JP2003012324A - 酸化チタン被覆層付球状粒子および該酸化チタン被覆層付球状粒子の製造方法 - Google Patents

酸化チタン被覆層付球状粒子および該酸化チタン被覆層付球状粒子の製造方法

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JP2003012324A JP2001197075A JP2001197075A JP2003012324A JP 2003012324 A JP2003012324 A JP 2003012324A JP 2001197075 A JP2001197075 A JP 2001197075A JP 2001197075 A JP2001197075 A JP 2001197075A JP 2003012324 A JP2003012324 A JP 2003012324A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粒子径変動係数(CV値)が小さく、触媒、触
媒担体、光触媒、化粧材料、光学材料、光電変換材料、
フォトニック結晶層付基材などに有用な真球状の酸化チ
タン微粒子およびその製造方法を提供する。 【解決手段】無機化合物粒子と該粒子上に形成された酸
化チタン被覆層とからなる酸化チタン被覆層付球状粒子
であり、酸化チタン被覆層の厚さが10nm〜10μm
の範囲にあり、被覆層付粒子の平均粒子径が0.1〜3
0μmの範囲にあり、真球度が0.7〜1.0の範囲にあ
る酸化チタン被覆層付球状粒子。下記の(a)〜(c)の工程
からなることを特徴とする酸化チタン被覆層付球状粒子
の製造方法;(a)無機化合物粒子分散液に、チタン化合
物またはチタン化合物と酸またはアルカリを加えながら
加水分解し、無機化合物粒子表面に加水分解物を析出さ
せる工程、(b)必要に応じて、加水分解物を析出させた
無機化合物粒子を洗浄する工程、(c)分散液を80〜3
50℃の温度範囲で水熱処理する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、触媒、触媒担体、光触
媒、化粧材料、光学材料および半導体材料などの用途に
有用な酸化チタン被覆層付球状粒子および該微粒子の製
造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】酸化チタン粒子は、その化学的特
性を利用した用途が広く、たとえば酸素と適当な結合力
を有するとともに耐酸性を有するため、酸化還元触媒あ
るいは担体、紫外線の遮蔽力を利用した化粧材料または
プラスチックの表面コート剤、さらには高屈折を利用し
た反射防止コート材、導電性を利用した帯電防止材とし
て用いられたり、これらの効果を組み合わせて機能性ハ
ードコート材に用いられたり、さらに光触媒作用を使用
した防菌剤、防汚剤、超親水性被膜などに用いられてい
る。
【0003】このように、酸化チタンは多くの用途に用
いられており、いずれの場合であっても酸化チタンには
多くの機能が要求される。たとえば、触媒として酸化チ
タンを用いる場合には、主反応に対する活性だけでな
く、選択性、機械的強度、耐熱性、耐酸性、あるいは耐
久性が求められ、また化粧料として酸化チタンを用いる
場合には、紫外線の遮蔽効果だけでなく、円滑性、肌ざ
わり、透明性などが求められている。さらにコート材と
して酸化チタンを用いる場合には、透明性、高屈折率に
加えて、さらに優れた被膜形成性、基材との密着性、被
膜硬度、機械的強度、耐摩耗性、耐光性、耐候性などが
求められている。
【0004】このような酸化チタン粒子としては、ルチ
ル型の酸化チタン粒子およびアナターゼ型の酸化チタン
粒子が知られている。本出願人は、特開平2−2555
32号において、触媒、触媒担体、光触媒、化粧材料、
光学材料などに用いて有用なルチル型酸化チタン粒子
が、過酸化水素を加えて溶解した水和酸化チタンをスズ
化合物の存在下で加熱することにより、高温で加熱焼成
することなく得られることを提案している。
【0005】また、本出願人は、アナターゼ型結晶酸化
チタン粒子の製造方法として、特開昭63−22913
9号公報にて、含水チタン酸のゲルまたはゾルに過酸化
水素を加えて含水チタン酸を溶解したのち、得られたチ
タン酸水溶液を無機化合物の共存化で加熱してアナター
ゼ型酸化チタンゾルを製造する方法を提案している。近
年、このようなアナターゼ型酸化チタンは、高いバンド
ギャップを有することから光触媒、さらには光エネルギ
ーを電気エネルギーに変換する、いわゆる光電変換材料
として好適に用いられるようになっている。
【0006】しかしながら、従来の結晶性の酸化チタン
微粒子は球状でなく、立方体、直方体、さらには、アス
ペクト比が2以上の針状や繊維状などの粒子衝撃であっ
た。また、特開平1−224220号公報にはタルクや
アルミナ微粒子の表面にアナターゼ型酸化チタンを析出
させた非球状の酸化チタン被覆体が開示されている。し
かしながらこのような粒子は多くの場合、粒子が細密充
填し難く、感触に異物感があったり、また形状や大きさ
の点で均一性に優れた粒子を得ることが困難であった。
【0007】また、極微細な水酸化チタンのゲルや酸化
チタン微粉末の水分散体などを、たとえば噴霧乾燥する
ことにより球状の酸化チタン微粒子が得られるが、粒子
径分布が広く均一性に劣る他、粒子径が約5μm以下の
粒子を高収率で得ることが困難であったり、また粒子強
度が低いために用途に制限があった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、真球度に優れた酸化チタン被
覆層付球状粒子を提供することを目的としている。さら
に詳しくは、粒子径変動係数(CV値)が小さく、触
媒、触媒担体、光触媒、化粧材料、光学材料、光電変換
材料、フォトニック結晶層付基材などに有用な真球状の
酸化チタン微粒子およびその製造方法を提供することを
目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係る酸化チタン被覆層付球状粒
子は、無機化合物粒子と該粒子上に形成された酸化チタ
ン被覆層とからなる酸化チタン被覆層付球状粒子であ
り、酸化チタン被覆層の厚さが10nm〜10μmの範
囲にあり、被覆層付粒子の平均粒子径が0.1〜30μ
mの範囲にあり、真球度が0.7〜1.0の範囲にあるこ
とを特徴としている。
【0010】前記酸化チタン被覆層付球状粒子は、粒子
径変動係数(CV値)が20%以下であることが好まし
い。本発明に係る酸化チタン被覆層付球状粒子の製造方
法は、下記の(a)〜(c)の工程からなることを特徴とす
る: (a)無機化合物粒子分散液に、チタン化合物またはチタ
ン化合物と酸またはアルカリを加えながら加水分解し、
無機化合物粒子表面に加水分解物を析出させる工程 (b)必要に応じて、加水分解物を析出させた無機化合物
粒子を洗浄する工程 (c)分散液を80〜350℃の温度範囲で水熱処理する
工程。
【0011】前記製造方法では、得られた酸化チタン被
覆層付球状粒子の平均粒子径が0.05〜25μmの範
囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が30%以下であ
ることが好ましい。
【0012】
【発明の具体的な説明】以下に、本発明に係る酸化チタ
ン被覆層付球状粒子について説明する。 [酸化チタン被覆層付球状粒子]本発明に係る酸化チタン
被覆層付球状粒子は、無機酸化物粒子の表面に酸化チタ
ン(または水酸化チタン・水和酸化チタン)が被覆され
ている。
【0013】本発明に係る酸化チタン被覆層付球状粒子
は、平均粒子径が0.1〜30μm、好ましくは0.5〜
25μmの範囲にあることが望ましい。酸化チタン被覆
層付球状粒子の平均粒子径が0.1μm未満の場合は、
真球状の酸化チタン微粒子を得ることが困難であり、得
られたとしても使用した場合に真球度が低く、粒子径変
動係数が高い粒子との違いがなくなる傾向にある。
【0014】酸化チタン被覆層付球状粒子の平均粒子径
が30μmを越えると、前記した種々の用途に用いるに
は不向きであり、非球状の酸化チタン微粒子との違いが
なくなる傾向にある。また、酸化チタン被覆層付球状粒
子は、その真球度が0.7〜1.0の範囲にある。さらに
好ましい範囲は0.8〜1.0の範囲である。
【0015】真球度が0.7未満のものは触媒、触媒担
体、光触媒、化粧材料、光学材料、光電変換材料、フォ
トニック結晶層付基材などに用いた場合に、従来の非真
球状の酸化チタン微粒子を用いた場合と大きな違いがな
く、真球状の微粒子を用いることによる効果が充分得ら
れないことがある。たとえば、単純六方格子、面心六方
格子などのよう規則的に密に粒子が配列しにくくなり、
この結果粒子間隙による細孔も均一性・規則性などに劣
るものとなる。
【0016】つぎに、前記酸化チタン被覆層付球状粒子
は、粒子径変動係数(CV値)が20%以下、さらには
10%以下であることが好ましい。酸化チタン被覆層付
球状粒子の粒子径変動係数(CV値)が20%以下であ
れば、酸化チタン被覆層付球状粒子が緻密に規則的に配
列する傾向にある。特に粒子径変動係数(CV値)が1
0%以下であるとスペーサ機能を有し、ギャップ調整用
粒子としても好適である。粒子径変動係数(CV値)が
20%を越えると従来の非真球状の酸化チタン微粒子を
用いた場合と大きな違いがなく、真球状の微粒子である
効果が充分得られないことがある。
【0017】なお、本発明でいう真球度とは、粒子の最
大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比
(DS/DL)をいう。このような真球度は、まず粒子
の走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製:JIS-5300型)
写真を撮影し、非球状の粒子が存在しないことを確認し
た後、任意の粒子10個についてそれぞれ短径(DS)
と最大径(DL)を求め、その比(DS/DL)の平均
値を真球度として求める。
【0018】また、平均粒子径および粒子径の変動係数
は、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製:JIS-5300
型)により写真を撮影し、この画像の100個の粒子に
ついて画像解析装置(旭化成(株)製:1P-1000)を用
いて測定される。粒子径の変動係数(CV値)は、10
0個の粒子の粒子径を用いて下記式から計算によって得
られる。
【0019】CV(%)=(粒子径標準偏差(σ)/平均粒
径(Dn))×100
【0020】
【数1】
【0021】本発明に係る酸化チタン被覆層付球状粒子
を構成する無機化合物粒子は、平均粒子径が0.05〜
25μm、さらには0.1〜20μmの範囲にあること
が好ましい。無機化合物粒子の平均粒子径が前記範囲内
にあると、真球度の高い単分散の粒子を得ることができ
る。またこのような平均粒子径の範囲内にあれば、透明
性が高く、しかも強度に優れた被膜を形成することがで
きる。
【0022】無機化合物粒子の平均粒子径が0.05μ
m未満の場合は無機化合物粒子が小さすぎて得られる酸
化チタン被覆層付球状粒子が凝集したり、無機化合物粒
子が酸化チタン(水酸化チタン・水和酸化チタン)によ
って均一に被覆されず、最終的に真球度が0.7〜1.0
の範囲にある単分散の酸化チタン被覆層付球状粒子が得
られないことがある。
【0023】無機化合物粒子の平均粒子径が25μmを
越えると、最終的に得られる酸化チタン被覆層付球状粒
子も大きくなり、このような粒子径が大きな場合は、真
球度が高く、粒子径変動係数の小さい微粒子であっても
前記した用途に用いるには不向きな場合がある。たとえ
ば、膜に用いると透明性が低下したり視認性が認めら
れ、膜の強度が低下することがあり、化粧料に用いると
ザラザラ感や異物感を伴ったり、光沢が低下したり、紫
外線遮蔽効果が低下すること等がある。
【0024】また、無機化合物粒子の粒子径変動係数
(CV値)は30%以下であることが好ましい。無機化
合物粒子の粒子径変動係数(CV値)が30%を越える
と、粒子径変動係数(CV値)が20%以下の均一な粒
子径の酸化チタン被覆層付球状粒子を得ることが困難と
なる。このような無機化合物粒子としては、平均粒子径
が前記した範囲にある球状粒子であればとくに制限はな
く、シリカ、シリカ・アルミナ、ジルコニア、シリカ・
ジルコニアなどの無機化合物粒子を用いることができ
る。特に、本願出願人の出願による特開平5−1323
09号公報、特開平7−133105号公報等に開示し
たシリカ粒子、シリカ系複合粒子、特開昭63−732
25号公報や特開平3−218915号等に開示したシ
リカ粒子等は真球度が高いので、真球度の高い酸化チタ
ン被覆層付球状粒子を得やすく、好適に用いることがで
きる。
【0025】このような無機化合物粒子表面に形成され
た酸化チタン被覆層の厚さは10nm〜10μm、さら
には20nm〜5μmの範囲にあることが好ましい。酸
化チタン被覆層の厚さが10nm未満の場合は、高屈折
率、紫外線遮蔽、光触媒活性などの酸化チタンの特性が
不充分となり、厚さが10μmを越えると最終的に得ら
れる微粒子の真球度が0.7未満となることがあり、真
球度が低いために非球状の酸化チタン微粒子との違いが
なくなる傾向にある。
【0026】被覆層の厚さ(T)と核粒子の粒子径(D)との
比(T/D)は0.001〜2.5、好ましくは0.005〜2の範囲にあ
ることが好ましい。前記比が0.001未満の場合は被覆層
の厚さが10nm未満となることがあり、酸化チタン被覆の
こうかが充分に発揮できないことがあり、当該比が2.5
を越えると最終的に得られる粒子の真球度が0.7未満と
なることがあり、真球度の高い酸化チタン被覆層付球状
粒子が得られないことがある。
【0027】さらに、被覆層を構成する酸化チタンは無
定型であっても、アナタース型、ルチル型、ブルッカイ
ト型などの結晶性であってもよい。また、酸化チタン
は、水酸化チタンまたは水和酸化チタンなどの水和物で
あってもよく、さらに低次酸化チタンであってもよい。
なお、被覆層を構成する無定型の酸化チタン、各結晶性
酸化チタンは単独であっても混晶であってもよく、また
結晶形の異なる2種以上の酸化チタンから被覆層が形成
されていてもよい。
【0028】このうち、酸化チタン被覆層はアナター
ゼ、ルチル、ブッルカイト型の結晶型を有するものから
なるものが望ましい。本発明では、結晶性酸化チタンの
同定には、以下の面指数、格子定数および強度のデータ
を用いた。混晶の場合は、互いに重なり合わない、●を
付した格子定数に対応するX線回折ピークの存在により
確認する。
【0029】
【表1】
【0030】結晶性については、回折ピークの高さによ
って、高いもの(S)。中程度のもの(M)、低いもの
(W)、ピークの観察されないもの(無定型:am)と
した。 [酸化チタン被覆層付球状粒子の製造方法]ついで、本発
明に係る酸化チタン被覆層付球状粒子の製造方法につい
て具体的に説明する。
【0031】本発明に係る酸化チタン被覆層付球状粒子
の製造方法は、下記の(a)〜(c)の工程からなることを特
徴としている。 (a)無機化合物粒子分散液に、チタン化合物またはチタ
ン化合物と酸またはアルカリを加えながら加水分解し、
無機化合物粒子表面に加水分解物を析出させる工程 (b)必要に応じて、加水分解物を析出させた無機化合物
粒子を洗浄する工程 (c)分散液を80℃〜350℃の温度範囲で水熱処理す
る工程。
【0032】(a)無機化合物粒子表面に加水分解物を析
出させる工程 本発明に係る酸化チタン被覆層付球状粒子の製造方法で
は、まず、無機化合物粒子の水分散液を調製する。無機
化合物粒子としては前記したものが使用される。水分散
液中の無機化合物粒子の濃度は、無機化合物粒子の粒子
径、所望の酸化チタン被覆層の厚さによっても異なる
が、酸化物として1〜60重量%、さらには2〜30重
量%の範囲にあることが好ましい。
【0033】無機化合物粒子の濃度が1重量%未満の場
合は、無機化合物粒子の表面に析出するチタン化合物の
加水分解物の割合が低下するとともに、得られる酸化チ
タン被覆層付球状粒子の無機化合物粒子と酸化チタン被
覆層との密着性が不充分となり、用途によっては被覆層
が剥離することがある。無機化合物粒子の濃度が60重
量%を越えると、得られる酸化チタン被覆層付球状粒子
が凝集することがある。
【0034】ついで、分散液を撹拌しながら、これにチ
タン化合物またはチタン化合物と、酸またはアルカリと
を連続的、断続的、あるいは一時に添加し、無機化合物
粒子表面に加水分解物を析出させる。さらに必要に応じ
て30分間〜5時間程度熟成することが好ましい。加水
分解時の分散液の温度は通常室温であるが、熟成温度は
通常室温〜80℃の温度範囲にすることが望ましい。
【0035】チタン化合物またはチタン化合物と酸また
はアルカリを添加中の分散液、添加後の分散液のpHは
1〜7、さらには2〜6の範囲に調整することが好まし
い。このときのチタン化合物と無機酸化物粒子の混合比
は、チタン化合物をTiO2に換算した重量(Wt)と無
機酸化物粒子の重量(Wo)との比(Wt/Wo)が0.0
5〜10、さらには0.1〜5の範囲にあることが好ま
しい。
【0036】前記重量比が0.05未満では酸化チタン
被覆層の厚さが10nm未満となることがあり、高屈折
率、紫外線遮蔽、光触媒活性などの酸化チタンの特性が
充分発揮されないことがあり、重量比が10を越えると
最終的に得られる微粒子の真球度が0.7未満となるこ
とがあり、真球度の高い酸化チタン被覆層付球状粒子が
得られないことがある。
【0037】このときのチタン化合物としては塩化チタ
ン、硫酸チタン、硫酸チタニルなどのチタン塩、チタン
テトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテ
トライソプロポキシドなどのチタンアルコキシド、水素
化チタン微粉体などを用いることができる。水素化チタ
ン微粉体を用いる場合は必ずしも酸またはアルカリを加
える必要はなく、チタン塩を用いる場合はチタン塩の水
溶液として用いこれにアルカリをアルカリ水溶液として
加えて中和することが好ましく、チタンアルコキシドの
場合はアルコール溶液として用いこれに酸またはアルカ
リを加えて加水分解することが好ましい。酸としては塩
酸、硝酸、硫酸などの他酢酸などの有機酸を用いること
ができ、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムなどのアルカリ金属の他アンモニア、アミンなど
も好適に用いることができる。
【0038】また、チタン化合物として、オルソチタン
酸、オルソチタンや酸化チタンゾルまたはゲルに過酸化
水素水を添加して調製されたペルオキソチタン酸を使用
してもよい。上記工程(a)において、最終的に、酸化チ
タン被覆層が結晶性の酸化チタンからなる被覆層付球状
粒子を得たい場合は、中和あるいは加水分解する際の無
機化合物粒子分散液のpHは7〜13の範囲にあること
が好ましい。分散液のpHが上記範囲にない場合は、酸
化チタン被覆層の結晶性酸化チタンの生成が低下する傾
向がある。
【0039】(b)洗浄工程 ついで、必要に応じて、洗浄する。洗浄することによっ
て、上記塩、酸、アルカリ等に由来する不純物の陽イオ
ン、陰イオン等を除去することができ、酸化チタン被覆
層の結晶性の高い酸化チタン被覆層付球状粒子を得るこ
とができる。このときの不純物量は酸化チタン被覆層の
TiO2の2重量%以下、特に0.5重量%以下の範囲に
あることが好ましい。
【0040】洗浄方法は、不純物を上記範囲に低減でき
ればとくに制限はなく、従来公知の方法を採用すること
ができる。洗浄方法は無機化合物粒子の粒子径によって
も異なるが、たとえば通常の濾過洗浄方法、限外濾過膜
法、イオン交換樹脂法などを採用することができる。(c)水熱処理工程 工程(a)で調製した加水分解物で被覆した無機化合物粒
子の分散液は、あるいは工程(b)で洗浄した分散液は、
80℃〜350℃、好ましくは120〜350℃の温度
範囲で水熱処理する。
【0041】水熱処理温度が80℃未満では、得られる
酸化チタン被覆層付球状粒子の酸化チタン被覆層の形成
に長時間を要したり、酸化チタン被覆層の緻密性や強度
が不足したり、前記した無機酸化物粒子との密着性が不
足することがあり、用途によっては酸化チタン被覆層が
容易に剥離するなどの問題がある。水熱処理温度が35
0℃を越えると、用いる無機酸化物粒子によっては、無
機酸化物とチタンの複合酸化物が生成することがあり、
酸化チタンの特性が損なわれることがある。
【0042】水熱処理温度が上記範囲にあって、分散液
が酸性(分散液のpHが7以下)の場合、酸化チタン被
覆層は概ね無定型である。また分散液をアルカリ性(分
散液のpHが8〜14)の場合、酸化チタン被覆層は概
ね結晶性である。酸化チタン被覆層が結晶性の酸化チタ
ン被覆層付球状粒子を得るために分散液をアルカリ性に
するためには、アルカリとしてNaOHなどのアルカリ
金属水酸化物を用いることができるが、有機塩基および
/またはアンモニアが好ましい。
【0043】有機塩基としては、テトラメチルアンモニ
ウム塩などの第4級アンモニウム塩または水酸化物、モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミンなどのアミン類を挙げることができる。な
お、有機塩基を単独で使用してもよく、またアンモニア
を単独で使用してもよく、さらには有機塩基とアンモニ
アとを組み合わせて使用してもよい。
【0044】添加する有機塩基および/またはアンモニ
アの量は、混合液のpHが上記範囲にあればとくに制限
はなく、また水熱処理温度によっても異なるが、酸化チ
タン被覆層のTiO2のモル数(TM)と有機塩基および/
またはアンモニアのモル数(BM)のモル比(BM/TM)
が0.02〜0.25の範囲にあることが好ましい。(な
お必ずしも有機塩基およびアンモニアは含まれていなく
ともよい) モル比(BM/TM)が概ね0.02以下の場合、酸化チ
タン被覆層は実質的にアナターゼ型酸化チタンのみが生
成したり、無定型酸化チタンが増加する傾向があり、モ
ル比(BM/TM)が概ね0.02〜0.25の範囲にあれ
ば、ブルッカイト型酸化チタンの生成割合が高い傾向に
ある。
【0045】モル比(BM/TM)が0.25を越えても
結晶性がさらに高くなることはなく、むしろ結晶性酸化
チタンの生成割合が低下することがある。こうして得ら
れた酸化チタン被覆層付球状粒子の酸化チタン被覆層
は、アナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタ
ン、ルチル型酸化チタンまたはこれらの混晶であっても
よく、さらに無定型酸化チタンであってもよい。
【0046】酸化チタン被覆層が、上記結晶性酸化チタ
ンを含んでいると、屈折率、誘電率、バンドギャップな
どが高く、また種々化合物を吸着する能力か高く、この
ため触媒、触媒担体とうに有用である。さらに化粧料や
高屈折率ハードコート材に用いると紫外線遮蔽効果が得
られ、光電変換材料として、たとえば光電気セルの半導
体膜に用いた場合は、光増感材の吸着量が高くかつ電子
移動性の高い半導体膜を得ることができるなどの優れた
特徴を有している。
【0047】前記水熱処理した後の酸化チタン被覆層付
球状粒子が分散した分散液は、そのまま目的の用途に供
することができ、またさらに洗浄イオン除去あるいは濃
縮または希釈して用いることもできる。用途によって
は、イソプロパノールなどのアルコール、エチレングリ
コールなどのグリコール、ジメチルホルムアミドなどの
有機溶媒と混合または溶媒置換して酸化チタン被覆層付
球状粒子の有機溶媒分散液として用いることもできる。
【0048】また、水熱処理して得られた酸化チタン被
覆層付球状粒子が分散した分散液は、乾燥して粉体とし
て用いることができ、さらに300〜800℃の温度範
囲で加熱処理し、酸化チタン被覆層付球状粒子の粒子強
度を高めたり、酸化チタン被覆層がアナターゼ型あるい
はブルッカイト型をルチル型に変換して用いることもで
きる。
【0049】上記した本発明により得られる酸化チタン
被覆層付球状粒子粉体をプラスチックの配合剤として用
いれば、プラスチックの紫外線による変質防止など種々
の効果が期待でき、食品包装用のプラスチックシートに
配合すれば、食品の長期保存が可能となる。さらに、紫
外線遮蔽効果、高屈折率、導電性等を示すことから、ガ
ラス、プラスチックなどの基材の表面コート剤として用
いれば、透明性、紫外線遮蔽効果に優れた高屈折率の導
電性被膜が得られる。したがって、高屈折率を要求され
るレンズのコーティング剤、あるいは帯電防止機能が要
求されるブラウン管などの前面板コート剤として有用で
ある。また、合成繊維に酸化チタン被覆層付球状粒子を
配合すると帯電防止繊維を得ることができる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、真球度に優れた酸化チ
タン被覆層付球状粒子およびその製造方法が提供され
る。本発明に係る酸化チタン被覆層付球状粒子は、触
媒、触媒担体、光触媒、化粧材料、光学材料、紫外線遮
蔽剤、食品包装材、光電変換材料などの機能性材料原料
として好適に使用することができる。
【0051】特に、酸化チタン被覆層付球状粒子の酸化
チタン被覆層がアナターゼ、ブルッカイト、ルチルなど
の結晶性酸化チタンを含む場合は、高屈折率域で屈折率
を調節することができ、また光電変換材料として、たと
えば光電気セルの半導体膜に用いた場合は、光増感材の
吸着量が高くかつ電子移動性の高い半導体膜を得ること
ができる。
【0052】
【実施例】以下、実施例により説明するが、本発明はこ
れらの実施例により限定されるものではない。
【0053】
【実施例1】無機化合物粒子の調製 メタノール1000ml、純水200gと濃度15重量
%のアンモニア水105gとを混合し、撹拌しながら、
これにテトラアルコキシシラン(SiO2濃度28重量
%)100gを1時に添加し、10時間撹拌を継続した
後、エバポレーターを用いてアルコールとアンモニアを
除去し、平均粒子径0.5μm、CV値20%、真球度
0.8、濃度10重量%のシリカ粒子分散液を調製し
た。
【0054】この分散液を50℃に昇温し、これにTi
2として濃度5重量%の4塩化チタン水溶液986g
と濃度15重量%のアンモニア水453gを2時間で添
加して、酸化チタン(水和酸化チタン)で被覆したシリ
カ粒子分散液を得た。このときの4塩化チタンのTiO2
とシリカ粒子の重量比Wt/Woは1.76であった。つ
いで、この分散液は両イオン交換樹脂(三菱化学(株)
製:ダイヤイオン SMNUPB)で脱イオンを行った。
【0055】つぎに、分散液には有機塩基を加えること
なく、オートクレーブにて、100℃で5時間水熱処理
をして酸化チタン被覆層付球状粒子(A)の分散液を調
製した。水熱処理した後、乾燥し、酸化チタン被覆層付
球状粒子(A)の平均粒子径、CV値、真球度、結晶性
を評価し、結果を表2に示した。
【0056】
【実施例2】実施例1において、脱イオンを行った分散
液にアルカリとして濃度15重量%のアンモニアを用
い、アンモニアのモル数(Bm)と被覆層のTiO2のモ
ル数(Tm)の比(Bm/Tm)が0.01となるように
し、水熱処理温度を120℃とした以外は実施例1と同
様にして酸化チタン被覆層付球状粒子(B)の分散液を
調製した。水熱処理した後、乾燥し、酸化チタン被覆層
付球状粒子(B)の平均粒子径、CV値、真球度、結晶
性を評価し、結果を表2に示した。
【0057】
【実施例3】実施例1において、脱イオンを行った分散
液にアルカリとして濃度25重量%のテトラメチルアン
モニウムハイドロオキサイド(TMAH)を(Bm/T
m)が0.01となるように用い、水熱処理温度を200
℃とした以外は実施例1と同様にして酸化チタン被覆層
付球状粒子(C)の分散液を調製した。水熱処理した
後、乾燥し、酸化チタン被覆層付球状粒子(C)の平均
粒子径、CV値、真球度、結晶性を評価し、結果を表2
に示した。
【0058】
【実施例4】無機化合物粒子としてシリカ粒子(触媒化
成工業(株):SW、平均粒子径5.84μm、CV値
1.2%、真球度0.99)を用い、濃度2.5重量%の
分散液を調製した。この分散液に、4塩化チタン水溶液
を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタ
ン水溶液78gと濃度15重量%のアンモニア水36g
を3時間で添加して、酸化チタン(水和酸化チタン)で
被覆したシリカ粒子分散液を得た。このときの4塩化チ
タンのTiO2とシリカ粒子の重量比Wt/Woは0.14
であった。
【0059】ついで、この分散液は両イオン交換樹脂
(三菱化学(株)製:ダイヤイオン SMNUPB)で脱イオンを
行った。つぎに、分散液にアルカリとしてテトラメチル
アンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を(Bm
/Tm)が0.01となるように用い、オートクレーブに
て、200℃で5時間水熱処理をして酸化チタン被覆層
付球状粒子(D)の分散液を調製した。水熱処理した
後、乾燥し、酸化チタン被覆層付球状粒子(D)の平均
粒子径、CV値、真球度、結晶性を評価し、結果を表2
に示した。
【0060】
【実施例5】実施例4で調製した酸化チタン被覆層付球
状粒子(D)の分散液から酸化チタン被覆層付球状粒子
(D)を分離し、乾燥し、ついで600℃で2時間加熱
処理して酸化チタン被覆層付球状粒子(E)を調製し、
平均粒子径、CV値、真球度、結晶性を評価し、結果を
表2に示した。
【0061】
【実施例6】実施例4において、TMAHを(Bm/T
m)が0.2となるように用い、オートクレーブにて、3
00℃で5時間水熱処理をした以外は実施例4と同様に
して酸化チタン被覆層付球状粒子(F)の分散液を調製
した。水熱処理した後、乾燥し、酸化チタン被覆層付球
状粒子(F)の平均粒子径、CV値、真球度、結晶性を
評価し、結果を表2に示した。
【0062】
【実施例7】実施例4において、4塩化チタン水溶液
を、TiO2とシリカ粒子の重量比Wt/Woが6.91と
なるように用いた以外は実施例4と同様にして酸化チタ
ン被覆層付球状粒子(F)の分散液を調製した。水熱処
理した後、乾燥し、酸化チタン被覆層付球状粒子(F)
の平均粒子径、CV値、真球度、結晶性を評価し、結果
を表2に示した。
【0063】
【比較例1】無機化合物粒子として、シリカゾル(触媒
化成工業(株):カタロイドSN、平均粒子径10n
m、SiO2濃度20重量%)を用い、これをSiO2濃度
が2.5重量%となるように純粋で希釈し、希釈液を撹
拌しながら、4塩化チタン水溶液を純水で希釈してTi
2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液986gと
濃度15重量%のアンモニア水453gを2時間で添加
した。
【0064】このときの4塩化チタンのTiO2とシリカ
粒子の重量比Wt/Woは1.76であった。得られた分
散液にはゲルの生成が認められた。このため以降の水熱
処理等は実施しなかった。
【0065】
【比較例2】純水300mlに、これを撹拌しながらT
iO2として濃度5重量%の4塩化チタン水溶液986g
と濃度15重量%のアンモニア水543gを2時間で添
加して、4塩化チタンの加水分解した水和酸化チタン粒
子分散液を得た。ついで、この分散液は両イオン交換樹
脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオン SMNUPB)で脱イオン
を行った。
【0066】つぎに、分散液にはアルカリとして濃度2
5重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイ
ド(TMAH)を(Bm/Tm)が0.01となるように
用い、オートクレーブにて、200℃で5時間水熱処理
をして酸化チタン微粒子(G)の分散液を調製した。水
熱処理した後、乾燥し、酸化チタン微粒子(G)の形状
観察と、平均粒子径、CV値、結晶性を評価し、結果を
表2に示した。
【0067】
【比較例3】4塩化チタン水溶液を純水で希釈してTi
2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製し
た。この水溶液を、温度を20℃に調節した濃度15重
量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩
化チタン水溶液添加後のpHは12.2であった。つい
で、生成したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重
量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
【0068】このオルソチタン酸のゲル100gを純水
2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水
素水800gを加え、攪拌しながら、90℃で5時間加
熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られた
ペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は2重量
%であった。ついで、このチタン酸水溶液1000gに
両イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオン SMNU
PB)で脱イオンを行った。
【0069】この脱イオン後のペルオキソチタン酸水溶
液に濃度25重量%のテトラメチルアンモニウムハイド
ロオキサイド(TMAH)をモル比(Bm/Tm)が0.2とな
るように添加した。このときのpHは13.6であっ
た.ついで、TMAHを添加したペルオキソチタン酸水溶液
をオートクレーブに入れ、330℃で15時間水熱処理
して酸化チタン微粒子(H)の分散液を調製した。水熱
処理した後、乾燥し、酸化チタン微粒子(H)の形状観
察と、平均粒子径、CV値、結晶性を評価し、結果を表
2に示した。
【0070】
【表2】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機化合物粒子と該粒子上に形成された酸
    化チタン被覆層とからなる酸化チタン被覆層付球状粒子
    であり、 酸化チタン被覆層の厚さが10nm〜10μmの範囲に
    あり、 被覆層付粒子の平均粒子径が0.1〜30μmの範囲に
    あり、真球度が0.7〜1.0の範囲にあることを特徴と
    する酸化チタン被覆層付球状粒子。
  2. 【請求項2】粒子径変動係数(CV値)が20%以下で
    あることを特徴とする請求項1に記載の酸化チタン被覆
    層付球状粒子。
  3. 【請求項3】下記の(a)〜(c)の工程からなることを特徴
    とする酸化チタン被覆層付球状粒子の製造方法; (a)無機化合物粒子分散液に、チタン化合物またはチタ
    ン化合物と酸またはアルカリを加えながら加水分解し、
    無機化合物粒子表面に加水分解物を析出させる工程 (b)必要に応じて、加水分解物を析出させた無機化合物
    粒子を洗浄する工程 (c)分散液を80〜350℃の温度範囲で水熱処理する
    工程。
  4. 【請求項4】得られた酸化チタン被覆層付球状粒子の平
    均粒子径が0.05〜25μmの範囲にあり、粒子径変
    動係数(CV値)が30%以下であることを特徴とする
    請求項3に記載の酸化チタン被覆層付球状粒子の製造方
    法。
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