JPH09244299A - 電子写真トナー用樹脂、該樹脂の製造方法及び該樹脂を 用いた電子写真用トナー - Google Patents

電子写真トナー用樹脂、該樹脂の製造方法及び該樹脂を 用いた電子写真用トナー

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JPH09244299A
JPH09244299A JP8304096A JP8304096A JPH09244299A JP H09244299 A JPH09244299 A JP H09244299A JP 8304096 A JP8304096 A JP 8304096A JP 8304096 A JP8304096 A JP 8304096A JP H09244299 A JPH09244299 A JP H09244299A
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resin
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acid
toner
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Koji Nakayama
幸治 中山
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Tomoegawa Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低い温度で定着することができ、両面コピ
ー、自動原稿送り装置で給紙されても、実用上何等問題
を発生せず、消費電力を削減し、低ロール圧力化による
機械コスト低減、複写速度の高速化を達成する定着強度
の優れた電子写真用トナーを提供する。 【解決手段】少なくとも線状ポリエステル樹脂と、3価
以上の多価カルボン酸又は金属キレート化合物で架橋さ
せた架橋ポリエステル樹脂とを含有することを特徴とす
る電子写真用トナー用樹脂、該樹脂の製造方法及び該樹
脂を用いた電子写真用トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真用トナー、
特に熱ロール定着を採用している複写機又はプリンター
用の電子写真用トナーに使用する樹脂、該樹脂の製造方
法及びそれを用いたトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた複写機及び
プリンターはその普及が広まるにつれて、家庭への普及
及び複写機又はプリンターの多機能化を主な目的とした
低エネルギー化(消費電力の削減)、印刷機と複写機と
の境に位置するいわゆるグレイエリアへの普及を目的と
した高速化、あるいは機械コストを下げるための定着ロ
ールの簡素化のための低ロール圧力化が望まれており、
又、複写機の高級化にともない両面コピー機能や原稿自
動送り装置の搭載された複写機が広く普及されてきたた
め、複写機及びプリンターに使用される電子写真用トナ
ーには定着温度が低く、耐オフセット性が優れて、且つ
両面コピー時の汚れや、原稿自動送り装置における汚れ
の発生を防止するため転写紙への定着強度の優れた電子
写真用トナーが要求されている。
【0003】上記の要求に対して従来の技術では、下記
のように結着樹脂の分子量や分子量分布を改良したもの
等の提案がなされている。
【0004】具体的には、結着樹脂を低分子量化し、定
着温度を低くしようとする試みがなされていた。しかし
ながら、低分子量化することにより融点は低下したが同
時に粘度も低下したため定着ロールへのオフセット現象
が発生する問題が生じていた。このオフセット現象を防
ぐため、該結着樹脂の分子量分布の低分子量領域と高分
子量領域を広くする方法や、あるいは高分子部分を架橋
させたりすることが行なわれていた。しかしながら、こ
の方法に於いては高分子量部分によって粘度が上昇し、
オフセット現象は防止できるものの、低温定着性が悪化
する問題があった。従って、定着性を充分に持たせるた
めには、樹脂のガラス転移温度(Tg)を下げざるを得
ず、トナーとしたときの保存性を損なうことが避けられ
なかった。又、結着樹脂の低分子部分を多くするとトナ
ー自体が脆くなり両面コピー時の汚れや、原稿自動送り
装置における汚れが発生していた。このように従来技術
では耐オフセット性、保存性を満足しながら、低温定着
性を達成することができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は低い定着温度で定着することができ、オフセット性に
おいても実用上何等問題を発生せず、転写紙への定着強
度の優れた電子写真用トナーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、少な
くとも線状ポリエステル樹脂と、3価以上の多価カルボ
ン酸又は3価以上の多価アルコールを含むポリエステル
樹脂を金属アルコキシド又は金属キレート化合物で架橋
させた架橋ポリエステル樹脂とを含有することを特徴と
する電子写真トナー用樹脂であり、請求項2の発明は、
架橋ポリエステル樹脂の含有量が、線状ポリエステル樹
脂100重量部に対して10重量部以上40重量部以下
であることを特徴とする請求項1記載の電子写真トナー
用樹脂であり、請求項3の発明は溶融開始温度が60℃
以上100℃未満であることを特徴とする請求項1記載
の電子写真トナー用樹脂であり、請求項4の発明は、軟
化点と溶融開始温度の差が15℃以上45℃以下である
ことを特徴とする請求項1記載の電子写真トナー用樹脂
である。
【0007】又、請求5の発明は、線状ポリエステル樹
脂の存在下で、3価以上の多価カルボン酸又は3価以上
の多価アルコールを含むポリエステル樹脂を金属アルコ
キシド又は金属キレート化合物で反応せしめることによ
り架橋体を合成することを特徴とする請求項1記載の電
子写真トナー用樹脂の製造方法にして、請求項6の発明
は、少なくとも線状ポリエステル樹脂と、3価以上の多
価カルボン酸又は3価以上の多価アルコールを含むポリ
エステル樹脂を金属アルコキシド又は金属キレート化合
物で反応せしめて架橋させた架橋ポリエステル樹脂とを
含有するトナー用樹脂と着色剤とを含有することを特徴
とする電子写真用トナーである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真トナー用樹脂に用いる金属アルコキシ
ドは3価以上の多価カルボン酸又は3価以上の多価アル
コールを含む分岐型ポリエステル樹脂の架橋剤として含
有させる。この金属アルコキシドは水酸基やカルボキシ
ル基等の官能基を有する樹脂の橋架けを起こすため、樹
脂の3次元構造化や巨大分子化の手法として利用でき
る。上記のような金属アルコキシドの例としてはTa
(OR)5 、Nb(OR)5、Ge(OR)4 、Sb
(OR)3 、Ti(OR)4 、Al(OR)3 、Zr
(OR)4 等が挙げられる。(但しRはアルキル基を示
す)金属アルコキシドの添加量はポリエステル樹脂の官
能基の量との関係で決定されるが、通常線状ポリエステ
ル樹脂と3価以上の多価カルボン酸又は3価以上の多価
アルコールを含むポリエステル樹脂の合計100重量部
に対して1〜20重量部の範囲で使用される。
【0009】又、本発明における架橋剤としては前記金
属アルコキシド以外に金属キレート化合物を用いること
もできる。該金属キレート化合物は前記金属アルコキシ
ドとキレート化剤の反応により得られる。キレート化剤
の例としては、β−ジケトンタイプ(2,4−ペンタジ
オン、2,4−ヘプタジオン)、ケトエステルタイプ
(アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル)、ヒドロキシ
カルボン酸又はそのエステル塩(乳酸、乳酸メチル、乳
酸エチル、乳酸アンモニウム塩、サリチル酸、サリチル
酸メチル、サリチル酸エチル、リンゴ酸、リンゴ酸メチ
ル、リンゴ酸エチル、酒石酸、酒石酸エチル)、ケトア
ルコールタイプ(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペ
ンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノ
ン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ
−2−ヘプタノン)、アミノアルコールタイプ(モノエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノール
アミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−エチル
モノエタノールアミン、N−プロピルモノエタノールア
ミン、N,N′−ジメチルエタノールアミン、N,N′
−ジエチルエタノールアミン)、エノール性活性水素化
合物タイプ(マロン酸ジエチルエステル、メチロールア
クリルアミド、メチロールメラミン、メチロール尿素)
等が挙げられる。
【0010】金属キレート化合物は金属アルコキシドと
キレート化剤の混合により容易に生成する。例えばアセ
チルアセトンのTiキレート化合物はTiアルコキシド
とアセチルアセトンを混合すると生成する。金属キレー
ト化合物は金属アルコキシドと比較して、キレート化剤
の種類によって溶解性や反応性を変化させることが可能
であり、又加水分解が起こりにくく、取扱貯蔵が容易で
あることで、扱いやすい利点もある。金属キレート化合
物の添加量はポリエステル樹脂の官能基の量との関係で
決定されるが、通常線状ポリエステル樹脂と、3価以上
の多価カルボン酸又は3価以上の多価アルコールを含む
ポリエステル樹脂の合計100重量部に対して1から2
0重量部の範囲で使用される。
【0011】本発明において使用される3価以上の多価
カルボン酸又は3価以上の多価アルコールを含むポリエ
ステル樹脂のジオール成分の例としては、酸成分の場
合、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、ポリオ
キシエチレン化ビスフェノールA、エチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール等が挙げられる。又、3価以上の多価アル
コールの例としては、ソルビトール、1,2,3,6−
ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリ
スリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,
5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロー
ル、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,
2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ト
リメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベ
ンゼン等が挙げられる。
【0012】又、酸成分としてはフマール酸、マレイン
酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、グルタコン
酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、アルケニル
コハク酸等が挙げられる。又、3価以上の多価カルボン
酸の例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン
酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,
4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタント
リカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、
1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカ
ルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メ
タン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等が
挙げられる。
【0013】本発明で、3価以上の多価アルコール又は
3価以上の多価カルボン酸を使用する理由は、エステル
樹脂中に3次元構造が既に存在する場合、金属キレート
化合物で架橋した場合に架橋点が少なくても、分子量の
巨大化が容易に図れるからである。
【0014】本発明の3価以上の多価カルボン酸又は3
価以上の多価アルコールを含むポリエステル樹脂の酸価
又は水酸基価は20以上300以下が好ましい。酸価又
は水酸基価が20未満であると金属アルコキシド又は金
属キレート化合物との反応点が少ないために充分な架橋
が行なわれず、300より多いと未反応の官能基が残存
した場合においては耐湿性が悪くなり、多湿環境におけ
るトナーの帯電特性が悪化するため好ましくない。又充
分な反応を行なった場合には架橋度が高くなり、トナー
の溶融開始温度が上昇するため定着特性が悪化するので
好ましくない。
【0015】次に本発明の線状ポリエステル樹脂は少な
くともジオール成分とジカルボン酸又はその低級アルキ
ルエステル又はその無水物とを重縮合させて製造され
る。ジオール成分の例としては、ポリオキシプロピレン
化ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノ
ールA、エチレングリコール、1,2−プロピレングリ
コール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ
る。又ジカルボン酸成分としてはフマール酸、マレイン
酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、グルタコン
酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、アルケニル
コハク酸、等が挙げられる。
【0016】前記線状ポリエステル樹脂と、3価以上の
多価アルコール又は3価以上の多価カルボン酸を含有す
るポリエステル樹脂を金属アルコキシド又は金属キレー
ト化合物で架橋させた架橋ポリエステル樹脂との配合量
は、線状樹脂100重量部に対して10重量部以上40
重量部以下含有させることが好ましい。架橋ポリエステ
ル樹脂の配合量が10重量部未満であると電子写真用ト
ナーの溶融時の凝集力を上げる効果が少ないので耐オフ
セット性を得にくく、40重量部より多いと溶融粘度が
上がり過ぎ低温定着性が悪くなるので好ましくない。
【0017】本発明の線状ポリエステル樹脂と、3価以
上の多価カルボン酸又は3価以上の多価アルコールを含
むポリエステル樹脂を金属アルコキシド又は金属キレー
ト化合物で架橋させた架橋ポリエステル樹脂とを含有す
ることを特徴とするトナー用樹脂の製造方法は以下のと
おりである。まず、3価以上の多価カルボン酸又は多価
アルコール成分を含有したポリエステル樹脂を合成して
反応容器から取り出しておく。次に、線状ポリエステル
樹脂を合成し、所定量の3価以上の多価カルボン酸又は
3価以上の多価アルコールを含むポリエステル樹脂と金
属アルコキシド又は金属キレート化合物を投入する。約
180〜200℃に加熱して溶融状態で攪拌を行ない、
架橋反応を進め本発明のトナー用樹脂を得る。
【0018】本発明の電子写真用トナーは、少なくとも
前記トナー用樹脂と着色剤を含有し、その他に結着樹
脂、磁性体、及び帯電制御剤、オフセット防止剤、流動
化剤などの特性改良剤が使用可能である。又、トナーの
溶融特性としては、より低温での定着性を向上させるた
めに、トナーの溶融開始温度は60℃以上100℃以下
が好ましい。100℃より高温では定着性が充分でな
く、60℃より低い温度ではブロッキング性が悪化し保
存性に問題が生じる場合がある。又、充分な定着オフセ
ット幅を持たせるためには、高温での溶融粘度の低下が
少ない方が好ましく、軟化点と溶融開始温度の差は15
℃以上45℃以下であることが好ましい。15℃より低
いと定着オフセット幅が狭くなり、45℃より高いと低
温定着性が悪くなるので好ましくない。
【0019】溶融開始温度とは下記測定器及び測定条件
におけるプランジャーの降下開始温度のことを指すこと
とする。又、軟化点とはプランジャーの降下開始温度か
ら降下終了温度までの中点の温度を指すこととする。 測定器;島津製作所製 高化式フローテスタCF−5
00 測定条件; プランジャー:1cm2 ダイの直径 :1mm ダイの長さ :1mm 荷重 :20KgF 予熱温度 :50〜80℃ 予熱時間 :300sec 昇温速度 :6℃/min
【0020】本発明の電子写真用トナーの結着樹脂とし
ては前記樹脂の他にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂を配合しても
よい。
【0021】前記着色剤としては、カーボンブラック、
ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブル
ー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポン
オイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロ
ライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオ
クサレート、ランプブラック、ローズベンガル、これら
の混合物、その他を挙げることができる。これらの着色
剤は、十分な濃度の可視像が形成されるに十分な割合で
含有されることが必要であり、通常結着樹脂100重量
部に対して1〜20重量部程度の割合とされる。
【0022】前記磁性体としては、フェライト、マグネ
タイトを始めとする鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性
を示す金属若しくは合金又はこれらの元素を含む化合
物、或いは強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施す
ことによって強磁性を示すようになる合金、例えばマン
ガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のマンガ
ンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、
又は二酸化クロム、その他を挙げることができる。これ
らの磁性体は平均粒径0.1〜1μmの微粉末の形で、
結着樹脂中に均一に分散される。そしてその含有量は、
トナー100重量部当たり20〜70重量部、好ましく
は40〜70重量部である。
【0023】本発明の電子写真用トナーは、フェライト
粉や鉄粉等より成るキャリアと混合されて二成分系現像
剤とされる。又、磁性体が含有されるときはキャリアと
混合しないでそのまま一成分型現像剤として静電荷像の
現像に使用されるか、あるいはキャリアと混合して二成
分現像剤として使用してもよい。さらには、非磁性一成
分の現像方法にも適用可能である。
【0024】以上のような線状ポリエステル樹脂と、3
価以上の多価カルボン酸又は3価以上の多価アルコール
を含むポリエステル樹脂を金属アルコキシド又は金属キ
レート化合物で架橋させた架橋ポリエステル樹脂とを含
有するトナー用樹脂を電子写真用トナーに含有させる理
由は次のとおりである。すなわち、従来定着性を向上さ
せる手段としては、スチレン系あるいはポリエステル系
樹脂の低分子量化によって溶融開始温度あるいは溶融粘
度を下げるか、あるいはTgを下げることにより溶融し
たトナーの紙への浸透性を向上することが行なわれてい
た。しかしこの手法では樹脂の低分子量化によって樹脂
強度が低下し、定着後のトナー層が機械的摩擦により破
壊されることによる擦り強度の低下を招いたり、Tgの
低下によりブロッキング性が悪化したり、高温での定着
オフセットが発生したりしていた。定着オフセット幅を
広くとるためには、高融点の樹脂と低融点の樹脂を混合
する手段が通常とられているが、相溶性のない異種の樹
脂の場合には樹脂同志の分散が悪く、目的とした定着オ
フセット幅や安定した画像特性がえられなかった。しか
し低い溶融開始温度の線状ポリエステル樹脂の存在で、
3価以上の多価カルボン酸又は3価以上の多価アルコー
ルを含むポリエステル樹脂を金属アルコキシド又は金属
キレート化合物で架橋することにより、線状ポリエステ
ル樹脂と相溶した高分子量体又は架橋体を作ることがで
きるために、分子量分布が広くとれることから、定着ロ
ーラに対するオフセット性を改善することができる。
【0025】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
なお、実施例において部とは重量部を示す。 実施例1 線状ポリエステル樹脂(日本カーバイド工業社製 商品
名;D−001)180g(90部)と水酸基価230
mg/KOHの3価以上の多価アルコールを含むポリエ
ステル樹脂B(日本エステル社製 商品名:ER−29
00)20g(10部)を攪拌機、コンデンサー及び窒
素導入管を備えた4つ口丸底フラスコに入れ、窒素ガス
導入管から窒素ガスを導入しながら、180℃で1時
間、200℃で1時間加熱攪拌し、金属キレート化合物
Fe(C5 7 2 3 (日本化学産業社製 商品名;
ナーセム鉄)13g(6.5重量部)を添加し、200
℃で約30分加熱攪拌し、溶融状態で取り出し、冷却し
て線状ポリエステル樹脂と架橋ポリエステル樹脂の複合
樹脂である本発明の電子写真トナー用樹脂(A)を得
た。このトナー用樹脂(A)の溶融開始温度は97℃で
あり、軟化点は115℃であった。
【0026】実施例2 線状ポリエステル樹脂(日本カーバイド工業社製 商品
名;D−001)160g(80部)と実施例1で使用
した3価以上の多価アルコールを含むポリエステル樹脂
40g(20部)と、金属キレート化合物Fe((C5
7 2 3 (日本化学産業社製 商品名;ナーセム
鉄)22g(11部)した以外は実施例1と同様にして
本発明の電子写真トナー用樹脂(B)を得た。このトナ
ー用樹脂(B)の溶融開始温度は99℃であり、軟化点
は115℃であった。
【0027】実施例3 線状ポリエステル樹脂(日本カーバイド工業社製 商品
名;D−001)140g(70部)と実施例1で使用
した3価以上の多価アルコールを含むポリエステル樹脂
60g(30部)と、金属キレート化合物Fe((C5
7 2 3 (日本化学産業社製 商品名;ナーセム
鉄)39g(19.5部)とした以外は実施例1と同様
にして本発明の電子写真トナー用樹脂(C)を得た。こ
のトナー用樹脂(C)の溶融開始温度は110℃であ
り、軟化点は134℃であった。
【0028】実施例4 金属キレート化合物をZn(C5 7 2 3 (日本化
学産業社製 商品名;ナーセム亜鉛)15.5g(7.
5部)とした以外は実施例1と同様にして本発明の電子
写真トナー用樹脂(D)を得た。このトナー用樹脂
(D)の溶融開始温度は89℃であり、軟化点は106
℃であった。
【0029】実施例5 金属キレート化合物を金属アルコキシドTa(OC2
5 5 (日本化学産業社製 商品名;ペンタエトキシタ
ンタル)8g(4部)とした以外は実施例1と同様にし
て本発明の電子写真トナー用樹脂(E)を得た。このト
ナー用樹脂(E)の溶融開始温度は98℃であり、軟化
点は120℃であった。
【0030】比較例1 実施例1の線状ポリエステル樹脂を使用することなく、
実施例1で使用した3価以上の多価アルコールを含むポ
リエステル樹脂を200g(100部)とした以外は実
施例1と同様な方法で比較用のトナー用樹脂(F)を得
た。この樹脂(F)のTgは55℃であり、、溶融開始
温度は120℃であり、軟化点は145℃であった。
【0031】比較例2 実施例1の金属キレート化合物を使用しない以外は実施
例1と同様な方法で比較用のトナー用樹脂(G)を得
た。この樹脂(G)のTgは66℃であり、溶融開始温
度は92℃で、軟化点は105℃であった。
【0032】比較例3 実施例1の3価以上の多価アルコールを含むポリエステ
ル樹脂を使用することなく、線状ポリエステル樹脂を2
00g(100部)とした以外は実施例1と同様な方法
で比較用のトナー用樹脂(H)を得た。この樹脂(H)
のTgは67℃、溶融開始温度は93℃であり、軟化点
は105℃であった。
【0033】次に前記A〜Hの樹脂と、他の原料とを、
下記のような配合比にてスーパーミキサーで混合し、溶
融混練後、粉砕分級して平均粒子径11μmの粒子を得
た後、疎水性シリカ(日本アエロジル社製 商品名;R
−972)0.3部をヘンシェルミキサーによって、該
粒子の表面に付着させて本発明の負帯電性の電子写真用
トナーを得た。
【0034】 ・樹脂(A〜H) 97部 ・カーボンブラック 6.5部 (三菱化学社製 商品名;MA−100) ・クロム含金染料 2部 (オリエント化学工業社製 商品名;S−34) ・ポリプロピレン 3部 (三洋化成工業社製 商品名;ビスコール330P)
【0035】次に前記実施例及び比較例について定着特
性の試験を行なった (1)非オフセット温度領域 まず、前記実施例及び比較例で得た各電子写真用トナー
4部と樹脂被覆を施してないフェライトキャリア(パウ
ダーテック社製 商品名;FL−1020)96部とを
混合して二成分系現像剤を作製した。次に該現像剤を使
用して市販の複写機(シャープ社製 商品名;SF−9
800)にてA4の転写紙に縦2cm、横5cmの帯状
の未定着画像を複数作製した。次に、表層が4フッ化エ
チレン樹脂(デュポン社商品名 テフロン)で形成され
た熱定着ロールと、表層がシリコーンゴムで形成された
圧力定着ロールが対になって回転する定着機をロール圧
力が1Kg/cm2 及びロールスピードが200mm/
secになるように調節し、該熱定着ロールの表面温度
を段階的に変化させて、各表面温度において上記未定着
画像を有した転写紙のトナー像の定着を行なった。この
時、余白部分にトナー汚れが生じるか否かの観察を行な
い、汚れが生じない温度領域を非オフセット温度領域と
した。又、非オフセット温度領域の最大値と最小値との
差を非オフセット温度幅とした。
【0036】(2)定着強度 前記熱定着ロールの設定温度を130℃に設定し、前記
未定着画像を有した転写紙のトナー像の定着を行なっ
た。そして形成された定着画像に対して綿パッドによる
摺擦を施し、下記指揮によって定着強度を算出し、低エ
ネルギー定着製の指標とした。 定着強度%=(摺擦後の定着画像の画像濃度/摺擦前の
定着画像の画像濃度)×100%
【0037】上記のような試験によって得られた各実施
例及び比較例の結果は、表1に示すとおりであった。
【0038】
【表1】
【0039】表1の結果より明らかなとおり、本発明の
電子写真用トナーは熱定着ロールの温度が130℃とい
う低温度でも定着強度を80%以上有し、良好なもので
あった。又比較例3のトナーは定着強度が低く、実用上
問題のあるものであった。
【0040】
【発明の効果】本発明の電子写真用トナーは、熱定着ロ
ールの温度が低くても十分な定着強度を有し、複写機あ
るいはプリンター等に適用した場合、消費電力を削減す
ることができ、低ロール圧力化による機械コストの低
減、複写速度の高速化等の効果を奏する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも線状ポリエステル樹脂と、3
    価以上の多価カルボン酸又は3価以上の多価アルコール
    を含むポリエステル樹脂を金属アルコキシド又は金属キ
    レート化合物で架橋させた架橋ポリエステル樹脂とを含
    有することを特徴とする電子写真トナー用樹脂。
  2. 【請求項2】 架橋ポリエステル樹脂の含有量が、線状
    ポリエステル樹脂100重量部に対して10重量部以上
    40重量部以下であることを特徴とする請求項1記載の
    電子写真トナー用樹脂。
  3. 【請求項3】 溶融開始温度が60℃以上100℃未満
    であることを特徴とする請求項1記載の電子写真トナー
    用樹脂。
  4. 【請求項4】 軟化点と溶融開始温度の差が15℃以上
    45℃以下であることを特徴とする請求項1記載の電子
    写真トナー用樹脂。
  5. 【請求項5】 線状ポリエステル樹脂の存在下で、3価
    以上の多価カルボン酸又は3価以上の多価アルコールを
    含むポリエステル樹脂を金属アルコキシド又は金属キレ
    ート化合物で反応せしめることにより架橋体を合成する
    ことを特徴とする請求項1記載の電子写真トナー用樹脂
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも線状ポリエステル樹脂と、3
    価以上の多価カルボン酸又は3価以上の多価アルコール
    を含むポリエステル樹脂を金属アルコキシド又は金属キ
    レート化合物で反応せしめて架橋させた架橋ポリエステ
    ル樹脂とを含有する前記トナー用樹脂と着色剤とを含有
    することを特徴とする電子写真用トナー。
JP8304096A 1996-03-13 1996-03-13 電子写真トナー用樹脂、該樹脂の製造方法及び該樹脂を 用いた電子写真用トナー Withdrawn JPH09244299A (ja)

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