JPH11267517A - 光触媒被覆膜及びその製造方法 - Google Patents

光触媒被覆膜及びその製造方法

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JPH11267517A
JPH11267517A JP10075517A JP7551798A JPH11267517A JP H11267517 A JPH11267517 A JP H11267517A JP 10075517 A JP10075517 A JP 10075517A JP 7551798 A JP7551798 A JP 7551798A JP H11267517 A JPH11267517 A JP H11267517A
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JP
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photocatalyst
fine particles
film
coating film
crystallinity
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JP10075517A
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Takeshi Kondo
剛 近藤
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Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光触媒活性が大きく、高温多湿な環境やアルカ
リ溶液中に放置しても膜強度が低下し剥離を生じず、さ
らに基材がソーダ石灰ガラスの場合でも下地層が不要で
ある、高耐久性の光触媒機能を有する光触媒被覆膜及び
その製造方法を提供する。 【解決手段】予め焼成処理を施した結晶化度が90%以
上である高結晶性の光触媒微粒子を金属酸化物からなる
マトリックスに分散させてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築用、自動車用
の窓材、鏡、その他種々の分野の物品に好適な光触媒膜
被覆膜及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその解決すべき課題】最近、防汚・消臭・
抗菌・親水等のために各種基材の表面に光触媒機能を有
する被膜を形成することが行われている。例えば、特開
平5−253544号公報に記載のアナタースを主体と
する光触媒微粉末をその一部がマトリックス層表面から
露出するようにした板状部材、特開平7−232080
号公報に記載の光触媒微粒子がチタニア、酸化亜鉛、チ
タン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化タングステン、チ
タン酸鉄、酸化ビスマス、酸化錫等であり、光触媒粒子
の間隙充填粒子が錫、チタン、銀、銅、亜鉛、鉄、白
金、コバルト、ニッケルの金属または酸化物である光触
媒機能を有する多機能材、特開平9−59042号公報
記載の光触媒性の平均結晶粒子径が約0.1μm以下のチ
タニアの粒子を含有する防曇性被膜で覆われた透明基材
等が知られている。
【0003】また従来、ガラス表面に各種の機能性膜を
被覆するに際し、ガラスから機能性膜へのナトリウムイ
オンの移行を防止するために、該機能性膜の下層に金属
酸化物の中間層を形成する事が知られている。例えば、
特開平4−18237号公報記載の酸化亜鉛を含有した
紫外線吸収膜の下層にシリカを主成分とする金属酸化物
被膜を設けた表面処理ガラス、特開平7−315880
号公報記載のガラス板表面にシリカを主成分とする薄
膜、チタニアを主成分とする薄膜、酸化錫を主成分とす
る薄膜を順次被覆させた透明導電膜付きガラス板、特開
平8−190088号公報記載のガラス基板からのアル
カリ金属イオンの拡散を防止する金属酸化物の障壁層と
該障壁層の上層の金属含有被覆からなるガラス物品等が
知られている。
【0004】しかしながら、上記従来の光触媒機能を有
する被膜をガラス上に形成した多機能ガラスにおいて
は、該光触媒膜をガラス表面に直接被覆すると、高温で
処理した場合にガラス中に含まれるナトリウムイオンお
よびアルカリイオンが該光触媒膜中に拡散し、光触媒膜
のチタニアの酸化作用を促進する電子を中和してしま
い、上述の光触媒機能が損なわれてしまう欠点があっ
た。
【0005】また、特開平9−1724号公報記載のよ
うにケイ酸エステルに酸化チタン微粒子を分散させた薬
液を塗布、乾燥、焼成することで透明で可視光反射率が
低く外観の良好な光触媒膜が得られるが、浴室などの高
温多湿な環境や石鹸液などのアルカリ性溶液中では膜強
度が低下して剥離する問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光活性が大
きく、高温多湿な環境やアルカリ性溶液中に放置しても
膜強度が低下し剥離を生じることのない、さらに基材が
ソーダ石灰ガラスの場合、光触媒被膜を形成したソーダ
石灰ガラスを高温で処理しても、ソーダ石灰ガラス中に
含まれるナトリウムイオンが光触媒膜中に拡散し光触媒
機能を低下することのない、高耐久性の光触媒機能を有
する光触媒膜被覆膜及びその製造方法を提供するもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、光触媒膜につ
いて種々検討した結果、光触媒微粒子の原料として、焼
成処理を予め行った結晶化度が90%以上の結晶性の高
い光触媒微粒子を用いることにより光活性が大きく、さ
らに高温多湿の環境やアルカリ性溶液中に放置しても該
被膜が剥離することのない、さらに基材がソーダ石灰ガ
ラスなどのようなアルカリガラスの場合には、アルカリ
ガラス基板表面に直接該光触媒膜を被覆しても、ナトリ
ウムなどのアルカリ金属により光触媒機能がほとんど低
下することなく充分にその機能を発揮し、高性能且つ高
耐久性の光触媒膜被覆膜を容易に製造できるものであ
る。
【0008】すなわち本発明は、予め焼成処理を施した
結晶化度が90%以上である高結晶性の光触媒微粒子を
金属酸化物からなるマトリックスに分散させた光触媒被
覆膜に関する。なお、光触媒微粒子の添加量は、光触媒
膜の総量に対して5〜70重量%であることが好まし
い。
【0009】さらに、光触媒微粒子がチタン酸化物であ
る場合には、アナタース型の結晶構造を有する結晶を5
0%以上含み、且つアナタース単結晶の粉末X線回折強
度を100とした時に該光触媒微粒子中に含まれるアナ
タース結晶の(101)面の粉末X線回折強度が50以
上である結晶性度を有するものが好ましい。
【0010】また本発明は、金属酸化物用ゾルゲル溶液
に、予め焼成処理を施した結晶化度が90%以上である
高い結晶性の光触媒微粒子と分散剤を混合し、該光触媒
微粒子を溶液中に均一に分散させ、該溶液を基材表面に
塗布したのち、乾燥・焼成し光触媒膜を基材表面に被覆
させる光触媒被覆膜の製造方法に関する。
【0011】また、光触媒被覆膜をソーダ石灰ガラス基
板上に直接被覆することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて説明する。なお、本発明はこれらに限定するもので
はない。
【0013】本発明で用いる光触媒微粒子は、電荷分離
の作用が高い化合物で有れば特に限定されないが、バイ
ンダー作用を有する金属酸化物と安定した複合体を形成
するためには、例えば、チタン酸ストロンチウム、酸化
銅、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化錫、酸化銀、酸化チタン、
酸化タングステン、酸化セリウムなどの金属酸化物の微
粒子を用いる事が出来、そのうち光活性が高く化学的安
定性に優れた高い結晶性を有する酸化チタン微粒子が特
に好ましい。光触媒の微粒子を原料として用いること
は、1)光触媒反応の作用が、表面および/または界面に
関係するため微粒子状態であることが有利であること、
2)組成物中の微粒子含有率を変えることで所定の屈折率
をもった光学薄膜が得られる等の利点があり、光触媒の
原料として有利である。
【0014】該微粒子は、例えば硫酸チタニルを原料と
して900℃以上で焼成する(硫酸法)や四塩化チタン
原料を約1000℃前後の温度で加熱・蒸発させる(塩
素法)等の方法で製造された、予め焼成処理を施した結
晶化度が90%以上で高い結晶性を有したもの(通常、
市販品)を用いると下記のような有利な作用を有するの
で好ましい。すなわち、1)結晶性が高いので光活性が
大きい、2)直接ソーダ石灰ガラス基板表面に該光触媒
膜を被覆した場合においても、焼成時にガラス基板から
被膜中に移行するナトリウムイオンが該TiO2結晶と反
応して生成される光活性のないチタン酸ナトリウム(N
a2TiO3)を生成することがほとんどなく(生成量は、
光触媒膜に対して最大1重量%程度と非常に小さい)、
光活性が妨げられることは殆どない。
【0015】なお結晶化度は、結晶質アナタースと非晶
質アナタースのX線散乱強度の相対値(X=ΣIc/Ic
100×100、ここでIc;測定試料の結晶質部分の散乱
強度、Ic100;100%結晶質(単結晶粉砕物)の散乱
強度)から求めた値である。
【0016】光触媒微粒子の平均粒径は20〜200n
mの大きさが適し、20nm未満では光活性に有効な紫
外線の吸収効率が悪くなり光活性が大幅に低下し、一方
200nm以上では可視光が散乱し膜状に成膜した場合
に曇化率が高くなり透明度が低下する。なお、TiO2
粒子の場合、結晶形態はルチル、アナタースともに使用
できるがアナタース型の方が光活性が大きいので好まし
く、その粒子の結晶粒径(結晶子の大きさ)が2〜20
nmであるものが好ましい。
【0017】光触媒微粒子がチタン酸化物の場合、アナ
タース型の結晶構造を有する結晶を50%以上含み、且
つアナタース単結晶(101)面の粉末X線回折強度を
100とした時に該光触媒微粒子中に含まれるアナター
ス結晶(101)面の粉末X線回折強度が50以上であ
る結晶性度を有するものが好ましい。なお、チタン酸化
物の結晶性度は、粉末X線回折法におけるアナタース単
結晶粉体の(101)面の回折強度(回折線高さ)を1
00として、試料の(101)面の回折強度を求め、こ
れに重量の補正を掛け、アナタース単結晶粉砕品の(1
01)回折線の高さを100として試料の結晶性度合い
を測定する。
【0018】光触媒微粒子を分散させた金属酸化物は、
結晶性の該光触媒微粒子を分散・固定させるマトリクス
として機能するものであり、Si、Al、Zr、Zn、
Tiからなる金属酸化物が使用でき、特にSiO2が好ま
しい。SiO2はTi、Zr、Al、Snよりなる少な
くとも1種以上の金属酸化物を含んでいてもよく、強ア
ルカリ水溶液や温水などに対して高耐久性を有し、基材
がガラスの場合には、透明であると共にガラス基板に近
い屈折率を有する単層の光触媒微粒子分散無機膜が得ら
れ、高温多湿や酸アルカリなどの厳しい環境下でも十分
な膜強度を維持しながら光活性を発現することができ
る。
【0019】さらにこれらの光触媒膜には、R.Hof
fmannら(J.Phys.Chem.,98,13
695(1994))が述べているようにV(4)、F
e(3)、Cr(3)、Ni(2)などの金属イオンを
微量含むことで光活性が増加する場合があり、これらの
金属イオンは、金属塩などの形で導入することが好まし
い。これらのV,Cr,Ni,Mo,Feなどの遷移金
属イオンを微量含むことで要因は明確ではないが、M.
R.Hoffmann(J.Phys.Chem.,9
8,13695−13704(1994))やKama
t(Chemtech,18−22(1996))など
が述べているように電子の再結合速度や表面電子移動速
度が影響を受けて光活性が向上するものと考えられる。
【0020】また膜厚は、光触媒微粒子の膜中の含有率
にも依存するが、20〜600nmの厚さが好ましく、
20nm以下では光活性が著しく低く、600nm以上
では、大幅な光活性の向上が望めない。
【0021】本発明の光触媒膜は、透明膜または半透明
膜が容易に形成できるため、太陽などの光エネルギーを
有効に利用でき、さらにはガラス基板の外観や色調を変
えることなく、光触媒機能を付与することができる。
【0022】本発明の光触媒膜は、多くの有機化合物を
水、二酸化炭素、酸化窒素などまでに酸化分解して、防
曇・防汚・消臭・抗菌などの光触媒機能を発現する。本
発明の光触媒組成物は、種々の形状に成膜できるので、
種々の製品にこれらの光触媒機能を付与することができ
る。本発明に用いられる基材は、ガラス、セラミック
ス,タイル、セメント硬化物等に用いることができ、特
に安価なソーダ石灰ガラス基板には好適である。光触媒
微粒子の添加量は、該光触媒膜の総量に対して5〜70
重量%であることが好適であり、5重量%以下では十分
な光活性が得られず、70重量%以上では膜の強度が得
られない。
【0023】また、光触媒微粒子を金属酸化物に均一に
分散する方法は、一般的な機械的手法で容易に実施する
ことができ、例えば光触媒微粒子(例えば、TiO2
場合には石原テクノのST−01やチタン工業のPC−
101など)を、例えばバインダーとしての金属酸化物
の前駆体であるシリカゾル液にアセチルアセトンやグリ
コール類などで安定化したチタン、ジルコニウム、アル
ミニウム、錫のアルコキシドのアルコール溶液及び、
V,Cr,Ni,Moなどの塩化合物、酸触媒、水、レ
ベリング剤、分散剤等を加え、ボールミル、アトライタ
ー、サンドミルなどの分散技術によりTiO2等の微粒子
を凝集しないように均一に分散する。この溶液をゾルゲ
ル法でよく用いられるディッピング法、スプレーコート
法、スピンコート法、ローラーコート法などで成膜し
て、300〜700℃で空気焼成すると光触媒微粒子を
均一に分散した透明な複合金属酸化物膜が得られる。
【0024】なお、マトリックスとしてのゾルゲル溶液
とTiO2等の微粒子との間で、ゲル化や凝集といった現
象が現れることがある。これを避ける方法として、例え
ばTiO2等の微粒子にメチルシリコーン類、金属脂肪酸
塩などで表面処理することで、エタノール、エチルセロ
ソルブ、キシレンなどの有機溶媒に分散することが可能
となる。
【0025】かかるTiO2等の微粒子とマトリックスと
しての前駆体溶液の混合は、マトリックス前駆体溶液を
撹拌しながらTiO2微粒子を添加するか、マトリックス
前駆体溶液とTiO2等の微粒子を同時に混合した後に撹
拌することでも調製できる。本発明の光触媒からなる膜
をコーティングする方法は、光触媒膜を形成する原料を
スプレーコート、ディップコート、スピンコート、ロー
ラーコート等の手段を用いて行える。
【0026】上記の方法で得られたコーティング膜は、
乾燥、焼成されて光触媒膜となり、乾燥は、溶剤、分散
剤やその他添加剤にも依るが、通常は室温〜200℃の
範囲で行われる。室温よりも低い温度では乾燥に長時間
を要し、生産性が低く好ましくはなく、200℃以上の
急激な熱処理は膜質を低下させるため、焼成後の膜強度
を低下させる等で好ましくない。
【0027】焼成は、バインダーとしての前駆体性質に
依存するが、300〜700℃の範囲で行われるのが一
般的である。300℃以下では十分な膜強度が得られ
ず、700℃以上では例えば光触媒微粒子がTiO2
場合に、アナタースがルチルに相転移するため光活性が
低下するために好ましくはない。
【0028】なお、本発明の光触媒膜被覆基材は、太陽
光や家庭内照明などの一般の住環境下で得られる光エネ
ルギーによって、十分な光活性を発現する。なお照明器
具としては、一般の蛍光灯以外にブラックライト、水銀
灯なども適宜利用できる。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。但し本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0030】実施例1 SiO2膜用ゾルゲル溶液(商品名:リクソンコート(チ
ッソ);固形分:6重量%)100gに硝酸アルミニウ
ム・9水塩(和光純薬、特級):18.9g、チタニア
微粒子(チタン工業、PC101;結晶化度:95%、
粉末X線回折強度:アナタース単結晶(101)面の6
5%、X線粒径:9nm)2g、分散剤としてBM11
00(ビーエム・ケミストリー)0.1gを、粒径0.
65mmのジルコニアビーズ1000gとともにボール
ミル用ポット(硬質ナイロン製)に入れ、ボールミル装
置で48時間撹拌することでチタニア微粒子を溶液中に
均一分散させた。この溶液を用いてスピンコーターでソ
ーダ石灰ガラス基板にコーティングした。150℃で乾
燥後、500℃で30分焼成することでTiO2微粒子
を含んだSiO2−Al23膜(膜厚:150nm)が
得られた。
【0031】実施例2 TiO2-SiO2膜用ゾルゲル溶液(Ti/Si=20/
80(モル比)、商品名:CG−19Ti(大八化学
製、Ti/Si=20/80(モル比));固形分:1
0重量%)100gに、TiO2微粒子(石原テクノ
製、ST−01;結晶化度:92%、粉末X線回折強
度:アナタース単結晶(101面)の70%、X線粒
径:7nm)2g、分散剤としてステアリン酸亜鉛0.
1gを、粒径0.65mmのジルコニアビーズ(東レ)
1000gとともにボールミル用ポット(硬質ナイロ
ン)に入れ、ボールミル装置で48時間撹拌することで
TiO2微粒子を溶液中に均一分散させた。この溶液を
用いてスピンコーターでソーダ石灰ガラス基板にコーテ
ィングした。150℃で乾燥後、500℃で30分焼成
することでTiO2微粒子を含んだTiO2−SiO2
(膜厚:150nm)が得られた。
【0032】実施例3 ZrO2-SiO2膜用ゾルゲル溶液(Zr/Si=10/
90(モル比)、商品名:CG−19Zr(大八化学
製、Zr/Si=20/80(モル比));固形分:1
0重量%)100gに、TiO2微粒子(堺化学工業
製、SSP−25;結晶化度:98%、粉末X線回折強
度:アナタース単結晶(101)面の75%、X線粒
径:9nm)2g、分散剤としてF−171(大日本イ
ンキ製)0.1gを、粒径1.5mmのジルコニアビー
ズ(東レ)1000gとともにアットライターに入れ、
2時間撹拌することでチタニア微粒子を溶液中に均一分
散させた。この溶液を用いてディッピングでソーダ石灰
ガラス基板にコーティングした。150℃で乾燥後、5
50℃で30分焼成することでTiO2微粒子を含んだ
ZrO2−SiO2膜(膜厚:180nm)が得られた。
【0033】比較例1 シリカコート溶液(商品名:リクソンコート(チッ
ソ);固形分:6重量%)100gに硝酸錫・9水塩
(和光純薬、特級):18.9g、チタニア微粒子(P
−25、日本アエロジル;結晶化度:72%、粉末X線
回折強度:アナタース単結晶(101)面の50%、X
線粒径:21nm)2g、分散剤(BM1100、BM
ケミー社)0.1gを、粒径0.65mmのジルコニア
ビーズ(東レ)1000gとともにボールミル用ポット
(硬質ナイロン製)に入れ、ボールミル装置で48時間
撹拌することでチタニア微粒子を溶液中に均一分散させ
た。この溶液を用いてスピンコーターでソーダ石灰ガラ
ス基板にコーティングした。150℃で乾燥後、500
℃で30分焼成することでチタニア微粒子膜(Ti/A
l+Si=20/80:モル比)を含んだSiO2−A
23膜(膜厚:150nm)が得られた。
【0034】比較例2 SiO2膜用ゾルゲル溶液(商品名:CG−19(大八化
学);固形分:10重量%)60gにチタニアゾルST
S−01(石原産業、TiO2含有量:30重量%、pH
=1.5、X線粒径:7nm)6.7g、分散剤として
F−177(大日本インキ化学工業)0.1gを、粒径
0.65mmのジルコニアビーズ1000gとともにボ
ールミル用ポット(硬質ナイロン製)に入れ、ボールミ
ル装置で48時間撹拌することでチタニアゾルを溶液中
に均一分散させた。この溶液を用いてスピンコーターで
ソーダライムガラス基板にコーティングした。150℃
で乾燥後、500℃で30分焼成することでチタニアゾ
ルを含んだSiO2膜(膜厚:150nm)が得られ
た。
【0035】得られた光触媒膜を被覆したガラスの評価
を下記のように行った。 1)光活性:0.01mg/cm2のステアリン酸を光
触媒膜上に塗布し、1.5mW/cm2の紫外線(36
0nm)を1時間照射後のステアリン酸量をFTIR
(フーリエ変換赤外分光法)でステアリン酸のメチレン
基の吸収強度から定量した。初期値を100とした場
合、○は20以下、△は21〜60、×は60以上とし
た。 2)耐摩耗性:CS−10Fの摩耗輪に500gの荷重
をかけ、被膜表面を200回回転させた時のヘイズ(曇
り度、%)の変化量を測定した。 3)耐酸性:10%塩酸水溶液に25℃下で48時間浸
漬し、外観・光活性に変化がないものを合格(〇印)と
した。 4)耐アルカリ性:10%苛性ソーダ水溶液に48時間
浸漬し、外観・光活性に変化がないものを合格(〇印)
とした。。 5)耐候性:サンシャインウェザーメーター3000時
間で、外観に変化がないものを合格(〇印)とした。 6)耐温水性:60℃の温水に240時間浸漬し、外観
・光活性に変化がないものを合格(〇印)とした。
【0036】実施例及び比較例における性能評価結果を
表ー1に示す。結果、光活性試験においては、ステアリ
ン酸分解の光活性は、実施例1〜3で認められ、比較例
1は不充分であり、比較例2は全く光活性が失われてい
た。耐摩耗性試験については、実施例1〜3および比較
例1は試験前後で2%以下のヘイズ変化であり異常はな
かったが、比較例2は被膜の剥離が生じた。耐酸性試験
においては、何れも異常はなかった。耐アルカリ性試験
については、実施例1〜3および比較例1は48時間経
過後も全く変化はなかったが、比較例2に被膜が剥離し
た。耐温水性試験について、実施例1〜3は10日間経
過後も外観、膜強度、光活性に変化がなかった。比較例
2については、3日目に第2層膜が剥離した。耐湿性試
験については、実施例1〜3は30日間経過後も変化は
認められないのに対し、比較例2は10日目に第2層膜
が剥離した。耐酸性試験については、実施例および比較
例ともに変化は認められなかった。耐アルカリ性試験に
ついては、実施例1〜3、比較例1は48時間経過後、
全く変化はなかった。なお、表-1において、(○印)
は試験後の変化がなく良好な結果が得られたことを示
し、(△印)は光活性が不十分であることを示し、(×
印)は試験中に膜の剥離、または光活性が無かったこと
を示す。以上の評価結果に示すように、本発明の実施例
1〜3は比較例1、2に比べ、光活性、耐摩耗性、耐ア
ルカリ性、耐候性、耐温水性において極めて優れ、膜自
体の強度が維持されることが判る。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】結晶化度が90%以上の高い結晶性をも
ったチタン酸化物等の光触媒微粒子を金属酸化物に均一
に分散させ、基材表面に被覆させた光触媒被覆膜は、光
活性が大きいとともに、耐摩耗性、耐酸性、耐アルカリ
性、耐候性、耐温水性等の耐久性を長期に持続し、厳し
い環境下において確実でかつ安定した品質の多機能基材
が得られ、建築用、車両用、鏡、その他の分野の物品に
広く用いることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め焼成処理を施した結晶化度が90%以
    上である高結晶性の光触媒微粒子を金属酸化物からなる
    マトリックスに分散させたことを特徴とする光触媒被覆
    膜。
  2. 【請求項2】光触媒粒子の添加量は、光触媒膜の総量に
    対して5〜70重量%であることを特徴とする請求項1
    記載の光触媒被覆膜。
  3. 【請求項3】光触媒微粒子は、アナタース型の結晶構造
    を有する結晶を50%以上含み、且つアナタース単結晶
    (101)面の粉末X線回折強度を100とした時に該
    光触媒微粒子中に含まれるアナタース結晶(101)面
    の粉末X線回折強度が50以上である結晶性度を有する
    チタン酸化物であることを特徴とする請求項1乃至2記
    載の光触媒被覆膜。
  4. 【請求項4】金属酸化物用ゾルゲル溶液に、予め焼成処
    理を施した結晶化度が90%以上である高結晶性の光触
    媒微粒子と分散剤を混合し、該光触媒微粒子を溶液中に
    均一に分散させ、該溶液を基材表面に塗布したのち、乾
    燥・焼成し光触媒膜を基材表面に固化させることを特徴
    とする光触媒被覆膜の製造方法。
  5. 【請求項5】光触媒被覆膜をソーダ石灰ガラス基板上に
    直接被覆したことを特徴とする請求項4記載の光触媒被
    覆膜の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001129408A (ja) * 1999-11-02 2001-05-15 Nippon Soda Co Ltd 光触媒複合体、光触媒層形成用組成物及び光触媒担持構造体
JP2008142606A (ja) * 2006-12-07 2008-06-26 New Industry Research Organization 光触媒用組成物、光触媒用材料およびその製造方法
JP2015116210A (ja) * 2013-12-16 2015-06-25 株式会社 アルステクネ 額縁構造
JP2016065253A (ja) * 2008-08-21 2016-04-28 イノーバ ダイナミクス インコーポレイテッド 増強された表面、コーティング、および関連方法

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