JP4106317B2 - 鋼・コンクリート合成床版の継手部構造 - Google Patents
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Description
この継手部構造は、スタッド5がコンクリートCの層厚の略全長に至って、そのスタッド5を介した鋼製底板端部1a、1aとコンクリートCの水平方向の十分な結合強度を得るとともに、膨出頭部5aにより厚み方向(鉛直方向)の結合強度を高め得る。また、スタッド5の貫通孔10にコンクリートCが侵入して、コンクリート層が添接板4内にキー状に入り込む態様となり、コンクリート層と添接板4(鋼製底板1)の接合面におけるせん断力(水平せん断力)にそのキー状コンクリートが抗して(せん断キーとなって)鋼製底板端部1aとコンクリートCが十分な結合強度を有する。
このため、コンクリートCの打設時、その固化前においては、打設コンクリートC等の荷重により、その継手部の鋼製底板端部1aと添接板4がズレて、コンクリートCが漏洩・落下したり、その継手部の撓みが他の部位に比べて大きくなって、床版の完成形状に問題が生じる恐れがある。
このため、図11、図12で示されるスタッド5のように、コンクリートCの層厚の略全長に至って、そのスタッド5を介した鋼製底板端部1a、1aとコンクリートCの水平方向の十分な結合強度を得ることができないとともに、頭部による厚み方向の結合強度を高め得ない。また、ねじ軸6部分には隙間がなく、添接板4内にコンクリートCが侵入しないので、せん断キー効果を得ることができない。
このため、上記継手部の突き当たる各鋼製底板端部それぞれに、上記膨出頭部付きスタッドに加えて別の膨出頭部付きスタッドを上記添接板を貫通してコンクリート層内に突出するように設け、その別の膨出頭部付きスタッドは、前記添接板の前記膨出頭部が通り得る大きさの孔を介してその添接板を貫通しているものとすれば、スタッドの軸部と貫通孔の間には間隙が生じてコンクリートが入り込むため、そのせん断キー効果を得ることができる。
このように、異なるスタッドを交互に千鳥状に設ければ、その異なるスタッドの作用効果が両鋼製底板の突き当たり端縁に沿って交互に発揮され、それらが相互に補完しあって有効に添接板及び鋼製底板とコンクリートとの十分な結合強度を得ると共に、曲げモーメント及びせん断力に有効に耐え得るものとなる。また、両鋼製底板と添接板をそれぞれ一列のスタッドとそのナットの締結により、一体化する場合においても、その列内において、異なるスタッドが交互に存在してその特有の作用効果を発揮する。このため、構成が簡単になるとともに、その締結作業も容易となる。
例えば、その実施形態としては、鋼製底板の上に配筋しコンクリートを打設して一体化した鋼・コンクリート合成床版の前記鋼製底板の継手部構造において、前記継手部の突き当たる両鋼製底板端部、にその両者に跨る添接板をその突き当たり端縁全長に亘って設け、その両鋼製底板端部それぞれから前記添接板を貫通するスタッドを設け、そのスタッドはねじ軸からなって、そのスタッドにナットが座金を介してねじ込まれてそのねじ込みにより前記添接板が鋼製底板端部に締結されており、かつ、前記座金は、スタッドが貫通する添接板の孔を完全に覆うことなくその隙間からコンクリートがその孔に侵入している構成を採用する。
この構成において、上記スタッドをコンクリート層内に突出する長さのものとするとともに、その頂部に膨出頭部を有するものとし、その膨出頭部はそのスタッドの頂部にねじ込んだナットから構成とすれば、スタッドが、コンクリートの層厚の略全長に至って、そのスタッドを介した鋼製底板端部とコンクリートCの水平方向及び厚み方向の十分な結合強度を得ることができる。
その両膨出頭部付きスタッド15,16は、両鋼製底板1、1の突き当たり端縁aに沿って交互に設けると共に、その突き当たり端縁aを境にして千鳥状に設けられている。
他方のスタッド15は、ねじを形成していない通常の鋼棒からなり、その頂部に膨出頭部20を形成している。この頭部20は別物を溶接してもよいが、軸部と一体に成型しても良い。この頭部20を通す必要から、添接板4には、その頭部20を通す大きさ(例えば、φ50mm)の貫通孔21が形成されている。
また、全てのスタッド15,16が膨出頭部19、20を有するため、スタッド15,16を介した鋼製底板端部1aとコンクリートCの鉛直方向の結合強度も十分なものとなる。
さらに、他方のスタッド15の貫通孔22の隙間にコンクリートCが入り込み、その固化後にはせん断キーとなって、その両鋼製底板端部1aとコンクリートCの水平方向の結合強度をより高いものとなる。また、水平方向の結合強度は、スタッド15,16がコンクリートCの厚さ方向に食込んでいることによっても担保される。
また、この継手部の作業は、鋼パネルP上面からの実施となるため、鋼パネルPの下面に作業足場を設置する必要がなく、その足場設置コストや手間を省略することができる。
なお、継手部の強度を高めるために、図5鎖線で示すように、継手部にその長さ方向(両鋼製底板端部1a、1aの突き当たり縁に沿う方向)適宜間隔にCの字状の補強鉄筋25を設けることもできる。
さらに、頭部(ナット19)付きスタッド16により、鉛直方向の結合力及びコンクリートCへの食込み力を担保できる場合には、スタッド15そのものを省略できる。すなわち、孔22にはスタッド15が無く、その孔22にコンクリートCが入り込んでせん断キーの作用をするようにする。また、各図の実施例において、スタッド15、16の列数は、鋼製底板1、1とコンクリートCの結合強度を担保できる限りにおいて、任意であり、例えば、図8に示すように、各鋼製底板1に一列でも良い。
このようにすれば、その長孔21´にコンクリートCが入り込むため、その侵入コンクリートCにより、せん断キー効果を発揮し得る。両鋼製底板1、1と添接板4をそれぞれ一列のスタッド16とそのナット17の締結により一体化しても、その列内において、第一の課題と第2の課題を達成するスタッドが交互に存在してその作用効果を発揮する。このため、構成が簡単になるとともに、その締結作業も容易となる。
Q 鋼・コンクリート合成床版(試験体)
1 鋼製底板
2 リブ鋼
3 配筋
3a 主力鉄筋
3b 配力鉄筋
4 添接板
15 膨出頭部付きスタッド
16 ねじ軸から成る膨出頭部付きスタッド
17、19 ナット
18、18´ 座金
20 頭部
21、21´、22 貫通孔
Claims (6)
- 鋼製底板(1)の上に配筋しコンクリート(C)を打設して一体化した鋼・コンクリート合成床版の継手部構造において、
上記継手部の突き当たる両鋼製底板端部(1a、1a)にその両者に跨る添接板(4)をその突き当たり端縁全長に亘って設け、その両鋼製底板端部(1a、1a)それぞれから前記添接板(4)を貫通するスタッド(16)を設け、そのスタッド(16)はねじ軸からなって、そのスタッド(16)にナット(17)が座金(18’)を介してねじ込まれてそのねじ込みにより前記添接板(4)が鋼製底板端部(1a、1a)に締結されており、かつ、前記座金(18’)は、スタッド(16)が貫通する添接板(4)の孔(21’)を完全に覆うことなく跨いでその隙間からコンクリート(C)がその孔(21’)に侵入してせん断キーとなっていることを特徴とする鋼・コンクリート合成床版の継手部構造。 - 請求項1記載の鋼・コンクリート合成床版の継手部構造において、上記スタッド(16)は上記コンクリート(C)の層内に突出してその頂部に膨出頭部を有するものであり、その膨出頭部はそのスタッド(16)の頂部にねじ込んだナット(19)から成ることを特徴とする鋼・コンクリート合成床版の継手部構造。
- 上記膨出頭部付きスタッド(16)を上記継手部の両鋼製底板(1、1)の突き当たり端縁を境にしてその端縁の左右に千鳥状に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼・コンクリート合成床版の継手部構造。
- 上記継手部の突き当たる各鋼製底板端部(1a、1a)それぞれに、上記スタッド(16)に加えて別の膨出頭部(20)付きスタッド(15)を上記添接板(4)を貫通して上記コンクリート(C)の層内に突出させるように設け、その別の膨出頭部付きスタッド(15)は、前記添接板(4)の前記膨出頭部(20)が通り得る大きさの孔(22)を介してその添接板(4)を貫通しており、その孔(22)内の前記膨出頭部付きスタッド(15)との隙間から上記コンクリート(C)がその孔(22)に侵入してせん断キーとなっており、
かつ、上記スタッド(16)と上記別の膨出頭部付きスタッド(15)を継手部の両鋼製底板(1、1)の突き当たり端縁に沿って交互に設けると共に、両スタッド(15、16)をそれぞれ前記継手部の両鋼製底板(1、1)の突き当たり端縁を境にしてその端縁の左右に千鳥状に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼・コンクリート合成床版の継手部構造。 - 鋼製底板(1)の上に配筋しコンクリート(C)を打設して一体化した鋼・コンクリート合成床版の継手部構造において、
上記継手部の突き当たる両鋼製底板端部(1a、1a)にその両者に跨る添接板(4)をその突き当たり端縁全長に亘って設け、その両鋼製底板端部(1a、1a)それぞれから前記添接板(4)を貫通するスタッド(16)及び添接板(4)を貫通して上記コンクリート(C)の層内に突出する膨出頭部(20)付きスタッド(15)を設け、その前者のスタッド(16)はねじ軸からなって、そのスタッド(16)にナット(17)がねじ込まれてそのねじ込みにより前記添接板(4)が鋼製底板端部(1a、1a)に締結され、後者の膨出頭部(20)付きスタッド(15)は、前記添接板(4)の前記膨出頭部(20)が通り得る大きさの孔(22)を介してその添接板(4)を貫通しており、その孔(22)内の前記膨出頭部付きスタッド(15)との隙間から上記コンクリート(C)がその孔(22)に侵入してせん断キーとなっており、
かつ、上記スタッド(16)と上記別の膨出頭部付きスタッド(15)を継手部の両鋼製底板(1、1)の突き当たり端縁に沿って交互に設けると共に、両膨出頭部付きスタッド(15、16)をそれぞれ前記継手部の両鋼製底板(1、1)の突き当たり端縁を境にしてその端縁の左右に千鳥状に設けたことを特徴とする鋼・コンクリート合成床版の継手部構造。 - 請求項5記載の鋼・コンクリート合成床版の継手部構造において、上記スタッド(16)は上記コンクリート(C)の層内に突出してその頂部に膨出頭部を有するものであり、その膨出頭部はそのスタッド(16)の頂部にねじ込んだナット(19)から成ることを特徴とする鋼・コンクリート合成床版の継手部構造。
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