JP4347500B2 - 橋桁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、道路橋、鉄道橋等の橋桁に係り、特に、コンクリートからなる上床版及び下床版と、波形に曲げ加工した構造用鋼板からなるウェブとを有する橋桁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、橋桁をコンクリート、特にプレストレストコンクリートで形成することが一般に行なわれている。そして、支間の長いコンクリート橋では桁の断面形状は、通常箱型となり、上床版と下床版とこれらを連結するウェブとで構成される。このようなコンクリートで構築された橋桁では、桁自重の10〜30%程度をウエブが占めており、鋼からなる橋桁に比べて桁自重がかなり大きくなる。このため、コンクリートのウェブを鋼板ウェブに置き換えることによって桁自重を軽減することが提案されており、特開平7−189425号公報には、ウェブを鉛直方向の折り曲げ線で波形に折り曲げた鋼板ウエブを用いる橋桁が開示されている。このような波型鋼板ウェブを有する橋桁では、桁重量を低減して橋の基礎・下部構造への負担の軽減することができるとともに、上床版及び下床版に導入するプレストレスを導入する効率が向上するという利点がある。また、ウェブが高い剪断座屈耐力を有し、補強材を省略して工費を低減させる効果をも有する。このほか、ウェブの鉄筋組立、コンクリート打設等の作業を簡略化することができ、施工の省力化と工期の短縮を図ることも可能となる。
【0003】
一方、支間の長いコンクリート橋の構築には、橋脚上から両側に橋桁を順次に継ぎ足し、両側への転倒モーメントのバランスをとりながら桁を伸長する片持架設工法、あるいは、橋脚上を移動可能に橋桁を支持し、基端側から順次に桁を継ぎ足して移動させていく押出し工法等が一般的に用いられている。上記波形鋼板ウエブを有する橋桁を、このような片持ち架設工法や押し出し工法で架設しようとすると、桁を順次に継ぎ足すときに、既に構築された桁の鋼板ウェブに波形となった鋼板材を接合するとともに、既に構築された部分と連続するように上床版と下床版とのコンクリートを打設することになる。
【0004】
上記のように橋桁を構築するに際に、波形となった鋼板ウエブ32の接合は、図12(a)に示すように鋼板の端部を重ねて隅肉溶接する方法、あるいは図12(b)に示すように鋼板を重ねあわせるか、添設板を双方の鋼板材に重ね合わせ、高力ボルト39により固定する方法等が従来において採用されている。
【0005】
また、波形の鋼板材とコンクリートからなる上床版又は下床版との接合構造は、ウエブの端部にコンクリートと一体となる構造を形成し、これをコンクリートに埋設する構造を採用している。図8から図11は、鋼板ウェブをコンクリートの床版と接合する構造の、従来から知られている例を示す概略図である。
【0006】
図8に示す構造は、平板状のフランジ31を鋼板ウエブ32の上端(下端)に溶接で取り付け、このフランジ31の上面(下面)にスタッドジベル30を植設して、これを埋め込むとともに、フランジと密接するようにコンクリートを打設して上(下)床版を形成するものである。
【0007】
図9に示す構造は、スタッドジベル30の代わりにアングル33を溶接し、これに鉄筋34を係止してこれらを埋め込むように床版のコンクリートを打設するものである。
また、図10に示す構造は、スタッドジベル30に加えて開孔を有するリブ35を橋軸方向に溶接し、これに橋軸と直角な方向の鉄筋36を挿通することにより、さらに耐荷性及び鋼板ウェブと上床版コンクリートとの一体性を高めたものである。
図11に示す構造は、フランジを用いずに、鋼板ウエブ32の端縁に橋軸方向の鉄筋37を溶接するとともに、鋼板自体にも孔をあけ、橋軸と直角の方向に鉄筋38を挿通して、コンクリート床版に埋め込むものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような波形鋼板ウエブを有する橋桁では、コンクリート床版と鋼板ウエブとの接合部の構造、及び鋼板ウエブを橋軸方向に接合する構造に次のような問題点が有る。
【0009】
コンクリート床版と鋼板ウェブとの接合部の構造では、鋼板ウエブに腐食が生じやすいという問題がある。鋼板ウェブの腐食は水の媒介で進行するが、特に、コンクリートと鋼板ウエブとの接触点に水が存在する場合に、コンクリート中の化学成分の溶出にともなって高い速度で腐食が進行する。このようなコンクリート、鋼及び水の三者が共存する、いわゆるトリプルポイントは、コンクリート床版と鋼板ウエブとの接触部が外気に露出している部分であり、シリコンゴムのような止水材を配しても腐食の進行を充分に抑止するのは難しい。
【0010】
図11に示す従来の構造では、鋼板ウェブが床版40のコンクリート中に埋設されているので、図13(a)に示すように、トリプルポイントTpが波形となった鋼板ウェブ32の本体上にあり、大きな応力が作用する部分の腐食が早期に始まってしまう。一方、図8、図9又は図10に示すようなフランジ31を波形の鋼板ウェブに溶接するタイプでは、図13(b)に示すように、フランジの端縁にトリプルポイントTpが生じるので、このトリプルポイントから荷重に抵抗する鋼板ウェブまでの距離Dを確保することができる。しかし、鋼板ウェブに作用する応力はこの波形となった鋼板ウェブとフランジとの溶接部を介して伝達されることになり、この溶接部分の疲労に対する信頼性が充分に確認されている必要がある。このため、溶接作業に高度の管理が必要となる。
【0011】
鋼板ウエブとなる波形の鋼板材を橋軸方向に接合する部分の構造に関しては、図12に示すような接合構造では、接合する鋼板材の相対位置の調整が難しいという問題がある。特に片持ち架設工法や押し出し工法を用いるときに、架設時の構造系と完成時の構造系との相違によって鋼板ウェブを接合した後に生じる変形、及び桁完成後に生じるクリープ変形等を考慮して桁の形状を現場で調整しようとしても、従来の方法では鋼板ウェブの形状寸法や高力ボルトを挿通する穴の位置があらかじめ精密に設定されており、現場での調整が困難となる。また、図12に示すような隅肉溶接やボルト接合は、もともと煩雑な作業である上に、上述した理由で精密な位置合わせが難しいために、工期が長くなってしまうという問題点がある。
【0012】
本願発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、その目的は、波形の鋼板ウエブを現場において容易に接合し、効率的な施工が可能な橋桁を提供すること、又は波形となった鋼板ウエブとコンクリート床版との接合部に高い耐久性及び信頼性を有する橋桁を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、 コンクリートからなる上床版及び下床版と、 上下方向の折曲げ線によって波形に曲折された鋼板材からなり、前記上床版と下床版とを連結する鋼板ウェブとを有する橋桁であって、 前記鋼板ウェブを構成する複数の鋼板材を、該橋桁の軸線方向に連続させるための接合部が、該橋桁の軸線方向における該鋼板材の端部に上下方向に沿って形成され、 該接合部は、接合される双方の鋼板材の端縁が突き合わせられるか又は重ね合わせられ、 双方の前記鋼板材に、その端縁とほぼ平行にそれぞれ添設板が取り付けられ、 該添設板は、前記鋼板材と離れた位置で先端が互いに突き合わせられるか又は重ね合わされ、 接合される双方の鋼板材と二枚の前記添設板とで囲まれる部分にコンクリートが充填されている橋桁を提供する。
【0014】
このような橋桁では、波形となった鋼板ウェブを橋軸方向に接合する部分がコンクリートを打設することによって形成されるので、現場での溶接工程は不要となる。したがって、溶接作業によって工程が長くなることがなく、円滑に作業を進めることができる。また、接合部が溶接や高力ボルトによる接合のようにあらかじめ鋼板材を精密に加工しておく必要がなく、接合する鋼板ウェブの相対位置を現場で適宜に調整して接合することができ、作業性が良好となる。さらに、鋼板ウェブの接合部にコンクリート部材が一体化されるので、ウェブの剛性が大きくなり、ウェブの補強効果が期待できる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の橋桁において、 接合される前記鋼板材と前記添設板とには、これらで囲まれる範囲の内側に向かって、コンクリートに埋め込んで一体化するための複数の突起が設けられているものとする。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の橋桁において、 前記突起の付け根付近には、前記鋼板材と添設板とで囲まれた範囲の周方向に鉄筋が配置されているものとする。
【0017】
このような橋桁では、鋼板ウェブを形成する鋼板材と添設板とに設けられた突起、例えばスタッドジベルを介して剪断力及びその他の力がコンクリートに伝達され、さらに他方の鋼板材に伝達される。したがって、鋼板ウェブの接合が緊密なものとなる。
また、突起の付け根付近に鉄筋を配置することによって接合部のコンクリートは有効に補強され、鋼板ウェブに作用する剪断力等は接合部においても円滑に伝達される。
【0018】
請求項4に記載の発明は、 コンクリートからなる上床版及び下床版と、 上下方向の折曲げ線によって波形に曲折された鋼板材からなり、前記上床版と下床版とを連結する鋼板ウェブとを有し、 これらによって断面が箱型となった橋桁であって、 前記鋼板ウェブの、箱形となった断面の内側となる内側面の上縁付近又は下縁付近に、コンクリートに埋め込んで一体化するための複数の突起が設けられ、 前記上床版又は下床版が、前記上床版の下面から下方に突き出して橋桁の軸線方向に延びる突部、又は前記下床版から上方に突き出して橋桁の軸線方向に延びる突部を有し、 前記上床版又は下床版と前記鋼板ウェブとは、前記突部の外側面と前記鋼板ウェブの内側面とが密着し、前記上床版又は下床版のコンクリートが、前記突起を埋め込むように接合されている橋桁を提供するものである。
【0019】
このような橋桁では、コンクリートからなる床版は、波形となった鋼板ウェブの側面に密着し、突起によって強固に一体化される。これにより、鋼板ウェブは、溶接部を介することなくコンクリート床版と直接に一体化され、構造的な信頼性が向上する。また、箱形となった桁断面の外側では、いわゆるトリプルポイントが、波形となった鋼板材の端縁となり、鋼板ウェブの大きな応力が作用する部分から離れた位置とすることができる。これにより耐久性が向上する。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の橋桁において、 前記鋼板ウェブの前記突起が設けられた側面に、横方向に突き出した片フランジを有し、 前記上床版又は下床版のコンクリートが、前記片フランジに接触するとともに、該片フランジに設けられた突起を埋め込むように形成されているものとする。
【0021】
この橋桁では、コンクリート床版は鋼板ウェブの側面とこの鋼板ウェブから突き出した片フランジと密接するように接合され、広い範囲で力が伝達される構造となる。したがって、応力の集中が回避され、信頼性の高い構造となる。また、箱形断面の内側でもコンクリートと鋼ウェブとの接触点を、大きな応力が作用する部分から離れた位置とすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態である橋桁を示すもので、波形鋼板ウエブを有する橋桁の切断面とその周辺部を斜め下方からの見た斜視図として示すものである。
この橋桁は、プレストレストコンクリートからなる上床版11及び下床版12と、鋼板材を波形に曲折した鋼板ウェブ10とで主要部が構成されており、橋軸方向に所定の長さのブロックごとに波形の鋼板材を接合し、この部分の上床版11及び下床版12のコンクリートを順次に打設することによって構築されたものである。
【0023】
この桁の橋軸方向のプレストレスは、主に箱形の断面の内側に張設されたケーブル(図示しない)の引張力によって導入されており、必要に応じて、上床版11及び下床版12のコンクリート内部に緊張材が配置され、この緊張材の張力によってプレストレスが導入される。また、上床版11のコンクリート内には、橋軸と直角方向に、所定間隔で緊張材が埋め込まれ、橋面に作用する輪荷重等に耐え得るようにプレストレスが導入されている。
【0024】
図1中に示す符号Aは、鋼板ウエブ10とコンクリートからなる上床版11との接合部を示し、符号Bは施工ブロックb1 と施工ブロックb2 との間における鋼板ウエブ10の接合部である。
【0025】
上記鋼板ウエブ10とコンクリートからなる上床版11の接合部は次のような構造となっている。
鋼板ウエブ10の上端部には、端縁から所定の距離L1 の位置に、ウエブの内側に沿って横方向に突き出した片フランジ13が溶接によって取り付けられている。この片フランジ13は、図2に示すように、鋼板ウエブ10に対して直角に接合されており、従って、鋼板ウエブ10の鉛直線に対する傾斜角度θ1 と、片フランジ13の水平線に対する傾斜角度θ2 とは等しくなっている(θ1 =θ2 )。勿論、片フランジ13の取り付け角度を調整してθ2 をθ1 と異なる値に設定してもよい。
【0026】
上記片フランジ13は、図3に示すように、鋼板ウエブ10の屈曲した形状に合わせて輪郭が形成されており、従って、鋼板ウエブ10の凹んだ箇所と突出した箇所との双方に端縁を密着させて溶接固定されている。そして、片フランジ13は、鋼板ウエブ10が内側に凸状となった位置においても所定の幅L2 を有するように、該片フランジの形状及び寸法が設定されている。
【0027】
上記鋼板ウエブ10は、片フランジ13が接合された位置より端部側の内側面に、スタッドジベル14aが所定の間隔で植設されている。また、上記片フランジにも上記鋼板ウェブに植設されたものと対向するようにスタッドジベル14bが植設され、これらの面が、上床版11のコンクリートとの接合面となっている。
【0028】
コンクリートからなる上床版11は、その下面に突出して形成された橋軸方向に延びる突部15を有しており、この突部の外側面を鋼板ウエブ10の内側面に密着させ、突部15の下面を片フランジ13の上面に密着させ、それぞれのスタッドジベル14を埋め込むことにより固着させられている。
なお、下床版との接合も、ほぼ同様の構成によるものであり、鋼板ウェブ及び片フランジに植設されたスタッドジベルによって強固に固着される。
【0029】
このような構成とすることにより、コンクリートからなる上床版11は、スタッドジベル14を介して鋼板ウエブ10及び片フランジ13と一体化され、力が鋼板ウェブ10から直接に上床版11のコンクリートに伝達される。また、片フランジ13を介しても力が伝達され、荷重伝達の分散性が向上し、全体として高い強度を得ることができる。また、耐久性の点で問題となるトリプルポイントTpを大きな応力が作用する部分から離れた位置とすることができ、高い耐久性を有するものとなる。
【0030】
次に、波形鋼板ウエブ10の接合部について説明する。
鋼板ウエブ10を形成する鋼板材の橋軸方向の端部には、図3に示すように、端縁と平行に添設板16が溶接によって取り付けられ、鋼板ウェブ10から分岐して該鋼板ウェブ10と離れて対向するものとなっている。この添設板16の上下端は、片フランジ13に突き当てられ、隙間なく溶接されている。このような添設板16を取り付けることによって、この添設板16aと鋼板ウェブ10aとの間に、鋼板ウェブ10aの端縁に沿って開口し、上下方向に延びる溝状の凹部17aが形成されている。そして、凹部17の内面にはスタッドジベル14cが植設されている。
【0031】
隣接するように接合されるもう一方の鋼板ウエブ10bの端部にもこれと同様の溝状の凹部17bが形成されており、両者を突き合わせることにより、六角形状の柱状空間が形成される。この内部にコンクリート23を打設することによって両者を接合している。この例では、一方の添設板16bの端縁付近を他方に重ねあわせ、その縁辺を溶接で接合しているが、接合される双方の添設板を互いに突き合わせるようにし、外側に補強板を溶接するようにしてもよい。また、突き合わせるだけでもよい。
【0032】
次に、このような構成の橋桁をブロックごとに構築する工程を説明する。
片持架設工法の場合は、橋脚上から両側に継ぎ足すように橋桁を構築してゆくので、既に構築されている橋桁の張り出し部先端に、新たな橋桁のブロックを構築する。したがって、張り出した橋桁の先端部で鋼板ウェブ10は、図4に示すように溝状の凹部17が開口した状態となっている。また、押し出し工法の場合は、桁の押し出し方向の後方端に、新たなブロックが形成されるものであり、既に構築された桁の後方の端部に鋼板ウェブが突出し、その端縁に溝状の凹部が形成されている。
なお、新たなブロックを接合する端面で鋼板ウェブ10が突出しているのは、施工性を考慮して上床版11及び下床版12のコンクリートの打継ぎ目を鋼板ウェブ10の端縁よりやや離れた位置に設定していることによるものである。
【0033】
上記鋼板ウェブの端部に形成された溝状の凹部17内には、図5に示すように、縦筋19とこれを楕円筒状に束ねるフープ筋20とからなる鉄筋カゴ21を配置する。そして、図6及び図7に示すように、新設するブロックのための鋼板ウエブ10bを所定位置に据え付ける。このとき、鋼板ウェブ10a,10bの端部は直接に溶接や高ボルト等で結合するものではないので、鋼板ウェブ10bの位置や角度等の位置調整は容易におこなうことができる。
【0034】
次に、上床版11及び下床版12のコンクリートを打設するための型枠(図示しない)を、片フランジ13もしくは下床版と密接する片フランジ18及び鋼板ウェブ10と連続するように構築した後、コンクリートを打設する。また、接合部の鋼板ウェブ10と添設板16とによって囲まれた柱状空間22内にも、上部の開口から同時にコンクリートを打設する。その後、必要に応じて、重ね合わされた添設板16を溶接接合し、補強することができる。また、鋼板ウェブ10又は添設板16の端縁が突き合わされているときには、別の鋼板材を当接し、この板材と両側の鋼板ウェブ10又は添設板16とを溶接接合してもよい。なお、このような溶接作業は、橋桁をブロックごとに接合するように構築した後の随時に行なうことができるので、この工程によって橋桁全体を架設する工程が支配されることはない。
このように、上床版と一体に接合部のコンクリート打設を行なうことにより、打設作業を効率化することができる。
【0035】
また、このような工法では、現場での溶接作業によって工程が支配されることがなく、合理的な工程で迅速な施工が行われる。また、接合部で鋼板ウェブとなる鋼板材の位置調整が容易となり、コンクリート打設後の変位を見越した、いわゆる上げ越しを容易に行なうことができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係る橋桁では、鋼板ウエブを接合する際に、接合される波形の鋼板材の位置及び角度等を適宜に調整することができ、鋼板材に精密な加工をすることなく、上げ越し等の桁構築後の変形等にも充分に対応することができる。また、現場での溶接工程等によって橋桁の架設工程が支配されることがなく、溶接やボルトの締結のような精密さを要する作業を含まないので、鋼板ウエブの接合を効率的に行うことができる。
【0037】
さらに、鋼板ウエブと上床版又は下床版との接合部は、鋼板ウェブの内側面にコンクリートを密着する構造となっているので、耐久性の点で問題となる、いわゆるトリプルポイントが構造の重要な部分から離れた位置となるように設定することができ、高い耐久性を得ることができる。また、鋼板ウェブがコンクリートと直接に接合され、構造的な信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明に係る橋桁を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す橋桁の断面図である。
【図3】 図1に示す橋桁の鋼板ウエブの平断面図である。
【図4】 図1に示す橋桁を、順次継ぎ足すように接合して構築する工程における接合端部を示す概略斜視図である。
【図5】 図1に示す橋桁の構築過程における、鋼板ウエブの接合端部に鉄筋カゴを配置する工程を示す概略斜視図である。
【図6】 鋼板ウエブを接合する工程を示す概略斜視図である。
【図7】 施工ブロック接合部のコンクリートを打設する前の状況を示す概略斜視図である。
【図8】 従来のコンクリート床版と鋼板ウエブとの接合部を示す斜視図である。
【図9】 従来の床版と鋼板ウエブとの接合部の他の例を示す斜視図である。
【図10】 従来の床版と鋼板ウエブとの接合部の他の例を示す斜視図である。
【図11】 従来の床版と鋼板ウエブとの接合部の他の例を示す斜視図である。
【図12】 鋼板ウエブを橋軸方向に接合する構造の従来例を示す概略断面図である。
【図13】 従来の橋桁におけるトリプルポイントの位置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10 鋼板ウエブ
11 上床版
12 下床版
13 片フランジ
14 スタッドジベル
15 上床版コンクリートの凸部
16 添設板
17 溝状の凹部
18 下床版と密接する片フランジ
19 縦筋
20 フープ筋
21 鉄筋カゴ
22 柱状空間
D,L1 距離
L2 幅
B1 橋桁の施工ブロック
B2 橋桁の施工ブロック
θ1 傾斜角度
θ2 傾斜角度
Claims (5)
- コンクリートからなる上床版及び下床版と、
上下方向の折曲げ線によって波形に曲折された鋼板材からなり、前記上床版と下床版とを連結する鋼板ウェブとを有する橋桁であって、
前記鋼板ウェブを構成する複数の鋼板材を、該橋桁の軸線方向に連続させるための接合部が、該橋桁の軸線方向における該鋼板材の端部に上下方向に沿って形成され、
該接合部は、接合される双方の鋼板材の端縁が突き合わせられるか又は重ね合わせられ、
双方の前記鋼板材に、その端縁とほぼ平行にそれぞれ添設板が取り付けられ、
該添設板は、前記鋼板材と離れた位置で先端が互いに突き合わせられるか又は重ね合わされ、
接合される双方の鋼板材と二枚の前記添設板とで囲まれる部分にコンクリートが充填されていることを特徴とする橋桁。 - 接合される前記鋼板材と前記添設板とには、これらで囲まれる範囲の内側に向かって、コンクリートに埋め込んで一体化するための複数の突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の橋桁。
- 前記突起の付け根付近には、前記鋼板材と添設板とで囲まれた範囲の周方向に鉄筋が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の橋桁。
- コンクリートからなる上床版及び下床版と、
上下方向の折曲げ線によって波形に曲折された鋼板材からなり、前記上床版と下床版とを連結する鋼板ウェブとを有し、
これらによって断面が箱型となった橋桁であって、
前記鋼板ウェブの、箱形となった断面の内側となる内側面の上縁付近又は下縁付近に、コンクリートに埋め込んで一体化するための複数の突起が設けられ、
前記上床版又は下床版が、前記上床版の下面から下方に突き出して橋桁の軸線方向に延びる突部、又は前記下床版から上方に突き出して橋桁の軸線方向に延びる突部を有し、
前記上床版又は下床版と前記鋼板ウェブとは、前記突部の外側面と前記鋼板ウェブの内側面とが密着し、前記上床版又は下床版のコンクリートが、前記突起を埋め込むように接合されていることを特徴とする橋桁。 - 前記鋼板ウェブの前記突起が設けられた側面に、横方向に突き出した片フランジを有し、
前記上床版又は下床版のコンクリートが、前記片フランジに接触するとともに、該片フランジに設けられた突起を埋め込むように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の橋桁。
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