JPH0921114A - 鋼板とコンクリートを合成してなるプレキャスト床版及びその継手構造 - Google Patents

鋼板とコンクリートを合成してなるプレキャスト床版及びその継手構造

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼板とコンクリートを合成したプレキャスト
床版において、鋼板とコンクリートを合成するジベルが
鋼板に溶接により固着されていることにより生ずる欠点
を除去するとともにプレキャスト床版本体と継手部が同
じ構造として全体として一体化することを目的とする。 【構成】 鋼板とコンクリートを合成するにあたり、ジ
ベル構造として摩擦接合した高力ボルトを使用するとと
もに該プレキャスト床版の接続にあたっては、接続すべ
き継手部に添接板を添接し、高力ボルトで摩擦接合し、
同時にこの高力ボルトにジベルの役割を持たせた鋼板と
コンクリートを合成してなるプレキャスト床版及びその
継手構造。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板とコンクリー
トを合成した橋梁用のプレキャスト床版、特にジベル構
造として鋼板に摩擦接合した高力ボルトを使用するとと
もにプレキャスト床版同士の継手部に添接板を用いて高
力ボルトで摩擦接合し、この高力ボルトにジベルの役割
を兼用させた鋼板とコンクリートを合成したプレキャス
ト床版に関する。
【０００２】
【従来の技術】橋梁床版には、現場で型枠を作製し、こ
の型枠に鉄筋を配置して、コンクリートを打設する現場
打ち床版と、予め工場で型枠を作製し、この型枠に鉄筋
を配置し、コンクリートを打設して作製し、現場に持ち
込むプレキャスト床版とがある。本発明は、このプレキ
ャスト床版のうち、鋼板とコンクリートを合成してなる
プレキャスト床版について、新規なプレキャスト床版を
提供するものである。
【０００３】通常、鋼板とコンクリートを合成してなる
プレキャスト床版は、図７に示すようにコンクリート打
設部と継手部とを有する所定の大きさの鋼板１２のコン
クリート打設部１２ａに所定の間隔でスタッドジベル又
はパイプジベル等のジベル１３を溶接により取り付けた
のち、コンクリート打設部１２ａにコンクリートを打設
して形成される。そして、床版１１同士の接続は、鋼板
１２の連続性を確保する必要から、継手部１２ｂを突き
合わせ、その下面に添接板１４を溶接により接合したの
ちコンクリートが打設される（図は継手部にコンクリー
トが打設されていない状態を示している。）という方法
がとられている。なお、１７、１８はそれぞれ配筋であ
る。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶接作
業は、溶接者の技能に大きく作用される上、特に現場で
の溶接作業の場合には、風や温度等の施工環境の影響も
受けやすいため、いまひとつ信頼性に欠ける。また、溶
接によって生じるひずみ（内部応力）や硬度の変化は疲
労耐久性を低下させる要因になっている。また、本体部
と継手部の構造が異なることになり、不連続な構造とな
る。そこで、本発明では、鋼板へのジベルの取り付け、
床版同士の接続を溶接によることなく、以下述べる手段
により行い、従来工法による上記課題を解決せんとする
ものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、鋼板とコンクリートを合成してなるプレキ
ャスト床版の構成要件を、鋼板に所定の間隔で高力ボル
ト取り付け用孔を形成し、高力ボルトを高力ボルト取り
付け用孔に挿通するとともにナットを用いて締め付けて
ジベルとなるように取り付け、その後、コンクリートを
打設してなることを特徴とするものである。
【０００６】また、このプレキャスト床版において、接
続すべきプレキャスト床版の継手構造の構成要件を、継
手部を突き合わせ、その下面に継手部に形成した高力ボ
ルト取り付け用孔と合致する高力ボルト取り付け用孔を
形成した添接板を添接し、高力ボルトを高力ボルト取り
付け用孔に挿通するとともにナットを用いて締め付けて
ジベルとなるように取り付け、かつ、接続すべきプレキ
ャスト床版を接続し、その後コンクリートを打設してな
ることを特徴とするものである。
【０００７】（作用）まず、取り付けられた高力ボルト
は、摩擦接合であるため、これまでのように溶接によっ
て生ずるひずみ、硬度の変化による疲労耐久性を低下さ
せることなく、鋼板とコンクリートを合成する信頼性の
あるジベル構造として作用する。
【０００８】つぎに、継手構造を接続すべきプレキャス
ト床版の継手部を突き合わせ、下面に添接板を添接し、
コンクリート打設部と同様に高力ボルトを摩擦接合して
あるので、コンクリート打設部の構造と継手構造とがほ
ぼ同一構造となり、全体としての一体性が強くなり、そ
のジベル構造も同じなので信頼性が高まる。
【０００９】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基いて説明する。図１は、鋼板とコンクリート床版を
合成してなるプレキャスト床版の基本構造を示す図２の
Ａ−Ａ断面図、図２は、同平面図、図３は、接続すべき
プレキャスト床版の継手構造を示す図４のＢ−Ｂ断面
図、図４は、同平面図である。ただし図１は、説明の都
合上、打設したコンクリートについてはその輪郭のみを
表現するとともに内部についてはコンクリートが打設さ
れていないときと同様の表現で作図した。
【００１０】まず、図１及び図２にプレキャスト床版１
の実施の形態を示す。鋼板２は、コンクリート打設部２
ａと継手部２ｂとからなり、その大きさは床版の取替え
を行う橋梁の状況及び運搬の可能性を考慮して決定す
る。この鋼板に所定の間隔で高力ボルト３の取り付け用
孔９を開ける（図ではコンクリート打設部２ａに開けた
高力ボルト３の取り付け用孔９は高力ボルト３が挿通さ
れているので見えない。）。なお、高力ボルト３の取り
付け用孔９の間隔は、この図ではコンクリート打設部２
ａと継手部２ｂとでは異なっている。
【００１１】コンクリート打設部２ａに形成した高力ボ
ルト３の取り付け用孔９に、高力ボルト３を、図５に示
すように、その下方にワッシャー６ａ及びナット５ａを
取り付けて、上面側より挿通する。ついで下面側からも
ワッシャー６ｂ及びナット５ｂを取り付け、両面からナ
ット５ａ及び５ｂを締め付けることにより高力ボルト３
をジベルとして作用するようにコンクリート打設部２ａ
に固着する。なお、高力ボルト３の取り付けは、この取
り付け方に限定されるものではなく、たとえば、図６に
示すようにコンクリート打設部２ａの下面より、高力ボ
ルト３を挿通し、上面よりナット５ｃを締め付けること
により行ってもよい。なお、６ｃ、６ｄはワッシャーで
ある。いずれの場合も高力ボルト３に所定の軸力を導入
して、必要な摩擦抵抗力を確保する。高力ボルト３の高
さは、打設されるコンクリートの中立軸の位置から上面
かぶり厚さの位置までの範囲とするのが好ましい。
【００１２】こののち、鋼板２の上方に鉄筋７、８を配
置して側面型枠を組み、コンクリート１０を打設する。
型枠を組む際には、橋軸方向の鋼板２の両端（端部版は
片側になることもある。）にプレキャスト床版とプレキ
ャスト床版を接続するための継手部２ｂを残しておく。
コンクリート１０の打設後は型枠を除去する。かくし
て、鋼板とコンクリートを合成してなるプレキャスト床
版１が形成される。
【００１３】つぎに、図３及び図４にプレキャスト床版
同士の継手構造を示す。上記したプレキャスト床版１に
おいて、プレキャスト床版１同士の鋼板２の継手部２ｂ
を突き合わせるとともに橋軸方向の鉄筋８をオーバーラ
ップさせる（鉄筋８は公知のように予めオーバーラップ
するように配置しておく。）。
【００１４】突き合わせた継手部２ｂの下面に継手部２
ｂに形成した高力ボルト取り付け用孔９と合致する高力
ボルト取り付け用孔９（図では高力ボルト３が挿通され
ているので見えない。）を形成した添接板４を添接し、
頭付きの高力ボルト３を下方にワッシャー６ａ及びナッ
ト５ａを取り付けて上面側より挿通する。ついで、下面
側からもワッシャー６ｂ及びナット５ｂを取り付け、両
面からナット５ａ及び５ｂを締め付ける。こうして継手
部２ａに高力ボルト３をジベルとして取り付けるととも
に接続すべきプレキャスト床版１の継手部２ａ同士を摩
擦接合する。なお、高力ボルト３の取り付け時、この他
にたとえば既述した図４に示すような方法で行ってよい
ことはもちろんである。高力ボルト３の高さは、打設さ
れるコンクリートの中立軸から上面かぶり厚さの位置ま
での範囲とするのが好ましい。
【００１５】こののち、鉄筋７を配置してコンクリート
を打設する（図は継手部にコンクリートが打設されてい
ない状態を示している。）ことにより継手構造が形成さ
れる。
【００１６】
【発明の効果】本発明は、上述のようにしてなるので、
つぎの効果を有する。請求項１において、高力ボルトを
鋼板の両面からナットで締め付け、摩擦接合で取り付け
てあるので、これまでのように溶接によってジベルを取
り付けるのとは異なり、作業者の技能に左右されること
もなく、溶接によって生じるひずみ（内部応力）や硬度
の変化による疲労耐久性の低下も回避することができ
る。
【００１７】請求項２において、継手構造を接続すべき
プレキャスト床版の継手部を突き合わせ、下面に添接板
を添接し、コンクリート打設部と同様に高力ボルトを摩
擦接合する構造としたので、これまでの現場での溶接作
業のように風や温度等の施工環境の影響を受けることな
く、その他の溶接による不都合を解消することができ、
また、コンクリート打設部と継手部とが同じ構造となっ
ているので、全体としての一体性が強まる。
【００１８】したがって、本発明は、鋼板とコンクリー
トを合成する信頼性のあるジベル構造を有するプレキャ
スト床版及びその継手構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】鋼板とコンクリート床版を合成してなるプレキ
ャスト床版を示す図２のＡ−Ａ断面図である。
【図２】鋼板とコンクリート床版を合成してなるプレキ
ャスト床版を示す平面図である。
【図３】接続すべきプレキャスト床版の継手構造を示す
図４のＢ−Ｂ断面図である。
【図４】接続すべきプレキャスト床版の継手構造を示す
平面図である。
【図５】高力ボルトの取り付け方を示す断面図である。
【図６】高力ボルトの取り付け方の別の実施例を示す断
面図である。
【図７】鋼板とコンクリート床版を合成してなるプレキ
ャスト床版及びその継手構造の従来例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
１ プレキャスト床版 ２ 鋼板 ２ａ コンクリート打設部 ２ｂ 継手部 ３ 高力ボルト ４ 添接板 ５ａ ナット ５ｂ ナット ５ｃ ナット ６ａ ワッシャー ６ｂ ワッシャー ６ｃ ワッシャー ６ｄ ワッシャー ７ 鉄筋 ８ 鉄筋 ９ 高力ボルト取り付け用孔 １０ コンクリート

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 鋼板に所定の間隔で高力ボルト取り付け
    用孔を形成し、高力ボルトを高力ボルト取り付け用孔に
    挿通するとともにナットを用いて締め付けてジベルとな
    るように取り付け、その後、コンクリートを打設してな
    ることを特徴とする鋼板とコンクリートを合成してなる
    プレキャスト床版。
  2. 【請求項２】 請求項１に記載の鋼板とコンクリートを
    合成してなるプレキャスト床版において、接続すべきプ
    レキャスト床版の継手部を突き合わせ、その下面に継手
    部に形成した高力ボルト取り付け用孔と合致する高力ボ
    ルト取り付け用孔を形成した添接板を添接し、高力ボル
    トを高力ボルト取り付け用孔に挿通するとともにナット
    を用いて締め付けてジベルとなるように取り付け、か
    つ、接続すべきプレキャスト床版を接続し、その後、コ
    ンクリートを打設してなることを特徴とする継手構造。
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