JP2014152226A - 表面改質無機複合酸化物微粒子、その製造方法、該微粒子を含む分散液、光学基材用塗布液、光学基材用塗膜および塗膜付基材 - Google Patents

表面改質無機複合酸化物微粒子、その製造方法、該微粒子を含む分散液、光学基材用塗布液、光学基材用塗膜および塗膜付基材 Download PDF

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Abstract

【課題】保管スペースおよび輸送スペースが削減でき、樹脂や有機溶媒などの疎水性媒体に容易に分散でき、透明性が高く、硬度が高く、耐擦傷性、基材との密着性、耐候性および耐光性に優れた塗膜を形成するための無機酸化物微粒子を提供すること。
【解決手段】無機複合酸化物微粒子を、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物と、下記一般式(2)で表され、標準状態での沸点が120℃以下である有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物で表面改質して得られ、炭素原子の含有量が2〜10重量%である表面改質無機複合酸化物微粒子。
Si(OR14-n(OH)n ・・・(1)
2 3Si(OR3) ・・・(2)
【選択図】なし

Description

本発明は、表面改質無機複合酸化物微粒子、その製造方法、該微粒子を含む分散液、光学基材用塗布液、ならびに光学基材用塗膜および塗膜付基材に関する。
無機酸化物微粒子を、シランカップリング剤等により表面改質することで有機溶媒や樹脂などへの分散しやすくする方法が従来知られている。湿式法としては、特開2001−240769号公報(特許文献1)に、M(OR)q(Mは金属元素、qはMの原子価、Rは水素原子、アルキル基等)で表される金属のアルコキシド類および/またはその(部分)加水分解(縮合)物とYmSiXn(Yはアルキル基等の有機官能基、Xはアルコキシ基等の加水分解性基)で表される有機ケイ素化合物および/またはその(部分)加水分解(縮合)物とで無機系微粒子を表面処理することが開示されている。Mの具体例としてはAl,Ti,Zrが挙げられ、無機系微粒子としてはITO微粒子、ATO微粒子、In担持ZnO微粒子が挙げられている。
一方、乾式法としては、特開2008−304686号公報(特許文献2)に、1次粒子径1〜30nmの無機酸化物微粒子に対して、気相中で第1段階処理として4官能無機酸化物前駆体を加えて加熱処理を行い、さらに第2段階処理として1官能表面処理剤を加えて加熱処理した光学用表面改質粒子の製造方法が開示されている。
特開2001−240769号公報 特開2008−304686号公報
これらの表面改質された無機酸化物微粒子は、光学用塗膜形成するため樹脂に分散する充填材として用いられ、強度、硬度および摩耗に対する耐久性等において優れた特性を有している。しかしながら、樹脂や有機溶媒などの疎水性分散媒中において、これらの表面改質された無機酸化物微粒子同士が凝集する傾向があり、その分散液を用いて光学用塗膜を作成すると、塗膜内で機能発現にムラが発生したり、スポット的な不具合を発生したりすることがあり、改善する余地が残されていた。
また、無機酸化物微粒子を塗膜などに配合する際には、得られる塗膜の透明性と強度を向上させることが求められており、特に眼鏡等の光学レンズのハードコート膜やプライマー膜などの用途においては、膜の屈折率の向上が求められている。さらには、無機酸化物微粒子として、保管および輸送において経済性の高い材料が求められている。
上記の事情に鑑み、本発明では、保管スペースおよび輸送スペースが削減でき、樹脂や有機溶媒などの疎水性媒体に容易に分散でき、透明性が高く、硬度が高く、耐擦傷性、基材との密着性、耐候性および耐光性に優れた塗膜を形成するための無機酸化物微粒子、光学基材用塗布液等の分散液、ならびに、これらの特性に優れた塗膜および塗膜付基材を得ることを目的としている。
本発明は、以下の[1]〜[23]を要旨とするものである。
[1]
無機複合酸化物微粒子を、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物と、下記一般式(2)で表され、1気圧状態での沸点が120℃以下である有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物で表面改質して得られ、炭素原子の含有量が2〜10重量%である表面改質無機複合酸化物微粒子。
Si(OR14-n(OH)n ・・・(1)
2 3Si(OR3) ・・・(2)
(式中、R1は炭素数1〜4の非置換のまたは置換された炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよく、nは、0〜3の整数である。
2は炭素数1〜2の非置換のもしくは置換された炭化水素基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、R3は水素原子または炭素数1〜3の非置換のもしくは置換された炭化水素基である。)
[2]
前記無機複合酸化物微粒子がコアシェル構造を有することを特徴とする上記[1]に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
[3]
前記無機複合酸化物微粒子が、
(1)チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、セリウムおよび亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とケイ素とを含む無機複合酸化物であることを特徴とするコア粒子、および
(2)該コア粒子を被覆する、ジルコニウム、アルミニウムおよびアンチモンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素および/またはケイ素を含む酸化物からなるシェル層
から構成されることを特徴とする上記[2]に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
[4]
前記コア粒子を構成する金属元素として、さらにスズ、タングステン、アンチモンおよびインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことを特徴とする上記[2]または[3]に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
[5]
前記無機複合酸化物微粒子が、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、アルミニウム、アンチモン、スズ、タングステン、インジウムおよび亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とケイ素とを含む複合酸化物微粒子、または少なくとも2種の前記金属元素を含む複合酸化物微粒子であることを特徴とする上記[1]に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
[6]
前記無機複合酸化物微粒子が5〜200nmの平均粒子径を有することを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
[7]
前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量をMAと表し、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量をMBと表し、前記無機複合酸化物微粒子の重量をM1と表すと、重量比(MA+MB)/M1が0.4〜2.0の範囲にあることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
[8]
前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の、前記無機複合酸化物微粒子の表面積当りの添加量が0.5〜6.0mg/m2の範囲にあり、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の、前記無機複合酸化物微粒子の表面積当りの添加量が1.5〜4.5mg/m2の範囲にあることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
[9]
上記[1]〜[8]のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子および分散媒を含むことを特徴する表面改質無機複合酸化物微粒子分散液。
[10]
前記分散媒が、有機溶媒または有機溶媒および水であることを特徴とする上記[9]に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子を含む有機溶媒分散液。
[11]
上記[1]に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法であって、
(1)前記無機複合酸化物微粒子の水分散液を準備する工程、
(2)前記水分散液に前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物を添加して前記無機複合酸化物微粒子を表面改質する工程、
(3)前記工程(2)で得られた分散液に含まれる水を有機溶媒に置換する工程、
(4)前記工程(3)で得られた有機溶媒分散液に、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物を添加して前記無機複合酸化物微粒子をさらに表面改質する工程、
(5)前記工程(4)で得られた有機溶媒分散液から前記有機溶媒を除去する工程
を含むことを特徴とする表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法。
[12]
前記工程(4)において、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物を添加して前記無機複合酸化物微粒子を表面改質する操作を1〜10回繰り返し行うことを特徴とする上記[11]に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法。
[13]
前記工程(5)で得られた表面改質無機複合酸化物微粒子に前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物を添加して前記微粒子をさらに表面修飾する工程(6)を含むことを特徴とする、上記[11]または[12]に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法。
[14]
前記無機複合酸化物微粒子の重量をM1と表し、前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量をMAと表し、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量をMBと表すと、(MA+MB)/M1の値が0.4〜2.0の範囲にあることを特徴とする上記[11]〜[13]のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法。
[15]
前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の、前記無機複合酸化物微粒子の比表面積当りの添加量が0.5〜6.0mg/m2の範囲にあり、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の、前記無機複合酸化物微粒子の比表面積当りの添加量が1.5〜4.5mg/m2の範囲にあることを特徴とする上記[11]〜[14]のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法。
[16]
上記[1]〜[8]のいずれかに記載の表面改質無機酸化物微粒子を含む有機溶媒分散液からなる光学基材用塗布液。
[17]
ハードコート層膜形成用塗布液であることを特徴とする上記[16]に記載の光学基材用塗布液。
[18]
プライマー層膜形成用塗布液であることを特徴とする上記[16]に記載の光学基材用塗布液。
[19]
前記光学基材が、プラスチックレンズであることを特徴とする上記[16]〜[18]のいずれかに記載の光学基材用塗布液。
[20]
上記[16]〜[19]のいずれかに記載の光学基材用塗布液から形成された塗膜。
[21]
プラスチック基材と、基材上に形成された上記[16]〜[19]のいずれかに記載の光学基材用塗布液から形成されたプライマー層および/またはハードコート層の塗膜とを有することを特徴とする塗膜付基材。
[22]
前記ハードコート層およびプライマー層のそれぞれが、100体積部の前記表面改質無機酸化物微粒子および200〜1000体積部のマトリックス成分を含有することを特徴とする上記[21]に記載の塗膜付基材。
[23]
前記ハードコート層を有し、前記ハードコート層の前記プラスチック基材側とは反対側の面上に反射防止膜を有することを特徴とする上記[21]または[22]に記載の塗膜付基材。
本発明に係る表面改質無機複合酸化物微粒子は、樹脂や有機溶媒などの疎水性媒体中に容易にナノサイズで分散でき、この表面改質無機複合酸化物微粒子を分散液(たとえば、光学基材用塗布液)などの形態で用いることにより、透明性、硬度、耐擦傷性、密着性、耐候性、耐光性に優れた塗膜を形成することができる。さらに、本発明に係る表面改質無機複合酸化物微粒子は、分散液と比較して輸送経費が低減でき経済性に優れる。
また、本発明に係る塗膜および塗膜付基材は、透明性、硬度、耐擦傷性、密着性、耐候性および耐光性に優れている。
以下、本発明に係る表面改質無機複合酸化物微粒子とその製造方法、該微粒子を含む分散液、光学基材用塗布液、光学基材用塗膜および塗膜付基材について具体的に説明する。
<表面改質無機複合酸化物微粒子>
本発明に係る表面改質無機複合酸化物微粒子は、無機複合酸化物微粒子の表面を、有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物と、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物で表面改質して得られ、炭素原子を2〜10重量%(表面改質無機複合酸化物微粒子の重量を100重量%とする。)含有する。
<無機複合酸化物微粒子>
前記無機複合酸化物微粒子は、屈折率が高いという観点からは、好ましくは、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、セリウムおよび亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とケイ素とを含んでいる。
前記無機複合酸化物微粒子は、金属元素として、さらにスズ、タングステン、アンチモンおよびインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。また、前記微粒子には、その製造方法にもよるが、製造過程のアルカリ金属元素(ナトリウム、カリウム等)が少量残存していてもよい。
前記微粒子としては、前記金属元素とケイ素とを含む複合酸化物微粒子、前記金属元素の酸化物微粒子もしくは複合酸化物微粒子の表面をケイ素含有酸化物で被覆したもの、および前記金属元素とケイ素とを含む複合酸化物微粒子の表面をケイ素含有酸化物で被覆したものが挙げられる。これらの例としては、チタン、スズおよびケイ素の複合酸化物の微粒子、ジルコニウム酸化物とケイ素とを含む複合酸化物微粒子の表面をケイ素含有酸化物で被覆したものなどが挙げられる。
前記微粒子は、好ましくは結晶性の微粒子である。前記微粒子が結晶性であるとは、X線回折パターンより求めた前記微粒子の結晶子径が3nmを超えるものであることを意味する。結晶構造としては、金属元素の種類にもよるが、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型が挙げられる。前記微粒子が結晶性であることにより、前記表面改質無機複合酸化物微粒子は高い屈折率を有する。
前記微粒子の平均粒子径は、好ましくは5〜200nmであり、さらに好ましくは5〜50nmである。この平均粒子径の値は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察された像に基づいて測定された、該微粒子の長軸および短軸方向の長さの平均値の平均値であり、このSEMによる観察の条件は、後述する実施例で採用された条件またはこれと同等の条件である。平均粒子径が上記範囲よりも過度に小さいと、1次粒子同士が凝集しやすい傾向をもつため前記微粒子の分散液が増粘しやすくなり、平均粒子径が上記範囲よりも過度に大きいと、前記微粒子の分散液の透明性が低下する傾向がある。
前記無機酸化物微粒子の形状としては、球状、繊維状、針状、チューブ状、シート状等が挙げられる。
以上のような前記無機酸化物微粒子としては、従来公知の湿式調製法または乾式調製法で得られる無機酸化物微粒子を用いることができ、たとえば、チタニウムを含む無機酸化物微粒子であれば、特開2009−155496号公報に記載された無機酸化物微粒子、特開2010−168266号公報、特開2011−132484号公報、特開2011−136850号公報に記載された無機酸化物微粒子などが挙げられ、ジルコニウムを含む微粒子であれば、特開2012−056816号公報に記載されたコアシェル型無機酸化物微粒子、特開2011−037659号公報に記載された無機酸化物微粒子などを用いることができる。
<有機ケイ素化合物A>
有機ケイ素化合物Aは、下記一般式(1)で表される4官能アルコキシシラン化合物である。
Si(OR14-n(OH)n ・・・(1)
(式中、R1は炭素数1〜4の非置換のまたは置換された炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよく、nは、0〜3の整数である。)
1の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
有機ケイ素化合物Aの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(イソプロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(イソブトキシ)シラン、テトラ(sec−ブトキシ)シラン、テトラ(tert−ブトキシ)シラン、ジエトキシジメトキシシランなどが挙げられる。この中でも特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
<有機ケイ素化合物B>
有機ケイ素化合物Bは、下記一般式(2)で表される1官能アルコキシシランである。
2 3Si(OR3) ・・・(2)
(式中、R2は炭素数1〜2の非置換のもしくは置換された炭化水素基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、R3は水素原子または炭素数1〜3の非置換のもしくは置換された炭化水素基である。)
2の例としては、メチル基、エチル基が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。
3の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
本発明の表面改質無機複合酸化物微粒子が光学基材上の塗膜に用いられる場合に該基材上に塗膜を形成する際の操作温度を考慮すると、有機ケイ素化合物Bとしては、1気圧状態での沸点が120℃以下のものが好ましく、沸点が110℃を越えないものがさらに好ましい。
有機ケイ素化合物Bとしては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル(n−プロピルオキシ)シラン、トリメチル(イソプロピルオキシ)シラン、トリメチル(イソプロぺニルオキシ)シラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシランなどが挙げられる。この中でも特に、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランが好ましい。
本発明に係る表面改質無機複合酸化物微粒子は、有機ケイ素化合物AおよびBに由来する炭素成分を含む。その炭素成分(炭素原子)の量は、表面改質無機複合酸化物微粒子の全重量を100重量%とすると、2〜10重量%の範囲にあり、好ましくは2〜6重量%の範囲にある。炭素原子の量が2重量%よりも少なすぎると表面の疎水性が低くなり非極性分散溶媒に対する分散性が低下し、10重量%よりも多すぎると極性分散溶媒への分散性が低下する。
本発明に係る表面改質無機複合酸化物微粒子の屈折率は、好ましくは1.6〜2.6であり、さらに好ましくは1.7〜2.4である。屈折率が1.6よりも過度に小さいと、光学基材用塗布液を屈折率1.56以上の基材に塗膜した時に外観干渉縞不良を起こし、屈折率が2.6よりも過度に大きいと、バインダー成分に対する前記表面改質無機複合酸化物微粒子の割合を小さくしなければならないために塗膜に所望の機械的強度(耐擦傷性、耐摩耗性)が得られ難い。
<表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法>
本発明に係る表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法としては、好ましくは、下記の工程(1)〜(5)を含む製造方法が挙げられる。
(1)前記無機複合酸化物微粒子の水分散液を準備する工程、
(2)前記水分散液に前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物(以下、これらをまとめて「有機ケイ素化合物A等」ともいう。)を添加して前記無機複合酸化物微粒子を表面改質する工程、
(3)前記工程(2)で得られた水分散液に含まれる水を有機溶媒に置換する工程、
(4)前記工程(3)で得られた有機溶媒分散液に、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物(以下、これらをまとめて「有機ケイ素化合物B等」ともいう。)を添加して前記無機複合酸化物微粒子をさらに表面改質する工程、
(5)前記工程(4)で得られた有機溶媒分散液から前記有機溶媒を除去する工程。
工程(1):
工程(1)では、前記無機複合酸化物微粒子が分散した水分散液を準備する。
前記無機複合酸化物微粒子の詳細は上述のとおりである。
前記水分散液を準備するには、前記無機複合酸化物微粒子を水に分散させて前記水分散液を調製してもよく、あるいは、前記無機複合酸化物微粒子を水分散液の形態で製造してもよい。
工程(2):
工程(2)では、前記水分散液に前記有機ケイ素化合物A等を添加して前記無機複合酸化物微粒子を表面改質する。
前記有機ケイ素化合物Aの詳細は上述のとおりである。
工程(2)は、たとえば、前記工程(1)で準備された水分散液に、該水分散液を撹拌しながら30〜70℃で、有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物を添加し、添加終了後も約1〜20時間撹拌を続けて、前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物を加水分解させ、かつ前記無機複合酸化物微粒子の表面に存在するOH基と反応させることによって行うことができる。また、必要に応じて、水、加水分解触媒等を添加してもよい。
次の工程(3)を行う際には、前記有機ケイ素化合物A等の有する加水分解性基のすべてが、前記無機複合酸化物微粒子の表面に存在するOH基と反応した状態となっていることが好ましいが、その一部が未反応のまま残存した状態であってもよい。
有機ケイ素化合物A等の添加量は、目的物である表面修飾無機複合酸化物微粒子の炭素含量が2〜10重量%となるように、有機ケイ素化合物A、Bの種類や割合などを考慮して設定される。この添加量は、無機複合酸化物微粒子の表面積によっても異なるが、無機複合酸化物微粒子の表面積当たりの添加量が0.5〜6.0mg/m2の範囲となるような量であることが好ましく、1.0〜5.5mg/m2の範囲となるような量であることがさらに好ましい。
有機ケイ素化合物A等の添加量が前記範囲にあると、有機ケイ素化合物Bのトリアルキルシリル基を効率的に無機複合酸化物微粒子表面に結合させることができる。つまり、無機複合酸化物微粒子表面に有機珪素化合物A等の加水分解物であるSi(OH)4を結合させ、このOH基に効率的に有機ケイ素化合物Bのトリアルキルシリル基を結合させることができる。
前記有機ケイ素化合物A等の添加量が小さすぎると、有機ケイ素化合物Bのトリアルキルシリル基を効率的に無機複合酸化物微粒子表面に結合させることができない場合がある。
前記有機ケイ素化合物A等の添加量が大きすぎると、有機ケイ素化合物B等のトリアルキルシリル基の結合がさらに増加したり効率的になったりすることもなく、むしろ無機複合酸化物微粒子表面にOH基が多く残存して、表面改質無機複合酸化物微粒子の疎水性マトリックス形成成分への分散性が低下する場合がある。
工程(3):
次いで、工程(2)で得られた、表面改質された無機複合酸化物微粒子を含む水分散液に含まれる水を、有機溶媒に置換する。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコ-ル等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式化合物などが挙げられる。
この置換操作では、溶媒置換装置として、従来公知の溶媒置換装置、たとえば限外濾過装置やロータリーエバポレーターなどを用いることができる。前記溶媒置換装置の操作条件は、使用する溶媒置換装置や前記有機溶媒の種類などによっても異なるが、たとえば限外濾過装置(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて行う場合には、限界濾過膜を備えた該装置内に、工程(2)で得られた水分散液および水と置換すべき有機溶媒(たとえば、メタノール)を送入し、一般的な条件下(たとえば、ポンプ吐出圧10〜20MPa、溶媒置換後の水分含有量0.1〜5重量%など)で溶媒置換することが好ましい。
前記水分散液に含まれる表面改質された無機複合酸化物微粒子の濃度が、所望する有機溶媒分散液の固形分濃度より遙かに低い場合には、該水分散液を限外濾過装置などを用いて濃縮して、該水分散液の固形分濃度を高めておいてから、前記の置換操作を行うことが好ましい。
工程(4):
工程(4)では、前記工程(3)で得られた前記無機複合酸化物微粒子(有機ケイ素化合物A等により表面改質された無機複合酸化物微粒子)の有機溶媒分散液に、有機ケイ素化合物B等を添加して前記無機複合酸化物微粒子をさらに表面改質をする。
工程(4)は、たとえば、前記工程(3)で得られた有機溶媒分散液に、該有機溶媒分散液を撹拌しながら30〜70℃で、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物を添加し、添加終了後も約1〜20時間撹拌を続けて、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物を加水分解させ、かつ前記無機複合酸化物微粒子(有機ケイ素化合物A等により表面改質された無機複合酸化物微粒子)の表面に存在するOH基と反応させることによって行うことができる。また、必要に応じて、水、加水分解触媒等を添加してもよい。
次の工程(5)を行う際には、前記有機ケイ素化合物B等の有する加水分解性基のすべてが、前記無機複合酸化物微粒子(有機ケイ素化合物A等により表面改質された無機複合酸化物微粒子)の表面に存在するOH基と反応した状態となっていることが好ましいが、その一部が未反応のまま残存した状態であってもよい。
また、工程(4)においては、前記有機ケイ素化合物B等を添加して前記無機複合酸化物微粒子(有機ケイ素化合物A等により表面改質された無機複合酸化物微粒子)を表面改質する操作を複数回(たとえば1〜10回)繰り返し行うことが好ましい。こうすることにより、本発明に係る製造方法で得られる表面改質無機複合酸化物微粒子の表面に前記R2を多く導入し、該微粒子を有機溶媒に分散させ易くすることができる。
有機ケイ素化合物B等の添加量は、目的物である表面修飾無機複合酸化物微粒子の炭素含量が2〜10重量%となるように、有機ケイ素化合物A、Bの種類や割合などを考慮して設定される。この添加量は、無機複合酸化物微粒子の表面積によっても異なるが、無機複合酸化物微粒子の表面積当たりの添加量が1.5〜4.5mg/m2の範囲となるような量であることが好ましく、2.0〜4.2mg/m2の範囲となるような量であることがさらに好ましい。
有機ケイ素化合物B等の添加量が前記範囲にあると、有機ケイ素化合物Bのトリアルキルシリル基を効率的に無機複合酸化物微粒子(有機ケイ素化合物A等により表面改質された無機複合酸化物微粒子)の表面に結合させることができる。
前記有機ケイ素化合物B等の添加量が小さすぎると、有機ケイ素化合物Bのトリアルキルシリル基を効率的に無機複合酸化物微粒子表面に結合させることができない場合がある。
前記有機ケイ素化合物B等の添加量が大きすぎると、さらに有機ケイ素化合物Bのトリアルキルシリル基の結合が増加したり効率的になったりすることもなく、むしろ無機複合酸化物微粒子表面にOH基が多く残存して、表面改質無機複合酸化物微粒子の親水性マトリックス形成成分への分散性が低下する場合がある。
工程(5):
工程(5)では、前記工程(4)で得られた前記表面改質無機複合酸化物微粒子の有機溶媒分散液から分散液を除去する。
この操作では、従来公知の溶媒置換装置、たとえばロータリーエバポレーターや限外濾過装置などを用いることができる。
工程(6):
本発明に係る製造方法は、前記工程(5)で得られた前記表面改質無機複合酸化物微粒子に、有機ケイ素化合物B等を添加して前記微粒子をさらに表面修飾する工程(6)を有していてもよい。
この工程(6)は、前記表面改質無機複合酸化物微粒子を有機溶媒で再分散させて前記微粒子を表面改質する(すなわち工程(4)および(5)を繰り返す)湿式法であってもよく、気密性反応容器中に前記表面改質無機複合酸化物微粒子を入れ、有機ケイ素化合物B等を所定量添加し、密封した後加熱することで前記微粒子を表面改質する乾式(気相)法であってもよい。
工程(6)において、有機ケイ素化合物B等を添加して前記微粒子をさらに表面修飾する操作の回数は、好ましくは1〜10回である。10回を過度に超えて繰り返しても、その効果は微小であり、生産性の面でも好ましくない。
<表面改質無機複合酸化物微粒子を含む光学用塗布液>
本発明に係る光学用塗布液は表面改質無機複合酸化物微粒子、ならびに分散媒としての有機溶媒および/または有機溶媒および水を含んでいる。
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコ-ル等のアルコール化合物、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル化合物、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等のケトン化合物、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式化合物などが挙げられる。
これらの中でも、メタノール等のアルコール化合物およびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル化合物が好ましい。その理由としては、塗布膜の乾燥速度が比較的速く、成膜し易いためである。
本発明に係る塗布液が有機溶媒分散液である場合には、分散媒として、少量(たとえば、全分散媒100重量%に対して10重量%程度の水が含まれていてもよい。
本発明に係る塗布液中の前記表面改質無機複合酸化物微粒子の含有量は、前記塗布液の用途や分散媒の種類等によっても異なるが、前記分散液中に、たとえば5〜80重量%である。本発明に係る有機溶媒分散液を後述する光学基材用塗布液(ハードコート層膜形成用塗布液、プライマー層膜形成用塗布液など)として用いる場合であれば、前記表面改質無機複合酸化物微粒子の含有量は、好ましくは10〜50重量%である(分散液の全量を100重量%とする。)。
<光学基材用塗布液、該塗布液を用いて形成した塗布膜および塗布膜付基材>
<光学基材用塗布液>
本発明に係る表面改質無機複合酸化物微粒子の有機溶媒分散液は、たとえば、光学基材用塗布液、具体的には下記の2種の塗布液として使用することができる。
a.ハードコート層膜形成用塗布液
b.プライマー層膜形成用塗布液
a.ハードコート層膜形成用塗布液:
このハードコート層膜形成用塗布液は、本発明に係る表面改質無機複合酸化物微粒子の有機溶媒分散液からなり、さらに、バインダー成分(マトリックス成分)としての有機ケイ素化合物(C)(すなわち、ビヒクル成分)を含有する。
前記有機ケイ素化合物(C)としては、下記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物が挙げられる。
4 a5 bSi(OR64-(a+b) (3)
(式中、R4は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R5は炭素数3以下のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリル基であり、R6は炭素数3以下のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
前記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物としては、アルコキシシラン化合物がその代表例として挙げられ、具体的には、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、α−グルシドキシメチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどがある。これらの中でも、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシランなどを使用することが好ましい。これらの有機ケイ素化合物は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記ハードコート層膜形成用塗布液を調製する際に、前記有機ケイ素化合物(C)は、好ましくは、無溶媒下またはアルコール等の極性有機溶媒中で、酸および水の存在下で部分加水分解または加水分解した後に、上述した表面改質無機複合酸化物微粒子の有機溶媒分散液(前記有機ケイ素化合物(C)を含まない前記有機溶媒分散液)と混合される。前記有機ケイ素化合物(C)は、前記有機溶媒分散液と混合した後に、部分加水分解または加水分解されてもよい。
前記ハードコート層膜形成用塗布液は、ハードコート層膜の染色性や、プラスチックレンズ基材等への密着性を向上させ、更にはクラックの発生を防止するために、上記の成分に加えて、未架橋エポキシ化合物を含有していてもよい。この未架橋エポキシ化合物としては、たとえば1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテルなどを使用することが好ましい。また、これらの未架橋エポキシ化合物は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい
さらに、前記ハードコート層膜形成用塗布液は、ハードコート層膜形成用塗布液に通常含まれることのある上記以外の成分、たとえば界面活性剤、レベリング剤または紫外線吸収剤などを含んでいてもよい。
前記ハードコート層膜形成用塗布液中の前記有機ケイ素化合物(C)の量は、好ましくは、前記表面改質無機複合酸化物微粒子100体積部に対し、200〜1000体積部である。
b.プライマー層膜形成用塗布液:
このプライマー層膜形成用塗布液は、本発明に係る表面改質無機複合酸化物微粒子の有機溶媒分散液からなり、さらに、バインダー成分(マトリックス成分)としての熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂(D)(すなわち、樹脂成分)を含有する。
前記熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂(D)としては、熱硬化性樹脂であれば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂およびメラミン系樹脂などが挙げられ、これらの中でも、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂が好ましい。
前記ウレタン系樹脂としては、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート等のブロック型ポリイシシアネートとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の活性水素含有化合物との反応物が挙げられ、また前記エポキシ樹脂としては、たとえばポリアルキレンエーテル変性エポキシ樹脂や分子鎖に柔軟性骨格(ソフトセグメント)を導入したエポキシ基含有化合物が挙げられ、前記メラミン系樹脂としては、たとえばエーテル化メチロールメラミンとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールとの硬化物が挙げられる。これらの中でも、ブロック型イシシアネートとポリオールとの硬化物であるウレタン系樹脂が好ましい。また、これらの熱硬化性樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、前記熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂(D)としては、熱可塑性樹脂であれば、としては、たとえばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびエステル系樹脂が挙げられ、これらの中でも、ウレタン系樹脂およびエステル系樹脂が好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、たとえば(メタ)アクリル酸アルキスエステルモノマーから得られる水系エマルジョンや前記モノマーとスチレン、アクリロニトリル等とを共重合させたポリマーエマルジョンが挙げられ、また前記ウレタン系樹脂としては、たとえばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリオール化合物とポリイシシアネートとを反応させてなる水系エマルジョンが挙げられ、前記エステル系樹脂としては、たとえばハードセグメントにポリエステル、ソフトセグメントにポリエーテルまたはポリエステルを用いたマルチブロック共重合体の水分散型エラストマーが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールとポリイシシアネートから得られる水分散型ウレタン系樹脂を使用することが好ましい。また、これらの熱可塑性樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
さらに、前記プライマー層膜形成用塗布液は、プライマー層膜形成用塗布液に通常含まれることのある上記以外の成分、たとえば中和剤、界面活性剤または紫外線吸収剤などを含んでいてもよい。
前記プライマー層膜形成用塗布液中の前記熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂(D)の量は、好ましくは、前記表面改質無機複合酸化物微粒子100体積部に対し、200〜1000体積部である。
<光学基材用塗膜(硬化膜)および塗膜付基材>
前記光学基材用塗布液を塗布するための光学基材としては、各種のプラスチック基材が挙げられ、これを光学レンズとして使用する場合には、たとえばポリスチレン樹脂、アリル樹脂(特に、芳香族系アリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ポリチオウレタン樹脂、ポリチオエポキシ樹脂などで構成されたプラスチックレンズ基材が挙げられる。また、光学レンズ以外に用いられるプラスチック基材としては、たとえばPMMA樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、ポリサルフォン樹脂などで構成されたプラスチック基材が挙げられる。
また、昨今では、1.7以上、さらに詳しくは1.71〜1.81の比較的高い屈折率を有する光学基材(プラスチックレンズ基材など)が開発されているが、本発明に係る光学基材用塗布液は、これらの高屈折光学基材にも適用することができる。一方、本発明に係る光学基材用塗布液は、1.50〜1.70、さらに詳しくは1.52〜1.67の比較的低い屈折率を有する光学基材にも適用することができる。
前記プライマー層膜形成用塗布液は、従来公知の方法で前記光学基材上に直接、塗布される。一方、前記ハードコート層膜形成用塗布液は、従来公知の方法で前記光学基材上に直接、塗布されるか、あるいは前記プライマー層膜形成用塗布液から形成された塗膜(プライマー層膜)上に塗布される。
このようにして光学基材上に形成された塗膜は、従来公知の方法で硬化させることにより、所望の光学基材用塗膜(硬化膜)、すなわちハードコート層膜やプライマー層膜が形成される。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
[測定方法および評価試験方法]
本発明の実施例その他で使用された測定方法および評価試験方法は以下の通りである。
(1)平均粒子径の測定方法
無機複合酸化物微粒子および表面改質無機複合酸化物微粒子(以下、これらを区別せずに「無機複合酸化物微粒子等」ともいう。)の平均粒子径は、次のように測定した。まず、無機複合酸化物微粒子等を含む分散液(または混合液)を水分散ゾルの場合は蒸留水で、メタノール分散ゾルの場合はメタノールにて約1,000倍希釈してコロジオン膜付金属グリッド(応研商事(株))に塗布し250Wランプにて30分間照射して溶媒を飛散し測定用サンプルを調製した。この測定用サンプルを用いて、高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテクノロジーズ製、S−5500)を用いて、加速電圧30kVの条件下、倍率25万倍でSEM写真を撮影し、この写真に撮影された任意の100個以上の無機複合酸化物微粒子等の粒子径についてそれぞれ目視で観察し、それらの平均をとることにより求めた。
(2)比表面積の測定方法
無機複合酸化物微粒子等を含む分散液を乾燥させて得られた粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間乾燥後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、粒子の比表面積(m2/g)をBET法にて測定した。
(3)無機複合酸化物微粒子等の組成分析方法
<チタニウム、ケイ素、スズの含有量>
固形分濃度10重量%の無機複合酸化物微粒子等を含む水分散液(または混合液)3gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取し、乾燥(200℃、20分)させ、焼成(700℃、5分)した後、Na22 2gおよびNaOH 1gを加えて15分間溶融した。さらに、HCl 50mlと水200mlを加えて溶解したのち、純水で500mlになるよう希釈して試料とした。得られた試料について、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて、チタニウム、スズ、ケイ素の含有量を酸化物換算基準(TiO2、SnO2、SiO2)で測定した。
<アルミニウム、ジルコニウム、ナトリウム、カリウムの含有量>
固形分濃度10重量%の無機複合酸化物微粒子等を含む水分散液(または混合液)9gを容量100mlの白金皿に採取し、サンドバス上で200℃で20分間加熱して乾燥させた後、バーナーで700℃、5分間加熱して有機物を除去後、HF 10mlおよびH2SO4 5mlを加えて白煙が出るまで加熱した。さらに、これを100mlとなるように純水で希釈した後、アルミニウムおよびジルコニウムはICP装置((株)島津製作所製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて酸化物換算基準(Al23,ZrO2)で測定し、ナトリウムおよびカリウムは原子吸光装置((株)日立製作所製、Z−5300、ソフトウェアZ−2000)を用いて酸化物換算基準(Na2O、K2O)で測定した。
<炭素の含有量>
無機複合酸化物微粒子等0.1gを測定用ルツボに採取し、酸素気流中燃焼(高周波加熱炉方式)−赤外線吸収法の炭素分析装置((株)堀場製作所製、EMIA−520FA)を使用して炭素を定量測定した。
(4)水分量の測定方法
無機複合酸化物微粒子等の分散液(または混合液)を約0.1ml採取し、カールフィッシャー法水分測定装置((株)三菱化学アナリテック製、CA−200)を用いて水分量を測定した。
(5)結晶性の測定方法
無機複合酸化物微粒子等の分散液(または混合液)を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、110℃で12時間加熱して乾燥させた後、デシケータに入れて室温まで冷却した。次に、冷却物を乳鉢で15分間粉砕した後、X線回折装置(理学電気(株)製、RINT1400)を用いて結晶形態を測定した。なお、本発明でいう結晶形態は、この測定結果から判定された形態(たとえば、ルチル型など)を示す。
(6)液ヘーズの測定
無機複合酸化物微粒子等をメタノールに再分散させて固形分濃度を20重量%に調製した有機溶媒分散ゾル20.0gを光路長33mmの石英セルに入れ、色差・濁度測定器(日本電色工業(株)製、COH−300A)を用いて前記有機溶媒分散ゾルの液ヘーズを測定した。
(硬化塗膜の測定)
(7)膜硬度(Bayer値)の測定方法
磨耗試験機BTM(米コルツ社製)およびヘーズ値測定装置(NIPPON DENSHOKU製、NDH2000)を使用し、実施例または比較例の分散液を用いて作製したプラスチックレンズ基板(以下「被試験レンズ」ともいう。)と基準レンズとのヘーズ値の変化に基づいてBayer値を算出した。基準レンズとしては、市販のプラスチックレンズ基材CR−39基材(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、PPG社製モノマー使用、基材の屈折率1.60)を使用した。
具体的には、まずそれぞれのレンズのヘーズ値を測定し、基準レンズの初期ヘーズ値をD(std0)、被試験レンズの初期ヘーズ値をD(test0)とした。それぞれのレンズを上記磨耗試験機のパンに設置し、その上に研磨材(専用砂)500gを充填し、パンを600回左右に振動させた。振動後のレンズのヘーズ値を測定し、基準レンズのヘーズ値をD(stdf)、被試験レンズのヘーズ値をD(testf)とした。Bayer試験値(R)を以下の数式から算出した。
R=[D(stdf)−D(std0)]/[D(testf)−D(test0)]
(8)塗膜の外観(干渉縞)の評価方法
内壁が黒色である箱の中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック(株)製、三波長型昼白色蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の光を実施例または比較例の分散液を用いて作製されたプラスチックレンズ基板のハードコート層膜または反射防止層膜表面で反射させ、光の干渉による虹模様(干渉縞)の発生を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
S:干渉縞が殆ど無い
A:干渉縞が目立たない
B:干渉縞が認められるが、許容範囲にある
C:干渉縞が目立つ
D:ぎらつきのある干渉縞がある。
(9)塗膜の外観(曇り)の評価方法
内壁が黒色である箱の中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック(株)製、三波長型昼白色蛍光灯)を取り付け、プラスチックレンズ基板を蛍光灯の直下に、ハードコート層膜側または反射防止層膜側を蛍光灯に向けて置き、これらの透明度(曇りの程度)をヘーズメーター(NIPPON DENSHOKU製、NDH2000)にて確認し、以下の基準で評価した。
A:ヘーズ値が0.3%未満
B:ヘーズ値が0.3%以上〜1.0%未満
C:ヘーズ値が1.0%以上〜5.0%未満
D:ヘーズ値が5.0%以上。
(10)塗膜の耐擦傷性の評価方法
実施例または比較例で作製したプラスチックレンズ基板のハードコート層膜側または反射防止層膜側の表面を、ボンスタースチールウール♯0000(日本スチールウール(株)製)に1kgの荷重をかけ、幅1cm、3cmの距離を50往復/100秒の条件で擦った後、スチールウール摺動面積に対する傷自体の面積を目視にて判定し、以下の基準で評価した。
A:2%未満
B:2%以上〜30%未満
C:30%以上〜60%未満
D:60%以上。
(11)塗膜の密着性の評価方法
ハードコート層膜を有するプラスチックレンズ基板のハードコート層膜側または反射防止層膜側の表面に、ナイフにより1mm間隔で切れ目を入れ、1平方mmのマス目を100個形成し、セロハン製粘着テープを、これらのマス目に強く押し付けた後、プラスチックレンズ基板の面内方向に対して90度方向へ急激に引っ張り、この操作を合計5回行い、剥離していないマス目の数を数え、以下の基準で評価した。
○:剥離していないマス目の数が95個以上
×:剥離していないマス目の数が95個未満。
(12)塗膜の耐候的な密着性(耐候的密着性)の評価方法
ハードコート層膜を有するプラスチックレンズ基板をキセノンウエザーメーター(スガ試験機(株)製、X−75型)で曝露試験をした後、外観の確認および前記の密着性の評価と同様の評価を行い、以下の基準で評価した。なお、曝露時間は、反射防止膜を有している基板は250時間、反射防止膜を有していない基板は50時間とした。
○:剥離していないマス目の数が95個以上
×:剥離していないマス目の数が95個未満。
(13)塗膜の耐光性の評価方法
退色試験用水銀ランプ(東芝(株)製、H400−E)により紫外線を50時間照射し、試験前後のプラスチックレンズ基板の透過率測定(日本電子(株)製、V−550)を行い、以下の基準で評価した。なお、ランプとプラスチックレンズ基板との距離は、70mmとし、ランプの出力は、プラスチックレンズ基板の表面温度が45±5℃となるように調整した。また、この試験は、反射防止層膜をハードコート層膜の表面に設けたプラスチックレンズ基板を対象として行った。
○:透過率変化が5%未満
△:透過率変化が5%以上〜10%未満
×:透過率変化が10%以上。
(14)粒子の屈折率測定方法
無機複合酸化物微粒子等の屈折率は、塗膜屈折率からの算定法を採用して求めた。具体的には、特開2010−168266号公報の[0105]〜[0110]に記載した手順により塗膜を作成し、分光エリプソメーター(ソプラ社製、SOPRA ESVG)を用い、屈折率を測定し算定した。
A.微粒子分散液、塗料組成物等の調製
[実施例1]
<工程(1)>
(操作1.1)無機複合酸化物微粒子1bの調製
a.コア粒子1aの調製
四塩化チタン(大阪チタニウムテクノロジ-ズ(株)製)をTiO2換算基準で2.0重量%含む四塩化チタン水溶液100kgと、アンモニアを15重量%含むアンモニア水(宇部興産(株)製)39kgとを混合して、pH8.5の白色スラリー液を調製した。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、固形分含有量が10重量%の含水チタン酸ケーキ20kgを得た。
次に、このケーキ20kgに、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水(三菱瓦斯化学(株)製)22.84kgと純水57.16kgとを加えた後、80℃の温度で1時間、撹拌下で加熱して、過酸化チタン酸をTiO2換算基準で2重量%含む過酸化チタン酸水溶液100kgを得た。この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次いで、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgに、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を15重量%含むシリカゾル(日揮触媒化成(株)製、シリカゾルSN−350)496.5gと純水29.45kgとを混合して、オートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、120L)中にて165℃の温度で18時間、水熱処理をした。
次に、得られた水溶液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、ACV−3010)を用いて濃縮して、固形分含有量が10重量%の水分散液5.245kgを得た。
このようにして得られた水分散液中に含まれる無機酸化物微粒子を上記の方法で測定したところ、アナターゼ型結晶構造を有する、チタンおよびケイ素を含む複合酸化物微粒子(以下、「無機複合酸化物微粒子1a」という)であった。さらに、この無機複合酸化物微粒子1a中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO288.0重量%およびSiO212.0重量%であった。
b.シェル層の形成
オキシ塩化ジルコニウム(太陽鉱工(株)製)をZrO2換算基準で2重量%含むオキシ塩化ジルコニウム水溶液26.3kgに、アンモニアを15重量%含むアンモニア水を撹拌下で徐々に添加して、ジルコニウムの水和物を含むpH8.5のスラリー液を得た。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、ジルコニウム成分をZrO2換算基準で10重量%含むケーキ5.26kgを得た。
次に、このケーキ200gに純水1.80kgを加え、さらに水酸化カリウム(関東化学(株)製)を10重量%含む水酸化カリウム水溶液120gを加えてアルカリ性にした後、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水400gを加えて、50℃の温度に加熱してこのケーキを溶解した。さらに純水1.48kgを加えて、過酸化ジルコン酸をZrO2に換算基準で0.5重量%含む過酸化ジルコン酸水溶液4.0kgを得た。なお、この過酸化ジルコン酸水溶液のpHは、12.2であった。
一方、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)を純水にて希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、珪酸をSiO2換算基準で2重量%含む珪酸水溶液を得た。なお、この珪酸水溶液のpHは、2.3であった。
次に、前記操作(a.コア粒子1aの調製)で得られた無機複合酸化物微粒子1aを含む水分散液3.0kgに純水12.0kgを加えて撹拌することにより、固形分含有量が2重量%の水分散液を得た。次いで、この水分散液を90℃の温度に加熱した後、これに前記過酸化ジルコン酸水溶液14.2kgと珪酸水溶液10.7kgとを徐々に撹拌しながら添加し、さらに添加終了後、90℃の温度に保ちながら攪拌を1時間継続した。
次いで、この混合液をオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、50L)に入れて、165℃の温度で18時間、水熱処理を行った。
次に、得られた混合液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、SIP−1013)で濃縮して、固形分含有量が10重量%の水分散液5.85kgを得た。
このようにして得られた水分散液中に含まれる無機複合酸化物微粒子を上記の方法で測定したところ、アナターゼ型の結晶構造を有する、チタンおよびケイ素を含む複合酸化物微粒子(コア粒子)の表面を、ジルコニウムおよびケイ素を含む複合酸化物(被覆物)で被覆してなる無機複合酸化物微粒子(以下、「無機複合酸化物微粒子1b」という)であった。なお、この無機複合酸化物微粒子1bを含む水分散液の外観は、透明な淡乳白色であった。
前記無機複合酸化物微粒子1b中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が50.1重量%、SiO2が30.2重量%、ZrO2が14.4重量%およびK2Oが5.3重量%であった。
さらに、前記無機複合酸化物微粒子1bの平均粒子径は8nmであり、乾燥紛体の比表面積は230m2/gであり、炭素量は0重量%であった。
<工程(2)>
(操作1.2)表面改質無機複合酸化物微粒子1Aの混合分散液の調製
操作1.1で得られた無機複合酸化物微粒子1bの水分散液5.85kg(固形分含量:10重量%)に陽イオン交換樹脂を混合して脱イオン処理をして、イオン交換樹脂を分離した分散液に、前記有機ケイ素化合物Aである、表面処理剤としてのテトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製、沸点168℃)448gを溶解させたメタノール溶液6.30kgを添加した後、50℃の温度で1時間、加熱撹拌して、表面改質無機複合酸化物微粒子1Aの水・メタノール混合分散液を調製した。有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、無機複合酸化物微粒子1bの重量をM1とした時に、重量比(MA/M1)は0.77であった。
<工程(3)>
(操作1.3)表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液の調製
次に、上記操作1.2で得られた表面改質無機複合酸化物微粒子1Aの混合分散液を室温まで冷却してから、限外濾過膜を用いて分散媒を水からメタノール(中国精油(株)製)に置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜(旭化成(株)製、SIP−1013)で濃縮して、固形分含有量が30重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液1.95kgを調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子1A中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が47.6重量%、SiO2が36.3重量%、ZrO2が13.4重量%およびK2Oが2.6重量%であった。
さらに、前記表面改質無機複合酸化物微粒子1Aの分散液の水分量は0.2重量%であり、乾燥紛体の比表面積は236m2/gであり、炭素量は0.8重量%であった。
<工程(4)>
(操作1.4)表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の調製
操作1.3で得られた表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液1.95kgに、前記有機ケイ素化合物Bである、表面処理剤としてのメトキシトリメチルシラン(信越化学工業(株)製、沸点58℃)175.5gを撹拌下で添加した後、50℃の温度で18時間、加熱撹拌した。メトキシトリメチルシランの重量MBとし、無機複合酸化物微粒子1bの重量をM1とした時の重量比(MB/M1)は0.30であった。
さらに、このようにして得られた分散液に、再び表面処理剤としてのメトキシトリメチルシラン(信越化学工業(株)製)175.5gを撹拌下で添加した後、50℃の温度で18時間加熱撹拌し、表面改質無機複合酸化物微粒子1を含むメタノール分散液を得た。
メトキシトリメチルシランの重量MBとし、無機複合酸化物微粒子1bの重量をM1とした時の重量比(MB/M1)は0.30であった。
表面改質無機複合酸化物微粒子4のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作1.5)表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液からの溶媒の除去
上記で得られた表面改質無機複合酸化物微粒子1を含む分散液を、ロータリーエバポレーターにて圧力を200hPaになるまで徐々に下げながら、浴槽温度50℃で1時間乾燥して、616gの表面改質無機複合酸化物微粒子1を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子1中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が46.4重量%、SiO2が38.2重量%、ZrO2が12.9重量%およびK2Oが2.5重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子1中の炭素量は3.1重量%であり、その比表面積は238m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子の重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は1.37であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子1における、無機複合酸化物微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の添加量は3.33mg/m2であり、微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の添加量は2.61mg/m2であった。
(操作1.6)表面改質無機複合酸化物微粒子の分散液(MP−1)の調製
前記操作1.5で得られた表面改質無機複合酸化物微粒子1のうちの200.0gを、メタノール(中国精油(株)製)に添加し撹拌することで、表面改質無機複合酸化物微粒子1が固形分濃度20重量%で再分散したメタノール分散液(MP−1)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子1の平均粒子径は8nmであり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子1bの平均粒子径から変化していなかった。さらに、分散液(MP−1)は透明な淡乳白色であり、その液ヘーズは54%であった。
(操作1.7)ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)205.0gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)36.3gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液69.9gを滴下した。更に、得られた混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)163.8gおよび前記操作1.6で調製した固形分濃度20重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液(MP−1)475.1g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)8.2gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)を調製した。
(操作1.8)ハードコート層膜形成用塗料組成物(H2)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)168.3gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)29.8gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液57.4gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)37.7gおよび前記操作1.6で調製した固形分濃度20重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液(MP−1)658.4g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)6.7gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H2)を調製した。
(操作1.9)プライマー層膜形成用塗料組成物(Y1)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)243.6gを入れた容器を用意し、これに、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)450.2gおよび前記操作1.6で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液(MP−1)190.0gおよびイオン交換水97.1gを加えて、1時間攪拌した。
次いで、得られた混合液に、レベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(Y1)を調製した。
(操作1.10)プライマー層膜形成用塗料組成物(Y2)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)207.6gを入れた容器を用意し、これに、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)450.2gおよび前記操作1.6で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液(MP−1)242.9gおよびイオン交換水96.9gを加えて、1時間攪拌した。
次いで、得られた混合液に、レベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(Y2)を調製した。
[実施例2]
<工程1>
(操作2.1)無機複合酸化物微粒子2の調製
a.コア粒子2aの調製
四塩化チタン(大阪チタニウムテクノロジ-ズ(株)製)をTiO2換算基準で7.75重量%含む四塩化チタン水溶液93.7kgと、アンモニアを15重量%含むアンモニア水(宇部興産(株)製)36.3kgとを混合し、pH9.5の白色スラリー液を調製した。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、固形分含有量が10重量%の含水チタン酸ケーキ72.6kgを得た。
次に、このケーキに、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水(三菱瓦斯化学(株)製)83.0kgと純水411.4kgとを加えた後、80℃の温度で1時間、撹拌下で加熱し、さらに純水159.0kgを加えて、過酸化チタン酸をTiO2換算基準で1重量%含む過酸化チタン酸水溶液を726.0kg得た。この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.5であった。
次いで、前記過酸化チタン酸水溶液72.9kgに陽イオン交換樹脂3.5kgを混合して、これに、スズ酸カリウム(昭和化工(株)製)をSnO2換算基準で1重量%含むスズ酸カリウム水溶液9.1kgを撹拌下で徐々に添加した。
次に、カリウムイオンなどを取り込んだ陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を分離した後、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を15重量%含むシリカゾル(日揮触媒化成(株)製、SN−350)0.8kgと純水18.0kgとを混合して、オートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、120L)中で165℃の温度で18時間、加熱することにより、チタニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の水分散液を得た。
得られた水分散液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、ACV−3010)で濃縮して、固形分含有量が10重量%の水分散液9.7kgを得た。
この水分散液の中に含まれるコア粒子はルチル型の結晶構造を有し、このコア粒子に含まれる金属元素の含有量を測定したところTiO2が75.2重量%、SnO2が9.3重量%、SiO2が12.2重量%およびK2Oが3.3重量%であった。
b.シェル層の形成
オキシ塩化ジルコニウム(太陽鉱工(株)製)をZrO2換算基準で2重量%含むオキシ塩化ジルコニウム水溶液26.3kgに、アンモニアを15重量%含むアンモニア水を撹拌下で徐々に添加して、pH8.5のスラリー液を得た。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、ジルコニウム成分をZrO2に換算基準で10重量%含むケーキ5.26kgを得た。
次に、このケーキ200gに純水1.80kgを加え、さらに水酸化カリウム(関東化学(株)製)を10重量%含む水酸化カリウム水溶液120gを加えてアルカリ性にした後、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水400gを加えて、50℃の温度に加熱してこのケーキを溶解した。さらに、純水1.48kgを加えて、過酸化ジルコン酸をZrO2換算基準で0.5重量%含む過酸化ジルコン酸水溶液4.0kgを得た。なお、この過酸化ジルコン酸水溶液のpHは、12.2であった。
一方、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)を純水にて希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、珪酸をSiO2換算基準で2重量%含む珪酸水溶液を得た。なお、この珪酸水溶液液のpHは、2.3であった。
次に、前記操作(a.コア粒子2aの調製)で得られた、チタニウムを主成分とするコア粒子を含む水分散液4.68kgに純水18.70kgを加えて固形分含有量を2重量%としたものを、90℃の温度に加熱した後、これに前記過酸化ジルコン酸水溶液5.85kgと珪酸水溶液4.38kgとを徐々に添加し、さらに添加終了後、90℃の温度に保ちながら攪拌下で1時間熟成した。
次いで、この混合液をオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、50L)に入れて、160℃の温度で18時間、加熱処理を行なったのち、室温まで冷却して、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて固形分含有量10重量%に濃縮することにより、チタニウムを主成分とするコア粒子の表面を、ジルコニウムとケイ素を含む複合酸化物からなるシェルで被覆してなるコアシェル型微粒子2b(無機複合酸化物微粒子2b)の水分散液5.85kgを調製した。
このコアシェル型微粒子の結晶構造はルチル型であった。
このコアシェル型微粒子2bに含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が61.5重量%、SnO2が7.6重量%、SiO2が22.2重量%、ZrO2が4.8重量%およびK2Oが3.9重量%であった。
また、このコアシェル型微粒子2bの平均粒子径は12nmであり、乾燥紛体の比表面積は218m2/gであり、炭素量は0重量%であった。
<工程(2)>
(操作2.2)表面改質無機複合酸化物微粒子2Aの混合分散液の調製
実施例1の操作1.1で調製した無機酸化物微粒子1bの水分散液5.85kgの代わりに前記操作2.1で調製した無機複合酸化物微粒子2bの水分散5.85kgを用いたこと以外は実施例1の操作1.2と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子2Aの水・メタノール混合分散液を調製した。
<工程(3)>
(操作2.3)表面改質無機複合酸化物微粒子2Aのメタノール分散液の調製
実施例1の操作1.2で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1Aの混合分散液の代わりに前記操作2.2で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子2Aの混合分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子2Aのメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子2Aのメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子2A中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が57.3重量%、SnO2が7.0重量%、SiO2が29.4重量%、ZrO2が4.2重量%およびK2Oが2.2重量%であった。
さらに、前記表面改質無機複合酸化物微粒子2Aの分散液の水分量は0.2重量%であり、乾燥紛体の比表面積は222m2/gであり、炭素量は0.7重量%であった。
<工程(4)>
(操作2.4)表面改質無機複合酸化物微粒子2を含むメタノール分散液の調製
実施例1の操作1.3で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液の代わりに前記操作2.3で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子2Aのメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.4と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子2のメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子2のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作2.5)表面改質無機複合酸化物微粒子2のメタノール分散液からの溶媒の除去
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作2.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子2のメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子2を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子2中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が55.5重量%、SnO2が7.0重量%、SiO2が31.4重量%、ZrO2が4.0重量%およびK2Oが2.1重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子2の炭素量は3.2重量%であり、その比表面積は225m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子2bの重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は1.37であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子2における、無機複合酸化物微粒子2bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の添加量は3.51mg/m2であり、微粒子2bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の添加量は2.75mg/m2であった。
(操作2.6)表面改質無機複合酸化物微粒子の分散液(MP−2)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作2.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子2を用いたこと以外は実施例1の操作1.6と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子2のメタノール分散液(MP−2)を調製した。
ここで、上記で得られた表面改質無機複合酸化物微粒子2の平均粒子径は12nmであり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子2bの平均粒子径から変化していなかった。さらに、分散液(MP−2)は透明な淡乳白色であり、その液ヘーズは58%であった。
(操作2.7)ハードコート層膜形成用塗料組成物(H3)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)223.3gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)39.6gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液76.1gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)227.0gおよび前記操作2.6で調製した固形分濃度20重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子2のメタノール分散液(MP−2)383.4g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)8.9gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H3)を調製した。
[実施例3]
<工程1>
(操作3.1)無機複合酸化物微粒子3の調製
a.コア粒子3aの調製
純水18.58kgにオキシ塩化ジルコニウム8水和物(太陽鉱工(株)製、ZrOCl2・8H2O)0.50kgを溶解し、これに10重量%のKOH水溶液17.55kgを添加してジルコニウム水酸化物ヒドロゲル(ZrO2 1重量%)を調製した。次いで、得られたジルコニウム水酸化物ヒドロゲルを、限外濾過膜法により電導度が0.5mS/cm以下になるまで水洗浄した。
上記操作により得られたZrO2として1重量%のジルコニウム水酸化物ヒドロゲル36.6kgに、10重量%のKOH水溶液7.18kgを加えて十分攪拌した後、35重量%の過酸化水素水溶液200gを加えた。このとき、激しく発泡して溶液は透明になり、pHは11.4であった。
次いで、この溶液に28.8重量%のアンモニア水溶液2.00kgを加えて充分攪拌して、ジルコニア系複合酸化物微粒子の前駆体スラリーを得た。このとき、前記スラリーは薄黄色になり、pHは13.4であった。
この前駆体スラリーに、平均粒子径が5nmのシリカ微粒子を20重量%含むシリカゾル(日揮触媒化成(株)製、シリカゾルSI−550)164.5gをオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、100L)に充填し、150℃で11時間水熱処理を行った後、遠心沈降法によりジルコニア系複合酸化物微粒子を分離し、これを充分に洗浄したのちイオン交換水に分散させて、ジルコニア系複合酸化物微粒子の水分散液4.02kgを得た。この水分散液の固形分含有量はZrO2換算基準で10重量%であった。
次いで、前記ジルコニア系複合酸化物微粒子の水分散液4.02kgをスプレードライヤー(NIRO社製NIRO ATOMIZER)に供して噴霧乾燥した。これにより、ジルコニア系複合酸化物微粒子の乾燥粉体0.36kgを得た。得られた乾燥粉体に含まれるジルコニア系複合酸化物微粒子の平均粒子径は約2μmであった。
次に、上記で得られた乾燥粉体0.36kgを、空気雰囲気下、500℃の温度にて2時間焼成して、ジルコニア系複合酸化物微粒子の焼成粉体0.34kgを得た。
上記で得られた焼成粉体0.21kgを純水0.19kgに分散させ、これに、28.6%の酒石酸水溶液0.14kg、50重量%のKOH水溶液0.06kgを加えて充分攪拌した。次いで、粒子径0.1mmのアルミナビーズ(大明化学工業株式会社製、高純度アルミナビーズ)を加え、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製、バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記焼成粉体の粉砕及び分散処理を行った。その後、アルミナビーズを目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、さらに純水1.70kgを添加して撹拌し、ジルコニア系複合酸化物微粒子の水分散液2.26kgを得た。この水分散液の固形分含有量は11重量%であった。
次いで、限外濾過膜を用いてイオン交換水で洗浄した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SANUPC)0.11kgを加えて脱イオン処理をした後、遠心分離機(日立工機(株)製CR−21G)に供して12,000rpmの速度で1時間処理して、ZrO2換算基準の固形分濃度が10重量%のジルコニア系無機複合酸化物微粒子3aの水分散液2.43kgを得た。前記ジルコニア系無機複合酸化物コア粒子3aの平均粒子径は20nm、比表面積は153m2/gであった。
さらに、このコア粒子に含まれる金属成分の含有量は、各金属成分の酸化物換算基準で、ZrO2が96.5重量%、SiO2が1.8重量%およびK2Oが1.7重量%であった。
b.シェル層の形成
オキシ塩化ジルコニウム(太陽鉱工(株)製)をZrO2換算基準で2重量%含むオキシ塩化ジルコニウム水溶液26.3kgに、アンモニアを15重量%含むアンモニア水を撹拌下で徐々に添加して、pH8.5のスラリー液を得た。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、ジルコニウム成分をZrO2に換算基準で10重量%含むケーキ5.26kgを得た。
次に、このケーキ200gに純水1.80kgを加え、さらに水酸化カリウム(関東化学(株)製)を10重量%含む水酸化カリウム水溶液120gを加えてアルカリ性にした後、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水400gを加えて、50℃の温度に加熱してこのケーキを溶解した。さらに、純水1.48kgを加えて、過酸化ジルコン酸をZrO2換算基準で0.5重量%含む過酸化ジルコン酸水溶液4.0kgを得た。なお、この過酸化ジルコン酸水溶液のpHは、12.2であった。
一方、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)を純水にて希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、珪酸をSiO2換算基準で2重量%含む珪酸水溶液を得た。なお、この珪酸水溶液液のpHは、2.3であった。
次に、前記工程で得られた、ジルコニア系無機複合酸化物コア微粒子3aを含む水分散液5.5kgに純水21.9kgを加えて固形分含有量を2重量%としたものを、90℃の温度に加熱した後、これに前記過酸化ジルコン酸水溶液1.9kgと珪酸水溶液1.8kgを徐々に添加し、さらに添加終了後、90℃の温度に保ちながら攪拌下で1時間熟成した。
次いで、この混合液をオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、50L)に入れて、160℃の温度で18時間、加熱処理を行なったのち、室温まで冷却して、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて固形分含有量10重量%に濃縮することにより、ジルコニア系無機複合酸化物コア微粒子の表面を、ジルコニウムとケイ素を含む複合酸化物からなるシェルで被覆してなるコアシェル型微粒子3b(無機複合酸化物微粒子3b)の水分散液5.85kgを調製した。
このコアシェル型微粒子の結晶構造は単斜晶系と立方晶系からなる結晶型であった。
また、このコアシェル型微粒子に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、ZrO2が89.5重量%、SiO2が8.8重量%およびK2Oが1.7重量%であった。
また、このコアシェル型微粒子の平均粒子径は20nmであり、乾燥紛体の比表面積は167m2/gであり、炭素量は0重量%であった。
<工程(2)>
(操作3.2)表面改質無機複合酸化物微粒子3Aの混合分散液の調製
実施例1の操作1.1で調製した無機複合酸化物微粒子1bの水分散液5.85kgの代わりに前記操作3.1で調製した無機複合酸化物微粒子3bの水分散5.85kgを用いたこと以外は実施例1の操作1.2と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子3Aの水・メタノール混合分散液を調製した。
<工程(3)>
(操作3.3)表面改質無機複合酸化物微粒子3Aのメタノール分散液の調製
実施例1の操作1.2で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1Aの混合分散液の代わりに前記操作3.2で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子3Aの混合分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子3Aのメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子3Aを含むメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子3A中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、ZrO2が88.6重量%、SiO2が10.5重量%およびK2Oが0.9重量%であった。
さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であり、乾燥紛体の比表面積は171m2/gであり、炭素量は0.6重量%であった。
<工程(4)>
(操作3.4)表面改質無機複合酸化物微粒子3のメタノール分散液の調製
実施例1の操作1.3で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液の代わりに前記操作3.3で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子3Aのメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.4と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子3のメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子3のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作3.5)表面改質無機複合酸化物微粒子3のメタノール分散液からの溶媒の除去
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作3.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子3のメタノール分散液を用いた以外ことは実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子3を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子3中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、ZrO2が86.8重量%、SiO2が12.4重量%およびK2Oが0.8重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子3の炭素量は3.0重量%であり、その比表面積は225m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子3bの重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は1.37であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子3における、無機複合酸化物微粒子3bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の添加量は4.59mg/m2であり、微粒子3bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の添加量は3.59mg/m2であった。
(操作3.6)表面改質無機複合酸化物微粒子3の分散液(MP−3)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作3.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子3を用いたこと以外は実施例1の操作1.6と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子3のメタノール分散液(MP−3)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子3の平均粒子径は20nmであり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子3bの平均粒子径から変化していなかった。さらに、分散液(MP−3)は透明な淡乳白色であり、その液ヘーズは60%であった。
(操作3.7)ハードコート層膜形成用塗料組成物(H4)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)223.3gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)39.6gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液76.1gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)227.0gおよび前記操作3.6で調製した固形分濃度20重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子3のメタノール分散液(MP−3)383.4g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)8.9gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H3)を調製した。
[実施例4]
<工程1〜3>
(操作4.1〜4.3)
実施例1の操作1.1〜操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液を調製した。
<工程(4)>
(操作4.4)表面改質無機複合酸化物微粒子4のメタノール分散液の調製
メトキシトリメチルシラン175.5gの代わりに、前記有機ケイ素化合物Bである、表面処理剤としてのエトキシトリメチルシラン(和光純薬(株)製、沸点75℃)175.5gを用いたこと以外は実施例1の操作1.4と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子4のメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子4のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作4.5)表面改質無機複合酸化物微粒子4のメタノール分散液からの溶媒の除去
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作4.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子4のメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子4を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子4中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が46.5重量%、SiO2が38.1重量%、ZrO2が12.9重量%およびK2Oが2.5重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子4の炭素量は2.9重量%であり、その比表面積は236m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子1bの重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は1.37であった。さらに、無機複合酸化物微粒子4における、無機複合酸化物微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の添加量は3.33mg/m2であり、微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の添加量は2.61mg/m2であった。
(操作4.6)表面改質無機複合酸化物微粒子の分散液(MP−4)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作4.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子4を用いたこと以外は実施例1の操作1.6)と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子4のメタノール分散液(MP−4)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子4の平均粒子径は8nmであり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子1bの平均粒子径から変化していなかった。さらに、分散液(MP−4)は透明な淡乳白色であり、その液ヘーズは51%であった。
(操作4.7)ハードコート層膜形成用塗料組成物(H5)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)205.0gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)36.3gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液69.9gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)163.8gおよび前記操作4.6で調製した固形分濃度20重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子4のメタノール分散液(MP−4)475.1g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)8.2gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H5)を調製した。
[実施例5]
<工程1〜3>
(操作5.1〜5.3)
実施例1の操作1.1〜操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液を調製した。
<工程(4)>
(操作5.4)表面改質無機複合酸化物微粒子5のメタノール分散液の調製
メトキシトリメチルシランの代わりに、前記有機ケイ素化合物Bである、表面処理剤としての(n−プロポキシ)トリメチルシラン(信越シリコーン(株)製、沸点100℃)175.5gを用いたこと以外は実施例1の操作1.4と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子5のメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子5のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作5.5)表面改質無機複合酸化物微粒子5のメタノール分散液からの溶媒の除去
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作5.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子5のメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子5を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子5中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が46.5重量%、SiO2が38.1重量%、ZrO2が12.9重量%およびK2Oが2.5重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子5の炭素量は2.8重量%であり、その比表面積は236m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子1bの重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は1.37であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子5における、無機複合酸化物微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAの添加量が3.33mg/m2であり、微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBの添加量が2.61mg/m2であった。
(操作5.6)表面改質無機複合酸化物微粒子の分散液(MP−5)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作5.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子5を用いたこと以外は実施例1の操作1.6と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子5のメタノール分散液(MP−5)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子5の平均粒子径は8nmであり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子1bの平均粒子径から変化していなかった。さらに、分散液(MP−5)は透明な淡乳白色であり、その液ヘーズは53%であった。
(操作5.7)ハードコート層膜形成用塗料組成物(H6)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)205.0gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)36.3gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液69.9gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)163.8gおよび前記操作5.6で調製した固形分濃度20重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子5のメタノール分散液(MP−5)475.1g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)8.2gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H6)を調製した。
[実施例6]
<工程1>
実施例1の操作1.1と同様な方法により、無機複合酸化物微粒子1bの水分散液を調製した。
<工程(2)>
(操作6.2)
実施例1の操作1.2において、テトラエトキシシランの代わりに、前記有機ケイ素化合物Aである、表面処理剤としてのテトラ(n−プロピル)シラン(和光純薬工業(株)製、沸点94℃)175.5gを用いたこと以外は実施例1の操作1.2と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子6Aの水・メタノール混合分散液を調製した。
<工程(3)>
(操作6.3)
実施例1の操作1.2で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1Aの混合分散液の代わりに、前記操作6.2で得られた表面改質無機複合酸化物微粒子6Aの混合分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子6Aのメタノール分散液を調製した。
<工程(4)>
(操作6.4)表面改質無機複合酸化物微粒子6のメタノール分散液の調製
実施例1の操作1.3で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液の代わりに前記操作6.3で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子6Aのメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.4と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子6のメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子6のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作6.5)表面改質無機複合酸化物微粒子6のメタノール分散液からの溶媒の除去
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作6.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子6のメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子6を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子6中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が46.4重量%、SiO2が38.3重量%、ZrO2が12.8重量%およびK2Oが2.5重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子6の炭素量は3.0重量%であり、その比表面積は236m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子1bの重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は0.820であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子6における、無機複合酸化物微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAの添加量が3.33mg/m2であり、微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBの添加量が2.61mg/m2であった。
(操作6.6)表面改質無機複合酸化物微粒子の分散液(MP−6)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作6.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子6を用いたこと以外は実施例1の操作1.6と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子6のメタノール分散液(MP−6)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子6の平均粒子径は8nmであり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子6bの平均粒子径から変化していなかった。さらに、分散液(MP−6)は透明な淡乳白色であり、その液ヘーズは54%であった。
(操作6.7)ハードコート層膜形成用塗料組成物(H7)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)205.0gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)36.3gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液69.9gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)163.8gおよび前記操作6.6で調製した固形分濃度20重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子6のメタノール分散液(MP−6)475.1g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)8.2gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H7)を調製した。
[比較例1]
<工程1〜3>
(操作C1.1〜C1.3)
実施例1の操作1.1〜操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液を調製した。
<工程(4)>
(操作C1.4)表面改質無機複合酸化物微粒子C1Aのメタノール分散液の調製
実施例1の操作1.4を本比較例では実施しなかった。
このようにして得られる表面改質無機複合酸化物微粒子1A(以下「表面改質無機複合酸化物微粒子C1A」ともいう。)を含むメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作C1.5)表面改質無機複合酸化物微粒子C1Aのメタノール分散液からの溶媒の除去
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作C1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C1Aのメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C1を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子C1中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が47.6重量%、SiO2が36.3重量%、ZrO2が13.4重量%およびK2Oが2.6重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子C1の炭素量は0.8重量%であり、その比表面積は236m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子1bの重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は0.77であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子C1における、無機複合酸化物微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の添加量は3.33mg/m2であり、微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の添加量は0mg/m2であった。
(操作C1.6)表面改質無機複合酸化物微粒子C1の液(MC−1)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作C1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C1を用いたこと以外は実施例1の操作1.6と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C1のメタノール液(MC−1)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C1の平均粒子径は100nm以上であり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子1bの平均粒子径から顕著に増大していた。さらに、液(MC−1)中では粒子は分散せず沈降したままであったので、液ヘーズは測定せず、ハードコート層膜形成用塗料組成物も調製しなかった。
[比較例2]
<工程1>
(操作C2.1)
実施例1の操作1.1と同様な方法により、無機複合酸化物微粒子1bの水分散液を調製した。
<工程(2)>
(操作C2.2)
実施例1の操作1.2において、テトラエトキシシランを用いなかったこと以外は実施例1の操作1.2と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C2Aの水・メタノール混合分散液を調製した。
<工程(3)>
(操作C2.3)
実施例1の操作1.2で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1Aの混合分散液の代わりに前記操作C2.2で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C2Aの混合分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C2Aのメタノール分散液を調製した。
<工程(4)>
(操作C2.4)表面改質無機複合酸化物微粒子C2のメタノール分散液の調製
実施例1の操作1.3で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液の代わりに前記操作C2.3で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C2Aのメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.4と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C2のメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C2のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作C2.5)表面改質無機複合酸化物微粒子C2のメタノール分散液からの溶媒の除去
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作C2.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C2のメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C2を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子C2中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が47.6重量%、SiO2が36.3重量%、ZrO2が13.4重量%およびK2Oが2.6重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子C2の炭素量は1.0重量%であり、その比表面積は236m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子1bの重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は0.60であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子C2における、無機複合酸化物微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の添加量は0mg/m2であり、微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の添加量は2.61mg/m2であった。
(操作C2.6)表面改質無機複合酸化物微粒子C2の液(MC−2)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作C2.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C2を用いたこと以外は実施例1の操作1.6と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C2のメタノール液(MC−2)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C2の平均粒子径は100nm以上であり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子1bの平均粒子径から顕著に増大していた。さらに、液(MC−2)中では粒子は分散せず沈降したままであったので、液ヘーズは測定せず、ハードコート層膜形成用塗料組成物も調製しなかった。
[比較例3]
<工程1〜3>
(操作C3.1〜C3.3)
実施例1の操作1.1〜操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液を調製した。
<工程(4)>
(操作C3.4)表面改質無機複合酸化物微粒子C3を含むメタノール分散液の調製
メトキシトリメチルシランの代わりに、前記有機ケイ素化合物Bである、表面処理剤としてのトリエチル(エトキシ)シラン(東京化成工業(株)製、沸点154℃)175.5gを用いたこと以外は実施例1の操作1.4と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C3のメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C3のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作C3.5)表面改質無機複合酸化物微粒子C3のメタノール分散液からの溶媒の除去工程
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作C3.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C3のメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C3を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子C3中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が46.3重量%、SiO2が38.3重量%、ZrO2が12.9重量%およびK2Oが2.5重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子C3の炭素量は4.3重量%であり、その比表面積は237m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子1bの重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は1.37であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子3Cにおける、無機複合酸化物微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の添加量は3.33mg/m2であり、微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の添加量は2.61mg/m2であった。
(操作C3.6)表面改質無機複合酸化物微粒子の分散液(MC−3)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作C3.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C3を用いたこと以外は実施例1の操作1.6と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C3のメタノール分散液(MC−3)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C3の平均粒子径は8nmであり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子1bの平均粒子径から変化していなかった。さらに、分散液(MC−3)は透明な淡乳白色であり、その液ヘーズは56%であった。
(操作C3.7)ハードコート層膜形成用塗料組成物(R1)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)205.0gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)36.3gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液69.9gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)163.8gおよび前記操作C3.6で調製した固形分濃度20重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子C3のメタノール分散液(MC−3)475.1g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)8.2gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(R1)を調製した。
(操作C3.8)ハードコート層膜形成用塗料組成物(R2)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)168.3gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)29.8gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液57.4gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)37.7gおよび前記操作C3.6で調製した固形分濃度30重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子C3のメタノール分散液(MC−3)658.4g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)6.7gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(R2)を調製した。
(操作C3.9)プライマー層膜形成用塗料組成物(Z1)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)243.6gを入れた容器を用意し、これに、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)469.0gおよび前記操作C3.6で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C3のメタノール分散液(MC−3)190.0gおよびイオン交換水97.1gを加えて、1時間攪拌した。
次いで、この混合液にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(Z1)を調製した。
(操作C3.10)プライマー層膜形成用塗料組成物(Z2)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)207.6gを入れた容器を用意し、これに、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)450.2gおよび前記操作C3.6で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C3のメタノール分散液(MC−3)242.9gおよびイオン交換水96.9gを加えて、1時間攪拌した。
次いで、この混合液にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(Z2)を調製した。
[比較例4]
<工程1>
(操作C4.1)
実施例1の操作1.1と同様な方法により、無機複合酸化物微粒子1bの水分散液を調製した。
<工程(2)>
(操作C4.2)
有機ケイ素化合物Aとしてテトラエトキシシランの添加量を448gから102gに変更したこと以外は実施例1の操作1.2と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C4Aの水・メタノール混合分散液を調製した。
<工程(3)>
(操作C4.3)
実施例1の操作1.2で調製された表面改質無機複合酸化物微粒子1Aの混合分散液の代わりに前記操作C4.2で調製された表面改質無機複合酸化物微粒子C4Aの混合分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C4Aのメタノール分散液を調製した。
<工程(4)>
(操作C4.4)表面改質無機複合酸化物微粒子C4Aのメタノール分散液の調製
メトキシトリメチルシランの添加量を1回の添加当たり175.5gから9.2gに変更したこと以外は実施例1の操作1.4と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C4のメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C4のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作C4.5)表面改質無機複合酸化物微粒子C4を含むメタノール分散液からの溶媒の除去
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作C4.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C4のメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C4を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子C4中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が46.5重量%、SiO2が38.3重量%、ZrO2が12.8重量%およびK2Oが2.4重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子C4の炭素量は0.6重量%であり、その比表面積は238m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子の重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は0.15であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子C4における、無機複合酸化物微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の添加量は0.22mg/m2であり、微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の添加量は0.43mg/m2であった。
(操作C4.6)表面改質無機複合酸化物微粒子の分散液(MC−4)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作C4.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C4を用いたこと以外は実施例1の操作1.6と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C4のメタノール分散液(MC−4)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C4の平均粒子径は50nmであり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子1bの平均粒子径から増大していた。さらに、分散液(MC−4)は乳白色であり、その液ヘーズは91%であった。
(操作C4.7)ハードコート層膜形成用塗料組成物(R3)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)205.0gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)36.3gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液69.9gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)163.8gおよび前記操作C4.6で調製した固形分濃度20重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子C4のメタノール分散液(MC−4)475.1g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)8.2gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(R3)を調製した。
[比較例5]
<工程1>
(操作C5.1)
実施例1の操作1.1と同様な方法により、無機複合酸化物微粒子1bの水分散液を調製した。
<工程(2)>
(操作C5.2)
テトラエトキシシランの添加量を448gから877gに変更したこと以外は実施例1の操作1.2と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C5Aの水・メタノール混合分散液を調製した。
<工程(3)>
(操作C5.3)
実施例1の操作1.2で調製された表面改質無機複合酸化物微粒子1Aの混合分散液の代わりに前記操作C5.2で調製された表面改質無機複合酸化物微粒子C5Aの混合分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C5Aのメタノール分散液を調製した。
<工程(4)>
(操作C5.4)表面改質無機複合酸化物微粒子C5のメタノール分散液の調製
メトキシトリメチルシランの添加量を1回の添加当たり175.5gから351.0gに変更したこと以外は実施例1の操作1.4と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C5のメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C5のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作C5.5)表面改質無機複合酸化物微粒子C5のメタノール分散液からの溶媒の除去
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作C5.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C5のメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C5を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子C5中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が46.4重量%、SiO2が38.1重量%、ZrO2が13.0重量%およびK2Oが2.5重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子C5の炭素量は11.3重量%であり、その比表面積は238m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子1bの重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は2.70であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子C5における、無機複合酸化物微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の添加量は6.52mg/m2であり、微粒子1bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の添加量は5.22mg/m2であった。
(操作C5.6)表面改質無機複合酸化物微粒子の分散液(MC−5)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作C5.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C5を用いたこと以外は実施例1の操作1.6と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C5のメタノール分散液(MC−5)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C5の平均粒子径は30nmであり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子1bの平均粒子径から増大していた。さらに、分散液(MC−5)は透明な乳白色であり、その液ヘーズは78%であった。
(操作C5.7)ハードコート層膜形成用塗料組成物(R4)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)205.0gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)36.3gの混合液中に、攪拌下で0.01Nの塩酸水溶液69.9gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
次いで、この加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)163.8gおよび前記操作C5.6で調製した固形分濃度20重量%の表面改質無機複合酸化物微粒子C5のメタノール分散液(MC−5)475.1g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)8.2gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(R4)を調製した。
[比較例6]
<工程1〜3>
(操作C6.1〜C6.3)
実施例1の操作1.1〜操作1.3と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子1Aのメタノール分散液を調製した。
<工程(4)>
(操作C6.4)表面改質無機複合酸化物微粒子C3を含むメタノール分散液の調製
メトキシトリメチルシランの代わりに、前記有機ケイ素化合物Bである、表面処理剤としてのジメトキシジメチルシラン(信越化学工業(株)製、沸点81℃)175.5gを用いたこと以外は実施例1の操作1.4と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C6のメタノール分散液を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C6のメタノール分散液の外観は、透明な淡青白色であった。さらに、該分散液の水分量は0.2重量%であった。
<工程(5)>
(操作C6.5)表面改質無機複合酸化物微粒子C6のメタノール分散液からの溶媒の除去工程
実施例1の操作1.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1のメタノール分散液の代わりに前記操作C6.4で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C6のメタノール分散液を用いたこと以外は実施例1の操作1.5と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C6を調製した。
前記表面改質無機複合酸化物微粒子C6中に含まれる金属成分量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO2が46.2重量%、SiO2が38.4重量%、ZrO2が12.9重量%およびK2Oが2.5重量%であった。
さらに、その表面改質無機複合酸化物微粒子C6の炭素量は3.8重量%であり、その比表面積は238m2/gであった。
有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量MAとし、有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量MBとし、無機複合酸化物微粒子6bの重量をM1とした時に、重量比((MA+MB)/M1)は1.37であった。さらに、表面改質無機複合酸化物微粒子6Cにおける、無機複合酸化物微粒子6bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の添加量は3.33mg/m2であり、微粒子6bの表面積当たりの有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の添加量は2.61mg/m2であった。
(操作C6.6)表面改質無機複合酸化物微粒子C6の液(MC−6)の調製
実施例1の操作1.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子1の代わりに前記操作C6.5で調製した表面改質無機複合酸化物微粒子C6を用いたこと以外は実施例1の操作1.6と同様な方法により、表面改質無機複合酸化物微粒子C6のメタノール液(MC−6)(固形分濃度:20重量%)を調製した。
表面改質無機複合酸化物微粒子C6の平均粒子径は100nm以上であり、表面改質される前の無機複合酸化物微粒子6bの平均粒子径から顕著に増大していた。さらに、液(MC−6)中では粒子は分散せず沈降したままであったので、液ヘーズは測定せず、ハードコート層膜形成用塗料組成物も調製しなかった。
実施例1〜6および比較例1〜6で調製した各粒子の性状を表1に示す。
B.試験用プラスチックレンズ基板(試験片)の作製および評価
<プラスチックレンズ基板(試験片)の作製>
(1)プラスチックレンズ基材の前処理
市販のプラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−8」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.60)および「モノマー名:MR−7」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.67)を、40℃に保った10重量%濃度のKOH水溶液に2分間浸漬してエッチング処理を行った。更に、これらを取り出して水洗したのち、十分に乾燥させた。
(2)プライマー層膜の形成
前処理を行ったプラスチックレンズ基材にプライマー層膜形成用塗料組成物をそれぞれ塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法を用いて行った。
次に、前記塗膜を100℃で10分間、加熱処理して、塗膜(プライマー層)の予備乾燥を行った。
このようにして形成された前記プライマー層の予備硬化後の膜厚は、概ね0.5〜1.0μmであった。
(3)ハードコート層膜の形成
前記前処理を行ったプラスチックレンズ基材、またはプライマー層膜を形成したプラスチックレンズ基材の表面に、ハードコート層膜形成用の塗料組成物を塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法を用いて行った。
次に、前記塗膜を90℃で10分間、乾燥させた後、110℃で2時間、加熱処理して、塗膜(ハードコート層)の硬化を行った。この際、前記プライマー層の本硬化も同時に行った。
このようにして形成された前記ハードコート層膜の硬化後の膜厚は、概ね3.0〜3.5μmであった。
(4)反射防止膜層の形成
前記ハードコート層膜の表面に、以下に示す構成の無機酸化物成分を真空蒸着法によって蒸着させた。ここでは、ハードコート層側から大気側に向かって、SiO2:0.06λ、ZrO2:0.15λ、SiO2:0.04λ、ZrO2:0.25λ、SiO2:0.25λの順序で積層された反射防止層膜の層をそれぞれ形成した。また、設計波長λは、520nmとした。
<プラスチックレンズ基板(試験片)の評価>
実施例1〜6、比較例3〜5で得られたハードコート層膜形成用の塗料組成物H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、R1、R2、R3、R4と、プライマー層膜形成用塗料組成物Y1、Y2、Z1、Z2を用いて、表4に示す組み合わせで前処理を行ったプラスチックレンズ基材上にプライマー層膜およびハードコート層膜を形成して試験片1〜13を作製した。
なお、プライマー層膜形成用塗料組成物Y1とハードコート層膜形成用塗料組成物H1を塗布し反射防止層膜を形成した試験片10の基材、および、プライマー層膜形成用塗料組成物Z1とハードコート層膜形成用塗料組成物R1を塗布し反射防止層膜を形成した試験片11を作成した。
さらに、プライマー層膜形成用塗料組成物Y2とハードコート層膜形成用塗料組成物H2を塗布し反射防止層膜を形成した試験片12の基材、および、プライマー層膜形成用塗料組成物Z2とハードコート層膜形成用塗料組成物R2を塗布し反射防止層膜を形成した試験片13を作成した。ここで、試験片12〜13の基材としては「モノマー名:MR−7」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.67)を用い、それ以外の試験片の基材には「モノマー名:MR−8」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.60)を用いた。
このようにして得られた試験片1〜13について、上記の評価試験法を用いて、外観(干渉縞)、外観(曇り)、耐擦傷性、膜硬度、密着性、耐候性、耐光性、屈折率を試験して評価した。その結果を表5に示す。
この結果から明らかなように、実施例で作成した塗料組成物を塗布して得られた試験片では耐擦傷性および膜硬度が非常に高いとともに、曇りがなく透明度が高いことがわかった。また、外観干渉縞も良好で、さらに密着性、耐候的密着性および耐光性が高いことがわかった。
Figure 2014152226
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本発明に係る表面改質無機酸化物微粒子およびその分散液は、光学材料用途に利用でき、ハードコード材料、接着材料、封止材料、高反射性材料、紫外光吸収材料などの様々な用途に使用することができる。

Claims (23)

  1. 無機複合酸化物微粒子を、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物と、下記一般式(2)で表され、1気圧状態での沸点が120℃以下である有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物で表面改質して得られ、炭素原子の含有量が2〜10重量%である表面改質無機複合酸化物微粒子。
    Si(OR14-n(OH)n ・・・(1)
    2 3Si(OR3) ・・・(2)
    (式中、R1は炭素数1〜4の非置換のまたは置換された炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよく、nは、0〜3の整数である。
    2は炭素数1〜2の非置換のもしくは置換された炭化水素基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、R3は水素原子または炭素数1〜3の非置換のもしくは置換された炭化水素基である。)
  2. 前記無機複合酸化物微粒子がコアシェル構造を有することを特徴とする請求項1に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
  3. 前記無機複合酸化物微粒子が、
    (1)チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、セリウムおよび亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とケイ素とを含む無機複合酸化物であることを特徴とするコア粒子、および
    (2)該コア粒子を被覆する、ジルコニウム、アルミニウムおよびアンチモンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素および/またはケイ素を含む酸化物からなるシェル層
    から構成されることを特徴とする請求項2に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
  4. 前記コア粒子を構成する金属元素として、さらにスズ、タングステン、アンチモンおよびインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
  5. 前記無機複合酸化物微粒子が、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、アルミニウム、アンチモン、スズ、タングステン、インジウムおよび亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とケイ素とを含む複合酸化物微粒子、または少なくとも2種の前記金属元素を含む複合酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
  6. 前記無機複合酸化物微粒子が5〜200nmの平均粒子径を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
  7. 前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量をMAと表し、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量をMBと表し、前記無機複合酸化物微粒子の重量をM1と表すと、重量比(MA+MB)/M1が0.4〜2.0の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
  8. 前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の、前記無機複合酸化物微粒子の表面積当りの添加量が0.5〜6.0mg/m2の範囲にあり、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の、前記無機複合酸化物微粒子の表面積当りの添加量が1.5〜4.5mg/m2の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子および分散媒を含むことを特徴する表面改質無機複合酸化物微粒子分散液。
  10. 前記分散媒が、有機溶媒または有機溶媒および水であることを特徴とする請求項9に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子を含む有機溶媒分散液。
  11. 請求項1に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法であって、
    (1)前記無機複合酸化物微粒子の水分散液を準備する工程、
    (2)前記水分散液に前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物を添加して前記無機複合酸化物微粒子を表面改質する工程、
    (3)前記工程(2)で得られた分散液に含まれる水を有機溶媒に置換する工程、
    (4)前記工程(3)で得られた有機溶媒分散液に、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物を添加して前記無機複合酸化物微粒子をさらに表面改質する工程、
    (5)前記工程(4)で得られた有機溶媒分散液から前記有機溶媒を除去する工程
    を含むことを特徴とする表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法。
  12. 前記工程(4)において、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物を添加して前記無機複合酸化物微粒子を表面改質する操作を1〜10回繰り返し行うことを特徴とする請求項11に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法。
  13. 前記工程(5)で得られた表面改質無機複合酸化物微粒子に前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物を添加して前記微粒子をさらに表面修飾する工程(6)を含むことを特徴とする、請求項11または12に記載の表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法。
  14. 前記無機複合酸化物微粒子の重量をM1と表し、前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の重量をMAと表し、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の重量をMBと表すと、(MA+MB)/M1の値が0.4〜2.0の範囲にあることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法。
  15. 前記有機ケイ素化合物Aまたはその部分加水分解物の、前記無機複合酸化物微粒子の表面積当りの添加量が0.5〜6.0mg/m2の範囲にあり、前記有機ケイ素化合物Bまたはその部分加水分解物の、前記無機複合酸化物微粒子の表面積当りの添加量が1.5〜4.5mg/m2の範囲にあることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の表面改質無機複合酸化物微粒子の製造方法。
  16. 請求項1〜8のいずれかに記載の表面改質無機酸化物微粒子を含む有機溶媒分散液からなる光学基材用塗布液。
  17. ハードコート層膜形成用塗布液であることを特徴とする請求項16に記載の光学基材用塗布液。
  18. プライマー層膜形成用塗布液であることを特徴とする請求項16に記載の光学基材用塗布液。
  19. 前記光学基材が、プラスチックレンズであることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の光学基材用塗布液。
  20. 請求項16〜19のいずれかに記載の光学基材用塗布液から形成された塗膜。
  21. プラスチック基材と、基材上に形成された請求項16〜19のいずれかに記載の光学基材用塗布液から形成されたプライマー層および/またはハードコート層の塗膜とを有することを特徴とする塗膜付基材。
  22. 前記ハードコート層およびプライマー層のそれぞれが、100体積部の前記表面改質無機酸化物微粒子および200〜1000体積部のマトリックス成分を含有することを特徴とする請求項21に記載の塗膜付基材。
  23. 前記ハードコート層を有し、前記ハードコート層の前記プラスチック基材側とは反対側の面上に反射防止膜を有することを特徴とする請求項21または22に記載の塗膜付基材。
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