JP2005281132A - 撥水性のガラスの製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より簡便に制御性よく安定して確実に優れた撥水性能をより長期的に維持することができ、自動車用窓ガラス等に有用な格段に優れた撥水性のガラスを得る。
【解決手段】アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Aと、1つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Bとを混合した混合物と、イソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒と、これらに混在するジオール類からなるコーティング溶液であって、前記ジオール類の混在量がコーティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し、0.5〜30wt%であるコーティング溶液をガラス基板の表面上に被覆し、加熱焼成して微細な凹凸状表層を有するゾルゲル膜を形成し、該ゾルゲル膜上に、撥水膜層を被覆形成すること。
【選択図】 図3
【解決手段】アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Aと、1つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Bとを混合した混合物と、イソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒と、これらに混在するジオール類からなるコーティング溶液であって、前記ジオール類の混在量がコーティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し、0.5〜30wt%であるコーティング溶液をガラス基板の表面上に被覆し、加熱焼成して微細な凹凸状表層を有するゾルゲル膜を形成し、該ゾルゲル膜上に、撥水膜層を被覆形成すること。
【選択図】 図3
Description
本発明は、例えば凹凸状表層の形状および大きさ等を適宜種々にコントロールすることができ、かつ短く簡便な調合方法でもってより簡便に得ることができる優れたコ─ティング溶液で表面形状とその発現をより安定せしめてより比表面積を増大でき、コントロ−ルした凹凸の程度を特定したものとしたことにより、高硬度で高機械的強度、かつ耐久性に優れた酸化物被膜となる微細な凹凸状表層を有するゾルゲル膜となり、さらにガラス基板上に被膜積層する多層膜において、例えば撥水性ガラスの下地層膜として用いた際に、当該特異なゾルゲル膜上に被覆する撥水膜の付着効率と密着性を高め、耐光性能を向上し、しかも格段にその性能を発揮し、光学特性を損なうことなく高透視性であって、長期的に強固な密着力で撥水性能、耐摩耗性あるいは耐久性等が優れたものとして維持することが
でき、建築用もしくは自動車用等の窓材、船舶や航空機の窓材などの各種ガラス物品において有用な撥水性のガラスを提供するものである。
でき、建築用もしくは自動車用等の窓材、船舶や航空機の窓材などの各種ガラス物品において有用な撥水性のガラスを提供するものである。
一般に金属酸化物被膜の表面に凹凸状を形成する方法としては、例えば金属酸化物被膜をフッ酸やフッ硝酸等でエッチングする方法、あるいは加熱処理により燃焼分解する有機高分子を金属アルコキシド溶液中に添加する方法等が知られている。また簡単な工程で凹凸状等を形成する方法としては、本出願人は出発原料の異なる金属アルコキシドを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液を混合することによる方法を見い出している。
ところが金属酸化物被膜をフッ酸やフッ硝酸等でエッチングする方法では、エッチング用溶液であるフッ酸やフッ硝酸等が人体に対し極端に危険な物質であってその取り扱いが厄介で作業性が劣るとともに、エッチング工程を付加することでの生産性の低下等があり、また加熱処理により燃焼分解する有機高分子を金属アルコキシド溶液中に添加する方法では、例えば一度形成されたマイクロピット状表面が400 ℃以上の加熱焼成により、被膜の緻密化が起こるため、その加熱処理条件を種々制御する必要があるという制約があり、この制約により頑固な被膜を得ることが困難であって、必ずしも容易にとは言い難いものである。
そこで、本出願人が既に出願している例えば特許文献1に記載のマイクロピット状表層を有する酸化物薄膜および該薄膜を用いた多層膜、ならびにその形成法、また同じく例えば特許文献2に記載のゾルゲル膜およびその形成法、さらに同じく例えば特許文献3に記載の撥水性酸化物被膜およびその形成法等が上記の点を解決するに際し有用であることを提案し、さらにまた同じく例えば特許文献4に記載のゾルゲル膜およびその形成法によって、調合方法が複雑でなくより簡便で長時間を要せず、またポットライフも優れたコ−ティング溶液で、表面形状の発現がより安定かつより優れしかも長期間の過酷な条件下でも機械的膜強度あるいは耐薬品性等耐久性に優れるゾルゲル膜を提案している。
自動車用窓ガラス等において各種機能性膜が実用されるようになってきている最近では、特に下地層としての表面形状の発現がより安定かつより優れしかも長期間の過酷な条件下でも機械的膜強度あるいは耐薬品性等耐久性に優れるゾルゲル膜がさらにますます望まれつつある。
また本出願人が既に出願している例えば特許文献5に記載の撥水性ガラスおよびその製造方法において、下地層の表面表層形状を3次元的に把握し、例えば Rmax (最大高さ)=5 〜60nm、 Ra (中心線平均粗さ)=2 〜20nm、 Rz (10点平均粗さ)=5 〜55nm、 Sm (凹凸の平均間隔)=5 〜700nm でなるように凹凸の程度を定量的に規定し特定することで従来に比しその機能を数段高め安定せしめることができたものの、これらのフアクタ−、特にJIS B 0601におけるRa (中心線平均粗さ)で特定したとしても、ことに大面積でかつ複雑な形状基板に施した上層の機能性膜を含む積層成膜での耐光性能等に対し、より過酷な厳しい環境においてはバラツキを減じよりさらに充分にその機能を向上しより安定したものになるまでには到っていなかった。
特開平5-147976号公報
特開平6-298545号公報
特開平7-138050号公報
特願平7-132268号
特願平6-180295号
本発明は、従来のかかる課題に鑑みてなしたものであって、特定の金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランと、特定のアルキルトリアルコキシシランとをそれぞれ加水分解ならびに脱水縮合させたそれぞれのゾルゲル溶液を混合するとともに、特定の溶剤とジオ−ル類を混在せしめて調製することでコーティング溶液とし、ガラス基板に被膜し薄膜を成膜することで、その性能が優れるコーティング溶液を簡便に得ることができるとともに、得られたゾルゲル膜が高硬度かつ高密着性であって耐久性や耐摩耗性とを併せ持ち、例えば独立してしっかりした特異な微細な凹凸状表面表層を3次元的に把握し、凹凸の程度を平均面で定量的に規定し特定することにより制御性よく極めて安定して発現し、より比表面積の増大による被覆膜の付着効率と密着性の向上をもたらし、格段に優れた下地層となり、しかも高安全で厄介な工程なく、安価に効率よく機械的膜強度および耐久性ならびに各種機能を発揮する酸化物薄膜で成るゾルゲル膜を下地層とし、該下地層上に撥水膜層を被覆することにより、耐摩耗性ならびに耐光性能を格段に向上し、より長期的に優れた撥水性能を維持することができ、かつそのバラツキ幅をよりコントロ−ルよく低減することができたものとなる等、有用な撥水性のガラスを提供するものである。
すなわち、本発明は、ガラス基板の表面上に、アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Aと、1つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Bとを混合した混合物と、イソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒と、これらに混在するジオール類からなるコーティング溶液を被覆し、加熱焼成することで得る微細な凹凸状表層を有するゾルゲル膜上に、撥水膜層を被覆形成しで成ることを特徴とする撥水性のガラスの製法である。
ならびに、前記金属アルコキシドの金属が、Ti、Al、Zrまたはこれらの複合金属であることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
また、前記テトラアルコキシシランに対するアルキルトリアルコキシシランの混合割合が、酸化物換算で2〜6倍であることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
さらに、前記イソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒が、イソプロピルアルコ−ルにブタノ−ルを添加した溶媒であることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
またさらに、前記コ−ティング溶液における固形分濃度が、酸化物換算で0.2 〜5.0 wt%であることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
またさらに、前記ジオ−ル類の混在量が、コ−ティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し、0.5 〜30wt%であることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
さらにまた、ガラス基板表面に形成する前記ゾルゲル膜が、3次元測定によって該ゾルゲル膜の中心線平均粗さを面拡張した平均面粗さRa’値が2.5nm 以上15.8nm以下である微細な凹凸状表層を有する金属酸化物薄膜でなることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
さらに、前記撥水膜層が、フルオロアルキルシラン系化合物で成ることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
さらに、前記撥水膜層が、アルキルシラン系化合物で成ることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
さらに、前記撥水膜層が、フッ素樹脂系化合物で成ることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法を提供するものである。
本発明によれば、コ−ティング溶液としてより簡単に調合調製ができかつ飛躍的な安定性および性能を発揮し、より簡便に容易な膜形成手段でもって特異な薄膜を安価に効率よく得られ、特定の二つを選択したゾル溶液ならびに希釈溶液をジオ−ル類の存在下で巧みに組み合わせることによって、制御性よく特定できた特異な形状を有する強固な微細な凹凸状表層表面となすものとなって多層膜の下地層薄膜として格段にその性能を発揮し、その優れた表面に撥水性酸化物薄膜を被膜して、品質の均質化を向上し得て管理でき、光学特性を損なうことなく、撥水性能等各種性能が優れることはもとより、密着性、ことに耐摩耗性などの機械的強度、耐光性能等の耐久性に優れ、しかも長期的に維持できるものとなり、建築用はもとより自動車用窓材に格段に安定した品質で供給でき、船舶や航空機の窓材、種々のミラ−等各種ガラス物品等、種々の分野に広く採用できる利用価値の高い、有用な撥水性のガラスを提供するものである。
ここで、上述したような、ガラス基板の表面上に、アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Aと、1つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Bとを混合した混合物を、イソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒と、これらに混在するジオール類からなるコーティング溶液を被覆し、加熱焼成することで得る微細な凹凸状表層を有するゾルゲル膜上に、撥水膜層を被覆形成しで成る撥水性のガラスを得る方法としては次のようにする。
先ず、前記ガラス基板としては、建築用窓ガラスや自動車用窓ガラス等に使用されているフロ−トガラス等各種無機質の透明性がある板ガラスであって、無色または着色、ならびにその種類あるいは色調、形状等に特に限定されるものではなく、さらに曲げ板ガラスとしてはもちろん、各種強化ガラスや強度アップガラス、平板や単板で使用できるとともに、複層ガラスあるいは合せガラスとしても使用できる。
また、ゾルゲル膜としては、ガラス基板の表面上に、アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Aと、1つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Bとを混合し、ジオ−ル類を含有させて混在せしめたアルコ−ル系溶媒で希釈し、約10乃至50℃の保持温度で0〜24時間攪拌した混合物を作製し、該混合物をイソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒で希釈調製してなるコ−ティング溶液を被覆し、乾燥加熱焼成し微細な凹凸状表層を有する酸化物薄膜で成るようにすることで形成する。
さらにまた、前記テトラアルコキシシランに対するアルキルトリアルコキシシランの混合割合が、酸化物換算で2〜6倍になるようにし、前記コーティング溶液は1〜10cP程度になるよう粘度調製することで得る。
またここで、前記したように、アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Aと、1つの官能基がアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Bとを混合した混合物を用いることとしたのは、容易に溶液調製することができかつポットライフを長くでき、成膜した前記微細な凹凸状表層の表面形状を有するものとなり、かつ機械的膜強度、耐薬品性に優れ、酸化物薄膜の透明性や硬度が高く、耐久性にも優れたものとなり、比較的安価で入手し易いものであるので該二つのゾル溶液を用いることとした。
また、二つのゾル溶液の一つが、アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランである金属アルコキシド系化合物を用い、加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Aと、ゾル溶液のもう一つが1つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランである金属アルコキシド系化合物を用い、加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Bとしたのは、ゾル溶液Aでは例えばーSiーO ーSiー(但し、Siの上下方向の線は省略する)三次元構造が発達しやすいものと該骨格が生成しにくいものを共存させる。一方、ゾル溶液Bでは、加水分解および脱水縮合反応が起こらないアルキル基が存在するため、三次元構造のSiーO ーSi結合等の骨格が生成しにくい。よってゾル溶液Aとゾル溶液Bとを混合することにより被膜した際に種々の表層が発現するようになり、数%程度の異種金属元素が加わることにより、同一金属元素からなる薄膜を緻密化させる働きが生じ、機械的膜強度および耐薬品性等耐久性に優れる、しかも制御されかつ再現性よく安定した形状と性能の微細な凹凸状表層薄膜となる。
さらに、前記金属アルコキシドの金属金属としては、格別特定するものではないが、Ti、Al、Zrまたはこれらの複合金属を選択するのが好ましく、具体的なものとしては、例えばチタンテトラノルマルブトキシド〔Ti(O-n-Bu)4 Bu:C4H9 〕、アルミニウムトリノルマルブトキシド〔Al(0-n-Bu)3 〕、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド〔Zr(O-n-Bu)4〕、またはTi、Al、Zrのアセチルアセトネ−ト塩等が好適である。
またさらに、前記1つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランとしては、具体的には例えば、メチルトリエトキシシラン〔MeSi(OEt)3〕、
メチルトリメトキシシラン〔MeSi(OMe)3〕等が好適である。
メチルトリメトキシシラン〔MeSi(OMe)3〕等が好適である。
また、微細な凹凸状表層における形状ならびにその制御については、先ず前記ゾル溶液Aおよびゾル溶液Bの官能基ならびに分子量であり、特に前記したような現象を発現する異種官能基、ことに4と3の官能基のものが主であり、また例えば分子量としてはその範囲が100 〜100,000 であり、100 未満では原料の加水分解が不充分なため被膜時に膜ハジキが生じやすく、成膜性が悪く、また100,000 を超えるとゾル溶液がゲル化を生じ、ゾル溶液の安定性が悪くなる。好ましくは1,000 〜50,000程度のものがよい。
もしくはならびに前記ゾル溶液を調製する際の溶剤の種類であり、イソプロピルアルコ−ル、ブタノ−ル、エタノ−ルのアルコ−ル溶媒、アセチルアセトン等であり、ことにイソプロピルアルコールを主成分としてなるアルコールであって、なかでもコ−ティング溶液の調製における希釈溶媒としては、イソプロピルアルコールにブタノ−ルを添加した溶媒、ことに約10wt%程度添加した希釈溶媒がよく、得られる薄膜の微細な凹凸状表層の表面形状の発現の安定性に役立つこととなる。
もしくはならびにゾル溶液における酸化物換算での固形分の混合比であり、例えばゾル溶液Aの固形分1gに対してゾル溶液Bの固形分は2〜6g程度であり、2g未満では得られた薄膜の表層が平坦状になり、また6gを超えると得られる薄膜の表層は粗大化することとなり、所期のめざすものとはならない。好ましくはゾル溶液Aの固形分1gに対してゾル溶液Bの固形分は2.5 〜5.5 g程度である。
また、前記ジオ−ル類〔一般式:R(OH)2 、DO類という。〕としては、例えば一般式:Cn H2n (OH)2 (n ≧2 )であるエチレングリコ−ル(メチレン基:2)、1,3-プロパンDO、1,2-プロパンDO(以上、メチレン基:3)、1,4-ブタンDO(1,4-BDO という。)、1,3-BDO 、1,2-BDO (以上、メチレン基:4)、1,5-ペンタンDO、1,4-ペンタンDO、1,3-ペンタンDO、1,2-ペンタンDO(以上、メチレン基:5)、1,6-ヘキサンDO(以上、メチレン基:6)、プロピレングリコ−ル、1,8-オクタンDO、1,9-ノナンDO等の直鎖ジオ−ルまたは鎖状ジオ−ルが挙げられ、またさらに例えば一般式:Cn H2n-2(OH)2(n ≧3 )であるシクロペンタン-1,2-DO 、シクロヘキサン-1,2-DO 、シクロヘキサン-1,4-DO 等の環式ジオ−ルが挙げられる。
またさらに、前記ジオ−ル類の混在量が、コ−ティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し、0.5 〜30wt%になるように調製することとしたのは、混在量が0.5 wt%未満では例えば比表面積を増大する作用を抑制するようなこととなり、また30wt%を超えるような含有混在をしたとしても、その混在量のわりに比表面積を増大する作用効果等が得られず経済的でなく、むしろ例えば膜の緻密性が最高な状態から多少下がり、機械的膜強度などが低下するような傾向が見られるためである。好ましい前記ジオ−ル類の混在量としては1〜20wt%程度、より好ましくは2〜15wt%程度である。
さらに、被膜する際の環境については、前記ジオ−ル類の混在によってコ−ティング溶液の安定性が増し、より確実に制御されかつ極めて再現性よくより安定した形状と性能の微細な凹凸状表層表面薄膜をうることができ、原則的に格別限定する必要がなくなるものの、温度と相対湿度を室温で例えば45〜70%HR程度にコントロ−ルすることによって、種々の表層表面形状ならびにその径などをより再現性よく安定かつ確実に制御し得ることもある。
さらに、前記コーテイング溶液の粘度を1〜10cPに調製するのは、1cP未満では粘性が低すぎて膜となり難く、また10cPを超えると被膜した際に過剰に塗膜され加熱乾燥過程で膜中にクラツク等が生じてしまうためである。
またさらに、前記コーテイング溶液の酸化物換算固形分濃度を0.2 〜5.0 wt%が好ましく、0.2 wt%未満では希薄すぎるため膜の形態となり難く、また5.0 wt%を超えると濃度が濃くなるようになって高すぎるため膜厚が厚くなり、前記平均面粗さRa' 値をうることが次第に難しく、さらに膜中にクラツクの発生を生じたりあるいは成膜時に白濁を生じたりして良質な薄膜が得られないこととなるものである。
さらにまた、ガラス基板への膜付け法としては、ノズルフロ−コ−ト法、ディッピング法、スプレー法、リバ−スコ−ト法、フレキソ法、印刷法、フローコート法あるいはスピンコート法、ならびにそれらの併用等既知の塗布手段が適宜採用し得るものである。
また、前記下地層であるゾルゲル膜の成膜する際における風乾等の乾燥後の加熱温度については、100 ℃以上700 ℃以下程度、好ましくは約500 ℃程度以上680 ℃以下程度、さらに薄膜をより強固にするため、例えば600 ℃程度あるいは以上の温度による焼成であって、具体的にはガラス板の曲げあるいは/および強化工程における温度であり、該温度でも消失することもなく、種々の前記表面形状表層とすることができるものである。
さらに、前記した3次元測定によって該ゾルゲル膜の中心線平均粗さを面拡張した平均面粗さRa’値が2.5nm 以上15.8nm以下である微細な凹凸状表層を有する金属酸化物薄膜でなるゾルゲル膜としたのは、走査型プロ−ブ顕微鏡のAFM (原子間力顕微鏡)モ−ド(セイコ−電子製、SPI3700 、5μm四方スキャン)で観察し、JIS B 0601で定義されている中心線平均粗さRa' 値を、測定面に対し適用し三次元に拡張したもので、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現でき、次式で与えられる。
式中、Ra' 値:平均面粗さ(nm)。S0:測定面が理想的にフラットであるとした時の面積|X R −X L |×|Y T −Y B |。F(X,Y):測定点(X,Y)における高さ。X L 、X R 、Y B 、Y T :X 座標、Y 座標の測定範囲。Z0:測定面内の平均高さを表す。
これにより、前述した下地膜層としての所期の微細な凹凸状表層の表面形状となる前記ジオ−ル類の混在量が、コ−ティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し0.5 〜30wt%であり、これに対して該ゾルゲル膜の平均面粗さRa' 値が2.5 〜15.8nmであって下地膜層として好ましいものであるものであった。より好ましいRa' 値としては4〜15nm程度、最も好ましいRa' 値としては6〜10nm程度である。
なお、上記したジオ−ル類の混在量では、膜厚が約120 〜135nm 程度でRa' 値が2.5 〜15.8nmであって、例えばヘイズメ−タ−による測定で初期ヘイズ(曇価)値H%が約0.1 〜0.3 %程度でガラス基板並で良好であり、またテ−バ−摩耗試験機(摩耗輪CS-10F、荷重500g)で20回転後のヘイズ値の増加分△Hが約0.1〜0.3 程度でガラス基板並の耐摩耗性の膜強度を示し極めて良好であった。
撥水性のガラスにおいて、上述したゾルゲル膜の平均面粗さRa' 値が2.5nm 未満では例えば後述する実施例で示すように、トラバ−ス摺動試験に対する接触角θが約112 °から約90°以下となって優れた撥水性能をより長期的に維持し難く、また耐光性に対する接触角θが約112 °から約50°以下となって優れた撥水性能を到底長期的に維持することができず、特に撥水機能の耐光性能が充分ではなく劣化が大きく、所期の優れた撥水性〔例えば、接触角θ(°):初期接触角θ0 約110 °程度に対し、上記耐久性試験後で好ましくは約70°程度以上、より好ましくはトラバ−ス摺動試験で約 100°程度以上、耐光性で約1000時間S-UV照射後約80°程度以上〕とはなり難くなり、平均面粗さRa' 値が15.8nmを超えると所期のめざす透明性〔例えば、初期ヘイズH0 (%)が約0.3 %程度以下〕とは次第になり難く、しかも前述したように経済的でなくなるためである。
さらに、好ましい平均面粗さRa' 値としては約4nm以上15nm以下程度であって、上述した初期接触角θ0 ならびに透明性が例えば自動車用窓ガラス等よりシビアな厳しい環境に対しても好適な微細な凹凸状表層を有する金属酸化物薄膜でなるゾルゲル膜となる。さらにより好ましくは平均面粗さRa' 値が約6nm以上10nm以下程度であって、Super-UV照射時間を約1000時間程度行った後の接触角が約90°程度以上、かつ初期ヘイズH0 が約0.3 %程度以下を満足するものとなる。
またさらに、本発明の撥水性のガラスにおいて、下地層であるゾルゲル膜表面に被膜したフルオロアルキルシラン系化合物、またはアルキルシラン系化合物を用いた撥水膜層について光劣化による存在形態を推測すると図5に示すようになり、図中(a)は下地層(B)に直接化学的結合をした極薄い(例えば単分子レベル)撥水膜層(F1)を示し、図中(b)は前記撥水膜層(F1)と凹部に入り込んだ撥水剤の重合体からなる撥水膜層(F2)との2層構造を示し、さらに図中(c)は前記撥水膜層(F1)までの光劣化状態を示すものである。
このように、撥水膜層は異なる2つの撥水膜層F1とF2が積層した2層構造と考えられ、F1層は下地膜表面の例えばシリカと直接化学的結合し、極薄い単分子層に近い膜が下地膜全体を覆っており、F2層は撥水剤である例えばフルオロアルキルシランがある程度重合した多くの重合体がF1層に化学結合し、特に凹部に多く入り込んだ状態で存在し、F2層は撥水剤量(重合体の大きさと数)に比例した「みかけの厚み」を持ち、該F2層の厚みが耐光性に大きく影響を及ぼすものである。
また、下地層と直接反応しない例えばPTFE微粒子のような撥水剤においてもF2層として凹部に入り込んだ状態で存在するので、同様に上記したような耐光性の向上に有効な働きをするものである。
平均面粗さRa' 値が大きいほど撥水剤の含有量が増えるため、撥水膜層の「みかけの厚み」も増加して耐光性が向上することとなり、下地膜と直接化学的結合をしていない凹部に蓄積された撥水膜層は、撥水剤(例えばフルオロアルキルシラン)の重合体の塊状物であり、初期の光照射でこの撥水膜層が先に劣化し、ついで下地膜と化学的結合した強固な下地の撥水膜層が光劣化することとなる。
さらに、前記フルオロアルキルシラン系化合物としては、例えばCF3CH2CH2Si(OMe)3 、CF3CH2CH2SiCl3、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OMe)3 、CF3(CF2)5CH2CH2SiCl3、CF3(CF2)5CH2CH2SiMe(OMe)2 、CF3(CF2)7CH2CH2SiMeCl2、CF3(CF2)7CH2CH2Si(OMe)3、CF3(CF2)7CH2CH2SiCl3、CF3(CF2)7CH2CH2SiMe(OMe)2 、CF3(CF2)8CH2CH2Si(NC0)3 等が挙げられる。
さらに、前記アルキルシラン系化合物としては、例えば[(CH3)3Si-O]3Si-CH2CH2-Si(OCH3)3{トリストリメチルシロキシ・エチル・トリメトキシシラン}、CH3(CH2)17Si(OCH3)3 、CH3(CH2)17Si(CH3)(OCH3)2、CH3(CH2)17SiCl3 等が挙げられる。
さらに、前記フッ素樹脂系化合物としては、主に炭素とフッ素からなる重合体であり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、低分子量PTFE〔セントラル硝子(株)製等〕、ポリクロロフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの重合体、テトラフルオロエチレンとエチレン共重合体、テトラフルオロエチレンとパ−フルオロアルキルビニルエ−テル共重合体、クロロトリフルオロエチレンとエチレンの共重合体などが挙げられる。なお、フッ素樹脂系化合物は、溶媒に分散した懸濁液として用い、例えばシリカゾル溶液中に混合してもよい。またフッ素樹脂系化合物の粒径としては1.0 μm 程度以下であればよく、例えば約0.1 〜1.0 μm 程度が好ましいものである。
前述したとおり、本発明の撥水性のガラスにより、特定した2種類のゾル溶液を、特定の希釈溶媒と混在する特定量のジオ−ル類で希釈して特定選択し組み合わせて調製し用いることによってコーテイング溶液を得て成膜することで、コーテイング溶液として簡便に調合調製ができしかも優れた安定性とその性能を有するものとでき、被膜で特異な挙動を発現せしめて特異な形状構造をもたらし、加熱乾燥または焼成および高温焼成等を行うことにより、緻密化して平坦化することなく、従来より独立性等があって深見のある、明確でしっかりし安定した、3次元測定によって該ゾルゲル膜の中心線平均粗さを面拡張した平均面粗さRa' 値が2.5nm 以上15.8nm以下である微細な凹凸状表層となるものとし、膜強度の高い酸化物薄膜となり、しかも表面表層をよりよく制御でき、付着性も向上し強固な薄膜とすることができ、ガラス基板との界面はもちろん、多層膜での被覆膜との膜と膜の界面においても密着性を格段に向上せしめ、被覆含浸した撥水性薄膜等機能性薄膜を含め、より均質化し安定性がある優れた耐光性ならびに機械的強度、耐候性、耐久性を有するものとなり、従来より格段に長期的に及ぶ優れた耐久性を有するものとなり、透明で硬度が高い、しかも光学特性等も充分に満足できるものとでき、屋外でも使用できることはもちろんであり、高安全で厄介な工程なく、例えば前記Ra' 値を耐光性能のパロメ−タ−として採用することも可能であって、安価に効率よく得られることとなるものであり、建築用はもちろん、ことに自動車用等の車輌用の窓材として格段に有用である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明は係る実施例に
限定されるものではない。
限定されるものではない。
実施例1
大きさ約600mm x900mm 、厚さ約3.5mm のクリア・フロ−トガラス基板を中性洗剤、水すすぎ、アルコ−ルで順次洗浄し、乾燥した後、アセトンで払拭し被膜用ガラス基板とした。
大きさ約600mm x900mm 、厚さ約3.5mm のクリア・フロ−トガラス基板を中性洗剤、水すすぎ、アルコ−ルで順次洗浄し、乾燥した後、アセトンで払拭し被膜用ガラス基板とした。
テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4 :TE0S)の重合ゾル(平均分子量 Mv=約1000〜3000)とアセチルアセトンで安定化したテトラブトキシチタン(Ti(O-Bu)4)との混合ゾル(アセチルアセトンで安定化したテトラブトキシチタンの含有量は酸化物換算でSiO2に対して約0.25wt%、モル比で約 20mol%である)を、イソプロピルアルコ−ル(iPA )、ブタノ−ル、エタノ−ルのアルコ−ル溶媒を加え、固形分濃度として酸化物換算で約5wt%になるまで希釈したものをゾル溶液Aとした。〔例えば、大八化学工業(株)製、CG19-Ti-1 〕メチルトリメトキシシラン(CH3Si(OCH3)3:MTMS)の重合ゾル(平均分子量 Mv=約1,000 )にイソプロピルアルコ−ル(iPA )を加え、固形分濃度として酸化物換算で約20wt%になるまで希釈したものをゾル溶液Bとした。〔例えば、大八化学工業(株)製、MTS-2 〕
上記ゾル溶液A20gとゾル溶液B20gと、加水分解および脱水縮合反応の反応速度を調整し、かつコ−ティング溶液中の分相をし易くするため、1,3-ブタンジオ−ル(以下、1,3-BDO という。) 0.4wt%存在せしめ修飾した調合用ブタノ−ル(以下、調合用BuOHという。BuOH50g中に1,3-BDO を0.2 g含有したもの、水分量200ppm、なお水分量は例えば0〜3500ppm の範囲であればよい)約50gを約50℃で約3 時間密栓状態で混合攪拌し、さらに90wt%iPA /10wt%BuOHの混合系溶媒で希釈してコ−テイング溶液を得た。この際の固形分濃度は酸化物換算で約1.0 〜1.2 wt%程度であった。また1,3-BDO の含有量としては、コ−ティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し4wt%である。
なお上述したなかで、ゾル溶液Aとゾル溶液Bとの比は固形分の重量比で約1:4程度、より好ましい当該比は約1:3.5 〜5.5 程度である。またなお混合後の攪拌時間は、例えば好ましい当該攪拌時間は約50℃の温度であれば1〜6時間(蜜栓)程度乃至約30℃の温度であれば3〜6時間(蜜栓)程度である。またなお、該溶液を短期間で使用する際あるいは膜のグレ─ド等によっては、微細な経時変化を考慮する必要がなく、室温で攪拌をしないでもよい場合もある。
次いで、スピン成膜条件として、スピンコ−タ−上にガラス基板をセットし、先ずスピン回転を開始後1 〜3秒で回転速度が約150rpm(例えば約50〜250rpm程度、高速スピン回転)し、上記した各コーティング溶液(塗布液)を約100ml 程度滴下し、約19〜17秒程度回転速度を維持し被膜した。次に被膜化した塗布液が渇きはじめて流動性を失うようになる前に、スピン回転を一旦停止し約60秒間程度静止してレベリングせしめ、再度スピン回転を始め、約50rpm 程度(例えば約20〜100rpm程度)の低速回転で約40秒間程度維持し、塗膜の乾燥促進とセッティングを行うスピンコ−ト法により、前記ガラス基板表面に、約25〜26℃、相対湿度約58〜60%RH程度の環境で塗布被膜し、微細な凹凸状表層を発現形成しているゲル膜を成膜性よく得た。
続いて約250 ℃で約30分間加熱仮焼成した後、さらに雰囲気温度約720 ℃(ガラス温度約620 ℃程度)で約4分間加熱本焼成し、膜厚が約120nm のSiO2-TiO2薄膜(ゾルゲル膜)を得た。なお当該仮焼成段階で溶媒や有機物が蒸発または分解し膜の硬さが増大し、さらに本焼成で有機物、アルキル基、アルコキシル基等の分解が進み、膜硬度は飛躍的に増大するが、場合によっては前記仮焼成段階は必ずしも必要としない。
得られたSiO2-TiO2 薄膜(下地層)の評価を下記のように行った。
〔表層表面形状の観察〕
前述した走査型プロ−プ顕微鏡のAFM (原子間力電子顕微鏡)モ−ド(セイコ−電子製、SPI3700 、5 μm 四方スキャン)によって表面形状状態を観察し、写真に撮影するとともに、前記した平均面粗さRa’値(nm)を求めた。
〔表層表面形状の観察〕
前述した走査型プロ−プ顕微鏡のAFM (原子間力電子顕微鏡)モ−ド(セイコ−電子製、SPI3700 、5 μm 四方スキャン)によって表面形状状態を観察し、写真に撮影するとともに、前記した平均面粗さRa’値(nm)を求めた。
その結果、SiO2-TiO2 薄膜における平均面粗さRa’値は約6.5nm 程度であり、また該SiO2-TiO2 薄膜の表面形状をAFM の写真である図1に示す。
〔初期ヘイズ(曇価)値H0 (%)〕
ヘイズメ−タ−による測定でSiO2-TiO2 薄膜における初期ヘイズ値H0 が約0.1 %であり、ガラス基板並で良好であった。なおガラス基板としては初期ヘイズ値H0 が約0.1 %程度である。
〔初期ヘイズ(曇価)値H0 (%)〕
ヘイズメ−タ−による測定でSiO2-TiO2 薄膜における初期ヘイズ値H0 が約0.1 %であり、ガラス基板並で良好であった。なおガラス基板としては初期ヘイズ値H0 が約0.1 %程度である。
〔耐摩耗性〕
テ−バ−摩耗試験において、摩耗輪CS-10Fで20回転後のヘイズ値の増加分△Hを求めた。 SiO2-TiO2薄膜は試験後のヘイズ値の増加分△Hが約0.2 %程度であってガラス基板並で良好であり、耐摩耗性もガラス基板並の膜強度を示しきわめて良好であった。なおガラス基板としては約0.1 〜0.2 %程度である。
テ−バ−摩耗試験において、摩耗輪CS-10Fで20回転後のヘイズ値の増加分△Hを求めた。 SiO2-TiO2薄膜は試験後のヘイズ値の増加分△Hが約0.2 %程度であってガラス基板並で良好であり、耐摩耗性もガラス基板並の膜強度を示しきわめて良好であった。なおガラス基板としては約0.1 〜0.2 %程度である。
その結果、明らかに所期のめざす微細な凹凸状表面表層となっていた。さらに次いで該 SiO2-TiO2薄膜を下地層として当該薄膜上に、予めヘプタデカトリデシルフルオロアルキルシラン〔CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3〕1gとiPA 約5g、60%硝酸1gをビーカーに入れ、常温で充分に混合攪拌し、フルオロアルキルトリメトキシシランの部分加水分解溶液を調製したコ−ティング溶液を塗布し、約140 ℃ならびに約250 ℃に設定された電気炉に約30分間入れ焼成し、撥水処理を行い、撥水性酸化物膜を得た。
得られた撥水性のガラスについて下記のような評価を行った。
〔撥水性試験〕
該被膜の大気中(約25℃)での水に対する接触角θ(°)を、協和界面科学製CA-A型を用いて測定した。初期接触角θ0 (°)ならびに後述する各試験後の接触角θ0 (°)を求めた。
〔撥水性試験〕
該被膜の大気中(約25℃)での水に対する接触角θ(°)を、協和界面科学製CA-A型を用いて測定した。初期接触角θ0 (°)ならびに後述する各試験後の接触角θ0 (°)を求めた。
さらに初期転落角は45μl の水滴で求めた。その結果、初期接触角θ0 は約110 〜115 °程度、初期転落角は約30°程度と良好であった。
〔トラバ−ス摺動試験〕
試験機:トラバ−ス式摩耗試験機(図2)による摺動耐久性により耐摩耗性を評価した。
〔トラバ−ス摺動試験〕
試験機:トラバ−ス式摩耗試験機(図2)による摺動耐久性により耐摩耗性を評価した。
摩擦布とその荷重:キャンバス布に荷重0.1kg /cm2 (JIS L 3102-1961-1206)。
ストロ−ク:100mm の往復摺動(摺動回数は往復の回数)。
摺動速度:30往復/分。
接触角θの測定:1000回目、2000回目、3000回目の各接触角θ(°)。
測定値:図3に、本実施例1と各比較例を下記のように示す。
*本実施例1(1,3-BDO を4.0wt %存在下で得た下地層上
に撥水膜を被覆した撥水性のガラス。図1のAFM の写真
に相当しRa' 値が約6.5nm )を図中○印で示す。
に撥水膜を被覆した撥水性のガラス。図1のAFM の写真
に相当しRa' 値が約6.5nm )を図中○印で示す。
*比較例1(1,3-BDO の無存在下で得た下地層上に撥水膜
を被覆した撥水性ガラス。Ra' 値が約2.0nm 程度)を図
中△印で示す。
を被覆した撥水性ガラス。Ra' 値が約2.0nm 程度)を図
中△印で示す。
*比較例2(ガラス基板表面に直接撥水処理した撥水性ガ
ラス)を図中×印で示す。
ラス)を図中×印で示す。
その結果、例えば初期接触角θ0 が約112 °程度のものが、約3千回摺動後の接触角θは、比較例1では約90°程度になり、また比較例2では約30°前後程度に極端に低下するのに対し、本実施例1の撥水性のガラスでは約3千回摺動後の接触角θがほぼ不変で約110 °程度であり、格段の耐摩耗性を示し長期的に撥水性能を維持し耐久性が高いものであった。また摺動後のサンプルにはキズの発生はなかった。
〔耐光性試験〕
該被膜をスーパーUV(S-UV)耐光促進試験機〔イワキエレクトリック製、EYESUPER UV TESTER 、SVU-W11 型〕により評価した。
該被膜をスーパーUV(S-UV)耐光促進試験機〔イワキエレクトリック製、EYESUPER UV TESTER 、SVU-W11 型〕により評価した。
条件:約75mW/cm2 、ランプとサンプル間距離約25mm、温度約35℃、湿度約50%RHで、SUV 照射時間約 150時間、約450 時間、約800 時間、約1000時間、約1500時の耐久性試験を行った。
測定値:図4に、本実施例1と各比較例を下記のように示す。
*本実施例1(1,3-BDO を4.0wt %存在下で得た下地層上に撥水膜を被
覆した撥水性のガラス。図1のAFM の写真に相当しRa' 値が約6.5nm
)を図中○印で示す。
覆した撥水性のガラス。図1のAFM の写真に相当しRa' 値が約6.5nm
)を図中○印で示す。
*比較例1(1,3-BDO の無存在下で得た下地層上に撥水膜を被覆した撥
水性ガラス。Ra' 値が約2.0nm 程度)を図中△印で示す。
水性ガラス。Ra' 値が約2.0nm 程度)を図中△印で示す。
*比較例2(ガラス基板表面に直接撥水処理した撥水性ガラス)を図中
×印で示す。
×印で示す。
その結果、撥水性のガラス膜面の接触角θ(°)〔耐光性〕と上記S-UV照射時間(hr)の関係について求めたところ図4に示すようになり、例えば初期接触角θ0 が約112 °程度のものが、比較例1では約1000時間S-UV照射後の接触角θは約50°程度になり、また比較例2では約500 時間S-UV照射後の接触角θは約50°前後程度に極端に低下するのに対し、本実施例1の撥水性のガラスでは約800 時間S-UV照射後の接触角θは約100 °程度、約1000時間S-UV照射後の接触角θは約95°程度、約1500時間S-UV照射後の接触角θが約70°程度であり、格段の耐光性を示し長期的に撥水性能を維持し耐久性が高いものであった。
なお、Ra’値として4〜15nm程度、特にRa’値が6〜10nm程度であれば、本実施例1と同等かそれ以上の耐摩耗性ならびに耐光性を示し長期的に撥水性能を維持し耐久性がより高くなり、より安定かつ確実なものであった。例えば耐摩耗性についてはもとより約3年間程度あるいはそれ以上優れた撥水性能を保持することに相当し、また例えば耐光性については仮に接触角θが約70°程度になるまでを合格とすれば、S-UV照射時間が約1500時間程度となり、これは約3乃至5年間程度高い撥水性能を保持することに相当する等格段に優れた耐久性を有するものとなり、自動車用フロント、ドアならびにサイドまたはバックの窓ガラスに対して極めて有用な耐摩耗性と耐光性を有する撥水性のガラスとなる。
さらに、ヘイズメ−タ−の測定によって、下地層であるゾルゲル膜の平均面粗さRa’値(nm)と撥水性ガラス膜面の初期ヘイズ値H0 (%)との関係を求めたところ、例えば平均面粗さRa’値が約20nm以下であれば、初期ヘイズ値H0 が約0.6 %程度以下とななり、さらに平均面粗さRa’値が約16nm以下であれば、初期ヘイズ値H0 が約0.4 %程度以下となって好ましいものとなり、さらにまた平均面粗さRa’値が約14nm以下であれば、初期ヘイズ値H0 が約0.3 %程度以下となってより好ましいものとなるものであった。
図中(a)はゾルゲル膜である下地膜に直接化学的結合した極薄い撥水膜層(F1)を示し、図中(b)はF1層と凹部に入り込んだ撥水剤の重合体からなる撥水膜層(F2)との2層構造を示し、図中(c)はF1層の光劣化状態を示すものである。
1 トラバ−ス式摩耗試験機
2 台
3 モ−タ
4 減速機
5 クランクディスク
6 摩擦布
7 荷重
8 ガラス基板
9 撥水性酸化物膜
2 台
3 モ−タ
4 減速機
5 クランクディスク
6 摩擦布
7 荷重
8 ガラス基板
9 撥水性酸化物膜
Claims (6)
- アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Aと、1つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Bとを混合した混合物と、イソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒と、これらに混在するジオール類からなるコーティング溶液であって、前記ジオール類の混在量がコーティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し、0.5〜30wt%であるコーティング溶液をガラス基板の表面上に被覆し、加熱焼成して微細な凹凸状表層を有するゾルゲル膜を形成し、該ゾルゲル膜上に、撥水膜層を被覆形成することを特徴とする撥水性のガラスの製法。
- 前記金属アルコキシドの金属が、Ti、Al、Zrまたはこれらの複合金属であることを特徴とする請求項1記載の撥水性のガラスの製法。
- 前記テトラアルコキシシランに対するアルキルトリアルコキシシランの混合割合が、酸化物換算で2〜6倍であることを特徴とする請求項1又は2記載の撥水性のガラスの製法。
- 前記コ−ティング溶液における固形分濃度が、酸化物換算で0.2 〜5.0 wt%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の撥水性のガラスの製法。
- ガラス基板表面に形成する前記ゾルゲル膜が、3次元測定によって該ゾルゲル膜の中心線平均粗さを面拡張した平均面粗さRa’値が2.5nm 以上15.8nm以下である微細な凹凸状表層を有する金属酸化物薄膜でなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の撥水性のガラスの製法。
- ゾルゲル膜の膜厚が120〜135nmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の撥水性のガラスの製法。
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---|---|---|---|---|
JP2008214528A (ja) * | 2007-03-06 | 2008-09-18 | Nippon Paint Co Ltd | 無機有機複合コーティング組成物 |
KR20160117290A (ko) * | 2015-03-31 | 2016-10-10 | 닛키 쇼쿠바이카세이 가부시키가이샤 | 피막 형성용 도포액과 그 제조 방법, 및 피막이 형성된 기재의 제조 방법 |
CN116200119A (zh) * | 2023-02-27 | 2023-06-02 | 西安热工研究院有限公司 | 一种速干型风力机叶片用超疏水涂料的制备方法 |
-
2005
- 2005-05-26 JP JP2005153306A patent/JP2005281132A/ja not_active Abandoned
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