JP4277212B2 - 耐震補強構造 - Google Patents

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本発明は、柱と梁とで囲まれた架構内に耐震壁を設けて既存構造物の耐震性能を向上させる耐震補強構造に関する。
一般に、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の耐震補強構造として、柱と梁とで囲まれた架構内に鉄筋コンクリート造等の耐震壁を増設するものがあり、その耐震効果は非常に高いため多用されている。従来の耐震補強構造は、耐震壁を組み込む架構の内側面(既存建物の柱の側面や梁の上下面)に後施工アンカーを打ち込み、当該アンカーの突出した端部と一体に壁体のコンクリートを打設して耐震壁を構築する工法である(例えば、特許文献1参照。)。
また、近年では、周辺環境を考慮して振動や粉塵の発生を抑えるべく、後施工アンカーを用いずに耐震壁を増設する工法がある。例えば、プレキャストコンクリートのブロックをエポキシ樹脂等の接着材で既存の柱,梁に貼り付けてシアコッターとし、このシアコッターと一体に壁コンクリートを打設して耐震壁を構築する工法がある。また、スタッドボルト等を溶接した鋼板をエポキシ樹脂等の接着材で既存の柱,梁に貼り付けて、この鋼板と一体に壁コンクリートを打設して耐震壁を構築する工法がある。さらに、粗骨材をエポキシ樹脂等の接着材で既存の柱,梁に貼り付けて、この粗骨材と一体に壁コンクリートを打設して耐震壁を構築する工法がある。以上のような工法によれば、後施工アンカーを用いず施工するため、振動や粉塵の発生を抑えることができ、既存建物を使用しながら(居ながら)耐震補強工事を行うことができる。
特開2002−70213号公報 (第3頁、第4図)
しかしながら、上記した従来の後施工アンカーを用いずに耐震壁を増設する耐震補強構造では、耐震壁に開口が無いか、或いは開口が小さな窓程度の場合に適用されるものであって、通路開口のような大きな開口がある場合には、耐震壁が大きな耐力を発揮することができないという問題が存在する。
詳細に説明すると、中央に通路開口がある耐震壁が既存構造物の架構に形成され、当該構造物に右側(一方側)から左側(他方側)に向けて水平方向に地震力が生じた場合、おおまかなところ、通路開口の左右の壁で水平力を負担することになる。
壁筋が後施工アンカーにより外周の柱と梁に定着されている場合、通路開口の右側では、上階からの力が水平力と鉛直力として耐震壁に伝わる。その力は主に斜め方向の圧縮力として左側の壁の右下に伝わる。左側の壁の右下では、この圧縮力に釣り合う反力として、水平力と鉛直力が耐震壁に作用する。ここで水平力は、耐震壁と下側の梁上面との付着や後施工アンカーにより梁に定着された壁縦筋のだぼ筋作用による力と、後施工アンカーにより柱に定着された壁横筋の引張力である。一方、通路開口の右側では、上階からの力が水平力と鉛直力として耐震壁に伝わり、その力は主に斜め方向の圧縮力として右下に伝わる。右側の壁の右下では、この圧縮力に釣り合うように水平力と鉛直力が耐震壁に作用する。
これに対し、従来の後施工アンカーを用いずに耐震壁を増設する耐震補強構造では、接着材で接着されているコッター等が比較的容易に剥離するため、耐震壁と柱梁との間には引張力やせん断力は僅かしか働かない。したがって、耐震壁の斜め方向の圧縮力は右下に伝わろうとするが、壁縦筋のだぼ筋作用がなく、さらに、斜め方向の圧縮力の反力となる水平力は、壁横筋が柱に定着されていないため、後施工アンカーによる場合に比べて相当に小さくなる。したがって、当該水平力は、接着材による耐震壁と下側の梁上面との付着力によるだけとなり、非常に小さくなるため、耐震壁が負担できる圧縮力は非常に小さくなる。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、後施工アンカーを減少させて振動や粉塵の発生を低減させるとともに、通路開口がある耐震壁に大きな耐力を発揮させることができる耐震補強構造を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、柱と梁とで囲まれた架構内に耐震壁を設けて既存構造物の耐震性能を向上させる耐震補強構造であって、耐震壁には、通路開口が形成されている鉄筋コンクリート造の壁体と、通路開口の下辺に沿って配設されているとともに、少なくとも一方の端部が通路開口の側方に張り出されて壁体内に埋め込まれている接合部材とが備えられ、接合部材は、下側の梁の上面に接着され、通路開口の側方に張り出されて壁体内に埋め込まれた接合部材の端部には、壁体に定着するシアキーが設けられていることを特徴としている。
このような特徴により、地震力を受けた際に、壁体に作用する斜め方向の圧縮力が、接合部材を介して通路開口を挟んで反対側の壁体や柱に伝えられる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の耐震補強構造において、接合部材のうち少なくとも通路開口の鉛直下方に位置する部分には、接合部材の座屈を防止するための補強材が付設されていることを特徴としている。
このような特徴により、接合部材に働く面内の圧縮力(水平方向の力)が作用するが、接合部材がこの圧縮力を許容することができない場合でも、補強材によって座屈が防止される。
請求項1記載の発明に係る耐震補強構造によれば、通路開口の下辺に沿って配設されているとともに少なくとも一方の端部が通路開口の側方に張り出されて壁体内に埋め込まれている接合部材とが備えられ、接合部材は下側の梁に接着され、張り出された接合部材の端部には壁体に定着するシアキーが設けられており、壁体に作用する斜め方向の圧縮力が接合部材を介して通路開口を挟んで反対側の壁体や柱に伝えられるため、後施工アンカー等を設けずに、通路開口を有する耐震壁の耐力を大きくすることができ、後施工アンカーを減少或いは無くして騒音や振動を低減させることができる。
また、請求項2記載の発明に係る耐震補強構造によれば、接合部材のうち、少なくとも通路開口の鉛直下方に位置する部分には、接合部材の座屈を防止するための補強材が付設されており、面内の圧縮力が働く接合部材が補強材によって補強されて、接合部材の座屈が防止されるため、耐震壁に大きな力(斜め方向の圧縮力)が作用しても接合部材が破損変形することはなく、大きな振動に対しても耐震補強効果を保持することができる。
以下、本発明に係る耐震補強構造の実施の形態について、図面に基いて説明する。
図1に示すように、既存構造物1は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造からなるラーメン構造物であり、既存構造物1には、間隔をあけて立設された複数の柱2と、隣り合う柱2間に架設された複数の梁3とが備えられている。既存構造物1には、上記した柱2と梁3とによって囲まれた矩形枠状の架構4が形成され、この架構4の内側には壁などがなく開放された状態になっている。
耐震補強構造は、上記したように壁などが無い架構4の内側に耐震壁5を組み入れることで構築され、耐震壁5が組み入れられた既存構造物1の耐震性能は向上する。なお、架構4の内側に壁等がある場合であっても、その既存壁に加えて耐震壁5を組み入れることで、既存構造物1の耐震性能を向上させることができる。
耐震壁5は、略中央部に矩形の通路開口9が形成された壁体6と、通路開口9の下辺に沿って配設されている接合用鋼板7(接合部材)とから構成されている。
壁体6は、接合用鋼板7と一体に形成された鉄筋コンクリート造の構造体であり、内部に格子状に配筋された壁筋10が埋設されている。壁体6は、グラインダー等で軽く削られてコンクリート表面の脆弱な部分が取り除かれた架構4の打継面(内側面)に打ち継ぎされたものであり、現場で鉄筋配筋、コンクリート打設が行われて形成される。壁体6に形成された通路開口9は、人等が出入りするための下寄せの開口であり、通路開口9の下辺面9aは、接合用鋼板7の上面によって形成されており、図示せぬスラブ上面と面一か、或いはスラブ上面より若干上方に形成されている。
接合用鋼板7は、壁体6の厚さと略同じ幅の平鋼からなり、通路開口9の下方に配置されているとともに下側の梁3に平行する方向に延在されている。接合用鋼板7は、下側の梁3の上面との間に若干の隙間をあけて配設されており、接合用鋼板7下面と梁3上面との間にはエポキシ樹脂等の有機系の接着材16が介在されている。なお、エポキシ樹脂等の有機系の接着材16に替えて無機系のグラウト材を介して接着させてもよく、接合用鋼板7と梁3との間でせん断力及び圧縮力を伝達できる構成であればよい。
また、接合用鋼板7は、下面が壁体6の下側端面と略面一になるように壁体6の下側端面に設けられており、接合用鋼板7の中央部は、通路開口9の鉛直下方に形成され、接合用鋼板7の両端部は、通路開口9の両側方にそれぞれ張り出されて壁体6内にそれぞれ埋設されている。
図2は通路開口9の鉛直下方に位置する接合用鋼板7の中央部を表す斜視図である。図1,図2に示すように、接合用鋼板7の中央部には、図示せぬ複数のボルト孔が形成されており、このボルト孔には、後施工アンカー11(補強材)の上端部が挿通されている。後施工アンカー11は、梁3上面に穿孔された穿孔穴12内に下端部が挿入された寸切りボルト13からなり、接合用鋼板7中央部に対向する梁3上面に打設されている。穿孔穴12内に挿入された寸切りボルト13は、接合用鋼板7に対して略垂直に配置されており、穿孔穴12内に充填されたエポキシ樹脂等の充填材14によって固められている。ボルト孔に挿通された後施工アンカー11の上端には、接合用鋼板7を上から押さえるナット15が螺合されており、後施工アンカー11は接合用鋼板7にボルト止めされている。後施工アンカー11は、間隔をあけて複数設けられており、複数の後施工アンカー11は、接合用鋼板7の軸方向に1列に並設されている。
図3は通路開口9の側方に張り出された接合用鋼板7の端部を表す斜視図である。図1,図3に示すように、接合用鋼板7の両端部上面には、壁体6からのせん断力を伝達させるためのシアキー17が突設されている。シアキー17は、接合用鋼板7上面に溶接された頭付きスタッドや異形棒鋼からなり、接合用鋼板7上面に対して略垂直に立設されて壁体6内に定着されている。シアキー17は、間隔をあけて複数本設けられており、複数のシアキー17は、接合用鋼板7の軸方向に2列に並設されている。
次に、上記した構成からなる耐震補強構造の施工方法について説明する。
まず、下側の梁3の中央部上面に複数の後施工アンカー11を1列に並べて打設する工程を行う。具体的には、梁3の中央部上面に穿孔穴12を間隔をあけて複数穿孔し、これらの穿孔穴12内に寸切りボルト13をそれぞれ挿入するとともに充填材14をそれぞれ充填する。そして、充填材14を固化させるべく所定の養生期間をおき、後施工アンカー11を梁3上に立設させる。
次に、下側の梁3の中央部上面に接合用鋼板7を設置する工程を行う。具体的には、予め、接合用鋼板7の中央部に図示せぬ複数のボルト孔をあけておくとともに、両端部に複数のシアキー17を突設させておく。そして、接合用鋼板7中央部に形成された複数のボルト孔に後施工アンカー11の上端部をそれぞれ挿通させつつ、接合用鋼板7を下側の梁3の中央部上面に配置する。このとき、接合用鋼板7と下側の梁3との間に接着材16を介在させ、この接着材16によって接合用鋼板7を下側の梁3の中央部上面に貼着する。そして、接合用鋼板7上に突出された複数の後施工アンカー11の上端部にナット15をそれぞれ螺合させて締結する。
また、架構4の内側面のうち、壁体6が打ち継ぎされる部分の表面(打継面)を処理する工程を行う。具体的には、打継面をグラインダー等で軽く削って目荒しして、コンクリート表面の脆弱な部分を取り除く。なお、壁体6と架構4との接合箇所は、最低限、圧縮力さえ伝達できればよいため、架構4の内側面が圧縮力を適当に伝達できる状態にあるならば、特に何も処理しなくてもよい。
次に、中央部に通路開口9があけられた壁体6を形成する工程を行う。具体的には、架構4の内側に、壁筋10を格子状に配筋する。壁筋10は、柱2や梁3に定着させずに、接合用鋼板7及び柱2,梁3で囲まれた範囲内で配筋する。また、このとき、通路開口9の部分をあけて配筋しておく。そして、通路開口9があけらえた図示せぬ壁型枠を壁筋10の両側に建て込み、この壁型枠内にコンクリートを打設する。そして、所定の養生期間経過後に、壁型枠を脱型し、耐震壁5の構築が完了する。
次に、上記した構成からなる耐震補強構造の作用、効果について説明する。
図4に示すように、水平方向の地震力Gが生じると、通路開口9の一方側(図4では左側)では、上階からの力が水平力L2と鉛直力L3として耐震壁5に伝わり、その力は主に斜め方向の圧縮力L1として通路開口9の一方側にある壁体6の右下に伝わる。斜め方向の圧縮力L1の水平成分は、接合用鋼板7を介して通路開口9の他方側(図4では右側)の壁体6に伝わるため、圧縮力L1の水平成分に釣り合う力として、他方側の壁体6により負担される水平力L4´及び他方側の壁体6内に定着されたシアキー17のだぼ筋効果による水平力L4´´が作用する。したがって、通路開口9の一方側にある壁体6の右下では、圧縮力L1に釣り合うように鉛直力L5が作用するとともに、耐震壁5と下側の梁3との付着力による水平力L4が作用し、さらに、圧縮力L1に釣り合うように通路開口9の他方側にある壁体6でも水平力L4´,L4´´が作用するため、大きい圧縮力L1であっても耐震壁5が負担することができる。
つまり、上記した構成からなる耐震補強構造によれば、通路開口9の下辺に沿って配設されているとともに両端部が通路開口9の両側方にそれぞれ張り出されて壁体6内に埋め込まれている接合用鋼板7とが備えられ、接合用鋼板7の下面は接着材16を介して下側の梁3の上面に接着され、張り出された接合用鋼板7の端部上面には壁体6に定着するシアキー17が設けられているため、圧縮力L1の水平成分は接合用鋼板7の圧縮力として通路開口9の右側の壁体6に伝達されて支持される。したがって、左右の壁体6とも水平力を負担することができ、耐震壁5の耐力を大きくすることができる。
なお、通路開口の他方側では、上階からの力が水平力R2と鉛直力R3として耐震壁5に伝わり、その力は主に斜め方向の圧縮力R1として右下に伝わる。右側の壁体6の右下では、この圧縮力R1に釣り合うように水平力R4と鉛直力R5が耐震壁5に作用する。
また、上記した構成からなる耐震補強構造によれば、後施工アンカー11は、壁体6に作用する水平力を伝達するだぼ筋としての働きは期待してなく、接合用鋼板7の座屈を棒するためのものであるため、極少量で十分であり、後施工アンカー11の打ち込み時に発生する騒音や振動を低減させることができる。
また、接合用鋼板7の下面のうち、通路開口9の鉛直下方に位置する部分には、接合用鋼板7の座屈を防止するための後施工アンカー11が付設されており、面内の圧縮力が働く接合用鋼板7が後施工アンカー11によって補強されて、接合用鋼板7の座屈が防止されるため、耐震壁5に大きな力(斜め方向の圧縮力L1)が作用しても接合用鋼板7が破損変形することはなく、大きな振動に対しても耐震補強効果を保持することができる。
以上、本発明に係る耐震補強構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、通路開口9が壁体6の略中央部に形成されているが、本発明は、図5に示すように、通路開口50が壁体51の一側端に寄せられて形成されていてもよい。この場合、接合用部材52の一端は柱53の側面に当接されており、斜め方向の圧縮力L1の水平成分は直接柱に伝えられて支持される。したがって、耐震壁54の耐力は大きくなる。また、無論、通路開口の側方に張り出されて壁体内に埋設された接合部材の端部が柱の側面に当接され、斜め方向の圧縮力の水平成分が直接柱に伝達されてもよい。
また、上記した実施の形態では、接合用鋼板7に付設され、接合用鋼板7の座屈を防止するための補強材として、下側の梁3に打ち込まれるとともにナット15で締結された後施工アンカー11が用いられているが、本発明は、図6(a)に示すように、補強材として、接合部材60の軸方向に直交する方向に延在する鋼棒61を用いてもよい。この場合、下側の梁62の上面に、接合部材60の軸方向に直交する方向に延在する溝63を複数切削するとともに、鋼棒61を下側の梁62の上面に対向する接合部材60の底面に溶接し、接合部材60を梁62上に設置する際に、鋼棒61を溝63に嵌入させるとともにエポキシ樹脂等の接着材64を溝63内に注入する。
また、図6(b)に示すように、補強材として、接合部材70の軸方向に平行する方向に延在する鋼棒71を用いてもよく、この場合、下側の梁72の上面に、接合部材70の軸方向に平行する方向に延在する溝73を少なくとも通路開口の鉛直下方の範囲にわたって切削するとともに、鋼棒71を下側の梁72の上面に対向する接合部材70の底面に溶接し、接合部材70を梁72上に設置する際に、鋼棒71を溝73に嵌入させるとともにエポキシ樹脂等の接着材74を溝73内に注入する。
さらに、上記した実施の形態では、ナット15を締結することで、後施工アンカー11を接合用鋼板7に固定しているが、本発明は、後施工アンカーを溶接によって接合部材に固定してもよい。つまり、補強材は、壁体6に作用する水平力を伝達するだぼ筋として設けられるものではなく、接合用鋼板7に面内の圧縮力(水平方向の力)が作用するために発生する可能性がある接合用鋼板7の座屈を防止するものであるため、適宜変更可能である。また、接合部材に座屈の虞がないか、或いは座屈を許容する設計を行う場合には、補強材は不要である。
また、上記した実施の形態では、シアキー17が接合用鋼板7上面に略垂直に溶接された頭付きスタッドや異形棒鋼からなっているが、本発明は、図7(a)に示すように、接合部材81の軸方向に直交する方向に延在する異形棒鋼80を接合部材81上に敷き並べて溶接してもよい。また、図7(b)に示すように、接合部材91の軸方向に直交する方向に延在する形鋼90を接合部材91上に敷き並べて溶接してもよい。つまり、シアキーは壁体から接合部材にせん断力(水平力)を伝達できるものであればどのような構成のものでもよく、接合部材自体を折り曲げ、プレス、切削、加熱するなど加工して、接合部材自体に凹凸をつけてシアキーとしてもよく、さらには、十分に強度を有するシアキーを接着材で接合部材に接着させてもよい。
また、上記した実施の形態では、接合部材として、平鋼からなる接合用鋼板7が用いられているが、本発明は、接合部材の材質を必ずしも鋼製に限定するものではなく、接合部材として十分な強度と剛性を有するものであれば、他の金属でもよく、或いは例えばFRP(繊維強化プラスチック)等の金属以外の材質でもよい。
また、上記した実施の形態では、目荒しされた架構4の内側面に耐震壁5が打ち継ぎされているが、本発明は、壁体をエポキシ樹脂等の接着材を介して架構の内側面に接着させてもよく、或いは、鉄筋やスタッドボルトが溶接された鋼板をエポキシ樹脂等の接着材で架構の内側面に貼り付け、この鋼板と一体に壁体を形成してもよく、さらには、粗骨材をエポキシ樹脂等の接着材で架構の内側面に貼着し、この粗骨材と一体に壁体を形成してもよい。また、架構の内側面に複数のコッターを貼着し、このコッターと一体に壁体を形成してもよい。
また、上記した実施の形態では、まず下側の梁3の上面に接合用鋼板7だけを設置し、次いで鉄筋配筋およびコンクリート打設して壁体6を形成することで、耐震壁5が構築されているが、本発明は、接合部材が備え付けられたプレキャストコンクリート製の壁体を架構内に組み入れることで耐震壁を構築してもよい。
また、上記した実施の形態では、一つの耐震壁5に対して通路開口9が一つだけ設けられているが、本発明は、一つの耐震壁に対して複数の通路開口が設けられている場合でもよく、この場合、各通路開口毎に接合用部材を設ける。
本発明に係る耐震補強構造の実施の形態を説明するための全体を表す図である。 本発明に係る耐震補強構造の実施の形態を説明するための接合部材の中央付近を表す図である。 本発明に係る耐震補強構造の実施の形態を説明するための接合部材の端部を表す図である。 本発明に係る耐震補強構造の実施の形態を説明するための力の作用状態を表す図である。 本発明に係る耐震補強構造のその他の実施例を説明するための全体を表す図である。 本発明に係る耐震補強構造のその他の実施例を説明するための接合部材の中央付近を表す図である。 本発明に係る耐震補強構造のその他の実施例を説明するための接合部材の端部を表す図である。
符号の説明
1 既存構造物
2 柱
3 梁
4 架構
5 耐震壁
6 壁体
7 接合用鋼板(接合部材)
9 通路開口
11 後施工アンカー(補強材)
17 シアキー

Claims (2)

  1. 柱と梁とで囲まれた架構内に耐震壁を設けて既存構造物の耐震性能を向上させる耐震補強構造であって、
    耐震壁には、通路開口が形成されている鉄筋コンクリート造の壁体と、通路開口の下辺に沿って配設されているとともに、少なくとも一方の端部が通路開口の側方に張り出されて壁体内に埋め込まれている接合部材とが備えられ、
    接合部材は、下側の梁の上面に接着され、通路開口の側方に張り出されて壁体内に埋め込まれた接合部材の端部には、壁体に定着するシアキーが設けられていることを特徴とする耐震補強構造。
  2. 請求項1記載の耐震補強構造において、
    接合部材のうち少なくとも通路開口の鉛直下方に位置する部分には、接合部材の座屈を防止するための補強材が付設されていることを特徴とする耐震補強構造。
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