JP2001262008A - チタニア塗布液及びその製造方法、並びにチタニア膜及びその形成方法 - Google Patents

チタニア塗布液及びその製造方法、並びにチタニア膜及びその形成方法

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JP2001262008A
JP2001262008A JP2000076635A JP2000076635A JP2001262008A JP 2001262008 A JP2001262008 A JP 2001262008A JP 2000076635 A JP2000076635 A JP 2000076635A JP 2000076635 A JP2000076635 A JP 2000076635A JP 2001262008 A JP2001262008 A JP 2001262008A
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titania
film
coating solution
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anatase
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Osamu Kondo
近藤  治
Toshimi Fukui
俊巳 福井
Motoyuki Toki
元幸 土岐
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Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基剤との密着性に優れ、高い光触媒活性を有
し、且つ透明性に優れた被膜を低温処理で形成できる塗
布液及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 チタンアルコキシドをアルコキシアルコ
ール中で加水分解し、非晶質チタニアゾルを形成後、疑
似水熱合成を行なうことにより得られる結晶粒径が20
nm以下のアナターゼを含む、水分量が5%以下である
ことを特徴とするチタニア塗布液とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機基体上に容易
に塗布でき、透明性に優れるチタニア結晶の塗膜を与え
る塗布液およびその製造法に関するものであり、さら
に、それより得られるチタニア膜及びチタニア膜の形成
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、表面改質或いは機能付与を目的と
して、各種材料の表面に無機酸化物をコーティングする
技術の開発が活発に行われている。なかでもアナターゼ
結晶構造を有するチタニアは光触媒活性を有する事か
ら、その性能を基板上に付与する目的で近年盛んに研究
されている。従来、光触媒能を有するチタニア膜を形成
する方法として、チタンアルコキシドを加水分解して得
たゾルを基板表面に塗布後、600〜700℃で焼成処
理を行ないアナターゼ型チタニアを形成する方法(特許
公報第2517874号)がある。この方法では、高温
での焼成処理を要することからプラスチックなどの耐熱
性に劣る基板上にチタニア膜を形成することが出来ない
という欠点を有する。
【0003】このため、別途高温処理して製造したチタ
ニア粒子を用いて被膜形成用塗布液を調製し、これを塗
布して被膜を形成することによって、比較的低温で硬化
被膜を形成することが試みられている。その際、良好な
分散状態を得るために、チタニア表面を疎水化処理し、
非イオン界面活性剤を含む水分散媒中に分散させる方法
(特許公報第2852487号)、表面をペルオキソ基
で修飾したチタニア粒子を用いる方法(特許公報第28
75993号)、鉱酸などの解膠剤などを添加して凝集
した二次粒子を均一な一次粒子の分散液を得る試みがな
されている。しかしながら、高温処理されたチタニア粒
子は、一般に粒子径が大きく、屈折率が高いため、また
凝集が強く1次粒子への分散が難しいため、被膜中での
チタニア粒子による光の散乱が大きく透明性の高い被膜
が得られないという欠点がある。さらに、上記塗布液は
水を分散媒とするものであり、有機基板との濡れ性が悪
く、良好な成膜が困難という問題点を有する。特開平1
1−171543号公報には、親水性有機溶媒の存在下
に、四塩化チタンを加水分解する事によりアナターゼ型
チタニア微粒子を製造する方法が開示されている。しか
しながら、コーティング液としての特性に関する記述は
なく、その塗膜特性は不明である。以上のように、高い
光触媒活性を有し、且つ透明性に優れた被膜を低温処理
で形成できる塗布液の出現が望まれていた。
【0004】更に云えば、有機溶媒を分散媒とする有機
基板との濡れ性が良好な塗布液の出現が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであ
り、基材との密着性に優れ、高い光触媒活性を有し、且
つ透明性に優れた被膜を低温処理で形成できる有機溶媒
系塗布液及びその製造方法、さらにこのような透明被膜
が形成された透明被膜付基材及びその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の通りで
ある。 (1)チタンアルコキシドをアルコキシアルコール中で
加水分解し、非晶質チタニアゾルを形成後、疑似水熱合
成を行なうことにより得られる結晶粒径が20nm以下
のアナターゼを含み、水分量が5%以下であることを特
徴とするチタニア塗布液。 (2)チタニア塗布液を膜に成形したとき、光触媒能を
有することを特徴とする(1)のチタニア塗布液。 (3)チタンアルコキシドを加水分解し、非晶質チタニ
アゾルを形成後、疑似水熱合成を行う、(1)または
(2)のチタニア塗布液の製造方法であって、アルコキ
シアルコールを主成分とする溶剤中で、チタンアルコシ
キドに対して1〜10倍モルの水を用いてチタンアルコ
キシドを加水分解した後、密閉系の容器中100〜20
0℃の温度で加熱して疑似水熱合成を行うことを特徴と
するチタニア塗布液の製造方法。 (4)前記加水分解の際に、チタンに対してモル比で
0.01〜1の鉱酸又は有機カルボン酸を共存させるこ
とを特徴とする(3)のチタニア塗布液の製造方法。 (5)結晶粒径20nm以下のアナターゼ相より構成さ
れるチタニア膜であって、膜としての透過率は、膜厚が
0.05〜10μmのときに80%以上であることを特
徴とするチタニア膜。 (6)有機基体上に形成された事を特徴とする(5)の
チタニア膜。 (7)表面が有機物或いは無機物でコーティングされて
いる有機基体上に形成されたことを特徴とする(5)の
チタニア膜。 (8)上記(1)または(2)のチタニア塗布液を基体
上に塗布し、200℃以下の加熱処理を行うことにより
形成され、光触媒能を持つことを特徴とする(4)〜
(7)のチタニア膜。 (9)上記(1)または(2)のチタニア塗布液を基体
上に塗布し、200℃以下の加熱処理を行うことを特徴
とするチタニア膜の形成方法。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 <1>本発明のチタニア塗布液 本発明において、チタニア塗布液は、チタンアルコキシ
ドをアルコキシアルコール中で加水分解し、非晶質チタ
ニアゾルを形成後、疑似水熱合成を行うことにより得ら
れる。
【0008】本発明において使用することができるチタ
ンアルコキシドとしては、チタンメトシキド、チタンエ
トキシド、チタンノルマルプロポキシド、チタンイソプ
ロポキシド、チタンノルマルブトキシド、チタンイソブ
トキシド、チタン−s−ブトキシド、チタン−t−ブト
キシド等が挙げられ、単独でも任意の2種以上の混合物
であっても良い。
【0009】チタニア塗布液を得る際、まず前記チタン
アルコキシドを溶剤に溶解させ希釈した均一溶液とす
る。ここに用いることが出来る溶剤としては、アルコー
ル類が好適に用いられるが、本発明においては特にアル
コキシアルコール類がより好適に使用される。アルコキ
シアルコールとしては、2−メトキシエタノール、2−
エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール
等が挙げられ、単独でも任意の2種以上の混合物であっ
ても良い。これらの中で特に好ましくは、1−メトキシ
−2−プロパノールである。
【0010】溶剤の添加量は、TiO2として溶液中の
濃度が1〜10重量%となるように選ばれる。添加量が
余り多いと得られる塗布液中のチタニア濃度が低くなり
すぎ、また少なすぎると沈殿や凝集が生じ、好ましい結
果が得られない。
【0011】次いで、チタンアルコキシドを加水分解さ
せるために水を添加する。この際、急激な加水分解を避
けるために、水を適当な溶媒に希釈して添加することが
好ましい。希釈溶媒としてはアルコールが好適に使用さ
れ、さらに好ましくは上述のアルコキシアルコールであ
る。チタンアルコキシドの希釈に用いた溶剤と同じ溶媒
が好適に使用される。単独或いは任意の2種以上の混合
物であっても良い。この段階での水の添加量は、チタン
アルコキシドに対して1〜10倍モルが好ましい結果を
与えるが、2〜10倍モルが更に好ましい結果を与え、
特に好ましくは3〜5倍モルである。
【0012】水の溶媒中の濃度としては、1〜30重量
%が好ましく、さらに好ましくは5〜20重量%であ
る。水の濃度が低すぎると溶液の量が多くなりすぎチタ
ニア濃度が低くなりすぎ好ましくなく、また高すぎると
急激な加水分解が生じ、沈殿や凝集が生じ好ましくな
い。水−溶剤の添加は、攪拌を行いながら滴下する方法
が好ましい。
【0013】また、加水分解を行う温度は0〜60℃が
好ましく、より好ましくは10〜40℃である。温度が
低すぎると加水分解速度が遅くなりすぎ、また、高すぎ
ると加水分解が速くなりすぎ沈殿や凝集などの好ましく
ない現象が生じる。加水分解を完全に行うために、反応
温度でしばらく攪拌を続ける。反応は通常、10分〜3
時間で完了する。
【0014】また、本発明において、加水分解の際に触
媒を加えても良い。用いられる触媒は、酸あるいはアル
カリのいずれでも良い。酸触媒としては、硝酸、塩酸、
硫酸、リン酸等の鉱酸;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シ
ュウ酸等の有機カルボン酸;等が挙げられる。また、ア
ルカリ触媒としては、アンモニア、有機アミン類等が挙
げられる。触媒添加量としてはチタンに対して0.01
〜1倍モルが好ましい範囲である。より好ましくは、チ
タンに対して0.02〜0.6倍モルである。
【0015】上記加水分解は、チタンアルコキシドをア
ルコキシアルコールに溶解した後に、水を加えて加水分
解する段階的方法により行う方法を記載したが、これに
限定されず、加水分解に用いる原料を一気に混合する方
法によっても行うことができる。
【0016】得られた反応液を、疑似水熱合成すること
により非晶質チタニアゾルを結晶化させ、アナターゼ型
チタニア塗布液を得ることが出来る。本発明において、
疑似水熱合成とは、通常の水熱処理のように大過剰の水
中ではなく、チタニアに対して10倍モル以下の少量の
水の存在下、100〜200℃の温度で密閉系の容器中
で加熱処理することを意味する。この温度範囲より低い
温度では非晶質チタニアの結晶化速度が十分に進行せ
ず、一方、この温度より高くしても結晶化速度に大きな
変化は見られない上、内圧を保持する耐圧容器のコスト
のため製造コストが高くなる。また、有機溶剤中で反応
を行うために、200℃を越える高温での処理は有機成
分の分解を促進するため好ましくない。
【0017】疑似水熱合成は、一般に密閉系の容器中で
実施される。本発明において用いられる密閉系の容器と
しては、ガラス製、ステンレス製等のオートクレーブが
用いられる。結晶化は疑似水熱合成を1〜50時間行う
事により十分進行する。この処理により得られるアナタ
ーゼの結晶径は、20nm以下であり、典型的には1
0nm以下である。得られた溶液を超音波分散処理する
事により、チタニア粒子の分散状態をより改善する事が
可能である。
【0018】本発明に係わるチタニア塗布液は、水系の
塗布液では成膜性を向上させるために必要である、不揮
発性の有機物の添加を加えなくても基体に対する成膜性
に優れている。これによって、有機基体上への塗布が非
常に容易となる。
【0019】以上の様にして得られた有機溶媒系チタニ
ア塗布液は、水含有量が5重量%以下であり、実質的に
有機溶媒に均一に分散したチタニア塗布液が得られる。
微量の水の存在はチタニアの分散で有利である。一方、
水量が多くなるとはじきなどが発生し、成膜性が低下す
るため好ましくない。
【0020】なお、水分量の測定は、カールフィッシャ
ー等の公知技術により測定可能である。
【0021】本発明においてアナターゼの結晶粒径は、
X線回折法によるピークの半値幅から以下のScher
rer式により計算で求める。 D=Kλ/βcosθ (式中、D:(hkl)面に垂直な結晶子の大きさ λ:X線波長(オングストローム) β:半値幅(rad)の広がり θ:プラッグ角 K:定数(形状により0.9〜1.1、本明細書では
0.9で計算) 具体的には、以下のように測定する。なお、実施例にお
いても同様に結晶粒径を測定した。
【0022】まず、溶媒を乾燥除去した後、粉末を得
て、該粉末をサンプルとして、MACSCIENCE社
製のMXP3を用いて測定する。 <2>本発明のチタニア膜 上記のようにして得られる本発明のチタニア塗布液は、
無機基体或いは有機基体上に公知の方法で塗布し、20
0℃以下の温度で加熱処理することにより、基体との密
着性に優れ、且つ透明性に優れる膜が形成される。
【0023】塗布方法として一般的には、ディップ法、
スピンコーティング法、或いはスプレーによる塗布方法
を好適に用いる事が出来る。適当な膜厚を得るために上
記の塗布工程を数回繰り返す事も可能である。
【0024】本発明で用いられる無機基体としては、ガ
ラス、セラミックス、シリコンなどを挙げる事が出来
る。有機基体としては各種プラスチックが好適に用いら
れ、例を挙げれば、ポリ塩化ビニール、ポリスチレン、
ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、PET
(ポリエチレンテレフタレート)などである。有機基体
の表面の濡れ性を更に改善する目的で、塗布液を塗布す
る前に紫外線照射の前処理を行う事により、さらに良好
な結果が得られる。
【0025】有機基体上には、表面の性状を変える目的
で種々のコーティングがなされている場合があるが、本
発明で得られる塗布液は、そのようなコーティングされ
た有機基体上にも同様に好適に用いる事が出来る。例え
ば、ポリカーボネートは表面にハードコート保護膜を付
与することによって耐擦り傷性が向上する。また、適当
な無機化合物を付与する事によって表面反射を抑制する
反射防止膜を形成する場合がある。
【0026】本発明において有機基体のコーティングに
用いられる有機物としては、アクリル酸エステル系ハー
ドコート等が挙げられる。また、無機物としては、Si
2、TiO2、ZrO2又はシリコーン系ハードコー
ト、或いはこれらの組成を組み合わせた反射防止膜等が
挙げられる。
【0027】本発明に係わるチタニア塗布液は、これら
のコーティング膜形成後の有機基体にも同様に適用する
事ができる。
【0028】特に、光触媒用途を目的とした場合には、
チタニア膜と有機基体との間に無機系の中間層の存在
が、基材の長期劣化を抑制する上で効果があり、本発明
のチタニア塗布液はそのような目的にも有効に用いる事
ができる。無機系の中間層として具体的には、非晶質S
iO2、TiO2、ZrO2などの無機成分とPC(ポリ
カーボネート)、エポキシ、PMMA(ポリメタクリル
酸メチル)、フェノール系レジン、ポリエステル等の骨
材ポリマーとの有機−無機コンポジット、または同様の
無機−有機組成物で形成される有機−無機ハイブリッド
が挙げられる。
【0029】本発明のチタニア膜を形成するための基体
としては、具体的に平面やコーナーなどに用いられる各
種形状のものが挙げられ、チタニア膜を形成することに
よって空気清浄や表面の汚れ防止に用いられる。
【0030】本発明のチタニア膜の形成方法における加
熱処理は、チタニア塗布液を塗布した後、200℃以下
の温度で行われるが、好ましくは、50〜150℃であ
る。
【0031】また、200℃以下の温度の加熱処理は、
乾燥器中やホットプレート、赤外線ランプなどによる加
熱などの通常用いられる方法により行えばよい。
【0032】本発明で得られるチタニア膜は、結晶子の
粒径が小さい事に起因して透明性に優れるものである。
膜としての透過率は、膜厚が0.05〜10μmのとき
に80%以上であり、結晶粒径は20nm以下である。
【0033】また、チタニア膜の膜厚は、0.1〜5μ
mがより好ましく、このときの透過率も80%以上であ
ることが良い。膜厚が薄すぎると光触媒活性が低下する
傾向がある。一方、10μmを越える厚みでは、密着性
や透過率が低下する可能性があるので好ましくない。密
着性や透過率が低下しないのであれば厚くても構わない
が、0.1〜5μmの膜厚を有すれば光触媒活性の効果
は十分得られるので、敢えて厚くする必要はない。
【0034】透過率は80%以上であることが好まし
く、85%以上であればさらに好ましい。透過率が低い
とその応用範囲が限定される。また、内部まで有効に光
が入らなくなり効率的な光触媒活性が発現されない。透
過率確保のためには粒径が大きくなると散乱の影響が出
るので好ましくない。また、優れた光触媒活性を得るた
めにも粒径は20nm以下であることが好ましい。より
好ましくは10nm以下である。
【0035】チタニア膜の結晶粒径の測定方法は、基体
上にコーティングされたチタニア膜をそのままサンプル
として用い、チタニア塗布液のアナターゼ結晶粒径の測
定に用いた装置で測定すれば良い。
【0036】透過率の測定方法としては、以下のように
行う。
【0037】可視、紫外分光光度計を用い、500nm
の波長で測定する。
【0038】吸収端を長波長化するためにV、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Wなどの遷移金属元素の添加も
可能である。また、触媒活性の改善のためにPt、A
u、Ag、Rh、Irなどの貴金属元素を添加すること
も可能である。他の金属元素を添加するタイミングは特
に限定されないが、好ましくは疑似水熱合成処理前、よ
り好ましくは加水分解前であり、アルコキシドや金属塩
として添加される。
【0039】本発明のチタニア膜は、アナターゼ結晶構
造を有するチタニアよりなることから光触媒能を有して
いるため、有機基体や無機基体上に塗布することによ
り、微生物に対しての抗菌作用や、防汚、防臭等の作用
を持たせることが出来る。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるも
のではない。
【0041】
【実施例1〜12】チタンアルコキシドのアルコキシア
ルコール溶液へ、10%水−アルコキシアルコールを室
温で添加して、加水分解を行い、非晶質チタニアゾルを
得た。得られた非晶質チタニアゾルを密閉容器中、加熱
処理した後、超音波分散処理して2重量%アナターゼ型
チタニア塗布液を得た。出発原料であるチタンアルコキ
シドの種類、溶剤の種類、水の添加量、加熱温度・時
間、塗布液中の水分量を表1にまとめる。乾燥し得られ
た固形物を粉末X線回折法により、結晶相の同定、結晶
粒径の計算を行った。得られた粒子は、全てアナターゼ
相へ結晶化している事が確認された。
【0042】なお、一例として図1に、実施例3におい
て得られた粒子のX線回折パターンを示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【実施例13】加水分解時に触媒として硝酸(HNO3
/Ti=0.04)を用いる以外は、実施例1〜12と
同じ方法で、アナターゼ型チタニア塗布液を調製した。
乾燥し得られた固形物の粉末X線回折より、得られた粉
体が結晶粒径7.3nmのアナターゼである事を確認し
た。
【0045】
【実施例14】加水分解時に触媒として酢酸(CH3
OOH/Ti=0.04)を用いる以外は、実施例1〜
12と同じ方法で、アナターゼ型チタニア塗布液を調製
した。乾燥し得られた固形物の粉末X線回折より、得ら
れた粉末が結晶粒径9.1nmのアナターゼである事を
確認した。
【0046】
【実施例15】加水分解時に触媒としてアンモニア(N
3/Ti=0.04)を用いる以外は、実施例1〜1
2と同じ方法で、アナターゼ型チタニア塗布液を調製し
た。乾燥し得られた固形物の粉末X線回折より、得られ
た粉体が結晶粒径9.9nmのアナターゼである事を確
認した。
【0047】
【実施例16〜21】実施例3のアナターゼ塗布液を用
い、各種基体上へ塗布試験を行った。2000rpmで
20秒の塗布条件でスピンコートした後、110℃で1
0分間乾燥しアナターゼ型チタニア膜を得た。基体の種
類、得られた膜の状態、膜の透過率、膜厚を表2にまと
める。
【0048】なお図2に、一例として実施例19におい
て得られたPC(ポリカーボネート)基体上のアナター
ゼ型チタニア膜のX線回折パターンを示す。
【0049】
【表2】
【0050】
【実施例22〜24】実施例13で得られたアナターゼ
型チタニア塗布液を用い、PC(ポリカーボネート)基
体上へ塗布試験を行った。2000rpmで20秒の塗
布条件でスピンコートした後、110℃で10分間乾燥
しアナターゼ型チタニア膜を得た。基体の種類、得られ
た膜の状態、膜の透過率、膜厚を表2にまとめる。
【0051】本実施例で得られたチタニア膜は、見かけ
上ムラは認められず、膜の透過率は85%以上であっ
た。また、アナターゼ型チタニア膜上へ2%メチレンブ
ルー液を滴下塗布した後、蛍光灯下に放置し、その膜の
色の変化を調べた。今回検討したすべてのアナターゼ型
チタニア膜で脱色が認められ、光触媒活性を有する事が
確認された。
【0052】
【比較例1】テトライソプロポキシチタンの2−プロパ
ノール溶液へ10%水−2−プロパノール(H2O/T
i=4モル/モル)を添加すると白色粉末が生成し、塗
布可能な液を得る事はできなかった。得られた粉末は非
晶質であり、アナターゼへの結晶化には、500℃以上
の加熱処理が必要であった。
【0053】
【比較例2】テトライソプロポキシチタンの2−メトキ
シエタノール溶液へ10%水−2−メトキシエタノール
(H2O/Ti=4モル/モル)を添加し、チタニア濃
度2%のチタニアゾルを得た。これを塗布液として用
い、シリカ基体上へ2000rpmで20秒の条件でス
ピンコートした後、110℃で乾燥し、膜厚0.16μ
m、透過率94%のチタニア膜を得た。得られた膜は非
晶質であり、アナターゼへの結晶化のためには、400
℃で30分の加熱処理が必要であった。110℃乾燥後
の膜に2%メチレンブルー液を滴下塗布し、蛍光灯下で
変化を観察したが、退色は認められず、光触媒活性が発
現していないことが分かった。
【0054】
【比較例3】市販のアナターゼ粉末(石原産業製、ST
−01、粒径7nm)を解膠剤として硝酸を用い、酸化
物濃度5重量%の分散液を作成した。得られた分散液
は、沈降物はないが白濁した状態であった。ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテルを0.5%添加した
アナターゼ分散液を用い、塗布試験を行った。2000
rpmで20秒の条件で塗布後、110℃で乾燥し、ア
ナターゼ膜が得られた。得られた膜の膜厚は0.2μm
であったが、その透過率は、71%と低く、また膜の白
濁が認められた。
【0055】
【発明の効果】本発明は、チタンアルコキシドをアルコ
ールアルコキシド溶媒中で加水分解した後、100〜2
00℃の温度で疑似水熱合成を行うという非常に簡便な
方法で、結晶粒径が20nm以下のアナターゼ結晶を含
む有機溶媒系チタニア塗布液を製造する事ができる。こ
のチタニア塗布液は無機・有機基体を問わず塗布性に優
れ、200℃以下での乾燥によって透明性、密着性に優
れるコーティング膜を容易に形成する事が可能である。
得られたチタニア膜は良好な光触媒活性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3において得られたアナターゼ結晶粒
子のX線回折パターンを示す。
【図2】 実施例19において得られたPC(ポリカー
ボネート)基体上のアナターゼ型チタニア膜のX線回折
パターンを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 21/06 B05D 3/02 Z 4J038 35/02 C01G 23/053 B05D 3/02 B01D 53/36 J C01G 23/053 ZABH (72)発明者 土岐 元幸 京都府京都市下京区中道寺南町17 株式会 社関西技術研究所内 Fターム(参考) 4D048 AA22 AB03 BA07X BA41X BB03 EA01 4D075 BB21Z BB93Z CA34 CA45 DB13 DB14 DB36 DB37 DB38 DB48 EB01 EB22 EB33 EB35 4G047 CA02 CB06 CB08 CC03 CD02 CD07 4G069 AA03 AA08 BA04A BA04B BA48A BB01C BB12C BD01C BD06C BE08C CA10 CA17 CD10 DA05 EA07 EB15X EB15Y EB18X EB18Y EC22X EC22Y EC27 ED04 FA03 FB10 FB23 FC04 FC07 4H011 AA02 BB18 DC10 DC11 DG03 4J038 AA011 HA096 HA156 HA216 HA336 HA376 HA416 JA23 JA37 JA39 KA04 KA06 LA02 MA08 MA09 MA12 MA14 NA05 NA12 NA17 NA18 PA19 PC03 PC08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンアルコキシドをアルコキシアルコ
    ール中で加水分解し、非晶質チタニアゾルを形成後、疑
    似水熱合成を行なうことにより得られる結晶粒径が20
    nm以下のアナターゼを含み、水分量が5%以下である
    ことを特徴とするチタニア塗布液。
  2. 【請求項2】 チタニア塗布液を膜に成形したとき、光
    触媒能を有することを特徴とする請求項1記載のチタニ
    ア塗布液。
  3. 【請求項3】 チタンアルコキシドを加水分解し、非晶
    質チタニアゾルを形成後、疑似水熱合成を行う、請求項
    1または2に記載のチタニア塗布液の製造方法であっ
    て、 アルコキシアルコールを主成分とする溶剤中で、チタン
    アルコシキドに対して1〜10倍モルの水を用いてチタ
    ンアルコキシドを加水分解した後、密閉系の容器中10
    0〜200℃の温度で加熱して疑似水熱合成を行うこと
    を特徴とするチタニア塗布液の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記加水分解の際に、チタンに対してモ
    ル比で0.01〜1の鉱酸又は有機カルボン酸を共存さ
    せることを特徴とする請求項3に記載のチタニア塗布液
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 結晶粒径20nm以下のアナターゼ相よ
    り構成されるチタニア膜であって、膜としての透過率
    は、膜厚が0.05〜10μmのときに80%以上であ
    ることを特徴とするチタニア膜。
  6. 【請求項6】 有機基体上に形成された事を特徴とする
    請求項5記載のチタニア膜。
  7. 【請求項7】 表面が有機物或いは無機物でコーティン
    グされている有機基体上に形成されたことを特徴とする
    請求項5記載のチタニア膜。
  8. 【請求項8】 請求項1または2に記載のチタニア塗布
    液を基体上に塗布し、200℃以下の加熱処理を行うこ
    とにより形成され、光触媒能を持つことを特徴とする請
    求項4〜7のいずれか一項に記載のチタニア膜。
  9. 【請求項9】 請求項1または2に記載のチタニア塗布
    液を基体上に塗布し、200℃以下の加熱処理を行うこ
    とを特徴とするチタニア膜の形成方法。
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