JP5511368B2 - 高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法並びにその有機溶媒分散ゾル、および該有機溶媒分散ゾルを用いて得られる塗料組成物 - Google Patents

高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法並びにその有機溶媒分散ゾル、および該有機溶媒分散ゾルを用いて得られる塗料組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5511368B2
JP5511368B2 JP2009296311A JP2009296311A JP5511368B2 JP 5511368 B2 JP5511368 B2 JP 5511368B2 JP 2009296311 A JP2009296311 A JP 2009296311A JP 2009296311 A JP2009296311 A JP 2009296311A JP 5511368 B2 JP5511368 B2 JP 5511368B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
metal oxide
titanium
refractive index
organic solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009296311A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011136850A (ja
Inventor
庸一 石原
俊晴 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd filed Critical Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
Priority to JP2009296311A priority Critical patent/JP5511368B2/ja
Publication of JP2011136850A publication Critical patent/JP2011136850A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5511368B2 publication Critical patent/JP5511368B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、高屈折率の金属酸化物微粒子、さらに詳しくはルチル型の結晶構造を有するチタン系微粒子をシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆してなる高屈折率の金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法並びに該方法から得られる有機溶媒分散ゾル、および該有機溶媒分散ゾルを用いて得られる塗料組成物に関するものである。
近年、眼鏡レンズなどの光学基材の材料としては、無機ガラス基材に代わってプラスチック基材が使用されることが多くなっている。これは、プラスチック基材が軽量性、耐衝撃性、加工性、染色性などの面で優れた特性を備えているためである。しかし、該プラスチック基材は、無機ガラス基材に較べて傷つきやすいという欠点を有している。
そこで、この欠点を回避するため、プラスチック基材を用いた光学レンズの表面には、通常、シリコーン系の硬化性塗膜、すなわちハードコート層膜が設けられている。さらに、比較的高い屈折率を有するプラスチック基材を光学レンズの材料として使用した場合には、該プラスチック基材とハードコート層膜との間に起こる光の干渉(干渉縞として現れる)を避けるため、前記ハードコート層膜に金属酸化物微粒子を含ませて、その屈折率を前記プラスチック基材の屈折率に合わせるような処置が施されている。
このような特性を備えたシリコーン系硬化性塗膜、例えばハードコート層膜をプラスチック基材上に形成するための塗布液については、様々な開発が行われ、数多くの出願がなされている。
また、眼鏡レンズなどの光学基材(プラスチックレンズ基材など)を製造する際には、無色透明で屈折率が高く、しかも耐擦傷性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐候性、耐光性、耐汗性、耐熱水性、密着性、染色性などの性状に優れた硬化性塗膜を形成するための塗布液やその原料組成物としての金属酸化微粒子を含む水分散ゾルや有機溶媒ゾルが求められており、これについても、現在に至るまで数多くの出願がなされている。
例えば、特許文献1には、シリカ、酸化鉄、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛または酸化スズの少なくともいずれかを含む金属酸化物微粒子もしくはそれらの混合物またはそれらの複合酸化物からなる金属酸化物微粒子と有機ケイ素化合物とを含有する高屈折率コーティング組成物が開示されている。しかしながら、これらの金属酸化物微粒子を含む塗布液を用いて形成された硬化性塗膜は、比較的高い屈折率を有するものの、耐候性に優れているとは云えなかった。
その背景としては、眼鏡レンズなどの光学基材においては、軽量化を求めてプラスチックレンズなどの厚さが薄くなり、これに伴って塗膜の高屈折率化が進められたため、高屈折率特性を有するチタン酸化物の含有量を増加させる傾向にあったが、その反面、光触媒活性を有するチタン酸化物によって塗膜の耐候性が損ねられることになった。
そこで、本出願人らは、チタン系酸化物を含む核粒子の表面に、ケイ素、ジルコニウムおよび/またはアルミニウムの複合酸化物で被覆してなる微粒子を含む分散ゾル、および該微粒子と有機ケイ素化合物とを含有する塗膜形成用塗布液を開発し、これを出願している。すなわち、チタン系酸化物を含む核粒子を前記複合酸化物で被覆することによって、該核粒子中に含まれるチタン酸化物の光触媒活性を抑えたものである。
例えば、特許文献2には、(1)酸化チタン微粒子を核として、その表面を酸化ジルコニウムおよび酸化ケイ素で被覆した微粒子、(2)酸化チタンおよび酸化ジルコニウムの固溶体からなる複合酸化物微粒子を核として、その表面を酸化ケイ素で被覆した微粒子、(3)チタンとケイ素との複合酸化物微粒子を核として、その表面を酸化ケイ素と、酸化ジルコニウムおよび/または酸化アルミニウムで被覆した微粒子、(4)チタン、ケイ素およびジルコニウムの複合酸化物微粒子を核として、その表面を酸化ケイ素、酸化ジルコニウムおよび酸化アルミニウムの少なくとも1種で被覆した微粒子を含む分散ゾル、および該微粒子と有機ケイ素化合物とを含む被膜形成用塗布液が開示されている。すなわち、この特許文献2に係る発明では、アナターゼ型の結晶構造を有するチタン含有核粒子の表面を酸化ケイ素、酸化ジルコニウムおよび酸化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種で被覆して得られる、コアシェル構造を有する金属酸化物微粒子が用いられている。
また、特許文献3には、チタンおよびスズの複合固溶体酸化物を核粒子として、その表面をケイ素酸化物とジルコニウムおよび/またはアルミニウムの酸化物との複合酸化物で被覆した複合酸化物微粒子を含む分散ゾル、および該微粒子と有機ケイ素化合物とを含む被膜形成用塗布液が開示されている。すなわち、この特許文献3に係る発明では、ルチル型の結晶構造を有するチタン含有核粒子の表面をケイ素酸化物とジルコニウムおよび/またはアルミニウムの酸化物との複合酸化物で被覆して得られる、コアシェル構造を有する金属酸化物微粒子が用いられている。
これらの特許文献2および特許文献3に記載された金属酸化物微粒子を使用すれば、屈折率1.52〜1.67の範囲においては、優れた耐候性を有しているばかりでなく、その他の性状、例えば耐擦傷性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐光性、耐汗性、耐熱水性、密着性、透明性、染色性などの性状においても優れた特性を有する硬化性塗膜を得ることができる。
しかし、昨今では、1.70以上、さらに詳しくは1.71〜1.81の屈折率を有する光学基材(プラスチックレンズ基材など)が開発され、これに見合った硬化性塗膜を形成するための塗布液やその原料組成物(すなわち、金属酸化物微粒子を含む分散ゾル)が求められているが、塗膜の屈折率を高めるためには、前記核粒子中に含まれるチタン含有量をさらに増加させるか、あるいは前記被覆層(すなわち、前記チタン含有核粒子表面の被覆層)の厚さをさらに薄くする必要があった。その結果、1.70前後の比較的高い屈折率を有する硬化性塗膜は得られるものの、その耐候性や耐光性は損なわれる傾向にあった。また、それ以上に高い屈折率を有する硬化性塗膜を得ることは難しかった。
一方、プラスチック基材の表面に前記のハードコート層膜を形成して、さらにその上に反射防止膜を設けた、眼鏡レンズなどの光学レンズは、耐衝撃性に劣るという欠点を有している。
この欠点を解決する手段としては、(1)熱硬化性ウレタン樹脂と酸化チタンを含有するコロイド状金属酸化物微粒子とを含むプライマー層膜を形成する方法(たとえば、特許文献4)や、(2)ポリウレタン樹脂と酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ベリリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子とを含むプライマー層膜を形成する方法(たとえば、特許文献5)などが知られている。ここで、前記金属酸化物微粒子は、塗膜の屈折率調整(光の干渉抑制)や塗膜強度を向上させるために添加されているが、上記のハードコート層膜の場合と同様に、光学レンズの高屈折率化に対応させることを目的として該微粒子中のチタン含有量を高めると、塗膜の耐候性や耐光性が悪化するという問題があった。
このような状況下で、本発明者らは、上記のような問題を解決して高い屈折率と耐候性や耐光性を兼ね備えた硬化性塗膜を得るために、特別な加工処理を施したルチル型の結晶構造を有するチタン系微粒子の表面にシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物を被覆してなる金属酸化物微粒子の水分散ゾル並びにその調製方法、該水分散ゾルを溶媒置換工程に供して得られる有機溶媒分散ゾルおよび該有機溶媒分散ゾルを用いて得られる塗料組成物を開発し、既にこれらを出願している。(日本特許出願第2009-187055号や国際特許出願PCT/JP2009/64221などの公開公報を参照のこと。)
しかしながら、前記有機溶媒分散ゾルは、金属酸化物微粒子の水分散ゾルを調製したのち、該水分散ゾル中に含まれる水を所望の有機溶媒と溶媒置換して調製する必要があった。
特開平7−325201号公報 特開平8−048940号公報 特開2000−204301号公報 特開平6−118203号公報 特開平6―337376号公報
本発明者らは、上記のように、金属酸化物微粒子の水分散ゾルを経て有機溶媒分散ゾルを調製することなく、前記有機溶媒分散ゾルを直接調製する方法がないものかどうかについて鋭意研究を重ねた結果、ルチル型の結晶構造を有するチタン系微粒子の表面にシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物を被覆したのち、これを乾燥・焼成して得られる表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物を有機溶媒の存在下で粉砕し、さらに粉砕された金属酸化物微粒子(表面被覆チタン系微粒子)を有機溶媒に分散させればよいことを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物粒子からなるチタン系微粒子(一次粒子)の表面をシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆した表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を乾燥して粒状にした表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)を生成させ、次いで該表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成したのち、その焼成物を有機溶媒の存在下で粉砕して金属酸化物微粒子(四次粒子)とし、さらに該金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させてなる有機溶媒分散ゾルの調製方法並びに該方法から得られる有機溶媒分散ゾルを提供することを目的としている。
さらに、本発明は、前記有機溶媒分散ゾルを用いて得られる塗料組成物を提供することを目的としている。
本発明に係る高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法は、
チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含むチタン系微粒子の表面を、少なくともシリカ系酸化物で被覆してなる高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法であって、
(a)過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)を生成させる工程、
(b)前記工程(a)で得られたチタン系微粒子を含む混合水溶液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物を混合して、該ケイ素化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた表面被覆チタン系微粒子を乾燥して粒状にすることにより平均粒子径1〜80μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を有機溶媒の存在下で粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nmの金属酸化物微粒子(四次粒子)とし、さらに該金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させてなる有機溶媒分散ゾルを得る工程、および
(f)前記工程(e)で得られた有機溶媒分散液を必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する工程
を含むことを特徴としている。
さらに、本発明に係る高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法は、
チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物粒子の表面を、少なくともシリカ系複合酸化物で被覆してなる高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法であって、
(a)過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)を生成させる工程、
(b)前記工程(a)で得られたチタン系微粒子を含む混合水溶液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物と、過酸化ジルコン酸塩、アンチモン酸塩、スズ酸塩およびアルミン酸塩から選ばれた少なくとも1種の金属化合物とを混合して、該ケイ素化合物および該金属化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系複合酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた表面被覆チタン系微粒子を乾燥して粒状にすることにより平均粒子径1〜80μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を有機溶媒の存在下で粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nmの金属酸化物微粒子(四次粒子)とし、さらに該金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させてなる有機溶媒分散ゾルを得る工程、および
(f)前記工程(e)で得られた有機溶媒分散液を必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する工程
を含むことを特徴としている。
前記工程(a)で使用されるケイ素化合物は、シリカ微粒子、珪酸およびシリコンアルコキシドから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記工程(b)で使用されるシリコンアルコキシドは、テトラメトキシシランもしくはその縮合物、またはテトラエトキシシランもしくはその縮合物であることが好ましい。
さらに、前記工程(b)で得られる表面被覆チタン系微粒子は、前記チタン系微粒子の重量をCで表し、さらにその被覆層の重量をSで表したとき、その重量比(S/C)が酸化物換算基準で1/100〜50/100の範囲となるように前記チタン系微粒子の表面上に前記シリカ系酸化物または前記シリカ系複合酸化物で被覆したものであることが好ましい。
前記工程(c)で得られる表面被覆チタン系粒子集合体は、前記表面被覆チタン系微粒子を含む混合水溶液をスプレードライヤーに供して噴霧乾燥することにより、該表面被覆チタン系微粒子の乾燥と粒状化を同時に行ったものであることが好ましい。
また、前記工程(e)で使用される有機溶媒は、メタノ-ル、エタノ-ル、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコ-ル等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等のケトン類から選ばれた有機化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、前記工程(e)で使用される有機溶媒中には、カルボン酸系化合物および/またはアミン系化合物を含むことが好ましい。ここで、前記カルボン酸系化合物は、酒石酸、クエン酸およびリンゴ酸から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。また、前記アミン系化合物は、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミンおよびテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記工程(f)で得られた有機溶媒分散ゾルに、さらに陰イオン交換樹脂および/または陽イオン交換樹脂を添加して撹拌することにより、該有機溶媒分散ゾル中に含まれるイオン化物質を除去しておくことが好ましい。
本発明に係る高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルは、
上記のいずれかに記載の調製方法から得られる高屈折率の金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルであって、
(1)前記金属酸化物微粒子を構成するチタン系微粒子が、ルチル型の結晶構造を有する結晶性粒子であり、しかも3〜13nmのX線回折結晶子径を有し、さらにその屈折率が2.2〜2.7の範囲にあり、
(2)前記金属酸化物微粒子を構成する被覆層が、前記チタン系微粒子の屈折率より0.2以上低い屈折率を有し、しかも
(3)前記金属酸化物微粒子が、8〜60nmの平均粒子径と70〜200m2/gの比表面積を有し、さらにその屈折率が2.0〜2.5の範囲にあり、また
(4)前記有機溶媒分散ゾルが、5〜40重量%の前記金属酸化物微粒子を含み、しかもその濁度が0.1〜11.0cm-1の範囲にある
ことを特徴としている。
前記チタン系微粒子は、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔d1が0.1440〜0.1460nmの範囲にあり、また(301)結晶面の面間隔d2が0.1355〜0.1370nmの範囲にあることが好ましい。
また、前記チタン系微粒子は、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)が9/100〜20/100の範囲にあることが好ましい。
前記被覆層は、実質的に二酸化ケイ素からなるシリカ系酸化物であることが好ましい。
また、前記被覆層は、ケイ素と、ジルコニウム、アンチモン、スズおよびアルミニウムから選ばれた少なくとも1種の金属元素とを含むシリカ系複合酸化物であることが好ましい。
さらに、前記金属酸化物微粒子は、動的光散乱法で測定したときの粒子径頻度分布において、100nm以上の粒子径を有する比較的粗大なチタン系微粒子の分布頻度が1%以下であることが好ましい。
また、前記有機溶媒は、メタノ-ル、エタノ-ル、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコ-ル等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等のケトン類から選ばれた有機化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
本発明に係る塗料組成物は、上記のいずれかに記載の有機溶媒分散ゾル中に含まれる高屈折率金属酸化物微粒子とバインダー成分を含むことを特徴としている。
また、前記バインダー成分は、有機ケイ素化合物であることが好ましい。
さらに、前記有機ケイ素化合物は、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物であることが好ましい。
1 a2 bSi(OR34-(a+b) (I)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリル基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
また、前記有機ケイ素化合物は、該有機ケイ素化合物をSiO2基準に換算した重量をXで表し、前記高屈折率金属酸化物微粒子の重量をYで表したとき、その重量比(X/Y)が30/70〜90/10となるような割合で含まれることが好ましい。
前記バインダー成分は、熱硬化性有機樹脂または熱可塑性有機樹脂であることが好ましい。
また、前記熱硬化性有機樹脂は、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂およびメラミン系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、前記熱可塑性有機樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記熱硬化性有機樹脂または熱可塑性有機樹脂は、該樹脂化合物の重量をAで表し、前記高屈折率金属酸化物微粒子の重量をBで表したとき、その重量比(A/B)が90/10〜30/70となるような割合で含まれることが好ましい。
前記塗料組成物は、光学基材用塗料組成物であることが好ましい。
また、前記光学基材用塗料組成物は、ハードコート層膜形成用塗料組成物であることが好ましい。
さらに、前記光学基材用塗料組成物は、プライマー層膜形成用塗料組成物であることが好ましい。
本発明の調製方法によれば、高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルを調製したのち、該水分散ゾルを溶媒置換工程などに供して有機溶媒分散ゾルとすることなく、直接、高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルを調製することができるので、極めて経済的である。
本発明方法から得られる有機溶媒分散ゾル中に含まれる高屈折率金属酸化物微粒子は、それ自体が2.0〜2.5と高い屈折率を有しており、さらにその光触媒活性がかなり低いことなどによって、該微粒子を含む塗布液を用いて形成された硬化性塗膜やプラスチック基材などを劣化させる可能性が非常に少ないばかりでなく、該硬化性塗膜に青変(すなわち、ブルーイング)を生じさせる可能性も非常に少ないという利点を有している。これは、この金属酸化物微粒子を構成するチタン系微粒子が、特別な物理的性状を備えた結晶性微粒子であることに起因している。すなわち、前記チタン系微粒子は、X線回折法で測定される結晶子径が3〜13nmの範囲にあるルチル型の結晶構造からなっており、それ自体が2.2〜2.7の高い屈折率を有している。
さらに詳述すれば、前記高屈折率金属酸化物微粒子を構成するチタン系微粒子は、比較的高い温度、すなわち300〜800℃の温度で焼成されているので、その結晶化度(本発明では、X線回折結晶子径で表されている。)が高くなり、結果として該微粒子の屈折率を高めることができる。しかし、前記チタン系微粒子は、シリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆したのち焼成されているので、該チタン系微粒子の比表面積を直接測定することはできないが、その結晶化度が高まるにつれて該微粒子自体の比表面積は小さくなっていることが予想される。さらに、前記チタン系微粒子は、その表面が前記成分で被覆されているばかりでなく、比較的高い温度で焼成されているため、該微粒子の表面に存在するOH基は極めて少なくなっていることが予想される。これにより、該微粒子を紫外線に暴露したときにフリーラジカル化されるOH基(たとえば、・OHなど)が少なくなるので、結果として上記の光触媒活性を弱めることができる。
また、前記高屈折率金属酸化物微粒子は、表面被覆チタン系微粒子集合体(すなわち、シリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で表面被覆されたチタン系微粒子の集合体)を有機溶媒の存在下で粉砕して得られたものであるので、その粒子表面での光反射率が小さく、結果として該粒子表面で光散乱を引き起こす可能性も少ない。さらに、前記表面被覆チタン系微粒子集合体は、表面被覆されたチタン系微粒子の集合体であるため、各々のチタン系微粒子に粉砕することが容易である。このような高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルは、濁りが少なく、ほぼ透明またはそれに近いものである。
このようにして得られる、本発明に係る有機溶媒分散ゾルは、次のような物理特性を備えた高屈折率金属酸化物微粒子を含み、しかもその濁度が0.1〜11.0cm-1(ただし、前記微粒子の含有量が5〜40重量%であるとき)の範囲にある。
(1)前記金属酸化物微粒子を構成するチタン系微粒子が、ルチル型の結晶構造を有する結晶粒子であり、しかも3〜13nmのX線回折結晶子径を有し、さらにその屈折率が2.2〜2.7の範囲にある。
(2)前記金属酸化物微粒子を構成する被覆層が、前記チタン系微粒子の屈折率より0.2以上低い屈折率を有している。
(3)前記金属酸化物微粒子が、8〜60nmの平均粒子径と70〜200m2/gの比表面積を有し、さらにその屈折率が2.0〜2.5の範囲にある。
このようにして得られる、前記高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルを原料組成物として用いた光学基材用塗料組成物(たとえば、ハードコート層膜形成用塗布液)を使用すれば、昨今のプラスチックレンズ業界などから切望されている、1.70以上、特に1.71〜1.81の高い屈折率を有し、しかも耐候性や耐光性に優れた硬化性塗膜を基材上に容易に形成することができる。さらに具体的に述べれば、前記基材として、たとえ1.71〜1.81の高い屈折率を有するプラスチックレンズ基材を使用しても、該プラスチックレンズ基材と前記塗膜との間に起こる光の干渉(干渉縞として現れる)を容易に抑えることができ、しかも屈折率がこのように高いにもかかわらず、従来の金属酸化物微粒子では得られなかった、耐候性と耐光性に優れた硬化性塗膜を基材上に容易に形成することができる。
また、光散乱率の低い高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルを原料組成物として使用しているので、ヘーズが0.5%以下の無色透明な硬化性塗膜を基材上に形成することができる。さらに、耐擦傷性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐汗性、耐熱水性、密着性、染色性、耐褪色性などの性状に優れた硬化性塗膜を基材上に形成することができる。
よって、本発明に係る前記有機溶媒分散ゾルを用いて調製された光学基材用塗料組成物は、プラスチックレンズ基材などの光学基材上に、ハードコート層膜やプライマー層膜などの硬化性塗膜を形成する際に好適に使用することができる。
なお、本発明に係る塗料組成物、たとえば前記光学基材用塗料組成物を用いて得られる硬化性塗膜は、以下に示すような特性を備えている。
(1)全固形分(前記高屈折率金属酸化物微粒子とバインダー成分として混合される有機ケイ素化合物等との合計量)に対する前記高屈折率金属酸化物微粒子の含有量が35〜60重量%の範囲にある塗料組成物を用いて形成された硬化性塗膜は、1.70以上、さらに詳しくは1.71〜1.81の高い屈折率を有している。よって、1.70以上、特に1.71〜1.81の高い屈折率を有するプラスチックレンズ基材などに適用しても、上記の干渉縞などは見られない。
(2)比較的低い光触媒活性を備えた高屈折率金属酸化物微粒子を含む塗料組成物を使用しているので、前記硬化性塗膜は、耐候性や耐光性において非常に優れた性状を有している。ここで、「耐候性」とは、上記の光触媒活性によって前記塗膜中に含まれる有機系物質やプラスチックレンズ基材などが劣化することに対する耐性を意味し、また「耐光性」とは、上記の光触媒活性によってハードコート層膜などの塗膜が青色に変化すること(いわゆる、ブルーイング)に対する耐性を意味する。しかし、前記の硬化性塗膜においては、上記の劣化やブルーイングなどは殆ど起こらない。
(3)光散乱率が比較的低い高屈折率金属酸化物微粒子を含む塗料組成物を使用しているので、前記硬化性塗膜は、ヘーズが0.5%以下の無色透明なものである。
(4)さらに、前記硬化性塗膜は、耐擦傷性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐汗性、染色性、耐熱水性、密着性、耐褪色性などにおいても、優れた性状を有している。
以下、本発明に係る高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法並びに該方法から得られる有機溶媒分散ゾルについて具体的に説明する。
なお、本発明で使用される純水とはイオン交換水をいい、また超純水とは純水中に含まれる不純物をさらに取り除いたもので、不純物の含有量が0.01μg/L以下のものをいう。
[有機溶媒分散ゾルの調製方法]
調製方法−1
本発明に係る第一の有機溶媒分散ゾルの調製方法(以下、「調製方法−1」という。)は、
チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含むチタン系微粒子の表面を、少なくともシリカ系酸化物で被覆してなる高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法であって、
(a)過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)を生成させる工程、
(b)前記工程(a)で得られたチタン系微粒子を含む混合水溶液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物を混合して、該ケイ素化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた表面被覆チタン系微粒子を乾燥して粒状にすることにより平均粒子径1〜80μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を有機溶媒の存在下で粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nmの金属酸化物微粒子(四次粒子)とし、さらに該金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させてなる有機溶媒分散ゾルを得る工程、および
(f)前記工程(e)で得られた有機溶媒分散液を必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する工程
を含むものである。
次に、これらの各工程について説明すれば、以下の通りである。
工程(a)
本発明において、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子とは、チタニウムとスズとを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子や、チタニウムと、スズおよびケイ素とを含むチタン系複合酸化物からなるチタン系微粒子などを意味し、これらの化合物の一部を化学式で模式的に示せば、以下の通りである。

| |
−O−Ti−O−Sn−O−
| |

| | |
−O−Ti−O−Sn−O−Si−O−
| | |
前記チタン系微粒子は、過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理することによって、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)として得られる。
この工程についてさらに具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)四塩化チタンをTiO2換算基準で約7〜8重量%含む四塩化チタン水溶液と、アンモニア(NH3)を約10〜20重量%含むアンモニア水とを混合して、pH約9〜10の白色スラリー液を得る。次いで、このスラリーを濾過したのち、純水で洗浄して、固形分含有量が約8〜14重量%の含水チタン酸ケーキを得る。
次に、このケーキに、過酸化水素(H22)を約30〜40重量%含む過酸化水素水と純水とを加えたのち、約70〜90℃の温度で約0.5〜5時間、撹拌下で加熱して、過酸化チタン酸をTiO2換算基準で約1〜3重量%含む過酸化チタン酸水溶液を得る。この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは約7.5〜8.5である。ただし、本発明においては、これ以外の方法で調製された過酸化チタン酸を使用してもよい。
(2)次いで、前記過酸化チタン酸水溶液に陽イオン交換樹脂を混合して、これに、スズ酸カリウムをSnO2換算基準で約0.5〜2重量%含むスズ酸カリウム水溶液を撹拌下で徐々に添加する。
次に、カリウムイオンなどを取り込んだ陽イオン交換樹脂を分離したのち、平均粒子径が約4〜12nmのシリカ微粒子を含む、酸化ケイ素(SiO2)を約10〜20重量%含むシリカゾルと純水とを混合して、オートクレーブ中で150〜250℃、好ましくは160〜200℃の温度で約15〜20時間、好ましくは16〜19時間、水熱処理する。この場合、前記のシリカゾルに代えて、珪酸やテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランもしくはこれらの縮合物からなるシリコンアルコキシドなどを用いることができる。ただし、チタニウムとスズとからなる複合酸化物粒子を調製する場合には、これらのシリカ源を混合する必要はない。
ここで、前記水熱処理温度が150℃未満であると、チタニウムとスズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物の結晶化が進み難いため、得られる粒子(一次粒子)の結晶化度が低くなり、また該水熱処理温度が250℃を超えると、前記複合酸化物の結晶化が過度に進むばかりか、得られる粒子が凝集し易くなるので、上記の範囲から適宜選択した温度で水熱処理することが好ましい。さらに、前記水熱処理時間が15時間未満であると、結晶化していない複合酸化物や結晶化が進んでいない複合酸化物微粒子が残存することがあり、また該水熱処理時間が20時間を超えると、生成した結晶性の複合酸化物微粒子が凝集し易くなるので、好ましくない。
これにより、ルチル型の結晶構造を有する、チタニウムと、スズおよびケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)を含有する混合水溶液が得られる。ただし、前記のシリカ源を混合しなかった場合には、チタニウムとスズとを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)を含有する混合水溶液が得られる。
次に、得られた混合水溶液を室温またはそれに近い温度まで冷却する。
工程(b)
この工程では、上記で得られたチタン系微粒子(一次粒子)を含む混合液に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物を混合して、該ケイ素化合物を加水分解または脱水・縮重合させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を得る。
ここで、前記シリコンアルコキシドは、テトラメトキシシランもしくはその縮合物、またはテトラエトキシシランもしくはその縮合物であることが好ましく、前記テトラメトキシシランの縮合物としては、一般式Sinn-1(OCH32n+2で表されるメチルシリケート51TMなどが挙げられ、また前記テトラエトキシシランの縮合物としては、一般式Sinn-1(OC252n+2で表されるエチルシリケート40TMやエチルシリケート45TMなどが挙げられる。
さらに、前記珪酸としては、アルカリ金属珪酸塩、有機塩基の珪酸塩等の珪酸塩水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリ(Naイオンの除去等)したものを使用することができる。ここで、前記珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、第4級アンモニウムシリケート等の有機塩基の珪酸塩などが挙げられる。この中でも、pHが2〜6、好ましくは2〜3の範囲にあり、珪素成分の含有量がSiO2換算基準で0.5〜10重量%、好ましくは3〜4重量%の範囲にある珪酸の水溶液(以下、「珪酸水溶液」という場合がある。)を使用することが望ましい。ここで、前記pHが2未満であると、陽イオン交換に要する処理時間が必要以上に長くなって経済的でなくなり、また前記pHが6を超えると、脱アルカリの度合いが低いため、得られる珪酸の安定性が悪くなるので、好ましくない。さらに、前記含有量が0.5重量%未満であると、経済的に前記シリカ系多孔質粒子を得ることが難しくなり、また前記含有量が10重量%を超えると、珪酸の安定性が悪くなるので、好ましくない。このような性状を有する珪酸水溶液としては、水ガラス(珪酸ナトリウム)を水で希釈した後、陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリしたものを使用することが好ましい。
さらに詳しく述べれば、前記チタン系微粒子を含む混合液に前記シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物を撹拌下で混合したのち、該ケイ素化合物を60〜250℃の温度条件下で加水分解して脱水・縮重合させることが好ましい。
ここで、前記温度が60℃未満であると、粒子表面に形成されるケイ素酸化物の前駆体(加水分解物)の脱水・縮合反応が十分に起こらないため、得られる表面被覆チタン系粒子を含む分散液の安定性が低下することがあり、また前記温度が250℃を超えると、ケイ素酸化物の溶解度が高くなり過ぎるため、粒子表面に形成された被覆層が剥離したりして、該粒子を含む分散液の安定性が低下することがあるので、好ましくない。この場合、前記混合液中には、既にアルカリ金属や第4級アンモニウムなどが含まれているので、外部から加水分解触媒などを新たに添加する必要はない。
これにより、前記チタン系微粒子の表面が化学式SiO2で表される二酸化ケイ素などのシリカ系酸化物で被覆された表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)が得られる。
このようにして得られる表面被覆チタン系微粒子は、前記チタン系微粒子の重量をCで表し、さらにその被覆層の重量をSで表したとき、その重量比(S/C)が酸化物換算基準で1/100〜50/100、好ましくはで5/100〜30/100の範囲となるように前記チタン系微粒子の表面上に前記シリカ系酸化物が被覆されていることが好ましい。
ここで、前記重量比が酸化物換算基準で1/100未満であると、最終的に得られる金属酸化物微粒子の光触媒活性を十分に抑制することができないことがあり、また該重量比が酸化物換算基準で50/100を超えると、前記被覆層が厚くなって所望の屈折率が得られないことがあるので、好ましくない。
また、このようにして形成される被覆層は、前記金属酸化物微粒子中に含まれるチタン系微粒子の屈折率より0.2以上低い屈折率を有していることが望まれるが、二酸化ケイ素などのシリカ系酸化物の屈折率は1.45前後にあるので、この条件を簡単に満足させることができる。
このようにして、前記チタン系微粒子の表面に、前記シリカ系酸化物を被覆することにより、最終的に得られる金属酸化物微粒子の粒子表面での光散乱を大きく抑えることができる。これにより、以下に述べる有機溶媒分散ゾルの濁度を低く抑えることができる。
次に、前記表面被覆チタン系微粒子を含む混合水溶液を室温まで冷却したのち、限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分濃度が約2〜15重量%の混合水溶液を得る。次いで、必要に応じて該混合水溶液のpHを3〜10、好ましくは4〜8に調整する。このpH調整は、前記混合水溶液がpH10以上のアルカリ性を呈している場合は、該混合水溶液中に陽イオン交換樹脂を添加して該混合水溶液中に含まれるカリウムイオンなどを取り除くことによって行うことができる。一方、前記混合水溶液が3未満のpHとなることは殆どないが、そのような場合は、水酸化カリウムなどを添加して行うことができる。
ここで、前記混合水溶液のpHが3未満であると、設備腐食の懸念が高まるばかりか、前記混合水溶液の保存安定性が低下し易くなり、また該pHが10を超えると、乾燥時に粒子間に働く毛管張力などが増大して硬い乾燥粉体(すなわち、後段の粉砕工程で粉砕し難い乾燥粉体。)を形成し易くなるので、好ましくない。しかし、得られる混合水溶液のpHが3〜10の範囲にある場合には、このpHを調整することは必ずしも必要でない。
工程(c)
この工程では、上記で得られた混合水溶液中に含まれる前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を乾燥して粒状にすることにより平均粒子径1〜80μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)を得る。
ここで、前記表面被覆チタン系微粒子集合体は、前記混合水溶液を一般的な熱風乾燥装置に供して得ることもできるが、通常は塊状の乾燥固形物として得られるため、後段の焼成工程に供する前に、これを粉砕装置に供して適度に粉砕しておくことが必要となる。しかし、その操作が煩雑であるばかりでなく、前記焼成工程の後段で行われる粉砕工程で粒子径の揃った粒子群を得ることが難しくなるので、スプレードライヤーを用いて前記混合水溶液を噴霧乾燥することが好ましい。なお、このスプレードライヤーを使用すれば、前記固形分の乾燥と粒状化を同時に行うことができる。
前記スプレードライヤーとしては、従来公知のもの(ディスク回転式やノズル式等のスプレードライヤー)を使用することができる。また、この噴霧乾燥は、従来公知の方法を用いて、必要に応じて濃縮された前記混合水溶液を熱風気流中に噴霧することによって行われる。
この際、前記熱風の温度は、入口温度が150〜200℃、好ましくは170〜180℃の範囲にあることが望ましく、出口温度が40〜60℃の範囲にあることが好ましい。ここで、前記入口温度が150℃未満であると、前記固形分の乾燥が不充分となり、また200℃を超えると、経済的でなくなる。また、前記出口温度が40℃未満であると、粉体の乾燥度合いが悪くて装置内に付着するので、好ましくない。
これにより、乾燥された平均粒子径が1〜80μm、好ましくは2〜60μmの表面被覆チタン系微粒子集合体が得られる。
さらに、前記スプレードライヤーの代わりに、フリーズドライ設備などを用いて、前記複合酸化物粒子を凍結乾燥させることもできる。
工程(d)
この工程では、上記で得られた表面被覆チタン系粒子集合体(三次粒子)を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を得る。
さらに詳しく述べれば、この工程では、前記表面被覆チタン系粒子集合体を焼成装置に供して、空気などの酸素含有雰囲気下で300〜800℃、好ましくは300〜700℃の温度にて30〜240分間、好ましくは60〜180分間かけて焼成することが必要である。
ここで、前記焼成温度が300℃未満であると、前記表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物中に含まれるチタン系微粒子の結晶化が進み難いため、所望のX線回折結晶子径を有する粒子を得ることが難しくなり、また該温度が800℃を超えると、粒子同士の焼結(すなわち、二次粒子同士の焼結)が急激に進んで、結果として後段の粉砕工程で粒子径の揃った粒子を得ることが難しくなるので、上記の範囲から適宜選択した温度で焼成することが好ましい。さらに、前記焼成時間が30分間未満であると、前記複合酸化物粒子の全体が十分に焼成されないことがあり、また該焼成時間が240分間を超えると、経済的でなくなるので、好ましくない。
これにより、7.5〜14.0nm、好ましくは8.0〜10nmのX線回折結晶子径を有するチタン系微粒子(前記表面被覆チタン系粒子の構成成分)、すなわち結晶化度が比較的高いチタン系微粒子を含む表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物が得られる。
さらに詳しく述べれば、前記の焼成操作を行うと、前記チタン系微粒子の結晶化度が高まるため、前記のX線回折結晶子径を有し、しかもルチル型の結晶構造からなる結晶性チタン系粒子を得ることができる。
ここで、前記X線回折結晶子径が7.5nm未満であると、粒子の結晶化度が低くなるため、所望の屈折率が得られなくなり、また該X線回折結晶子径が14.0nmを超えると、粒子の屈折率が高くなり過ぎて粒子表面での光散乱が増加することになるので、好ましくない。よって、前記X線回折結晶子径が7.5nm未満のものが得られる場合には、上記の焼成温度範囲内で、前記の焼成温度を高める必要があり、また該結晶子径が14.0nmを超えるものが得られる場合には、前記焼成温度を低める必要がある。
また、このチタン系微粒子は、それ自身が高い屈折率と低い光触媒活性を有しており、その屈折率は、2.2〜2.7、好ましくは2.3〜2.6の範囲にある。
ここで、前記屈折率が2.2未満であると、該微粒子をシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆することによって屈折率が低下するため、後述する金属酸化物微粒子において所望の屈折率が得られなくなり、また該屈折率が2.7を超えると、粒子表面での光散乱が増加するので、好ましくない。よって、前記屈折率が2.2未満のものが得られる場合には、前記の焼成温度を高める必要があり、また前記屈折率が2.7を超えるものが得られる場合には、前記の焼成温度を低める必要がある。
工程(e)
この工程では、上記で得られた表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を有機溶媒の存在下で粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nmの金属酸化物微粒子とし、さらに該金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させてなる有機溶媒分散ゾルを得る。なお、ここでいう前記金属酸化物微粒子は、一部の粗大粒子を除けば前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)とほぼ同じか或いは似かよった粒子径を有する表面被覆チタン系微粒子(四次粒子)である。
さらに詳しく述べれば、前記工程(d)から得られる表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物は、概ね平均粒子径が1〜80μmの比較的大きな粒子径からなる粒子であるため、これを粉砕装置に供して、ゾル化できる程度の小さな粒子径を有する微粒子(ただし、この中には、100nm以上の粗大粒子を含んでいてもよい。)に粉砕することが必要である。
前記粉砕装置としては、従来公知の粉砕装置、たとえばサンドミル、ロールミル、ビーズミル、超音波分散機、アルティマイザーTM、ナノマイザーTMなどを用いることができる。また、前記粉砕装置の操作条件は、使用する粉砕装置や前記焼成物(すなわち、前記表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物)の性状などによっても異なるが、たとえばサンドミル(関西ペイント(株)製卓上サンドミルなど)を用いて行う場合には、セラミック製ディスクローターなどを備えた装置内に、粒子径0.1〜0.2mmの球状石英ビーズ゛と前記表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を有機溶媒中に懸濁させた混合液(固形分濃度5〜40重量%)を入れて、一般的な条件下(たとえば、ローター回転速度600〜2000rpm、処理時間1〜10時間など)で粉砕処理を行うことが好ましい。
前記有機溶媒としては、メタノ-ル、エタノ-ル、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコ-ル等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等のケトン類から選ばれた有機化合物が挙げられる。この中でも、得られる有機溶媒分散ゾルをプラスチックレンズなどの光学基材用途に使用する場合は、メタノール等のアルコール類やプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類から選ばれる有機化合物の少なくとも1種を使用することが好ましい。その理由は、塗布膜の乾燥速度が比較的速く、成膜し易いためである。
また、前記表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を粉砕する際に使用される有機溶媒は、前記焼成物の固形分濃度が10〜45重量%、好ましくは20〜40重量%となるような割合でサンドミルなどの粉砕装置の中に加えることが好ましい。
ここで、前記焼成物の固形分濃度が10重量%未満であると、該焼成物の衝突頻度が低下するため所望の粒子径の分散液を得るのに非常に時間がかかるので、経済性に乏しくなり、また前記焼成物の固形分濃度が45重量%を超えると、分散液の粘度が高くなり過ぎてその流動性が低下するため所望の粒子径の分散液を得ることが難しくなるので、好ましくない。
さらに、前記表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物をサンドミルなどの粉砕装置を用いて粉砕する際には、分散安定化剤として作用するカルボン酸系化合物やアミン系化合物などの有機化合物を溶解させた有機溶媒の存在下で粉砕することが好ましい。
前記カルボン酸系化合物としては、蟻酸、酢酸、蓚酸、アクリル酸(不飽和カルボン酸)、グルコン酸等のモノカルボン酸およびモノカルボン酸塩、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、などの多価カルボン酸および多価カルボン酸塩等、酒石酸、グリセリン酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、トロパ酸、ベンジル酸、α−乳酸、β−乳酸、γ−ヒドロキシ吉草酸のヒドロキシカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸塩などが挙げられる。この中でも、最終的に得られる金属酸化物微粒子の有機溶媒分散液の透明性や分散安定性などの観点から、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などを使用することが好ましい。
さらに、前記アミン系化合物としては、アンモニア;ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソブチルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、テトラメチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の第4級アンモニウム塩または第4級アンモニウムハイドロオキサイドなどが挙げられる。この中でも、最終的に得られる金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの透明性や分散安定性などの観点から、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどを使用することが好ましい。
また、前記カルボン酸系化合物および前記アミン系化合物は、単独でも使用可能であるが、これらの双方(例えば、酒石酸およびジイソプロピルアミン)を使用することが好ましい。その理由は、粉砕された表面被覆チタン系粒子の表面に存在する金属イオンなどと複塩を形成することにより、最終的に得られる金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの透明性や分散安定性を向上させることができるからである。なお、これらの化合物の双方を使用する場合、その添加順序については特に拘る必要はない。
また、前記カルボン酸系化合物は、前記表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物の重量に対して5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような割合で混合することが好ましい。
ここで、前記カルボン酸系化合物の混合量が5重量%未満であると、最終的に得られる金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの透明性が悪くなる傾向にあり、また前記混合量が40重量%を超えると、粉砕された表面被覆チタン系粒子の凝集が起こりやすくなるため、最終的に得られる金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの分散安定性が悪化することがあるので、好ましくない。
さらに、前記アミン系化合物は、前記表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物の重量に対して1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%となるような割合で混合することが好ましい。
ここで、前記アミン系化合物の混合量が1重量%未満であると、最終的に得られる金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの透明性が悪くなる傾向にあり、また前記混合量が40重量%を超えると、粉砕された表面被覆チタン系粒子の凝集が起こりやすくなるため、最終的に得られる金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの分散安定性が悪化することがあるので、好ましくない。
上記で得られた金属酸化物微粒子を含む懸濁液には、さらに所望量の有機溶媒を加えて有機溶媒分散ゾルを調製する。なお、ここで使用される有機溶媒は、上記で使用したものと同じ種類のものを使用することが好ましい。
これにより、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nmの金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルが得られる。
ここで、前記平均粒子径が8nm未満であると、該金属酸化物微粒子を有機溶媒中に高濃度で分散させたとき、ゾルの粘度が著しく上昇する傾向があり、また該平均粒子径が60nmを超えると、粒子表面での光散乱が増加し、結果として該金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの濁度が高まってしまうことがあるので、上記の範囲となるように適宜調整することが好ましい。
また、このようにして得られる前記金属酸化物微粒子は、ルチル型の結晶構造を有する結晶性チタン系微粒子の表面をシリカ系酸化物で被覆してなるものであり、その比表面積が70〜200m2/g、好ましくは80〜180m2/gの範囲にあり、また屈折率が2.0〜2.5、好ましくは2.1〜2.4の範囲にある。
ここで、前記金属酸化物微粒子の比表面積が70m2/g未満であると、これを用いて調製される塗料組成物に含まれるバインダー成分との密着性(粒子表面に存在するOH基との反応性など)が低いため、得られる硬化性塗膜の強度が低下し、結果として該粒子の塗料組成物中への添加量を増加させることが必要となる場合がある。また、前記比表面積が200m2/gを超えると、粒子表面に存在するOH基の量が多くなって粒子間の相互作用が強くなり、結果として粒子同士が凝集することがあるため、得られる硬化性塗膜の透明性が低くなる場合があるので、好ましくない。
さらに、前記金属酸化物微粒子の屈折率が2.0未満のものが得られる場合には、所望する高い屈折率の塗膜(たとえば、光学基材用塗膜)を形成することが難しくなるため、前記被覆層の厚さをより薄くする必要がある。また、前記屈折率が2.5を超えるものが得られる場合には、粒子表面での光散乱を抑えることが難しくなることがあるため、前記被覆層の厚さをより厚くする必要がある。
工程(f)
この工程では、上記で得られた有機溶媒分散ゾルを必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する。
さらに詳しく述べれば、前記金属酸化物微粒子は、上記のように粉砕または粉砕・解膠して製造されたものであるので、その粒子群の中に比較的粒子径の大きな粗大粒子を含むことがある。そこで、このような粗大粒子を含む場合は、前記金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルを湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する必要がある。ただし、このような粗大粒子が含まれない場合は、必ずしもこの操作を行う必要はない。
この湿式分級装置としては、従来公知の遠心分離機、液体サイクロン、水簸(自然沈降装置)などを用いることができる。
前記粗大粒子の分離・除去は、得られた金属酸化物微粒子を動的光散乱法で測定したときの粒子径頻度分布において、100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度が1%以下、好ましくは0.2%以下となるように行うことが好ましい。
ここで、前記粗大粒子の分布頻度が1%を超えると、このような粗大粒子を含む金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルは10cm-1を超えた濁度になってしまうことがあり、引いては該有機溶媒分散ゾルを用いて調製された塗膜形成用塗布液から得られる塗膜の透明性が低下してしまうことがあるので、このような粗大粒子はできるだけ分離・除去しておくことが望ましい。
これにより、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nm、好ましくは10〜50nmの金属酸化物微粒子が得られる。
このようにして得られる有機溶媒分散ゾル中には、上記の調製過程で添加または副生されたイオン化物質、たとえばカリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、スズイオン、チタニウムイオンなどの陽イオン物質や塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、珪酸イオン、スズ酸イオン、チタン酸イオンなどの陰イオン物質が含まれる。そこで、前記有機溶媒分散ゾル中に、必要に応じて陰イオン交換樹脂や陽イオン交換樹脂を添加して適当時間、撹拌することにより、前記イオン化物質をできるだけ取り除いておくことが望ましい。なお、前記イオン化物質を予め除去する目安は、前記有機溶媒分散ゾルの使用用途によっても異なるが、該有機溶媒分散ゾル中に含まれる前記イオン化物質の総イオン濃度が0.1mol/L以下となるまで行うことが好ましい。ここで、前記総イオン濃度が0.1mol/Lを超えると、前記金属酸化物微粒子の凝集が起こりやすくなるので、好ましくない。
調製方法−2
本発明に係る第二の有機溶媒分散ゾルの調製方法(以下、「調製方法−2」という。)は、
チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物粒子の表面を、少なくともシリカ系複合酸化物で被覆してなる高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法であって、
(a)過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)を生成させる工程、
(b)前記工程(a)で得られたチタン系微粒子を含む混合水溶液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物と、過酸化ジルコン酸塩、アンチモン酸塩、スズ酸塩およびアルミン酸塩から選ばれた少なくとも1種の金属化合物とを混合して、該ケイ素化合物および該金属化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系複合酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた表面被覆チタン系微粒子を乾燥して粒状にすることにより平均粒子径1〜80μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を有機溶媒の存在下で粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nmの金属酸化物微粒子(四次粒子)とし、さらに該金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させてなる有機溶媒分散ゾルを得る工程、および
(f)前記工程(e)で得られた有機溶媒分散液を必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する工程
を含むものである。
すなわち、この調製方法−2と上記の調製方法−1で異なるところは、前記工程(b)の操作条件のみである。よって、ここでは、前記工程(b)についてのみ説明を加える。
工程(a)および工程(c)〜(f)
上記の調製方法−1に記載の通りである。
工程(b)
この工程では、前記工程(a)で得られたチタン系微粒子(一次粒子)を含む混合水溶液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物と、過酸化ジルコン酸塩、アンチモン酸塩、スズ酸塩およびアルミン酸塩から選ばれた少なくとも1種の金属化合物とを混合して、該ケイ素化合物および該金属化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系複合酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を得る。
さらに詳しく述べれば、前記工程(a)で得られた混合水溶液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物と、過酸化ジルコン酸塩、アンチモン酸塩、スズ酸塩およびアルミン酸塩から選ばれた少なくとも1種の金属化合物を混合したのち、該ケイ素化合物および該金属化合物を60〜250℃の温度条件下で加水分解させることが好ましい。
ここで、前記温度が60℃未満であると、粒子表面に形成されるケイ素酸化物の前駆体(加水分解物)の脱水・縮合反応が十分に起こらないため、得られる表面被覆チタン系粒子を含む分散液の安定性が低下することがあり、また前記温度が250℃を超えると、ケイ素酸化物の溶解度が高くなり過ぎるため、粒子表面に形成された被覆層が剥離したりして、該粒子を含む分散液の安定性が低下することがあるので、好ましくない。この場合、前記混合液中には、既にアルカリ金属や第4級アンモニウムなどが含まれているので、外部から加水分解触媒などを新たに添加する必要はない。
なお、前記シリコンアルコキシドは、調製方法−1の場合と同様に、テトラメトキシシランもしくはその縮合物、またはテトラエトキシシランもしくはその縮合物であることが好ましい。また、前記珪酸は、調製方法−1に記載されたものを使用することができる。
これにより、前記チタン系微粒子の表面がケイ素と、ジルコニウム、アンチモン、スズおよびアルミニウムから選ばれた少なくとも1種の金属元素とを含むシリカ系複合酸化物で被覆された表面被覆チタン系微粒子が得られる。
ここで、前記シリカ系複合酸化物は、ケイ素と、ジルコニウム、アンチモン、スズおよびアルミニウムから選ばれた少なくとも1種の金属元素を含む化合物であり、これらの化合物の一部を化学式で模式的に示せば、以下の通りである。

| |
−O−Si−O−Zr−O−
| |


−O−Si−O−Al−O−
| |


| |
−O−Si−O−Sb−O−
| |

| |
−O−Si−O−Sn−O−
| |

| | |
−O−Si−O−Sb−O−Zr−O−
| | |
このようにして得られる表面被覆チタン系微粒子は、前記チタン系微粒子の重量をCで表し、さらにその被覆層の重量をSで表したとき、その重量比(S/C)が酸化物換算基準で1/100〜50/100、好ましくはで5/100〜30/100の範囲となるように前記チタン系微粒子の表面上に前記シリカ系複合酸化物を被覆することが好ましい。
ここで、前記重量比が酸化物換算基準で1/100未満であると、先にも述べたように、上記の光触媒活性を十分に抑制することができないことがあり、また該重量比が酸化物換算基準で50/100を超えると、前記被覆層が厚くなって所望の屈折率が得られないことがあるので、好ましくない。
なお、ケイ素と、ジルコニウム、アンチモン、スズおよび/またはアルミニウムの金属元素を含むシリカ系複合酸化物の屈折率は、これらの金属元素の含有量に依存するので、添加原料としての金属化合物、たとえば過酸化ジルコン酸塩、アンチモン酸塩、スズ酸塩、アルミン酸塩などの量を調整して添加することが望ましい。しかし、前記チタン系微粒子の屈折率が2.2〜2.7と高いので、これより0.2以上低い屈折率を有する被覆層を形成することは極めて容易である。
このように、前記チタン系微粒子の表面に前記シリカ系複合酸化物を被覆することにより、粒子表面での光散乱を大きく抑えることができる。これにより、以下に述べる有機溶媒分散ゾルの濁度を低く抑えることができる。
前記表面被覆チタン系微粒子を含む混合水溶液を後段の工程(c)〜(f)に供して得られる金属酸化物微粒子の屈折率は、調製方法−1の場合と同様に、前記被覆層の厚さが1nm以下、さらに述べれば0.1〜0.5nm程度と極めて薄いもの(ただし、詳細な値は測定不能である。)であるため、前記チタン系微粒子の屈折率とほぼ近いものとなっている。すなわち、その屈折率は、2.0〜2.5、好ましくは2.1〜2.4と比較的高いものである。
ここで、前記金属酸化物微粒子の屈折率が2.0未満のものが得られる場合には、調製方法−1の場合と同様に、所望する高い屈折率の塗膜(たとえば、光学基材用塗膜)を形成することが難しくなるため、前記被覆層の厚さをより薄くする必要がある。また、前記金属酸化物微粒子の屈折率が2.5を超えるものが得られる場合には、粒子表面での光散乱を抑えることが難しくなることがあるため、前記被覆層の厚さをより厚くする必要がある。
また、このようにして得られる前記金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル中にも、調製方法−1の場合と同様に、上記の調製過程で添加または副生されたイオン化物質、たとえばカリウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、スズイオン、チタニウムイオンなどの陽イオン物質や塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、珪酸イオン、スズ酸イオン、チタン酸イオンなどの陰イオン物質が含まれる。そこで、調製方法−1の場合と同様に、前記イオン化物質を予め取り除いておくことが望ましい。
上記の調製方法−1および調製方法−2で得られる金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルは、該金属酸化物微粒子を5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%含み、さらにその濁度が0.1〜11.0cm-1、好ましくは0.2〜9.0cm-1の範囲にあるものである。
ここで、該金属酸化物微粒子の含有量は、前記工程(e)で粉砕された金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させる時の添加量によってほぼ決まるが、該含有量が40重量%を超えると、粘度上昇などが起こって有機溶媒分散ゾルの安定性が悪くなるので、上記の範囲に適宜調整することが好ましい。
一方、前記有機溶媒分散ゾルの濁度は、前記金属酸化物微粒子の光散乱率とその含有量によってほぼ決まるが、該濁度が0.1cm-1未満のものを得ることは難しく、また該濁度が10.0cm-1を超えると、該有機溶媒分散ゾルを用いて調製された塗膜形成用塗布液から得られる塗膜の透明性が著しく低下してしまうことがあるので、好ましくない。
このように、有機溶媒分散ゾルの濁度が10.0cm-1を超える場合には、前記金属酸化物微粒子の表面での光散乱率を抑えるため、その被覆層の厚さを少し厚くしてやる必要がある。また、該金属酸化物微粒子の平均粒子径を小さくすることによってもこの問題を解決できることがあるので、場合によっては、前記表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を粉砕して得られる金属酸化物微粒子の平均粒子径を小さくしたり、あるいはその後の湿式分級段階で前記金属酸化物微粒子中に含まれる粗大粒子を極力、除去したりしておくことが望ましい。
このようにして、本発明に係る高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルが得られる。
通常、水分散ゾルを溶媒置換装置に供して、該水分散ゾル中に含まれる水を有機溶媒に置換することによって有機溶媒分散ゾルを調製する際には、あらかじめ該水分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の表面を有機ケイ素化合物やアミン系化合物などの表面処理剤で処理しておくことが望まれるが、本発明では、この処理を行う必要はない。これは、前記工程(e)、すなわち前記表面被覆チタン系粒子集合体焼成物の粉砕工程で有機溶媒中に添加されたカルボン酸系化合物やアミン系化合物がその役割を担うからである。
また、本発明においては、高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルを調製する工程を含まないので、有機溶媒分散ゾルを調製する際に、上記の溶媒置換装置を使用することもない。
[有機溶媒分散ゾル]
本発明に係る高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルは、
上記のいずれかに記載の調製方法から得られる高屈折率の金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルであって、
(1)前記金属酸化物微粒子を構成するチタン系微粒子が、ルチル型の結晶構造を有する結晶性粒子であり、しかも7.5〜14.0nmのX線回折結晶子径を有し、さらにその屈折率が2.2〜2.7の範囲にあり、
(2)前記金属酸化物微粒子を構成する被覆層が、前記チタン系微粒子の屈折率より0.2以上低い屈折率を有し、しかも
(3)前記金属酸化物微粒子が、8〜60nmの平均粒子径と70〜200m2/gの比表面積を有し、さらにその屈折率が2.0〜2.5の範囲にあり、また
(4)前記有機溶媒分散ゾルが、5〜40重量%の前記金属酸化物微粒子を含み、しかもその濁度が0.1〜11.0cm-1の範囲にある
ものである。
前記有機溶媒分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子を構成するチタン系微粒子は、先にも述べたように、ルチル型の結晶構造を有する結晶性粒子であり、しかも7.5〜14.0nmのX線回折結晶子径を有し、さらにその屈折率が2.2〜2.7の範囲にあることが望まれる。
ここで、前記X線回折結晶子径が7.5nm未満であると、粒子の結晶化度が低くなるため、所望の屈折率が得られなくなり、また該X線回折結晶子径が14.0nmを超えると、粒子の屈折率が高くなり過ぎて粒子表面での光散乱が増加することになるので、好ましくない。さらに、前記屈折率が2.2未満であると、該微粒子をシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆することによって屈折率が低下するため、後述する金属酸化物微粒子において所望の屈折率が得られなくなり、また該屈折率が2.7を超えると、粒子表面での光散乱が増加するので、好ましくない。
また、前記チタン系微粒子は、該微粒子のX線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔d1が0.1440〜0.1460nm、好ましくは0.1445〜0.1455nmの範囲にあり、また(301)結晶面の面間隔d2が0.1355〜0.1370nm、好ましくは0.1356〜0.1368nmの範囲にあることが好ましい。
ここで、前記(310)結晶面の面間隔d1が0.1440nm未満であると、上記の光触媒活性が強まる傾向にあり、また該結晶面の面間隔d1が0.1460nmを超えると、同様に上記の光触媒活性が強まる傾向にあるので、好ましくない。このような現象を起こすメカニズムの詳細は現時点で明らかでないが、前者の場合は、光触媒反応の抑制に関与していると考えられる(310)結晶面の面間隔が狭まることで、電子および正孔(ホール)の粒子表面への拡散が促進され易くなるためと考えられ、また後者の場合は、逆に光触媒反応の抑制に関与していると考えられる(310)結晶面の面間隔が広がることで、(310)結晶面の密度が低下し易くなるためと考えられる。さらに、前記(301)結晶面の面間隔d2が0.1355nm未満であると、上記の光触媒活性が強まる傾向にあり、また該結晶面の面間隔d2が0.1370nmを超えると、同様に上記の光触媒活性が強まる傾向にあるので、好ましくない。このような現象を起こすメカニズムの詳細は現時点で明らかでないが、前記の(310)結晶面と同様に、光触媒反応の抑制に関与していると考えられる(301)結晶面の面間隔が狭まることで、電子および正孔(ホール)の粒子表面への拡散が促進され易くなるためと考えられ、また後者の場合は、逆に光触媒反応の抑制に関与していると考えられる(301)結晶面の面間隔が広がることで、(301)結晶面の密度が低下し易くなるためと考えられる。
さらに、前記チタン系微粒子は、該微粒子のX線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)が9/100〜20/100、好ましくは12/100〜14/100の範囲にあることが好ましい。
ここで、前記相対ピーク強度比(P1/P2)が9/100未満であると、上記の光触媒活性が強まる傾向があり、また該相対ピーク強度比が20/100を超えると、同様に上記の光触媒活性が強まる傾向にあるので、好ましくない。このような現象を起こすメカニズムの詳細は現時点で明らかでないが、前者の場合は、光触媒反応の促進に関与していると考えられる(110)結晶面が光触媒反応の抑制に関与していると考えられる(310)結晶面に較べて相対的に多くなっているためと考えられる。また後者の場合は、光触媒反応の促進に関与していると考えられる(110)結晶面が光触媒反応の抑制に関与していると考えられる(310)結晶面に較べて相対的に少なくなっているため、本来ならば前記の光触媒活性は抑制されるはずであるが、これとは逆に光触媒活性は強まる傾向にある。その理由は未だ明らかではないが、光触媒活性の活性点となるOH基(フリーラジカル化された・OHなどを含む)が、反応活性の高くなるキンク(Kink)あるいはコーナー(Corner)と呼ばれる表面位置に比較的多く存在していることなどが考えられる。
前記有機溶媒分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子を構成する被覆層は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.2以上低い屈折率、好ましくは0.5以上低い屈折率を有していることが望まれる。
ここで、前記被覆層の屈折率が前記チタン系微粒子の屈折率より0.2以上低くないと、粒子表面での光散乱を十分に抑制できなくなることがあるので、好ましくない。
なお、このような屈折率を有する被覆層は、先にも述べたように、実質的に二酸化ケイ素からなるシリカ系酸化物や、ケイ素と、ジルコニウム、アンチモン、スズおよびアルミニウムから選ばれた少なくとも1種の金属元素を含むシリカ系複合酸化物で構成することが好ましい。
また、前記被覆層を設けてなる金属酸化物微粒子は、8〜60nmの平均粒子径と70〜200m2/gの比表面積を有し、さらにその屈折率が2.0〜2.5の範囲にあることが望まれる。
ここで、前記金属酸化物微粒子の平均粒子径が8nm未満であると、該金属酸化物微粒子を有機溶媒中に高濃度で分散させたとき、ゾルの粘度が著しく上昇する傾向があり、また前記平均粒子径が60nmを超えると、粒子表面での光散乱が増加し、結果として該金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの濁度が高まってしまうことがあるので、好ましくない。また、前記金属酸化物微粒子の比表面積が70m2/g未満であると、これを用いて調製される塗料組成物に含まれるバインダー成分との密着性(粒子表面に存在するOH基との反応性など)が低いため、得られる硬化性塗膜の強度が低下し、結果として該粒子の塗料組成物中への添加量を増加させることが必要となる場合がある。また、前記比表面積が200m2/gを超えると、粒子表面に存在するOH基の量が多くなって粒子間の相互作用が強くなり、結果として粒子同士が凝集することがあるため、得られる硬化性塗膜の透明性が低くなる場合があるので、好ましくない。さらに、前記金属酸化物微粒子の屈折率が2.0未満であると、該微粒子を含む有機溶媒分散ゾルを用いて調製された塗膜形成用塗布液から得られる塗膜の屈折率を1.70以上にすることが難しくなり、また該屈折率が2.5を超えると、該微粒子を含む有機溶媒分散ゾルを用いて調製された塗膜形成用塗布液から得られる塗膜に十分な硬度(すなわち、適切なハードコート特性)を与えるために必要な量を加えると塗膜の屈折率が逆に高くなり過ぎて干渉縞が発生し易くなるので、好ましくない。
前記金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルは、該金属酸化物微粒子を5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%含み、しかもその濁度が0.1〜11.0cm-1、好ましくは0.2〜9.0cm-1範囲にあることが望まれる。
ここで、前記金属酸化物微粒子の含有量が40重量%を超えると、粘度上昇などが起こって有機溶媒分散ゾルの安定性が悪くなるので、好ましくない。さらに、前記有機溶媒分散ゾルの濁度が0.1cm-1未満のものを得ることは難しく、また該濁度が11.0cm-1を超えると、該有機溶媒分散ゾルを用いて調製された塗膜形成用塗布液から得られる塗膜の透明性が著しく低下してしまうことがあるので、好ましくない。
さらに、前記有機溶媒分散ゾルをプラスチックレンズなどの光学基材用途に使用する場合には、該分散ゾル中に含まれる有機溶媒の種類などによっても異なるが、前記金属酸化物微粒子の含有量を10〜40重量%、好ましくは20〜30重量%の範囲にすることが好ましい。
ここで、前記金属酸化物微粒子の含有量が10重量%未満であると、これを原料とした光学基材用塗布液などの固形分含有量が低下するため、塗膜の膜厚が薄くなって膜硬度を低下させてしまうことがあるので、好ましくない。また、前記含有量が40重量%を超えると、先にも述べたように、有機溶媒分散ゾルの安定性が悪くなるので、好ましくない。
また、前記有機溶媒分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子は、動的光散乱法で測定したときの粒子径頻度分布において、100nm以上の粒子径を有する比較的粗大なチタン系微粒子の分布頻度が1%以下であることが好ましい。
ここで、前記粗大粒子の分布頻度が1%を超えると、先にも述べたように、このような粗大粒子を含む金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルは11.0cm-1を超えた濁度になってしまうことがあるので、好ましくない。
次に、本発明に係る高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルを用いて調製される光学基材用塗布液および該塗布液を塗布して得られる光学基材用塗膜について説明すれば、以下の通りである。ただし、本発明に係る高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルは、その他の用途にも使用することができるので、本発明に係る有機溶媒分散ゾルはこれらの用途に限定されるものではない。
[塗料組成物]
本発明に係る塗料組成物は、上記の本発明方法から得られた高屈折率金属酸化物微粒子とバインダー成分を含むものである。
ここで、前記高屈折率金属酸化物微粒子については、上記の通りであるので、前記バインダー成分について具体的に説明すれば、以下の通りである。
(1)バインダー成分
本発明で使用されるバインダー成分は、前記塗料組成物の使用目的に応じて従来公知のもの、あるいは現在開発中のものから適宜選択して使用することができる。しかし、ここでは、光学物品用塗料組成物に使用される典型的なバインダー成分について具体的に説明する。すなわち、ハードコート層膜形成用塗料などに使用される(a)有機ケイ素化合物およびプライマー層膜形成用塗料組成物などに使用される(b)熱硬化性有機樹脂または(c)熱可塑性有機樹脂について具体的に説明する。
ただし、本発明で使用されるバインダー成分は、前記高屈折率金属酸化物微粒子のバインダー成分として機能するならば、必ずしもこれらに限定されるものではない。たとえば、前記有機ケイ素化合物の代わりに、チタニウムアルコキシド等の金属アルコキシドや紫外線硬化性化合物(たとえば、アクリロイルオキシ基を有する多官能アクリル系化合物等)などの化合物、さらには前記熱硬化性有機樹脂や前記熱可塑性有機樹脂の代わりに、前記紫外線硬化性化合物などの化合物を使用することもできる。
(a)有機ケイ素化合物
本発明で使用される前記バインダー成分としての有機ケイ素化合物は、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物であることが好ましい。
1 a2 bSi(OR34-(a+b) (I)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリル基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
前記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物としては、アルコキシシラン化合物がその代表例として挙げられ、具体的には、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、α−グルシドキシメチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキキシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキキシランなどがある。これらの中でも、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシランなどを使用することが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物(2)は、1種類だけでなく2種類以上を使用してもよい。
(b)熱硬化性有機樹脂
本発明で使用される前記バインダー成分としての熱硬化性有機樹脂としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂およびメラミン系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
さらに具体的に述べれば、前記ウレタン系樹脂としては、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート等のブロック型ポリイシシアネートとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の活性水素含有化合物との反応物などが挙げられ、また前記エポキシ樹脂
としては、たとえばポリアルキレンエーテル変性エポキシ樹脂や分子鎖に柔軟性骨格(ソフトセグメント)を導入したエポキシ基含有化合物などが挙げられる。
さらに、前記メラミン系樹脂としては、たとえばエーテル化メチロールメラミンとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールとの硬化物などが挙げられる。これらの中でも、ブロック型イシシアネートとポリオールとの硬化物であるウレタン系樹脂を使用することが好ましい。また、これらの熱硬化性有機樹脂は、1種類だけでなく2種類以上を使用してもよい。
(c)熱可塑性有機樹脂
本発明で使用される前記バインダー成分としての熱可塑性有機樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、さらには自己乳化型の水系エマルジョン樹脂であることがより好ましい。
さらに具体的に述べれば、前記アクリル系樹脂としては、たとえば(メタ)アクリル酸アルキスエステルモノマーから得られる水系エマルジョンや前記モノマーとスチレン、アクリロニトリル等とを共重合させたポリマーエマルジョンなどが挙げられ、また前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリオール化合物とポリイシシアネートとを反応させてなる水系エマルジョンなどが挙げられ、さらに前記エステル系樹脂としては、たとえばハードセグメントにポリエステル、ソフトセグメントにポリエーテルまたはポリエステルを用いたマルチブロック共重合体の水分散型エラストマーなどが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールとポリイシシアネートから得られる水分散型ウレタン系樹脂を使用することが好ましい。また、これらの熱可塑性有機樹脂は、1種類だけでなく2種類以上を使用してもよい。
(2)塗料組成物
次に、前記高屈折率金属酸化物微粒子と前記バインダー成分とを含む塗料組成物についてさらに具体的に説明する。すなわち、前記バインダー成分として前記有機ケイ素化合物を含む塗料組成物(以下、「塗料組成物−1」という場合がある。)、および前記バインダー成分として前記熱硬化性有機樹脂または前記熱可塑性有機樹脂を含む塗料組成物(以下、「塗料組成物−2」という場合がある。)についてさらに具体的に述べれば、以下の通りである。
塗料組成物−1
本発明に係る塗料組成物−1を調製する際に、前記有機ケイ素化合物は、無溶媒下またはアルコール等の極性有機溶媒中で、酸および水の存在下で部分加水分解または加水分解した後に、前記高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルと混合することが好ましい。ただし、前記有機ケイ素化合物は、前記有機溶媒分散ゾルと混合した後に、部分加水分解または加水分解してもよい。
このようにして、前記塗料組成物−1は、前記有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物と前記高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルとを混合して調製されるが、その混合割合は、前記有機ケイ素化合物をSiO2基準に換算した重量をXで表し、前記高屈折率金属酸化物微粒子の重量をYで表したとき、その重量比(X/Y)が30/70〜90/10、好ましくは35/65〜80/20の範囲にあることが好ましい。ここで、前記重量比が30/70未満であると、光学基材や他の塗膜(たとえば、プライマー層膜)との密着性が低下することがあり、また前記重量比が90/10を超えると、塗膜の屈折率や塗膜表面での耐擦傷性が低くなってしまうので、好ましくない。
このように調製された前記塗料組成物−1は、ハードコート層膜形成用塗料組成物として好適に使用することができる。
なお、前記塗料組成物−1は、ハードコート層膜などの塗膜の染色性や、プラスチックレンズ基材などへの密着性を向上させ、更にはクラックの発生を防止するために、上記の成分に加えて、未架橋エポキシ化合物を含有していてもよい。
この未架橋エポキシ化合物としては、たとえば1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテルなどを使用することが好ましい。また、これらの未架橋エポキシ化合物は、1種類だけでなく2種類以上を使用してもよい。
さらに、前記塗料組成物−1は、上記以外の成分、たとえば界面活性剤、レベリング剤および/または紫外線吸収剤、さらには特許文献2、特許文献3、特開平11−310755号公報、国際公開公報WO2007/046357などの従来公知の文献に記載されている有機化合物や無機化合物などを含んでいてもよい。
塗料組成物−2
本発明に係る塗料組成物−2は、前記熱硬化性有機樹脂または前記熱可塑性有機樹脂と前記高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルとを混合して調製される。
その混合割合は、前記樹脂化合物(すなわち、前記熱硬化性有機樹脂または前記熱可塑性有機樹脂)の種類や前記塗料組成物の用途などによっても異なるが、該樹脂化合物の重量をAで表し、前記高屈折率金属酸化物微粒子の重量をBで表したとき、その重量比(A/B)が90/10〜30/70、好ましくは80/20〜35/65の範囲にあることが好ましい。ここで、前記重量比が30/70未満であると、この塗料組成物から形成される塗膜(プライマー層膜)とその表面に形成されるハードコート層膜との密着性が低下することがあり、また前記ハードコート層膜の表面に反射防止層膜を形成した場合には、得られる光学レンズ基材の耐衝撃性が悪くなることがあるので、好ましくない。さらに、前記重量比が90/10を超えると、この塗料組成物から形成される塗膜(プライマー層膜)の耐熱性が悪くなることがあるばかりでなく、塗膜の屈折率が低下してしまうことがあるので、好ましくない。
このように調製された前記塗料組成物−2は、光学基材用塗料組成物(特に、プライマー層膜形成用塗料組成物)として好適に使用することができる。
さらに、前記塗料組成物−2は、上記以外の成分、たとえば中和剤、界面活性剤または紫外線吸収剤、さらには国際公開公報WO2007/026529などの従来公知の文献に記載されている有機化合物や無機化合物などを含んでいてもよい。
(3)塗料組成物の調製方法
次に、本発明に係る塗料組成物−1および塗料組成物−2の調製方法について具体的に説明する。これらの塗料組成物−1および塗料組成物−2は、先にも述べたように、高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルを調製した後、前記有機ケイ素化合物(すなわち、塗料組成物―1の構成成分)、あるいは前記熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂(すなわち、塗料組成物―2の構成成分)と混合して調製されるが、ここでは、光学基材に用いられる塗料組成物の調製方法について具体的に説明する。ただし、ここで述べる調製方法はその一態様を示すものであるので、本発明に係る塗料組成物はこれらの調製方法から得られたものに限定されない。
なお、本発明で使用される純水とはイオン交換水をいい、また超純水とは純水中に含まれる不純物をさらに取り除いたもので、不純物の含有量が0.01μg/L以下のものをいう。
塗料組成物−1
本発明に係る塗料組成物−1は、上記で得られた高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルと有機ケイ素化合物とを混合することによって調製される。
ここで使用される前記有機ケイ素化合物は、先に述べたように、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物であることが好ましい。
1 a2 bSi(OR34-(a+b) (I)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリル基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
なお、前記有機ケイ素化合物の具体例については、上記した通りである。
前記塗料組成物−1の調製に際しては、前記有機ケイ素化合物を無溶媒下またはアルコール等の極性有機溶媒中で、酸および水の存在下で部分加水分解または加水分解した後に、前記有機溶媒分散ゾルと混合することが好ましい。ただし、前記有機ケイ素化合物は、前記有機溶媒分散ゾルと混合した後に、部分加水分解または加水分解してもよい。
なお、前記有機ケイ素化合物の部分加水分解や加水分解は、撹拌しながら5〜30℃の温度で1〜48時間かけて行うことが好ましい。また、加水分解を行った後、−10〜1℃の低温度条件下に静置して熟成を行ってもよい。
このように、前記塗料組成物−1は、前記有機ケイ素化合物と前記有機溶媒分散ゾルとを混合して調製されるが、その混合は、前記有機ケイ素化合物をSiO2基準に換算した重量をXで表し、前記高屈折率金属酸化物微粒子の重量をYで表したとき、その重量比(X/Y)が30/70〜90/10、好ましくは35/65〜80/20となるように行うことが好ましい。ここで、前記重量比が30/70未満であると、先にも述べたように、基材や他の塗膜との密着性が低下することがあり、また前記重量比が90/10を超えると、塗膜の屈折率や塗膜表面での耐擦傷性が低下することがあるので、好ましくない。
このようにして調製される前記塗料組成物−1は、光学基材用塗料組成物として好適に使用される。この光学基材用塗料組成物の代表的なものとしては、ハードコート層膜形成用塗料組成物がある。
前記塗料組成物−1を光学基材用塗料組成物として調製する際には、前記有機溶媒分散ゾルの分散媒としてメタノール、エタノールなどのアルコール類やプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類を使用することが好ましい。また、前記有機ケイ素化合物の分散媒としては、前記有機溶媒分散ゾルの分散媒と相性のよいものであれば特に制限なく使用できるが、できるだけ同種のものを使用することが好ましい。
また、前記塗料組成物−1には、ハードコート層膜などの塗膜の染色性や、プラスチックレンズ基材などへの密着性を向上させ、更にはクラックの発生を防止するために、上記の成分に加えて、未架橋エポキシ化合物などを含ませてもよい。
さらに、該塗料組成物−1には、上記以外の成分、たとえば界面活性剤、レベリング剤および/または紫外線吸収剤、さらにはその用途に適した従来公知の有機化合物や無機化合物などを含ませてもよい。
塗料組成物−2
本発明に係る塗料組成物−2は、上記で得られた高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルと熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂とを混合することによって調製される。
ここで使用される前記熱硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂などがあり、これらの中でも、ウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂などを使用するこが好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびエステル系樹脂などがあり、これらの中でも、ウレタン系樹脂やエステル系樹脂などを使用するこが好ましい。
なお、前記の熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の具体例については、上記の通りである。
前記塗料組成物−2の調製に際しては、前記熱硬化性樹脂を有機溶媒に溶解させた分散液または前記熱可塑性樹脂を有機溶媒や水に溶解または分散させた分散液に、前記有機溶媒ゾルを混合することが好ましい。また、前記熱硬化性樹脂または前記熱可塑性樹脂の分散媒としては、前記有機溶媒分散ゾルの分散媒と相性のよいものであれば特に制限なく使用できるが、できるだけ同種のものを使用することが好ましい。ただし、前記熱硬化性樹脂または前記熱可塑性樹脂は、有機溶媒や水などの分散媒に溶解または分散させることなく、直接、前記前記有機溶媒分散ゾルに混合してもよい。
このように、前記塗料組成物−2は、前記の樹脂化合物と前記有機溶媒分散ゾルとを混合して調製されるが、その混合は、前記樹脂化合物の種類やその用途などによっても異なるが、前記樹脂化合物の重量をAで表し、前記高屈折率金属酸化物微粒子の重量をBで表したとき、その重量比(A/B)が90/10〜30/70、好ましくは80/20〜35/65となるように行うことが好ましい。ここで、前記重量比が30/70未満であると、基材や他の塗膜との密着性や基材の耐衝撃性が低下することがあり、また前記重量比が90/10を超えると、塗膜の屈折率や耐熱性が低下することがあるので、好ましくない。
このようにして調製される前記塗料組成物−2は、前記塗料組成物−1の場合と同様に、光学基材用塗料組成物として好適に使用される。この光学基材用塗料組成物の代表的なものとしては、プライマー層膜形成用塗料組成物がある。
また、前記塗料組成物−2には、上記以外の成分、たとえば中和剤、界面活性剤または紫外線吸収剤、さらにはさらにはその用途に適した従来公知の有機化合物や無機化合物などを含ませてもよい。
(4)硬化性塗膜
本発明に係る塗料組成物は、高誘電材料、光学材料、高屈折率ハードコード材料、高屈折率接着材料、高屈折率封止材料、高反射性材料、紫外光吸収材料などの様々な用途に使用することができる。しかし、ここでは、その代表的な例として、前記塗料組成物を光学基材上に塗布して得られる硬化性塗膜、すなわち光学基材用塗膜について説明する。
前記塗料組成物を塗布するための光学基材としては、各種のプラスチック基材があり、これを光学レンズとして使用する場合には、ポリスチレン樹脂、アリル樹脂(特に、芳香族系アリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ポリチオウレタン樹脂、ポリチオエポキシ樹脂などで構成されたプラスチックレンズ基材がある。また、光学レンズ以外に用いられるプラスチック基材としては、PMMA樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、ポリサルフォン樹脂などで構成されたプラスチック基材がある。
また、昨今では、1.7以上、さらに詳しくは1.71〜1.81の比較的高い屈折率を有する光学基材(プラスチックレンズ基材など)が開発され、現在、一部市販または試験供給されている。前記塗料組成物は、これらの高屈折光学基材にも特に問題なく適用することができるので、これらの光学基材から適宜選択して使用することができる。
しかし、前記塗料組成物中に含まれる高屈折率金属酸化物微粒子の濃度を低くすれば、1.50〜1.70、さらに詳しくは1.52〜1.67の比較的低い屈折率を有する光学基材にも容易に適用することができる。
前記塗料組成物のうち、上記の塗料組成物−2から選択される光学基材用塗料組成物(すなわち、プライマー層膜形成用塗料組成物)は、従来公知の方法で前記光学基材上に直接、塗布される。一方、上記の塗料組成物−1から選択される光学基材用塗料組成物(すなわち、ハードコート層膜形成用塗料組成物)は、従来公知の方法で前記光学基材上に直接、塗布されるか、あるいは前記の光学基材用塗料組成物を塗布して形成された塗膜(すなわち、プライマー層膜)上に塗布される。
このようにして、光学基材上に形成された塗膜は、従来公知の方法で硬化させることにより、所望の光学基材用塗膜、すなわちハードコート層膜やプライマー層膜になる。
これにより、昨今のプラスチックレンズ業界などから切望されている、1.70以上、特に1.71〜1.81の高い屈折率を有し、しかも耐候性や耐光性に優れた光学基材用塗膜(たとえば、ハードコート層膜)が得られる。また、この塗膜は、ヘーズが0.5%以下と低く、しかも無色透明なものとして得られる。
さらに、光学基材用塗膜に求められる耐擦傷性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐汗性、耐熱水性、密着性、染色性、耐褪色性などにおいても、優れた特性を有している。ただし、ポリチオエポキシ樹脂で構成されたプラスチックレンズ基材に、前記ハードコート層膜を直接形成しようとすると、基材の物理的性状に起因して該基材に変色が生じたり、あるいは前記ハードコート層膜との密着性が悪くなったりすることがあるため、このような場合は、前記基材上に予め前記のプライマー層膜を形成しておくことが望ましい。なお、この現象は、従来公知のハードコート層膜形成用塗料組成物を使用した場合も同様である。
[測定方法]
次に、本発明の実施例その他で使用された測定方法および評価試験法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)粒子の平均粒子径
ナノサイズの粒子径を有するチタン系微粒子または金属酸化物微粒子の水分散ゾルまたは有機溶媒ゾル(固形分含有量20重量%)0.15gに純水19.85gを混合して調製した固形分含有量0.15%の試料を、長さ1cm、幅1cm、高さ5cmの石英セルに入れて、動的光散乱法による超微粒子粒度分析装置(大塚電子(株)製、型式ELS−Z2)を用いて、粒子群の粒子径分布を測定する。なお、本発明でいう平均粒子径は、この測定結果をキュムラント解析して算出された値を示す。ただし、前記超微粒子粒度分析装置を用いた動的光散乱法で測定された前記微粒子の粒子径分布より得られる粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で撮った前記微粒子のTEM写真より得られる粒子の平均粒子径の約3倍の値を示すことが分かった。よって、本発明で規定される前記微粒子の平均粒子径は、他の測定方法より得られる平均粒子径とは異なるものである。
(2)粒子の粒子径分布頻度
前記(1)で使用した動的光散乱法による粒子径分布測定から得られる散乱強度の頻度分布より求める。なお、本発明でいう100nm以上の粒子径を有する粒子の分布頻度は、94.9nm以下の粒子径を有する粒子群の分布頻度(%)の合計値を100から差し引いた値を示す。
(3)粒子の比表面積
チタン系微粒子または表面被覆チタン系微粒子の乾燥粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間乾燥後、デシケータに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、比表面積(m2/g)をBET法にて測定する。なお、本発明でいう比表面積は、この測定結果から算出された値を示す。
(4)粒子の結晶形態
チタン系微粒子または表面被覆チタン系微粒子の水分散ゾルを磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、110℃12時間乾燥後、デシケータに入れて室温まで冷却する。次に、乳鉢にて15分粉砕後、X線回折装置(理学電気(株)製、RINT1400)を用いて結晶形態を測定する。なお、本発明でいう結晶形態は、この測定結果から判定された形態(たとえば、ルチル型など)を示す。
(5)粒子のX線回折結晶子径
前記(4)で使用したX線回折装置を用いて、チタン系微粒子または表面被覆チタン系微粒子(焼成物)の結晶構造を測定した結果より求める。なお、本発明でいうX線回折結晶子径(D)は、以下のシェラー(Scheller)の式を用いて算出された値を示す。
D=λ/βcosθ
(ここで、λはX線波長、βは半価幅、θは反射角を意味する。なお、本測定で使用されるX線(CuKα線)の波長λは、0.154056nmである。また、反射角θは測定されたルチル結晶面(110)の2θを用いて算出した。)
(6)X線回折による結晶面間隔
前記(5)で使用したX線回折装置を用いて、チタン系微粒子または表面被覆チタン系微粒子(焼成物)の結晶構造を測定した結果より求める。なお、本発明でいう結晶面間隔(d)は、(310)および(301)の結晶面を測定し、以下のブラグ(Brrag)の式を用いて算出された値を示す。
d=λ/2sinθ
(ここで、λはX線波長、θは反射角を意味する。なお、本測定で使用されるX線(CuKα線)の波長λは、0.154056nmである。)
(7)X線回折による相対ピーク強度
前記(5)で使用したX線回折装置を用いて、チタン系微粒子または表面被覆チタン系微粒子(焼成物)を測定した結果より求める。なお、本発明でいう相対ピーク強度比とは、ルチル型結晶の最強干渉線を表す(110)結晶面のピーク強度P2と(310)結晶面のピーク強度P1とを測定し、前者のピーク強度P2を100とした場合の相対強度比(P1/P2)を示す。
(8)有機溶媒分散ゾルの濁度
分光光度計(日本電子(株)製V−550)を用いて、金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの波長500nmにおける吸光度(log(Io/I))を測定した結果より求める。この場合、対照液には前記有機溶媒分散ゾルの調製時に使用した有機溶媒を使用する。なお、本発明でいう濁度(τ)は、以下に示すランベルト(Lambert)法則の式を用いて算出された値を示す。
τ(cm-1)=(1/W)×ln(I0/I)
=(1/W)×2.303×log(Io/I)
(ここで、Wはセルの幅(cm)、Ioは入射光の強さ(%)、Iは透過光の強さ(%)を意味する。)
(9)粒子中に含まれる金属酸化物の含有量
チタン系微粒子または金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルまたは有機溶媒分散ゾル(試料)をジルコニアボールに採取し、乾燥、焼成した後、Na22とNaOHを加えて溶融する。さらに、H2SO4とHClで溶解し、純水で希釈した後、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100)を用いて、チタニウム、スズ、アルミニウム、アンチモンおよび/またはシリカの含有量を酸化物換算基準(TiO2、SnO2、Al23、Sb25および/またはSiO2)で測定する。
次いで、前記試料を白金皿に採取し、HFとH2SO4を加えて加熱し、HClで溶解する。さらに、これを純水で希釈した後、ICP装置((株)島津製作所製、ICPS−8100)を用いてジルコニウムの含有量を酸化物換算基準(ZrO2)で測定する。
次に、前記試料を白金皿に採取し、HFとH2SO4を加えて加熱し、HClで溶解する。さらに、これを純水で希釈した後、原子吸光装置((株)日立製作所製、Z−5300)を用いてカリウムの含有量を酸化物換算基準(K2O)で測定する。
なお、本発明でいう各金属酸化物の含有量は、これらの測定結果から算出された値を示す。
(10)粒子の屈折率A(塗膜屈折率からの算定法)
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040、SiO2換算で49.2重量%)14.1gと99.9重量%のメチルアルコールを含むメタノール(林純薬(株)製)7.1gとを混合し、これに0.01Nの塩酸水溶液3.6gを攪拌しながら滴下して得られたシラン化合物の加水分解物を含む混合液に、前記チタン系微粒子または金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルまたは有機溶媒分散ゾル(固形分濃度2.0重量%)38.6g、さらにトリス(2.4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)0.3gおよびレベリング剤として10重量%のシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7006)を含むメタノール溶液0.07gを加えて室温で一昼夜攪拌して塗料組成物A(粒子の重量分率:10重量%)を調製する。なお、ここでいう「粒子の重量分率」とは、該塗料組成物中に含まれる全固形分に対する前記チタン系微粒子または金属酸化物微粒子の重量分率を意味し、以下も同じとする。
さらに、前記水分散ゾルまたは有機溶媒分散ゾルの混合量を77.1g、115.6g、154.1g、192.7gおよび212.0gに変化させた以外は前記と同様な方法で、塗料組成物B(粒子の重量分率:20重量%)、塗料組成物C(粒子の重量分率:30重量%)、塗料組成物D(粒子の重量分率:40重量%)、塗料組成物E(粒子の重量分率:50重量%)および塗料組成物F(粒子の重量分率:55重量%)をそれぞれ調製する。
また、前記金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルまたは有機溶媒分散ゾル(固形分濃度20.0重量%)についても、該水分散ゾルの混合量を3.9g、7.7g、11.6g、15.4g、19.2gおよび21.2gに変化させた以外は上記と同様な方法で、塗料組成物A(粒子の重量分率:10重量%)、塗料組成物B(粒子の重量分率:20重量%)、塗料組成物C(粒子の重量分率:30重量%)、塗料組成物D(粒子の重量分率:40重量%)、塗料組成物E(粒子の重量分率:50重量%)および塗料組成物F(粒子の重量分率:55重量%)をそれぞれ調製する。
次いで、前記塗料組成物A〜Fをスピンコーター(ミカサ(株)製、MS−A200)を用いて40℃の温度に保たれたシリコンウエハー基材上に300rpmの回転速度でそれぞれ塗布したのち、120℃の温度で2時間乾燥させて塗膜を形成する。次に、各シリコンウエハー基材上に形成された塗膜について、分光エリプソメーター(ソプラ社製、SOPRA ESVG)を用いて塗膜屈折率Nav’(実測値)を測定する。
次に、以下に示す体積分率・重量分率の変換式(数1を参照のこと)とマクスウェル−ガーネット(Maxwell-Garnett)の式(数2を参照のこと)を用いて、上記の粒子重量分率に対して理論上の塗膜屈折率Nav (計算値)を算出する。
次いで、これらの式に基づき算出した塗膜屈折率Navと、上記で測定した塗膜屈折率Nav’との偏差を求め、これより偏差平方を算出し、算出された偏差平方の和から偏差平方和を求める。この偏差平方和を、想定される粒子屈折率Np(たとえば、1.70〜2.70の範囲から少なくとも0.01刻みで想定された複数の想定粒子屈折率)ごとに求め、その最小値を示す屈折率を前記粒子の屈折率Np’とする。すなわち、これは最小二乗法による粒子屈折率の測定方法である。(この場合、前記想定粒子屈折率を横軸とし、さらに前記偏差平方和を縦軸としたグラフに前記の値をプロットすることが好ましい。)
Figure 0005511368
上記の数1において、f(m)は全固形分に対する粒子の体積分率、mは全固形分に対する粒子の重量分率、dmはマトリックス成分の比重(ここでは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの比重である1.07とする。)、dpはチタン系微粒子または金属酸化物微粒子の比重を意味する。ここで、前記dpはチタン系微粒子または金属酸化物微粒子の金属成分の含有量から計算して求めた比重であり、これらの粒子中に含まれるTiO2、SiO2、SnO2、Al23の比重をそれぞれ4.26、2.20、7.00、3.97とする。
Figure 0005511368
上記の数2において、Navは塗膜の屈折率、Nmはマトリックス成分の屈折率(ここでは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物の屈折率である1.499とする。)で、Npはチタン系微粒子または金属酸化物微粒子の屈折率を意味する。
なお、この測定方法においては、1.70〜2.70の屈折率をもつ粒子群の屈折率を測定することができ、特に、以下に示す標準液法では測定できない2.31を超える屈折率をもつ粒子群の屈折率を測定するのに適している。なお、この測定方法で求めた粒子の屈折率は、標準液法で測定した粒子の屈折率(ただし、1.70〜2.31の範囲)とほぼ一致した結果が得られている。
(11)粒子の屈折率B(標準液法)
チタン系微粒子または金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルまたは有機溶媒分散ゾルをエバポレーターに供して分散媒を蒸発させたのち、120℃の温度で乾燥させて乾燥粉末とする。次いで、屈折率が既知の標準液試薬を2〜3滴、ガラス基板上に滴下し、これに前記チタン系微粒子または前記金属酸化物微粒子の乾燥粉末を混合して混合液を調製する。この操作を、様々な屈折率を有する標準液試薬(MORITEX社製カーギル標準屈折率液)を用いて行い、前記混合液が透明になったときの標準液試薬の屈折率を前記粒子の屈折率とする。
因みに、この測定方法は、1.70〜2.31の屈折率をもつ粒子群の屈折率を測定することができる。しかし、現在、市販されている標準液試薬は屈折率が2.31以下の粒子にしか適用できないため、屈折率が2.31を超える粒子の屈折率をこの方法で測定することができない。そこで、本願発明においては、上記の測定方法Aを採用したが、参考までに前記測定方法Bを用いて粒子の屈折率(ただし、屈折率が1.70〜2.31の範囲)を測定した。
(12)粒子の光触媒活性試験
金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾル(固形分含有量20重量%)0.66gに純水9.34gを混合して調製した、固形分含有量6.6重量%の試料0.33gに、固形分含有量0.02重量%のサンセットイエロー染料のグリセリン溶液9.70gを混合する。次いで、これを長さ1mm、幅1cm、高さ5cmの石英セルに入れて密閉する。次に、I線(波長365nm)の波長域が選択された紫外線ランプ(AS ONE製SLUV−6)を用いて、前記石英セルに照射距離5.5cmから照射強度0.4mW/cm2(波長365nm換算)で180分、紫外線を照射する。
一方、紫外線照射前後において、前記試料の波長490nmにおけるそれぞれの吸光度(A0とA180)を測定して、以下の式から染料の退色変化率を算出する。さらに、以下の基準に基づき粒子の光触媒活性を評価する。
退色変化率(%)=(1−A180/A0)×100
評価基準
○:退色変化率が20%未満
△:退色変化率が20%以上〜50%未満
×:退色変化率が50%以上
(13)粒子の耐光性試験
金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾル(固形分含有量20重量%)0.90gに、純水4.50gおよびメタノール12.6gを混合して調製した、固形分含有量1.0重量%の試料18.00gを長さ1mm、幅1cm、高さ5cmの石英セルに入れて密封する。次いで、I線(波長365nm)の波長域が選択された紫外線ランプ(AS ONE製SLUV−6)を用いて、前記石英セルに照射距離5.5cmから照射強度0.4mW/cm2(波長365nm換算)で60分、紫外線を照射する。この紫外線に暴露された前記混合液の色の変化について目視による観測を行い、以下の基準で評価する。
評価基準
○:1時間以上で青変色が始まる
△:0.5時間以上〜1時間未満で青変色が始まる
×:0.5時間未満で青変色が始まる
(14)塗膜の外観(干渉縞)
内壁が黒色である箱の中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック(株)製、三波長型昼白色蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の光を試料基板のハードコート層膜(前記金属酸化物微粒子を含む)上に形成された反射防止膜表面で反射させ、光の干渉による虹模様(干渉縞)の発生を目視にて確認し、以下の基準で評価する。
S:干渉縞が殆ど無い
A:干渉縞が目立たない
B:干渉縞が認められるが、許容範囲にある
C:干渉縞が目立つ
D:ぎらつきのある干渉縞がある。
(15)塗膜の外観(曇り)
内壁が黒色である箱の中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック(株)製、三波長型昼白色蛍光灯)を取り付け、前記金属酸化物微粒子を含むハードコート層膜を有する試料基板を蛍光灯の直下に垂直に置き、これらの透明度(曇りの程度)を目視にて確認し、以下の基準で評価する。
A:曇りが無い
B:僅かに曇りがある
C:明らかな曇りがある
D:著しい曇りがある。
(16)塗膜の耐擦傷性試験
ハードコート層膜を形成した試料基板の表面をボンスタースチールウール♯0000(日本スチールウール(株)製)で手擦りし、傷の入り具合を目視にて判定し、以下の基準で評価する。
A:殆ど傷が入らない
B:若干の傷が入る
C:かなりの傷が入る
D:擦った面積のほぼ全面に傷が入る。
(17)塗膜の密着性試験
ハードコート層膜を形成した試料基板のレンズ表面に、ナイフにより1mm間隔で切れ目を入れ、1平方mmのマス目を100個形成し、セロハン製粘着テープを強く押し付けた後、プラスチックレンズ基板の面内方向に対して90度方向へ急激に引っ張り、この操作を合計5回行い、剥離しないマス目の数を数え、以下の基準で評価する。
良好:剥離していないマス目の数が95個以上
不良:剥離していないマス目の数が95個未満。
(18)塗膜の耐候性試験
ハードコート層膜を形成した試料基板をキセノンウエザーメーター(スガ試験機(株)製X−75型)で曝露試験をした後、外観の確認および前記の密着性試験と同様の試験を行い、以下の基準で評価する。なお、曝露時間は、反射防止膜を有している基板は200時間、反射防止膜を有していない基板は50時間とする。
良好:剥離していないマス目の数が95個以上
不良:剥離していないマス目の数が95個未満。
(19)塗膜の耐光性試験
退色試験用水銀ランプ(東芝(株)製H400−E)により紫外線を50時間照射し、試験前後のレンズ色の目視確認を行い、以下の基準で評価する。なお、ランプと試験片との照射距離は、70mmとし、ランプの出力は、試験片の表面温度が45±5℃となるように調整する。また、この試験は、反射防止膜をハードコート層の表面に施したプラスチックレンズを対象として行ったものである。
○:あまり変色が認められない
△:若干の変色が認められる
×:明らかな変色が認められる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)チタン系微粒子を含む水分散ゾルの調製
四塩化チタン(大阪チタニウムテクノロジ-ズ(株)製)をTiO2換算基準で7.75重量%含む四塩化チタン水溶液12.09kgと、アンモニアを15重量%含むアンモニア水(宇部興産(株)製)4.69kgとを混合し、pH9.5の白色スラリー液を調製した。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、固形分含有量が10重量%の含水チタン酸ケーキ9.87kgを得た。
次に、このケーキに、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水(三菱瓦斯化学(株)製)11.28kgと純水20.00kgとを加えた後、80℃の温度で1時間、撹拌下で加熱し、さらに純水57.52kgを加えて、過酸化チタン酸をTiO2換算基準で1重量%含む過酸化チタン酸水溶液を98.67kg得た。この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.5であった。
次いで、前記過酸化チタン酸水溶液98.67kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)4.70kgを混合して、これに、スズ酸カリウム(昭和化工(株)製)をSnO2換算基準で1重量%含むスズ酸カリウム水溶液12.33kgを撹拌下で徐々に添加した。
次に、カリウムイオンなどを取り込んだ陽イオン交換樹脂を分離した後、オートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、120L)に入れて、165℃の温度で18時間、加熱した。
次に、得られた混合水溶液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、ACV−3010)で濃縮して、固形分含有量が10重量%の、チタン系微粒子(以下、「P−1」という)を含む水分散ゾル9.90kgを得た。
このようにして得られたゾル中に含まれる固形物を上記の方法で測定したところ、ルチル型の結晶構造を有する、チタニウムおよびスズを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)であった。さらに、このチタン系微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO287.2重量%、SnO211.0重量%、およびK2O1.8重量%であった。また、該混合水溶液のpHは10.0であった。
さらに、前記チタン系微粒子を含む水分散ゾルは透明な乳白色であり、この水分散ゾル中に含まれる前記チタン系微粒子の平均粒子径は35nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。さらに、得られたチタン系微粒子の比表面積は124m2/gであった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.557、1.597、1.654、1.697、1.762、1.782であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は1.3×10-3であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.42であった。これにより、前記チタン系微粒子の屈折率は2.42であるとみなすことができた。
(2)シリカ系酸化物で表面被覆されたチタン系微粒子を含む水分散ゾルの調製
次いで、得られたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)9.90kgに、純水28.37kgと5.0重量%濃度のアンモニア水0.38kgを混合したのち、前記チタン系微粒子の重量をCで表し、さらにその被覆層の重量をSで表したとき、その重量比(S/C)が酸化物換算基準で20/100となるように、ケイ素成分をSiO2換算基準で28重量%含む正珪酸エチル(多摩化学工業(株)製)0.95kgとメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)19.80kgとを混合した。次いで、この混合溶液を50℃の温度に加熱して18時間、攪拌した。
次に、得られた混合溶液を室温まで冷却してから、限外濾過膜(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いてメタノールを除去して分散媒を水に置換した。さらに、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)0.38kgを混合して30分間攪拌した。次いで、前記陽イオン交換樹脂を目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、限外濾過膜(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて濃縮して固形分含有量が20重量%の水分散ゾルを調製した。これにより、前記チタン系微粒子の表面を正珪酸エチルの加水分解縮合物、すなわちシリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.97低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤー(NIRO社製NIRO ATOMIZER)に供して噴霧乾燥(入口温度:260℃、出口温度:55℃)した。これにより、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.16kgを、空気雰囲気下、500℃の温度にて1時間焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.09kgを得た。
このように焼成して得られた表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が170m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.6nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1447nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1366nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は14/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを、メタノール(林純薬(株)製)0.53kg、L-(+)-酒石酸(関東化学(株)製)45.3gおよびジイソプロピルアミン(東京化成工業(株)製)29.7gからなる混合液に分散させた。次いで、この混合液に粒子径0.1〜0.2mmの石英ビーズ(MRCユニテック(株)製高純度シリカビーズ015)1.00kgを加えて、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物の粉砕処理を行った。その後、石英ビーズを目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.55kgを得た。(なお、この粉砕工程においては、前記シリカビーズや粉砕装置への付着その他で損失(ロス)が生じるため、回収される金属酸化物微粒子の量が必ずしも一定ではない。これに伴って、得られるメタノール分散ゾルの量も変動するが、ここでは、その略数値を記載する。これについては、以下に示す実施例や比較例などにおいても同様とする。)
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。(ここでいう前記金属酸化物微粒子は、一部の粗大粒子を除けば前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)とほぼ同じか或いは似かよった粒子径を有する表面被覆チタン系微粒子(四次粒子)である。なお、以下の実施例および比較例に記載される金属酸化物微粒子も、同様なものである。)また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は45nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は12.0%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを限外濾過膜(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて、外部から添加されたメタノール1.38kgで洗浄した。
このようにして得られた前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.55kgに陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)0.34kgを混合して30分間攪拌した。次に、前記陰イオン交換樹脂を目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、このメタノール分散ゾルを遠心分離機(日立工機(株)製CR−21G)に供して12,000rpmの速度で1時間処理して、100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級して取り除いた。これにより、固形分含有量が6.5重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル(固形分含有量が6.5重量%)1.70kgを、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、SIP−2013)で濃縮して、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「DP−1」という。)を含むメタノール分散ゾル0.55kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は5.5cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記金属酸化物微粒子の平均粒子径は36nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は170m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.8重量%、SnO28.8重量%、SiO220.2重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.566、1.604、1.650、1.702、1.730であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は9.4×10-6であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.12であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.12であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[実施例2]
(1)チタン系微粒子を含む水分散ゾルの調製
四塩化チタン(大阪チタニウムテクノロジ-ズ(株)製)をTiO2換算基準で7.75重量%含む四塩化チタン水溶液11.37kgと、アンモニアを15重量%含むアンモニア水(宇部興産(株)製)4.41kgとを混合し、pH9.5の白色スラリー液を調製した。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、固形分含有量が10重量%の含水チタン酸ケーキ9.27kgを得た。
次に、このケーキに、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水(三菱瓦斯化学(株)製)10.60kgと純水20.00kgとを加えた後、80℃の温度で1時間、撹拌下で加熱し、さらに純水52.87kgを加えて、過酸化チタン酸をTiO2換算基準で1重量%含む過酸化チタン酸水溶液を92.75kg得た。この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.5であった。
次いで、前記過酸化チタン酸水溶液92.75kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)4.40kgを混合して、これに、スズ酸カリウム(昭和化工(株)製)をSnO2換算基準で1重量%含むスズ酸カリウム水溶液11.59kgを撹拌下で徐々に添加した。
次に、カリウムイオンなどを取り込んだ陽イオン交換樹脂を分離した後、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を15重量%含むシリカゾル(日揮触媒化成(株)製)0.44kgと純水6.22kgとを混合して、オートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、120L)中で165℃の温度で18時間、加熱した。
次に、得られた混合水溶液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、ACV−3010)で濃縮して、固形分含有量が10重量%の、チタン系微粒子(以下、「P−2」という)を含む水分散ゾル9.90kgを得た。
このようにして得られた混合水溶液中に含まれる固形物を上記の方法で測定したところ、ルチル型の結晶構造を有する、チタニウム、スズおよびケイ素を含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)であった。さらに、このチタン系微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO282.0重量%、SnO210.2重量%、SiO26.0重量%およびK2O1.8重量%であった。また、該混合水溶液のpHは9.2であった。
さらに、前記チタン系微粒子を含む水分散ゾルは透明な乳白色であり、この水分散ゾル中に含まれる前記チタン系微粒子の平均粒子径は31nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。さらに、得られたチタン系微粒子の比表面積は138m2/gであった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.544、1.584、1.630、1.683、1.743、1.775であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は1.7×10-4であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.35であった。これにより、前記チタン系微粒子の屈折率は2.35であるとみなすことができた。
(2)シリカ系酸化物で表面被覆されたチタン系微粒子を含む水分散ゾルの調製
次いで、実施例1で使用されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)9.90kgの替わりに、上記で得られたチタン系微粒子P−2の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)9.90kgを用いた以外は実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.88kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.88kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.18kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.18kgを、実施例1に記載の条件下で焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.10kgを得た。
このように焼成して得られた表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が192m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が8.9nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.14522nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1357nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は13/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを湿式粉砕機に供して、実施例1に記載の条件下で粉砕処理し、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.55kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は41nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は8.0%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が6.7重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「DP−2」という。)を含むメタノール分散ゾル0.56kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は5.4cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記金属酸化物微粒子の平均粒子径は32nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は192m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO266.0重量%、SnO28.1重量%、SiO225.7重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.52であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.523、1.551、1.579、1.619、1.661、1.685であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は1.3×10-5であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.05であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.05であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.04であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[実施例3]
(1)過酸化ジルコン酸水溶液の調製
オキシ塩化ジルコニウム(太陽鉱工(株)製)をZrO2換算基準で2.0重量%含むオキシ塩化ジルコニウム水溶液15.79kgに、アンモニアを15.0重量%含むアンモニア水を撹拌下で徐々に添加して、ジルコニウムの水和物を含むpH8.5のスラリー液を得た。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、ジルコニウム成分をZrO2換算基準で10.0重量%のケーキ3.00kgを得た。
次に、このケーキ0.35kgに純水3.15kgを加え、さらに水酸化カリウム(関東化学(株)製)を10.0重量%含む水酸化カリウム水溶液0.21kgを加えてアルカリ性にした後、過酸化水素を35.0重量%含む過酸化水素水0.70kgを加えて、50℃の温度に加熱してこのケーキを溶解した。さらに純水2.59kgを加えて、過酸化ジルコン酸をZrO2に換算基準で0.5重量%含む過酸化ジルコン酸水溶液7.00kgを得た。なお、この過酸化ジルコン酸水溶液のpHは、12.0であった。
(2)珪酸液の調製
一方、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)0.54kgを純水にて希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、珪酸をSiO2換算基準で2.0重量%含む珪酸水溶液5.25kgを得た。なお、この珪酸水溶液のpHは、2.3であった。
(3)ジルコニウムおよびケイ素を含む複合酸化物で表面被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)7.00kgに純水79.57kgを加えて撹拌して90℃の温度に加熱したのち、前記チタン系微粒子の重量をCで表し、さらにその被覆層の重量をSで表したとき、その重量比(S/C)が酸化物換算基準で20/100となるように、この水分散ゾルにZrO2換算基準で0.5重量%過酸化ジルコン酸水溶液7.00kgおよびSiO2換算基準で2.0重量%珪酸水溶液5.25kgを徐々に添加し、さらに添加終了後、90℃の温度に保ちながら攪拌下で1時間熟成した。
次いで、この混合液をオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、120L)に入れて、165℃の温度で18時間、加熱処理を行った。
次に、得られた混合溶液を室温まで冷却してから、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)0.38kgを混合して30分間攪拌した。次いで、前記陽イオン交換樹脂を目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、限外濾過膜(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて濃縮して固形分含有量が20重量%の水分散ゾルを調製した。これにより、前記チタン系微粒子の表面をジルコニウムおよびケイ素を含む複合酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル4.12kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなる、ジルコニウムおよびケイ素を含む複合酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.88低い1.54であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル4.12kgをスプレードライヤー(NIRO社製NIRO ATOMIZER)に供して噴霧乾燥(入口温度:260℃、出口温度:55℃)した。これにより、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)0.82kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体0.82kgを、空気雰囲気下、500℃の温度にて1時間焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.77kgを得た。
このように焼成して得られた表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が161m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.6nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1447nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1366nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は14/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを、メタノール(林純薬(株)製)0.53kg、L-(+)-酒石酸(関東化学(株)製)45.3gおよびジイソプロピルアミン(東京化成工業(株)製)29.7からなる混合液に分散させた。次いで、この混合液に、粒子径0.1〜0.2mmの石英ビーズ(MRCユニテック(株)製高純度シリカビーズ015)1.00kgを加えて、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物の粉砕処理を行った。その後、石英ビーズを目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.55kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は43nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は11.2%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを限外濾過膜(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて、外部から添加されたメタノール1.38kgで洗浄した。
このようにして得られた前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.55kgに陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)0.34kgを混合して30分間攪拌した。次に、前記陰イオン交換樹脂を目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、このメタノール分散ゾルを遠心分離機(日立工機(株)製CR−21G)に供して12,000rpmの速度で1時間処理して、100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級して取り除いた。これにより、固形分含有量が6.5重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル(固形分含有量が6.5重量%)1.70kgを限外濾過膜装置(旭化成(株)製、SIP−2013)で濃縮して、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「DP−3」という。)を含むメタノール分散ゾル0.55kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は5.5cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記金属酸化物微粒子の平均粒子径は36nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にジルコニウムおよびケイ素を含む複合酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は161m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.9重量%、SnO28.7重量%、SiO215.2重量%、ZrO24.9重量%およびK2O0.3重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.88であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.566、1.605、1.650、1.702、1.730であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は4.4×10-6であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.13であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.13であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.13であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[実施例4]
シリカ系酸化物で表面被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、前記チタン系微粒子の重量をCで表し、さらにその被覆層の重量をSで表したとき、その重量比(S/C)が酸化物換算基準で10/100となるように、ケイ素成分をSiO2換算基準で28重量%含む正珪酸エチル(多摩化学工業(株)製)0.48kgを添加した以外は実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.34kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.34kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.07kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.07kgを、空気雰囲気下、700℃の温度にて1時間焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.00kgを得た。
このように焼成して得られた表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が109m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が13.4nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1453nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1370nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は11/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを湿式粉砕機に供して、実施例1に記載の条件下で粉砕処理し、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.55kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は47nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は16.3%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が6.8重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「DP−4」という。)を含むメタノール分散ゾル0.57kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は5.6cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記金属酸化物微粒子の平均粒子径は42nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は109m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO280.0重量%、SnO210.0重量%、SiO29.8重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は4.09であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.534、1.565、1.614、1.668、1.724、1.752であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は7.0×10-5であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.24であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.24であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.24であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[実施例5]
シリカ系酸化物で被覆されたチタン系微粒子を含むPGM分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.16kgを、実施例1に記載の条件下で焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.09kgを得た。
このようにして得られた前記表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が171m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.6nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1447nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1366nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は14/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、ダウ・ケミカル(株)製)0.53kg、L-(+)-酒石酸(関東化学(株)製)45.3gおよびジイソプロピルアミン(東京化成工業(株)製)29.7gからなる混合液に分散させた。次いで、この混合液に粒子径0.1〜0.2mmの石英ビーズ(MRCユニテック(株)製高純度シリカビーズ015)1.00kgを加えて、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物の粉砕処理を行った。その後、実施例1の場合と同様に、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のPGM分散ゾル約1.55kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むPGM分散ゾルは乳白色であった。また、このPGM分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は45nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は12.1%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むPGM分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でPGMにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が6.5重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むPGM分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むPGM分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のPGM分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「DP−5」という。)を含むPGM分散ゾル0.55kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むPGM分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は5.6cm-1であった。また、このPGM分散ゾル中に含まれる前記シリカ表面修飾チタン系微粒子の平均粒子径は37nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は171m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.8重量%、SnO28.8重量%、SiO220.2重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.566、1.604、1.650、1.702、1.730であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は9.4×10-6であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.12であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.12であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[実施例6]
シリカ系酸化物で被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.16kgを、実施例1に記載の条件下で焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.09kgを得た。
このようにして得られた前記表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が168m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.7nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1447nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1366nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は14/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを、メタノール(林純薬(株)製)0.53kg、L-(+)-酒石酸(関東化学(株)製)21.0gおよびジイソプロピルアミン(東京化成工業(株)製)29.7gからなる混合液に分散させた。次いで、この混合液に粒子径0.1〜0.2mmの石英ビーズ(MRCユニテック(株)製高純度シリカビーズ015)1.00kgを加えて、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物の粉砕処理を行った。その後、実施例1の場合と同様に、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.55kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は45nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は12.2%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が6.5重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「DP−6」という。)を含むメタノール分散ゾル0.55kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は5.5cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記シリカ表面修飾チタン系微粒子の平均粒子径は39nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は170m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.8重量%、SnO28.8重量%、SiO220.2重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.566、1.604、1.650、1.702、1.730であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は9.4×10-6であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.12であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.12であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[実施例7]
シリカ系酸化物で被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.16kgを、実施例1に記載の条件下で焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.09kgを得た。
このようにして得られた前記表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が168m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.7nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1447nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1366nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は14/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを、メタノール(林純薬(株)製)0.53kg、L-(+)-酒石酸(関東化学(株)製)45.3gおよびジイソプロピルアミン(東京化成工業(株)製)10.5gからなる混合液に分散させた。次いで、この混合液に粒子径0.1〜0.2mmの石英ビーズ(MRCユニテック(株)製高純度シリカビーズ015)1.00kgを加えて、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物の粉砕処理を行った。その後、実施例1の場合と同様に、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.55kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は45nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は12.3%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が6.5重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「DP−7」という。)を含むメタノール分散ゾル0.55kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は5.5cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記シリカ表面修飾チタン系微粒子の平均粒子径は40nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は170m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.8重量%、SnO28.8重量%、SiO220.2重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.566、1.604、1.650、1.702、1.730であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は9.4×10-6であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.12であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.12であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[実施例8]
シリカ系酸化物で被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.16kgを、実施例1に記載の条件下で焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.09kgを得た。
このようにして得られた前記表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が168m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.7nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1447nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1366nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は14/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを、メタノール(林純薬(株)製)0.53kg、DL-リンゴ酸(関東化学(株)製)45.3gおよびジイソプロピルアミン(東京化成工業(株)製)29.7gからなる混合液に分散させた。次いで、この混合液に粒子径0.1〜0.2mmの石英ビーズ(MRCユニテック(株)製高純度シリカビーズ015)1.00kgを加えて、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物の粉砕処理を行った。その後、実施例1の場合と同様に、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.55kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は45nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は12.3%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が6.5重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「DP−8」という。)を含むメタノール分散ゾル0.55kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は5.5cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記シリカ表面修飾チタン系微粒子の平均粒子径は36nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は170m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.8重量%、SnO28.8重量%、SiO220.2重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.566、1.604、1.650、1.702、1.730であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は9.4×10-6であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.12であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.12であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[実施例9]
シリカ系酸化物で被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.16kgを、実施例1に記載の条件下で焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.09kgを得た。
このようにして得られた前記表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が168m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.7nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1447nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1366nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は14/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを、メタノール(林純薬(株)製)0.53kg、L-(+)-酒石酸(関東化学(株)製)45.3gおよびジイソブチルアミン(東京化成工業(株)製)29.7gからなる混合液に分散させた。次いで、この混合液に粒子径0.1〜0.2mmの石英ビーズ(MRCユニテック(株)製高純度シリカビーズ015)1.00kgを加えて、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物の粉砕処理を行った。その後、実施例1の場合と同様に、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.55kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は45nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は12.4%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が6.5重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「DP−9」という。)を含むメタノール分散ゾル0.55kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は5.5cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記シリカ表面修飾チタン系微粒子の平均粒子径は36nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は170m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.8重量%、SnO28.8重量%、SiO220.2重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.566、1.604、1.650、1.702、1.730であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は9.4×10-6であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.12であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.12であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[比較例1]
シリカ系酸化物で表面被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、実施例1の場合とは異なり、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成は行わなかった。
このようにして得られた前記表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が230m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が7.1nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1365nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1354nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は24/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体(乾燥物)0.21kgを湿式粉砕機に供して、実施例1に記載の条件下で粉砕処理し、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.49kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は141nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は83.6%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が5.8重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体(乾燥物)粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「RDP−1」という。)を含むメタノール分散ゾル0.49kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は10.8cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記金属酸化物微粒子の平均粒子径は103nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は68.2%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は230m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.7重量%、SnO28.9重量%、SiO220.2重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.558、1.582、1.624、1.667、1.691であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は6.6×10-5であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.02であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.02であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.02であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[比較例2]
シリカ系酸化物で表面被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.16kgを、実施例1で採用した焼成温度500℃の代わりに、空気雰囲気下、850℃の温度にて1時間焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.09kgを得た。
このようにして得られた前記表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が58m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が28.0nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1456nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1361nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は12/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを湿式粉砕機に供して、実施例1に記載の条件下で粉砕処理し、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.49kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、この水分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は139nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は86.2%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が5.8重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含む水メタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「RDP−2」という。)を含むメタノール分散ゾル0.49kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は11.9cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記金属酸化物微粒子の平均粒子径は105nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は70.6%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は58m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.8重量%、SnO28.8重量%、SiO220.1重量%およびK2O0.3重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.562、1.610、1.664、1.722、1.751であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は1.1×10-4であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.23であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.23であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.23であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[比較例3]
シリカ系酸化物で被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.16kgを、実施例1に記載の条件下で焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.09kgを得た。
このようにして得られた前記表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が168m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.7nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1447nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1366nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は14/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを湿式粉砕機に供して、実施例1で採用した粉砕時間180分間の代わりに、60分間粉砕処理(ただし、その他の条件は実施例1と同じ。)した。、その後、実施例1の場合と同様に、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.49kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は162nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は93.1%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が5.9重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「RDP−3」という。)を含むメタノール分散ゾル0.49kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは乳白色であり、その濁度は13.5cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記シリカ表面修飾チタン系微粒子の平均粒子径は102nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は77.3%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は168m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.8重量%、SnO28.8重量%、SiO220.2重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.566、1.604、1.650、1.702、1.730であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は1.6×10-5であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.11であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[比較例4]
シリカ系酸化物で被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.16kgを、実施例1に記載の条件下で焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.09kgを得た。
このようにして得られた前記表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が166m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.8nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1447nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1366nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は14/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを湿式粉砕機に供して、実施例1に記載の条件下で粉砕処理し、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.55kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は45nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は12.0%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理して、固形分含有量が9.8重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。ただし、前記メタノール分散ゾルを遠心分離器にかけて、100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去する操作は行わなかった。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕したが、粗大粒子を分級・除去しなかった金属酸化物微粒子(以下、「RDP−4」という。)を含むメタノール分散ゾル0.83kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは乳白色であり、その濁度は10.3cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記金属酸化物微粒子の平均粒子径は66nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は31.0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は166m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.6重量%、SnO28.8重量%、SiO220.3重量%およびK2O0.3重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.565、1.603、1.649、1.701、1.729であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は1.2×10-5であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.11であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[比較例5]
チタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例2と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−2の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)9.90kgを、限外濾過装置を用いて濃縮して、固形分含有量が20.0重量%の水分散ゾル4.90kgを得た、すなわち、ここでは、シリカ系酸化物などの表面被覆を施していないチタン系微粒子(以下、単に「チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾルを準備した。
次いで、前記チタン系微粒子を含む水分散ゾル4.90kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体0.98kgを得た。
次に、上記で得られたチタン系微粒子集合体0.98kgを、実施例1に記載の条件下で焼成して、前記チタン系微粒子集合体の焼成物0.92kgを得た。
このようにして得られた前記チタン系微粒子は、比表面積が102m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.1nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1453nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1358nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は13/100であった。
次に、得られたチタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを湿式粉砕機に供して、実施例1に記載の条件下で粉砕処理し、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.49kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(チタン系微粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は68nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は32.0%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理して、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が5.8重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「RDP−5」という。)を含むメタノール分散ゾル0.49kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は6.6cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記金属酸化物微粒子の平均粒子径は52nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は3.0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、表面被覆層を有しないチタン系微粒子)の比表面積は102m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO284.4重量%、SnO29.9重量%、SiO25.3重量%およびK2O0.4重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は4.18であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.544、1.584、1.630、1.683、1.743、1.775であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は1.7×10-4であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.35であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.35であるとみなすことができた。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
[比較例6]
シリカ系酸化物で被覆されたチタン系微粒子を含むメタノール分散ゾルの調製
実施例1と同様な方法で調製されたチタン系微粒子P−1の水分散ゾル(固形分含有量が10.0重量%)を用いて、実施例1に記載の条件下で、シリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(以下、単に「表面被覆チタン系微粒子」という。)を含む水分散ゾル(固形分含有量が20.0重量%)5.82kgを得た。
なお、前記表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)の被覆層を形成してなるシリカ系酸化物の屈折率は、前記チタン系微粒子の屈折率より0.90低い1.45であった。
次いで、前記表面被覆チタン系微粒子を含む水分散ゾル5.82kgをスプレードライヤーに供して実施例1に記載の条件下で噴霧乾燥して、粒状乾燥物である平均粒子径が約2μmの表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)1.16kgを得た。
次に、上記で得られた表面被覆チタン系微粒子集合体1.16kgを、実施例1に記載の条件下で焼成して、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物1.09kgを得た。
このようにして得られた前記表面被覆チタン系微粒子は、比表面積が168m2/gであった。また、その核粒子であるチタン系微粒子は、ルチル型の結晶構造を有しており、X線回折結晶子径が9.7nmであった。さらに、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔が0.1447nmであり、(301)結晶面の面間隔が0.1366nmであった。また、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)は14/100であった。
次に、得られた表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物0.21kgを、、メタノール(林純薬(株)製)0.53kg、L-(+)-酒石酸(関東化学(株)製)2.1gおよびジイソプロピルアミン(東京化成工業(株)製)1.1gからなる混合液に分散させた。次いで、この混合液に粒子径0.1〜0.2mmの石英ビーズ(MRCユニテック(株)製高純度シリカビーズ015)1.00kgを加えて、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記表面被覆チタン系微粒子集合体の焼成物の粉砕処理を行った。その後、実施例1の場合と同様に、ここで使用した石英ビーズを分離・除去したのち、さらにメタノールを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%のメタノール分散ゾル約1.55kgを得た。
このように粉砕して得られた金属酸化物微粒子(四次粒子)を含むメタノール分散ゾルは乳白色であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる金属酸化物微粒子の平均粒子径は89nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は52.3%であった。
次に、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルを、実施例1に記載の条件下でメタノールにて洗浄したのち陽イオン交換樹脂で処理し、さらに遠心分離器に供して100nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級・除去して、固形分含有量が5.7重量%の、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを得た。
次いで、前記金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾル1.70kgを、実施例1に記載の条件下で限外濾過膜装置に供して濃縮し、固形分含有量が20重量%のメタノール分散ゾル、すなわち前記表面被覆チタン系微粒子集合体を焼成して粉砕し、さらに粗大粒子を分級・除去した金属酸化物微粒子(以下、「RDP−6」という。)を含むメタノール分散ゾル0.55kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むメタノール分散ゾルは透明な乳白色であり、その濁度は10.1cm-1であった。また、このメタノール分散ゾル中に含まれる前記シリカ表面修飾チタン系微粒子の平均粒子径は64nmであり、さらに100nm以上の粒子径を有する粗大粒子の分布頻度は12.0%であった。また、前記金属酸化物微粒子(すなわち、その表面にシリカ系酸化物の被覆層を有するチタン系微粒子)の比表面積は170m2/gであった。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO270.8重量%、SnO28.8重量%、SiO220.2重量%およびK2O0.2重量%であった。なお、この金属含有量より求められる前記金属酸化物微粒子の比重は3.68であった。
また、上記の「粒子の屈折率測定法A」に記載の方法に基づき、分光エリプソメーターを用いて測定された塗膜屈折率Nav’は、測定用の上記塗料組成物中に含まれる粒子の重量分率mが10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%であるとき、それぞれ1.530、1.566、1.604、1.650、1.702、1.730であった。さらに、前記塗膜屈折率Nav’と前記体積分率・重量分率の変換式およびマクスウェル−ガーネットの式から算出される塗膜屈折率Navとから求められる偏差平方和の最小値は9.4×10-6であり、その最小値を示す粒子の屈折率は2.12であった。これにより、前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.12であるとみなすことができた。因みに、上記の屈折率測定法B(標準液法)で測定された前記金属酸化物微粒子の屈折率は2.11であった。
上記の測定結果のうち、本発明に関係する主要データを表1に示す。
Figure 0005511368
[実施例10および比較例7]
実施例1〜9と同様な方法で調製された金属酸化物微粒子DP−1、DP−2、DP−3、DP−4、DP−6、DP−7、DP−8またはDP−9を含む各メタノール分散ゾルとDP−5を含むPGM分散ゾル、および比較例1〜6と同様な方法で調製された金属酸化物微粒子RDP−1、RDP−2、RDP−3、RDP−4、RDP−5またはRDP−6を含む各メタノール分散ゾルおよびをそれぞれ、上記の「粒子の光触媒活性試験」に供して、これらのメタノール分散ゾルまたはPGM分散ゾル中に含まれる各金属酸化物微粒子が保有する光触媒活性の度合いを、該試験で用いられるサンセットイエロー染料の退色変化率で評価した。その評価結果を表2に示す。
結果として、実施例のメタノール分散ゾルまたはPGM分散ゾル中に含まれる各金属酸化物微粒子は、比較例のメタノール分散ゾル中に含まれる各金属酸化物微粒子と較べると、光触媒活性がかなり低いことが分かった。よって、本発明に係る前記メタノール分散ゾルまたはPGM分散ゾルを出発原料として硬化性塗膜形成用塗布液などを調製して、これをプラスチック基材などに塗布して得られる塗膜は耐候性に優れているであろうことが認められた。
Figure 0005511368
[実施例11および比較例8]
実施例1〜9と同様な方法で調製された金属酸化物微粒子DP−1、DP−2、DP−3、DP−4、DP−6、DP−7、DP−8またはDP−9を含む各メタノール分散ゾルとDP−5を含むPGM分散ゾル、および比較例1〜6と同様な方法で調製された金属酸化物微粒子RDP−1、RDP−2、RDP−3、RDP−4、RDP−5またはRDP−6を含む各メタノール分散ゾルをそれぞれ、上記の「粒子の耐光性試験」に供して、これらのメタノール分散ゾルまたはPGM分散ゾル中に含まれる各金属酸化物微粒子の青変色(ブルーイング)の度合いを、該試験で用いられる紫外線の照射時間との関係で評価した。その評価結果を表3に示す。
結果として、実施例のメタノール分散ゾルまたはPGM分散ゾル中に含まれる各金属酸化物微粒子は、比較例のメタノール分散ゾル中に含まれる各金属酸化物微粒子と較べると、青変色が起こりづらいことが分かった。よって、本発明に係る前記メタノール分散ゾルまたはPGM分散ゾルを出発原料として硬化性塗膜形成用塗布液などを調製して、これをプラスチック基材などに塗布して得られる塗膜は耐光性に優れているであろうことが認められた。
Figure 0005511368
[実施例12]
金属酸化物微粒子を含むPGM分散ゾルの調製
実施例1〜4および6〜9と同様な方法で調製された金属酸化物微粒子DP−1、DP−2、DP−3、DP−4、DP−6、DP−7、DP−8またはDP−9を含む各メタノール分散ゾル0.49kgをそれぞれ、ロータリーエバポレーター(BUCHI社製R−124)のフラスコ中に入れ、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)0.39kgを該フラスコ中に入れる。
次いで、ロータリーエバポレーターを駆動して、温度60℃、圧力−0.035MPaの減圧条件下で、前記フラスコを50rpmの速度で回転させると、上記で使用された有機溶媒(すなわち、メタノール)が蒸発してくるので、これを冷却して系外に排出した。
この操作を1時間続けて、前記メタノール分散ゾル中に含まれるメタノールをプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)と溶媒置換したPGM分散ゾルをそれぞれ得た。さらに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)の含有量を調整して、固形分含有量が20重量%の金属酸化物微粒子DP−1、DP−2、DP−3、DP−4、DP−6、DP−7、DP−8またはDP−9を含むPGM分散ゾル0.49kgをそれぞれ調製した。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含むPGM分散ゾルの外観および濁度は、表4に示すとおりであった。
Figure 0005511368
[実施例13]
光学基材用塗布液(ハードコート層膜形成用塗布液)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)114g、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6042)29gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)71gの混合液を入れた容器を複数用意し、これらの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液36gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、実施例1〜4および6〜9で調製されたメタノール分散ゾル(固形分濃度:20重量%)のうち、屈折率が2.20未満の金属酸化物微粒子DP−1、DP−2、DP−3、DP−6、DP−7、DP−8またはDP−9を含む各メタノール分散ゾルについては、それぞれ490g、屈折率が2.20以上の金属酸化物微粒子DP−4を含むメタノール分散ゾルについては450g、さらに純水71g、トリス(2.4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)0.7gを加え、室温で一昼夜攪拌して、光学基材用塗料組成物としてのハードコート層膜形成用塗料組成物HX−1(1)、HX−2(1)、HX−3(1)、HX−4(1)、HX−6(1)、HX−7(1)、HX−8(1)、HX−9(1)をそれぞれ調製した。なお、これらの塗料組成物は、順にDP−1、DP−2、DP−3、DP−4、DP−6、DP−7、DP−8、DP−9の金属酸化物微粒子をそれぞれ含むものである。
[比較例9]
光学基材用塗布液(ハードコート層膜形成用塗布液)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)114g、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6042)29gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)71gの混合液を入れた容器を複数用意し、これらの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液36gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、比較例1〜6で調製されたメタノール分散ゾル(固形分濃度:20重量%)のうち、屈折率が2.20未満の金属酸化物微粒子RDP−1、RDP−3、RDP−4またはRDP−6を含む各メタノール分散ゾルについては、それぞれ490g、屈折率が2.20以上の金属酸化物微粒子RDP−2またはRDP−5を含む各メタノール分散ゾルについては、それぞれ450g、さらに純水71g、トリス(2.4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)0.7gを加え、室温で一昼夜攪拌して、光学基材用塗料組成物としてのハードコート層膜形成用塗料組成物HY−1(1)、HY−2(1)、HY−3(1)、HY−4(1)、HY−5(1)、HY−6(1)をそれぞれ調製した。なお、これらの塗料組成物は、順にRDP−1、RDP−2、RDP−3、RDP−4、RDP−5、RDP−6の金属酸化物微粒子をそれぞれ含むものである。
[実施例14]
光学基材用塗布液(ハードコート層膜形成用塗布液)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製、Z−6040)110gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)41gの混合液を入れた容器を複数用意し、これらの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液29gを滴下した。更に、これらの混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、実施例1〜4および6〜9で調製されたメタノール分散ゾル(固形分濃度:20重量%)のうち、屈折率が2.20未満の金属酸化物微粒子DP−1、DP−2、DP−3、DP−6、DP−7、DP−8またはDP−9を含む各メタノール分散ゾルについては、それぞれ490g、屈折率が2.20以上の金属酸化物微粒子DP−4を含むメタノール分散ゾルについては449g、さらにトリス(2.4-ペンタンジオナト)鉄III(東京化成工業(株)製)3g、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、デナコールEX−314、エポキシ当量145)7gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)0.4gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、光学基材用塗料組成物としてのハードコート層膜形成用塗料組成物HX−1(2)、HX−2(2)、HX−3(2)、HX−4(2) 、HX−6(2)、HX−7(2)、HX−8(2)、HX−9(2)をそれぞれ調製した。なお、これらの塗料組成物は、順にDP−1、DP−2、DP−3、DP−4、DP−6、DP−7、DP−8、DP−9の金属酸化物微粒子をそれぞれ含むものである。
[比較例10]
光学基材用塗布液(ハードコート層膜形成用塗布液)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製、Z−6040)110gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)41gの混合液を入れた容器を複数用意し、これらの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液29gを滴下した。更に、これらの混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、比較例1〜6で調製されたメタノール分散ゾル(固形分濃度:20重量%)のうち、屈折率が2.20未満の金属酸化物微粒子RDP−1、RDP−3、RDP−4またはRDP−6を含む各メタノール分散ゾルについては、それぞれ490g、屈折率が2.20以上の金属酸化物微粒子RDP−2またはRDP−5を含む各メタノール分散ゾルについては、それぞれ449g、さらにトリス(2.4-ペンタンジオナト)鉄III(東京化成工業(株)製)3g、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、デナコールEX−314、エポキシ当量145)7gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)0.4gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、光学基材用塗料組成物としてのハードコート層膜形成用塗料組成物HY−1(2)、HY−2(2)、HY−3(2)、HY−4(2)、HY−5(2)、HY−6(2)をそれぞれ調製した。なお、これらの塗料組成物は、順にRDP−1、RDP−2、RDP−3、RDP−4、RDP−5、RDP−6の金属酸化物微粒子をそれぞれ含むものである。
[実施例15]
光学基材用塗布液(プライマー層膜形成用塗布液)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)170gを入れた容器を複数用意し、これらに、実施例1〜4および6〜9で調製されたメタノール分散ゾル(固形分濃度:20重量%)のうち、屈折率が2.20未満の金属酸化物微粒子DP−1、DP−2、DP−3、DP−6、DP−7、DP−8またはDP−9を含む各メタノール分散ゾルについてはそれぞれ395g、屈折率が2.20以上の表面修飾チタン系微粒子DP−4を含むメタノール分散ゾルについては410g、および純水110gを加えて、1時間攪拌した。
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)500g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、光学基材用塗料組成物としてのプライマー層膜形成用塗料組成物PX−1、PX−2、PX−3、PX−4、PX−6、PX−7、PX−8、PX−9をそれぞれ調製した。なお、これらの塗料組成物は、順にDP−1、DP−2、DP−3、DP−4、DP−6、DP−7、DP−8、DP−9の金属酸化物微粒子をそれぞれ含むものである。
[比較例11]
光学基材用塗布液(プライマー層膜形成用塗布液)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)170gを入れた容器を複数用意し、これらに、比較例1〜6で調製されたメタノール分散ゾル(固形分濃度:20重量%)のうち、屈折率が2.20未満の金属酸化物微粒子RDP−1、RDP−3、RDP−4またはRDP−6を含む各メタノール分散ゾルについてはそれぞれ430g、屈折率が2.20以上の金属酸化物微粒子RDP−2またはRDP−5を含む各メタノール分散ゾルについてはそれぞれ395g、および純水110gを加えて、1時間攪拌した。
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)500g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、光学基材用塗料組成物としてのプライマー層膜形成用塗料組成物PY−1、PY−2、PY−3、PY−4、PY−5およびPY−6をそれぞれ調製した。なお、これらの塗料組成物は、順にRDP−1、RDP−2、RDP−3、RDP−4、RDP−5、RDP−6の金属酸化物微粒子をそれぞれ含むものである。
[調製例1]
試験用プラスチックレンズ基板の作成(1)
(1)プラスチックレンズ基材の前処理
市販のプラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−174」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.74)および「モノマー名:MR−7」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.67)を、以下の試験および評価に必要な枚数準備した。
次いで、これらのプラスチックレンズ基材を、40℃に保った10重量%濃度のKOH水溶液に2分間浸漬してエッチング処理を行った。更に、これらを取り出して水洗したのち、十分に乾燥させた。
(2)ハードコート層膜の形成
前記プラスチックレンズ基材の表面に、実施例13および比較例9で得られたハードコート層膜形成用の塗料組成物(ハードコート用塗料)をそれぞれ塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法(引き上げ速度250mm/分)を用いて行った。
次に、前記塗膜を90℃で10分間、乾燥させた後、110℃で2時間、加熱処理して、塗膜(ハードコート層)の硬化を行った。
なお、このようにして形成された前記ハードコート層膜の硬化後の膜厚は、概ね2.0〜2.6μmであった。
(3)反射防止膜層の形成
前記ハードコート層膜の表面に、以下に示す構成の無機酸化物成分を真空蒸着法によって蒸着させた。ここでは、ハードコート層側から大気側に向かって、SiO2:0.06λ、ZrO2:0.15λ、SiO2:0.04λ、ZrO2:0.25λ、SiO2:0.25λの順序で積層された反射防止層膜の層をそれぞれ形成した。また、設計波長λは、520nmとした。
[調製例2]
試験用プラスチックレンズ基板の作成(2)
(1)プラスチックレンズ基材の前処理
調製例1と同様な条件下で、プラスチックレンズ基材の前処理を行なった。
(2)プライマー層膜の形成
前記プラスチックレンズ基材の表面に、実施例15および比較例11で得られたプライマー層膜形成用の塗料組成物(プライマー用塗料)をそれぞれ塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法(引き上げ速度120mm/分)を用いて行った。
次に、前記塗膜を100℃で10分間、加熱処理して、塗膜(プライマー層)の予備硬化を行った。
なお、このようにして形成された前記プライマー層の予備硬化後の膜厚は、概ね0.5〜0.7μmであった。
(3)ハードコート層膜の形成
前記プライマー層膜を形成してなるプラスチックレンズ基材の表面に、実施例14および比較例10で得られたハードコート層膜形成用の塗料組成物(ハードコート用塗料)をそれぞれ塗布した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法(引き上げ速度250mm/分)を用いて行った。
次に、前記塗膜を90℃で10分間、乾燥させた後、110℃で2時間、加熱処理して、塗膜(ハードコート層)の硬化を行った。この際、前記プライマー層の本硬化も同時に行った。
なお、このようにして形成された前記ハードコート層の膜厚は、概ね2.0〜2.6μmであった。
(4)反射防止膜層膜の形成
調製例1と同様な条件下で、前記ハードコート層の表面に、反射防止層膜の層をそれぞれ形成した。
[実施例16]
実施例13で得られたハードコート層膜形成用の塗料組成物HX−1(1)、HX−2(1)、HX−3(1)、HX−4(1) 、HX−6(1)、HX−7(1)、HX−8(1)およびHX−9(1)のそれぞれを用いて、調製例1に示す方法でプラスチックレンズ基材上にハードコート層および反射防止膜層をそれぞれ形成した。なお、ここでは、前記プラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−7」を使用した。
このようにして得られた基板HX−1、HX−2、HX−3、HX−4、HX−6、HX−7、HX−8およびHX−9のそれぞれについて、上記の評価試験法を用いて、外観(干渉縞)、外観(曇り)、耐擦傷性、密着性、耐候性および耐光性を試験して評価した。その結果を表5に示す。
Figure 0005511368
[比較例12]
比較例9で得られたハードコート層膜形成用の塗料組成物HY−1(1)、HY−2(1)、HY−3(1)、HY−4(1)、HY−5(1) およびHY−6(1)のそれぞれを用いて、調製例1に示す方法でプラスチックレンズ基材上にハードコート層および反射防止膜層をそれぞれ形成した。なお、ここでは、前記プラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−7」を使用した。
このようにして得られた基板HY−1、HY−2、HY−3、HY−4、HY−5およびHY−6のそれぞれについて、上記の評価試験法を用いて、外観(干渉縞)、外観(曇り)、耐擦傷性、密着性、耐候性および耐光性を試験して評価した。その結果を表6に示す。
なお、以下の表6において耐擦傷性が悪かった理由は、前記ハードコート層膜形成用塗料組成物中に含まれる金属酸化物微粒子の凝集物や粗大粒子などによって、該塗料組成物中への金属酸化物微粒子の均一分散が阻害されていることにより、塗膜表面が荒れて不均一となり、さらに塗膜中に粗密部分が形成されることによるものと考えられる。
Figure 0005511368
[実施例17]
実施例15で得られたプライマー層膜形成用の塗料組成物PX−1、PX−2、PX−3、PX−4、PX−6、PX−7、PX−8およびPX−9のそれぞれを用いると共に、実施例14で得られた表7に示すハードコート層膜形成用塗料組成物を用いて、調製例2に示す方法でプラスチックレンズ基材上にプライマー層、ハードコート層および反射防止膜層をそれぞれ形成した。
なお、ここでは、前記プラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−174」を使用した。
このようにして得られた基板PX−1、PX−2、PX−3、PX−4、PX−6、PX−7、PX−8およびPX−9のそれぞれについて、上記の評価試験法を用いて、外観(干渉縞)、外観(曇り)、耐擦傷性、密着性、耐候性および耐光性を試験して評価した。その結果を表7に示す。ただし、耐光性については、試験に用いた基板自体に変色があるため、試験を取りやめた。
Figure 0005511368
[比較例13]
比較例11で得られたプライマー層膜形成用の塗料組成物PY−1、PY−2、PY−3、PY−4、PY−5およびPY−6のそれぞれを用いると共に、比較例10で得られた表8に示すハードコート層膜形成用塗料組成物を用いて、調製例2に示す方法でプラスチックレンズ基材上にプライマー層、ハードコート層および反射防止膜層をそれぞれ形成した。なお、ここでは、前記プラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−174」を使用した。
このようにして得られた基板PY−1、PY−2、PY−3、PY−4、PY−5およびPY−6のそれぞれについて、上記の評価試験法を用いて、外観(干渉縞)、外観(曇り)、耐擦傷性、密着性、耐候性および耐光性を試験して評価した。その結果を表8に示す。ただし、耐光性については、試験に用いた基板自体に変色があるため、試験を取りやめた。
なお、以下の表8において耐擦傷性が悪かった理由は、比較例12の場合と同様に、前記ハードコート層膜形成用塗料組成物中に含まれる金属酸化物微粒子の凝集物や粗大粒子などによって、該塗料組成物中への金属酸化物微粒子の均一分散が阻害されていることにより、塗膜表面が荒れて不均一となり、さらに塗膜中に粗密部分が形成されることによるものと考えられる。
Figure 0005511368

Claims (29)

  1. チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含むチタン系微粒子の表面を、少なくともシリカ系酸化物で被覆してなる高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法であって、
    (a)過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)を生成させる工程、
    (b)前記工程(a)で得られたチタン系微粒子を含む混合水溶液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物を混合して、該ケイ素化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を得る工程、
    (c)前記工程(b)で得られた表面被覆チタン系微粒子を乾燥して粒状にすることにより表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)を得る工程、
    (d)前記工程(c)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を得る工程、
    (e)前記工程(d)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を有機溶媒の存在下で粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nmの金属酸化物微粒子(四次粒子)とし、さらに該金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させてなる有機溶媒分散ゾルを得る工程、および
    (f)前記工程(e)で得られた有機溶媒分散液を必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する工程
    を含むことを特徴とする高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  2. チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物粒子の表面を、少なくともシリカ系複合酸化物で被覆してなる高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法であって、
    (a)過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)を生成させる工程、
    (b)前記工程(a)で得られたチタン系微粒子を含む混合水溶液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物と、過酸化ジルコン酸塩、アンチモン酸塩、スズ酸塩およびアルミン酸塩から選ばれた少なくとも1種の金属化合物とを混合して、該ケイ素化合物および該金属化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系複合酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を得る工程、
    (c)前記工程(b)で得られた表面被覆チタン系微粒子を乾燥して粒状にすることにより表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)を得る工程、
    (d)前記工程(c)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を得る工程、
    (e)前記工程(d)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を有機溶媒の存在下で粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nmの金属酸化物微粒子(四次粒子)とし、さらに該金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させてなる有機溶媒分散ゾルを得る工程、および
    (f)前記工程(e)で得られた有機溶媒分散液を必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する工程
    を含むことを特徴とする高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  3. 前記工程(a)で使用されるケイ素化合物が、シリカ微粒子、珪酸およびシリコンアルコキシドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  4. 前記工程(b)で使用されるシリコンアルコキシドが、テトラメトキシシランもしくはその縮合物、またはテトラエトキシシランもしくはその縮合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  5. 前記工程(b)で得られる表面被覆チタン系微粒子が、前記チタン系微粒子の重量をCで表し、さらにその被覆層の重量をSで表したとき、その重量比(S/C)が酸化物換算基準で1/100〜50/100の範囲となるように前記チタン系微粒子の表面上に前記シリカ系酸化物または前記シリカ系複合酸化物で被覆したものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  6. 前記工程(c)で得られる表面被覆チタン系粒子集合体が、前記表面被覆チタン系微粒子を含む混合水溶液をスプレードライヤーに供して噴霧乾燥することにより、該表面被覆チタン系微粒子の乾燥と粒状化を同時に行ったものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  7. 前記工程(e)で使用される有機溶媒が、アルコール類、エーテル類、ケトン類から選ばれた有機化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  8. 前記工程(e)で使用される有機溶媒中に、さらにカルボン酸系化合物および/またはアミン系化合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  9. 前記カルボン酸系化合物が、酒石酸、クエン酸およびリンゴ酸から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  10. 前記アミン系化合物が、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミンおよびテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  11. 前記工程(f)で得られた有機溶媒分散ゾルに、さらに陰イオン交換樹脂および/または陽イオン交換樹脂を添加して撹拌することにより、該有機溶媒分散ゾル中に含まれるイオン化物質を除去しておくことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の調製方法から得られる高屈折率の金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルであって、
    (1)前記金属酸化物微粒子を構成するチタン系微粒子が、ルチル型の結晶構造を有する結晶性粒子であり、しかも7.5〜14.0nmのX線回折結晶子径を有し、さらにその屈折率が2.2〜2.7の範囲にあり、
    (2)前記金属酸化物微粒子を構成する被覆層が、前記チタン系微粒子の屈折率より0.2以上低い屈折率を有し、しかも
    (3)前記金属酸化物微粒子が、8〜60nmの平均粒子径と70〜200m2/gの比表面積を有し、さらにその屈折率が2.0〜2.5の範囲にあり、また
    (4)前記有機溶媒分散ゾルが、5〜40重量%の前記金属酸化物微粒子を含み、しかもその濁度が0.1〜11.0cm-1の範囲にある
    ことを特徴とする高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
  13. 前記チタン系微粒子が、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔d1が0.1440〜0.1460nmの範囲にあり、また(301)結晶面の面間隔d2が0.1355〜0.1370nmの範囲にあることを特徴とする請求項12に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
  14. 前記チタン系微粒子が、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)が9/100〜20/100の範囲にあることを特徴とする請求項12〜13のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
  15. 前記被覆層が、二酸化ケイ素からなるシリカ系酸化物であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
  16. 前記被覆層が、ケイ素と、ジルコニウム、アンチモン、スズおよびアルミニウムから選ばれた少なくとも1種の金属元素とを含むシリカ系複合酸化物であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
  17. 前記金属酸化物微粒子が、動的光散乱法で測定したときの粒子径頻度分布において、100nm以上の粒子径を有する比較的粗大なチタン系微粒子の分布頻度が1%以下であることを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
  18. 前記有機溶媒が、アルコール類、エーテル類、ケトン類から選ばれた有機化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
  19. 請求項12〜18のいずれかに記載の有機溶媒分散ゾル中に含まれる高屈折率金属酸化物微粒子とバインダー成分を含む塗料組成物。
  20. 前記バインダー成分が、有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項19に記載の塗料組成物。
  21. 前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物であることを特徴とする請求項20に記載の塗料組成物。
    1 a2 bSi(OR34-(a+b) (I)
    (式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリル基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
  22. 前記有機ケイ素化合物が、該有機ケイ素化合物をSiO2基準に換算した重量をXで表し、前記高屈折率金属酸化物微粒子の重量をYで表したとき、その重量比(X/Y)が30/70〜90/10となるような割合で含まれることを特徴とする請求項20または21に記載の塗料組成物。
  23. 前記バインダー成分が、熱硬化性有機樹脂または熱可塑性有機樹脂であることを特徴とする請求項19に記載の塗料組成物。
  24. 前記熱硬化性有機樹脂が、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂およびメラミン系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項23に記載の塗料組成物。
  25. 前記熱可塑性有機樹脂が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項23に記載の塗料組成物。
  26. 前記熱硬化性有機樹脂または熱可塑性有機樹脂が、該樹脂化合物の重量をAで表し、前記高屈折率金属酸化物微粒子の重量をBで表したとき、その重量比(A/B)が90/10〜30/70となるような割合で含まれることを特徴とする請求項23〜25のいずれかに記載の塗料組成物。
  27. 前記塗料組成物が、光学基材用塗料組成物であることを特徴とする請求項19〜26のいずれかに記載の塗料組成物。
  28. 前記光学基材用塗料組成物が、ハードコート層膜形成用塗料組成物であることを特徴とする請求項27に記載の塗料組成物。
  29. 前記光学基材用塗料組成物が、プライマー層膜形成用塗料組成物であることを特徴とする請求項27に記載の塗料組成物。
JP2009296311A 2009-12-25 2009-12-25 高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法並びにその有機溶媒分散ゾル、および該有機溶媒分散ゾルを用いて得られる塗料組成物 Active JP5511368B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009296311A JP5511368B2 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法並びにその有機溶媒分散ゾル、および該有機溶媒分散ゾルを用いて得られる塗料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009296311A JP5511368B2 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法並びにその有機溶媒分散ゾル、および該有機溶媒分散ゾルを用いて得られる塗料組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011136850A JP2011136850A (ja) 2011-07-14
JP5511368B2 true JP5511368B2 (ja) 2014-06-04

Family

ID=44348676

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009296311A Active JP5511368B2 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法並びにその有機溶媒分散ゾル、および該有機溶媒分散ゾルを用いて得られる塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5511368B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5819743B2 (ja) * 2012-02-09 2015-11-24 伊藤光学工業株式会社 ハードコート用組成物
JP6354409B2 (ja) * 2014-07-14 2018-07-11 住友大阪セメント株式会社 金属酸化物粒子分散液、金属酸化物粒子含有組成物、塗膜、表示装置
CN105086742A (zh) * 2015-07-31 2015-11-25 安徽和润特种玻璃有限公司 一种用于鼠标触摸板玻璃的高韧性耐磨涂膜
US10723915B2 (en) 2018-11-26 2020-07-28 Itoh Optical Industrial Co., Ltd. Hard coating composition
EP4129919A4 (en) 2020-03-31 2024-04-03 Jgc Catalysts & Chemicals Ltd METHOD FOR PRODUCING ZIRCONIA-COATED TITANIUM OXIDE MICROPARTICLES, ZIRCONIA-COATED TITANIUM OXIDE MICROPARTICLES AND USE THEREOF

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005272270A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Fuji Photo Film Co Ltd 導電性の二酸化チタン微粒子、高屈折率皮膜、高屈折率皮膜形成用組成物、並びにそれらの製造方法
JP4673664B2 (ja) * 2005-04-27 2011-04-20 三井化学株式会社 コーティング用高屈折率樹脂組成物
JP4792320B2 (ja) * 2006-03-31 2011-10-12 三井化学株式会社 高屈折率硬化膜
JP5171356B2 (ja) * 2008-04-01 2013-03-27 日揮触媒化成株式会社 チタン系無機酸化物微粒子を含む液状組成物、その製造方法および該液状組成物を用いた有機系樹脂組成物
JP5514487B2 (ja) * 2008-12-27 2014-06-04 日揮触媒化成株式会社 高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル、その調製方法および該金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011136850A (ja) 2011-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5754943B2 (ja) 高屈折率金属酸化物微粒子を含む塗料組成物および該塗料組成物を基材上に塗布して得られる硬化性塗膜
JP5854584B2 (ja) 高屈折率金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルの調製方法、該方法から得られる水分散ゾルおよび前記微粒子を含む有機溶媒分散ゾル並びに塗料組成物
JP5455501B2 (ja) コアシェル型複合酸化物微粒子の分散液および該分散液の製造方法、該コアシェル型複合酸化物微粒子を含む塗料組成物、硬化性塗膜および硬化性塗膜付き基材
JP5255270B2 (ja) コアシェル構造を有する無機酸化物微粒子、該微粒子を含む分散ゾルおよび光学基材用塗布液
JP6049368B2 (ja) Al修飾無機酸化物微粒子とその製造方法、分散液、および塗料組成物
JP5557662B2 (ja) コアシェル型無機酸化物微粒子の分散液、その製造方法および該分散液を含む塗料組成物
JP5591530B2 (ja) シリカ系微粒子分散ゾルの製造方法、シリカ系微粒子分散ゾル、該分散ゾルを含む塗料組成物、硬化性塗膜および硬化性塗膜付き基材
JP5514487B2 (ja) 高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル、その調製方法および該金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル
JP2008266043A (ja) 透明酸化チタンゾルおよびその製造法
JP5511368B2 (ja) 高屈折率金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルの調製方法並びにその有機溶媒分散ゾル、および該有機溶媒分散ゾルを用いて得られる塗料組成物
JP6214412B2 (ja) コアシェル型酸化物微粒子の分散液、その製造方法、およびその用途
US9534122B2 (en) Oligomer-modified fine particles, method for producing the same, and coating containing the particles
JP6080583B2 (ja) 表面改質無機複合酸化物微粒子、その製造方法、該微粒子を含む分散液、光学基材用塗布液、光学基材用塗膜および塗膜付基材
JP6278902B2 (ja) 連結型結晶性無機酸化物微粒子群を含む水および/または有機溶媒分散液、その製造方法、ならびに該連結型結晶性無機酸化物微粒子群を含む光学基材用塗布液
JP6232310B2 (ja) 塗料組成物、塗膜および塗膜付き光学物品
JP2013129575A (ja) アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子および塗料組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110314

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20110315

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140311

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140325

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5511368

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250