JPH11246747A - ポリエステル樹脂、その製造方法およびそれを用いた電子写真用トナー - Google Patents

ポリエステル樹脂、その製造方法およびそれを用いた電子写真用トナー

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JPH11246747A
JPH11246747A JP6609898A JP6609898A JPH11246747A JP H11246747 A JPH11246747 A JP H11246747A JP 6609898 A JP6609898 A JP 6609898A JP 6609898 A JP6609898 A JP 6609898A JP H11246747 A JPH11246747 A JP H11246747A
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JP
Japan
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polyester resin
molecular weight
acid
resin
temperature
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JP6609898A
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Koji Nakayama
幸治 中山
Haruo Okuya
晴夫 奥谷
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Tomoegawa Co Ltd
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Tomoegawa Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱安定性の良好なポリエステル樹脂および
その製造方法を提供することであり、またそれをトナー
用バインダーとして用いることにより、低い定着温度で
定着することができ、オフセット性においてなんら問題
を発生せず、転写紙への定着強度の優れた電子写真用ト
ナーを提供すること。 【解決手段】 少なくとも3価以上の多価カルボン酸ま
たはその無水物、および/または3価以上の多価アルコ
ールを含有するポリエステル樹脂であって、テトラヒド
ロフラン可溶分の分子量において、1×106 以上の超
高分子量体の割合が1重量%以上10重量%以下であ
り、1×105 以上の高分子量体の割合が10重量%以
上35重量%以下であり、フェノール系酸化防止剤を含
有するポリエステル樹脂およびその製造方法およびそれ
を用いたトナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱安定性の良好なポリエ
ステル樹脂、その製造方法及びそれを用いた電子写真用
トナーに関し、特に熱ロール定着を採用している複写機
又はプリンター用のトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた複写機及び
プリンターはその普及が広まるにつれて、家庭への普及
及び、複写機又はプリンターの多機能化を主な目的とし
た低エネルギー化(消費電力の削減)、印刷機と複写機
との境に位置するいわゆるグレイエリアへの普及を目的
とした高速化、あるいは機械コストを下げるための定着
ロールの簡素化のための低ロール圧力化が望まれてお
り、また、複写機の高級化にともない両面コピー機能や
原稿自動送り装置の搭載された複写機が広く普及されて
きたため、複写機及びプリンターに使用される電子写真
用トナーには定着温度が低く、耐オフセット性が優れ、
且つ両面コピー時の汚れや、原稿自動送り装置における
汚れの発生を防止するため転写紙への定着強度の優れた
電子写真用トナーが要求されている。
【0003】上記の要求に対して従来技術では、下記の
ように結着樹脂の分子量や分子量分布の改良がなされて
いる。
【0004】具体的には、結着樹脂を低分子量化し、定
着温度を低くしようとする試みがなされていた。しかし
ながら、従来から広く用いられているスチレンアクリル
系樹脂では低分子量化することによりトナーが脆くな
り、現像機中でのストレスによりトナーが粉砕され、粒
度分布の変化を招いたり、キャリアーまたは現像スリー
ブに融着するなどして長期の複写において帯電特性の変
化による画像劣化が避けられなかった。また、両面コピ
ー時の汚れや、原稿自動送り装置における汚れが発生し
ていた。このように樹脂強度の弱いスチレンアクリル系
樹脂の欠点を補えることからポリエステル樹脂がバイン
ダー樹脂として用いられてきている。しかしポリエステ
ル樹脂の低温定着性を良好にする目的で低分子量化する
と、溶融粘度は低下して低温での定着性は良好となる
が、高温での溶融粘度が低すぎるために定着ロールへの
オフセット現象が発生する問題を生じていた。このオフ
セット現象を防ぐために、ポリエステル樹脂に架橋構造
を導入することが行われている。しかしながら、この方
法においては樹脂の製造段階では架橋により分子量分布
は広がり、高い溶融粘度となっているが、トナー製造時
に着色剤や帯電制御剤とともに溶融混合する工程で混練
機で発生するシェアによりポリエステル樹脂の架橋部分
あるいは高分子量部分の切断が発生し、溶融粘度が低下
する。この溶融粘度の低下によってトナーの定着ローラ
ーへの耐オフセット性が悪くなる現象が起きていた。こ
の混練による溶融粘度の低下を補うためには、トナー製
造時の溶融粘度が適正になるように予め溶融粘度の高い
ポリエステル樹脂を製造する必要がある。溶融粘度を高
くするためにはポリエステル樹脂全体の分子量を大きく
せざるを得ず、耐オフセット性は良好となるが、低温定
着性が悪化する問題があった。さらに、ポリエステル樹
脂の合成は通常200〜250℃の高温での反応が必要
なため、その製造時において反応終了時に長時間反応釜
内に貯蔵されるような状態があると、樹脂が低分子量化
し溶融粘度が低下してしまい、耐オフセット性、保存性
を満足しながら、低温定着性を達成することができなか
った。したがって、混練時のシェアや高温環境にさらさ
れても樹脂特性の変化の少ないポリエステルが求められ
ていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、耐熱安定性の良好なポリエステル樹脂を提供す
ることであり、またそれをトナー用結着樹脂として用い
ることにより、低い定着温度で定着することができ、耐
オフセット性においても実用上なんら問題を発生せず、
転写紙への定着強度の優れた電子写真用トナーを提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともフ
ェノール系酸化防止剤を含有し、3価以上の多価カルボ
ン酸またはその無水物、および/または3価以上の多価
アルコールを含んで合成されたポリエステル樹脂であっ
て、テトラヒドロフラン可溶分の分子量において、1×
106 以上の超高分子量体の割合が1重量%以上10重
量%以下であり、1×105 以上の高分子量体の割合が
10重量%以上35重量%以下であることを特徴とする
ポリエステル樹脂である。
【0007】本発明のポリエステル樹脂は、3価以上の
多価カルボン酸またはその酸無水物および/または3価
以上の多価アルコールを含有し、分岐または架橋構造を
有するポリエステル樹脂であって、熱安定性を向上させ
るためにフェノール系酸化防止剤を含有することを特徴
としている。
【0008】本発明のポリエステル樹脂のテトラヒドロ
フラン(THF)可溶分の分子量は、ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(以下GPCという)によって
測定されるクロマトグラムにおいて、1×106 以上の
超高分子量体の割合が1重量%以上10重量%以下であ
る。1重量%未満であると熱ロール定着の場合、高温オ
フセットが発生し、10重量%を越えるとトナーの溶融
粘度が上がりすぎ、低温での定着性が悪化するので好ま
しくない。また、1×105 以上の高分子量体の割合
は、10重量%以上35重量%以下である。この割合が
10重量%未満であると、やはり高温オフセットが発生
しやすく、35重量%を越えるとトナーの溶融粘度が上
がりすぎ、低温での定着性が悪化するので好ましくな
い。さらに、1×104 未満の領域の低分子量体の割合
をW1 、1×104 以上1×105 未満の中分子量体の
割合をW2 としたときに、W1 >W2 なる分布を有する
ことが最も好ましい。低分子量体の割合が中分子量体と
同等もしくは少ない場合、すなわちW1 ≦W2 であると
溶融開始温度が高くなり、低温での定着性が悪化するの
で好ましくない。低分子量体の割合は多いほど低温定着
性が良好となるが、中分子量体が極端に少なくなると樹
脂の強度が弱くなり、トナーとした場合に現像機内で粉
砕され、超微粉トナーが増加することにより寿命が短く
なったり、現像スリーブ、感光体などへのトナー融着に
より、現像デバイスの寿命を短くするので好ましくな
い。したがって、W1 /W2 =1.3〜3.5の範囲で
あることが好ましい。
【0009】本発明において、ポリエステル系樹脂の分
子量分布は、GPCによって次の条件で測定された値で
ある。すなわち、温度25℃において溶媒(テトラヒド
ロフラン)を毎分1mlの流速で流し、濃度0.4g/
dlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として8
mg注入し測定する。また、試料の分子量測定にあたっ
ては、該試料の有する分子量分布が、数種の単分散ポリ
スチレン標準試料により作製された検量線の分子量の対
数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条
件を選択する。また、本測定にあたり、測定の信頼性は
上記の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準
試料(Mw=28.8×104 、Mn=13.7×10
4 、Mw/Mn=2.11)のMw/Mnが2.11±
0.10となることにより確認できる。
【0010】以下、本発明で使用されるポリエステル系
樹脂を構成する成分について説明する。本発明のポリエ
ステル系樹脂に用いられるジオール成分としては次の化
合物が例示される。ポリオキシプロピレン化ビスフェノ
ールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリ
オキシエチレン化ビフェノール、ポリオキシプロピレン
化ビフェノール、ジエタノールアミン、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
イソプロピレングリコール、オクタンジオール、2,2
−ジエチル−1,3−プロパンジオール、スピログリコ
ール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル
−1,3−プロパンジオール、,1,6−ヘキサンジオ
ール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロベ
ンゾイン、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ
ート、ビス−(ヒドロキシブチル)テレフタレート等が
あげられる。
【0011】また、3価以上の多価アルコールとして
は、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロー
ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,
2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリ
オール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプ
ロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタント
リオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロ
パン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げら
れる。
【0012】また、ジカルボン酸およびその低級アルキ
ル誘導体としてはとしては、フマール酸、フタル酸、イ
ソフタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、
グルタコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、ビフェニル−4,4−ジカルボン酸、
2,3−ビペラジン−ジカルボン酸、イミノジカルボン
酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、ピペリジン
ジカルボン酸、N−フェニルピラゾールジカルボン酸、
ピリジンジカルボン酸、カルバゾール−3,6−ジ酪
酸、カルバゾール−3,6−γ,γ′−ジケト酪酸、4
−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ヒドロキシ−1,
4−ベンゼン二酢酸、ケリダム酸、ビス(2−ヒドロキ
シ−3−カルボキシフェニル)メタン及びこれらの酸無
水物または低級アルキルエステル等が使用できる。
【0013】また、3価以上の多価カルボン酸として
は、トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリ
カルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、
2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピリジントリ
カルボン酸、ピリジン−2,3,4,6−テトラカルボ
ン酸、1,2,7,8−テトラカルボン酸、ブタンテト
ラカルボン酸、及びこれらの酸無水物、低級アルキルエ
ステル等が使用できる。
【0014】本発明のポリエステル樹脂はフェノール系
酸化防止剤を含有する。酸化防止剤を含有させる目的は
ポリエステル樹脂の製造時、あるいはそれを用いてトナ
ーを製造する場合の酸化劣化を防止し、熱安定性を向上
させるためである。本発明で使用するフェノール系酸化
防止剤としては下記の化合物が挙げられる。2,6−ジ
−t−ブチル−p−クレゾール(分子量:220.3
6)、ブチル化ヒドロキシアニソール(分子量:18
0.25)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェ
ノール(分子量:234.15)、ステアリル−β−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート(分子量:520.89)等のモノフェ
ノール系化合物、2,2′−メチレンビス(4−メチル
−6−t−ブチルフェノール)(分子量:340.5
1)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−
ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(3−メチル
−6−t−ブチルフェノール)(分子量:368.5
4)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t
−ブチルフェノール)(分子量:382.59)、3,
9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオ
ニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサ
スピロ〔5,5〕ウンデカン(分子量:740.98)
等のビスフェノール系化合物、1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)
ブタン(分子量:544.83)、1,3,5−トリメ
チル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(分子量:775.
21)、テトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−ジ
−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)ブロピオネ
ート〕メタン(分子量:1177.66)、ビス(3,
3′−ビス−(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフ
ェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル(分
子量:794.42)、1,3,5−トリス(3′,
5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−
S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)ト
リオン(分子量:784.09)、トコフェロール類
(分子量:430.71)等の高分子型フェノール系化
合物等。これらのフェノール系酸化防止剤は高分子量の
ものが好ましく、分子量700以上のものが特に好まし
い。分子量が700未満の低分子体であるとポリエステ
ル樹脂合成の際に添加した場合、高温での混合によりフ
ェノール系酸化防止剤が揮発する等の問題が発生し、ポ
リエステル樹脂中への添加量の減少あるいはそれ自身の
熱分解等により、ポリエステル樹脂としたときの酸化防
止効果が低くなるので好ましくない。また、これらのフ
ェノール系酸化防止剤は多価フェノール系が酸化防止効
果が高くなるので好ましく、3価以上のフェノール系酸
化防止剤が好ましい。4価以上であるとさらに効果が優
れるために最も好ましい。添加量は0.01重量%以上
3重量%以下が好ましい。0.01重量%未満であると
酸化防止効果が充分でなく、3重量%より多くしても効
果の格別の向上は認められない。
【0015】熱安定性をさらに向上させるためには、前
記のラジカル連鎖禁止剤であるフェノール系酸化防止剤
と生成した過酸化物をラジカルを発生しない形で分解す
る物質を併用すると更に効果的である。このような過酸
化物分解作用を有する酸化防止剤としてはリン系酸化防
止剤および/または硫黄系酸化防止剤が用いられる。リ
ン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、
ジフェニルウリソデシルホスファイト、フェニルイソデ
シルホスファイト、4,4′−グリチデン−ビス(3−
メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスフ
ァイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オ
クタデシルホスファイト)、トリス(モノニルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスフ
ァイト、ジイソデシルペンタンエリスリトールジホスフ
ァイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホス
ファフェナトレン−10−オキサイド、10−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,1
0−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナトレ
ン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−
ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナトレン−
10−オキサイド、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテト
ライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、
2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニ
ル)オクチルホスファイト等が挙げられる。硫黄系酸化
防止剤としては、ジラウリル3,3′−チオジプロピオ
ネート、ジミスチリル3,3′−チオジプロピオネー
ト、ジステアリル3,3′−チオジプロピオネート等が
挙げられる。
【0016】本発明のポリエステル樹脂は酸価が3mg
KOH/g以下であることが好ましい。酸価が3mgK
OH/gを越えると、反応終了後に高温での熱履歴を受
けた場合、エステル化反応またはエステル交換反応が発
生し、樹脂の分子量の変化が大きくなるので好ましくな
い。なお、酸価及び水酸基価の測定はJIS K007
0に示される方法で行った。
【0017】ポリエステル樹脂の熱安定性は、窒素雰囲
気中、230℃、8時間放置後の軟化点変化が±5℃以
内であることが好ましい。軟化点変化が±5℃を越える
と樹脂の製造時あるいは混練時の物性変化が大きくなり
すぎて、定着温度が悪化したり非オフセット幅が狭くな
ったりして、安定した定着特性が得られなくなるので好
ましくない。軟化点とは下記測定機および測定条件にお
けるプランジャーの降下開始温度から降下終了温度まで
の中点の温度を意味する。 測定機;島津製作所製 高架式フローテスターCFT−
500、 測定条件;プランジャー:1cm2 ,ダイの直径:1m
m,ダイの長さ:1mm,荷重:20kgF,予熱温
度:50〜80℃,予熱時間:300sec,昇温速
度:6℃/min.
【0018】本発明のポリエステル樹脂は下記の方法に
より合成することができる。まず、前記のカルボン酸と
アルコールを用い、モル比はカルボン酸<アルコールと
なるように、アルコールを過剰にして合成する。カルボ
ン酸とアルコールのモル比はアルコール100モルに対
し、カルボン酸80〜90モル程度とすることが好まし
い。カルボン酸、アルコールなどのモノマーは全てを同
時に添加してもよいし、3価以上のカルボン酸および/
またはアルコールをジカルボン酸とジオールを反応させ
た後に添加してもよい。
【0019】さらに本発明のポリエステル樹脂の分子量
分布を高度に規制する製造方法とては、線状ポリエステ
ル樹脂に3価以上の多価カルボン酸またはその無水物お
よび/または3価以上の多価アルコールを反応させる方
法が好ましい。線状ポリエステル樹脂としては、1×1
3 以上1×104 以下の領域に分子量の極大値を有
し、酸価と水酸基価の合計が100mgKOH/g以下
のものが好ましい。具体的には前記のジカルボン酸とジ
オールを用い、重縮合反応により1×103 以上1×1
4 以下の分子量の領域に入るように線状ポリエステル
樹脂を合成する。
【0020】線状ポリエステル樹脂の分子量のピーク位
置が1×103 未満では、ガラス転移温度が低くなり、
その後の架橋樹脂合成後のガラス転移温度も低下するた
め保存性が悪くなる。また1×104 より大きいと架橋
樹脂合成後の分子量が高くなりすぎて、THF可溶分の
分子量において、1×106 以上の超高分子量体の割合
が10重量%以上となったり、1×105 以上の高分子
量体の割合が35重量%以上となったり、1×104
満の領域の低分子量体の割合をW1 、1×104 以上1
×105 未満の中分子量体の割合をW2 としたときに、
1 <W2 なる分布を有する樹脂となる可能性が高く、
定着ロールによってトナーが充分に溶融せず、低温定着
性が悪化するので好ましくない。この線状ポリエステル
樹脂の酸価と水酸基価の合計は100mgKOH/g以
下特に50mgKOH/g以下であることが好ましい。
なお、酸価と水酸基価の合計すなわち線状ポリエステル
樹脂の官能基数が多いと、その後の工程で得られるポリ
エステル樹脂の全体の分子量が増大し、溶融粘度が上昇
することにより、低温定着性が悪くなる。
【0021】次に前記の工程で得られた線状ポリエステ
ル樹脂80重量部から95重量部を180〜230℃の
温度で加熱溶融し、ジカルボン酸および/またはジオー
ルと3価以上の多価カルボン酸および/または3価以上
の多価アルコール5重量部から20重量部を混合し、さ
らに重縮合反応を行うことにより本発明のポリエステル
樹脂を得る。この2段階の重縮合工程をとることによ
り、3価以上の多価モノマーを使用しても分子量の増大
が少ない、すなわち分子量を低く保つポリエステル樹脂
を製造できる。2段階目の重縮合反応に用いるモノマー
は同時に短時間に投入することが分子量分布を目的の領
域に納めるためには好ましい。
【0022】本発明のトナーは、前記ポリエステル樹脂
の他に、他の樹脂、着色剤、磁性体、帯電制御剤、流動
化剤などの特性改良剤を含有していてもよい。本発明の
トナーは下記の方法により製造できる。まず樹脂、着色
剤、磁性体、帯電制御剤等をあらかじめミーパーミキサ
ーで混合する。混合した材料はバンバリーミキサー、ロ
ールミル、ニーダー、エクストルーダー等を用いて溶融
混練する。混練物はカッターミル、ハンマーミル等で粗
粉砕し、さらにジェットミル等で微粉砕する。次いで風
力分級機等を用いて分級し、所定の粒度分布に調整す
る。分級後のトナー粉末は流動性調整のため外添剤等と
混合して電子写真用トナーとする。
【0023】本発明のトナーは、ポリエステル樹脂の他
にスチレン系樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリエチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、
シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系
樹脂等の樹脂を配合してもよい。
【0024】本発明のトナーの着色剤としては、カーボ
ンブラック、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコ
オイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブル
ー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレ
ンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイ
トグリーンオクサレート、、ランプブラック、ローズベ
ンガル等が挙げられる。着色剤の添加量は通常結着樹脂
100重量部に対して1〜20重量部である。
【0025】本発明のトナーに用いられる磁性体として
は、フェライト、マグネタイトを始めとする鉄、コバル
ト、ニッケルなどの強磁性を示す金属もしくは合金また
はこれらの元素を含む化合物、或いは強磁性元素を含ま
ないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すよ
うになる合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マ
ンガン−銅−錫などのマンガンと銅を含むホイスラー合
金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いること
ができる。これらの磁性体は平均粒径0.1〜1ミクロ
ンの微粉末の形で結着樹脂中に均一に分散される。その
含有量は、トナー100重量部当り20〜70重量部、
好ましくは40〜70重量部である。
【0026】本発明のトナーは、フェライト粉や鉄粉な
どよりなるキャリアと混合されて二成分系現像剤とされ
る。また磁性体を含有する時は、キャリアと混合せずに
そのまま一成分系現像剤として使用してもよく、キャリ
アと混合して二成分系現像剤として使用してもよい。さ
らに非磁性一成分の現像方法にも使用できる。
【0027】また、トナーの溶融特性としては、より低
温での定着性を向上させるために、その溶融開始温度は
60℃以上105℃以下が好ましい。溶融開始温度が6
0℃未満であると、トナーのブロッキング性が悪化し保
存性に問題が生じる場合があり好ましくない。また、1
05℃を越えると低温定着性が悪化するので好ましくな
い。また、充分な定着非オフセット幅を持たせるため
に、高温での溶融粘度の低下が少ない方が好ましく、軟
化点と溶融開始温度の差は15℃以上45℃以下である
ことが好ましい。15℃未満であると、定着非オフセッ
ト幅(非オフセット温度幅)が狭くなり、45℃を越え
ると、耐オフセット性は良好に維持できるが、低温定着
性が悪化するので好ましくない。より低温定着性を良好
にするには、溶融開始温度を60℃以上100℃以下と
することが好ましい。溶融開始温度とは前記の測定機で
ある高化式フローテスターの測定条件におけるプランジ
ャーの降下開始温度を意味する。
【0028】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。な
お、実施例中の部は重量部を意味する。 実施例1 ポリオキシエチレン化ビスフェノールA316g(1モ
ル)とテレフタル酸133g(0.8モル)および触媒
としてジブチル錫オキシド0.005gおよびテトラキ
ス〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−
4′−ヒドロキシフェニル)ブロピオネート〕メタン
(分子量:1177.66)0.1gを攪拌機、コンデ
ンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに入れ、
窒素導入管から窒素ガスを導入しながら200℃で加熱
攪拌した。水の流出が終了した後、約1時間かけて23
0℃まで昇温し、2時間加熱攪拌し、溶融状態で取り出
し、冷却して線状ポリエステル樹脂(a)を得た。この
線状ポリエステル樹脂(a)のTgは65℃、溶融開始
温度は87℃、軟化点は100℃、また、ピーク位置の
分子量は6.1×103 、酸価は10mgKOH/g、
水酸基価は110mgKOH/gであった。前記の線状
ポリエステル樹脂(a)100gを攪拌機、コンデンサ
ー及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに入れ、窒素
導入管から窒素ガスを導入しながら180℃で1時間加
熱攪拌した。その後、ペンタエリスリトール6.4gと
1,12−ドデカンジカルボン酸6.0g、ジブチル錫
ジラウレート0.3g、テトラキス〔メチレン−3−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェ
ニル)ブロピオネート〕メタン(分子量:1177.6
6)0.1gを一括投入し、200℃に昇温して約1時
間加熱攪拌し粘度が上昇し、攪拌棒に樹脂が巻き付いた
時点で反応を止め、本発明のポリエステル樹脂Aを得
た。このポリエステル樹脂は、THF可溶分の分子量に
おいて、1×106 以上の超高分子量体の割合が2.9
%、1×105 以上の高分子量体の割合が18.6%で
あった。
【0029】実施例2 実施例1の線状ポリエステル樹脂(a)100gを攪拌
機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラス
コに入れ、窒素導入管から窒素ガスを導入しながら18
0℃で1時間加熱攪拌した。その後、ペンタエリスリト
ール5.3gと1,12−ドデカンジカルボン酸6g、
ジブチル錫ジラウレート0.3g、テトラキス〔メチレ
ン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロ
キシフェニル)ブロピオネート〕メタン(分子量:11
77.66)0.1gを一括投入し、200℃に昇温し
て約1時間加熱攪拌し粘度が上昇し、攪拌棒に樹脂が巻
き付いた時点で反応を止め、本発明のポリエステル樹脂
Bを得た。このポリエステル樹脂は、THF可溶分の分
子量において、1×106 以上の超高分子量体の割合が
7.1%、1×105 以上の高分子量体の割合が16.
0%であった。
【0030】実施例3 実施例1の線状ポリエステル樹脂(a)100gを攪拌
機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラス
コに入れ、窒素導入管から窒素ガスを導入しながら18
0℃で1時間加熱攪拌した。その後、ペンタエリスリト
ール4.2gと1,12−ドデカンジカルボン酸4.0
g、ジブチル錫ジラウレート0.3g、テトラキス〔メ
チレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒ
ドロキシフェニル)ブロピオネート〕メタン(分子量:
1177.66)0.1g、2,2−メチレンビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファ
イト0.5gを一括投入し、200℃に昇温して約1.
5時間加熱攪拌し粘度が上昇し、攪拌棒に樹脂が巻き付
いた時点で反応を止め、本発明のポリエステル樹脂Cを
得た。このポリエステル樹脂は、THF可溶分の分子量
において、1×106 以上の超高分子量体の割合が2.
3%、1×105 以上の高分子量体の割合が15.5%
であった。
【0031】実施例4 実施例1の線状ポリエステル樹脂(a)100gを攪拌
機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラス
コに入れ、窒素導入管から窒素ガスを導入しながら18
0℃で1時間加熱攪拌した。その後、ペンタエリスリト
ール3.5gと1,12−ドデカンジカルボン酸3.5
g、ジブチル錫ジラウレート0.3g、テトラキス〔メ
チレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒ
ドロキシフェニル)ブロピオネート〕メタン(分子量:
1177.66)0.1g、2,2−メチレンビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファ
イト0.5gを一括投入し、200℃に昇温して約1.
5時間加熱攪拌し粘度が上昇し、攪拌棒に樹脂が巻き付
いた時点で反応を止め、本発明のポリエステル樹脂Dを
得た。このポリエステル樹脂は、THF可溶分の分子量
において、1×106 以上の超高分子量体の割合が2.
0%、1×105 以上の高分子量体の割合が10.0%
であった。
【0032】実施例5 ポリオキシエチレン化ビスフェノールA70.4gとテ
レフタル酸29.6g、ペンタエリスリトール6.4
g、1,12−ドデカンジカルボン酸6.0g、ジブチ
ル錫ジラウレート0.3g、および触媒としてジブチル
錫オキシド0.5gを攪拌機、コンデンサー及び窒素導
入管を備えた4つ口フラスコに入れ、窒素導入管から窒
素ガスを導入しながら200℃で加熱攪拌した。水の流
出が終了した後、約1時間かけて230℃まで昇温し、
テトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブ
チル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メ
タン(分子量:1177.66)0.1gを添加して2
時間加熱攪拌し、粘度が上昇し、攪拌棒に樹脂が巻き付
いた時点で反応を止め、本発明のポリエステル樹脂Eを
得た。このポリエステル樹脂は、THF可溶分の分子量
において、1×106 以上の超高分子量体の割合が4.
6%、1×105 以上の高分子量体の割合が19.9%
であった。
【0033】実施例6 実施例1のテトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−
ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕メタンを3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2
−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,
8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン
(分子量:740.98)に代えた以外は同様にして本
発明のポリエステル樹脂Fを得た。このポリエステル樹
脂は、THF可溶分の分子量において、1×106 以上
の超高分子量体の割合が3.1%、1×105 以上の高
分子量体の割合が18.4%であった。
【0034】実施例7 実施例1のテトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−
ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕メタンを3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2
−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,
8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン
(分子量:740.98)に代えた以外は同様にして本
発明のポリエステル樹脂Gを得た。このポリエステル樹
脂は、THF可溶分の分子量において、1×106 以上
の超高分子量体の割合が2.9%、1×105 以上の高
分子量体の割合が18.0%であった。
【0035】実施例8 実施例1のテトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−
ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕メタンを1,3,5−トリメチル−2,4,6
−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)ベンゼン(分子量:775.21)に代えた以
外は同様にして本発明のポリエステル樹脂Hを得た。こ
のポリエステル樹脂は、THF可溶分の分子量におい
て、1×106 以上の超高分子量体の割合が2.9%、
1×105 以上の高分子量体の割合が18.5%であっ
た。
【0036】実施例9 ポリオキシエチレン化ビスフェノールA316g(1モ
ル)とテレフタル酸133g(0.8モル)および触媒
としてジブチル錫オキシド0.005gを攪拌機、コン
デンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに入
れ、窒素導入管から窒素ガスを導入しながら200℃で
加熱攪拌した。水の流出が終了した後、約1時間かけて
230℃まで昇温し、2時間加熱攪拌し、溶融状態で取
り出し、冷却して線状ポリエステル樹脂(b)を得た。
この線状ポリエステル樹脂(b)のTgは65℃、溶融
開始温度は87℃、軟化点は100℃、また、ピーク位
置の分子量は6.1×103 、酸価は10mgKOH/
g、水酸基価は110mgKOH/gであった。前記の
線状ポリエステル樹脂(b)100gを攪拌機、コンデ
ンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに入れ、
窒素導入管から窒素ガスを導入しながら180℃で1時
間加熱攪拌した。その後、ペンタエリスリトール6.4
gと1,12−ドデカンジカルボン酸6.0g、ジブチ
ル錫ジラウレート0.3gを一括投入し、200℃に昇
温して約1時間加熱攪拌し粘度が上昇し、攪拌棒に樹脂
が巻き付いた時点で反応を止め、その後、テトラキス
〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′
−ヒドロキシフェニル)ブロピオネート〕メタン(分子
量:1177.66)0.2gを添加して、樹脂が巻き
付かない程度に攪拌棒の回転数を下げて1時間攪拌し、
本発明のポリエステル樹脂Iを得た。このポリエステル
樹脂は、THF可溶分の分子量において、1×106
上の超高分子量体の割合が2.8%、1×105 以上の
高分子量体の割合が19.0%であった。
【0037】実施例10 前記の線状ポリエステル樹脂(b)100gを攪拌機、
コンデンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに
入れ、窒素導入管から窒素ガスを導入しながら180℃
で1時間加熱攪拌した。その後、ペンタエリスリトール
6.4gと1,12−ドデカンジカルボン酸6.0g、
ジブチル錫ジラウレート0.3g、テトラキス〔メチレ
ン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロ
キシフェニル)ブロピオネート〕メタン(分子量:11
77.66)0.2gを一括投入し、200℃に昇温し
て約1時間加熱攪拌し粘度が上昇し、攪拌棒に樹脂が巻
き付いた時点で反応を止め、本発明のポリエステル樹脂
Jを得た。このポリエステル樹脂は、THF可溶分の分
子量において、1×106 以上の超高分子量体の割合が
2.5%、1×105 以上の高分子量体の割合が18.
5%であった。
【0038】実施例11 実施例1のテトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−
ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕メタンの添加量を3.0gに代えた以外は同様
にして本発明のポリエステル樹脂Kを得た。このポリエ
ステル樹脂は、THF可溶分の分子量において、1×1
6 以上の超高分子量体の割合が2.3%、1×105
以上の高分子量体の割合が18.7%であった。
【0039】実施例12 実施例1の線状ポリエステル樹脂(a)100gを攪拌
機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラス
コに入れ、窒素導入管から窒素ガスを導入しながら18
0℃で1時間加熱攪拌した。その後、ペンタエリスリト
ール6.4gと1,12−ドデカンジカルボン酸6.0
g、ジブチル錫ジラウレート0.3g、テトラキス〔メ
チレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒ
ドロキシフェニル)ブロピオネート〕メタン0.1g、
トリフェニルホスファイト0.1gを一括投入し、20
0℃に昇温して約1.5時間加熱攪拌し粘度が上昇し、
攪拌棒に樹脂が巻き付いた時点で反応を止め、本発明の
ポリエステル樹脂Lを得た。このポリエステル樹脂は、
THF可溶分の分子量において、1×106 以上の超高
分子量体の割合が2.5%、1×105 以上の高分子量
体の割合が18.3%であった。
【0040】実施例13 実施例12のトリフェニルホスファイトをジラウリル
3,3−チオジプロピオネートに代えた以外は同様にし
て本発明のポリエステル樹脂Mを得た。このポリエステ
ル樹脂は、THF可溶分の分子量において、1×106
以上の超高分子量体の割合が2.6%、1×105 以上
の高分子量体の割合が18.5%であった。
【0041】比較例1 実施例1のテトラキス〔メチレン−3−(3′,5′−
ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)ブロピオ
ネート〕メタンを使用しない以外は同様にして比較用の
ポリエステル樹脂Nを得た。このポリエステル樹脂は、
THF可溶分の分子量において、1×106 以上の超高
分子量体の割合が2.6%、1×105 以上の高分子量
体の割合が19.0%であった。 比較例2 実施例1の線状ポリエステル樹脂(a)100gを攪拌
機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラス
コに入れ、窒素導入管から窒素ガスを導入しながら18
0℃で1時間加熱攪拌した後、ポリエチレングリコール
(水酸基価558mgKOH/g、分子量200)10
gを投入し、約1時間均一になるまで攪拌した。その
後、ブタンテトラカルボン酸5.8gと、ジブチル錫ジ
ラウレート0.3g、テトラキス〔メチレン−3−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェ
ニル)ブロピオネート〕メタン0.1g投入し、200
℃に昇温して約1.5時間加熱攪拌し粘度が上昇し、攪
拌棒に樹脂が巻き付いた時点で反応を止め、比較用のポ
リエステル樹脂Oを得た。このポリエステル樹脂は、T
HF可溶分の分子量において、1×106 以上の超高分
子量体の割合が10.3%、1×105 以上の高分子量
体の割合が35.1%であった。
【0042】比較例3 実施例1の線状ポリエステル樹脂(a)100gを攪拌
機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラス
コに入れ、窒素導入管から窒素ガスを導入しながら18
0℃で1時間加熱攪拌した。その後、ペンタエリスリト
ール3.7gと1,12−ドデカンジカルボン酸3.5
g、ジブチル錫ジラウレート0.3g、テトラキス〔メ
チレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒ
ドロキシフェニル)ブロピオネート〕メタン0.1g、
トリフェニルホスファイト0.5gを一括投入し、20
0℃に昇温して約1.5時間加熱攪拌し粘度が上昇し、
攪拌棒に樹脂が巻き付いた時点で反応を止め、比較用の
ポリエステル樹脂Pを得た。このポリエステル樹脂は、
THF可溶分の分子量において、1×106 以上の超高
分子量体の割合が0%、1×105 以上の高分子量体の
割合が6.1%であった。 比較例4 実施例1の線状ポリエステル樹脂(a)100gを攪拌
機、コンデンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラス
コに入れ、窒素導入管から窒素ガスを導入しながら18
0℃で1時間加熱攪拌した。その後、テトラキス〔メチ
レン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒド
ロキシフェニル)ブロピオネート〕メタン0.1g、ト
リフェニルホスファイト0.5gを一括投入し、200
℃に昇温して約1.5時間加熱攪拌し粘度が上昇し、攪
拌棒に樹脂が巻き付いた時点で反応を止め、比較用のポ
リエステル樹脂Qを得た。このポリエステル樹脂は、T
HF可溶分の分子量において、1×106 以上の超高分
子量体および1×105 以上の高分子量体の割合が0%
であった。これらの樹脂A〜Qの分子量分布、酸価、合
成直後の軟化点A、230℃、8時間放置後の軟化点B
等を表1および表2に示す。
【0043】次に、実施例及び比較例のトナー用ポリエ
ステル樹脂と他の原料とを下記の配合比にてスーパーミ
キサーで混合し、溶融混練後、粉砕分級して平均粒径1
1μmの粒子を得た後、疎水性シリカ(日本エアロジル
社製:R−972)0.3部をヘンシェルミキサーによ
って該樹脂に付着させ負帯電性の電子写真用トナーを得
た。これらの電子写真用トナーの溶融開始温度、軟化
点、定着強度、非オフセット温度領域等の評価結果を表
1及び表2に示す。 〔トナー処方〕 ポリエステル樹脂 97.0部 カーボンブラック(三菱化学社製:MA−100) 6.5部 クロム系錯塩染料(オリエント化学工業社製:S−34) 2.0部 ポリプロピレン(三洋化成工業社製:ビスコール330P) 3.0部
【0044】(3)非オフセット温度領域 まず、前記の実施例及び比較例で得た各電子写真用トナ
ー4部と樹脂被覆を施してないフェライトキャリア(パ
ウダーテック社製:FL−1020)96部とを混合し
て、二成分系現像剤を作製した。次に該現像剤を使用し
て市販の複写機(シャープ社製:SF−9800)によ
りA4の転写紙に縦2cm、横5cmの帯状の未定着画
像を複数作製した。次に、表層がテフロンで形成された
熱定着ロールと、表層がシリコーンゴムで形成された圧
力定着ロールが対になって回転する定着機をロール圧力
が1kg/cm2 及びロールスピードが200mm/s
ecになるように調節し、該熱定着ロールの表面温度を
段階的に変化させて、各表面温度において上記未定着画
像を有した転写紙のトナー画像の定着を行った。このと
き余白部分にトナー汚れが生じるか否かの観察を行い、
汚れが生じない温度領域を非オフセット温度領域とし、
非オフセット温度領域の最大値と最小値の差を非オフセ
ット温度幅とした。
【0045】(4)定着強度 前記定着機の熱定着ロールの設定温度を130℃に設定
し、前記未定着画像を有した転写紙のトナー像の定着を
行った。そして、形成された定着画像に対して綿パッド
による摺擦を施し、下記式によって定着強度を算出し、
低温定着性の指標とした。なお、aは摺擦後の定着画像
の画像濃度、bは摺擦前の定着画像の画像濃度を意味す
る。
【数1】定着強度(%)=a/b×100
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表1及び表2の結果から明らかなように、
本発明の電子写真用トナーは熱定着ロールの温度が13
0℃という低温度でも定着強度が75%以上を有し、良
好なものであった。これに対し、比較例1の樹脂は軟化
点AとBの変化が大きく、比較例1と3の電子写真用ト
ナーは高温側の非オフセット温度領域が低下し、非オフ
セット温度幅が狭い。比較例2および4の電子写真用ト
ナーは、130℃での定着強度が測定不可能であった。
なお、比較例4は全温度領域でオフセットが発生した。
【0049】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂を含有する電
子写真用トナーは、熱定着ロールの温度が低くても十分
な定着温度を有し、複写機あるいはプリンター等に適用
した場合、消費電力を削減することができ、低ロール圧
力化による機械コストの低減、複写速度の高速化等の効
果を奏する。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともフェノール系酸化防止剤を含
    有し、3価以上の多価カルボン酸またはその無水物、お
    よび/または3価以上の多価アルコールを含んで合成さ
    れたポリエステル樹脂であって、テトラヒドロフラン可
    溶分の分子量において、1×106 以上の超高分子量体
    の割合が1重量%以上10重量%以下であり、1×10
    5 以上の高分子量体の割合が10重量%以上35重量%
    以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
  2. 【請求項2】 テトラヒドロフラン可溶分の分子量にお
    いて、1×105以上の高分子量体の割合が10重量%
    以上20重量%以下であり、1×104 未満の領域の低
    分子量体の割合をW1 、1×104 以上1×105 未満
    の中分子量体の割合をW2 としたときに、W1 /W2
    1.3〜3.5であることを特徴とする請求項1記載の
    ポリエステル樹脂。
  3. 【請求項3】 フェノール系酸化防止剤が3価以上の多
    価フェノール系であり、分子量700以上であることを
    特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂。
  4. 【請求項4】 リン系酸化防止剤または硫黄系酸化防止
    剤から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1記載
    のポリエステル樹脂。
  5. 【請求項5】 酸価が3mgKOH/g以下であること
    を特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂。
  6. 【請求項6】 窒素雰囲気中、230℃、8時間放置後
    の軟化点変化が放置前の±5℃以内であることを特徴と
    する請求項1記載のポリエステル樹脂。
  7. 【請求項7】 3価以上の多価カルボン酸またはその酸
    無水物、および3価以上の多価アルコールの少なくとも
    1つ以上を、フェノール系酸化防止剤の存在下に重縮合
    させることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹
    脂の製造方法。
  8. 【請求項8】 ジカルボン酸とジオールとフェノール系
    酸化防止剤とを含有させて重縮合させる工程と、前記工
    程で得られた樹脂に3価以上の多価カルボン酸またはそ
    の酸無水物、および3価以上の多価アルコールの少なく
    とも1つ以上をフェノール系酸化防止剤の存在下に重縮
    合させる工程とからなることを特徴とする請求項7記載
    のポリエステル樹脂の製造方法。
  9. 【請求項9】 ジカルボン酸とジオールとを含有させて
    重縮合させる工程と、前記工程で得られた樹脂に3価以
    上の多価カルボン酸またはその酸無水物、および3価以
    上の多価アルコールの少なくとも1つ以上をフェノール
    系酸化防止剤の存在下に重縮合させる工程とからなるこ
    とを特徴とする請求項7記載のポリエステル樹脂の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 ジカルボン酸とジオールとを含有させ
    て重縮合させる工程、前記工程で得られた樹脂に3価以
    上の多価カルボン酸またはその酸無水物、および3価以
    上の多価アルコールの少なくとも1つ以上を重縮合させ
    る工程、前記工程で得られた樹脂にフェノール系酸化防
    止剤を含有させる工程からなることを特徴とするポリエ
    ステル樹脂の製造方法。
  11. 【請求項11】 少なくとも着色剤と請求項1記載のポ
    リエステル樹脂を含有し、軟化点と溶融開始温度の差が
    15℃以上50℃以下であることを特徴とする電子写真
    用トナー。
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