JP3771177B2 - 鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造、およびその接合方法 - Google Patents
鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造、およびその接合方法 Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は、柱が鉄筋コンクリート造である下層部と、柱が鉄骨造である上層部とからなる建物の、下層部最上階の鉄筋コンクリート柱と、上層部最下階の鉄骨柱との接合構造、およびその接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
柱が鉄筋コンクリート造である下層部と、柱が鉄骨造である上層部とからなる建物の、下層部最上階の鉄筋コンクリート柱と、上層部最下階の鉄骨柱とを連結させるには、従来、鉄骨柱の柱脚部を鉄筋コンクリート柱内に埋設するか、あるいは、鉄筋コンクリート柱の柱頭部にアンカーボルトを埋設して、このアンカーボルトを利用して、鉄骨柱の柱脚部に形成されたベースプレートを鉄筋コンクリート柱の柱頭部に締結して、上層部の鉄骨フレームを立ち上げる方法がとられている。
【0003】
このため、鉄筋コンクリート柱のコンクリートを打設する時に、その型枠内に、鉄骨柱の柱脚部やアンカーボルトを据え付けておく必要があり、その据付位置の精度を確保するのが難しいので、上層部の鉄骨フレームを建て込む際に支障をきたすことがあった。
【0004】
特に、鉄骨柱の柱脚部を鉄筋コンクリート柱内に埋設する場合には、鉄筋コンクリート柱のうち、鉄骨柱の埋設箇所が部分的にSRC柱になるため、この箇所の鉄筋の配筋性やコンクリートの充填性などの施工性が損なわれる。また、工程上、鉄筋コンクリート柱のコンクリート打設に間に合うように、鉄骨の製作時期を早める必要が生じる。さらに、鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との間の応力伝達を確実なものとするため、鉄骨柱の埋設部分にスタッドボルトなどのシアコネクターを取り付ける必要が生じ、鉄骨柱の製作費用が高くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、柱が鉄筋コンクリート造である下層部と、柱が鉄骨造である上層部とからなる建物の、下層部最上階の鉄筋コンクリート柱に、上層部最下階の鉄骨柱を精度良く簡単に接合することのできる、鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造、およびその接合方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、例えば図1に示すように、柱が鉄筋コンクリート造である下層部Lと、柱が鉄骨造である上層部Hとからなる建物Bの、下層部最上階L1の鉄筋コンクリート柱1と、上層部最下階H1の鉄骨柱2との接合構造であって、
前記鉄筋コンクリート柱1の主筋11が、この鉄筋コンクリート柱1のコンクリート13の上面13Tよりも上方へ突出しているとともに、この主筋11の突出部11aの側面にはネジ溝が形成され、
前記鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tに、そのコンクリート13の上面13Tおよび側面13Sとほぼ接触する状態にこの上面13Tと側面13Sとを被覆可能に形成され、かつその上面13Tにおいて前記主筋11の突出部11aを挿通させることが可能な挿通孔33が穿設された鉄骨部材3が被せられ、
前記鉄骨部材3の上面に前記鉄骨柱2が固定され、前記挿通孔33から突出する前記主筋11の突出部11aにナット4が締結されて前記鉄骨部材3が前記鉄筋コンクリート柱1に固定されていること
を特徴とする。
ここで、鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tにおいて、そのコンクリート13の上面13T、側面13Sと、これらを被覆する鉄骨部材3との間に空隙が生じる場合には、この空隙にエポキシ樹脂などの充填材を注入して、鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合度を高めてもよい。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート柱の主筋が、この鉄筋コンクリート柱のコンクリートの上面よりも上方へ突出しているとともに、この突出部の側面にネジ溝が形成され、鉄筋コンクリート柱の柱頭部に、そのコンクリートの上面および側面とほぼ接触する状態にこの上面と側面とを被覆可能に形成され、かつその上面において主筋の突出部を挿通させることが可能な挿通孔が穿設された鉄骨部材が被せられ、鉄骨部材の上面に鉄骨柱が固定され、また挿通孔から突出する主筋の突出部にナットが締結されて鉄骨部材が鉄筋コンクリート柱に固定されているので、鉄骨柱を鉄筋コンクリート柱に簡単に接合することができ、鉄骨部材の鉄筋コンクリート柱に対する接合位置および角度を調整することにより、鉄骨柱の建入れ精度を高めることができる。
また、鉄筋コンクリート柱のコンクリートを打設するときに、この鉄筋コンクリート柱の型枠内に、上層部最下階の鉄骨柱の柱脚部や、この鉄骨柱の柱脚部を鉄筋コンクリート柱の柱頭部に締結するためのアンカーボルトを据え付けておく必要がない。
特に、鉄筋コンクリート柱に鉄骨柱の柱脚部を埋設する場合と比べると、鉄骨柱の製作時期に余裕を持たせることができるので、工程上有利である。また、鉄骨柱の柱脚部に、シアコネクターを設ける必要が無くなり、鉄骨柱の製作費用を節減できる。さらに、鉄筋コンクリート柱の配筋性や、コンクリートの打設性などの施工性が改善される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項1に記載の鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合構造において、
鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34にネジ35が凸設され、このネジ35が前記鉄骨柱2の柱脚部2Bに設けられたベースプレート21に穿設されたボルト孔22に挿通されて、このベースプレート21がナット4で前記鉄骨部材3に締結されていること
を特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、鉄骨部材の上面を構成する鋼板にネジが凸設され、このネジが鉄骨柱の柱脚部に設けられたベースプレートに穿設されたボルト孔に挿通されて、このベースプレートがナットで鉄骨部材に締結されているので、鉄骨柱を鉄筋コンクリート柱に接合する際に、現場溶接などを行う必要がなく、その接合作業が簡単なものとなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合構造において、
前記鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34にネジ孔が設けられ、このネジ孔に、前記鉄骨柱2の柱脚部2Bに設けられたベースプレート21に穿設されたボルト孔22に挿通されたボルトが締め込まれて、このベースプレート21が前記鉄骨部材3に締結されていること
を特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、鉄骨部材の上面を構成する鋼板にネジ孔が設けられ、このネジ孔に、鉄骨柱の柱脚部に設けられたベースプレートに穿設されたボルト孔に挿通されたボルトが締め込まれて、このベースプレートが鉄骨部材に締結されているので、請求項2と同様の効果が得られる。
特に、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34の厚さを大きくすることで、鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合強度、剛性を高めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合構造において、
前記鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34に前記鉄骨柱2の柱脚部2Bが溶接されて固定されていること
を特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、鉄骨部材の上面を構成する鋼板に予め鉄骨柱の柱脚部が溶接されて固定されているので、この鉄骨部材を鉄筋コンクリート柱にナットで締結するだけで、鉄骨柱を鉄筋コンクリート柱に接合することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図1に示すように、請求項1〜4のいずれかに記載の鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合構造において、
前記鉄骨部材3の側面を構成する鋼板32に、その側方に鉄骨梁5を接合可能な鋼材(鋼板)36が取り付けられていること
を特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれかに記載の発明と同様の効果が得られるとともに、鉄骨部材の側面を構成する鋼板に、その側方に鉄骨梁を接合可能な鋼材が取り付けられているので、建物の上層部最下階の床を簡単に構築できる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図1に示すように、柱が鉄筋コンクリート造である下層部Lと、柱が鉄骨造である上層部Hとからなる建物Bの、下層部最上階L1の鉄筋コンクリート柱1と、上層部最下階H1の鉄骨柱2との接合方法であって、
前記鉄筋コンクリート柱1を、そのコンクリート13の上面13Tよりも主筋11が上方へ突出するとともにこの主筋11の突出部11aの側面にネジ溝が形成された状態に築造し、
前記鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tに、そのコンクリート13の上面13Tおよび側面13Sとほぼ接触する状態に、この上面13Tと側面13Sとを被覆可能に形成され、その上面13Tにおいて前記主筋11の突出部11aを挿通させることが可能な挿通孔33が穿設され、その側面側に鉄骨梁5を接合可能な鋼材36が取り付けられた鉄骨部材3を被せ、
前記鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tに被せられた前記鉄骨部材3に取り付けられた前記鋼材36に鉄骨梁5を接合し、
次いで、前記挿通孔33から突出する主筋11の突出部11aにナット4を締結して前記鉄骨部材3を前記鉄筋コンクリート柱1に固定するとともに、前記鉄骨部材3の上面に前記鉄骨柱2を固定すること
を特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート柱を、そのコンクリートの上面よりも主筋が上方へ突出するとともにこの主筋の突出部の側面にネジ溝が形成された状態に築造し、鉄筋コンクリート柱の柱頭部に、そのコンクリートの上面および側面とほぼ接触する状態にこの上面と側面とを被覆可能に形成され、その上面において主筋の突出部を挿通させることが可能な挿通孔が穿設され、その側面側に鉄骨梁を接合可能な鋼材が取り付けられた鉄骨部材を被せ、鉄筋コンクリート柱の柱頭部に被せられた鉄骨部材に取り付けられた鋼材に鉄骨梁を接合し、次いで、挿通孔から突出する主筋の突出部にナットを締結して鉄骨部材を鉄筋コンクリート柱に固定するとともに、鉄骨部材の上面に鉄骨柱を固定するので、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、柱が鉄筋コンクリート造である下層部Lと、柱が鉄骨造である上層部Hとからなる建物Bの、下層部最上階L1の鉄筋コンクリート柱1と、上層部最下階H1の鉄骨柱2との接合方法であって、
前記鉄筋コンクリート柱1を、その主筋11が、この鉄筋コンクリート柱1のコンクリート13の上面13Tよりも上方へ突出するとともに、その突出部11aの側面にネジ溝が形成された状態に築造し、
前記鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tに、そのコンクリート13の上面13Tおよび側面13Sとほぼ接触する状態に、この上面13Tと側面13Sとを被覆可能に形成され、かつその上面13Sにおいて前記主筋11の突出部11aを挿通させることが可能な挿通孔33が穿設されているとともに前記鉄骨柱2の柱脚部2Bが溶接され、またその側面側に鉄骨梁5を接合可能な鋼材36が取り付けられた鉄骨部材3を被せ、
前記鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tに被せられた前記鉄骨部材3に取り付けられた鋼材36に前記鉄骨梁5を接合し、
次いで、前記挿通孔33から突出する主筋11の突出部11aにナット4を締結して前記鉄骨部材3を前記鉄筋コンクリート柱1に固定すること
を特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート柱を、そのコンクリートの上面よりも主筋が上方へ突出するとともにこの主筋の突出部の側面にネジ溝が形成された状態に築造し、鉄筋コンクリート柱の柱頭部に、そのコンクリートの上面および側面とほぼ接触する状態にこの上面と側面とを被覆可能に形成され、その上面において主筋の突出部を挿通させることが可能な挿通孔が穿設されているとともに鉄骨柱の柱脚部が溶接され、またその側面側に鉄骨梁を接合可能な鋼材が取り付けられた鉄骨部材を被せ、鉄筋コンクリート柱の柱頭部に被せられた鉄骨部材に取り付けられた鋼材に鉄骨梁を接合し、次いで、挿通孔から突出する主筋の突出部にナットを締結して鉄骨部材を鉄筋コンクリート柱に固定するので、請求項4に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造、およびその接合方法について、その実施の形態を具体的に説明する。
【0021】
〔第1の実施の形態〕
本実施の形態の鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合構造は、図1に示すように、柱が鉄筋コンクリート造である下層部Lと、柱が鉄骨造である上層部Hとからなる建物Bの、下層部最上階L1の鉄筋コンクリート柱1と、上層部最下階H1の鉄骨柱2とを接合するために適用されるものであって、その概略は、鉄筋コンクリート柱1の主筋11が、この鉄筋コンクリート柱1のコンクリート13の上面13Tよりも上方へ突出しているとともに、この主筋11の突出部11aの側面にはネジ溝が形成され、鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tに、そのコンクリート13の上面13Tおよび側面13Sとほぼ接触する状態に、この上面13Tと側面13Sとを被覆可能に形成され、かつその上面13Tにおいて主筋11の突出部11aを挿通させることが可能な挿通孔33が穿設された鉄骨部材3が被せられ、鉄骨部材3の上面に鉄骨柱2が固定され、挿通孔33から突出する主筋11の突出部11aにナット4が締結されて鉄骨部材3が鉄筋コンクリート柱1に固定されたものである。
【0022】
ここで、鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tにおいて、そのコンクリート13の上面13T、側面13Sと、これらを被覆する鉄骨部材3との間の微小な空隙には、エポキシ樹脂が充填されている。
【0023】
また、図1に示すように、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31の上には補強プレート34が溶接され、さらにこの補強プレート34の上にはネジ35が凸設されている。そして、このネジ35が鉄骨柱2の柱脚部2Bに設けられたベースプレート21に穿設されたボルト孔22に挿通されてナット4で締結されることで、鉄骨柱2が鉄骨部材3に固定されている。
【0024】
また、図1に示すように、鉄骨部材3の側面を構成する鋼板32には、その側方に鉄骨梁5を接合可能な鋼板(鋼材)36が溶接されている。
【0025】
本実施の形態の鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合方法の手順は、図1(a)〜図1(f)に順に示すとおりである。
まず、鉄筋コンクリート柱1を、そのコンクリート13の上面13Tよりも主筋11が上方へ突出するとともに、その突出部11aの側面にネジ溝が形成された状態に築造する(図1(a)、図1(b))。
【0026】
次いで、鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tに、そのコンクリート13の上面13Tおよび側面13Sとほぼ接触するように、主筋11の突出部11aを挿通孔33に挿通させて、鉄骨部材3を被せる。挿通孔33から突出した主筋11の突出部11aには、ナット4を仮締めしておく(図1(c)、図1(d))。
【0027】
そして、鉄筋コンクリート柱1に被せられた鉄骨部材3に溶接された鋼板36を利用して、鉄骨部材3の側方に鉄骨梁5をボルトなどで接合する。鉄骨梁5の上にはデッキプレート6を敷設し、その上面にコンクリート61を打設する。この際、鉄骨部材3の上面にはコンクリート61を打設しないでおく(図1(e))。これで、建物Bの上層部最下階H1の床スラブがほぼ構築されたことになる。
【0028】
そして、各鉄骨部材3の上面に鉄骨柱2を建て入れる。具体的には、鉄骨部材の上面に溶接された補強プレート34の上面に凸設されたネジ35を、鉄骨柱2の柱脚部2Bに形成されたベースプレート21のボルト孔22に挿通させて、ベースプレートの上からナット7で締め付ける(図1(f))。
そして、挿通孔33から突出する主筋11の突出部11aに仮締めされたナット4を、鉄骨柱2の建入れ位置および角度を調整しつつ本締めし、鉄骨部材3を鉄筋コンクリート柱1に固定する。最後に、鉄骨部材3の上部に、モルタルまたはコンクリート62を流し込む。
この後、必要に応じ、鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tにおいて、そのコンクリート13の上面13T、側面13Sと、これらを被覆する鉄骨部材3との間にエポキシ樹脂を注入して、鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合度を高める。
【0029】
〔第2の実施の形態〕
本実施の形態の鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造、およびその接合方法は、第1の実施の形態において、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34にネジ35が凸設され、このネジ35が鉄骨柱2の柱脚部2Bに設けられたベースプレート21に穿設されたボルト孔22に挿通されて、このベースプレート21をナット4で鉄骨部材3に締結する代わりに、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34にネジ孔が設けられ、このネジ孔に、鉄骨柱2の柱脚部2Bに設けられたベースプレート21に穿設されたボルト孔22に挿通されたボルトが締め込まれることで、鉄筋コンクリート柱1に鉄骨柱2が締結されているというものである。
その他の点は、第1の実施の形態に記載の鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合構造、およびその接合方法とほぼ同様である。
【0030】
〔第3の実施の形態〕
本実施の形態の鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造、およびその接合方法は、第1の実施の形態において、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34にネジ35が凸設され、このネジ35が鉄骨柱2の柱脚部2Bに設けられたベースプレート21に穿設されたボルト孔22に挿通されて、このベースプレート21をナット4で鉄骨部材3に締結する代わりに、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34に予め工場で鉄骨柱2の柱脚部2Bを溶接して固定し、鉄骨部材3を鉄骨柱2と一体に製作するというものである。
その他の点は、第1の実施の形態に記載の鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合構造、およびその接合方法とほぼ同様である。
【0031】
第1〜第3の実施の形態に記載の鉄筋コンクリート柱1と鉄骨梁2との接合構造、およびその接合方法によれば、鉄筋コンクリート柱1の主筋11が、この鉄筋コンクリート柱1のコンクリート13の上面13Tよりも上方へ突出しているとともに、その突出部11aの側面にネジ溝が形成され、鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tに、そのコンクリート13の上面13Tおよび側面13Sとほぼ接触する状態にこの上面13Tと側面13Sとを被覆可能に形成され、かつその上面13Tにおいて主筋11の突出部11aを挿通させることが可能な挿通孔33が穿設された鉄骨部材3が被せられ、鉄骨部材3の上面に鉄骨柱2が固定され、また挿通孔33から突出する主筋11の突出部11aにナット4が締結されて鉄骨部材3が鉄筋コンクリート柱1に固定されているので、鉄骨柱2を鉄筋コンクリート柱1に簡単に接合することができ、鉄骨部材3の鉄筋コンクリート柱1に対する接合位置および角度を調整することにより、鉄骨柱2の建入れ精度を高めることができる。
また、鉄筋コンクリート柱1のコンクリート13を打設するときに、この鉄筋コンクリート柱1の型枠M内に、上層部最下階H1の鉄骨柱2の柱脚部2Bや、この鉄骨柱2の柱脚部2Bを鉄筋コンクリート柱1の柱頭部1Tに締結するためのアンカーボルトを据え付けておく必要がない。
特に、鉄筋コンクリート柱に鉄骨柱の柱脚部を埋設する場合と比べると、鉄骨柱の製作時期に余裕を持たせることができるので、工程上有利である。また、鉄骨柱の柱脚部に、シアコネクターを設ける必要が無くなり、鉄骨柱の製作費用を節減できる。さらに、鉄筋コンクリート柱の配筋性や、コンクリートの打設性などの施工性が改善される。
【0032】
また、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34にネジ35が凸設され、このネジ35が鉄骨柱2の柱脚部2Bに設けられたベースプレート21に穿設されたボルト孔22に挿通されて、このベースプレート21がナット4で鉄骨部材3に締結されているので、鉄骨柱2を鉄筋コンクリート柱1に接合する際に、現場溶接などを行う必要がなく、その接合作業が簡単なものとなる。
【0033】
また、鉄骨部材3の側面を構成する鋼板32に、その側方に鉄骨梁5を接合可能な鋼材36が取り付けられているので、建物Bの上層部最下階H1の床を簡単に構築できる。
【0034】
第2の実施の形態に記載の鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合構造、およびその接合方法によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34にネジ孔が設けられ、このネジ孔に、鉄骨柱2の柱脚部2Bに設けられたベースプレート21に穿設されたボルト孔22に挿通されたボルトが締め込まれて、このベースプレート21が鉄骨部材3に締結されているので、特に、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34の厚さを大きくすることで、鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合強度、剛性を高めることができる。
【0035】
第3の実施の形態に記載の鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合構造、およびその接合方法によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34に予め鉄骨柱2の柱脚部2Bが溶接されて固定されているので、この鉄骨部材3を鉄筋コンクリート柱1にナット4で締結するだけで、鉄骨柱2を鉄筋コンクリート柱1に接合することができる。
【0036】
なお、本発明の鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造、およびその接合方法は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内おいて、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記各実施の形態においては、鉄骨部材3の側面を構成する鋼板32に、鉄骨梁5を接合可能なブラケット状の鋼板36を溶接しているが、これに代えて、鉄骨部材3の側面を構成する鋼板に鉄骨梁の端部を溶接し、これに鉄骨梁の中央部を接合するようにしても良い。
その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート柱の主筋が、この鉄筋コンクリート柱のコンクリートの上面よりも上方へ突出しているとともに、この突出部の側面にネジ溝が形成され、鉄筋コンクリート柱の柱頭部に、そのコンクリートの上面および側面とほぼ接触する状態にこの上面と側面とを被覆可能に形成され、かつその上面において主筋の突出部を挿通させることが可能な挿通孔が穿設された鉄骨部材が被せられ、鉄骨部材の上面に鉄骨柱が固定され、また挿通孔から突出する主筋の突出部にナットが締結されて鉄骨部材が鉄筋コンクリート柱に固定されているので、鉄骨柱を鉄筋コンクリート柱に簡単に接合することができ、鉄骨部材の鉄筋コンクリート柱に対する接合位置および角度を調整することにより、鉄骨柱の建入れ精度を高めることができる。
また、鉄筋コンクリート柱のコンクリートを打設するときに、この鉄筋コンクリート柱の型枠内に、上層部最下階の鉄骨柱の柱脚部や、この鉄骨柱の柱脚部を鉄筋コンクリート柱の柱頭部に締結するためのアンカーボルトを据え付けておく必要がない。
特に、鉄筋コンクリート柱に鉄骨柱の柱脚部を埋設する場合と比べると、鉄骨柱の製作時期に余裕を持たせることができるので、工程上有利である。また、鉄骨柱の柱脚部に、シアコネクターを設ける必要が無くなり、鉄骨柱の製作費用を節減できる。さらに、鉄筋コンクリート柱の配筋性や、コンクリートの打設性などの施工性が改善される。
【0038】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、鉄骨部材の上面を構成する鋼板にネジが凸設され、このネジが鉄骨柱の柱脚部に設けられたベースプレートに穿設されたボルト孔に挿通されて、このベースプレートがナットで鉄骨部材に締結されているので、鉄骨柱を鉄筋コンクリート柱に接合する際に、現場溶接などを行う必要がなく、その接合作業が簡単なものとなる。
【0039】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、鉄骨部材の上面を構成する鋼板にネジ孔が設けられ、このネジ孔に、鉄骨柱の柱脚部に設けられたベースプレートに穿設されたボルト孔に挿通されたボルトが締め込まれて、このベースプレートが鉄骨部材に締結されているので、請求項2と同様の効果が得られる。
特に、鉄骨部材3の上面を構成する鋼板31,34の厚さを大きくすることで、鉄筋コンクリート柱1と鉄骨柱2との接合強度、剛性を高めることができる。
【0040】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、鉄骨部材の上面を構成する鋼板に予め鉄骨柱の柱脚部が溶接されて固定されているので、この鉄骨部材を鉄筋コンクリート柱にナットで締結するだけで、鉄骨柱を鉄筋コンクリート柱に接合することができる。
【0041】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれかに記載の発明と同様の効果が得られるとともに、鉄骨部材の側面を構成する鋼板に、その側方に鉄骨梁を接合可能な鋼材が取り付けられているので、建物の上層部最下階の床を簡単に構築できる。
【0042】
請求項6に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート柱を、そのコンクリートの上面よりも主筋が上方へ突出するとともにこの主筋の突出部の側面にネジ溝が形成された状態に築造し、鉄筋コンクリート柱の柱頭部に、そのコンクリートの上面および側面とほぼ接触する状態にこの上面と側面とを被覆可能に形成され、その上面において主筋の突出部を挿通させることが可能な挿通孔が穿設され、その側面側に鉄骨梁を接合可能な鋼材が取り付けられた鉄骨部材を被せ、鉄筋コンクリート柱の柱頭部に被せられた鉄骨部材に取り付けられた鋼材に鉄骨梁を接合し、次いで、挿通孔から突出する主筋の突出部にナットを締結して鉄骨部材を鉄筋コンクリート柱に固定するとともに、鉄骨部材の上面に鉄骨柱を固定するので、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0043】
請求項7に記載の発明によれば、鉄筋コンクリート柱を、そのコンクリートの上面よりも主筋が上方へ突出するとともにこの主筋の突出部の側面にネジ溝が形成された状態に築造し、鉄筋コンクリート柱の柱頭部に、そのコンクリートの上面および側面とほぼ接触する状態にこの上面と側面とを被覆可能に形成され、その上面において主筋の突出部を挿通させることが可能な挿通孔が穿設されているとともに鉄骨柱の柱脚部が溶接され、またその側面側に鉄骨梁を接合可能な鋼材が取り付けられた鉄骨部材を被せ、鉄筋コンクリート柱の柱頭部に被せられた鉄骨部材に取り付けられた鋼材に鉄骨梁を接合し、次いで、挿通孔から突出する主筋の突出部にナットを締結して鉄骨部材を鉄筋コンクリート柱に固定するので、請求項4に記載の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造、およびその接合方法の施工手順の一例を示す、側面図である。
【符号の説明】
1 鉄筋コンクリート柱
1T 柱頭部
11 主筋
11a 突出部
13 コンクリート
13T 上面
13S 側面
2 鉄骨柱
2B 柱脚部
21 ベースプレート
22 ボルト孔
3 鉄骨部材
31 上面を構成する鋼板
32 側面を構成する鋼板
33 挿通孔
34 上面を構成する鋼板(補強プレート)
35 ネジ
36 (鉄骨梁を接合可能な)鋼材(鋼板)
4 ナット
5 鉄骨梁
B 建物
L 下層部
L1 下層部最上階
H 上層部
H1 上層部最下階
Claims (7)
- 柱が鉄筋コンクリート造である下層部(L)と、柱が鉄骨造である上層部(H)とからなる建物(B)の、下層部最上階(L1)の鉄筋コンクリート柱(1)と、上層部最下階(H1)の鉄骨柱2との接合構造であって、
前記鉄筋コンクリート柱(1)の主筋(11)が、この鉄筋コンクリート柱(1)のコンクリート(13)の上面(13T)よりも上方へ突出しているとともに、この主筋(11)の突出部(11a)の側面にはネジ溝が形成され、
前記鉄筋コンクリート柱(1)の柱頭部(1T)に、そのコンクリート(13)の上面(13T)および側面(13S)とほぼ接触する状態にこの上面(13T)と側面(13S)とを被覆可能に形成され、かつその上面(13T)において前記主筋(11)の突出部(11a)を挿通させることが可能な挿通孔(33)が穿設された鉄骨部材(3)が被せられ、
前記鉄骨部材(3)の上面に前記鉄骨柱(2)が固定され、前記挿通孔(33)から突出する前記主筋(11)の突出部(11a)にナット(4)が締結されて前記鉄骨部材(3)が前記鉄筋コンクリート柱(1)に固定されていること
を特徴とする鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造。 - 請求項1に記載の鉄筋コンクリート柱(1)と鉄骨柱(2)との接合構造において、
前記鉄骨部材(3)の上面を構成する鋼板(31,34)にネジ(35)が凸設され、このネジ(35)が前記鉄骨柱(2)の柱脚部(2B)に設けられたベースプレート(21)に穿設されたボルト孔(22)に挿通されて、このベースプレート(21)がナット(4)で前記鉄骨部材(3)に締結されていること
を特徴とする鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造。 - 請求項1に記載の鉄筋コンクリート柱(1)と鉄骨柱(2)との接合構造において、
前記鉄骨部材(3)の上面を構成する鋼板(31,34)にネジ孔が設けられ、このネジ孔に、前記鉄骨柱(2)の柱脚部(2B)に設けられたベースプレート(21)に穿設されたボルト孔(22)に挿通されたボルトが締め込まれて、このベースプレート(21)が前記鉄骨部材(3)に締結されていること
を特徴とする鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造。 - 請求項1に記載の鉄筋コンクリート柱(1)と鉄骨柱(2)との接合構造において、
前記鉄骨部材(3)の上面を構成する鋼板(31,34)に前記鉄骨柱(2)の柱脚部(2B)が溶接されて固定されていること
を特徴とする鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の鉄筋コンクリート柱(1)と鉄骨柱(2)との接合構造において、
前記鉄骨部材(3)の側面を構成する鋼板(32)に、その側方に鉄骨梁(5)を接合可能な鋼材(36)が取り付けられていること
を特徴とする鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合構造。 - 柱が鉄筋コンクリート造である下層部(L)と、柱が鉄骨造である上層部(H)とからなる建物(B)の、下層部最上階(L1)の鉄筋コンクリート柱(1)と、上層部最下階(H1)の鉄骨柱(2)との接合方法であって、
前記鉄筋コンクリート柱(1)を、そのコンクリート(13)の上面(13T)よりも主筋(11)が上方へ突出するとともにこの主筋(11)の突出部(11a)の側面にネジ溝が形成された状態に築造し、
前記鉄筋コンクリート柱(1)の柱頭部(1T)に、そのコンクリート(13)の上面(13T)および側面(13S)とほぼ接触する状態にこの上面(13T)と側面(13S)とを被覆可能に形成され、その上面(13T)において前記主筋(11)の突出部(11a)を挿通させることが可能な挿通孔(33)が穿設され、その側面側に鉄骨梁(5)を接合可能な鋼材(36)が取り付けられた鉄骨部材(3)を被せ、
前記鉄筋コンクリート柱(1)の柱頭部(1T)に被せられた前記鉄骨部材(3)に取り付けられた前記鋼材(36)に前記鉄骨梁(5)を接合し、
次いで、前記挿通孔(33)から突出する主筋(11)の突出部(11a)にナット(4)を締結して前記鉄骨部材(3)を前記鉄筋コンクリート柱(1)に固定するとともに、前記鉄骨部材(3)の上面に前記鉄骨柱(2)を固定すること
を特徴とする鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合方法。 - 柱が鉄筋コンクリート造である下層部(L)と、柱が鉄骨造である上層部(H)とからなる建物(B)の、下層部最上階(L1)の鉄筋コンクリート柱(1)と、上層部最下階(H1)の鉄骨柱(2)との接合方法であって、
前記鉄筋コンクリート柱(1)を、そのコンクリート(13)の上面(13T)よりも主筋(11)が上方へ突出するとともにこの主筋(11)の突出部(11a)の側面にネジ溝が形成された状態に築造し、
前記鉄筋コンクリート柱(1)の柱頭部(1T)に、そのコンクリート(13)の上面(13T)および側面(13S)とほぼ接触する状態にこの上面(13T)と側面(13S)とを被覆可能に形成され、その上面(13T)において前記主筋(11)の突出部(11a)を挿通させることが可能な挿通孔(33)が穿設されているとともに前記鉄骨柱(2)の柱脚部(2B)が溶接され、またその側面側に鉄骨梁(5)を接合可能な鋼材(36)が取り付けられた鉄骨部材(3)を被せ、
前記鉄筋コンクリート柱(1)の柱頭部(1T)に被せられた前記鉄骨部材(3)に取り付けられた前記鋼材(36)に前記鉄骨梁(5)を接合し、
次いで、前記挿通孔(33)から突出する主筋(11)の突出部(11a)にナット(4)を締結して前記鉄骨部材(3)を前記鉄筋コンクリート柱(1)に固定すること
を特徴とする鉄筋コンクリート柱と鉄骨柱との接合方法。
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