JP2002079109A - 光半導体金属−有機物質混合体、光半導体金属含有組成物、光触媒性被膜の製造法及び光触媒性部材 - Google Patents

光半導体金属−有機物質混合体、光半導体金属含有組成物、光触媒性被膜の製造法及び光触媒性部材

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JP2002079109A
JP2002079109A JP2000374750A JP2000374750A JP2002079109A JP 2002079109 A JP2002079109 A JP 2002079109A JP 2000374750 A JP2000374750 A JP 2000374750A JP 2000374750 A JP2000374750 A JP 2000374750A JP 2002079109 A JP2002079109 A JP 2002079109A
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JP2000374750A
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English (en)
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Masayoshi Kamitsura
雅義 上面
Kazuo Aizu
和郎 会津
Tsutomu Mamiya
勉 間宮
Yasushi Kojima
靖 小島
Makoto Shioda
誠 塩田
Toshiyuki Hachiya
利幸 八矢
Shiro Ogata
四郎 緒方
Yoshimitsu Matsui
義光 松井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材塗布後常温で造膜し、焼成のような熱処
理をすることなく、実質上光触媒能を持たない光半導体
金属に光触媒能を発現させたり、又は、光触媒能を有す
る光半導体金属の光触媒能を向上させたりすることがで
きる光半導体金属−有機物質混合体を提供する。 【解決手段】 光半導体金属と有機物質を含有する光半
導体金属−有機物質混合体であって、その光半導体金属
−有機物質混合体のエネルギーギャップ(A)と前記光
半導体金属自体のもつエネルギーギャップ(B)との差
(A−B)が0.1eV以上のものである光半導体金属
−有機物質混合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水若しくは空気の
浄化、防汚、防露、防滴、防氷結、防カビ、防藻、防臭
又は付着防止機能等の用途に用いられる光触媒体として
機能する光半導体金属−有機物質混合体、その形成に用
いられる光半導体金属含有組成物、光触媒性被膜の製造
法及び光触媒性部材に関する。
【0002】さらに詳しくは、基材塗布後常温で造膜
し、焼成のような熱処理をすることなく光半導体金属の
光触媒能を発現又は向上させることができる光半導体金
属−有機物質混合体、その形成に用いられる光半導体金
属含有組成物、光触媒性被膜の製造法及び光触媒性部材
に関する。
【0003】
【従来の技術】半導体金属のもつ電子伝導帯と価電子帯
との間の禁制帯幅(以下エネルギーギャップとよぶ)以
上の励起条件におかれることにより、電子が価電子帯か
ら電子伝導帯に移動し、電子が抜けた価電子帯には正孔
が生じ、空気中の水と酸素から・OH(ヒドロキシルラ
ジカル)、O2 -(スーパーオキシドイオン)等の活性酸
素種を生じる。これら活性酸素種及び正孔自身の酸化作
用によって有機物化合物を分解することが、一般的に理
解されている光触媒機能の発現の原理である。
【0004】光半導体金属としては、代表的な酸化チタ
ン(TiO2)の他、ZnO、SrTiOP3、CdS、
CdO、CaP、InP、In23、CaAs、BaT
iO3、K2NbO3、Fe23、Ta25、WO3、Ni
O、Cu2O、SiC、SiO2、MoS3、InSb、
RuO2、CeO2等が知られている。
【0005】一般に、光半導体金属では、光を照射する
ことにより電子と正孔が生成され、その付近の水分子を
還元・酸化することにより強力な酸化力をもつ・OHや
2 -を生成する。たとえばCdSeに光を照射すると、
生成した電子は水分子を還元し水素を発生させるが、正
孔は水分子を酸化する代わりに、自己を酸化し、Cd 2+
が溶出してくる。このような現象は他の多くの光半導体
金属にも認められる。
【0006】しかしながら、酸化チタン(TiO2)は
自己溶出現象を起こさない光半導体金属として特異的で
あり、それ故、酸化チタンは、光触媒として最も有用と
されている。
【0007】一方、光半導体金属は結晶構造により、そ
の粒子におけるエネルギーギャップが異なり、その光触
媒活性は大きく異なる。一般に半導体が光触媒活性を持
つとされる場合は、価電子帯の対水素電極電位が、水を
酸化する電位である1.23eV以上であり、電子伝導
帯が水より水素を発生させる電位である0eV以下であ
ることが条件となる。
【0008】酸化チタンを例にとると、その結晶構造に
よりアナターゼ型、ルチル型、非晶質型(アモルファス
型)等に分類される。
【0009】エネルギーギャップは、アナターゼ型酸化
チタンの場合、3.2eV、ルチル型酸化チタンの場
合、3.0eVと報告されている。
【0010】酸化チタンの中で、前記アナターゼ型酸化
チタンが最も光触媒活性が高いとされている。
【0011】アモルファス型のチタン酸化物は、実質的
にほとんど光触媒能を持たないが、特開平9−7141
8号公報や特開平9−262481号公報に記載されて
いるように、造膜性等において優れ、アモルファス型過
酸化チタンゾルとして、使用されている。
【0012】一方、光半導体金属のエネルギーギャップ
を変化させる物質としてシリカ、アルミナ、ジルコニ
ア、酸化錫、シリコーン等の無機物質や、加水分解及び
脱水重付加によりシリコーンを生成させるアルコキシシ
ラン等のシリコーン前駆体が使用できることは特開平1
0−296902号公報、特開平10−310653号
公報等に記載されている。
【0013】しかし、これらの方法のうち、ジルコニア
や酸化錫等の添加によりエネルギーギャップを変化させ
る方法では、400℃以上の高温で熱処理をする必要が
ある。そのため、基材が耐熱性を持つ金属やガラス、磁
器、陶器などに限られる。
【0014】また、シリコーン前駆体を添加し、その加
水分解及び脱水重付加により基材上に造膜させる方法で
は、得られた塗膜は、有機基材に対して密着性を向上さ
せることはできるが、光照射による水や空気の浄化、付
着物の分解除去等の光触媒活性が低く、混合後の塗液の
貯蔵安定性も悪いという欠点がある。
【0015】さらに、有機基材上に常温で造膜させる際
にフッ素系ポリマや、フッ素変性アクリル樹脂、シリコ
ン変性アクリル樹脂等の難分解性結着剤を介して光触媒
を結着させる方法が、特開平7−171408号公報等
に記載されている。この方法で形成される塗膜は基材と
の密着性に優れるが、この方法は、難分解性結着剤によ
り光半導体金属のもつエネルギーギャップを変化させ、
光触媒能を付与したり向上させたりするわけではなく、
単に基材上に光半導体金属−有機物質混合体を接着させ
るのみである。
【0016】また、一般に、酸化チタンに代表される光
半導体金属は、その選択的光波長吸収挙動の故、基材に
塗布した際に、干渉色と呼ばれる虹色にみえる光反射挙
動を示す。そのため、基材が濃色である場合や透明な場
合、干渉色が意匠性や視認性を損なう原因となる。
【0017】この干渉色を解決する手段としては、特開
平10−208674号公報に代表される、エネルギー
ギャップ以上のエネルギーを照射した際に光触媒能をも
つアナターゼ型酸化チタンを代表とする光半導体粒子を
塗布する方法が提案されている。
【0018】しかし、特開平8−156404号公報で
も記載されているとおり、粒子自体が光触媒能をもつ光
半導体金属は可視部より紫外部にかけての波長選択吸収
が強く、またアナターゼ型酸化チタンの屈折率が2.
5、ルチル型の屈折率が2.7のように屈折率が高いた
め、低屈折率の粒子である低屈折率シリカ粒子(屈折率
1.48)やフッ化マグネシウム粒子(1.38)を混
合する必要が生じる。さらには、光半導体金属の粒子も
0.1μm以下と小さくする必要が生じる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、酸化チ
タンの造膜性、基材密着性、光触媒活性等の向上を目的
に鋭意研究努力した結果、単に混合することで、光半導
体金属のエネルギーギャップを変化させ、また、実質上
光触媒能を持たない光半導体金属に光触媒能を発現させ
る有機物質と、それによる光触媒能の発現又は向上の現
象を見いだした。
【0020】また、干渉色等の問題点の解決を目的に鋭
意研究努力した結果、十分な光触媒能を発現し、かつ、
造膜されてなる被膜が干渉色を示さない材料を見いだし
た。
【0021】即ち本発明は、焼成のような熱処理をする
ことなく、良好な光触媒能を有し、また良好な造膜性を
有し、基材との密着性及びその耐久性、光触媒能の持続
性に優れる光触媒体となる光半導体金属−有機物質混合
体を提供することを目的とする。
【0022】また本発明は、良好な光触媒能を有し、ま
た良好な造膜性を有し、その被膜が干渉色を持たない光
触媒体となる光半導体金属−有機物質混合体を提供する
ことを目的とする。
【0023】また本発明は、焼成のような熱処理をする
ことなく単に塗布するだけで良好な性能の光触媒性被膜
を形成できる良好な造膜性を有し、基材との密着性及び
その耐久性、光触媒能の持続性に優れる光半導体金属含
有組成物を提供することを目的とする。
【0024】また本発明は、単に塗布するだけで良好な
性能の光触媒性被膜を形成できる良好な造膜性を有し、
得られる被膜が干渉色を持たない光半導体金属含有組成
物を提供することを目的とする。
【0025】また本発明は、上記課題に加えて、貯蔵安
定性にも優れる光半導体金属含有組成物を提供すること
を目的とする。
【0026】また本発明は、光触媒性被膜の製造法であ
って、基材との密着性及びその耐久性、光触媒能の持続
性に優れる良好な性能の光触媒性被膜を、焼成のような
熱処理をすることなく形成することができるを方法提供
することを目的とする。
【0027】また本発明は、光触媒性被膜の製造法であ
って、良好な性能を有し、かつ、干渉色を持たない光触
媒性被膜を造膜性よく製造することの方法を提供するす
ることを目的とする。
【0028】また本発明は、基材との密着性及びその耐
久性、光触媒能の持続性等の優れた膜特性の光触媒性被
膜を有する光触媒性部材を提供することを目的とする。
【0029】さらに本発明は、光触媒能の持続性等に優
れ、干渉色を持たない膜特性の光触媒性被膜を有する光
触媒性部材を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明は次のものに関す
る。
【0031】(1) 光半導体金属と有機物質を含有す
る光半導体金属−有機物質混合体であって、その光半導
体金属−有機物質混合体のエネルギーギャップ(A)と
前記光半導体金属自体のもつエネルギーギャップ(B)
との差(A−B)が0.1eV以上のものである光半導
体金属−有機物質混合体。
【0032】(2) エネルギーギャップが、3.0e
V以上である(1)記載の光半導体金属−有機物質混合
体。
【0033】(3) 光半導体金属が酸化チタンである
(1)又は(2)記載の光半導体金属−有機物質混合
体。
【0034】(4) 光半導体金属と有機物質を含有し
てなる光半導体金属−有機物質混合体であって、前記光
半導体金属自体は実質上光触媒能を持たないものである
光触媒能を有する光半導体金属−有機物質混合体。
【0035】(5) 光半導体金属と有機物質を含有し
てなる光半導体金属−有機物質混合体であって、これを
基材上に成膜してなる膜の表面が干渉色を示さないもの
である光半導体金属−有機物質混合体。
【0036】(6) 光半導体金属がアナターゼ型酸化
チタンである(5)に記載の光半導体金属−有機物質混
合体。
【0037】(7) 光半導体金属がアモルファス型過
酸化チタンである(1)〜(5)の何れかに記載の光半
導体金属−有機物質混合体。
【0038】(8) 有機物質がアルキルシリケート構
造を有する(1)〜(7)の何れかに記載の光半導体金
属−有機物質混合体。
【0039】(9) 有機物質がポリエーテル構造を有
する(1)〜(8)の何れかに記載の光半導体金属−有
機物質混合体。
【0040】(10) 有機物質がアルキルシリケート
構造とポリエーテル構造の両方を有する(1)〜(9)
の何れかに記載の光半導体金属−有機物質混合体。
【0041】(11) 光半導体金属と有機物質の比
が、前者:後者の重量比で、1:0.1〜1:50であ
る(1)〜(10)の何れかに記載の光半導体金属−有
機物質混合体。
【0042】(12) 光半導体金属と有機物質を含有
する組成物であって、その組成物を塗布乾燥して形成さ
れる光半導体金属−有機物質混合体のエネルギーギャッ
プ(A)と前記光半導体金属自体のもつエネルギーギャ
ップ(B)との差(A−B)が0.1eV以上のもので
ある光半導体金属含有組成物。
【0043】(13) その組成物を塗布乾燥して形成
される光半導体金属−有機物質混合体のエネルギーギャ
ップが、3.0eV以上である(12)記載の光半導体
金属含有組成物。
【0044】(14) 光半導体金属が酸化チタンであ
る(12)又は(13)記載の光半導体金属含有組成
物。
【0045】(15) 光半導体金属と有機物質を含有
してなる組成物であって、前記光半導体金属自体は実質
上光触媒能を持たないものであり、その組成物を塗布乾
燥して形成される光半導体金属−有機物質混合体は光触
媒能を有するものである光半導体金属含有組成物。
【0046】(16) 光半導体金属と有機物質を含有
してなる組成物であって、これを基材上に成膜してなる
膜の表面が干渉色を示さないものである光半導体金属含
有組成物。
【0047】(17) 光半導体金属がアナターゼ型酸
化チタンである(16)に記載の光半導体金属含有組成
物。
【0048】(18) 光半導体金属がアモルファス型
過酸化チタンである(12)〜(16)の何れかに記載
の光半導体金属含有組成物。
【0049】(19) 有機物質がアルキルシリケート
構造を有する(12)〜(18)の何れかに記載の光半
導体金属含有組成物。
【0050】(20) 有機物質がポリエーテル構造を
有する(12)〜(19)の何れかに記載の光半導体金
属含有組成物。
【0051】(21) 有機物質がアルキルシリケート
構造とポリエーテル構造の両方を有する(12)〜(2
0)の何れかに記載の光半導体金属含有組成物。
【0052】(22) 光半導体金属と有機物質の比
が、前者:後者の重量比で、1:0.1〜1:50であ
る(12)〜(21)の何れかに記載の光半導体金属含
有組成物。
【0053】(23) さらに溶媒又は分散媒を含む
(12)〜(22)の何れかに記載の光半導体金属含有
組成物。
【0054】(24) 溶媒又は分散媒が、水、有機溶
媒又は水−有機溶媒混合物である(23)記載の光半導
体金属含有組成物。
【0055】(25) 溶媒又は分散媒が、水、アルコ
ール又は水−アルコール混合物である(24)記載の光
半導体金属含有組成物。
【0056】(26) 溶媒又は分散媒中の水の量が5
〜95重量%、有機溶媒の量が5〜95重量%である
(24)記載の光半導体金属含有組成物。
【0057】(27) 添加される有機溶媒がアルコー
ルである(26)記載の光半導体金属含有組成物。
【0058】(28) アルコールがエタノールである
(27)記載の光半導体金属含有組成物。
【0059】(29) (12)〜(28)の何れかに
記載の光半導体金属含有組成物を、基材上に塗布、乾燥
することを特徴とする光触媒性被膜の製造法。
【0060】(30) 基材が有機物質である(29)
記載の光触媒性被膜の製造法。
【0061】(31) 基材が熱可塑性樹脂である(3
0)記載の光触媒性被膜の製造法。
【0062】(32) 基材が透明である(29)記載
の光触媒性被膜の製造法。
【0063】(33) 基材がガラスである(32)記
載の光触媒性被膜の製造法。
【0064】(34) (29)〜(33)のいずれか
に記載の製造法により得られる光触媒性被膜を有してな
る光触媒性部材。
【0065】(35) 光触媒性被膜を、水若しくは空
気の浄化用、防汚用、防露用、防滴用、防氷結用、防カ
ビ用、防藻用、防臭用又は付着防止機能用被膜として有
する(34)記載の光触媒性部材。
【0066】(36) 透明な基材の上に光触媒性被膜
を有してなり、その被膜表面が干渉色を示さないもので
ある(34)記載の光触媒性部材。
【0067】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に記述
する。
【0068】本発明は、有機物質の混合により光半導体
金属に光触媒能を発現させたり、その光触媒能を向上さ
せることを可能とする画期的なものである。
【0069】また本発明は、有機物質の混合により光半
導体金属に光触媒能を発現させたりその光触媒能を向上
させるとともに、基材上に成膜してなる膜表面が干渉色
を示さない光触媒材料の提供を可能とするという画期的
なものである。
【0070】本発明における光半導体金属とは、光照射
により結合性軌道である価電子帯の電子を励起させ、反
結合性軌道である伝導帯に移動させることが可能な半導
体金属を指す。このような半導体金属は、半導体金属の
持つエネルギーギャップより計算される波長のエネルギ
ー以上のエネルギーの波長、すなわち、短波長の光を照
射することで、電子が価電子帯から伝導帯へ移動すると
ともに、価電子帯に正孔が生じることとなる。
【0071】このような光半導体金属としては、TiO
2等の酸化チタン、ZnO、SrTiOP3、CdS、C
dO、CaP、InP、In23、CaAs、BaTi
3、K2NbO3、Fe23、Ta25、WO3、Ni
O、Cu2O、SiC、SiO 2、MoS3、InSb、
RuO2、CeO2等を、本発明の光半導体金属−有機物
質混合体において使用することができる。
【0072】その中でも、化学的に安定であり無害であ
ること、塗料やインキ・顔料等の下地隠ぺい用などに既
に実用化され安定供給も可能なことより、各種の酸化チ
タンが好適である。
【0073】また、上記の光半導体金属は複数を組み合
わせて使用することができ、さらに、場合によってはP
t、Ag、Rh、RhO2、Nb、Cu、Sn、Ni
O、Al、Zn、Cr、Ni、Sb、Cs、In、M
o、W等の金属及び/又はその酸化物(ただし、Wにつ
いてはWO3を除く)を単独又は数種類含有させること
ができ、これらの物質の添加により光触媒能を向上させ
ることができる。これらの物質を添加する場合、その量
は、上記の光半導体金属100重量部に対して0.1〜
1000重量部とすることが好ましく、0.5〜50重
量部とすることがより好ましい。
【0074】本発明における酸化チタンとは、TiO3
/nH2O、TiO2、TiO等、チタンの酸化物すべて
を指す。そのなかでも、結晶構造ではアナターゼ型、ル
チル型、アモルファス型が好適であるが、それらに限定
されるものではない。
【0075】本発明においては、その中でも基材への塗
布性・密着性、造膜性の観点から、アモルファス型過酸
化チタンが好適である。
【0076】なお、ここでアモルファス型過酸化チタン
とは、結晶構造をもたない非晶質(アモルファス)状の
酸化チタンを指し、既に公知の方法により製造すること
ができ、例えば、特開平9−262481号公報の参考
例1及び2、特開平10−235201号公報の参考例
1及び2に記載される方法などにより製造することがで
きる。
【0077】また、株式会社タオより、商品名TiOC
OAT TK100として市販されているものなどを使
用することもできる。
【0078】本発明の光半導体金属−有機物質混合体に
おいて使用される有機物質は、それを光半導体金属と混
合状態で存在させることにより、その混合体のエネルギ
ーギャップ(A)と、混合に用いられている光半導体金
属自体のエネルギーギャップ(B)との間に、0.1e
V以上の差(A−B)を与えるものである。なお、前記
(A−B)は、その差の絶対値を表す。本発明では、一
般にBがAより大きくなる。ここで、エネルギーギャッ
プの差を全く与えないか、0.1eV未満しか与えない
ものでは、光半導体金属の光触媒能の発現又は向上は達
成されない。好ましい差は、0.1〜3.8eVであ
り、より好ましい差は、0.1〜3.0eVであり、さ
らに好ましい差は、0.1〜2.7eVであり、特に好
ましい差は0.1〜1eVであり、極めて好ましい差
は、0.1〜0.5eVである。
【0079】光触媒体は、与えられる光エネルギーがエ
ネルギーギャップ以上である場合に光触媒能が発現され
る。しかし、あまりにもエネルギーギャップが大きい場
合、光触媒能を与える波長には、紫外領域より真空紫外
領域の波長(210nm以下)のエネルギーが必要とな
り、またエネルギーギャップが小さい場合、変換される
光エネルギーは小さいものであり、十分な酸化作用等を
発現できない場合がある。この意味で、光半導体金属−
有機物質混合体のエネルギーギャップは、2.7〜4.
0eVが好ましく、2.8〜3.6eVがより好まし
く、2.9〜3.3eVがさらに好ましい。また、一般
的に光触媒能の発現と考えられているアセトアルデヒド
やメチルメルカプタンの光照射による浄化試験や赤イン
キの退色試験での効果発現に有効な酸化チタンのエネル
ギーギャップが一般的に3.0eV以上であることから
は、3.0eV以上であることが好ましい。
【0080】なお、このエネルギーギャップは、ITO
(インジウムチンオキサイド)等の導電性塗膜を有する
基材上に、測定したい物質又は組成物の塗膜を形成し、
これを、電解液中に浸漬させて、波長を変化させたとき
に起電流が発生する波長を測定し、得られた波長を光量
子のエネルギーの式(式1)から求めたエネルギーギャ
ップ値E(eV)と波長λ(nm)の関係式(式2)に
代入して求められる。 式1:E=hν=h(c/λ) [h:プランク定数(6.63×10-34J・s)、ν:振動数
(1/s)、c:光速度(3×108m/s)、λ:波長
(m)、1(eV)=1.6×10-19(J)] 式2:エネルギーギャップ値E(eV)=1240/λ
(nm) この際、アモルファス型のチタン酸化物のように、実質
的にほとんど光触媒能を持たないもので、起電流が著し
く弱く、正確に測定し難い場合には、当該試験片に任意
に印加電圧を変化させて与えながら、電流値を測定し、
印加電圧とそれぞれの印加電圧値で求められたエネルギ
ーギャップ値の関係から、印加電圧を与えないときのエ
ネルギーギャップ値(真のエネルギーギャップ値)を外
挿する方法を用いることができる。
【0081】また、本発明の光半導体金属−有機物質混
合体において使用される有機物質は、光半導体金属に単
に混合することで、実質上光触媒能のない光半導体金属
に光触媒能を発現させたり、光触媒能のある光半導体金
属の光触媒能を向上させたりするものでもある。このよ
うな有機物質としては、例えば、酸化チタンの中でも実
質上光触媒能のないアモルファス型過酸化チタンに光触
媒能を発現させることができるものが挙げられる。アモ
ルファス型過酸化チタンは、基材への塗布性・密着性の
上で優れるので、このアモルファス型過酸化チタンに、
単に混合するだけで光触媒能を発現させることができれ
ば、非常に優れた光触媒性被膜の形成ができる。
【0082】また、本発明の光半導体金属−有機物質混
合体において使用される有機物質は、光触媒能の発現又
は向上の他に、既知の光触媒と異なって、基材上に成膜
してなる膜の表面が干渉色を示さないものとすることが
でき、濃色の基材や透明な基材に対し、特に有用であ
る。このような干渉色を示さない混合体としては、前記
アモルファス型過酸化チタンとの混合体、アナターゼ型
酸化チタンとの混合体が好ましいものとして挙げられ
る。
【0083】本発明において用いられる有機物質として
は、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式
炭化水素、芳香族系、脂肪族系及び脂環式の、アルコー
ル類、ケトン類、エステル類及びエーテル類、複素環含
有化合物、これらのアミン変性化合物、シリコーン変性
化合物、各種重合体等が挙げられるが、本発明はそれら
に限定したものではない。
【0084】これらのなかでも、酸化チタンゾル等の水
分散体に混合することや、撥水性基材への濡れ性を向上
させること等の点から、分子中にアルキルシリケート構
造を有する有機物質やポリエーテル構造を有する有機物
質が好ましく、特に分子中にアルキルシリケート構造
と、ポリエーテル構造の双方を有する有機物質がより好
ましい。
【0085】ここで、アルキルシリケート構造とは、シ
ロキサン骨格のシラン原子にアルキル基が付加した構造
をさす。具体的には、ポリジメチルシロキサンに代表さ
れるシロキサン結合(−Si−O−)を主鎖とするもの
が好適であるがそれらに限定されるものではない。
【0086】また、エーテル構造とは、ポリアルキレン
オキサイド等の、アルキレン基をエーテル結合で結合し
た構造をさす。具体的には、ポリエチレンオキサイド、
ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサ
イド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサ
イドブロック共重合体、ポリエチレンポリテトラメチレ
ングリコール共重合体、ポリテトラメチレングリコール
−ポリプロピレンオキサイド共重合体等の構造を有する
ものが挙げられる。その中でも、ポリエチレンオキサイ
ド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体はその
ブロック度や分子量により、濡れ性を制御できる観点か
らもさらに好適であるが、それらに限定されるわけでは
ない。
【0087】特に好ましいものである、分子中にアルキ
ルシリケート構造と、ポリエーテル構造の双方を有する
有機物質としては、具体的には、ポリエーテル変性ポリ
ジメチルシロキサン等のポリエーテル変性ポリシロキサ
ン系塗料用添加剤が使用でき、これらは既に公知の方法
で製造することができ、例えば特開平4−242499
号公報の合成例1、2、3、4や特開平9−16531
8号公報の参考例記載の方法等により製造することがで
きる。例えば、両末端メタリルポリエチレンオキサイド
−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体とジヒド
ロポリジメチルシロキサンとを反応させて得られるポリ
エチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロッ
ク共重合体変性ポリジメチルシロキサンが、好適に用い
られる。
【0088】また、市販品としてはTSF4445、T
SF4446(以上GE東芝シリコーン(株)製)、S
H200(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)
製)、KPシリーズ(信越化学工業(株)製)等を入手
することが可能である。
【0089】有機物質としては、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィ法により測定し、ポリスチレン換算し
た重量平均分子量が1,000〜200,000である
ことが好ましく、1,000〜100,000であるこ
とがより好ましい。
【0090】光半導体金属と有機物質との混合比は、前
者:後者の重量比で、1:0.1〜1:50が好まし
く、1:0.3〜1:20がさらに好ましい。有機物質
の割合が光半導体金属1に対して0.1未満の場合、濡
れ性が悪く基材に塗布できないことがあり、また塗布で
きたものでもエネルギーギャップの変化はほとんど認め
られず、光触媒能の向上又は発現の効果に劣る傾向にあ
る。一方、有機物質の割合が光半導体金属1に対して5
0を超える場合、常温での造膜性が悪くなったり、塗膜
の耐久性が劣ったりする傾向にある。
【0091】本発明の光半導体金属含有組成物は、光半
導体金属と有機物質を含有する組成物であって、その組
成物を塗布乾燥して形成される光半導体金属−有機物質
混合体のエネルギーギャップ(A)と前記光半導体金属
自体のもつエネルギーギャップ(B)との差(A−B)
が0.1eV以上となるものである。本発明の組成物に
使用しうる光半導体金属及び有機物質、その量比等は、
先に光半導体金属−有機物質混合体について説明したと
同様である。
【0092】本発明の光半導体金属含有組成物は、コー
ティング材料として適するように、液体の組成物とされ
ることが好ましい。
【0093】以下この組成物について説明する。
【0094】本発明の光半導体金属含有組成物は、光半
導体金属がゾルとして、溶媒又は分散媒中に存在するも
のであることが好ましい。ここで、溶媒又は分散媒とし
ては、光半導体金属−有機物質混合体の希釈が可能であ
り、貯蔵時に層分離やゲル化等の現象がおこならないも
のであることが好ましく、例えば、水、有機溶媒、水と
有機溶媒との混合物が用いられる。水と有機溶媒との混
合物を用いる場合、溶媒又は分散媒中の水の量が5〜9
5重量%、有機溶媒の量が5〜95重量%であることが
好ましく、水の量が30〜70重量%、有機溶媒の量が
30〜70重量%であることがより好ましい。光半導体
金属ゾル中の光半導体金属粒子の平均粒径は、100n
m以下であることが好ましく、20nm以下であること
がより好ましい。
【0095】具体的な溶媒又は分散媒としては、光半導
体金属ゾルの分散性に優れることから、水、アルコール
又は水−アルコール混合物が好適に使用される。ここ
で、前記アルコールとは、常温で液体でかつ水酸基を持
つ炭化水素化合物を指し、その例としては、エタノー
ル、メタノール、イソプロパノール、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、カルビトール等が挙げられるが
それらに限定するものではない。上記溶剤の中でも水が
安全性、貯蔵安定性の点から最も適している。
【0096】また、光半導体金属ゾルを含む溶媒が、水
分散液又は水−アルコール分散液である場合、前記組成
物に含まれる有機物質は、水溶性であることが好まし
い。
【0097】また、前記有機物質は、組成物を様々な基
材に塗布できるようにするために、濡れ性を調整できる
ものであることがさらに好ましい。
【0098】このような、濡れ性を調整でき、水溶性で
ある有機物質としては、既記したポリエーテル変性ポリ
ジメチルシロキサン等のポリエーテル変性ポリシロキサ
ン系塗料用添加剤が使用できる。これらの例示は、前述
の通りである。
【0099】本発明の組成物において、溶媒又は分散媒
の量は特に制限されないが、光半導体金属1重量部に対
して20〜2,000重量部となるように調整すること
が基材への塗布性と光半導体金属分散液の貯蔵安定性よ
り好ましく、50〜200重量部となるように調製する
ことがより好ましい。
【0100】本発明の組成物には、さらに必要に応じ
て、光触媒能を付与又は向上させる前記有機物質以外
の、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、
尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、ポリウレタン樹
脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース等の多糖
類及びそれらのシリコーン、アミン、エポキシ変性樹脂
等の有機物質を添加することができる。
【0101】本発明の光半導体金属含有組成物は、例え
ば、本発明の光触媒性被膜の製造法により、これを基材
上に塗布及び乾燥することによって、光触媒性被膜を形
成することができる。塗布方法としては、特に制限はな
く、スプレーコーティング法、ディップコーティング
法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロ
ールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等が適用
できるが、粘度の低い光半導体金属含有組成物の場合、
スプレーコーティング法が好ましい。
【0102】本発明の光触媒性被膜の製造法に用いられ
る基材としては、特に制限はなく、ガラス、セラミッ
ク、金属、石英板などの耐熱性基材が挙げられるが、塗
布、乾燥するだけで良好な被膜が形成でき、焼成(熱を
かけて膜等の固体にならしめること又は熱をかける行
為)等をする必要がないため、熱可塑性樹脂や熱硬化性
樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等の有機物
質の基材上に塗布することもできる。前記熱可塑性樹脂
の基材としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アク
リル樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビ
ニール等の一般的にプラスチックと総称される基材があ
げられる。
【0103】また、本発明で造膜されてなる被膜は干渉
色を持たないため、濃色の基材や、ガラス、ポリカーボ
ネート、アクリル樹脂等の透明な基材に対し、特に有用
である。耐熱性の基材を用いた場合には、焼成を行って
もよい。
【0104】塗装条件は、本発明の組成物中に含まれる
溶剤が揮発するに十分な条件であればよく、塗布温度と
しては、常温(25℃)で十分である。一般に20〜4
0℃で塗布して被膜を形成することができるできる。こ
こで、生産性を考慮した場合、温度を高めることもで
き、この場合、基材がダメージを受けない温度でかつ光
触媒金属の結晶性が変化しない温度として、かつ、水等
の常温での揮発等を考慮すると、20〜250℃が好ま
しい。湿度は、本発明の組成物中に含まれる溶剤が水、
アルコール系、水−アルコール系が好適であることか
ら、その揮発性及びスプレーコーティング時の多層コー
ティングを考慮すると、20〜80%であることが好ま
しく、20〜60%であることがより好ましい。また、
その被膜の膜厚は、光触媒現象が基材表面から約3μm
以内の被膜内でおこる現象であること、光触媒金属が高
価であり経済性の点からも3μm以下で十分である。通
常0.1〜3μmが好ましく、0.3〜1.5μmがよ
り好ましい。
【0105】本発明の光触媒性被膜の製造法によれば、
一般の光触媒体のように、恒温オーブンや炉中で過熱し
たり、赤外線、遠赤外線等を照射すること等の焼成を行
わなくても、良好な光触媒性被膜を形成することができ
る。
【0106】本発明の光触媒性部材は、その表面に、上
記の製造法により得られる光触媒性被膜を有してなるも
のである。光触媒性被膜を表面に形成する部材本体とし
ては、特に制限はなく、水若しくは空気の浄化用、防汚
用、防露用、防滴用、防氷結用、防カビ用、防藻用、防
臭用、付着防止機能用などとして光触媒性被膜を有する
ことができるすべての部材が挙げられる。
【0107】具体的な例としては、例えば、道路壁パネ
ル、反射板、案内表示板等の各種道路部材、建築用内外
装材(石英板など)、車両、船舶、航空機等の内外装
材、空調機、清掃機、冷蔵庫、洗濯機等の家電品、浄水
器、浄水場処理槽等の水処理施設、各種ガラス、鏡、照
明器具、タイルなどが挙げられる。さらには、本発明に
よれば干渉色がない被膜を与えることも可能であること
から、視認性の要求される車輌、船舶、航空機の窓部材
や、意匠性の要求される車輌、建築の内外装材が好適で
ある。
【0108】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。%は特に
断りのない限り重量%を示す。
【0109】合成例1 (アモルファス型過酸化チタンゾルの合成法)撹拌機、
温度計、窒素導入管を備えた1000mlセパラブルフ
ラスコ中に、3mlの四塩化チタンTiCl4の50%
溶液(住友シティクス(株)製)を仕込み、冷却機付き
反応浴中で15℃に冷却し、撹拌しながら207mlの
蒸留水を徐々に加えた。一方、50mlビーカー中に3
mlの水酸化アンモニウムNH 4OHの25%溶液(高
杉製薬(株)製)を入れ、27mlの蒸留水をさらに加
え希釈した。この水酸化アンモニウム溶液を滴下漏斗に
入れ、セパラブルフラスコ中に滴下し撹拌しながら中和
反応を行った。その際、窒素は20ml/分で気層中に
流し、反応浴中の温度は15℃に保った。反応中白いゲ
ル状の浮遊物質が生成した。中和反応後pHを塩酸又は
アンモニア水で6.5〜6.8に調整し、撹拌を中止
し、しばらく放置後上澄液を捨てた。これにより水酸化
チタンTi(OH)4のゲルが得られた。さらにこのゲ
ルの約4倍の蒸留水をゲルに加え十分に撹拌した後放置
した。
【0110】上澄液を一部とり、その液に1%硝酸銀溶
液を1滴滴下し、白濁が起こらなくなるまで(上澄液中
の塩素イオンがなくなるまで)水洗を繰り返し、最後に
上澄液を捨てて精製水酸化チタンゲルを得た。この際、
場合によっては遠心分離により脱水処理を行うことがで
きた。
【0111】この淡青味白色の水酸化チタンゲル360
mlを1000mlセパラブルフラスコ中に仕込み、5
℃まで冷却した後、35%過酸化水素水21mlを30
分毎2回に分けて添加し、一晩撹拌した。水酸化チタン
ゲルは徐々に溶解し、黄色透明のアモルファス型過酸化
チタンゾル約250mlを得た。
【0112】尚、上記の工程において、十分な冷却が行
われない場合、メタチタン酸等の水に不溶な物質が析出
してくることがわかった。
【0113】このアモルファス型過酸化チタンゾルはp
H6.0〜7.0、粒子径2〜10nm、濃度約1.6
%(ゾルの加熱残分であるTiO3・nH2Oの濃度。)
であり、常温で長期間保存しても分離、ゲル化すること
なく安定であった。
【0114】また、このアモルファス型過酸化チタンゾ
ルは必要に応じて蒸留水等で希釈して目的の濃度に調整
することも可能である。
【0115】合成例2 (ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド
ブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサンの合成
法) 撹拌装置、温度計及び窒素流入管を備えた1000ml
の3つ口フラスコ中に、下記構造式
【0116】
【化1】 で示されるジメタリルポリエーテル70g、トルエン3
50g及び白金含量が20ppmになるようにクロル白
金酸を仕込んだ後、常温で十分撹拌後、オイルバスを用
いて80℃まで撹拌しながら昇温した。反応中は窒素を
20ml/分の流量で気層中に流した。ここへ、次式
【0117】
【化2】 で示されるジヒドロポリジメチルシロキサン43gを徐
々に滴下漏斗を用いて添加した。その際、反応液の温度
は80〜100℃に維持した。反応中、反応液を一部サ
ンプリングし、1%硝酸銀溶液を加え白濁が無くなるま
で反応を続けた。
【0118】この反応液を15℃まで冷却し、炭酸水素
ナトリウムを徐々に加えて中和した。
【0119】この中和液をろ過した後、ロータリーエバ
ポレータにより、50℃で十分溶媒を留去した。
【0120】これらの反応、精製により無色透明のポリ
エチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロッ
ク共重合体変性ポリジメチルシロキサン(ポリジメチル
シロキサンとポリエチレンオキサイド−ポリプロピレン
オキサイドブロック共重合体との共重合体)が106g
得られた。この化合物の重量平均分子量をゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィ法により測定したところ、ポ
リスチレン換算でおよそ67,000であった。
【0121】実施例1〜3 上記合成例1で製造されたアモルファス型過酸化チタン
ゾルを蒸留水で希釈した0.85重量%アモルファス型
過酸化チタンゾルに、合成例2で合成した共重合体を、
ゾル液に対してそれぞれ、0.1重量%、0.3重量
%、0.5重量%添加した後、丸吹きエアースプレーガ
ン(アネスト岩田社製RG−2型、口径0.4mm)を
用い、エアー圧0.098MPaで、ITO(インジウ
ムチンオキサイド)を1500Å付着させた長さ60m
m、幅10mm、厚さ1.1mmのITO付きガラス板
1のITO表面に、長さ20mmをマスキングして、長
さ40mm、幅10mmの部分に塗装し酸化チタン塗装
部2を形成した。塗装温度は32℃、湿度74%であっ
たが、スプレー塗装により加熱することなく、膜厚約1
μmの図1のような試験片を作成することが出来た。
【0122】比較例1 上記合成例1で製造されたアモルファス型過酸化チタン
ゾルを蒸留水で希釈した0.85重量%アモルファス型
過酸化チタンゾルを、実施例1〜3と同条件でガラス板
のITO表面に、スプレー塗装した。エネルギーギャッ
プ測定これら塗布済みのITO付きガラス板1は、図1
のように酸化チタン未塗装部のITO表面に金線4をイ
ンジウム3を溶かして接着して作用電極5とし、さらに
参照電極6として銀/塩化銀電極、対極7として白金電
極を、電解液8として0.1モル硫酸ナトリウム水溶液
を入れた石英セル9に図2のようにセットした。10は
シリコン製ふたである。それぞれの電極は、11の北斗
電工(株)製ポテンシオスタットHAB−151に接続
し電流値を測定するように図3のようにセットした。
【0123】この石英セル9中のITO付きガラス板1
の酸化チタン塗装面12に光を照射するため、ウシオ電
機(株)製UI−50型500Wキセノンランプ13か
らの照射光14を15のAction Researc
h Croporation製モノクロメーターSPE
CTRA、Pro−150型に導入し、波長を変化でき
るようにして図3のようにセットした。乾燥窒素ガス導
入管16を石英セル9中の0.1モル硫酸ナトリウム水
溶液に差し込み、乾燥窒素ガス17を20分間バブリン
グさせ溶存酸素を抜いた後、乾燥窒素ガス導入管16を
電解液面より引き上げ、気相中に流しながら、波長を5
00〜200nmに変化させて電流値を測定し、起電流
が発生する波長を測定した。得られた波長を、光量子の
エネルギーEの式(式1)から求めたエネルギーギャッ
プ値E(eV)と波長λ(nm)の関係式(式2)に代
入し求めた。 式1:E=hν=h(c/λ) [h:プランク定数(6.63×10-34J・s)、ν:振動数
(1/s)、c:光速度(3×108m/s)、λ:波長
(m)、1(eV)=1.6×10-19(J)] 式2:エネルギーギャップ値E(eV)=1240/λ
(nm) また、測定の精度を向上させるため、印加電圧を0V〜
1.25Vまで0.25Vづつ変化させて与えながら、
電流値を測定し、印加電圧とそれぞれの印加電圧値で求
められたエネルギーギャップ値の関係から(図4)、印
加電圧を与えないときのエネルギーギャップ値(真のエ
ネルギーギャップ値)を外挿した。それぞれのエネルギ
ーギャップの値(A)及び有機物を配合していない被膜
(比較例1)のエネルギーギャップの値(B)との差
(A−B)は、表1の通りであった。
【0124】
【表1】 さらに、実施例1〜3及び比較例1の組成物を用いて、
エアガン(アネスト岩田社製W−88、口径1.5m
m、0.5回転戻し)を用い、10mm×10mm角の
白タイル上に乾燥膜厚約1μmとなるようスプレー塗装
した。塗装温度は32℃、湿度74%であったが、スプ
レー塗装により加熱することなく塗膜を作製することが
出来た。
【0125】これらアモルファス型過酸化チタン塗布済
みタイル上に蒸留水にて20倍希釈した赤インキ(パイ
ロット(株)製)をスプレー塗布し、室温乾燥させた
後、5cmの距離から20Wのブラックライト(松下電
工(株)製 FL20S・SL−B)を照射して、その
赤インキの色の消失の度合いを観察した。結果を表2及
び表3に示す。
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】 上記結果より、ポリジメチルシロキサン−(ポリエチレ
ンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重
合体)共重合体を添加することで、実質上光触媒能のな
いアモルファス型過酸化チタンに光触媒能を発現させる
ことができることがわかる。
【0128】実施例4及び5 合成例1で製造されたアモルファス型過酸化チタンゾル
を蒸留水で希釈した0.85重量%アモルファス型過酸
化チタンゾルに、合成例2で製造されたポリジメチルシ
ロキサン−(ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレン
オキサイドブロック共重合体)共重合体をゾル液に対し
て0.2重量%及び0.7重量%添加した後、乾燥膜厚
約1μmとなるようエアーガン(アネスト岩田社製W−
88、口径1.5mm、0.5回転戻し)を用い、10
×10mm角のタイル上にスプレー塗装した。塗装温度
は32℃、湿度74%であったが、スプレー塗装により
加熱することなく塗膜を作製することが出来た。
【0129】作製したタイルに抗技協1998年度改訂
版の方法に従い、抗菌力試験を行った。すなわち、リン
酸緩衝液で希釈した1/500NB培地で大腸菌(Es
cherichia coli IFO3972)を検
体1個に対し約105個均等に植え、検体より20cm
の距離から20Wのブラックライト(松下電工(株)製
FL20S・SL−B)を照射し、25℃での検体上
の菌数を時間経過とともに計測し、ポリエチレンフィル
ム上に菌を植えたブランクとの菌数の差を観察した。結
果を表4及び表5に示す。
【0130】比較例2 合成例1で製造されたアモルファス型過酸化チタンゾル
を蒸留水で希釈した0.85%アモルファス型過酸化チ
タンゾルを、乾燥膜厚約1μmとなるよう実施例4と同
条件で10×10mm角のタイル上にスプレー塗装し
た。実施例4と同様の方法で、検体上の菌数を計測し
た。結果を表4及び表5に示す。
【0131】
【表4】
【0132】
【表5】 上記結果より、アモルファス型過酸化チタンゾルにポリ
ジメチルシロキサン−(ポリエチレンオキサイド−ポリ
プロピレンオキサイドブロック共重合体)共重合体を添
加塗布したタイルは、抗菌性を有するようになることが
わかる。
【0133】実施例6、7 合成例1で製造されたアモルファス型過酸化チタンゾル
を蒸留水で希釈した0.85重量%アモルファス型過酸
化チタンゾルに、合成例2で製造されたポリジメチルシ
ロキサン−(ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレン
オキサイドブロック共重合体)共重合体をゾル液に対し
0.2重量%及び0.7重量%添加した溶液を2Lのビ
ーカーにとり、100×100×8mmのガラスビーズ
積層体を1分間浸した。その際のゾル液の温度は25℃
であった。この浸したガラスビーズ積層体を直ちに引き
上げ、室温で15分放置した。ガラスビーズ積層体上に
膜厚約1μmの乾燥被膜が形成されるまで、この操作を
繰り返した。その際の室温は32℃、湿度74%で、8
回のディップ操作の繰り返しにより、加熱することなく
塗膜を作製することが出来た。
【0134】作製したガラスビーズ積層体を5Lのテド
ラーバック内に入れ、初期濃度10ppmのアンモニア
ガスをバックの中に封入した。ブランクとして何も塗布
していないガラスビーズ積層体を5Lのテドラーバック
内に入れ、初期濃度10ppmのアンモニアガスをバッ
クの中に封入した。光の照射は、バッグ全体をアルミホ
イルで内張りした段ボール箱で覆い、その一方向から約
5cmの距離から20Wのブラックライト(松下電工
(株)製 FL20S・SL−B)を照射し、時間経過
とともにガス検知管(北川式アンモニアガス検知管SD
型)でサンプリングし、検知器(北川式真空法ガス検知
器AP−I型)によりアンモニアガス濃度を測定した。
結果を表6に示す。
【0135】比較例3 合成例1で製造されたアモルファス型過酸化チタンゾル
を蒸留水で希釈した0.85%アモルファス型過酸化チ
タンゾルを、乾燥膜厚約1μmとなるよう実施例6と同
条件で、100×100×8mmのガラスビーズ積層体
にディップ塗装した。実施例6と同様の方法で、アンモ
ニアガス濃度を測定した。結果を表6に示す。
【0136】
【表6】 上記結果より、アモルファス型過酸化チタンゾルにポリ
ジメチルシロキサン−(ポリエチレンオキサイド−ポリ
プロピレンオキサイドブロック共重合体)共重合体を添
加した液を塗布して乾燥被膜を形成したガラス積層体
は、アンモニア除去能を発現したことがわかる。
【0137】実施例8〜10 合成例1で製造されたアモルファス型過酸化チタンゾル
を蒸留水で希釈した0.85重量%アモルファス型過酸
化チタンゾルに、合成例2で製造されたポリジメチルシ
ロキサン−(ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレン
オキサイドブロック共重合体)共重合体を0.1重量
%、0.3重量%、0.5重量%添加した後、乾燥膜厚
約1μmとなるようエアーガン(アネスト岩田社製W−
88、口径1.5mm、0.5回転戻し)を用い、ポリ
カーボネート板(日本テストパネル(株)製)上にスプ
レー塗装した。塗装温度は32℃、湿度74%であった
が、スプレー塗装により加熱することなく試験板を作製
することが出来た。
【0138】この試験板をJIS規定の碁盤目試験法に
準じ、基材との密着性を評価した。結果を表7に示す。
【0139】比較例4 合成例1で製造されたアモルファス型過酸化チタンゾル
を蒸留水で希釈した0.85重量%アモルファス型過酸
化チタンゾルを、乾燥膜厚約1μmとなるよう実施例8
と同条件でポリカーボネート上にスプレー塗装した。ア
モルファス型過酸化チタンゾルはポリカーボネート板上
で水滴上になり、塗布することが出来なかった。
【0140】
【表7】 上記結果より、ポリジメチルシロキサン−(ポリエチレ
ンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重
合体)共重合体を添加することで、アモルファス型過酸
化チタンの疎水表面への塗布性が向上すると共に、密着
性が向上することがわかる。
【0141】実施例11〜13(干渉色を示さない膜を
形成する組成物の実施例) 合成例1で製造されたアモルファス型過酸化チタンゾル
を蒸留水で希釈した0.85重量%アモルファス型過酸
化チタンゾルに、合成例2で製造されたポリジメチルシ
ロキサン−(ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレン
オキサイドブロック共重合体)共重合体を0.1重量
%、0.3重量%、0.5重量%添加した後、乾燥膜厚
約1μmとなるようエアーガン(アネスト岩田社製W−
88、口径1.5mm、0.5回転戻し)を用い、良く
洗浄した後650℃で30分加熱処理したガラス板上に
スプレー塗装した。
【0142】比較例5〜9(干渉色を示さない膜を形成
する組成物の比較例) 上記合成例1の比較として、アナターゼ型チタニア微粒
子分散ゾル(タイノックM−6、多木化学社製、平均粒
子径5nm)に対してそれぞれ、0重量%、0.1重量
%、0.3重量%、0.5重量%添加した後、乾燥膜厚
約1μmとなるようエアーガン(アネスト岩田社製W−
88、口径1.5mm、0.5回転戻し)を用い、良く
洗浄した後650℃で30分加熱処理したガラス板上に
スプレー塗装した。
【0143】これらアモルファス型過酸化チタンゾル−
有機共重合体及びアナターゼ型チタニア微粒子分散ゾル
−有機共重合体を塗布したガラス板を80W×2灯の高
圧水銀灯下、コンベアスピード5m/分で25回パス
(与えたエネルギーは約10J/cm2)させた後、そ
の被膜状態を目視で観察した。結果を表8に示す。
【0144】
【表8】
【0145】
【発明の効果】本発明の光半導体金属−有機物質混合体
は、良好な造膜性を有し、焼成のような熱処理をするこ
となく良好な光触媒能を示し、また、基材との密着性及
びその耐久性、光触媒能の持続性にも優れるものであ
る。
【0146】また本発明によれば、良好な光触媒能及び
良好な造膜性を有するのみならず、その被膜が干渉色を
持たない光半導体金属−有機物質混合体を得ることもで
きる。
【0147】また本発明の光半導体金属含有組成物は、
単に塗布するだけで、焼成のような熱処理をすることな
く、良好な性能の光触媒性被膜を形成できる良好な造膜
性を有し、基材との密着性及びその耐久性、光触媒能の
持続性にも優れるものである。
【0148】また本発明によれば、単に塗布するだけで
良好な性能の光触媒性被膜を形成できる良好な造膜性を
有するのみならず、干渉色を持たない被膜を形成するこ
とのできる光半導体金属含有組成物を得ることもでき
る。
【0149】また本発明の光半導体金属含有組成物は、
上記特長に加えて、貯蔵安定性にも優れる。
【0150】また本発明の光触媒性被膜の製造法によれ
ば、焼成のような熱処理をすることなく、光触媒能、基
材との密着性、耐久性及び光触媒能の持続性に優れる光
触媒性被膜を形成することができる。
【0151】また本発明の光触媒性被膜の製造法によれ
ば、上記特長に加えて、干渉色を持たないという利点を
も有する光触媒性被膜を形成することもできる。
【0152】さらに本発明の光触媒性部材は、基材との
密着性及びその耐久性、光触媒能の持続性等の優れた膜
特性の光触媒性被膜を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の光触媒性被膜を形成した試験片
の説明図である。
【図2】図2はエネルギーギャップを測定する装置のセ
ルに試験片をセットする状態を示す説明図である。
【図3】図3はエネルギーギャップを測定する装置の全
体を示す説明図である。
【図4】図4は印加電圧とエネルギーギャップの関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 ITO付きガラス板 2 酸化チタン塗装部 3 インジウム 4 金線 5 作用電極 6 参照電極 7 対極 8 電解液 9 石英セル 10 シリコン製ふた 11 ポテンシオスタット 12 酸化チタン塗装面 13 光源 14 照射光 15 モノクロメーター 16 乾燥窒素ガス導入管 17 乾燥窒素ガス
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 7/04 CER C08J 7/04 CERA 4J038 CEZ CEZA C08K 3/00 C08K 3/00 3/22 3/22 C08L 71/02 C08L 71/02 83/04 83/04 83/12 83/12 101/00 101/00 C09D 1/00 C09D 1/00 5/00 5/00 Z 5/16 5/16 7/12 7/12 171/00 171/00 183/04 183/04 201/00 201/00 (72)発明者 会津 和郎 茨城県鹿島郡波崎町大字砂山五番壱 日立 化成工業株式会社山崎事業所内 (72)発明者 間宮 勉 茨城県鹿島郡波崎町大字砂山五番壱 日立 化成工業株式会社山崎事業所内 (72)発明者 小島 靖 茨城県鹿島郡波崎町大字砂山五番壱 日立 化成工業株式会社山崎事業所内 (72)発明者 塩田 誠 茨城県鹿島郡波崎町大字砂山五番壱 日立 化成工業株式会社山崎事業所内 (72)発明者 八矢 利幸 茨城県鹿島郡波崎町大字砂山五番壱 日立 化成工業株式会社山崎事業所内 (72)発明者 緒方 四郎 神奈川県川崎市麻生区上麻生3丁目13番1 号ベルクレエ新百合ヶ丘409号 (72)発明者 松井 義光 佐賀県杵島郡山内町宮野91番地の181 Fターム(参考) 4F006 AA11 AA31 AA36 AB32 AB39 AB73 AB74 AB75 AB76 BA10 BA11 BA17 DA04 4F100 AA21A AB01A AG00B AH00A AH00B AH06A AK01B AK52A AK54A AT00B BA02 EH46 GB90 JA12A JB16B JC00 JG01A JL06 JL07 JL08A JN01B 4G059 AA01 AA20 AC30 EA04 EB06 EB07 FA22 FB06 GA01 GA02 GA04 GA16 4G069 AA03 AA08 BA02A BA04A BA04B BA13A BA14A BA14B BA21A BA22A BA22B BA48A BB02A BB04A BB06A BB09A BB13A BB15A BC03A BC06A BC09A BC12A BC13A BC16A BC17A BC18A BC22A BC26A BC27A BC31A BC32A BC35A BC36A BC43A BC50A BC55A BC56A BC58A BC59A BC60A BC66A BC68A BC70A BC71A BC75A BD05A BE01A BE02A BE07A BE07B BE09A BE14A BE32A BE32B BE36A BE37A CA01 CA11 CA17 CD10 EA11 EB15Y EC22X EC22Y EC26 EC27 EE06 FA03 FB23 FB24 FB57 FC10 4J002 CH021 CP031 CP181 DC006 DE096 DE116 DE136 DE186 DG026 DH006 DJ006 DJ016 GH01 4J038 DF011 DF021 DL031 HA066 HA156 JA02 JA03 JA17 JA19 JA25 JA26 JA32 JA55 JA67 JB25 KA12 KA20 MA07 MA08 MA10 NA05 NA06 NA18 PA18 PB02 PB05 PB06 PB07 PB09 PC02 PC03 PC04

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光半導体金属と有機物質を含有する光半
    導体金属−有機物質混合体であって、その光半導体金属
    −有機物質混合体のエネルギーギャップ(A)と前記光
    半導体金属自体のもつエネルギーギャップ(B)との差
    (A−B)が0.1eV以上のものである光半導体金属
    −有機物質混合体。
  2. 【請求項2】 エネルギーギャップが、3.0eV以上
    である請求項1記載の光半導体金属−有機物質混合体。
  3. 【請求項3】 光半導体金属が酸化チタンである請求項
    1又は2記載の光半導体金属−有機物質混合体。
  4. 【請求項4】 光半導体金属と有機物質を含有してなる
    光半導体金属−有機物質混合体であって、前記光半導体
    金属自体は実質上光触媒能を持たないものである光触媒
    能を有する光半導体金属−有機物質混合体。
  5. 【請求項5】 光半導体金属と有機物質を含有してなる
    光半導体金属−有機物質混合体であって、これを基材上
    に成膜してなる膜の表面が干渉色を示さないものである
    光半導体金属−有機物質混合体。
  6. 【請求項6】 光半導体金属がアナターゼ型酸化チタン
    である請求項5に記載の光半導体金属−有機物質混合
    体。
  7. 【請求項7】 光半導体金属がアモルファス型過酸化チ
    タンである請求項1〜5の何れかに記載の光半導体金属
    −有機物質混合体。
  8. 【請求項8】 有機物質がアルキルシリケート構造を有
    する請求項1〜7の何れかに記載の光半導体金属−有機
    物質混合体。
  9. 【請求項9】 有機物質がポリエーテル構造を有する請
    求項1〜8の何れかに記載の光半導体金属−有機物質混
    合体。
  10. 【請求項10】 有機物質がアルキルシリケート構造と
    ポリエーテル構造の両方を有する請求項1〜9の何れか
    に記載の光半導体金属−有機物質混合体。
  11. 【請求項11】 光半導体金属と有機物質の比が、前
    者:後者の重量比で、1:0.1〜1:50である請求
    項1〜10の何れかに記載の光半導体金属−有機物質混
    合体。
  12. 【請求項12】 光半導体金属と有機物質を含有する組
    成物であって、その組成物を塗布乾燥して形成される光
    半導体金属−有機物質混合体のエネルギーギャップ
    (A)と前記光半導体金属自体のもつエネルギーギャッ
    プ(B)との差(A−B)が0.1eV以上のものであ
    る光半導体金属含有組成物。
  13. 【請求項13】 その組成物を塗布乾燥して形成される
    光半導体金属−有機物質混合体のエネルギーギャップ
    が、3.0eV以上である請求項12記載の光半導体金
    属含有組成物。
  14. 【請求項14】 光半導体金属が酸化チタンである請求
    項12又は13記載の光半導体金属含有組成物。
  15. 【請求項15】 光半導体金属と有機物質を含有してな
    る組成物であって、前記光半導体金属自体は実質上光触
    媒能を持たないものであり、その組成物を塗布乾燥して
    形成される光半導体金属−有機物質混合体は光触媒能を
    有するものである光半導体金属含有組成物。
  16. 【請求項16】 光半導体金属と有機物質を含有してな
    る組成物であって、これを基材上に成膜してなる膜の表
    面が干渉色を示さないものである光半導体金属含有組成
    物。
  17. 【請求項17】 光半導体金属がアナターゼ型酸化チタ
    ンである請求項16に記載の光半導体金属含有組成物。
  18. 【請求項18】 光半導体金属がアモルファス型過酸化
    チタンである請求項12〜16の何れかに記載の光半導
    体金属含有組成物。
  19. 【請求項19】 有機物質がアルキルシリケート構造を
    有する請求項12〜18の何れかに記載の光半導体金属
    含有組成物。
  20. 【請求項20】 有機物質がポリエーテル構造を有する
    請求項12〜19の何れかに記載の光半導体金属含有組
    成物。
  21. 【請求項21】 有機物質がアルキルシリケート構造と
    ポリエーテル構造の両方を有する請求項12〜20の何
    れかに記載の光半導体金属含有組成物。
  22. 【請求項22】 光半導体金属と有機物質の比が、前
    者:後者の重量比で、1:0.1〜1:50である請求
    項12〜21の何れかに記載の光半導体金属含有組成
    物。
  23. 【請求項23】 さらに溶媒又は分散媒を含む請求項1
    2〜22の何れかに記載の光半導体金属含有組成物。
  24. 【請求項24】 溶媒又は分散媒が、水、有機溶媒又は
    水−有機溶媒混合物である請求項23記載の光半導体金
    属含有組成物。
  25. 【請求項25】 溶媒又は分散媒が、水、アルコール又
    は水−アルコール混合物である請求項24記載の光半導
    体金属含有組成物。
  26. 【請求項26】 溶媒又は分散媒中の水の量が5〜95
    重量%、有機溶媒の量が5〜95重量%である請求項2
    4記載の光半導体金属含有組成物。
  27. 【請求項27】 添加される有機溶媒がアルコールであ
    る請求項26記載の光半導体金属含有組成物。
  28. 【請求項28】 アルコールがエタノールである請求項
    27記載の光半導体金属含有組成物。
  29. 【請求項29】 請求項12〜28の何れかに記載の光
    半導体金属含有組成物を、基材上に塗布、乾燥すること
    を特徴とする光触媒性被膜の製造法。
  30. 【請求項30】 基材が有機物質である請求項29記載
    の光触媒性被膜の製造法。
  31. 【請求項31】 基材が熱可塑性樹脂である請求項30
    記載の光触媒性被膜の製造法。
  32. 【請求項32】 基材が透明である請求項29記載の光
    触媒性被膜の製造法。
  33. 【請求項33】 基材がガラスである請求項32記載の
    光触媒性被膜の製造法。
  34. 【請求項34】 請求項29〜33のいずれかに記載の
    製造法により得られる光触媒性被膜を有してなる光触媒
    性部材。
  35. 【請求項35】 光触媒性被膜を、水若しくは空気の浄
    化用、防汚用、防露用、防滴用、防氷結用、防カビ用、
    防藻用、防臭用又は付着防止機能用被膜として有する請
    求項34記載の光触媒性部材。
  36. 【請求項36】 透明な基材の上に光触媒性被膜を有し
    てなり、その被膜表面が干渉色を示さないものである請
    求項34記載の光触媒性部材。
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