質や臭気成分と接触して酸化分解し、汚染空気ま
たは液体の浄化や防汚作用、抗菌及び殺菌作用を達成で
きる。一方、基材に担持あるいは表面被覆されている本
発明の表面被覆用光触媒は、従来の酸化チタンと比較し
て基材の分解劣化が抑制されているので、粉末剥離等の
不具合が防止され、長期にわたりその効果が持続する。
また本来、紫外線により分解劣化を示すような樹脂基材
の場合には、表面に固定担持されている表面被覆用光触
媒が紫外線を吸収することにより、基材に到達する紫外
線が減じられ、結果として、耐光性、耐紫外線性が改善
されるという効果が得られる場合もある。
【0047】
【実施例】〔表面被覆用光触媒の調製〕 実施例1;シリカゾル(日産化学社製NCS‐30)2
0kgに、アンモニア水300kg(濃度25%)と水
400kgを添加して溶液aを得た。
【0048】次に、硫酸チタニルの硫酸水溶液180リ
ットル(TiO2濃度250g/リットル、全硫酸濃度
1100g/リットル)を水250kgで希釈して溶液
bを得た。
【0049】溶液aを攪拌しながら徐々に溶液bを滴下
して共沈ゲルを生成させた。15時間静置後、ろ過して
共沈ゲルを得、これを水洗後、200℃で10時間乾燥
した。乾燥後、550℃で6時間焼成し、この焼成物を
ハンマーミルにて粉砕して、チタン含有率が85モル%
のチタン及び珪素からなる二元系複合酸化物の表面被覆
用光触媒を得た。得られた粉体のX線回折による一次粒
子径は9nmであった。
【0050】実施例2;オキシ塩化ジルコニウム45k
gを水2000kgに溶解し、このオキシ塩化ジルコニ
ウム液を、硫酸チタニルの硫酸水溶液180リットルと
混合して溶液cを得た。溶液cを30℃に維持しつつ、
pHが7になるまで、攪拌しながら徐々にアンモニア水
を滴下して、共沈ゲルを生成させた。15時間静置後、
実施例1と同様にして、チタン含有率が80モル%のチ
タン/ジルコニウム二元系複合酸化物の表面被覆用光触
媒を得た。
【0051】実施例3〜6、比較例1〜5;シリカゾル
と硫酸チタニルとの混合比率、及び焼成温度を表1に示
すように変えた以外は実施例1と同様にして、表面被覆
用光触媒を調製した。得られた粉体の一次粒子径は表1
に示す通りである。
【0052】比較例6,7;これらは、いずれも光触媒
として市販されているものであり、比較例6は一次粒子
径が7nmで比表面積300m2/g、比較例7は一次
粒子径が20nmで比表面積50m2/gの酸化チタン
の単独酸化物である。 〔評価〕 表面被覆用光触媒の光触媒活性 上記実施例、比較例の光触媒活性を以下の方法で調べ
た。
【0053】10リットルの試験容器に、実施例及び比
較例で調製した光触媒1gを入れ、初期アセトアルデヒ
ド濃度300ppmとして、ブラックライト照射下
(0.3mW/cm2)にける経時的なアセトアルデヒ
ドガス濃度の減衰を測定し、試験条件における表面被覆
用光触媒単位重量あたり及びチタン単位重量あたりの各
速度定数を求めた。尚、初期の吸着による速度定数の影
響を避けるため、濃度減衰が一次反応的に起こっている
ことを確認してから速度定数を求めた。測定結果を表1
に示す。
【0054】また、実施例又は比較例において、チタン
/シリカのモル比が50/50、85/15及び100
/0の組成のものについて、焼成温度を変えて一次粒子
径を測定した結果を図1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】表1からわかるように、チタン含有率が同
じであっても、焼成温度を変えることにより一次粒子径
が本発明の範囲外となったものは触媒活性が低く(比較
例2〜5)、一次粒子径を本発明の範囲内とした実施例
の表面被覆用光触媒は、いずれも酸化チタンあたりのア
セトアルデヒドの分解速度定数が高く、触媒活性が高め
られていた。また、チタン含有率が50モル%を超える
ものについては、表面被覆用光触媒あたりの触媒活性に
ついても、市販の光触媒よりも高い活性を示した。
【0057】また、図1で一次粒子径を測定した各組成
のものについて、同様に光触媒活性試験を実施して速度
定数を求め、焼成温度に対してプロットした結果を、図
2に示す。図2から、チタンの含有率が低い程、光触媒
活性の最大値は高温側にシフトしていることがわかる。
また、図1及び図2の関係から、表面被覆用光触媒の活
性は一次粒子径に依存していることが確認できる。 基材に固定された光触媒の光触媒活性 実施例1〜6及び比較例6の表面被覆用光触媒及び水を
ボールミルで湿式粉砕して水性スラリーを調製した。こ
の水性スラリーにポリエステル繊維の布を浸漬し、取り
出して室温で乾燥することにより、表面被覆用光触媒5
g/m2が担持された布を得た。
【0058】この布を20cm角に切り出して試験片を
作成し、この試験片を、3リットルの試験容器に入れ初
期アセトアルデヒド濃度50ppmとして、ブラックラ
イトを照射(0.3mW/cm2)して、経時的なアセ
トアルデヒドガス濃度の減衰を測定した。参考のため
に、光触媒のスラリー液に含浸しなかった試験片につい
ても同様の実験を行った(参考例1)。
【0059】測定結果を表2に示す。 有機系基材に対する光触媒の影響 と同様の方法で作成した試験片を、ブラックライト
(3mW/cm2)にて1ヶ月間光照射した。光照射前
後の試験片について引張試験を実施し、繊維の強度低下
を調べた。比較のために、光触媒のスラリー液に含浸し
なかった試験片についても同様の実験を行った。測定結
果を表2に示す。
【0060】また、参考例1、実施例1、比較例6につ
いては、光照射日数に対する繊維引張強度の関係を示す
グラフを、図3に表わした。
【0061】
【表2】
【0062】表2から、光触媒が担持されていない試験
片は、光照射30分後、3時間後で殆どアセトアルデヒ
ドガス濃度が変化しておらず、光触媒による分解反応が
起こっていないことがわかる。尚、光照射30分間で減
少しているのは、基材自体によるアセトアルデヒドの吸
着と考えられる。
【0063】本発明実施例の表面被覆用光触媒を担持し
た試験片は、いずれも光照射時間に比例してアセトアル
デヒドを分解できていることがわかる。すなわち、基材
に固定された状態であっても、光触媒反応が起こってい
ることがわかる。
【0064】一方、比較例6の市販酸化チタンを担持し
た試験片は、30分後の濃度減衰が実施例のものよりか
なり大きいが、3時間後のアセトアルデヒド濃度は実施
例と同程度であった。従って、初期の濃度減衰は酸化チ
タンの比表面積が高いことによる吸着効果と考えられ
る。
【0065】また、比較例6の酸化チタンを担持した試
験片は、光照射により急激な強度低下が見られ、光触媒
作用による繊維の分解劣化が起こっていると考えられ
る。
【0066】これに対して、実施例は、いずれも繊維強
度の低下が起こってはいるものの、比較例に比べてその
低下は少なく、本発明実施例の表面被覆用光触媒では基
材の劣化が抑制されていることがわかる。
【0067】また、光触媒が担持されていない場合(参
考例1)でも、繊維強度の低下が起こっていた。これは
紫外線照射による繊維の劣化のためである。この点、1
ヶ月後では光触媒を担持していない場合よりも実施例の
方が繊維引張強度が高くなっている。本発明実施例で
は、酸化チタンによる紫外線吸収によって、紫外線によ
る繊維劣化も抑制できたと考えられる。 バインダーの劣化 で調製した実施例1及び比較例6の各水性スラリーと
ポリビニルアルコール水溶液を十分に混合して、光触媒
固形分濃度2.5wt%、PVA濃度2.5wt%の表
面被覆剤を調製した。この表面被覆剤をガラス板に塗布
し、常温で乾燥することにより、表面に光触媒性膜を形
成した光触媒性部材を作成した。
【0068】作成した光触媒性部材を、ブラックライト
(3mW/cm2)にて1週間光照射し、光照射による
バインダーの劣化を走査顕微鏡写真にて調べた。実施例
1の表面被覆用光触媒を使用した部材の光照射前後の表
面写真を図4(a),(b)に示す。写真において、白
色部分は光触媒粒子を示すが、実施例の光触媒性部材は
白色部分にほとんど変化はないことから、バインダーの
分解が抑制されていることがわかる。一方、比較例6の
酸化チタンを使用した部材の光照射前後の表面写真を図
4(c),(d)に示したが、光照射により白色部分が
増大し、バインダーであるポリビニルアルコールが分解
して光触媒粒子が表面に露出していることが確認され
る。尚、写真より、比較例6の酸化チタンは、0.5μ
m以下の微粒子の割合が高く、このことがバインダーの
分解を更に促進していると考えられる。 塗料の耐候性 アクリル系樹脂50重量部をキシレンに溶解し、さらに
実施例1,5,6,又は比較例7の光触媒25重量部と
顔料用酸化チタン25重量部を添加して、ペイントシェ
ーカーにて十分に混合、分散して、表面被覆剤としての
塗料を調製した。また、参考のために、光触媒を添加せ
ず、顔料用酸化チタン50重量部を添加した塗料を調製
した(参考例2)。尚、顔料用酸化チタンとしては、一
次粒子径が280nmで、表面がシリカ及びアルミナで
被覆された市販のものを使用した。
【0069】上記にて調製した表面被覆剤(塗料)を、
バーコーターを用いて、塗布量30g/m2となるよう
に、アクリル板の片面に塗布し、60℃で1時間乾燥し
て光触媒性部材の試験片を作成した。
【0070】作成した光触媒性部材の試験片を、雰囲気
温度70℃で紫外線照射を2時間行った後、50℃で湿
潤条件下に2時間放置することを1サイクルとして、こ
れを100回繰り返す(400時間)耐候性促進試験を
行った。試験前、50サイクル後(200時間後)、1
00サイクル後(400時間後)に、試験片表面の一部
にテープを接着し、剥がした際に、テープに付着した粉
末量(粉末剥離量(g/m2)に該当)を測定した。付
着した粉末量が多い程、塗膜構成成分としてのアクリル
系樹脂の分解が進み、耐候性が劣ると判断できる。
【0071】測定結果を、塗料組成とともに表3に示
す。
【0072】
【表3】
【0073】表3から、顔料用酸化チタンのみを使用し
た参考例2ではほとんど粉末剥離が起こっていいないこ
とがわかる。このことは、酸化チタン粒子が塗膜構成成
分である樹脂に覆われているためと考えられる。このよ
うな状態は、顔料としては好ましいが、かかる状態では
気相の有害成分との反応も期待できず、光触媒効果とし
て期待される防汚作用等も発揮できないことになる。
【0074】一方、比較例7の光触媒用酸化チタンを使
用した場合は、本発明の実施例と比較して、光照射によ
る粉末剥離量が著しく多くなっている。特に、50サイ
クル後と100サイクル後との間で粉末剥離量が急激に
増大する傾向が見られ、光照射により表面に露出した光
触媒粒子によって、塗膜構成成分の分解が加速されてい
ると考えられる。このような状態では、手でさわった
り、流水によって塗膜表面から光触媒粒子が消失してし
まうことになる。結果として、塗膜本来の機能が損なわ
れるばかりか、基材表面に留まる光触媒量が減少するた
めに、光触媒効果(有害成分の分解など)の持続性も低
減することとなる。
【0075】これらに対し、実施例では、光照射による
樹脂の分解は認められるが、粉末剥離量は少なく、塗膜
構成成分の分解が抑制されていることがわかる。特に、
光触媒のチタン含有率が小さい程、樹脂の分解を抑制す
る効果が得られている。また、光照射時間が長くなって
も急激な粉末剥離量の増加が見られないことから、光触
媒粒子の一部分が表面に露出した状態で塗膜に保持され
ていると考えられる。すなわち、光触媒粒子は、気相の
有害成分と接触できる程度に露出した状態で基材表面に
留まり、長期に亘って光触媒本来の作用効果を発揮しつ
づけることができる。換言すると、光触媒効果を長期に
亘って基材に付与し続けることができる。従って、本発
明の光触媒は、塗料組成物をはじめとする表面被覆剤用
としてに好適であることがわかる。
【0076】
【発明の効果】本発明の表面被覆用光触媒は、従来の光
触媒と同等以上の単位重量あたり触媒活性を示すにも拘
わらず、接触する基材やバインダーに対する分解劣化
は、従来の光触媒よりも抑制されているので、各種基材
の表面被覆剤用に好適である。
【0077】本発明の表面被覆剤は、各種バインダーを
用いることができるので、基材の種類に制限なく、光触
媒を基材に固定することができ、しかも含有されている
表面被覆用光触媒によるバインダーの分解劣化が抑制さ
れているので、基材に安定に固定し続けることができ
る。
【0078】本発明の光触媒性部材は、従来光触媒によ
り分解されるような基材であっても、従来より劣化が抑
制されているので、長期間にわたって要求される光触媒
作用を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼成温度と得られる表面被覆用光触媒のX線
回折による一次粒子径との関係を表わすグラフである。
【図2】 焼成温度と表面被覆用光触媒の触媒活性との
関係を示すグラフである。
【図3】 光照射期間と基材の引張強度の低下との関係
を表わすグラフである。
【図4】 実施例1の表面被覆用光触媒を用いて形成し
た光触媒性膜の光照射前(a)、光照射1週間後
(b)、比較例6の光触媒を用いて形成した光触媒性膜
の光照射前(c)、光照射1週間後(d)の状態を示す
走査顕微鏡写真である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA02A BA02B BA04A BA04B BA05A BA05B BA37 BA48A BB06A BB06B BB10B DA05 EA09 EB18X EB18Y FA02 FB09 FB13 4J038 AA011 CD091 CE021 CG141 DD121 DL031 HA216 HA446 HA486 KA04 KA20 MA10 NA05 NA17 PC02 PC03 PC08 PC10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン及び珪素からなる二元系複合酸化
    物、チタン及びジルコニウムからなる二元系複合酸化
    物、並びにチタン、珪素及びジルコニウムからなる三元
    系複合酸化物より選ばれる少なくとも1種の複合酸化物
    を含有する表面被覆用光触媒であって、 該表面被覆用光触媒におけるチタンの含有率が20〜9
    5モル%で、且つX線回折にて測定した一次粒子径が5
    〜20nmであることを特徴とする表面被覆用光触媒。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の表面被覆用光触媒及び
    バインダーを含有することを特徴とする光触媒機能を有
    する表面被覆剤。
  3. 【請求項3】 前記バインダーは塗膜成分である請求項
    2に記載の表面被覆剤。
  4. 【請求項4】 前記バインダーの分解及び/又は劣化が
    抑制されている請求項2または3に記載の表面被覆剤。
  5. 【請求項5】 基材に、請求項1に記載の表面被覆用光
    触媒を担持していることを特徴とする光触媒性部材。
  6. 【請求項6】 基材表面を、請求項2〜4のいずれかに
    記載の表面被覆剤で被覆してなることを特徴とする光触
    媒性部材。
  7. 【請求項7】 前記基材の分解及び/又は劣化が抑制さ
    れている請求項5または6に記載の光触媒性部材。
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