JP2003027039A - 光触媒親水膜およびその製造方法 - Google Patents

光触媒親水膜およびその製造方法

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JP2003027039A
JP2003027039A JP2001211542A JP2001211542A JP2003027039A JP 2003027039 A JP2003027039 A JP 2003027039A JP 2001211542 A JP2001211542 A JP 2001211542A JP 2001211542 A JP2001211542 A JP 2001211542A JP 2003027039 A JP2003027039 A JP 2003027039A
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photocatalytic
sio
photocatalytic hydrophilic
tio
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JP2001211542A
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Keiji Honjo
啓司 本城
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Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防汚性や親水性などの光触媒活性と耐摩耗性
を両立させた光触媒親水膜を得ること。 【解決手段】 基材表面に形成された光触媒親水膜にお
いて、少なくとも光触媒としてのTiO2結晶と被膜形
成成分としてのSiO2からなり、該SiO2源の原料と
してトリアルコキシシラン(R1−Si(OR2)3
(但し、R1、R2:炭素数1以上のアルキル基を示す)
とテトラアルコキシシラン(Si(OR2)4)(但し、
R2:炭素数1以上のアルキル基を示す)とを含む塗布
液により成膜すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防曇機能、防汚機
能や親水性による視認性向上機能を有する光触媒親水膜
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、酸化チタンの光触媒効果による有
機物分解性、抗菌、消臭、防汚機能を持った商品が種々
開発され、特許も多く出願されている。その内、光触媒
半導体結晶微粒子(例えば、TiO2結晶微粒子)とバ
インダーとして親水性物質であるSiO2を組み合わせ
た被膜系は、常温もしくは低温での熱処理でも光触媒活
性が発揮される利点を有する。また、原料として上記の
ようなTiO2結晶微粒子等を用いずに、Ti(OC3
74等の加水分解物とSiO2を組み合わせて、600
℃程度の熱処理を行うことにより膜中にTiO2結晶を
析出させる被膜系は、最初から光触媒半導体結晶微粒子
を用いる被膜系に比べて耐久性が高くなる利点を有す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、原料と
してTiO2結晶微粒子等を用いる場合に、光触媒膜の
触媒活性を高くしようとすると、アナターゼ型酸化チタ
ン微粒子を用いその含有量を多くすることにより光触媒
膜の触媒活性を高めることは可能となるが、TiO2
晶微粒子を多く用いると、成膜した膜の硬度が低下し耐
摩耗性が劣るという問題が生じる。また、原料としてT
iO2結晶微粒子等を用いずに膜中にTiO2結晶を膜中
に析出させる方法においては、低温処理での使用ができ
なくなるという問題を有している。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
に鑑みてなしたものであり、SiO2源の原料としてト
リアルコキシシランとテトラアルコキシシランを併用す
ることにより、膜表面の凹凸化及び膜内部空隙化が可能
となり、防汚性や親水性などの光触媒活性と耐摩耗性を
両立させた優れた光触媒親水膜およびその製造方法を提
供するものである。
【0005】すなわち、本発明の光触媒親水膜は、基材
表面に形成された光触媒親水膜が、少なくとも光触媒と
してのTiO2結晶と被膜形成成分としてのSiO2から
なり、該SiO2源の原料としてトリアルコキシシラン
(R1−Si(OR2)3)(但し、R1、R2:炭素数1
以上のアルキル基を示す)とテトラアルコキシシラン
(Si(OR2)4)(但し、R2:炭素数1以上のアル
キル基を示す)とを含む塗布液により成膜された凹凸及
び空隙を有する膜であることを特徴とする。
【0006】また、本発明の光触媒親水膜は、トリアル
コキシシランよりなる原料より形成されたSiO2が3
〜30重量%、テトラアルコキシシランよりなる原料よ
り形成されたSiO2が5〜87重量%、TiO2結晶が
10〜70重量%であることを特徴とし、さらに、膜厚
が50〜300nmであることを特徴とする。
【0007】さらにまた、本発明の光触媒親水膜は、自
動車用窓ガラスに用いることを特徴とする。
【0008】さらに、本発明の光触媒親水膜は、基材表
面に、TiO2結晶微粒子とSiO2源の原料としてのト
リアルコキシシラン(R1−Si(OR2)3)(但し、
R1、R2:炭素数1以上のアルキル基を示す)及びテト
ラアルコキシシラン(Si(OR2)4)(但し、R2:
炭素数1以上のアルキル基を示す)とを含む塗布液を塗
布し成膜したのち、100℃〜700℃の熱処理を行う
ことにより凹凸及び空隙を有するを有する光触媒親水膜
を形成することを特徴とする。
【0009】また、本発明の光触媒親水膜は、成膜した
のち560〜700℃の温度で熱処理することにより、
光触媒膜付き基材を所定形状に曲げ加工およびまたは強
化加工することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の光触媒親水膜は、基材表
面に形成された光触媒親水膜が、少なくとも光触媒とし
てのTiO2結晶と被膜形成成分としてのSiO2からな
り、該SiO 2源の原料としてトリアルコキシシラン
(R1−Si(OR2)3)(但し、R1、R2:炭素数1
以上のアルキル基を示す)とテトラアルコキシシラン
(Si(OR2)4)(但し、R2:炭素数1以上のアル
キル基を示す)とを含む塗布液により成膜された凹凸及
び空隙を有する膜であることを特徴とする。
【0011】前記トリアルコキシシラン(R1−Si(O
R2)3)(但し、R1、R2:炭素数1以上のアルキル基
を示す)は、塗布液での相溶性および作製した膜硬度の
面から、R1、R2は炭素数が1〜4が好ましく、さらに
は1〜2がより好ましく、例えば、メチルトリメトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキ
シシラン、エチルトリエトキシシランなどを使用するこ
とができる。R1、R2の炭素数が大きすぎると塗布液に
溶けにくくなる上に、作製した膜の硬度が低下するため
である。
【0012】また、テトラアルコキシシラン(Si(O
R2)4)(但し、R2:炭素数1以上のアルキル基を示
す)は、前記トリアルコキシシランと同様に塗布液での
相溶性および作製した膜硬度の面から、R2は炭素数が
1〜4が好ましく、さらには1〜2がより好ましく、例
えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランな
どを使用することができる。
【0013】前記トリアルコキシシランよりなる原料よ
り形成されたSiO2の含有量は、光触媒親水膜中の酸
化物重量%換算で3〜30%含むことが好ましいが、よ
り好ましくは3〜20%である。トリアルコキシシラン
よりなる原料より形成されたSiO2の含有量が3%未
満では、光触媒活性の向上が見られず、30%以上で
は、トリアルコキシシランのアルキル基が被膜中に多量
に存在するために、撥水性の特性が増加し、光触媒活性
は示しても、親水性を示さなくなってしまう。
【0014】また、テトラアルコキシシランよりなる原
料より形成されたSiO2の含有量は、5〜87%であ
ることが好ましく、より好ましくは5〜50%である。
テトラアルコキシシランの含有量が5%未満では、親水
性を維持する性能とトリアルコキシシランの含有量が多
い場合に親水性そのものが低下してしまう。さらに、市
販のテトラアルコキシシランのシリカ薬液としては、例
えばコルコートP(コルコート(株)製)、MSH2
(三菱化学(株)製)、CSG−DI−0600(チッ
ソ(株)製)などを用いることが出来る。
【0015】また、TiO2源の原料としては、TiO2
微粒子結晶を用いる。用いるTiO 2結晶は、特に、市
販されているような粉体状の光触媒用TiO2微粒子或い
は薬液を用いることも可能であり、粉体状の光触媒用T
iO2微粒子としては、例えば、ST−01、ST−2
1(石原テクノ(株)製)、SSP−25、SSP−2
0(堺化学工業(株)製)、PC−101(チタン工業
(株)製)、スーパータイタニアF−6、スーパータイ
タニアF−5(昭和タイタニウム(株)製)、DN−2
2A(古河機械金属(株)製)などを用いることが可能
である。また、光触媒用薬液としては、例えば、STS
−01、STS−02(石原テクノ(株)製)、A−
6、M−6(多木化学(株)製)などを用いることも可
能であり、さらに、光触媒用TiO2微粒子とシリカ原
料との混合物であるST−K01、ST−K03(石原
テクノ(株)製)なども用いることができる。なお、粉
体状の光触媒用TiO2微粒子は、粉体を液体に分散する
のに一般的に用いられる混合操作、例えばボールミルな
どで容易に被膜薬液に分散することができ、その際Si
2源と一緒に混合・分散しても問題ない。
【0016】なお、光触媒親水膜の成分として、TiO
2、SiO2以外の成分としてZrO2は、耐アルカリ性お
よび光触媒能力から25〜60重量%含むことが好まし
く、60重量%を越えると耐摩耗性および/または光触
媒能力が乏しくなる。また、それ以外の、例えば、Al
23、B23、SnO2等の酸化物、C(カーボン)等
の成分を含有することは差し支えない。なお、被膜中の
TiO2源として用いる光触媒用TiO2微粒子、或いは
薬液中のTiO2の平均粒径は30nm以下にすること
が、被膜の透明性、および耐久性を高める点より好まし
い。
【0017】光触媒親水膜の成膜方法としては、特に限
定されるものではないが、ディップコート法、スピンコ
ート法、ロールコート法、バーコート法、スプレーコー
ト法、スクリーン印刷法等の一般的な成膜方法で成膜す
ることができる。
【0018】光触媒親水膜の成膜後には100℃〜70
0℃の温度で熱処理を行う。なお、熱処理を、2段階に
分けて行うこともできる。熱処理時間の上限は特に限定
されるものではなく、24時間熱処理することも特に問
題ではないが、生産性から熱処理時間の上限は最終熱処
理温度に保持される時間を2時間程度にすることが好ま
しい。
【0019】光触媒親水膜の膜厚は、30nmから50
0nmであれば形成された被膜は光触媒活性を保有する
が、より好ましくは膜厚を50nm〜300nmにする
ことにより、1回の成膜で良好な透光性を持つ光触媒親
水膜が得られるので、より好ましい。
【0020】本発明の光触媒親水膜は、親水性による視
認性向上や防汚などの目的で、ビルの窓材や車両用の窓
材、外装タイル、外装パネルなどの室外側に光触媒親水
膜を使うような耐久性を要する使用環境でも、十分な耐
久性と光触媒による親水性や防汚性などを有すると共
に、室外使い以外の使用でも高い耐久性を備えるので、
その用途は、防曇機能、防汚機能、親水性による視認性
向上機能付与等を目的とする、例えば、建築用、自動車
用或いは飛行機用窓材、店舗用ショーケースや産業用の
各種窓材、車両用ドアミラーや浴室用鏡などの各種鏡
や、また、外装用タイルなどのセラミックス、アルミや
SUSなどの金属や有機材料などの熱処理で変質しない
材料であればどんな基材にもに成膜して用いることが可
能であり、特に、防汚機能に優れているので、建築用、
自動車用の外装用窓材に適する。特に、自動車用ガラス
の場合には、曲げ加工及び/又は強化加工のために56
0〜700℃の温度で熱処理するが、光触媒親水膜がポ
ーラスであるので、そのような高温度で熱処理してもガ
ラス中の成分であるアルカリ成分が該光触媒親水膜に移
行するのが防御でき、光触媒活性がほとんど劣化しない
利点を有する。
【0021】また、基材がガラスの場合には、クリアや
それ以外のブルーやグレー、ブロンズ、グリーンなどの
着色したガラスや、網入りガラスなどのガラス、曲げ加
工や、半強化加工、強化加工、通常の複層ガラスやLo
w−E膜などの金属膜をコートしたガラスとの複層ガラ
スや、ガラス間にゲルなどを入れた複層ガラスや、合わ
せガラス、穴あけ加工、光触媒親水膜と反対側の面に蒸
着やスパッタ、プリントなどのコートで金属膜や酸化物
膜樹脂膜などの膜を付けること、エッチングやサンドブ
ラストなどで光触媒親水膜と反対側の面を加工すること
などの各種加工やそれらを組合せることは構わない。
【0022】
【作用】本発明の光触媒親水膜中のTiO2結晶は、太
陽光や蛍光灯などに含まれる紫外線が照射されると光触
媒効果により被膜表面に付着した有機物を分解し、被膜
の表面を清浄に保つ作用(酸化分解型反応と呼ばれる)
を示すとともに、TiO 2結晶表面も親水化(超親水性
型反応と呼ばれる)される。しかし、TiO2単体の被
膜の場合には、紫外線が照射されないと、一旦親水化さ
れても比較的短時間にTiO2本来の疎水性に戻る。
【0023】そこで本発明では紫外線がない、または紫
外線強度が弱い状況でも親水性を維持するために親水性
に優れたSiO2を添加し、しかもSiO2源の原料とし
てトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランを併
用することにより、成膜された光触媒親水膜は、表面の
微細な凹凸と膜内部を非常にポーラス(高い空隙率)に
することが可能となり、親水性の改善と共に光触媒効果
に必要な水をより多く吸着させることで被膜の光触媒能
力(触媒活性)を非常に高めるとともに、耐摩耗性など
の耐久性を高める効果を併せ持つ。
【0024】上記のような被膜構成とすることにより、
該被膜は光触媒能力と共に高い耐久性、特に耐摩耗性を
持ち、該被膜の表面は親水性が維持された状態になって
おり、一時的に排ガスや塵埃などの汚れが付着した場合
でも、有機分は光触媒効果で分解されると共に、被膜表
面は親水性になっているので雨や人為的に水をかけるこ
とで、汚れと被膜表面との間に水が入り汚れが浮いて流
れ落ちる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。但し、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。なお、得られた光触媒親水膜については、
下記に示す方法により品質評価を行った。
【0026】耐摩耗性 JIS R 3221記載の耐摩耗性試験方法に基づ
き、摩耗ホイールCSー10F、荷重500gfでテー
バー式摩耗試験を行い、ヘーズ値を評価した。評価は、
初期のヘーズ値H0と、100回後のヘーズ値H100と、
200回後のヘーズ値H200がH0≦H100≦H200で、初
期と200回後のヘーズ変化量△H(△H=H200
0)が△H≦4%である場合を合格(○)とし、H100
>H200または△H>4%のものを不合格(×)とし
た。
【0027】光触媒活性 表面に付いた汚れを分解する能力の光触媒活性をステア
リン酸の分解度で評価した。評価方法は、Parago
n 1000(Perkin−Elmer Co.,
Ltd.製FT−IR分光装置)を用いて、2910c
m−1から2920cm−1に現れるステアリン酸のC
−H伸縮振動に起因するピーク強度(吸光度A)を、ス
テアリン酸塗布前Abとステアリン酸塗布時A0および
紫外線を1時間照射した後A1についてそれぞれ求め、
ピーク強度の変化量:{(A0−Ab)−(A1−A
b)}×1000を算出しステアリン酸の分解度とし
た。(ステアリン酸分解度が大きいほど光触媒活性は高
くなる。)なお、ステアリン酸のサンプルへの塗布は3
wt%ステアリン酸−エタノール溶液にサンプルを浸漬
し、8mm/secで引き上げることで行った。紫外線
源にはブラックライトFL15BLB(東芝電気(株)
製)を用いて、サンプル表面の紫外線強度を4mW/c
2(365nm)とした。
【0028】親水維持性 防汚性には光触媒活性以外に一度親水化された表面があ
る程度親水性が維持されることも重要で、親水維持性
は、サンプル作製後、7日間紫外線強度1μW/cm2
(365nm)以下の環境下の実験室に放置した後の水
に対する接触角で評価した。なお、評価は7日後の接触
角θがθ≦20゜を合格(○)とし、θ>20゜を不合
格(×)で示した。
【0029】膜表面の表層観察 (イ)走査型電子顕微鏡(SEM)〔日立製作所製 S
−4500、加速電圧5.0kV、倍率5万倍〕で観察
した。 (ロ)走査型プロ−ブ顕微鏡のサイクリックコンタクト
モ−ド原子間力顕微鏡(CC−AFM)〔セイコ−電子
工業(株)製、SPI3700、2.5μm四方スキャ
ン〕で観察した。なお、得られた光触媒膜の中心線平均
粗さを面拡張した平均面粗さRa’値(nm)で示す。
【0030】膜厚、屈折率 自動エリプソメーター〔溝尻光学工業所製 DVA−F
L3G〕で測定した。
【0031】実施例1 〔サンプル作製〕被膜薬液のSiO2源にメチルトリエ
トキシシラン(MTES)およびテトラエトキシシラン
(TEOS)(キシダ化学(株)製)、TiO2源にP
C−201(チタン工業(株)製)を用いて、溶媒にエ
キネンF−1(キシダ化学(株)製)と水(精製水:キ
シダ化学(株)製)を用いて、被膜成分比が50SiO
2・50TiO2(wt%)、MTES:TEOS=2:
3(酸化物換算重量比)になるよう調合し塗布液とし
た。次に、よく水と洗剤とセリアで洗浄した100mm
×100mmで厚み3mmのフロートガラス板(ソーダ
ライムシリケートガラス)を基材とし、スピンコート法
で被膜薬液を用いてコートし、100℃にセットしたD
K43型送風定温恒温器(ヤマト科学(株)製)に20
分間入れて乾燥した後、300℃にセットしたFP41
型マッフル炉(ヤマト科学(株)製)に10分間入れて
熱処理し、膜組成が50SiO2・50TiO2(wt
%)の光触媒親水膜付きガラスを得た。
【0032】〔評価結果〕得られた光触媒親水膜付きガ
ラスを前記に示す方法で評価した結果、表1に示すよう
に、光触媒活性は16と高い活性を有するとともに、充
分な膜硬度を有していた。なお、Ra値は3.5nm、
膜厚は106nm、屈折率は1.65であった。図1に
SEM写真(5万倍)、図2にAFM画像写真(2.5
μ四方)を示す。また、屈折率(SiO2〈石英ガラ
ス〉:1.456、TiO2〈アナターゼ結晶〉:2.5
5)から膜の空隙率を計算すると、空隙率は約30%で
あり、膜内部までポーラス状となっており、それにより
膜の比表面積が増大し、その結果、膜の硬度があまり低
下せずに光触媒反応を起こす面積が増大して、触媒活性
が向上していることが推察された。
【0033】
【表1】
【0034】実施例2 SiO2源としてのMTES:TEOS=1:4(酸化
物換算重量比)とした以外は実施例1と同様に行った。
得られた光触媒親水膜付きガラスを前記に示す方法で評
価した結果、光触媒活性は13と高い活性を有するとと
もに、高い膜硬度を有していた。
【0035】実施例3 被膜薬液のZrO2源としてZrOCl2(キシダ化学
(株)製)を用い、被膜成分比が30ZrO2・30S
iO2・40TiO2(wt%)、MTES:TEOS=
1:4(酸化物換算重量比)とした以外は実施例1と同
様に行った。得られた光触媒親水膜付きガラスを前記に
示す方法で評価した結果、光触媒活性は10と高い活性
を示すとともに、高い膜硬度を有していた。
【0036】実施例4 実施例1における熱処理温度300℃の代わりに620
℃で熱処理した以外は、実施例1と同様に行った。得ら
れた光触媒親水膜付きガラスを前記に示す方法で評価し
た結果、光触媒活性は15と高い活性を有するととも
に、高い膜硬度を有していた。なお、620℃という高
温で熱処理したにもかかわらず、光触媒活性が15と実
施例1の値とほとんど同じ値を示した原因は、光触媒膜
がポーラスであるために高温で熱処理してもガラス中の
アルカリの移行を防御できたためと考えられる。
【0037】比較例1 SiO2源の原料としてTEOSのみを用いた以外は実
施例1と同様に行った。得られた光触媒親水膜付きガラ
スを前記に示す方法で評価した結果、高い膜硬度を有し
ているものの光触媒活性が3と低かった。なお、Ra値
は2.5nm、膜厚は108nm、屈折率は1.71で
あった。また、実施例1と同様にして、膜の空隙率を計
算すると24%であり、実施例1よりも相当に小さい値
であった。
【0038】比較例2 SiO2源の原料としてMTESのみを用いた以外は実
施例1と同様に行った。得られた光触媒親水膜付きガラ
スを前記に示す方法で評価した結果、光触媒活性は19
と高活性を有するとともに膜硬度も高かったが、接触角
が低くならずに親水性を示さなかった。
【0039】比較例3 SiO2源の原料としてTEOSのみを用いた以外は実
施例3と同様に行った。得られた光触媒親水膜付きガラ
スを前記に示す方法で評価した結果、高い膜硬度を有し
ているものの光触媒活性は1と低かった。
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明の光触媒親水膜と
その製造方法によれば、親水性による視認性向上や防汚
などの目的で、ビルの窓材や車両用の窓材、外装タイ
ル、外装パネルなどの室外側に光触媒膜を使うような耐
久性を要する使用環境でも、十分な耐久性と光触媒によ
る親水性や防汚性などを持つ機能膜を提供できる。ま
た、室外使い以外の使用でも高い耐久性を備えた光触媒
親水膜を提供できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の光触媒親水膜における表層SEM写
真である。
【図2】実施例1の光触媒親水膜における表層AMF画
像写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 183/00 C09D 183/00 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA02A BA02B BA04A BA04B BA05A BA05B BA21C BA48A BE06C BE32C CD10 DA06 EA08 EA11 EB15X EB15Y EC22X EC22Y ED02 FA03 FB23 FB29 FC05 FC07 FC08 4J038 AA011 DL021 DL031 HA216 HA441 KA04 MA10 NA05 NA06 PB07 PC03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材表面に形成された光触媒親水膜におい
    て、少なくとも光触媒としてのTiO2結晶と被膜形成
    成分としてのSiO2からなり、該SiO2源の原料とし
    てトリアルコキシシラン(R1−Si(OR2)3)(但
    し、R1、R2:炭素数1以上のアルキル基を示す)とテ
    トラアルコキシシラン(Si(OR2)4)(但し、R
    2:炭素数1以上のアルキル基を示す)とを含む塗布液
    により成膜された膜であることを特徴とする凹凸及び空
    隙を有する光触媒親水膜。
  2. 【請求項2】光触媒親水膜は、トリアルコキシシランよ
    りなる原料より形成されたSiO2が3〜30重量%、
    テトラアルコキシシランよりなる原料より形成されたS
    iO 2が5〜87重量%、TiO2結晶が10〜70重量
    %であることを特徴とする請求項1記載の光触媒親水
    膜。
  3. 【請求項3】光触媒親水膜は、TiO2結晶が25〜4
    5重量%、SiO2が15〜50重量%、ZrO2が25
    〜60重量%であることを特徴とする請求項1または2
    記載の光触媒親水膜。
  4. 【請求項4】膜厚が50〜300nmであることを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光触媒親水
    膜。
  5. 【請求項5】自動車用窓ガラスに用いることを特徴とす
    る請求項1乃至4のいずれかに記載の光触媒親水膜。
  6. 【請求項6】基材表面に、TiO2結晶微粒子とSiO2
    源の原料としてのトリアルコキシシラン(R1−Si
    (OR2)3)(但し、R1、R2:炭素数1以上のアルキ
    ル基を示す)及びテトラアルコキシシラン(Si(OR
    2)4)(但し、R2:炭素数1以上のアルキル基を示
    す)とを含む塗布液を塗布し成膜したのち、100℃〜
    700℃の熱処理を行うことにより凹凸及び空隙を有す
    る光触媒親水膜を形成することを特徴とする光触媒親水
    膜の製造方法。
  7. 【請求項7】成膜したのち、560〜700℃の温度で
    熱処理することにより、光触媒膜付き基材を所定形状に
    曲げ加工およびまたは強化加工することを特徴とする請
    求項6記載の光触媒親水膜の製造方法。
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