JP5142329B2 - 補強構造 - Google Patents

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本発明は、補強構造に関する。詳しくは、例えば、既存のコンクリート架構と、この既存のコンクリート架構に増設された補強部材と、からなる補強構造に関する。
従来より、既存建物の耐震改修工事では、既存のコンクリート躯体に接するように、新たにコンクリート躯体を増設することが行われている。
この場合、増設するコンクリート躯体を既存のコンクリート躯体に一体化する手法として、後施工アンカーが用いられている。すなわち、既存のコンクリート躯体の表面にハンマードリルで削孔し、この削孔した孔に鉄筋棒を機械的に打ち込む、あるいは、この削孔した孔に鉄筋棒を挿入してエポキシ樹脂で接着する。ここで、鉄筋棒は、コンクリート躯体同士の接合面に略垂直な方向に延出し、増設するコンクリート躯体に十分に定着できるだけの長さを有している。
これにより、接合面に沿ったずれ変形が生じて、後施工アンカーに引張力が加わると、この引張力の反力としてコンクリート接合面に圧縮応力が生じる。そして、このコンクリート接合面は、圧縮応力に摩擦係数を乗じたせん断耐力を有することになる。
しかしながら、後施工アンカーを用いる手法では、コンクリート躯体の断面欠損が大きくなる、という問題がある。
そこで、コンクリートやモルタルでコッターを形成し、このコッターを2つのコンクリート躯体のそれぞれに固定する手法が提案されている(特許文献1参照)。
この手法によれば、摩擦機構に、コッターに加わるシアキー機構が加わることで、せん断耐力を向上できる。
特開昭61−290135号公報
しかしながら、以上の手法では、コッターの強度が不安定であり、また、コッターの重量が大きいため施工性が低くなる、という問題があった。また、様々な大きさの型枠が必要となり不経済である、という問題があった。
本発明は、断面欠損を低減しつつ、新たに補強部材を増設する補強構造を提供することを目的とする。
(1)既存のコンクリート架構と、この既存のコンクリート架構に増設された補強部材と、からなる補強構造であって、前記増設された補強部材は、接合金具を介して前記コンクリート架構に接合され、前記接合金具は、前記既存のコンクリート架構の表面に接着される接着部と、地震時にせん断力を伝達するシアキー部と、を備えることを特徴とする補強構造。
この発明によれば、後施工アンカーを使用しないため、既存のコンクリート躯体に削孔しないので、大きな断面欠損が生じるのを防止できる。また、接合金具を用いたので、コッターと異なり、強度が安定するうえに、重量を軽減できる。また、接合金具を設けるために型枠のサイズを変更する必要はないので、経済的である。
(2)請求項1に記載の補強構造において、前記接着部は、平板状であり、前記シアキー部は、前記接着部の一辺に沿って立設されることを特徴とする補強構造。
(3)請求項2に記載の補強構造において、前記シアキー部の少なくとも一部は、既存の壁に接着されていることを特徴とする補強構造。
この発明によれば、シアキー部の少なくとも一部を既存の壁に接着したので、接合金具と既存のコンクリート架構との接着面積が増大し、強固に固着させることができる。
(4)請求項1に記載の補強構造において、前記接着部は、平板状の鋼板であり、前記コンクリート架構に対向する底面と、当該底面に隣接する側面とで、前記コンクリート架構に接着されていることを特徴とする補強構造。
この発明によれば、コンクリート架構に対向する底面だけではなく、この底面に隣接する側面についてもコンクリート架構に接着した。よって、接合金具の接着部と既存のコンクリート架構との接着強度を向上できる。
(5)請求項1に記載の補強構造において、前記接着部は、平板状の鋼板であり、前記シアキー部は、前記接着部に固定されて略垂直に延びる鉄筋またはボルトであることを特徴とする補強構造。
この発明によれば、シアキー部を接着部の略垂直方向に立設する。よって、シアキー部は、コンクリート架構面に沿った方向のせん断力に対して抵抗するので、シアキー部による直接せん断抵抗機構が摩擦抵抗機構に累加されて、これら2つの抵抗機構によりせん断力に抵抗するから、せん断耐力を向上できる。
(6)請求項1から4のいずれかに記載の補強構造において、前記接合金具のシアキー部には、接合鉄筋が係止されていることを特徴とする補強構造。
この発明によれば、接合鉄筋をシアキー部に係止させたので、補強部材と接合金具との食い付きを向上できる。
(7)請求項1から6のいずれかに記載の補強構造において、前記接着部が接着される既存のコンクリート架構の表面には、接着材が充填される凹部が形成されていることを特徴とする補強構造。
ここで、凹部とは、線状や半円状の溝や穴など、コンクリート架構の表面が凹んだ形状であれば、どのような形状でもよい。
この発明によれば、凹部に充填された接着材が硬化してコッターとしての機能を果たすことで、接合金具の接着部と既存のコンクリート架構との接着強度を向上できる。
本発明によれば、後施工アンカーを使用しないため、既存のコンクリート躯体に削孔しないので、大きな断面欠損が生じるのを防止できる。また、接合金具を用いたので、コッターと異なり、強度が安定するうえに、重量を軽減できる。また、接合金具を設けるために型枠のサイズを変更する必要はないので、経済的である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る補強構造が適用された建物1の骨組み立面図である。
建物1は、既存のコンクリート架構としての構造体10と、この構造体10と接するように増設された補強部材としての増設壁11A、11B、11Cと、を備える。
このうち、増設壁11Aは、改修工事により構造体10に増設されたものであり、壁型枠にコンクリートを圧入することで形成された壁本体12と、この壁本体12の上部と構造体10との隙間にグラウト材を充填して形成されたグラウト部13と、を備える。
増設壁11Aは、図1に示すように、1スパン全体に亘って設けられて壁や、1スパンの半分程度に亘って設けられた袖壁である。
図2は、構造体10の増設壁11Aが設けられる部分の斜視図である。
構造体10の増設壁11Aが設けられる部分10Aには、ショットブラストにより目荒らしされている。この目荒らしは、5mm程度の凹凸面とする。
この目荒らしされた部分10Aには、接合金具20がエポキシ樹脂接着材により接着されている。増設壁11Aは、この接合金具20を含んで打設されたコンクリートで形成されている。
接合金具20は、コンクリート表面までの寸法(つまり、かぶり厚さ)が30mm程度となるように、増設壁11Aの中に納められている。これは、耐火性能を保証するために、かぶり厚さを確保する必要があるからである。
接合金具20は、構造体10に接するように延出して構造体10の表面に接着される矩形平板状の接着部21と、この接着部21の略中央に略垂直に立設されたシアキー部22と、接着部21に設けられた接合鉄筋23と、を備える。
エポキシ樹脂接着材は、接着部21の接着面積を大きく確保するために、接着部21の構造体10に対向する底面だけではなく、この底面に隣接する側面まで盛られている。
接合金具20の接着部21およびシアキー部22は、具体的には、2つのL字形状の鋼材を背中合わせに配置することにより形成される。
なお、本実施形態では、L字形状の鋼材により接合金具20を形成したが、これに限らず、2つのプレート材を直交方向に配置して溶接することにより接合金具を形成してもよい。
接合鉄筋23は、接合金具20に一体化しており、接合金具20に溶接される。ここでは、シアキー部22を挟んで両側の接着部21の表面に、一対の接合鉄筋23が溶接されている。
この接合鉄筋23の溶接には、例えば、スタッド溶接、摩擦圧接溶接、または高周波誘導加熱圧着が用いられる。
鉄筋をスタッド溶接する場合、鉄筋に対する最小母材厚さは、D13では5mmであり、D16では6mm、Dl9では8mm、D22は10mm、D25は12mmである。
鉄筋を摩擦圧接溶接する場合、鉄筋径と母材プレート(SM490)厚さの関係は、異形鉄筋D13、D16ではプレート厚さ9mm以上、D19では12mm以上、D22、D25では16mm以上が必要である(Head−Bar(登録商標)建築用の設計・施工指針、pp.2−3)。
以下、既存のコンクリート躯体と増設したコンクリート躯体との接合面の引抜き耐力Tおよびせん断耐力Qについて説明する。
(1)引抜き耐力T
コンクリート躯体同士の接合面の引抜き耐力は期待できないため、引抜き耐力Tは、接合金具の引抜き耐力Tに略等しくなる。
そこで、接合金具の引抜き耐力Tを求める。接合金具の引抜き破壊モードは、シアキー部の引張破壊、接着部の引張破壊、接着部と既存コンクリートとの接合部分の引張破壊、および、既存コンクリートのコーン状破壊のうちのいずれかである。
よって、接合金具の引抜き耐力Tを、以下の式(1)に示すように、鉄筋の引張耐力Ta1、接着部の引張耐力Ta2、接着部と既存コンクリートとの接合部分の引張耐力Ta3、および、既存コンクリートのコーン状破壊の引張耐力Ta4のうちの最小値とする。
Figure 0005142329
鉄筋の引張耐力Ta1を、以下の式(2)に示すように、あと施工アンカーの設計式に基づいて算出する。式(2)において、σは鉄筋の規格降伏強度(N/mm)であり、例えば、SD345ではσ=345N/mmである。また、Aは鉄筋の断面積(mm)である。
Figure 0005142329
接着部の引張耐力Ta2を、以下の式(3)に示すように、あと施工アンカーの設計式に基づいて算出する。式(3)において、σy1は接着部の規格降伏強度(N/mm)であり、例えば、SS400ではσy1=235N/mmである。また、AS1は接着部の最小断面積(mm)である。
Figure 0005142329
接着部と既存コンクリートとの接合部分の引張耐力Ta3を、以下の式(4)に示すように算出する。式(4)において、τはエポキシ樹脂の引張接着強度(N/mm)である。また、AS2は接着部の接着断面積(mm)である。
ここで、エポキシ樹脂接着面の接着強度τ=8N/mm程度である(加藤大介(新潟大学)ほか:増設袖壁で補強されたRC造柱のせん断耐力評価法、2005年JCI年次論文集、VoL27,No.2,pp.199−204,2005、池田正志ほか:1液エポキシ樹脂接着材を用いたコンクリートの接着強度、1998年JCI年次論文集、Vo1.20,No.2,pp.12670−1272,1998)。
Figure 0005142329
コーン状破壊の引張耐力Ta4を、以下の式(5)に示すように、あと施工アンカーの設計式を準用した式に基づいて算出する。式(5)において、σは既存コンクリートの設計基準強度(N/mm)であり、例えば、24N/mmである。αは既存コンクリートのコーン状破壊面の係数であり、1.0以下である。Aは既存コンクリートのコーン状破壊面の接合金具1つ当たりの有効水平投影面積(mm)である。
Figure 0005142329
例えば、既存コンクリートσ=24N/mm、鉄筋D22(SD345)、L−100×100×10で、壁厚250mmの場合、以下のようになる。
a1=345×387=133.5(kN)
a2=235×10×(250−30−30)=446.5(kN)
a3=8×100×(250−30−30)=152(kN)
a4=0.75(√24)×100×(250−30−30)=69.8(kN)
以上より、T=69.8kNとなり、既存コンクリートがコーン状破壊する。
また、例えば、既存コンクリートσ=24N/mm、鉄筋D16(SD295A)、L−100×100×10で、壁厚250mmの場合、以下のようになる。
a1=295×199=58.7(kN)
a2=235×10×(250−30−30)=446.5(kN)
a3=8×100×(250−30−30)=152(kN)
a4=0.75(√24)×100×(250−30−30)=69.8(kN)
以上より、T=58.7kNとなり、鉄筋が破断する。
(1)せん断耐力Q
接合面のせん断耐力Qは、以下の式(6)に示すように、摩擦抵抗機構が負担するせん断耐力Qと、接合金具による直接せん断抵抗機構が負担するせん断耐力Qと、の和である。
Figure 0005142329
摩擦抵抗機構が負担するせん断耐力Qを、以下の式(7)に基づいて算出する。式(7)において、μはコンクリート躯体同士の接合面の摩擦係数であり、σはコンクリート躯体同士の接合面のせん断強度(N/mm)であり、wtは増設コンクリートの厚さ(mm)であり、Lは増設コンクリートの内法長さ(mm)である。
Figure 0005142329
次に、接合金具による直接せん断抵抗機構が負担するせん断耐力Qを求める。接合金具のせん断破壊モードは、シアキー部のせん断破壊、接着部または既存コンクリートのせん断破壊、および、接着部と既存コンクリートとの接合部分のせん断破壊のうちのいずれかである。
よって、接合金具のせん断耐力Qを、以下の式(8)に示すように、鉄筋のせん断耐力Qa1、接着部または既存コンクリートのせん断耐力Qa2、および、接着部と既存コンクリートとの接合部分のせん断耐力Qa3のうちの最小値とする。
Figure 0005142329
鉄筋のせん断耐力Qa1を、以下の式(9)に示すように、あと施工アンカーの設計式に基づいて算出する。式(8)において、σは鉄筋の規格降伏強度(N/mm)であり、例えば、SD345ではσ=345N/mmである。また、Aは鉄筋の断面積(mm)である。
Figure 0005142329
接着部または既存コンクリートのせん断耐力Qa2を、以下の式(10)に示すように、あと施工アンカーの設計式を準用した式に基づいて算出する。式(10)において、σは既存コンクリートの設計基準強度(N/mm)であり、例えば、24N/mmである。αは既存コンクリートのコーン状破壊面の係数であり、1.0以下である。また、σy1は接着部の規格降伏強度(N/mm)であり、例えば、SS400ではσy1=235N/mmである。また、AS2は接着部の接着断面積(mm)である。
Figure 0005142329
接着部と既存コンクリートとの接合部分のせん断耐力Qa3を、以下の式(11)に示すように算出する。式(11)において、τμはエポキシ樹脂のせん断接着強度(N/mm)であり、例えば、τμ=3N/mmである。また、AS2は接着部の接着断面積(mm)である。
ここで、エポキシ樹脂のせん断接着強度τμ=3N/mm程度である(加藤大介(新潟大学)ほか:増設袖壁で補強されたRC造柱のせん断耐力評価法、2005年JCI年次論文集、VoL27,No.2,pp.199−204,2005)。
Figure 0005142329
例えば、既存コンクリートσ=24N/mm、鉄筋D22(SD345)、L−100×100×10で、壁厚250mmの場合、以下のようになる。
a1=345/√3×387=77.1(kN)
a2=24×1.0×100×(250−30−30)=456(kN)
a3=3×100×(250−30−30)=57(kN)
以上より、Q=57kNとなり、接着部と既存コンクリートとの接合部分のせん断破壊となる。
以上より、接合金具に引張力が作用した場合、破壊モードは、既存コンクリート躯体のコーン状破壊となる、と予測できる。
また、コンクリート躯体同士の接合面にせん断力が作用した場合、破壊モードは、既存コンクリートと接合金具とのエポキシ樹脂接着面でのせん断滑り破壊となる、と予測できる。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)後施工アンカーを使用しないため、大きな断面欠損が生じるのを防止できる。
また、接合金具20が接着される部分をショットブラストにより目荒らししたので、エポキシ接着材と構造体10との接着力を向上できる。また、接合金具20を用いたので、コッターと異なり、強度が安定するうえに、重量を軽減できる。また、接合金具を設けるために型枠のサイズを変更する必要はないので、経済的である。
(2)シアキー部22を接着部21の略垂直方向に立設した。よって、シアキー部22は、構造体10の表面に沿った方向のせん断力に対して抵抗するので、シアキー部22による直接せん断抵抗機構が摩擦抵抗機構に累加されて、これら2つの抵抗機構によりせん断力に抵抗するから、せん断耐力を向上できる。
(3)接合金具20をエポキシ樹脂接着材で接着させた。エポキシ樹脂接着材は、十分に大きな接着強度があり、接合金具20と構造体10とを十分強固に固着させることできるので、引抜きによる破壊モードを、エポキシ樹脂の引張破壊ではなく、構造体10のコーン状破壊にすることができ、引抜き耐力を向上できる。
(4)必要なせん断耐力の増加量を確保できるように、接合金具20を設置すればよいので、使用する鋼材量を低減でき、かつ、設計の自由度が向上する。
(5)接合金具20のかぶり厚さを確保することで、耐火被覆が不要となり、施工コストを低減できる。
(6)接着部21の構造体10に対向する底面だけではなく、この底面に隣接する側面についても構造体10に接着した。よって、接合金具20の接着部21と構造体10との接着強度を向上できる。
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態に係る補強構造が適用された建物1の増設壁11Aが設けられる部分の斜視図である。
本実施形態では、増設壁11Aの構造および接合金具20Aの構造が、第1実施形態と異なる。
すなわち、増設壁11Aは、改修工事により構造体10の既存の壁14に沿って増し打ちされたものである。この増設壁11Aは、図1に示すように、1スパン全体に亘って設けられて壁や、1スパンの半分程度に亘って設けられた袖壁である。
接合金具20Aは、構造体10に接するように延出して構造体10の表面に接着される矩形平板状の接着部21Aと、この接着部21Aの一辺に沿って略垂直方向に立設されたシアキー部22Aと、接着部21Aまたはシアキー部22Aに設けられた接合鉄筋23Aと、を備える。
この接合金具20の接着部21Aおよびシアキー部22Aは、断面がL字形状であり、1本のL字形状の鋼材により形成される。
以上の接合金具20の接着部21Aは、構造体10の目荒らしした部分10Aにエポキシ樹脂接着材で接着され、シアキー部22Aは、既存の壁14の目荒らしした部分14Aにエポキシ樹脂接着材で接着される。
本実施形態によれば、上述の(1)〜(6)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(7)シアキー部22Aを既設壁14の表面に接着したので、接合金具20と構造体10との接着面積が増大し、強固に固着させることできる。
〔第3実施形態〕
図4は、本発明の第3実施形態に係る補強構造が適用された建物1の増設壁11Aが設けられる部分の斜視図である。
本実施形態では、接合金具20Bの構造が、第1実施形態と異なる。
すなわち、接合金具20Bは、構造体10に接するように延出して構造体10の表面に接着される矩形平板状の接着部21Bと、この接着部21Bに固定されたシアキー部としての鉄筋22Bと、を備える。この鉄筋22Bは、具体的には、接着部21Bに摩擦圧接あるいは溶接される。
このような接合金具20Bは、例えば、図5の右側に示すように、構造体10の表面に所定間隔おきに設置される。具体的には、構造体10の表面とは、梁・床の上面および下面、ならびに柱の側面である。
あるいは、接合金具20Bは、図5の左側に示すように、構造体10の表面のうち壁11Aの四隅に相当する箇所にのみ設置される。具体的には、接合金具20Bは、梁・床面の上面および下面の柱寄りの位置に設けられる。
(1)引抜き耐力T
接合金具の引抜き耐力Tを、以下の式(12)に示すように、鉄筋の引張耐力Ta1、接着部と既存コンクリートとの接合部分の引張耐力Ta3、および、既存コンクリートのコーン状破壊の引張耐力Ta4のうちの最小値とする。
Figure 0005142329
例えば、既存コンクリートσ=24N/mm、鉄筋D13(SD295A)、PL−70×150の場合、以下のようになる。
a1=295×127=37.4(kN)
a3=8×70×150=84.0(kN)
a4=0.75(√24)×70×150=38.6(kN)
以上より、T=37.4kNとなり、鉄筋が引張り破壊する。
また、例えば、既存コンクリートσ=24N/mm、鉄筋D16(SD295A)、PL−70×240の場合、以下のようになる。
a1=295×199=58.7(kN)
a3=8×70×240=133.4(kN)
a4=0.75(√24)×70×240=61.7(kN)
以上より、T=58.7kNとなり、鉄筋が引張り破壊する。
(1)せん断耐力Q
a2を、鉄筋のダボ作用耐力とし、以下の式(13)で示す。
Figure 0005142329
よって、既存コンクリートσ=24N/mm、鉄筋D13(SD295A)、PL−70×150の場合、以下のようになる。
a1=295/√3×127=21.6(kN)
a2=1.65×127×√24×√295=17.6(kN)
a3=3×70×150=31.5(kN)
以上より、Q=17.6kNとなり、鉄筋のダボ作用耐力により決定される。
また、既存コンクリートσ=24N/mm、鉄筋D16(SD295A)、PL−70×240の場合、以下のようになる。
a1=295/√3×199=33.9(kN)
a2=1.65×199×√24×√295=27.6(kN)
a3=3×70×240=50.4(kN)
以上より、Q=27.6kNとなり、鉄筋のダボ作用耐力により決定される。
本実施形態によれば、上述の(1)〜(6)の効果と同様の効果がある。
〔第4実施形態〕
本実施形態では、増設壁11B、11Cの構造、および接合金具20Cの構造が、第1実施形態と異なる。
すなわち、図1に示すように、増設壁11Bは、鋼板壁であり、構造体10の表面に沿って設けられた枠部14と、この枠部14で囲まれた部分に設けられた壁本体15と、枠部14と構造体10との隙間にグラウト材を充填して形成されたグラウト部16と、を備える。
この壁本体15は、鋼板151と、この鋼板151に設けられた補強のためのリブ152と、を備える。また、増設壁11Bとしては、鋼板151の中央に1つの開口153が形成されたものや、鋼板151に一対の開口154が形成されたものがある。
また、増設壁11Cは、枠付きの鉄骨ブレースであり、構造体10の表面に沿って設けられた枠部17と、この枠部17で囲まれた部分に設けられた鉄骨ブレース18と、枠部17と構造体10との隙間にグラウト材を充填して形成されたグラウト部19と、を備える。
図6は、本発明の第4実施形態に係る補強構造が適用された建物1の増設壁11Bが設けられる部分の斜視図である。以下、接合金具20Cと増設壁11Bとの接合部分について説明するが、接合金具20Cと増設壁11Cとの接合部分についても、同様の構造である。
接合金具20Cは、構造体10に接するように延出して構造体10の表面に接着される矩形平板状の接着部21Cと、この接着部21Bに溶接されたシアキー部としてのボルト22Cと、を備える。
増設壁11Bの枠部14には、挿通孔141が形成されている。
接合金具20Cのボルト22Cは、この枠部14の挿通孔141に挿通されている。また、このボルト22Cには、プレート24を挟んでナット25が螺合され、これにより、増設壁11Bの枠部14は、接合金具20Cに固定されている。
本実施形態によれば、上述の(1)〜(6)の効果と同様の効果がある。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、図7に示すように、第1実施形態の接合金具20の構成に加えて、接着部21とシアキー部22とを連結する方立て30を設けて、接合金具20Dを形成してもよい。
また、図8に示すように、図7に示す接合金具20Dの構成に加えて、シアキー部22に貫通孔26を設け、この貫通孔26にU字形状に屈曲させた接合鉄筋23Dを挿通して係止して、接合金具20Eを形成してもよい。
このようにすれば、接合鉄筋23Dをシアキー部22に係止させたので、増設壁11と接合金具20との食い付きを向上できる。
また、図は省略するが、既存のコンクリート架構である構造体に、せん断力と交差する方向に、鉄筋のかぶり厚さ程度(例えば、30mm程度)の凹部としての溝部を設けて、この溝部を覆うように接合金具をエポキシ樹脂で接着し、溝部に充填された樹脂が硬化してコッターの機能を果たすことで、接合金具と構造体との接着強度を向上させてもよい。この溝部は、例えば、サンダーなどの電動工具を用いて、構造体の表面に断面半円形の切れ目を入れることで形成される。
本発明の第1実施形態に係るコンクリート接合構造が適用された建物の骨組み立面図である。 前記実施形態に係る補強部材が設けられる部分の斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るコンクリート接合構造の補強部材が設けられる部分の斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るコンクリート接合構造の補強部材が設けられる部分の斜視図である。 前記実施形態に係る接合金具の配置の具体例を示す図である。 本発明の第4実施形態に係るコンクリート接合構造の補強部材が設けられる部分の斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る接合金具の斜視図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る接合金具の斜視図である。
符号の説明
10 構造体(既存のコンクリート架構)
11、11A 増設壁(増設した補強部材)
20、20A、20B、20C、20D、20E 接合金具
21、21A、21B 接着部
22、22A、22B シアキー部
23、23A、23D 接合鉄筋

Claims (2)

  1. 既存のコンクリート架構と、この既存のコンクリート架構に増設された補強部材と、からなる補強構造であって、
    前記増設された補強部材は、接合金具を介して前記コンクリート架構に接合され、
    前記接合金具は、前記既存のコンクリート架構の表面に接着される接着部と、地震時にせん断力を伝達するシアキー部と、を備え
    前記接着部は、平板状であり、
    前記シアキー部は、前記接着部の一辺に沿って立設され、
    当該シアキー部の少なくとも一部は、既存の壁に接着されていることを特徴とする補強構造。
  2. 既存のコンクリート架構と、この既存のコンクリート架構に増設された補強部材と、からなる補強構造であって、
    前記増設された補強部材は、接合金具を介して前記コンクリート架構に接合され、
    前記接合金具は、前記既存のコンクリート架構の表面に接着される接着部と、地震時にせん断力を伝達するシアキー部と、を備え、
    当該シアキー部には、接合鉄筋が係止されていることを特徴とする補強構造。
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