JP2006194036A - 鉄骨造間柱の鉄筋コンクリート造梁への定着構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄骨造間柱とRC梁の定着部において、剛性を高くする。
【解決手段】鉄骨造間柱2を隣り合う上部RC梁1aと下部RC梁1bとに定着させる定着構造において、上部RC梁1aに埋設されて下方向に突出する上部アンカーボルト3aと、この上部アンカーボルト3aに固定される柱頭ベースプレート4と、下部RC梁1bに埋設されて上方向に突出する下部アンカーボルト3bと、この下部アンカーボルト3bに固定される柱脚ベースプレート5と、を備え、柱頭ベースプレート4は上方向に突出する第1プレート4bを有し、該第1プレート4bが上部RC梁1aに埋設され、柱脚ベースプレート5は下方向に突出する第2プレート5bを有し、該第2プレート5bが下部RC梁1bに埋設されており、柱頭ベースプレート4及び柱脚ベースプレート5間に鉄骨造間柱2を固定させる。
【選択図】図1
【解決手段】鉄骨造間柱2を隣り合う上部RC梁1aと下部RC梁1bとに定着させる定着構造において、上部RC梁1aに埋設されて下方向に突出する上部アンカーボルト3aと、この上部アンカーボルト3aに固定される柱頭ベースプレート4と、下部RC梁1bに埋設されて上方向に突出する下部アンカーボルト3bと、この下部アンカーボルト3bに固定される柱脚ベースプレート5と、を備え、柱頭ベースプレート4は上方向に突出する第1プレート4bを有し、該第1プレート4bが上部RC梁1aに埋設され、柱脚ベースプレート5は下方向に突出する第2プレート5bを有し、該第2プレート5bが下部RC梁1bに埋設されており、柱頭ベースプレート4及び柱脚ベースプレート5間に鉄骨造間柱2を固定させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、鉄骨造間柱を鉄筋コンクリート造(以下RCとする)梁へ定着させる定着構造に関する。
鉄筋コンクリート建物において、梁のスパンが通常より大きい場合やスラブのスパンが通常より大きい場合には、建物の仕上げ重量や積載重量の一部を負担する鉄骨造間柱を設置することが行われている。また、高層の鉄筋コンクリート建物においては、暴風や地震による建物の水平変形(ゆれ)を押えるため、極低降伏点鋼等を内蔵する鉄骨造間柱を設置することが行われている。
この鉄骨造間柱の柱頭及び柱脚のRC梁への定着構造としては、図6から図8に示すような、非埋込型(露出型)構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構造は、RC梁11内にアンカーボルト13を埋設した後、このRC梁11の上下面から突出しているアンカーボルト13の先端部をベースプレート(柱頭ベースプレート14、柱脚ベースプレート15)が有するボルト孔15aに挿通し、RC梁11とベースプレート(柱頭ベースプレート14、柱脚ベースプレート15)の間隙にグラウト材17を充填した後、アンカーボルト13とベースプレート(柱頭ベースプレート14、柱脚ベースプレート15)をナットにより堅結するものである。
特開平10−25807号公報
しかしながら、図8に示すように、ベースプレート(柱脚ベースプレート15)に設けるボルト孔15aは、施工精度を考慮してアンカーボルト13の径よりも10mm程度大径とするのが一般的である。このため、アンカーボルト13とベースプレート(柱脚ベースプレート15)のボルト孔15aとの間には間隙が生じることから、鉄骨造間柱の柱脚部12bに作用する水平力Hは、主にベースプレート(柱脚ベースプレート15)面とグラウト材17との摩擦力FによりRC梁11に伝達される。摩擦力Fは作用軸力に比例するため、軸力が小さい場合には、鉄骨造間柱のベースプレート(柱脚ベースプレート15)は水平滑りを生じやすく剛性が小さい。また、鉄骨造間柱の柱脚部12bの剛性を高めるためには、アンカーボルト13に大きなプレストレス力(軸力)を導入し摩擦力Fを高めればよいが、アンカーボルト13の長さが比較的短い場合には導入するプレストレス力を管理するのは困難であった。
本発明の課題は、鉄骨造間柱とRC梁の定着部において、剛性を高めることである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば図1に示すように、鉄骨造間柱2を隣り合う上部RC梁1aと下部RC梁1bとに定着させる定着構造において、
前記上部RC梁1aに埋設されて下方向に突出する上部アンカーボルト3aと、
この上部アンカーボルト3aに固定される柱頭ベースプレート4と、
前記下部RC梁1bに埋設されて上方向に突出する下部アンカーボルト3bと、
この下部アンカーボルト3bに固定される柱脚ベースプレート5と、を備え、
前記柱頭ベースプレート4は上方向に突出する第1プレート4bを有し、該第1プレート4bが前記上部RC梁1aに埋設され、前記柱脚ベースプレート5は下方向に突出する第2プレート5bを有し、該第2プレート5bが前記下部RC梁1bに埋設されており、
前記柱頭ベースプレート4及び柱脚ベースプレート5間に鉄骨造間柱2を固定してなることを特徴としている。
前記上部RC梁1aに埋設されて下方向に突出する上部アンカーボルト3aと、
この上部アンカーボルト3aに固定される柱頭ベースプレート4と、
前記下部RC梁1bに埋設されて上方向に突出する下部アンカーボルト3bと、
この下部アンカーボルト3bに固定される柱脚ベースプレート5と、を備え、
前記柱頭ベースプレート4は上方向に突出する第1プレート4bを有し、該第1プレート4bが前記上部RC梁1aに埋設され、前記柱脚ベースプレート5は下方向に突出する第2プレート5bを有し、該第2プレート5bが前記下部RC梁1bに埋設されており、
前記柱頭ベースプレート4及び柱脚ベースプレート5間に鉄骨造間柱2を固定してなることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、上部アンカーボルトに固定された柱頭ベースプレートは、上部RC梁に埋設される第1プレートを有しており、下部アンカーボルトに固定された柱脚ベースプレートは、下部RC梁に埋設される第2プレートを有している。また、鉄骨造間柱は、柱頭ベースプレート及び柱脚ベースプレート間に固定される。よって、鉄骨造間柱に水平力が作用すると、第1プレート及び第2プレートとコンクリートとの支圧力と、柱頭ベースプレート上面と上部RC梁との摩擦力及び柱脚ベースプレート下面と下部RC梁との摩擦力と、が協働してこの水平力に抵抗する。従って、柱頭ベースプレート及び柱脚ベースプレートには水平方向のすべりが生じにくくなり、鉄骨造間柱の定着部の剛性を高めることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鉄骨造間柱2のRC梁(上部RC梁1a、下部RC梁1b)への定着構造において、例えば図1に示すように、前記上部RC梁1aは、その下面に前記第1プレート4bの一部が埋設される第1欠き込み部4aを備え、
前記下部RC梁1bは、その上面に前記第2プレート5bの一部が埋設される第2欠き込み部5aを備え、
前記第1欠き込み部4aと前記第1プレート4bとの間隙、及び前記上部RC梁1aと前記柱頭ベースプレート4との間隙にグラウト材7が充填されており、前記第2欠き込み部5aと前記第2プレート5bとの間隙、及び前記下部RC梁1bと前記柱脚ベースプレート5との間隙にグラウト材7が充填されていることを特徴としている。
前記下部RC梁1bは、その上面に前記第2プレート5bの一部が埋設される第2欠き込み部5aを備え、
前記第1欠き込み部4aと前記第1プレート4bとの間隙、及び前記上部RC梁1aと前記柱頭ベースプレート4との間隙にグラウト材7が充填されており、前記第2欠き込み部5aと前記第2プレート5bとの間隙、及び前記下部RC梁1bと前記柱脚ベースプレート5との間隙にグラウト材7が充填されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、柱頭ベースプレートが有する第1プレートの一部は、上部RC梁の第1欠き込み部に埋設されてグラウト材によって固定され、柱脚ベースプレートが有する第2プレートの一部は、下部RC梁の第2欠き込み部に埋設されてグラウト材によって固定される。また、鉄骨造間柱は、柱頭ベースプレート及び柱脚ベースプレート間に固定される。よって、鉄骨造間柱に水平力が作用すると、第1プレート及び第2プレートと上部RC梁及び下部RC梁のコンクリートに拘束されたグラウト材との間に生じる支圧力と、柱頭ベースプレート上面とグラウト材との摩擦力及び柱脚ベースプレート下面とグラウト材との摩擦力と、が協働してこの水平力に抵抗する。従って、柱頭ベースプレート及び柱脚ベースプレートには水平方向のすべりが生じにくくなり、鉄骨造間柱の定着部の剛性を高めることができる。
また、上部RC梁及び下部RC梁のコンクリートを打設した後に、上部RC梁が有する第1欠き込み部に、グラウト材を介して柱頭ベースプレートが有する第1プレートを埋設した状態で固定することができる。また、下部RC梁が有する第2欠き込み部に、グラウト材を介して柱脚ベースプレートが有する第2プレートを埋設した状態で固定することができる。よって、柱頭ベースプレート及び柱脚ベースプレートを正確な位置に取り付けることができ、これによって、鉄骨造間柱を正確な位置に接合することができる。従って、鉄骨造間柱の施工精度を向上させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の鉄骨造間柱2のRC梁(上部RC梁1a、下部RC梁1b)への定着構造において、例えば図2に示すように、前記第1プレート4b及び第2プレート5bには、切欠部(第1切欠部4c、第2切欠部5c)が設けられていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、第1プレートには第1切欠部が、第2プレートには第2切欠部が設けられている。よって、第1欠き込み部内に第1プレートを設置し、第2欠き込み部内に第2プレートを設置してグラウト材を充填する際に、グラウト材は第1欠き込み部及び第2欠き込み部を通過することができる。従って、グラウト材を、柱頭ベースプレートの上側及び柱脚ベースプレートの下側に行き渡らせることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鉄骨造間柱2のRC梁(上部RC梁1a、下部RC梁1b)への定着構造において、例えば図5に示すように、前記下部RC梁1bは、前記柱脚ベースプレート5が上方に離間して設けられた半プレキャストRC梁部材(半プレキャスト下部RC梁部材1c)と、
この半プレキャストRC梁部材(半プレキャスト下部RC梁部材1c)の上に打設され、第2プレート5bを埋設して形成される後打ちコンクリート部1dとからなることを特徴としている。
この半プレキャストRC梁部材(半プレキャスト下部RC梁部材1c)の上に打設され、第2プレート5bを埋設して形成される後打ちコンクリート部1dとからなることを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、下部RC梁は、柱脚ベースプレートが上方に離間して設けられた半プレキャストRC梁部材と、柱脚ベースプレートを埋設して形成される後打ちコンクリート部とからなるため、工場生産された半プレキャストRC梁部材を現場で組み上げた後、後打ちコンクリート打設を行えばよい。従って、施工が容易になる。
本発明によれば、柱頭ベースプレート及び柱脚ベースプレートには水平方向のすべりが生じにくくなり、鉄骨造間柱の定着部の剛性を高めることができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る鉄骨造間柱2を隣り合う上部RC梁1aと下部RC梁1bとに定着させる定着構造を示すものである。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る鉄骨造間柱2を隣り合う上部RC梁1aと下部RC梁1bとに定着させる定着構造を示すものである。
図1に示すように、上部RC梁1aに複数の上部アンカーボルト3aが鉛直方向に埋設されており、これらの上部アンカーボルト3aの下端は、上部RC梁1aの下面からそれぞれ一定長さだけ突出している。また、下部RC梁1bに複数の下部アンカーボルト3bが鉛直方向に埋設されており、これらの下部アンカーボルト3bの上端は、下部RC梁1bの上面からそれぞれ一定長さだけ突出している。
上部RC梁1aの下面には第1欠き込み部4aが2つ形成されており、これらの第1欠き込み部4aには、柱頭ベースプレート4の上面に立設された第1プレート4bの一部がそれぞれ埋設されている。また、柱頭ベースプレート4は上部アンカーボルト3aよりも大径のボルト孔4d(図2参照)を有しており、これらのボルト孔4d(図2参照)に上部アンカーボルト3aが挿通されてナット6を緊結することによって、柱頭ベースプレート4は上部アンカーボルト3aに固定されている。さらに、第1欠き込み部4aと第1プレート4bとの間隙、及び上部RC梁1aと柱頭ベースプレート4との間隙には、例えばモルタル等のグラウト材7が充填されている。
同様に、下部RC梁1bの上面には第2欠き込み部5aが2つ形成されており、これらの第2欠き込み部5aには、柱脚ベースプレート5の下面に立設された第2プレート5bの一部がそれぞれ埋設されている。また、柱脚ベースプレート5は下部アンカーボルト3bよりも大径のボルト孔5d(図2参照)を有しており、これらのボルト孔5d(図2参照)に下部アンカーボルト3bが挿通されてナット6を緊結することによって、柱脚ベースプレート5は下部アンカーボルト3bに固定されている。さらに、第2欠き込み部5aと第2プレート5bとの間隙、及び下部RC梁1bと柱脚ベースプレート5との間隙には、例えばモルタル等のグラウト材7が充填されている。
図2に示すように、第1プレート4bには第1切欠部4cが設けられ、第2プレート5bには第2切欠部5cが設けられている。
図1に示すように、柱頭ベースプレート4には柱頭部2aが溶接によって接合されており、柱脚ベースプレート5には柱脚部2bが溶接によって接合されている。また、これらの柱頭部2a及び柱脚部2bには、例えば極低降伏点鋼等の制振部材9が組み込まれた鉄骨造間柱2が、高力ボルトによって接合されている。なお、制振部材9は、極低降伏点鋼等の鋼材製の他、粘弾性体製等から形成してもよい。
次に、上述のように構成される鉄骨造間柱2を隣り合う上部RC梁1aと下部RC梁1bとに定着させる定着構造の施工方法について説明する。
まず、工場において、下部RC梁1bの配筋部及びアンカーボルト3bを組み立て、この周囲に型枠を設置してコンクリートを打設し、半プレキャスト下部RC梁部材を形成する。この半プレキャスト下部RC梁部材を施工現場へ搬送して構造物の所定の位置に取り付けた後、再び周囲に型枠を設置し、図3(a)に示すように、上面からアンカーボルト3bの上端の一部が突出するようにコンクリートを打設して、下部RC梁1bを形成する。
そして、下部RC梁1bの上面に第2欠き込み部5aを2つ形成する。この第2欠き込み部5aは、柱脚ベースプレート5が有する第2プレート5bの一部がそれぞれ埋設されるように、下部RC梁1bの打設直後にゴム型等を押し込むか、下部RC梁1bの表面を削って形成される。また、後述する上部RC梁1aの第1欠き込み部4aについても同様である。
次に、柱脚ベースプレート5に柱脚部2bを溶接によって接合した後、柱脚ベースプレート5が有するボルト孔5dに下部アンカーボルト3bをそれぞれ挿通させる。そして、第2プレート5bの一部をそれぞれ第2欠き込み部5aに挿入させた状態で、ナット6によって所定位置に柱脚ベースプレート5を固定する。このとき、柱脚ベースプレート5を水平に固定するために、柱脚ベースプレート5と下部RC梁1bとの間にスペーサ等を設けてもよい。なお、第2プレート5bには、あらかじめ第2切欠部5cを設けておく。
次に、図3(b)に示すように、第2欠き込み部5aと第2プレート5bとの間隙、及び柱脚ベースプレート5と下部RC梁1bとの間隙に、モルタル等のグラウト材7を充填する。
このグラウト材7が十分な強度を持ったところで、図3(c)に示すように、鉄骨造間柱2を高力ボルトによって柱脚部2bに接合し、さらに鉄骨造間柱2の上端部に、柱頭ベースプレート4に接合された柱頭部2aを高力ボルトによって接合する。
次に、予め工場において形成しておいた半プレキャスト上部RC梁部材を、図3(d)に示すように、構造物の所定の位置に架設する。この半プレキャスト上部RC梁部材には、アンカーボルト3aが下方に突出して埋設されており、半プレキャスト上部RC梁部材の下面には第1欠き込み部4aが2つ形成されている。これらの第1欠き込み部4aに第1プレート4bの一部をそれぞれ埋設した状態で、この半プレキャスト上部RC梁部材の下面から突出したアンカーボルト3aを柱頭ベースプレート4のボルト孔4dに挿通させ、柱頭ベースプレート4を第1ナット6によって固定する。なお、第1プレート4bには、あらかじめ第1切欠部4cを設けておく。
最後に、第1欠き込み部4aと第1プレート4bとの間隙、及び柱頭ベースプレート4と上部RC梁1aとの間隙に、モルタル等のグラウト材7を充填し、半プレキャスト上部RC梁部材の上面にコンクリートを打設して上部RC梁1aを形成する。
なお、以上の実施形態においては、鉄骨造間柱2を柱脚部2bに接合した後に上部RC梁1aを形成したが、上部RC梁1aを形成した後に鉄骨造間柱2を柱脚部2b及び柱頭部2aに接合してもよい。また、上部RC梁1a及び下部RC梁1bは、半プレキャストRC梁部材を用いずに、施工現場で形成してもよい。さらに、グラウト材7の充填は、第1欠き込み部4a及び第2欠き込み部5aに第1プレート4b及び第2プレート5bが挿入されてから鉄骨造間柱2を定着させるまでの間に行えばよい。
第1の実施形態によれば、上部アンカーボルト3aに固定された柱頭ベースプレート4は、上部RC梁1aに埋設される第1プレート4bを有しており、下部アンカーボルト3bに固定された柱脚ベースプレート5は、下部RC梁1bに埋設される第2プレート5bを有している。また、柱頭ベースプレート4が有する第1プレート4bの一部は、上部RC梁1aの第1欠き込み部4aに埋設されてグラウト材7によって固定され、柱脚ベースプレート5が有する第2プレート5bの一部は、下部RC梁1bの第2欠き込み部5aに埋設されてグラウト材7によって固定される。さらに、鉄骨造間柱2は、柱頭ベースプレート4及び柱脚ベースプレート5間に固定される。よって、図4に示すように、鉄骨造間柱2(図1参照)に水平力Hが作用すると、第1プレート4b及び第2プレート5bと上部RC梁1a及び下部RC梁1bのコンクリートに拘束されたグラウト材7との間に生じる支圧力Sと、柱頭ベースプレート4上面とグラウト材7との摩擦力F及び柱脚ベースプレート5下面とグラウト材7との摩擦力Fが協働してこの水平力Hに抵抗する。従って、柱頭ベースプレート4及び柱脚ベースプレート5には水平方向のすべりが生じにくくなり、鉄骨造間柱2の定着部の剛性を高めることができる。
また、下部RC梁1bが有する第2欠き込み部5aに、グラウト材7を介して柱脚ベースプレート5が有する第2プレート5bを埋設した状態で固定することができる。よって、柱脚ベースプレート5を正確な位置に取り付けることができ、これによって、鉄骨造間柱2を正確な位置に接合することができる。従って、鉄骨造間柱2の施工精度を向上させることができる。
さらに、第1プレート4bには第1切欠部4cが、第2プレート5bには第2切欠部5cが設けられている。よって、第1欠き込み部4a内に第1プレート4bを設置し、第2欠き込み部5a内に第2プレート5bを設置してグラウト材7を充填する際に、グラウト材7は第1欠き込み部4a及び第2欠き込み部5aを通過することができる。従って、グラウト材7を、柱頭ベースプレート4の上側及び柱脚ベースプレート5の下側に行き渡らせることができる。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る鉄骨造間柱2を隣り合う上部RC梁1aと下部RC梁1bとに定着させる定着構造を示すものである。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る鉄骨造間柱2を隣り合う上部RC梁1aと下部RC梁1bとに定着させる定着構造を示すものである。
図4に示すように、上部RC梁1aに複数の上部アンカーボルト3aが鉛直方向に埋設されており、これらの上部アンカーボルト3aの下端は、上部RC梁1aの下面からそれぞれ一定長さだけ突出している。また、下部RC梁1bに複数の下部アンカーボルト3bが鉛直方向に埋設されており、これらの下部アンカーボルト3bの上端は、下部RC梁1bの上面からそれぞれ一定長さだけ突出している。
柱頭ベースプレート4は、その上面に立設された2つの第1プレート4bが上部RC梁1aに埋設された状態で、ナット6によって上部アンカーボルト3aに固定されている。同様に、柱脚ベースプレート5は、その下面に立設された2つの第2プレート5bが下部RC梁1bに埋設された状態で、ナット6によって下部アンカーボルト3bに固定されている。
なお、上部RC梁1aに埋設される柱頭ベースプレート4の深さ、及び下部RC梁1bに埋設される柱脚ベースプレート5の深さは、10mm程度もしくはベースプレートの厚さの半分程度が望ましい。
柱頭ベースプレート4には柱頭部2aが溶接によって接合されており、柱脚ベースプレート5には柱脚部2bが溶接によって接合されている。また、これらの柱頭部2a及び柱脚部2bには、例えば極低降伏点鋼等の制振部材9が組み込まれた鉄骨造間柱2が、高力ボルトによって接合されている。なお、制振部材9は、極低降伏点鋼等の鋼材製の他、粘弾性体製等から形成してもよい。
次に、上述のように構成される鉄骨造間柱2を隣り合う上部RC梁1aと下部RC梁1bとに定着させる定着構造の施工方法について説明する。
まず、工場において、柱脚ベースプレート5が有するボルト孔5dに下部アンカーボルト3bを挿通させてナット6で固定したものを、下部RC梁1bの配筋部とともに組み立てる。なお、予め柱脚ベースプレート5の下面には第2プレート5bを2つ設け、上面には柱脚部2bを溶接等で接合しておく。
まず、工場において、柱脚ベースプレート5が有するボルト孔5dに下部アンカーボルト3bを挿通させてナット6で固定したものを、下部RC梁1bの配筋部とともに組み立てる。なお、予め柱脚ベースプレート5の下面には第2プレート5bを2つ設け、上面には柱脚部2bを溶接等で接合しておく。
そして、下部RC梁1bの配筋部の周囲に型枠を取り付け所定の高さまでコンクリートを打設し、下部アンカーボルト3bが上方に突出して固定された半プレキャスト下部RC梁部材1cを形成する。このとき、柱脚ベースプレート5の第2プレート5bは、半プレキャスト下部RC梁部材1cの上方に離間している。
その後、半プレキャスト下部RC梁部材1cを構造物の所定の位置に架設し、半プレキャスト下部RC梁部材1cの上面にコンクリートを打設して、後打ちコンクリート部1dを形成する。このとき、第2プレート5bは、完全に後打ちコンクリート部1dに埋設されるようにする。
次に、柱脚ベースプレート5に接合された柱脚部2bに、高力ボルトによって鉄骨造間柱2を接合し、その鉄骨造間柱2に、柱頭ベースプレート4に接合された柱頭部2aを高力ボルトによって接合する。なお、柱頭ベースプレート4には、あらかじめその上面に第1プレート4aを2つ形成しておき、アンカーボルト3aを固定しておく。その後、上部RC梁1aの配筋部を構造物の所定の位置に架設し、周囲に型枠を設置してコンクリートを打設してRC梁11bを形成する。
なお、本実施形態においては、下部RC梁1bは、半プレキャスト下部RC梁部材を用いずに現場で打設してもよい。
第2の実施形態によれば、上部アンカーボルト3aに固定された柱頭ベースプレート4は、上部RC梁1aに埋設される第1プレート4bを有しており、下部アンカーボルト3bに固定された柱脚ベースプレート5は、下部RC梁1bに埋設される第2プレート5bを有している。また、鉄骨造間柱2は、柱頭ベースプレート4及び柱脚ベースプレート5間に固定される。よって、鉄骨造間柱2に水平力H(図4参照)が作用すると、第1プレート4b及び第2プレート5bとコンクリートとの支圧力S(図4参照)と、柱頭ベースプレート4上面と上部RC梁1aとの摩擦力F(図4参照)及び柱脚ベースプレート5下面と下部RC梁1bとの摩擦力F(図4参照)が協働してこの水平力H(図4参照)に抵抗する。従って、柱頭ベースプレート4及び柱脚ベースプレート5には水平方向のすべりが生じにくくなり、鉄骨造間柱2の定着部の剛性を高めることができる。
また、下部RC梁1bは、柱脚ベースプレート5が上方に離間して設けられた半プレキャスト下部RC梁部材1cと、柱脚ベースプレート5を埋設して形成される後打ちコンクリート部1dとからなるため、工場生産された半プレキャスト下部RC梁部材1cを現場で組み上げた後、後打ちコンクリート打設を行えばよい。従って、施工が容易になる。
なお、以上の実施例においては、上部アンカーボルト3aへの柱頭ベースプレート4の固定方法及び下部アンカーボルト3bへの柱脚ベースプレート5の固定方法、柱頭ベースプレート4と柱頭部2aの接合方法、柱脚ベースプレート5と柱脚部2bの接合方法等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
1a 上部RC梁
1b 下部RC梁
1c 半プレキャスト下部RC梁部材
1d 後打ちコンクリート部
2 鉄骨造間柱
2a 柱頭部
2b 柱脚部
3a 上部アンカーボルト
3b 下部アンカーボルト
4 柱頭ベースプレート
4a 第1欠き込み部
4b 第1プレート
4c 第1切欠部
5 柱脚ベースプレート
5a 第2欠き込み部
5b 第2プレート
5c 第2切欠部
7 グラウト材
F 摩擦力
H 水平力
S 支圧力
1b 下部RC梁
1c 半プレキャスト下部RC梁部材
1d 後打ちコンクリート部
2 鉄骨造間柱
2a 柱頭部
2b 柱脚部
3a 上部アンカーボルト
3b 下部アンカーボルト
4 柱頭ベースプレート
4a 第1欠き込み部
4b 第1プレート
4c 第1切欠部
5 柱脚ベースプレート
5a 第2欠き込み部
5b 第2プレート
5c 第2切欠部
7 グラウト材
F 摩擦力
H 水平力
S 支圧力
Claims (4)
- 鉄骨造間柱を隣り合う上部鉄筋コンクリート造梁と下部鉄筋コンクリート造梁とに定着させる定着構造において、
前記上部鉄筋コンクリート造梁に埋設されて下方向に突出する上部アンカーボルトと、
この上部アンカーボルトに固定される柱頭ベースプレートと、
前記下部鉄筋コンクリート造梁に埋設されて上方向に突出する下部アンカーボルトと、
この下部アンカーボルトに固定される柱脚ベースプレートと、を備え、
前記柱頭ベースプレートは上方向に突出する第1プレートを有し、該第1プレートが前記上部鉄筋コンクリート造梁に埋設され、前記柱脚ベースプレートは下方向に突出する第2プレートを有し、該第2プレートが前記下部鉄筋コンクリート造梁に埋設されており、
前記柱頭ベースプレート及び柱脚ベースプレート間に鉄骨造間柱を固定してなることを特徴とする鉄骨造間柱の鉄筋コンクリート造梁への定着構造。 - 前記上部鉄筋コンクリート造梁は、その下面に前記第1プレートの一部が埋設される第1欠き込み部を備え、
前記下部鉄筋コンクリート造梁は、その上面に前記第2プレートの一部が埋設される第2欠き込み部を備え、
前記第1欠き込み部と前記第1プレートとの間隙、及び前記上部鉄筋コンクリート造梁と前記柱頭ベースプレートとの間隙にグラウト材が充填されており、前記第2欠き込み部と前記第2プレートとの間隙、及び前記下部鉄筋コンクリート造梁と前記柱脚ベースプレートとの間隙にグラウト材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨造間柱の鉄筋コンクリート造梁への定着構造。 - 前記第1プレート及び第2プレートには、切欠部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の鉄骨造間柱の鉄筋コンクリート造梁への定着構造。
- 前記下部鉄筋コンクリート造梁は、前記柱脚ベースプレートが上方に離間して設けられた半プレキャスト鉄筋コンクリート造梁部材と、
この半プレキャスト鉄筋コンクリート造梁部材の上に打設され、第2プレートを埋設して形成される後打ちコンクリート部とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の鉄骨造間柱の鉄筋コンクリート造梁への定着構造。
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