JP4101397B2 - 波形鋼板ウェブ橋におけるコンクリート床版と波形鋼板との接合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、波形鋼板ウェブとコンクリート床版とを接合して構成した波形鋼板ウェブ橋における、波形鋼板ウェブとコンクリート床版との接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
橋梁、特にコンクリート床版を路面に用いる道路橋において、従来のコンクリート製ウェブに代えて、構造用鋼板を折り曲げて波形形状とした波形鋼板をウェブとして使用する波形鋼板ウェブ橋が、近年、設置されるようになっている。
【0003】
図9および図10は、この波形鋼板ウェブ橋の一例を示すものであり、図10は、図9中の円で囲んだ部分を拡大して示すものである。図9に示す例においては、橋21の路面22を形成するコンクリート上床版23と、図示しない橋脚上に載置するコンクリート下床版24との間に、波形鋼板ウェブ25,25' を配置している。
【0004】
図10は、コンクリート上床版23と波形鋼板ウェブ25との接合部分を示すものである。波形鋼板ウェブ25の上下にはそれぞれ上フランジ26および下フランジ27が溶接され、上フランジ26には多数のスタッドジベル28が設けられている。この上フランジ26上に、多数の横鉄筋29および橋軸方向鉄筋30を配筋したコンクリートを打設してコンクリート上床版23が形成されている。
【0005】
波形鋼板ウェブ橋においては、従来のコンクリート製ウェブに代えて波形鋼板ウェブを用いることにより、以下の利点が得られる。すなわち、まず第一に鋼材を用いることにより橋梁の自重を軽減させることができ、それによって橋梁のスパンの長大化や施工の省力化を図ることができる。第二に、ウェブを製作するためのコンクリート打設が不要となり、施工の省力化や工期の短縮化が図れる。第三に、波形鋼板には、その波形が連なる方向に生じる軸力に抵抗しない、いわゆるアコーディオン効果があるため、コンクリート床版にプレストレスを導入する際に、波形鋼板がプレストレスに抵抗することが無い。さらに、波形鋼板はせん断座屈耐力が高く、補強材を省略することができる。
【0006】
波形鋼板ウェブ橋の施工に際しての波形鋼板とコンクリート床版との接合には幾つかの方法がある。図11はその第一の例を示すものである。なお、これは先の図10に示したものと同様のものである。図示の例では、波形鋼板31の端面上にフランジプレート32を溶接によって取り付け、フランジプレート32上に多数のスタッドジベル33を設けている。その後フランジプレート32上にコンクリートを打設して、図示しないコンクリート床版を形成する。
【0007】
次に図12に示す第二の例では、波形鋼板41の端面に溶接したフランジプレート42上に断面略L字形のアングル材43を多数溶接して配置し、アングル材43に設けた貫通孔44に鉄筋45を挿通する。その後フランジプレート42上にコンクリートを打設して、図示しないコンクリート床版を形成する。
【0008】
しかしながら、これらの方法により形成した橋梁においては、フランジから波形鋼板への応力の伝達が両者の溶接部を通して行われるため、橋梁自体の強度が、この溶接部の強度、特に疲労強度に依存することにもなる。そのため、溶接部の溶接品質によっては、橋梁の強度が設計値よりも低くなることがあり得る。また車輌などが橋梁上を通過する際に生じる、コンクリート床版の幅方向のたわみ、すなわち車輌の走行する方向と直角な方向のたわみに対する、波形鋼板とコンクリート床版との接合部分の曲げ剛性が小さくなり、波形鋼板の座屈強度が小さくなる、さらにはスタッドジベルやアングル材をフランジプレートに設けるための工程が必要であり、そのための作業時間を必要とする、といった問題点がある。
【0009】
一方図13に示す第三の例では、波形鋼板51の端面に橋軸方向鉄筋52を溶接すると共に、波形鋼板51に設けた多数の貫通孔53に横方向鉄筋54をそれぞれ挿通し、その後この鉄筋を配筋した箇所にコンクリートを打設することにより、図示しないコンクリート床版と波形鋼板51とを一体化する(波形鋼板51をコンクリート床版に埋め込む)。
【0010】
しかしながらこの方法には、波形鋼板をコンクリート床版に埋め込んだ根元の部分から水がコンクリート床版内部に侵入して波形鋼板や鉄筋の腐食が生じ易い、また前述したように、波形鋼板に、その波形が連なる方向に軸力(引張または圧縮)が加わるとアコーディオン効果が生じ、それによって軸力に直角な方向に波形鋼板が変形する。このアコーディオン効果による変形が、波形鋼板がそのコンクリート床版との接合部(埋め込み部)で拘束されているため、コンクリート床版にも波形床版の変形による引張応力が生じる。そのため、コンクリート床版自体に、例えば鉄筋を追加で配筋するなどの、引張応力に対する補強が必要となるといった問題がある。さらに、コンクリート床版を打設するために、波形鋼板ウェブの形状に合わせた特殊な型枠を設置する必要もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決し、波形鋼板ウェブとコンクリート床版とを接合して構成した波形鋼板ウェブ橋において、波形鋼板ウェブの座屈強度や、波形鋼板ウェブとコンクリート床版との接合部分の耐久性などの改善を図ることができる、波形鋼板とコンクリート床版との接合方法を提案するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明は、波形鋼板ウェブとコンクリート床版とを接合して構成した波形鋼板ウェブ橋において、前記波形鋼板ウェブと前記コンクリート床版との接合に際し、波形鋼板に、当該鋼板の前記コンクリート床版と接合する端面から所定距離の位置に所定の角度で板状部材を前記波形鋼板に溶接し、次いで前記波形鋼板に、前記端面と前記板状部材との間に多数の貫通孔を形成し、さらに前記貫通孔に鉄筋を挿入した後、コンクリートを打設してコンクリート床版と波形鋼板ウェブとの接合を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、波形鋼板ウェブ橋において、前記波形鋼板ウェブと前記コンクリート床版との接合に際し、第一の波形鋼板に、当該鋼板の前記コンクリート床版と接合する端面上に所定の角度で板状部材を溶接し、次いで前記板状部材上に、多数の貫通孔を形成した第二の波形鋼板を溶接し、さらに前記貫通孔に鉄筋を挿入した後、コンクリートを打設してコンクリート床版と波形鋼板ウェブとの接合を行うことを特徴とする。
【0014】
すなわち、本発明に係る接合方法においては、波形鋼板に板状部材を、その板状部材の上(または下)に波形鋼板ウェブが突出するような形で溶接により取り付けて波形鋼板ウェブを形成し、前記板状部材の上(または下)側にコンクリートを打設してコンクリート床版を形成することにより、波形鋼板ウェブをコンクリート床版との接合を行う。すなわち、波形鋼板にフランジプレートを設けると共に、波形鋼板をコンクリート床版に埋め込むことにより両者の接合を行っている。
【0015】
したがって、波形鋼板ウェブとコンクリート床版との接合部がほぼ完全な剛結合となり、波形鋼板ウェブの座屈強度を改善することができる。また、スタッドジベルやアングル材などを設ける工程が不要となるため、作業時間の短縮化をも図ることが可能となる。また、波形鋼板とフランジプレートとの溶接部の強度が、橋梁自体の強度に与える影響も非常に小さくなる。
【0016】
さらに、波形鋼板ウェブとコンクリート床版との接合部から水が侵入して、波形鋼板ウェブやコンクリート床版内に配筋した鉄筋の腐食を避けることが可能となり、しかも、板状部材自体が型枠の一部の役割を担うため、コンクリート床版の打設時にも通常の型枠が使用できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明による方法を用いた波形鋼板ウェブ橋を示すものである。本波形鋼板ウェブ橋1も、先に述べた波形鋼板ウェブ橋21と同様に、路面2を形成するコンクリート上床版3と、図示しない橋脚上に載置するコンクリート下床版4との間に波形鋼板ウェブ5,5’を配置している。
【0019】
図2は、図1の円で囲んだ部分、すなわちコンクリート上床版3と波形鋼板ウェブ5との接合部を拡大して示すものである。図示のように、波形鋼板ウェブ5には板状部材(フランジ板)6が取り付けられている。フランジ板6は波形鋼板ウェブの先端部から下方の位置に取り付けられており、この取り付け位置から上方にコンクリート上床版3が打設されている。すなわち、波形鋼板ウェブ5は、フランジ板6の取り付け位置から上の部分がコンクリート上床版3に埋め込まれていることとなる。コンクリート上床版3には横鉄筋7〜9および、これと直角に橋軸方向鉄筋10,11が配筋されている。これらの内、横鉄筋7,8は波形鋼板ウェブ5を貫通して配筋されている。
【0020】
図3および図4は、それぞれ図2のA−A線およびB−B線に沿った断面図である。図3に示すように、波形鋼板ウェブ5には、コンクリート上床版3に埋め込まれる部分に多数の貫通孔12が設けられており、この貫通孔12に横鉄筋7,8が挿通されている。
【0021】
図5および図6は、波形鋼板ウェブ5とフランジ板6の組の一例を示すものであり、図5は組立図、図6は分解図である。本例においては、フランジ板6は、波形鋼板ウェブ5の断面形状に合わせた波形の平面形状を有する二枚の板6Aおよび6Bからなる。組み立てに際しては、これら板6A,6Bを、図6に示すように波形鋼板ウェブ5の両側から夾んで、ウェブ5の上端から下方への所定の位置に溶接する。その後貫通孔12に横鉄筋7,8を挿通する。
【0022】
次に、図7および図8は、波形鋼板ウェブ5とフランジ板6の組の他の例を示すものであり、図7は組立図、図8は分解図である。本例においては、波形鋼板ウェブ5は、フランジ板6を夾んで上下に配置した下側ウェブ5Aおよび多数の貫通孔12を設けた上側ウェブ5Bからなる。組み立てに際しては、まず、下側ウェブ5A上にフランジ板6を溶接し、次いでフランジ板6上に、下側ウェブ5Aに合わせて上側ウェブ5Bを溶接する。その後上側ウェブ5Bの貫通孔12に横鉄筋7,8を挿通する。
【0023】
以上説明したように、本発明による、波形鋼板ウェブPC橋における波形鋼板の梁とコンクリート床版との接合方法によれば、波形鋼板ウェブの座屈強度や、波形鋼板ウェブとコンクリート床版との接合部の耐久性の改善を図ることが可能となる。
【0024】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述の実施形態においては、波形鋼板ウェブとコンクリート上床版との接合について説明したが、本方法が波形鋼板ウェブとコンクリート下床版との接合にも適用できることは言うまでもない。また、前述の実施形態は、波形鋼板ウェブとコンクリート床版とを、互いに直角になるように接合する場合についてのものであるが、両者が直角以外の所望の角度での接合においても本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による接合方法を用いた、波形鋼板ウェブ橋を示す斜視図である。
【図2】 図1の橋における、コンクリート上床版と波形鋼板ウェブとの接合部を示す断面図である。
【図3】 図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】 図2のB−B線に沿った断面図である。
【図5】 本発明における波形鋼板ウェブとフランジ板の組の一例を示す組立斜視図である。
【図6】 本発明における波形鋼板ウェブとフランジ板の組の一例を示す分解斜視図である。
【図7】 本発明における波形鋼板ウェブとフランジ板の組の他の例を示す組立斜視図である。
【図8】 本発明における波形鋼板ウェブとフランジ板の組の他の例を示す分解斜視図である。
【図9】 従来の波形鋼板ウェブ橋を示す斜視図である。
【図10】 図9の橋における、コンクリート上床版と波形鋼板ウェブとの接合部を示す断面図である。
【図11】 従来の波形鋼板ウェブ橋における、波形鋼板ウェブとコンクリート床版との接合の第一の例を示す斜視図である。
【図12】 従来の波形鋼板ウェブ橋における、波形鋼板ウェブとコンクリート床版との接合の第二の例を示す斜視図である。
【図13】 従来の波形鋼板ウェブ橋における、波形鋼板ウェブとコンクリート床版との接合の第三の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,21 波形鋼板ウェブ橋
2,22 路面
3,23 コンクリート上床版
4,24 コンクリート下床版
5,25,31,41 波形鋼板ウェブ
6,32,42 フランジ板
7,8,9,29 横鉄筋
10,11,30 橋軸方向鉄筋
12,44 貫通孔
26 上フランジ板
27 下フランジ板
28 スタッドジベル
43 アングル材
45 鉄筋
Claims (2)
- 波形鋼板ウェブとコンクリート床版とを接合して構成した波形鋼板ウェブ橋において、前記波形鋼板ウェブと前記コンクリート床版との接合に際し、
波形鋼板に、当該鋼板の前記コンクリート床版と接合する端面から所定距離の位置に所定の角度で板状部材を前記波形鋼板に溶接し、
次いで前記波形鋼板に、前記端面と前記板状部材との間に多数の貫通孔を形成し、
さらに前記貫通孔に鉄筋を挿入した後、コンクリートを打設してコンクリート床版と波形鋼板ウェブとの接合を行うことを特徴とする、波形鋼板ウェブ橋におけるコンクリート床版と波形鋼板との接合方法。 - 波形鋼板ウェブとコンクリート床版とを接合して構成した波形鋼板ウェブ橋において、前記波形鋼板ウェブと前記コンクリート床版との接合に際し、
第一の波形鋼板に、当該鋼板の前記コンクリート床版と接合する端面上に所定の角度で板状部材を溶接し、
次いで前記板状部材上に、多数の貫通孔を形成した第二の波形鋼板を溶接し、
さらに前記貫通孔に鉄筋を挿入した後、コンクリートを打設してコンクリート床版と波形鋼板ウェブとの接合を行うことを特徴とする、波形鋼板ウェブ橋におけるコンクリート床版と波形鋼板との接合方法。
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