JPH11269414A - 光触媒膜形成用インキおよび光触媒膜の形成方法 - Google Patents

光触媒膜形成用インキおよび光触媒膜の形成方法

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JPH11269414A
JPH11269414A JP7683298A JP7683298A JPH11269414A JP H11269414 A JPH11269414 A JP H11269414A JP 7683298 A JP7683298 A JP 7683298A JP 7683298 A JP7683298 A JP 7683298A JP H11269414 A JPH11269414 A JP H11269414A
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秀樹 山本
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啓司 本城
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勝人 田中
Yoshihiro Nishida
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光触媒膜を印刷するのに、非常に適した安定し
たインキであって、形成された膜は光触媒活性が大きく
且つ耐摩耗性に優れる光触媒膜形成用インキおよび光触
媒膜の形成方法に関する。 【解決手段】主成分がTiアルコキシド、Tiアセチル
アセトナート、Ti化合物の加水分解および重縮合によ
り形成された酸化チタンのゾルの内の少なくとも1種
と、反応の終結した酸化物微粒子から構成されるインキ
であって、該反応の終結した酸化物微粒子の含有量がイ
ンキ主成分の5〜50モル%である光触媒膜形成用イン
キ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用窓ガラスなど
の車両用板ガラス、ビルの窓ガラス、鏡のガラスなどの
建築建材用板ガラスなどの各種の分野のガラス物品、さ
らにはセラミックス、金属などの表面に、ことに印刷法
などによって光触媒機能を持った薄膜を印刷する際の光
触媒膜形成用インキおよび光触媒の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、酸化チタンの光触媒反応による酸
化分解反応や光誘起超親水性反応による防汚性、親水
性、防曇性などの効果の利用を目的とした特許が数多く
出願されている。
【0003】その光触媒膜のコーティング溶液組成とし
ては、例えばチタニア微粒子分散溶液に関する出願(特
開平8−164334号公報)、Tiアルコキシド/ア
ルコール系に関する出願(特開平8−299789号公
報)などが知られている。
【0004】また、成膜例については、例えばWO96
/13327号公報に、チタニウムテトライソプロポキ
シドとエチルセルロース、有機溶剤を反応溶解させて得
られる薬液をスクリーン印刷することが開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】前記特開平8−16
4334号公報に記載のようなチタニア微粒子分散水溶
液やチタニア微粒子分散アルコール溶液のような低粘度
の組成溶液においては、微粒子の沈降による分相、微粒
子の凝集などが起こりやすく、必ずしも溶液が安定とは
言えない。また特開平8−299789号公報に記載の
ようなTiアルコキシド/アルコール系においては、溶
媒が蒸発しやすく薬液濃度が変化しやすい。また吸湿に
より分相や塗布性の悪化などの溶液の性状が変化しやす
く不安定であるなどの問題がある。また、これらの溶液
は必ずしもスクリーン印刷法などの数十から数百ポイズ
の粘度を必要とする印刷法に向いた薬液とは言い難い。
【0006】またWO96/13327公報記載の組成
については、液が安定とはいえず、また増粘剤としてエ
チルセルロースを用いているため、焼成時にその燃焼物
である炭素が膜中に残留しやすく膜の強度は低いという
問題がある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明は、従来のかか
る課題に鑑みてなしたものであって、光触媒活性を発現
する酸化チタンを形成する原料として、Tiアルコキシ
ド、Tiアセチルアセトナート、Ti化合物の加水分解
および重縮合により形成された酸化チタンのゾルの内の
少なくとも1種と、反応の終結した酸化物微粒子から構
成されるインキであって、該反応の終結した酸化物微粒
子の含有量がインキ主成分の5〜50モル%含有するこ
とで、インキの安定性が極めて向上し、各種印刷などで
のトラブルも発現することなく安定して印刷膜形成がで
き、またこのインキにより作製した光触媒膜は光触媒効
果、耐摩耗性、耐久性を備え、さらに薄膜の屈折率、膜
厚を規定することで、刺激純度が小さくかつ色はニュー
トラル色に近く、反射率が小さいものが得られる、有用
な光触媒膜形成用インキおよび光触媒膜の形成方法を提
供するものである。
【0008】すなわち、本発明は、主成分がTiアルコ
キシド、Tiアセチルアセトナート、Ti化合物の加水
分解および重縮合により形成された酸化チタンのゾルの
内の少なくとも1種と、反応の終結した酸化物微粒子か
ら構成されるインキであって、該反応の終結した酸化物
微粒子の含有量がインキ主成分の5〜50モル%である
光触媒膜形成用インキに関する。また、チタン金属を除
く金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート、金属
有機酸塩、金属化合物の加水分解および重縮合により形
成された金属酸化物のゾルの内の少なくとも1種を含有
することも出来る。
【0009】さらに、インキは副成分として、増粘成分
としてのニトロセルロースと、溶媒としてのエチルカル
ビトールまたはブチルカルビトールの内の少なくとも1
種を混合調製することが好ましい。さらに、反応の終結
した酸化物微粒子は、酸化チタン微粒子および/または
シリカ微粒子であることが好ましい。さらにまた、イン
キ中の固形分は1〜2重量%であることが好ましい。
【0010】また本発明は、インキ主成分がTiアルコ
キシド、Tiアセチルアセトナート、Ti化合物の加水
分解および重縮合により形成された酸化チタンのゾルの
内の少なくとも1種と、反応の終結した酸化物微粒子か
ら構成されるか或いはTiアルコキシド、Tiアセチル
アセトナート、Ti化合物の加水分解および重縮合によ
り形成された酸化チタンのゾルの内の少なくとも1種
と、チタンを除く金属アルコキシド、金属アセチルアセ
トナート、金属有機酸塩、金属化合物の加水分解および
重縮合により形成された金属酸化物ゾルの内の少なくと
も1種と、反応の終結した酸化物微粒子から構成される
かの何れかであって、増粘成分としてのニトロセルロー
スと、溶媒としてのエチルカルビトールまたはブチルカ
ルビトールの内の少なくとも1種のインキ副成分とを混
合調製してなるインキを、基材表面に塗布成膜したのち
乾燥し、次いで焼成することにより固化被覆させる光触
媒膜の形成方法に関する。
【0011】また、光触媒膜中の酸化チタンの含有量は
10〜100モル%であることが好ましい。さらに、下
地層を形成した基材表面にインキを塗布することも出
来、基材表面に塗布したインキを200〜850℃で焼
成することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の高性能光触媒膜を形成す
るインキは、光触媒活性を有する酸化チタンを形成する
原料と、酸化チタン以外の金属酸化物を形成する原料、
反応の終結した金属酸化物原料からなり、さらにインキ
の副成分として増粘剤および溶媒を含有し、それらのイ
ンキを混合調整後、基材表面に塗布成膜したのち、乾燥
・焼成させ光触媒活性作用を有する膜を固化被覆するこ
とができる。
【0013】光触媒活性を発現する酸化チタンを形成す
るインキの主な原料としては、Tiアルコキシド、Ti
アセチルアセトナート、Ti化合物の加水分解および重
縮合により形成された酸化チタンのゾルの内の少なくと
も1種であり、反応の終結した結晶性酸化チタン微粒子
を用いる時はこの微粒子も光触媒活性に寄与する。上記
原料について説明すると、Tiアルコキドとしては、例
えばチタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロ
ポキシド、チタンブトキシドなどやハロゲン含有Tiア
ルコキシドなどを用いることができ、ハロゲン含有Ti
アルコキシド、ことに塩素含有Tiアルコキシドは、そ
れ以外のハロゲンを含まないTiアルコキシドに比べて
水や触媒を加えて加水分解をさせてインキに加える必要
がなく、これにより反応過程にあるゾルをインキに混ぜ
なくても良く、インキのポットライフが格段に良くなる
利点がある。なお、上記Tiアルコキシドをアセチルア
セトンで安定化したTiアセチルアセトナートも用いる
ことができる。
【0014】また、Ti化合物の加水分解および重縮合
により形成された酸化チタンのゾルとは、Tiアルコキ
シドあるいはTiアセチルアセトナートなどからなるT
i化合物を加水分解・重縮合させて得た酸化チタンのゾ
ルであり、場合によっては市販品でもよく、例えば市販
品の酸化チタンゾルとしては、TA−10,TA−15
(日産化学工業製)、アトロンNTi−500(日本曹
達製)などを用いることができる。なお、これらの加水
分解・重縮合反応の制御のためにアセチルアセトン以外
にヘキシレングリコールなど一般にこれらのものに用い
られる安定化剤を添加することは差し支えない。
【0015】反応の終結した金属酸化物微粒子は、イン
キの安定性向上に極めて顕著な作用を付与し、酸化チタ
ン、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ジルコニウム、酸化
スズなどからなる微粒子を用いることが出来、それらの
性状については微粒子状、ゾル状等特に限定するもので
はない。この反応が終結した微粒子は、酸化チタン、酸
化チタン以外の金属酸化物のいずれか一方でも良いし、
両者を含んでいてもよく、反応が終結したこれらの微粒
子は、インキ中で反応がさらに進むことがないために、
インキの性状変化を防ぐことが出来る。微粒子の含有量
はインキ主成分に対して5〜50モル%であることが好
ましく、50モル%より多いと膜強度がなく、また5モ
ル%未満では微粒子添加による特性向上が望めないから
である。なお、ここでいうインキ主成分とは、Tiアル
コキシド、Tiアセチルアセトナート、Ti化合物の加
水分解および重縮合により形成された酸化チタンのゾル
の内の少なくとも1種と、反応の終結した酸化物微粒子
と、場合によってはチタン金属を除く金属アルコキシ
ド、金属アセチルアセトナート、金属有機酸塩、金属化
合物の加水分解および重縮合により形成された金属酸化
物のゾルの内の少なくとも1種を示す。また、これらの
微粒子は光触媒作用に優れる酸化チタンの微粒子および
/または保水作用に優れるシリカ微粒子が特に好まし
い。
【0016】なお、酸化チタン微粒子としては、例えば
市販品としてはST−01(石原テクノ製)、SSP−
25(堺化学工業製)などの粉体、STS−01(石原
テクノ製)、CA−62(多木化学製)などの分散溶液
の両方を用いることができ、これらの反応が終結した結
晶酸化チタン微粒子は、インキの安定性向上作用ととも
に、光触媒作用もあり、低温で焼成しても充分な光触媒
活性が得られるので特に好ましい。なお、その結晶形は
ルチルよりアナタースの方が優れた光触媒活性を発現で
きるのでより好ましい。光触媒膜中の酸化チタンの含有
量は10〜100モル%であることが好ましく、10モ
ル%未満では、実用的に光触媒活性が乏しい。なお、本
文中のモル%とは、成膜された膜の組成を酸化物換算
(モル%)にした場合の値を示す。
【0017】また、その他の反応の終結した微粒子につ
いては、市販品として例えばコロイダルシリカIPA−
ST(日産化学工業製)、アルミナゾル−10(日産化
学工業製)、アルミナクリアゾル(川研ファインケミカ
ル製)等を用いることが出来る。これらの微粒子の粒径
は、特に基材がガラスなどの透明性を特徴とする基材の
場合には、十数nm以下のものを用いることが望まし
い。また、より高い光触媒活性を得るために光触媒の表
面を凹凸状に形成し、その表面積を増加するためにもこ
れらの微粒子は効果がある。
【0018】また、酸化チタン以外の金属酸化物を形成
する原料としては、金属アルコキシド、金属アセチルア
セトナート、金属有機酸塩、金属化合物の加水分解およ
び重縮合により形成された金属酸化物のゾルの少なくと
も1種および/または反応が終結した金属酸化物微粒子
を用いることができ、これらは膜強度や耐薬品性や密着
性などの耐久性の向上、屈折率の制御、親水維持性など
の光触媒機能の向上、印刷性の制御など様々な目的でイ
ンキに添加される。
【0019】その金属酸化物を形成する金属としてはS
i、Zr、Al、B、P、Snなどを用いることがで
き、金属アルコキシドとしては、これらのメトキシド、
エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなど、前記金属
アルコキシドをアセチルアセトンで安定化した金属アセ
チルアセトナート、金属有機酸塩としてはナフテン酸
塩、オキシ酢酸塩、ステアリン酸塩などを用いることが
できる。
【0020】また、反応の終結していない酸化チタン以
外の金属酸化物ゾルとは、金属アルコキシドあるいは金
属アセチルアセトナートからなる金属有機化合物を加水
分解・重縮合させて得た金属酸化物ゾルであり、場合に
よっては市販品でもよく、例えばシリカゾルとしてはス
ーパーセラ(大八化学工業製)、コルコートP(コルコ
ート製)、アトロンNSi−500(日本曹達製)な
ど、ジルコニアゾルとしてはNZS−30A(日産化学
工業製)、AZS−A(日本触媒科学工業製)など、ア
ルミナゾルとしてはハウトフォームMS−AL(富士化
学製)、東京応化工業製のゾル、などを用いることがで
きる。なお、これらの加水分解・重縮合反応の制御のた
めにアセチルアセトン以外にヘキシレングリコールなど
一般にこれらのものに用いられる安定化剤を添加するこ
とは差し支えない。
【0021】さらにまた、インキ中の固形分の含有率
は、酸化物換算で1.0〜2.0重量%であることが好ま
しく、1.0重量%未満では、例えば一回の印刷などで
得られる膜厚が薄くなり過ぎて、印刷むらが目立ち易く
なり、得られた薄膜の外観が好ましくなくなり、さらに
屈折率が理論値まで上がらなくなり、反射特性や透過特
性が変わってしまい、2.0重量%を超えると、一回の
印刷などで得られる膜厚が厚くなり易く、特に150n
m以上になるとクラックが発生し易いし、しかもこのた
め、耐トラバース性やテーバー摩耗性強度などの薄膜強
度も低下するためであり、上記1.0〜2.0重量%にす
ることで、スクリーン印刷、グラビア印刷、凹版印刷な
ど印刷などの直後の膜厚が比較的厚くなる成膜法におい
ても、最終熱処理後にもクラックのない均質な被膜が得
られる。なお、ここでいうインキ中の固形分とは、基材
上に塗布したインクを焼成した場合に、膜構成物として
膜中に残るものであり、それらは酸化チタン原料、酸化
チタンを除く金属酸化物原料、反応の終結した酸化物微
粒子である。
【0022】インキに加える増粘成分としてニトロセル
ロースを用いると、増粘効果はもちろん、エチルセルロ
ースなどに比べて燃焼性が良く、焼成後の膜の外観や膜
強度を低下させる炭素成分の残留が少ないからである。
また特にグレードをJISK 6703に指定の品種お
よび粘度記号がH7以上(H7、H20、H60、H8
0、H120)が好ましく、より良好な増粘効果と、印
刷性が得られるからである。なお、増粘成分の添加量は
5〜25重量%が好ましく、インキの粘度をスクリーン
印刷、グラビア印刷、凹版印刷などの印刷法に適した1
0〜100ポイズにすることができる。10ポイズ未満
では印刷時にはインキの粘度が低過ぎて、スクリーン版
上でインキが広がり易く、版上でのインキの乾燥を抑制
し難く、良好なパターニングが得られなくなる。また1
00ポイズを超えるとスクリーン印刷時の印刷性が著し
く悪くなるばかりでなく、最終的に焼成が完了した薄膜
中にニトロセルロースの燃え残りのカーボンが残留して
膜が黄褐色に着色したり、膜面の均質性が損なわれた
り、さらに膜の機械的、化学的耐久性が低下したりし易
くなるからである。
【0023】このようなニトロセルロースの種類、添加
量、粘度を調整することによって印刷性、得られる薄膜
の均質性を損なうことなくしかも得られる薄膜の屈折率
や耐久性の低下を防止することができる。なお、印刷法
としてはパターニングのし易さから、スクリーン印刷が
特に好ましい。
【0024】インキに添加する単独でニトロセルロース
を溶かす溶剤としては、アセトン、酢酸メチル、メチル
エチルケトン、イソプロピルアセテート、ジエチルケト
ン、第2酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、イソブ
チルアセテート、メチルセロソルブ、酢酸ブチル、第2
酢酸アミル、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセ
テート、乳酸メチル、酢酸アミル、乳酸エチル、シクロ
ヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ジアセトン
アルコール、ブチルセロソルブ、乳酸ブチル、エチルカ
ルビトール、ブチルカルビトール、3−メトキシブタノ
ール、3−メトキシブチルアセテートなどの溶剤を用い
ることができる。特に、カルビトール類は蒸発しにくい
ことから、インキの溶剤として用いた場合、濃度変化が
少なく安定したインキが得られる。またTi源やその他
の金属酸化物源から供給される、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、
ヘキシレングリコールなどのアルコール類、ベンゼン、
トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒、水などの溶媒を
濃度調整などの目的で上記溶剤に加えて用いることがで
きる。
【0025】さらにまた、溶媒としてエチルカルビトー
ルもしくはブチルカルビトールあるいはこれらの混合物
を用いると、例えば印刷などの前のインキの急激な乾燥
を抑制でき、かつ印刷などの後被膜が比較的低温(約2
00℃程度)で乾燥でき、したがってこれらによって、
ポットライフが長くしかも印刷などの後には比較的低温
で薄膜が乾燥するため、最終温度の加熱処理によって均
一な膜面をもつ被膜が得られる。
【0026】基材には、ガラスやセラミックス、金属な
どを用いることができる。また基材がソーダライムガラ
スなどを使用し、特にインキのTi源に結晶性微粒子以
外のTiアルコキシドなどやゾルを用いて、光触媒膜を
形成する場合、ガラス成分中のアルカリなどの光触媒活
性を低下させる原因となる成分が光触媒膜へ侵入するの
を防ぐ、あるいは侵入を低下させるSi、Ti、Zr、
Al、B、P、Snのいずれか1種類もしくはこれらの
うちの任意の2種類以上の酸化物を主成分とする下地膜
を設けることで、より光触媒活性が高い光触媒膜が得ら
る。特にSiO 2、TiO2−SiO2、Al23−Si
2、Al23−TiO2−SiO2の下地膜が光触媒活
性、耐久性の点でより望ましい。下地膜の成膜はインキ
を用いた印刷法など以外に、一般的な成膜方法、例えば
ゾルゲル法を用いたディップコート法、スピンコート
法、ロールコート法などやCVD法、PVD法などの方
法で成膜したものでも良い。さらに、印刷法や、ゾルゲ
ル法などを用いて成膜した直後の有機成分を含む下地膜
の場合、一度300℃以上の熱処理を行い、有機成分を
燃焼させて酸化物膜とすることで、よりアルカリなどの
侵入を防ぐ効果が高くなる。
【0027】該インキを用いた印刷膜は、用途に応じた
膜強度と光触媒活性を得るために熱処理する必要があ
り、特にニトロセルロースが燃焼する約250℃以上か
ら、アナタース型から光触媒活性が低いルチル型に転移
する約850℃以下で熱処理することが望ましい。
【0028】また、ガラス上にシリカの下地膜を形成
し、さらにその上にチタニアの光触媒膜を形成する時の
ように屈折率が異なる膜を基材上に形成した場合、その
屈折率の差から、基材に比べて著しく可視光反射の刺激
純度が増加する場合がある。例えば車両用窓ガラスのよ
うに無着色のガラスが望まれるような用途によってはこ
の刺激純度の増加が問題になる場合がある。これに対し
ては、下地膜と光触媒膜の膜厚と屈折率を調整すること
で刺激純度の増加を5%以下のほとんど気にならないレ
ベルまで低下することが可能である。また建装材のよう
に着色がむしろ好まれる場合には、同様に下地膜と光触
媒膜の膜厚と屈折率を調整することで反射刺激色調を強
調し意匠性を高めることも可能である。
【0029】
【実施例1】四塩化チタン(TiCl4)を出発原料と
し、これにイソプロピルアルコールを反応させてTi−
イソプロポキシドを合成する際、塩素(Cl)の一部を
残したまま反応を終了させてTi(OC37xCl
y(x+y=4)の化合組成をもつ溶質濃度が酸化物
(TiO2)換算で約13重量%のTiアルコキシドを
合成した。
【0030】光触媒膜の酸化チタン源としてこの酸性の
塩素含有Tiアルコキシドと反応の終結した酸化チタン
微粒子(ST−01、石原テクノ製)を用い、インキ中
のTiアルコキシド:酸化チタン微粒子:シリカゾル:
コロイダルシリカを90:10:0:0(モル%)とし
た溶液に増粘剤としてニトロセルロースH7(ダイセル
製)をインキ全体の約16重量%添加し、該光触媒膜形
成用インキの溶質濃度が酸化物換算で1.6重量%とな
るよう、エチルカルビトールを溶媒として添加し、良く
混合撹拌し光触媒膜形成用インキとした。なお、インキ
の粘度を測ったところ20ポイズであった。
【0031】基材は、ソーダライムガラス板(2mm
厚、クリアー)にシリカゾル(コルコートP、コルコー
ト製)をエタノールで希釈した溶液をディッピングでガ
ラスに塗布し500℃で加熱焼成し、膜厚100nmの
シリカ下地膜を付けたソーダライムガラスを用いた。
【0032】次に、所定形状にパターニングした350
メッシュのテトロンスクリーンをガラス板上にのせ、シ
ョアー硬度HS61のスキージーを用いて前記光触媒膜
形成用インキで該シリカ膜付きガラス基材表面にスクリ
ーン印刷しところ、均質できれいにパターニングされた
印刷膜が得られた。その後、600℃で10分間加熱処
理を行ったところ、膜厚が100nmの光触媒膜付きガ
ラスが得られた。
【0033】次に、下記の方法により、得られた光触媒
膜付きガラスの耐トラバース性を評価した。摩耗布にJ
IS L 0803に準じたブロード布、圧着面積を
6.25cm2として、0.1kg/cm2の荷重を加え、
摺動速度30往復/分、摺動長10cmで1,000回
摺動し、膜の剥離の有無と著しい膜の傷付きの有無で膜
の密着性を評価する耐トラバース性試験をしたところ、
得られた該光触媒膜は膜剥離がなく、傷も皆無で非常に
強固な膜であった。
【0034】さらに、下記の方法により光触媒膜の光触
媒活性を評価した。光触媒膜付きガラスの光触媒膜面に
1重量%オレイン酸含有アセトン溶液を均一に付着し人
工的に汚れを形成し、これにブラックライト(ニッポ電
気製FL15BLB)を光源として紫外線強度計(アイ
グラフィックス製UVPZ−2)で1.5mW/cm
2(365nm)に調節した紫外線を4時間または24
時間照射し、光触媒反応によるオレイン酸の分解を水の
接触角の変化で測定するにより光触媒膜の光触媒活性を
評価した。その結果、水の接触角が照射前の91から4
時間後には7になり、さらに24時間後には2になり、
該光触媒膜付きガラスが非常に高い光触媒活性を有する
ことが確認できた。
【0035】なお、表1に光活性試験および耐トラバー
ス性試験の結果を示す。表1における光活性の評価、耐
トラバース性の評価および総合評価の欄の(◎印)は極
めて良好な結果を示したものであり、(○印)は良好な
結果を示したものであり、(×印)は不合格の結果を示
したものである。なお、以下示す実施例および比較例に
おける耐トラバース性および光触媒活性も上記と同じ方
法で評価した。
【0036】
【実施例2】インキ中のTiアルコキシド:酸化チタン
微粒子:シリカゾル:コロイダルシリカを70:30:
0:0(モル%)とした以外は実施例1と同様に行っ
た。均質できれいにパターニングされた膜厚93nmの
光触媒膜付きガラスが得られた。
【0037】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の90から4時
間後には5になり、さらに24時間後には1以下にな
り、該光触媒膜付きガラスが非常に高い光触媒活性を有
することが確認できた。
【0038】
【実施例3】シリカ膜付きソーダライムガラスの代わり
に、下地層としてのシリカ膜を設けていない板厚2mm
のソーダライムガラスを基材に用いた以外は実施例2と
同様に行った。均質できれいにパターニングされた膜厚
90nmの光触媒膜付きガラスが得られた。
【0039】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の71から4時
間後には9になり、さらに24時間後には4になり、該
光触媒膜付きガラスが非常に高い光触媒活性を有するこ
とが確認できた。
【0040】
【実施例4】反応の終結した微粒子として酸化チタン微
粒子の代わりに反応の終結した微粒子のゾルとしてのコ
ロイダルシリカ(IPA−ST−S、日産化学製)を用
い、Tiアルコキシド:シリカゾル:コロイダルシリカ
を90:0:10(モル%)とした以外は実施例1と同
様に行った。均質できれいにパターニングされた膜厚1
01nmの光触媒膜付きガラスが得られた。
【0041】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の84から4時
間後には2になり、さらに24時間後には1以下にな
り、該光触媒膜付きガラスが非常に高い光触媒活性を有
することが確認できた。
【0042】
【実施例5】インキ中のTiアルコキシド:シリカゾ
ル:コロイダルシリカを70:0:30(モル%)とし
た以外は実施例4と同様に行った。均質できれいにパタ
ーニングされた膜厚97nmの光触媒膜付きガラスが得
られた。
【0043】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の73から4時
間後には2になり、さらに24時間後には1になり、該
光触媒膜付きガラスが非常に高い光触媒活性を有するこ
とが確認できた。
【0044】
【実施例6】インキ中のTiアルコキシド:シリカゾ
ル:コロイダルシリカを50:0:50(モル%)とし
た以外は実施例4と同様に行った。均質できれいにパタ
ーニングされた膜厚89nmの光触媒膜付きガラスが得
られた。
【0045】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の60から4時
間後には2になり、さらに24時間後には1になり、該
光触媒膜付きガラスが非常に高い光触媒活性を有するこ
とが確認できた。
【0046】
【実施例7】酸化ケイ素源としてシリカ化合物の加水分
解・重縮合から合成されたシリカゾル(コルコートP、
コルコート製)を用い、Tiアルコキシド:酸化チタン
微粒子:シリカゾル:コロイダルシリカを40:40:
20:0(モル%)とした以外は実施例1と同様に行っ
た。均質できれいにパターニングされた膜厚83nmの
光触媒膜付きガラスが得られた。
【0047】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の70から4時
間後には3になり、さらに24時間後には1になり、該
光触媒膜付きガラスが非常に高い光触媒活性を有するこ
とが確認できた。
【0048】
【実施例8】反応の終結した微粒子として酸化チタン微
粒子の代わりにコロイダルシリカ(IPA−ST−S、
日産化学製)を用い、塩素含有Tiアルコキシド:酸化
チタン微粒子:シリカゾル:コロイダルシリカを40:
0:20:20(モル%)とした以外は実施例7と同様
に行った。均質できれいにパターニングされた膜厚81
nmの光触媒膜付きガラスが得られた。
【0049】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の42から4時
間後には6になり、該光触媒膜付きガラスが非常に高い
光触媒活性を有することが確認できた。
【0050】
【実施例9】シリカゾル溶液をソーダライムガラスに塗
布し、150℃で乾燥したものを基材とした以外は実施
例8と同様に行った。
【0051】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の43から4時
間後には10になり、該光触媒膜付きガラスが高い光触
媒活性を有することが確認できた。
【0052】
【実施例10】ソーダライムガラス基材上にシリカゾル
(コルコートP)と酸化チタンゾル(アトロンNTi−
500、日本曹達製)とエタノールを用いて酸化物換算
でTiO2:SiO2=10:90モル%の組成の下地膜
を設けた以外は実施例8と同様に行い光触媒膜付きガラ
スを得た。
【0053】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の45から4時
間後には10になり、該光触媒膜付きガラスが高い光触
媒活性を有することが確認できた。
【0054】
【実施例11】インキ中のTiアルコキシド:シリカゾ
ル:コロイダルシリカを70:10:20(モル%)と
した以外は実施例1と同様に行った。均質できれいにパ
ターニングされた膜厚98nmの光触媒膜付きガラスが
得られた。
【0055】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の50から4時
間後には6になり、該光触媒膜付きガラスが非常に高い
光触媒活性を有することが確認できた。
【0056】
【実施例12】インキ中のTiアルコキシド:シリカゾ
ル:コロイダルシリカを45:35:20モル%とした
以外は、実施例8と同様に行った。均質できれいにパタ
ーニングされた膜厚100nmの光触媒膜付きガラスが
得られた。
【0057】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の41から4時
間後には3になり、さらに24時間後には1以下にな
り、該光触媒膜付きガラスが非常に高い光触媒活性を有
することが確認できた。またこの印刷膜の表面凹凸を観
察するために、このインキをソーダライムガラス上に印
刷し、同様に熱処理を行った試料を作製した。この試料
表面を走査型プローブ顕微鏡(セイコー電子工業製SP
I3700)のAFMモード(原子間力顕微鏡)で2μ
m四方スキャンし、表面形状状態を観察した。理論的に
フラットな平面に比べて、試料の凹凸により何倍表面積
が増えたかを示すSratioは1.050の値が得られた。
また平均面粗さRaは約4.9nmの値が得られ、後述
の比較例1に比べてコロイダルシリカを添加したことに
より表面積(表面の凹凸)が大きくなったことを確認し
た。
【0058】
【実施例13】シリカ膜付きソーダライムガラスの代わ
りに、下地層としてのシリカ膜を設けていない板厚2m
mのソーダライムガラスを基材に用いた以外は実施例1
2と同様に行った。均質できれいにパターニングされた
膜厚101nmの光触媒膜付きガラスが得られた。
【0059】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の41から4時
間後には3になり、さらに24時間後には1以下にな
り、該光触媒膜付きガラスが非常に高い光触媒活性を有
することが確認できた。
【0060】
【実施例14】インキ中のTiアルコキシド:シリカゾ
ル:コロイダルシリカを10:80:10(モル%)と
した以外は実施例8と同様に行った。均質できれいにパ
ターニングされた膜厚98nmの光触媒膜付きガラスが
得られた。
【0061】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の24から4時
間後には10になり、さらに24時間後には5になり、
該光触媒膜付きガラスが高い光触媒活性を有することが
確認できた。
【0062】
【比較例1】反応の終結した微粒子であるコロイダルシ
リカを用いず、インキ中のTiアルコキシド:シリカゾ
ル:コロイダルシリカを45:55:0(モル%)とし
た以外は実施例8と同様に行った。均質できれいにパタ
ーニングされた膜厚96nmの光触媒膜付きガラスが得
られた。
【0063】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の45から4時
間後には25になりさらに24時間後には7になり、接
触角の減少はみられたが特に優れたものではなかった。
またこの印刷膜の表面凹凸を観察するために、このイン
キをソーダライムガラス上に印刷し、同様に熱処理を行
った試料を作製した。この試料表面を実施例5と同様の
方法で表面形状状態を観察した。結果、Sratioは1.0
01、平均面粗さRaは約1.0nmの値が得られ、該
薄膜がほとんどフラットであることを確認した。
【0064】
【比較例2】インキ中のTiアルコキシド:シリカゾ
ル:コロイダルシリカを75:25:0(モル%)とし
た以外は比較例1と同様に行った。均質できれいにパタ
ーニングされた膜厚100nmの光触媒膜付きガラスが
得られた。
【0065】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の66から4時
間後には32になりさらに24時間後には6になり、接
触角の減少はみられたが特に優れたものではなかった。
【0066】
【比較例3】インキ中のTiアルコキシド:シリカゾ
ル:コロイダルシリカを31:69:0(モル%)とし
た以外は比較例1と同様に行った。均質できれいにパタ
ーニングされた膜厚103nmの光触媒膜付きガラスが
得られた。
【0067】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の41から4時
間後には29になりさらに24時間後には12になり、
接触角の減少はみられたが特に優れたものではなかっ
た。
【0068】
【比較例4】インキ中のTiアルコキシド:シリカゾ
ル:コロイダルシリカを10:90:0(モル%)とし
た以外は比較例1と同様に行った。均質できれいにパタ
ーニングされた膜厚97nmの光触媒膜付きガラスが得
られた。
【0069】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は非常に強固で剥離、傷はみられなかった。光触媒活
性を評価した結果、水の接触角が照射前の30から4時
間後には13になりさらに24時間後には9になり、接
触角の減少はみられたが特に優れたものではなかった。
【0070】
【比較例5】Tiアルコキシドを用いず、インキ中のT
iアルコキシド:酸化チタン微粒子:シリカゾル:コロ
イダルシリカを0:10:90:0(モル%)とした以
外は実施例7と同様に行った。耐トラバース性試験の結
果、得られた該薄膜は非常に脆く剥離がみられた。
【0071】
【比較例6】インキ中のTiアルコキシド:酸化チタン
微粒子:シリカゾル:コロイダルシリカを0:50:5
0:0(モル%)とした以外は比較例5と同様に行っ
た。耐トラバース性試験の結果、得られた該薄膜は非常
に脆く剥離がみられた。
【0072】
【比較例7】インキ中のTiアルコキシド:酸化チタン
微粒子:シリカゾル:コロイダルシリカを0:90:1
0:0(モル%)とした以外は比較例5と同様に行っ
た。耐トラバース性試験の結果、得られた該薄膜は非常
に脆く剥離がみられた。
【0073】
【比較例8】反応の終結した酸化チタン微粒子の含有量
を増し、インキ中のTiアルコキシド:酸化チタン微粒
子:シリカゾル:コロイダルシリカを30:70:0:
0(モル%)とした以外は実施例1と同様に行った。均
質できれいにパターニングされた膜厚71nmの光触媒
膜付きガラスが得られた。
【0074】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は脆く著しい傷がみられた。光触媒活性を評価した結
果、水の接触角が照射前の72から4時間後には2にな
り、さらに24時間後には1になり、該光触媒膜付きガ
ラスが非常に高い光触媒活性を有することが確認でき
た。
【0075】
【比較例9】コロイダルシリカの含有量を増し、インキ
中のTiアルコキシド:シリカゾル:コロイダルシリカ
を30:0:70(モル%)とした以外は実施例4と同
様に行った。均質できれいにパターニングされた膜厚7
8nmの光触媒膜付きガラスが得られた。
【0076】耐トラバース性試験の結果、得られた該薄
膜は脆く著しい傷がみられた。光触媒活性を評価した結
果、水の接触角が照射前の40から4時間後には1にな
り、さらに24時間後には1以下になり、該光触媒膜付
きガラスが非常に高い光触媒活性を有することが確認で
きた。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】本発明の光触媒膜形成用インキは、反応
の終結した酸化物微粒子を含有させてあるので、インキ
が極めて安定であるとともに、インキ自身のポットライ
フが長くなり、スクリーン印刷などの印刷法のインキと
して優れると共に、本発明の光触媒膜形成用インキを用
いて作製した光触媒膜は、その他の成膜方法のディップ
コート法、ロールコート法、スピンコート法などに比べ
て光触媒活性、耐摩耗性で遜色がなく、低コストで高耐
久な優れたものが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C03C 17/25 C03C 17/25 A 17/34 17/34 Z (72)発明者 西田 佳弘 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝子 株式会社硝子研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主成分がTiアルコキシド、Tiアセチル
    アセトナート、Ti化合物の加水分解および重縮合によ
    り形成された酸化チタンのゾルの内の少なくとも1種
    と、反応の終結した酸化物微粒子から構成されるインキ
    であって、該反応の終結した酸化物微粒子の含有量がイ
    ンキ主成分の5〜50モル%であることを特徴とする光
    触媒膜形成用インキ。
  2. 【請求項2】チタン金属を除く金属アルコキシド、金属
    アセチルアセトナート、金属有機酸塩、金属化合物の加
    水分解および重縮合により形成された金属酸化物のゾル
    の内の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求
    項1記載の光触媒膜形成用インキ。
  3. 【請求項3】インキは副成分として、増粘成分としての
    ニトロセルロースと、溶媒としてのエチルカルビトール
    またはブチルカルビトールの内の少なくとも1種を混合
    調製してなることを特徴とする請求項1乃至2記載の光
    触媒膜形成用インキ。
  4. 【請求項4】反応の終結した酸化物微粒子は、酸化チタ
    ン微粒子および/またはシリカ微粒子であることを特徴
    とする請求項1乃至3記載の光触媒膜形成用インキ。
  5. 【請求項5】インキ中の固形分は1〜2重量%であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4記載の光触媒膜形成用イ
    ンキ。
  6. 【請求項6】請求項1〜5の何れかに記載のインキを、
    基材表面に塗布成膜したのち乾燥し、次いで焼成するこ
    とにより固化被覆させてなることを特徴とする光触媒膜
    の形成方法。
  7. 【請求項7】光触媒膜中の酸化チタンの含有量は10〜
    100モル%であることを特徴とする請求項6記載の光
    触媒膜の形成方法。
  8. 【請求項8】下地層を形成した基材表面にインキを塗布
    することを特徴とする請求項6乃至7記載の光触媒膜の
    形成方法。
  9. 【請求項9】基材表面に塗布したインキを250〜85
    0℃で焼成することを特徴とする請求項6乃至8記載の
    光触媒膜の形成方法。
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