JP6944789B2 - 鉄骨梁の横補剛構造及び建物の梁スラブ結合方法 - Google Patents

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本開示は、鉄骨梁の横補剛構造、及び建物の鉄骨梁の横剛性を補完するための梁スラブ結合方法に関する。
国交省監修の「2015年度建築物の構造関係技術基準解説書」(以下、技術基準解説書と呼ぶ)では、鉄骨造の大梁に対して保有耐力横補剛の必要性が示されている。保有耐力横補剛とは、梁材の両端が全塑性状態に至った後、十分な回転能力を発揮する材の両端部はもちろん、それ以外の弾塑性領域の部分においても横座屈を生じないような剛性を補完することをいう。
鉄骨梁とその上方の鉄筋コンクリート製のスラブとは、通常、頭付きスタッドにより緊結される。スタッドは鉄骨梁の上フランジの上面に溶接され、スラブから伝わる水平力はスタッドを介して鉄骨梁に伝達される。鉄骨梁が強軸回りに曲げを受け、圧縮側が面外へはらみだす現象が横座屈である。技術基準解説書では、横座屈を抑制する方法として、小梁や方杖による補剛方法が奨励されている。
これを受ける形で様々な発明が提案されている。例えば、特許文献1では、小梁や座屈止め鋼材を設けずに、鉄骨大梁自体にスチフナ(補強プレート)を取り付ける構造が提案されている。特許文献2では、鉄骨梁に所定間隔で取り付ける左右の補強プレートの少なくとも一方を、上フランジを避けて上フランジの上面よりも上方に突出させ、床スラブの補強鉄筋に定着させることで横座屈を防止する構造が提案されている。特許文献3では、鉄骨梁に横座屈を防止する横座屈補剛材を取り付けずに、鉄骨梁に設けられた鉄筋コンクリートスラブが、鉄骨梁の横移動を拘束するのに必要とされる本数以上のスタッドによりフランジと接合され、鉄骨梁の回転変形を拘束する捩り剛性を備える構造が提案されている。
特開平9−256459号公報 特開2004−218321号公報 特開2012−12788号公報
しかしながら、特許文献1の構造では、鉄骨大梁がスラブに接合されておらず、スチフナが取り付けられた鉄骨大梁の剛性自体で横座屈を防止しなければならないため、鉄骨大梁の断面寸法が大きくなる。特許文献2の構造では、鉄骨梁が補強プレートによって床スラブに接合され、鉄骨梁の横座屈が床スラブによっても抑制されるが、鉄骨量が増加する上、補強プレートの加工手間や取付手間(床スラブの補強鉄筋の組立手間)が増えるため、コストが増大する。特許文献3の構造では、鉄骨量は増加しないが、スタッドの本数が多くなるため、スタッドが取り付けられた鉄骨梁の加工手間が増える。
また、特許文献1〜3の構造は、建物を新設する際に採用することはできるが、既設建物の鉄骨梁の横剛性を補完する改修工事に採用することは難しい。即ち、特許文献1の構造では、鉄骨大梁の全体を交換する必要が生じる。特許文献2の構造では、下面側から床スラブを斫って、補強プレートを補強鉄筋に定着させる必要がある上、補強プレートを既設の鉄骨梁に接合するための溶接作業が必要になり、防火上好ましくない。特許文献3の構造では、スタッドを設けるために、鉄骨梁の上面の略全面にわたってスラブを撤去して再構築しなければならない。
本発明は、このような背景に鑑み、鉄骨量の増大及び鉄骨梁の加工手間の増大を抑制でき、且つ施工が容易な鉄骨梁の横補剛構造を提供することを第1の課題とする。また、本発明は、既設建物にも適用可能な鉄骨梁の横剛性を補完するための梁スラブ結合方法を提供することを第2の課題とする。
上記第1の課題を解決するために、本発明に係る鉄骨梁(3)の横補剛構造のある態様は、上フランジ(11)、下フランジ(12)、及び前記上フランジと前記下フランジとを連結するウェブ(13)を有し、両端が1対の柱(2、2)に接合された鉄骨梁(3)と、前記鉄骨梁の上に構築されたスラブ(4)と、前記上フランジ及び前記下フランジを貫通するようにウェブの両側に設けられ、それぞれ固定手段(16、17)によって少なくとも前記下フランジに固定されると共に、前記スラブに固定される連結部材(14、14)とを有することを特徴とする。
この構成によれば、下フランジが連結部材によってスラブに固定されるため、鉄骨量を増大させることなく、且つ鉄骨梁の加工手間の増大を抑制しつつ、鉄骨梁の横剛性を補完して鉄骨梁の横座屈を抑制することができる。
また、上記構成において、前記連結部材(14)は、外周面に雄ねじが形成された軸部(15)を少なくとも有するボルト(14)であり、前記固定手段は、前記雄ねじに螺合し、前記下フランジ(12)を挟持する1対のナット(17C・17D)、又は、前記軸部の一端に一体形成された頭部(16)及び前記雄ねじに螺合して前記頭部と協働して前記下フランジを挟持するナット(17C)であるとよい。
この構成によれば、下フランジにボルトを挿通させるための貫通孔を形成し、1対のナット又はボルトの頭部とナットとによってボルトを下フランジに固定することができるため、鉄骨梁や固定手段の加工並びにそれらの固定作業が容易である。また、連結部材を鉄骨梁に溶接する必要がないため、溶接不良のリスクがなく、確実に鉄骨梁の横剛性を補完できる。
また、上記構成において、前記ボルト(14)が、1対のナット(17A・17B、17B・17C)によって前記上フランジ(11)にも固定されているとよい。
この構成によれば、上フランジがボルトによってスラブに固定されるため、鉄骨梁の横座屈をより効果的に抑制することができる。
また、上記構成において、前記ボルト(14)が、前記スラブ(4)に埋設された前記軸部(15)の上部によって前記スラブに固定されているとよい。
この構成によれば、軸部の上部を埋設するようにコンクリートを打設してスラブを構築することにより、ボルトをスラブに固定することができ、ボルトのスラブに対する固定作業が容易である。
また、上記構成において、前記ボルト(14)における前記上フランジ(11)から上方へ離間した位置には、前記頭部(16)が配置されるか、又は、前記軸部(15)に螺着するナット(17A)が配置されているとよい。
この構成によれば、軸部に頭部又はナットを設けた簡単な構成により、ボルトのスラブに対する接合強度を効果的に高めることができる。
また、上記構成において、前記ボルト(14)は、外周面に前記雄ねじが形成され、上端が前記スラブ(4)に形成された孔(4a)の内面に固定された前記軸部(15)を少なくとも有するアンカーボルトであるとよい。
この構成によれば、ボルトがアンカーボルトであるため、スラブの構築後にスラブを斫ることなくボルトをスラブに固定することができる。
上記第2の課題を解決するために、本発明に係る梁スラブ結合方法のある態様は、上フランジ(11)、下フランジ(12)、及び前記上フランジと前記下フランジとを連結するウェブ(13)を有し、両端が1対の柱(2、2)に接合された鉄骨梁(3)と、前記鉄骨梁の上に構築されるスラブ(4)とを有する建物(1)の梁スラブ結合方法であって、前記上フランジ及び前記下フランジに貫通孔(11a、12a)を形成するステップ(図3(C)、図6(B))と、前記上フランジ及び前記下フランジを貫通するように前記貫通孔に連結部材(14)を挿入するステップ(図3(D)、図6(D))と、前記連結部材の上部を前記スラブに固定するステップ(図3(B)、(D)、(E)、図6(C)〜(E))と、前記連結部材を前記下フランジに固定するステップ(図3(D)、図6(E))とを含むことを特徴とする。
この構成によれば、上フランジ及び下フランジを貫通するように貫通孔に挿入した連結部材をスラブと下フランジとに固定することで建物の鉄骨梁の横剛性を補完し、鉄骨梁の横座屈を抑制することができる。従って、既設建物にも適用可能である。
また、上記構成において、前記連結部材(14)を前記上フランジ(11)に固定するステップ(図3(D)、図6(E))を更に含むとよい。
この構成によれば、上フランジが連結部材によってスラブに固定されるため、鉄骨梁の横座屈をより効果的に抑制することができる。
また、上記構成において、前記連結部材(14)の上部を前記スラブ(4)に固定するステップは、前記鉄骨梁(3)の上に構築された前記スラブ(4)における前記上フランジ(11)の前記貫通孔(11a)の上方部分を上面側から斫るステップ(図3(B))と、前記スラブの斫られた部分に前記連結部材の上部を配置するステップ(図3(D))と、前記連結部材の上部を埋設するように前記スラブの斫られた部分にコンクリート(5)を打設するステップ(図3(E))とを含むとよい。
この構成によれば、スラブの連結部材が設けられる部分のみを斫って連結部材の上部をスラブに容易に固定することができる。
また、上記構成において、前記連結部材(14)の上部を前記スラブ(4)に固定するステップは、前記上フランジ(11)の前記貫通孔(11a)を利用して、前記鉄骨梁(3)の上に構築された前記スラブ(4)に下面側から孔(4a)を形成するステップ(図6(C))と、前記孔に前記連結部材の上部を配置するステップ(図6(D)、(E))と、前記連結部材の上部を前記孔の内面に固定するステップ(図6(E))とを含むとよい。
この構成によれば、スラブを斫ることなく、連結部材の上部をスラブに固定することができる。
このように本発明によれば、鉄骨量の増大及び鉄骨梁の加工手間の増大を抑制でき、且つ施工が容易な鉄骨梁の横補剛構造、並びに、建物の鉄骨梁の横剛性を補完するための梁スラブ結合方法を提供することができる。
第1実施形態に係る横補剛構造が適用された建物の概略平面図 図1中のII−II断面図 第1実施形態に係る横補剛構造を既設の建物に適用する場合の施工手順の説明図 第2実施形態に係る横補剛構造の図2に対応する断面図 第3実施形態に係る横補剛構造の図2に対応する断面図 第3実施形態に係る横補剛構造を既設の建物に適用する場合の施工手順の説明図
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
≪第1実施形態≫
まず、図1〜図3を参照して第1実施形態について説明する。図1は、本発明に係る横補剛構造が適用された建物1の概略平面図である。図1に示されるように、建物1は、平面視で互いに直交するX方向及びY方向に並べられた複数の柱2を有している。柱2は、鉄骨造であってもよく、鉄骨鉄筋コンクリート造であってもよい。X方向及びY方向に互いに隣接する各対の柱2、2間には、両端が1対の柱2、2に接合される鉄骨梁3が階層ごとに架け渡されている。柱2の間隔は、X方向に比べてY方向において長くなっており、Y方向に延在する鉄骨梁3はX方向に延在する鉄骨梁3よりも長くなっている。
図2は、図1中のII−II断面図である。図2に示されるように、各階の鉄骨梁3の上には鉄筋コンクリート製のスラブ4が構築されている。スラブ4は、鉄筋コンクリート製であり、場所打ちのコンクリート5によって形成されてもよく、プレキャストコンクリートの床版の配置により形成されてもよい。なお、図2では、コンクリート5にハッチングが付されているが、コンクリート5を透視した如く、断面に現れない部材も示されている。
本実施形態のスラブ4は、X方向に延在する複数の主筋6及びY方向に延在する複数の配力筋7からそれぞれなる下端筋8及び上端筋9を備えるダブル配筋とされている。他の実施形態では、スラブ4はシングル配筋とされてもよい。また、図示例のスラブ4は、撤去された図示外の型枠を用いて構築されており、コンクリート5が下面に露出しているが、デッキプレートを用いてコンクリート5を打設し、スラブ4がデッキプレートと一体に構築されてデッキプレートを含んでいてもよい。
鉄骨梁3は、I形鋼から形成され、上フランジ11、下フランジ12、及び上フランジ11と下フランジ12とを連結するウェブ13を有している。鉄骨梁3の軸方向における所定の位置には、ウェブ13の左右の両側に対に設けられてスラブ4、上フランジ11及び下フランジ12に固定されることで、上フランジ11及び下フランジ12をスラブ4に連結する連結部材としてのボルト14、14が設けられている。また、鉄骨梁3の軸方向における所定の位置には、ウェブ13の左右の両側に対に設けられて上フランジ11と下フランジ12とウェブ13とを互いに連結するスチフナ(図示省略)が設けられていてもよい。
各ボルト14は、外周面に雄ねじが形成された軸部15と軸部15の一端に一体形成された頭部16とを有する頭付きボルトであり、上フランジ11及び下フランジ12に形成された貫通孔11a、12aに上方から軸部15を挿入されて頭部16が上フランジ11から上方へ離間するように配置されている。ボルト14は、軸部15の上部と頭部16とがコンクリート5に埋設されることでスラブ4に固定されている。
軸部15の雄ねじには4つのナット17(17A〜17D)が螺合しており、ボルト14はこれら4つのナット17(以下、上から順に第1ナット17A〜第4ナット17Dと呼ぶ)によって上フランジ11及び下フランジ12に固定されている。具体的には、ボルト14は、第1ナット17A及び第2ナット17Bが上フランジ11を挟持することによって上フランジ11に固定され、第3ナット17C及び第4ナット17Dが下フランジ12を挟持することによって下フランジ12に固定されている。各ナット17と上フランジ11又は下フランジ12との間には、緩みを防止するためにワッシャーが介装されてもよい。
他の実施形態では、第1ナット17A及び第2ナット17Bの少なくとも一方が設けられていなくてもよい。第1ナット17Aが設けられていない場合であっても、上フランジ11が第2ナット17Bによってスラブ4に固定されており、下フランジ12はボルト14によって上フランジ11及びスラブ4に連結される。第2ナット17Bが設けられていない場合であっても、下フランジ12はボルト14によってスラブ4に連結される。
いずれの形態であっても、各ボルト14の上部が鉄骨梁3に設けられたスタッドと同様にスラブ4に一体化する機能を果たし、下フランジ12がボルト14、14の下部によってスラブ4に連結されるため、鉄骨梁3とスラブ4との固定度(一体性)が増し、鉄骨梁3の捩り剛性が向上する。
建物1が新設建物である場合には、上フランジ11及び下フランジ12に固定された各ボルト14の軸部15の上部及び頭部16を埋設するように上フランジ11の上にコンクリート5が打設されることにより、ボルト14がスラブ4に固定され、鉄骨梁3の上フランジ11及び下フランジ12がボルト14を介してスラブ4に連結される。
一方、建物1が、鉄骨梁3の上にスラブ4が既に構築された既設建物である場合には、ボルト14は図3に示される手順で鉄骨梁3及びスラブ4に取り付けられる。即ち、図3(A)に示されるように、既設の建物1では、鉄骨梁3の上に既にスラブ4が構築されている。そこで、図3(B)に示されるように、まずはスラブ4のボルト14を設けるべき位置周辺部のコンクリート5をブレーカーやピック等の工具を用いて上面側から斫る。次に、図3(C)に示されるように、上フランジ11及び下フランジ12のボルト14を挿通させるべき位置に貫通孔11a、12aを穿設する。なお、図3(B)に示される作業及び図3(C)に示される作業は、順序が逆であってもよい。
その後、図3(D)に示されるように、第1ナット17Aが軸部15に螺着したボルト14を上方から上フランジ11の貫通孔11aに挿入し、第2ナット17B及び第3ナット17Cを軸部15に螺着させた後に軸部15を下フランジ12の貫通孔12aに挿入し、第4ナット17Dを軸部15に螺着させて各ナット17を締め付け、ボルト14を鉄骨梁3に固定する。この時、上記のように頭部16が上フランジ11から上方へ離間するようにボルト14を配置する。最後に、図3(E)に示されるように、スラブ4の斫られた部分にコンクリート5を打設してボルト14をスラブ4に固定する。これにより、鉄骨梁3の上フランジ11及び下フランジ12がボルト14を介してスラブ4に連結される。
なお、図3(E)に示されるコンクリート5の打設段階では、ボルト14がナット17により位置決めされていればよいため、図3(D)の段階で全てのナット17を締め付けて所定の位置に配置しておく必要はない。
次に、このようにして構築される鉄骨梁3の横補剛構造及び梁スラブ結合方法の作用効果について説明する。
図2に示されるように、両端が1対の柱2に接合され、その上にスラブ4が構築された鉄骨梁3の横補剛構造では、連結部材としてのボルト14、14が、上フランジ11及び下フランジ12を貫通するようにウェブ13の両側に設けられ、それぞれ固定手段によって少なくとも下フランジ12に固定されると共に、スラブ4に固定されている。そのため、鉄骨量を増大させることなく、且つ鉄骨梁3の加工手間の増大を抑制しつつ、鉄骨梁3の横剛性が補完され、鉄骨梁3の横座屈が抑制される。
また、各ボルト14が、外周面に雄ねじが形成された軸部15を少なくとも有し、雄ねじに螺合して下フランジ12を挟持する第3ナット17C及び第4ナット17Dによって下フランジ12に固定される。このように、下フランジ12にボルト14を挿通させるための貫通孔12aを形成し、1対のナット17によってボルト14を下フランジ12に固定することができるため、鉄骨梁3や固定手段の加工並びにそれらの固定作業が容易である。また、スチフナやスタッドを取り付ける場合のように鉄骨梁3に補剛部材を溶接する必要がないため、溶接不良のリスクがなく、確実に鉄骨梁3の横剛性を補完することができる。
本実施形態では、各ボルト14が、第1ナット17A及び第2ナット17Bによって上フランジ11にも固定されている。そのため、鉄骨梁3の横座屈がより効果的に抑制される。
また本実施形態では、各ボルト14が、スラブ4に埋設された軸部15の上部によってスラブ4に固定されている。そのため、軸部15の上部を埋設するようにコンクリート5を打設してスラブ4を構築することにより、ボルト14をスラブ4に固定することができ、ボルト14のスラブ4に対する固定作業が容易である。
本実施形態では、各ボルト14における上フランジ11から上方へ離間した位置には、軸部15の上端に一体形成された頭部16が配置されている。そのため、軸部15に頭部16が設けられた簡単な構成によってボルト14のスラブ4に対する接合強度が効果的に高められる。
また、建物1の鉄骨梁3の横剛性を補完する梁スラブ結合方法は、図3(C)に示されるように、上フランジ11及び下フランジ12に貫通孔11a、12aを形成するステップと、図3(D)に示されるように、上フランジ11及び下フランジ12を貫通するように貫通孔11a、12aにボルト14、14を挿入するステップと、図3(B)、(D)、(E)に示されるように、ボルト14、14の上部をスラブ4に固定するステップと、図3(D)に示されるように、ボルト14、14を下フランジ12に固定するステップとを含んでいる。このように、両貫通孔11a、12aに挿入されたボルト14、14がスラブ4と下フランジ12とに固定されることで、建物1の鉄骨梁3の横剛性が補完される。これにより、鉄骨梁3の横座屈が抑制される。また、既設建物にも適用可能である。
また、この梁スラブ結合方法は、図3(D)に示されるように、ボルト14、14を上フランジ11に固定するステップを更に含む。そのため、鉄骨梁3の横座屈がより効果的に抑制される。
建物1が、鉄骨梁3の上にスラブ4が既に構築された既設建物である場合には、ボルト14、14の上部をスラブ4に固定するステップは、図3(B)に示されるように、鉄骨梁3の上に構築されたスラブ4における上フランジ11の貫通孔11aの上方部分を上面側から斫るステップと、図3(D)に示されるように、スラブ4の斫られた部分にボルト14、14の上部を配置するステップと、図3(E)に示されるように、ボルト14、14の上部を埋設するようにスラブ4の斫られた部分にコンクリート5を打設するステップとを含んでいる。これにより、スラブ4のボルト14、14が設けられる部分のみを斫ってボルト14、14の上部をスラブ4に容易に固定することができる。
≪第2実施形態≫
次に、図4を参照して第2実施形態に係る横補剛構造について説明する。なお、第1実施形態と形態又は機能が同一又は同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。以下に示す第3実施形態においても同様とする。
本実施形態の鉄骨梁3の横補剛構造では、ボルト14は、頭部16を下にして下フランジ12及び上フランジ11の貫通孔12a、11aに下方から軸部15を挿入されて鉄骨梁3に取り付けられている。ボルト14は、軸部15の下端に一体形成された頭部16と、軸部15の雄ねじに螺合する第4ナット17Dとが協働して下フランジ12を挟持することで下フランジ12に固定され、第2ナット17B及び第3ナット17Cが上フランジ11を挟持することによって上フランジ11に固定されている。第1ナット17Aは、軸部15に螺着して上フランジ11から上方へ離間した位置に配置されており、コンクリート5に埋設されている。
このように本実施形態では、各ボルト14が、軸部15の一端に一体形成された頭部16及び軸部15の雄ねじに螺合して頭部16と協働して下フランジ12を挟持する第4ナット17Dによって下フランジ12に固定されている。このような構成であっても、頭部16及び第4ナット17Dによってボルト14を下フランジ12に固定することができるため、鉄骨梁3や固定手段の加工並びにそれらの固定作業が容易である。
また、各ボルト14における上フランジ11から上方へ離間した位置には、軸部15に螺着する第1ナット17Aが配置されているため、簡単な構成によってボルト14のスラブ4に対する接合強度が効果的に高められる。
≪第3実施形態≫
最後に、図5及び図6を参照して第3実施形態に係る横補剛構造について説明する。
図5は、第3実施形態に係る横補剛構造の図2に対応する断面図である。図5に示されるように、本実施形態の鉄骨梁3の横補剛構造では、上フランジ11の上にナット17は設けられておらず、ボルト14は、外周面の全面に雄ねじが形成された軸部15のみからなる全ねじボルト(いもねじ)として構成されている。ボルト14は、軸部15の上端がスラブ4に形成された孔4aの内面に接着剤18で固定されたアンカーボルトである。従って、ボルト14の上端には、第1、第2実施形態のような頭部16やナット17(第1ナット17A)は設けられていない。
ボルト14には、上から順に第1ナット17A〜第3ナット17Cの3つのナット17が螺合しており、ボルト14はこれら3つのナット17によって上フランジ11及び下フランジ12に固定されている。具体的には、ボルト14は、第1ナット17Aが上フランジ11をスラブ4に締結することによって上フランジ11に固定され、第2ナット17B及び第3ナット17Cが下フランジ12を挟持することによって下フランジ12に固定されている。
本実施形態の横補剛構造においては、建物1が新設される場合であっても、既設されている場合であっても、スラブ4が鉄骨梁3の上に既に構築されているという点で共通であることから、施工手順も同じである。ボルト14は図6に示される手順で鉄骨梁3及びスラブ4に取り付けられる。即ち、図6(A)に示されるように、建物1では、鉄骨梁3の上に既にスラブ4が構築されている。そこで、図6(B)に示されるように、上フランジ11及び下フランジ12のボルト14を挿通させるべき位置に貫通孔11a、12aを穿設する。なお、建物1が新設される場合は、工場で鉄骨梁3に予め貫通孔11a、12aを穿設しておいてもよい。
次に、図6(C)に示されるように、上フランジ11の貫通孔11aを利用してスラブ4に下面側から孔4aを穿設する。この孔4aは通常、有底孔として形成される。その後、図6(D)に示されるように、スラブ4の孔4aに樹脂系の接着剤18が封入されたカプセル19を挿入する。これと共に、ボルト14を下方から下フランジ12の貫通孔12aに挿入し、第1ナット17A及び第2ナット17Bをボルト14に螺合させる。その後、回転や打撃を加えながらボルト14を上フランジ11の貫通孔11aからスラブ4の孔4aに埋め込み、カプセル19を破壊してボルト14の上部を所定の位置に配置することにより、ボルト14の上部を接着剤18によってスラブ4の孔4aの内面に接着させる。これにより、ボルト14の上部がスラブ4に孔4aの内面に固定される。
最後に、図6(E)に示されるように、第1ナット17Aを締め付けて上フランジ11をスラブ4に締結し、第2ナット17B及び第3ナット17Cを、下フランジ12を挟持するように締め付けてボルト14を下フランジ12に固定する。これにより、鉄骨梁3の上フランジ11及び下フランジ12がボルト14を介してスラブ4に連結される。
他の実施形態では、ボルト14がスリーブを有し、打ち込みによる楔の効果によってスリーブを拡径させる打ち込み式アンカーボルトであってもよい。
このようにして構築される鉄骨梁3の横補剛構造及び梁スラブ結合方法では、上記実施形態で説明した効果の他、次のような作用効果が得られる。
即ち、本実施形態の横補剛構造では、図5に示されるように、各ボルト14が、外周面に雄ねじが形成され、上端がスラブ4に形成された孔4aの内面に固定された軸部15を少なくとも有するアンカーボルトである。そのため、スラブ4の構築後にスラブ4を斫ることなくボルト14、14をスラブ4に固定することができる。
鉄骨梁3の上にスラブ4が既に構築された既設の建物1に適用される本実施形態の梁スラブ結合方法では、ボルト14、14の上部をスラブ4に固定するステップは、図6(C)に示されるように、上フランジ11の貫通孔11aを利用して、鉄骨梁3の上に構築されたスラブ4に下面側から孔4aを形成するステップと、図6(D)、(E)に示されるように、孔4aにボルト14、14の上部を配置するステップと、図6(E)に示されるように、ボルト14、14の上部を孔4aの内面に固定するステップとを含んでいる。これにより、スラブ4を斫ることなく、ボルト14、14の上部をスラブ4に固定することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、角度など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。また、上記実施形態の構成の一部を適宜組み合わせたり、適宜取捨したりしてもよい。更に、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
1 建物
2 柱
3 鉄骨梁
4 スラブ
4a 孔
5 コンクリート
11 上フランジ
11a 貫通孔
12 下フランジ
12a 貫通孔
13 ウェブ
14 ボルト
15 軸部
16 頭部
17 ナット
17A 第1ナット
17B 第2ナット
17C 第3ナット
17D 第4ナット

Claims (5)

  1. 上フランジ、下フランジ、及び前記上フランジと前記下フランジとを連結するウェブを有し、両端が1対の柱に接合された鉄骨梁と、前記鉄骨梁の前記上フランジの上に構築されたスラブとを有し、前記鉄骨梁の前記ウェブ及び前記下フランジが前記スラブの下方に露出した建物における前記鉄骨梁の横補剛構造であって、
    前記上フランジ及び前記下フランジを貫通するように前記ウェブの両側に設けられ、それぞれ固定手段によって少なくとも前記下フランジに固定されると共に、前記スラブに固定される連結部材を有し、
    前記連結部材は、外周面に雄ねじが形成され、上端が前記スラブに形成された孔の内面に接着剤により固定された軸部からなるアンカーボルトであることを特徴とする前記鉄骨梁の横補剛構造。
  2. 前記固定手段は、前記雄ねじに螺合し、前記下フランジを挟持する1対のナットであることを特徴とする請求項1に記載の前記鉄骨梁の横補剛構造。
  3. 前記アンカーボルトが、ナットによって前記上フランジにも固定されていることを特徴とする請求項2に記載の前記鉄骨梁の横補剛構造。
  4. 上フランジ、下フランジ、及び前記上フランジと前記下フランジとを連結するウェブを有し、両端が1対の柱に接合される鉄骨梁と、前記鉄骨梁の前記上フランジの上に構築されたスラブとを有し、前記鉄骨梁の前記ウェブ及び前記下フランジが前記スラブの下方に露出した建物における前記鉄骨梁と前記スラブとの結合方法であって、
    前記上フランジ及び前記下フランジに貫通孔を形成するステップと、
    前記上フランジ及び前記下フランジを貫通するように前記貫通孔に連結部材を挿入するステップと、
    前記連結部材の上部を前記スラブに固定するステップと、
    前記連結部材を前記下フランジに固定するステップとを含み、
    前記連結部材の上部を前記スラブに固定するステップは、
    前記上フランジの前記貫通孔を利用して、前記スラブに下面側から孔を形成するステップと、
    前記孔に前記連結部材の上部を配置するステップと、
    前記連結部材の上部を前記孔の内面に固定するステップとを含むことを特徴とする建物の梁スラブ結合方法。
  5. 前記連結部材を前記上フランジに固定するステップを更に含むことを特徴とする請求項に記載の建物の梁スラブ結合方法。
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