JP2013129575A - アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子および塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗膜の変色の恐れが少なく、かつ、耐擦傷性や透明性などの塗膜性能に優れたアルミナ微粒子および該微粒子を含む塗料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】平均粒子径が10〜50nmの範囲にあり、体積基準の粒度分布において50.6nm以上の頻度が0〜50%の範囲にあるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子。
【選択図】なし

Description

本発明はアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子および該微粒子を含む塗料組成物に関する。
ハードコートなどのコーティング塗膜には高い耐擦傷性が要求される。
特に、眼鏡用レンズなどの光学用基材表面を保護するハードコート膜やプライマー膜においては、耐擦傷性とともに、干渉縞がなく、かつ高い透明性を有することが求められ、その要求は年々厳しくなっている。
このような塗膜の耐擦傷性を向上させる目的で、有機ケイ素化合物や樹脂等をマトリックスとする塗料に、金属酸化物微粒子を配合することが知られている。
例えば、特許文献1には、酸化鉄成分と酸化チタン成分からなる複合酸化物粒子とマトリックスからなるハードコート膜について記載されており、このような膜が高い屈折率や透明性、耐擦傷性を発揮することが記載されている。
しかし、酸化チタンを含む金属酸化物微粒子を用いると、場合によっては、酸化チタンの触媒活性により塗膜の変色が起こることがあり、これを抑えるためにさまざまな表面処理が必要となるなどの問題があった。
また、特許文献2には、プラスチックレンズの基材とハードコート層の間の中間層に、平均粒子径1〜300nmの微粒子状無機物を含有するものが記載されており、該無機物のひとつとして酸化アルミニウムが挙げられている。
しかしながら、このような塗膜の性能をさらに向上させることのできる酸化アルミニウム微粒子の性状について、さらに開発検討の余地があった。
特開平05−002102号公報 特開平10−260301号公報
本発明は、上記のような従来の課題を解決するもので、塗膜の変色の恐れが少なく、かつ、耐擦傷性や透明性などの塗膜性能に優れたアルミナ微粒子および該微粒子を含む塗料組成物を提供することを目的としている。
本発明者等は鋭意検討した結果平均粒子径が10〜50nmの範囲にあり、体積基準の粒度分布において50.6nm以上の頻度が0〜50%の範囲にあるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子を用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、本願発明を完成させるに至った。すなわち本願発明は、以下のとおりである。
[1]平均粒子径が10〜50nmの範囲にあり、体積基準の粒度分布において50.6nm以上の頻度が0〜50%の範囲にあるアルミナ系微粒子であって、該アルミナ系微粒子がアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子または、これらの混合物であるアルミナ系微粒子。
[2]前記頻度が10%以下の範囲にある[1]に記載のアルミナ系微粒子。
[3]前記アルミナ系微粒子が結晶性であることを特徴とする[1]または[2]に記載のアルミナ系微粒子。
[4]前記アルミナ系微粒子がアルミナヒドロゲルより得られたものである[1]〜[3]のいずれかに記載のアルミナ系微粒子。
[5]さらにClおよび/またはNO3を固形分換算で0.3〜5重量%含む[1]〜[4]のいずれかに記載のアルミナ系微粒子。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のアルミナ系微粒子を含む分散液。
[7]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のアルミナ系微粒子を含む塗料組成物。
[8]前記塗料組成物が光学基材用ハードコート膜形成用塗料組成物または光学基材用プライマー膜形成用塗料組成物であることを特徴とする[7]に記載の塗料組成物。
本発明に係わるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は、平均粒子径と粒度分布とが、所定の範囲内にあるために、該微粒子を含む塗膜の耐擦傷性、膜硬度および透明性を非常に向上させることができる。
また、本発明に係わるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子のうち、結晶性のアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子を用いた場合には、塗膜の屈折率と耐擦傷性、膜硬度に特に優れている。
また、本発明に係わるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子のうち、水酸化アルミニウムのゲルより得られたものを用いた場合には、微細で分散性、安定性が高く、塗膜の透明性と膜硬度、耐擦傷性に特に優れる。
アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子
本発明のアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は、アルミナ微粒子またはアルミナ水和物微粒子を指し、これらは混合されていてもよい。混合比は任意に設定することができ制限はない。これらを総称してアルミナ系微粒子という。
前記アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は、平均粒子径が10〜50nmの範囲にあり、体積基準の粒度分布において50.6nm以上の頻度が0〜50%の範囲にあることを特徴としている。
前記平均粒子径は、10〜50nm、より好ましくは10〜40nmの範囲にあることが好ましい。前記平均粒子径が10nm未満の場合には、分散液の粘度が上昇し過ぎるので好ましくない。前記平均粒子径が50nmを超えると塗膜の透明性が低下するので好ましくない。
前記体積基準の粒度分布において50.6nm以上の頻度は0〜50%、より好ましくは0〜40%の範囲にあることが好ましい。前記頻度が50%を超えると塗膜の透明性、耐擦傷性と硬度が低下するので好ましくない。なお、前記頻度は10%以下の範囲にあることが最も好ましい。
このようなアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子を用いれば屈折率、透明性、耐擦傷性、硬度、耐候性および染色性が優れた塗膜が形成できるので好ましい。
前記アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は、アルミニウムを含む酸化物を主成分とするものであって、さらに副成分あるいは不純物として他の金属元素、例えばアルカリ金属、アンモニア、ケイ素、亜鉛、リンなどを含んでいてもよい。
前記副成分や不純物の量は本発明に支障をきたさない限り特に制限されるものではないが、概ねアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子の固形分重量の10重量%未満の範囲にあることが好ましい。
前記アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は結晶性であることが好ましい。
結晶性のアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は、屈折率が高く、塗膜に配合した際の膜硬度や耐擦傷性に優れるため、特に好ましい。
前記アルミナ微粒子の結晶構造としては例えばα型、β型、γ型、δ型、ζ型、η型、Θ型、κ型、χ型、ρ型などが挙げられる。
また、前記アルミナ水和物微粒子の結晶構造としてはベーマイト、擬ベーマイト、バイヤライト、ギブサイト、トーダイトなどが挙げられる。
前記アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子はアルミナヒドロゲルより得られたものであることが好ましい。より好ましくはアルミナヒドロゲルを熟成したのち酸で邂こうして得られたものであることが好ましい。
このようなアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は、分散性と安定性が高く、塗膜に配合した際に膜硬度と透明性が非常に優れ、染料の固定化にも優れるので好ましい。
前記アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は、さらにClおよび/またはNO3を固形分換算で0.3〜5重量%含むことが好ましい。
前記Clおよび/またはNO3の固形分重量が0.3重量%未満の場合には、アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子の平均粒子径が増大する場合があるので好ましくない。
前記Clおよび/またはNO3の固形分重量が5重量%を超えるとアルミナ水和物、アルミナ水和物微粒子を含む分散液の粘度が増大する場合があるので好ましくない。
分散液
本発明に係わる分散液は、本発明に係わるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子と、分散溶媒とを含むことを特徴としている。
前記分散溶媒としては、水および/または有機溶媒が挙げられる。
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノ-ル、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコ-ル等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等のケトン類から選ばれた有機化合物の少なくとも1種が挙げられる。
前記アルミナ微粒子を含む分散液の固形分濃度は、5〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%の範囲にあることが好ましい。前記固形分濃度が5重量%未満の場合には、塗料組成物の固形分が低下し過ぎて所望の塗膜膜厚が得られなくなる場合があるので好ましくない。前記固形分濃度が30重量%を超える場合には、分散液の粘度が上昇し過ぎる場合があるので好ましくない。
また、前記分散液は、さらに、紫外線吸収剤などを含んでいてもかまわない。
本発明に係わる分散液は、本発明に係わるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子を含むために、分散性と透明性に優れ、これを用いて得られる塗料から形成した塗膜は、耐擦傷性、透明性、膜硬度に優れる。
塗料組成物
本発明に係わる塗料組成物は、本発明に係わるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子を含むことを特徴としている。
前記塗料組成物は、さらに、マトリックスを含み、該マトリックスとしては、例えば有機ケイ素化合物、熱硬化性有機樹脂、熱可塑性有機樹脂または紫外線硬化性有機樹脂などが挙げられる。
前記有機ケイ素化合物としては、アルコキシシラン化合物が代表例として挙げられ、具体的には、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、α―グルシドキシメチルトリメトキシシラン、α―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β―(3、4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、β―(3、4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)―γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)―γ―アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。これらは1種で用いても2種以上を混合して用いても良い。
またこれらの有機ケイ素化合物は少なくともその一部が加水分解された状態で用いられてもよい。このような有機ケイ素化合物は特にハードコート膜形成用の塗料組成物のバインダー成分として好適である。
前記熱硬化性有機樹脂としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂およびメラミン系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
さらに具体的に述べれば、前記ウレタン系樹脂としては、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート等のブロック型ポリイシシアネートとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の活性水素含有化合物との反応物などが挙げられ、また前記エポキシ樹脂
としては、たとえばポリアルキレンエーテル変性エポキシ樹脂や分子鎖に柔軟性骨格(ソフトセグメント)を導入したエポキシ基含有化合物などが挙げられる。
さらに、前記メラミン系樹脂としては、たとえばエーテル化メチロールメラミンとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールとの硬化物などが挙げられる。これらの中でも、ブロック型イシシアネートとポリオールとの硬化物であるウレタン系樹脂を使用することが好ましい。また、これらの熱硬化性有機樹脂は、1種類だけでなく2種類以上を使用してもよい。
また、前記熱可塑性有機樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、さらには自己乳化型の水系エマルジョン樹脂であることがより好ましい。このような樹脂は特にプライマー層形成用塗料組成物のバインダー成分として好適である。
また、前記紫外線硬化性有機樹脂としては、例えばアクリロイルオキシ基を有する多官能アクリル系化合物等紫外線硬化性化合物の化合物を使用することができる。
塗料組成物に含まれるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子の含有量は、特に制限されるものではないが、固形分重量換算基準で30〜70重量%の範囲にあると好ましい。前記含有量が30重量%未満の場合には、塗膜の硬度が低下するので好ましくない。前記含有量が70重量%を超えると、塗膜の耐擦傷性が低下するので好ましくない。
本発明に係わる塗料組成物は、本発明に係わるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子を含むため、膜硬度と耐擦傷性が高く、透明性にも優れ、耐光性、耐候性、耐薬品性にも優れ、屈折率の高い塗膜を製造することができる。
本発明に係わる塗料組成物は、プラスチック、ガラス、金属など、どのような基材にも塗布して用いることができるが、中でも、プラスチックレンズなどの光学基材のハードコート層塗膜形成用塗料あるいはプライマー層塗膜形成用塗料としては、膜硬度、耐擦傷性、透明性、耐候性、耐光性および屈折率が高い塗膜が得られるので、好適である。
アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子の製造方法
本発明のアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子の製造方法について以下に説明する。
まず、平均粒子径が10〜50nmの範囲にあるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子を調製する。このようなアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は、公知の方法で製造することができる。また、サソール社製DISPERALなどの市販品を用いても良い。
前記アルミナ微粒子の具体的な製造方法例としては例えばアルミニウムアルコキシドやアルミニウム化合物の加水分解法、水酸化アルミニウムを仮焼したのち粉砕、分級してから焼成する方法、アルミニウムを含む金属塩などを用いた水熱合成法、噴霧乾燥法などにて製造することができる。
公知の方法で得られたアルミナ微粒子の平均粒子径が50nmを超えるものである場合に、粉砕や分級などの処理を行って、平均粒子径10〜50nmとなるように調整してもよい。
前記粉砕はボールミル、ジェットミル、サンドミル、ロールミルなどのミル式粉砕機、その他公知の粉砕装置を用いて行うことができる。
またアルミナ水和物微粒子の製造方法の一例としては、水酸化アルミニウムのヒドロゲルを用いる方法が挙げられる。このような方法で得られたアルミナ水和物微粒子は分散性に優れるので膜の透明性や硬度が高く好ましい。より好ましくは水酸化アルミニウムのヒドロゲルを加熱したのち酸で邂こうし、これをさらに加熱する方法が好ましい。
このような方法としては例えば特WO01/016026号公報に記載のアルミナ水和物微粒子の製造方法、特開2002−060216号公報の段落[0017]〜[0023]に記載されるアルミナ分散ゾルの製法に順ずる方法などが挙げられる。
このような方法で得られるアルミナ水和物粒子は、分散性が高いため、得られる塗膜の透明性や膜硬度が高く、好ましい。
またこれらの方法で得られたアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子をさらに加熱、乾燥あるいは焼成して用いても良く、これらをさらに粉砕、分散処理などに処しても良い。
アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は、粉末状であっても、分散液またはスラリー状であってもかまわない。
ついで、このようなアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子の体積基準の粒度分布において50.6nm以上の頻度を0〜50%に調整する。
前記粒度分布の調整は例えば遠心分離機、沈降槽分級機などの装置を用いた湿式分級により行うことができる。
また、前記アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子に、Clおよび/またはNO3を含む化合物を固形分換算で0.3〜5重量%となるように添加することが好ましい。
このような化合物としては塩酸、硝酸などが好ましい。
前記Clおよび/またはNO3を含む化合物は、アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子を粉砕、分散、分級などの処理に処す前に添加してもよく、後に添加してもよい。
前記Clおよび/またはNO3の固形分重量が0.3重量%未満の場合には、アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子の平均粒子径が増大する場合があるので好ましくない。
前記Clおよび/またはNO3の固形分重量が5重量%を超えると分散液の粘度が増大する場合があるので好ましくない。
塗料組成物の製造方法
本発明に係わる塗料組成物は、本発明に係わるアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子と、マトリックス成分とを混合して製造することができる。
アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子は、分散液状のものであっても、粉末状のものであってもよい。
アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子が分散液状である場合には、分散溶媒としては、水、メタノ-ル、エタノ-ル、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコ-ル等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等のケトン類から選ばれた有機化合物の少なくとも1種などを用いることができる。これらを混合して用いても良い。
前記マトリックス成分としては、上述したような有機ケイ素化合物、熱硬化性有機樹脂、熱可塑性有機樹脂または紫外線硬化性有機樹脂が挙げられる。
前記有機ケイ素化合物または有機樹脂としては、上述したようなものが挙げられる。
前記有機ケイ素化合物は少なくともその一部が加水分解された状態で用いられてもよい。このような有機ケイ素化合物は特にハードコート膜形成用の塗料組成物のバインダー成分として好適である。
本発明に係る塗料の調製方法の一例として、有機ケイ素化合物をマトリックスとする場合には、前記有機ケイ素化合物を無溶媒下、またはアルコール等の極性有機溶媒中で、酸や水などの存在下で部分加水分解または加水分解した後にアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子またはその分散液と混合することが好ましい。あるいは前記有機ケイ素化合物とアルミナ微粒子の分散液を混合したあとに、これらを部分加水分解または加水分解してもよい。
その混合比は、前記有機ケイ素化合物をSiO2基準に換算した重量をXで表し、前記アルミナ微粒子の重量をYで表したとき、その重量比が(X/Y)が30/70〜90/10、好ましくは35/65〜80/20となるように行うことが好ましい。
また、熱硬化性有機樹脂および前記熱可塑性樹脂をマトリックスとした塗料は、前記樹脂とアルミナ微粒子の分散液を混合することにより調製され、その混合割合は前記樹脂の重量をRで表し、アルミナ微粒子の重量をSで表したとき、その重量比(R/S)が90/10〜30/70、より好ましくは80/20〜35/65となるように行うことが好ましい。
前記塗料組成物は、さらに、紫外線吸収剤を含むものであることが好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、従来公知な紫外線吸収剤、或いは現在開発中の紫外線吸収剤などを用いることができ、典型的な紫外線吸収剤であるベンゾフェノン系、ケイ皮酸系、p−アミノ安息香酸系、サリチル酸系などの光学安定性がある有機化合物、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどのペロブスカイト構造複合酸化物等を用いることができる。
このような塗料組成物を、プラスチック、ガラス、金属などの基材に塗布して、硬化させることによって、塗膜付きの基材を得ることができる。
本発明の塗料組成物より得られる塗膜は、膜硬度と透明性が高いので、特に眼鏡用プラスチックレンズなどの、光学基材用途に用いることが好ましい。
[測定方法および評価試験方法]
次に、本発明の実施例その他で使用された測定方法および評価試験方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)平均粒子径の測定方法
アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子または両者の混合物の分散液(固形分含有量0.15重量%)20gを、長さ1cm、幅1cm、高さ5cmの石英セルに入れて、超微粒子粒度分析装置(大塚電子株式会社製、型式ELS−Z2)を用いて、動的光散乱法により粒子群の粒子径分布を測定した。なお、本発明でいう平均粒子径は、この測定結果をキュムラント解析して算出された値を示す。
(2)アルミナ系微粒子の体積基準の粒度分布において50.6nmを超える微粒子の頻度の測定方法
前記測定法(1)と同様の試料および装置を用いてアルミナ系微粒子の体積基準の粒度分布(スラリーや粉体に含まれる粒子の集合体について特定の粒子径範囲の頻度分布を%で表したもの)を測定し、各試料について、粒子径50.6nm以下の頻度(%)の合計値を100より差し引いたものを50.6nmを超える頻度(%)とした。
(3)比表面積の測定方法
アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子または両者の混合物を含む分散液を乾燥させて得られた粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間乾燥後、デシケータに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、粒子の比表面積(m2/g)をBET法にて測定した。
(4)アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子または両者の混合物の組成分析方法
ICP装置(島津製作所株式会社製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて、アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子または両者の混合物に含まれる金属元素の重量を酸化物換算基準(Al23、Na2Oなど)で求めた。
(NO3の含有量)
アルミナ系微粒子に水酸化ナトリウム溶液を加えて、ケルダール蒸留装置を用いて蒸留し、留出したアンモニアを硫酸溶液に吸収した後、0.1ml/l水酸化ナトリウム溶液で滴定することで、アルミナ系微粒子に含まれるN(窒素)の量を測定し、これよりNO3の重量を算出した。
(Clの含有量)
電位差滴定装置(京都電子株式会社製、AT610)を用いて、アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子に含まれるClの重量を求めた。
(5)結晶構造の同定方法
アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子または両者の混合物の粉末のX線回折パターンをX線回折装置(理学電機製、RINT−1400)にて測定し、JCPDSのハードを用いて結晶構造を同定した。
(6)pHの測定方法
pHメータ(堀場製作所製、F22)にて測定した。
なお、試料の分散媒が有機溶媒を主とする場合には、試料50mlを蒸留水で10倍に希釈して測定した。
(7)粘度測定
アルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子または両者の混合物の分散液(固形分濃度15.0重量%)20mlを試料とし、粘度計(東機産業株式会社製、TV−10M)を用いて室温にて粘度測定を行った。粘度計のローターは回転数60rpmでは1.0〜10.0mPa・sの粘度範囲、回転数30rpmでは10.0〜20.0mPa・sの粘度範囲、回転数12rpmでは20.0〜50.0mPa・sの粘度範囲、回転数6rpmでは50.0〜100.0mPa・sの粘度範囲、回転数1.5rpmでは100.0〜200.0mPa・sの粘度範囲について測定した。
硬化性塗膜について
(8)膜硬度(Bayer値)の測定方法
磨耗試験機BTM(米コルツ社製)およびヘーズ値測定装置(NIPPON DENSHOKU製NDH2000)を使用し、実施例の調製例にて作成した被試験レンズと、基準レンズとのヘーズ値の変化によりBayer値を測定する。基準レンズは市販のプラスチックレンズ基材CR−39基材(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、PPG社製モノマー使用、基材の屈折率1.60)を使用し、まずそれぞれのヘーズ値を測定する。基準レンズの初期ヘーズ値をD(std0)、被試験レンズの初期ヘーズ値をD(test0)とする。それぞれのレンズを耐摩耗性試験機パンに設置し、その上に研磨材(専用砂)500gを充填し、600回左右に振動させ試験を行う。試験後の基準レンズのヘーズ値をD(stdf)、被試験レンズのヘーズ値をD(testf)とする。Bayer試験値(R)は以下の数式から算出する。
R=[D(stdf)−D(std0)]/[D(testf)−D(test0)]
(9)塗膜の外観(曇り)の評価方法
内壁が黒色である箱の中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック株式会社製、三波長型昼白色蛍光灯)を取り付け、前記ポリマー修飾無機酸化物微粒子を含むハードコート層膜を有する試料基板を蛍光灯の直下に垂直に置き、これらの透明度(曇りの程度)を目視にて確認し、以下の基準で評価する。
A:曇りが無い
B:僅かに曇りがある
C:明らかな曇りがある
D:著しい曇りがある。
(10)塗膜の耐擦傷性の評価方法
実施例の調製例にて作成した試験片の表面を、ボンスタースチールウール♯0000(日本スチールウール株式会社製)に1kgの荷重をかけ、3cmの距離を50往復/100秒の条件で擦った後、傷の入り具合を目視にて判定し、以下の基準で評価した。
A:殆ど傷が入らない
B:若干の傷が入る
C:かなりの傷が入る
D:擦った面積のほぼ全面に傷が入る。
(11)塗膜の密着性の評価方法
ハードコート層膜を形成した試料基板のレンズ表面に、ナイフにより1mm間隔で切れ目を入れ、1平方mmのマス目を100個形成し、セロハン製粘着テープを強く押し付けた後、プラスチックレンズ基板の面内方向に対して90度方向へ急激に引っ張り、この操作を合計5回行い、剥離しないマス目の数を数え、以下の基準で評価する。
良好:剥離していないマス目の数が95個以上
不良:剥離していないマス目の数が95個未満。
(12)塗膜の耐候的な密着性の評価方法
ハードコート層膜を形成した試料基板をキセノンウエザーメーター(スガ試験機株式会社製X−75型)で曝露試験をした後、外観の確認および前記の密着性の評価と同様の評価を行い、以下の基準で評価する。なお、曝露時間は、反射防止膜を有している基板は250時間、反射防止膜を有していない基板は50時間とする。
良好:剥離していないマス目の数が95個以上
不良:剥離していないマス目の数が95個未満。
(13)塗膜の耐光性の評価方法
退色試験用水銀ランプ(東芝株式会社製H400−E)により紫外線を50時間照射し、試験前後のレンズ色の目視確認を行い、以下の基準で評価する。なお、ランプと試験片との照射距離は、70mmとし、ランプの出力は、試験片の表面温度が45±5℃となるように調整する。また、この試験は、反射防止膜をハードコート層の表面に施したプラスチックレンズを対象として行ったものである。
○:あまり変色が認められない
△:若干の変色が認められる
×:明らかな変色が認められる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
[実施例1]
アルミナ水和物微粒子の調製
塩化アルミニウム6水和物(関東化学株式会社製、純度97%)2.4kgを純水30.9kgに溶解し、酸性アルミニウム水溶液(A)とした。
水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、純度95%)1.3kgを純水32.1kgに溶解し、アルカリ水溶液(B)33.3kgとした。
前記の酸性アルミニウム水溶液(A)全量を27℃に温度調節し、撹拌下で前記のアルカリ水溶液(B)18.3kgを添加し混合して混合液を調製した。さらに、この混合液を77℃に加温して、撹拌下で3時間保持してpH3の調合液を得た。ついで、この調合液にアルカリ水溶液(B)15.0kgを速やかに添加混合し、pH9.5のAl23換算で1.5%のアルミナヒドロゲルスラリー66.7kgを得た。
次いで、前記で得られたアルミナヒドロゲルスラリーを減圧濾過機を用いて濾過分離し、アルミナヒドロゲルを得た。次いで、そのアルミナヒドロゲルに純水を加えてAl23重量換算で3重量%のアルミナヒドロゲルスラリー33.3kgを得た。
次いで、得られたアルミナヒドロゲルスラリーを57℃に加温し、限外濾過装置を用いて純水で水洗浄して、濾液の電気伝導度が10μS/cm以下となるまで洗浄し脱塩されたアルミナヒドロゲルスラリーを得た。
次いで、得られたAl23重量換算で3重量%のアルミナヒドロゲルスラリーを57℃に加温し、撹拌しながら15%重量濃度のアンモニア水を加えてpHが10.5以上とした後に95℃加熱で4時間熟成してアルミナ水和物微粒子を含むスラリーを得た。
このスラリーを乾燥させ、含まれるアルミナ水和物微粒子の結晶構造を観察したところベーマイト型であり、結晶子径は4.6nmであった。
NO 3 添加および粉砕・乾燥工程
前記工程で得られたアルミナ水和物微粒子を含むスラリー9.0kgを57℃に加温し、撹拌しながら3.6重量%の硝酸342.0gを加えてpHを2.5に調整した。このAl23固形分濃度3重量%のスラリーに、粒子径0.1mmのアルミナビーズ(大明化学工業株式会社製 高純度アルミナビーズ)を加え、湿式粉砕機(カンペハピオ株式会社製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、アルミナ水和物微粒子の粉砕及び分散処理を行った。その後、アルミナビーズを目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、アルミナ水和物微粒子の水分散液9.0kgを得た。
次いで、得られたアルミナ水和物微粒子の水分散液9.0kgをスプレードライヤー(NIRO社製NIRO ATOMIZER)に供して噴霧乾燥した。これにより、アルミナ水和物微粒子の乾燥粉体290.0gを得た。
分級(粒子径頻度の調整)工程
前記工程で得られたアルミナ水和物微粒子の乾燥粉体290.0gを、純水1010.0gに添加し室温で1時間撹拌して、Al23固形分濃度20.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(AP−1)1300.0gを得た。
この水分散ゾルに含まれるアルミナ水和物微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定したとき73.0nmであって、50.6nmを超える粒子径頻度は74.9%であった。
次いで、この水分散ゾルを遠心分離機(日立工機株式会社製CR−21G)に供して12,000rpmの速度で1時間処理して、50.6nm以上の粒子径を有する粗大粒子を分級して取り除いた。これにより、固形分含有量がAl23換算基準で15.0重量%の水分散ゾル1300.0gを得た。
得られたアルミナ水和物微粒子の水分散ゾルのpHは4.0であり、粘度は24.0mPa・sであった。また、このゾルに含まれるアルミナ水和物微粒子の結晶構造はベーマイト型であり、結晶子径は4.6nmであった。また、このアルミナ水和物微粒子に含まれる金属成分等を測定したところ、Al23:73.9重量%およびNO3:3.5重量%であった。
また、このアルミナ水和物微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定したとき35.8nmであって、50.6nmを超える粒子径頻度は33.6%であった。また、BET比表面積は281m2/gであった。
このアルミナ水和物微粒子を本実施例のアルミナ水和物微粒子として用いた。
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製Z−6040)114.9gおよびメタノール(林純薬株式会社製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)20.3gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液39.2gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬株式会社製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)11.9gおよび本実施例で調製した固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子の水分散ゾル(AP−1)767.3g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業株式会社製)4.6gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)を調製した。
プライマー層膜形成用塗料組成物(P1)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)161.0gを入れた容器を用意し、これに、本実施例で調製した固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子の水分散ゾル(AP−1)418.7gおよびイオン交換水97.1gを加えて、1時間攪拌した。
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬株式会社製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)535.7g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(P1)を調製した。
[実施例2]
実施例1に記載された「分級(粒子径頻度の調整)工程」の工程において、遠心分離機(日立工機株式会社製CR−21G)にて12,000rpmの速度で1時間処理する代わりに、9,000rpmの速度で1時間処理した以外は実施例1と同様な方法により固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子の水分散ゾル(AP−2)を得た。
得られたアルミナ水和物微粒子の水分散ゾルのpHは4.0であり、粘度は23.9mPa・sであった。また、この分散ゾルに含まれるアルミナ水和物微粒子の結晶構造はベーマイト型であり、結晶子径は4.6nmであった。また、このアルミナ水和物微粒子に含まれる金属成分等を測定したところ、Al23:73.9重量%およびNO3:3.5重量%であった。
また、このアルミナ水和物微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定したとき41.3nmであって、50.6nmを超える粒子径頻度は48.1%であった。また、BET比表面積は281m2/gであった。
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H2)の調製
実施例1に記載された「ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)の調製」の工程において、実施例1で固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子の水分散ゾル(AP−1)767.3gを使用する代わりに、本実施例で得られた固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子の水分散ゾル(AP−2)767.3gを使用した以外は実施例1と同様な方法によりハードコート層膜形成用塗料組成物(H2)を得た。
[実施例3]
実施例1に記載された「NO3添加および粉砕・乾燥工程」の工程において、実施例1で3.6重量%の硝酸342.0gを加える代わりに、3.6重量%の硝酸450.0gを加えた以外は実施例1と同様な方法により固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子の水分散ゾル(AP−3)を得た。
得られたアルミナ水和物微粒子水分散ゾルのpHは3.5であり、粘度は19.8mPa・sであった。また、含まれるアルミナ水和物微粒子の結晶構造はベーマイト型であり、結晶子径は4.6nmであった。また、このアルミナ水和物微粒子に含まれる金属成分等を測定したところ、Al23:72.8重量%およびNO3:4.5重量%であった。
また、このアルミナ水和物微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定したとき32.1nmであって、50.6nmを超える粒子径頻度は30.9%であった。また、BET比表面積は281m2/gであった。
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H3)の調製
実施例1に記載された「ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)の調製」の工程において、実施例1で固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(AP−1)767.3gを使用する代わりに、本実施例で得られた固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(AP−3)767.3gを使用した以外は実施例1と同様な方法によりハードコート層膜形成用塗料組成物(H3)を得た。
[実施例4]
実施例1に記載された「NO3添加および粉砕・乾燥工程」の工程において、実施例1で3.6重量%の硝酸342.0gを加える代わりに、3.6重量%の塩酸342.0gを加えた以外は実施例1と同様な方法により固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子の水分散ゾル(AP−4)を得た。
得られたアルミナ水和物微粒子水分散ゾルのpHは3.3であり、粘度は22.0mPa・sであった。また、含まれるアルミナ水和物微粒子の結晶構造はベーマイト型であり、結晶子径は4.6nmであった。また、このアルミナ水和物微粒子に含まれる金属成分等を測定したところ、Al23:72.8重量%およびCl:3.0重量%であった。
また、このアルミナ水和物微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定したとき39.1nmであって、50.6nmを超える粒子径頻度は36.4%であった。また、BET比表面積は281m2/gであった。
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H4)の調製
実施例1に記載された「ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)の調製」の工程において、実施例1で固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(AP−1)767.39gを使用する代わりに、本実施例で得られた固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(AP−4)767.39gを使用した以外は実施例1と同様な方法によりハードコート層膜形成用塗料組成物(H4)を得た。
[比較例1]
実施例1に記載された「分級(粒子径頻度の調整)工程」の工程において、遠心分離機(日立工機株式会社製CR−21G)による分級処理を行わなかった以外は実施例1と同様な方法により固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(LP−1)を得た。
得られたアルミナ水和物微粒子水分散ゾルのpHは4.0であり、粘度は25.0mPa・sであった。また、この水分散ゾルに含まれるアルミナ水和物微粒子の結晶構造はベーマイト型であり、結晶子径は4.6nmであった。また、このアルミナ水和物微粒子に含まれる金属成分を測定したところ、Al2373.9およびNO33.5重量%であった。
また、このアルミナ水和物微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定したとき73.0nmであって、50.6nmを超える粒子径頻度は74.9%であった。また、BET比表面積は279m2/gであった。
ハードコート層膜形成用塗料組成物(Y1)の調製
実施例1に記載された「ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)の調製」の工程において、実施例1で固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(AP−1)767.3gを使用する代わりに、本比較例で得られた固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(LP−1)767.3gを使用した以外は実施例1と同様な方法によりハードコート層膜形成用塗料組成物(Y1)を得た。
プライマー層膜形成用塗料組成物(Z1)の調製
実施例1に記載された「プライマー層膜形成用塗料組成物(P1)の調製」の工程において、実施例1で固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(AP−1)418.7gを使用する代わりに、本比較例で得られた固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(LP−1)418.7gを使用した以外は実施例1と同様な方法によりハードコート層膜形成用塗料組成物(Y1)を得た。
[比較例2]
実施例1に記載された「NO3添加および粉砕・乾燥工程」の工程において、実施例1で3.6重量%の硝酸342.0gを加える代わりに、3.6重量%の硝酸1000.0gを加えた以外は実施例1と同様な方法により固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子水分散ゾル(LP−2)を得た。
得られたアルミナ水和物微粒子水分散ゾルのpHは3.5であり、粘度は180mPa・sであった。また、このゾルに含まれるアルミナ水和物微粒子の結晶構造はベーマイト型であり、結晶子径は4.6nmであった。また、このアルミナ水和物微粒子に含まれる金属成分を測定したところ、Al2367.5およびNO310.0重量%であった。
また、このアルミナ水和物微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定したとき76.3nmであって、50.6nmを超える粒子径頻度は53.4%であった。また、BET比表面積は279m2/gであった。
ハードコート層膜形成用塗料組成物(Y2)の調製
実施例1に記載された「ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)の調製」の工程において、実施例1で固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子分散液(AP−1)767.3gを使用する代わりに、本実施例で得られた固形分濃度15.0重量%のアルミナ水和物微粒子分散液(LP−2)767.3gを使用した以外は実施例1と同様な方法によりハードコート層膜形成用塗料組成物(Y2)を得た。
実施例1〜4および比較例1〜2で調製した各粒子の性状を表1に示す。
試験用プラスチックレンズ基板(試験片)の作成
(1)プラスチックレンズ基材の前処理
市販のプラスチックレンズ基材「モノマー名:CR−39」(PPG社製、基材の屈折率1.50)およびプラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−8」(三井化学株式会社製、基材の屈折率1.60)を、40℃に保った10重量%濃度のKOH水溶液に2分間浸漬してエッチング処理を行った。更に、これらを取り出して水洗したのち、十分に乾燥させた。
(2)プライマー層膜の形成
前処理を行ったプラスチックレンズ基材にプライマー層膜形成用塗料組成物をそれぞれ塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法(引き上げ速度120mm/分)を用いて行った。
次に、前記塗膜を100℃で10分間、加熱処理して、塗膜(プライマー層)の予備乾燥を行った。
このようにして形成された前記プライマー層の予備硬化後の膜厚は、概ね0.5〜0.7μmであった。
(3)ハードコート層膜の形成
前記前処理を行ったプラスチックレンズ基材、またはプライマー層膜を形成したプラスチックレンズ基材の表面に、ハードコート層膜形成用の塗料組成物を塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法(引き上げ速度250mm/分)を用いて行った。
次に、前記塗膜を90℃で10分間、乾燥させた後、110℃で2時間、加熱処理して、塗膜(ハードコート層)の硬化を行った。この際、前記プライマー層の本硬化も同時に行った。
なお、このようにして形成された前記ハードコート層膜の硬化後の膜厚は、概ね3.0〜3.5μmであった。
(4)反射防止膜層の形成
前記ハードコート層膜の表面に、以下に示す構成の無機酸化物成分を真空蒸着法によって蒸着させた。ここでは、ハードコート層側から大気側に向かって、SiO2:0.06λ、ZrO2:0.15λ、SiO2:0.04λ、ZrO2:0.25λ、SiO2:0.25λの順序で積層された反射防止層膜の層をそれぞれ形成した。また、設計波長λは、520nmとした。
外観、耐擦傷性、密着性、耐候性の評価
実施例1〜4、比較例1〜2で得られたハードコート層膜形成用の塗料組成物H1、H2、H3、H4、Y1、Y2と、プライマー層膜形成用塗料組成物P1およびZ1を用いて、表2に示す組み合わせで前処理を行ったプラスチックレンズ基材上にプライマー層膜およびハードコート層膜を形成して試験片1〜10を作製した。
なお、プライマー層膜形成用塗料組成物P1とハードコート層膜形成用塗料組成物H1を塗布し反射防止層膜を形成した試験片9の基材、および、プライマー層膜形成用塗料組成物Z1とハードコート層膜形成用塗料組成物Y1を塗布し反射防止層膜を形成した試験片10を作成した。
さらに、プライマー層膜形成用塗料組成物P1とハードコート層膜形成用塗料組成物H1を塗布し反射防止層膜を形成した試験片9の基材、および、プライマー層膜形成用塗料組成物Z1とハードコート層膜形成用塗料組成物Y1を塗布し反射防止層膜を形成した試験片10の基材としてはプラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−8」(三井化学株式会社製、基材の屈折率1.60)を用い、それ以外の試験片の基材にはプラスチックレンズ基材「モノマー名:CR−39」(PPG社製、基材の屈折率1.50)を用いた。
このようにして得られた試験片1〜10について、上記の評価試験法を用いて、外観(干渉縞)、外観(曇り)、耐擦傷性、膜硬度、密着性、耐候性、耐光性を試験して評価した。その結果を表3に示す。
この結果から明らかなように、平均粒子径が10〜50nmの範囲にあり、体積基準の粒度分布において50.6nm以上の頻度が0〜50%の範囲にあるアルミナ水和物微粒子を含む実施例塗料より得られた塗膜付きの試験片は、耐擦傷性および膜硬度が飛躍的に向上するとともに、曇りがなく透明度が高いことがわかった。また、実施例塗料より得られる塗膜は密着性にも優れ、耐候性および耐光性にも優れることがわかった。
Figure 2013129575
Figure 2013129575
Figure 2013129575

Claims (8)

  1. 平均粒子径が10〜50nmの範囲にあり、体積基準の粒度分布において50.6nm以上の頻度が0〜50%の範囲にあるアルミナ系微粒子であって、該アルミナ系微粒子がアルミナ微粒子、アルミナ水和物微粒子または、これらの混合物であるアルミナ系微粒子。
  2. 前記頻度が10%以下の範囲にある請求項1に記載のアルミナ系微粒子。
  3. 前記アルミナ系微粒子が結晶性であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミナ系微粒子。
  4. 前記アルミナ系微粒子がアルミナヒドロゲルより得られたものである請求項1〜3のいずれかに記載のアルミナ系微粒子。
  5. さらにClおよび/またはNO3を固形分換算で0.3〜5重量%含む請求項1〜4のいずれかに記載のアルミナ系微粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のアルミナ系微粒子を含む分散液。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のアルミナ系微粒子を含む塗料組成物。
  8. 前記塗料組成物が光学基材用ハードコート膜形成用塗料組成物または光学基材用プライマー膜形成用塗料組成物であることを特徴とする請求項7に記載の塗料組成物。
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