JPH08253912A - 橋梁構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プレートガーダー橋あるいはボックスガーダ
ー橋において、現場施工の効率化と簡便化が可能であ
り、疲労強度の観点で長寿命の鋼橋が実現できる橋梁構
造を提供する。 【構成】 橋脚に所定間隔で複数並列配設した主桁上に
コンクリート床版を設けた、合成または非合成のプレー
トガーダー橋あるいはボックスガーダー橋において、前
記主桁間に鉄筋コンクリート部材を配設し、この鉄筋コ
ンクリート部材と前記主桁とを機械的に結合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はプレートガーダー橋やボ
ックスガーダー橋等の橋梁構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図５と図６に示したように従来の合成ま
たは非合成プレートガーダー橋や合成または非合成ボッ
クスガーダー橋においては、主桁１５に対して横桁４や
対傾構５の取付けるに当たっては、ガセットプレート６
等を介して溶接接合する構造がとられている。このよう
な取付構造のため、鉄骨加工度を高くする必要があり、
高い精度を要するので、仮組立を実施しなければならず
（日本道路協会編「道路橋示方書・同解説II」 鋼橋編
１５．３．４ 仮組立の項）、橋梁の建設コストを高
める要因となっている。

【０００３】また、この溶接接合によるガセットプレー
ト６等の取付は、プレートガーダー橋やボックスガーダ
ー橋の全体の疲労強度の低下につながることが知られて
いる。すなわち、溶接接合によるガセットプレートの取
付は、疲労強度の等級でＥ等級以下（日本鋼構造協会編
「鋼構造物の疲労設計指針・同解説」 ４．３ 継手の
強度等級の項）に分類されており、橋梁全体の疲労寿命
がこの部分で支配されてしまい、経済的に長寿命の鋼橋
の設計ができない。

【０００４】問題は、如何に疲労強度の低下を防ぎなが
ら、簡素な鉄骨加工で施工の効率化がはかれる構造を提
供できるかにあるが、従来の技術では、これらを同時に
達成することはできなかった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、合成
または非合成プレートガーダー橋、あるいは、合成また
は非合成ボックスガーダー橋において、橋梁の現場施工
の効率化および簡便化をはかるとともに、疲労強度の観
点で長寿命の鋼橋が実現できる橋梁構造を提供すること
にある。

【０００６】橋梁の現場施工の効率化および簡便化と
は、従来の横桁または対傾構の取付などの鉄骨加工度を
低減し、精度上の要求である仮組立を省略できる構造と
することである。また、疲労強度の観点で長寿命の鋼橋
を実現するとは、従来のプレートガーダー橋等で多数使
用されている横桁または対傾構の取付による疲労強度等
級の低下を排除し、鋼橋の疲労強度の向上が可能な構造
とすることである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の橋梁構造では、
橋脚に所定間隔で複数並列配設した主桁上にコンクリー
ト床版を設けた、合成または非合成プレートガーダー
橋、あるいは合成または非合成ボックスガーダー橋にお
いて、前記主桁間に鉄筋コンクリート部材を配設し、該
鉄筋コンクリート部材と前記主桁とを機械的に結合す
る。

【０００８】この主桁と鉄筋コンクリート部材との機械
的な結合は、鉄筋コンクリート部材内部に定着されたア
ンカーボルト、あるいは、鉄筋コンクリート部材内部と
主桁を貫通するＰＣ鋼材や主鉄筋を用いて行なうとよ
い。

【０００９】

【作用】主桁を現地に搬入し、所定間隔で複数列に並列
配置して主桁を橋脚間に架設する。この主桁間に配設し
た鉄筋コンクリート部材と主桁と機械的に接合すること
によって桁構造が完成し、主桁の上にコンクリート床版
が打設される。

【００１０】

【実施例】図１と図２に示した実施例の橋梁構造では、
主桁１５は上フランジ１と下フランジ３と腹板３で構成
されている。主桁１５は橋梁の長手方向に沿って配置さ
れ、橋梁の横断方向に複数列に設置されている。主桁１
５と鉄筋コンクリート部材８は、ＰＣ鋼材９によって機
械的に結合されている。

【００１１】この橋梁構造は次の工程で構築される。ま
ず、鉄骨加工がなされた主桁１５を現地に搬入し、所定
の橋脚上に設置する。次に、主桁１５の腹板２に予め設
けてある貫通孔１６と孔位置が一致するようにシース管
１０を主桁１５，１５間に配置する。ＰＣ鋼材９を貫通
孔１６とシース管１０に通して、複数の主桁１５を貫通
する状態に設置する。その後、必要な鉄筋工と型枠工を
行ない、コンクリートを打設することによって、鉄筋コ
ンクリート部材８を主桁１５，１５間に配設する。打設
したコンクリートに所定の強度が発現した後、ＰＣ鋼材
９に所定張力を導入し、ＰＣ鋼材９の端部に嵌めたナッ
ト１１により締結する。最後にコンクリート床版７を打
設して橋梁構造が完成する。

【００１２】図３に示した別の実施例のように、鉄筋コ
ンクリート部材８と主桁１５をアンカーボルト１２によ
って機械的に結合する場合には、主桁１５の腹板２に予
め設けた貫通孔１６にアンカーボルト１２を挿入し、必
要な鉄筋工と型枠工を行ない、コンクリートを打設する
ことによって、鉄筋コンクリート部材８を主桁１５，１
５間に配設する。打設したコンクリートに所定の強度が
発現した後、アンカーボルト１２に嵌めたナット１１に
より締結する。このアンカーボルト１２を用いる結合構
造は、施工上の観点からは、主桁１５の本数が２本の場
合に適する。

【００１３】図４に示した更に別の実施例のように、鉄
筋コンクリート部材８と主桁１５を主鉄筋１３によって
機械的に結合する場合には、主桁１５に予め設けた貫通
孔１６に主鉄筋１３を挿入し、必要な型枠工を行ない、
コンクリートを打設することによって、鉄筋コンクリー
ト部材８を主桁１５，１５間に配設する。主鉄筋１３の
ねじ付き端部１４に嵌めたナット１１で締結した後、コ
ンクリート床板７を打設して橋梁構造が完成する。

【００１４】

【発明の効果】以上のように本発明の橋梁構造では、鉄
骨加工が複雑で精度上の要求も厳しい横桁や対傾構を用
いないので、施工の大幅な簡便化が図れ、施工精度要求
も緩和される。施工上の観点からは、複雑な横桁や対傾
構の鉄骨加工を一切行う必要がなく、簡素な断面形状の
主桁を現地に搬入し、この主桁と鉄筋コンクリート部材
を機械的に結合するだけの工程で桁構造が完成するた
め、本発明によれば、より経済的な橋梁の構築が可能と
なる。

【００１５】また、ガセットプレート等を介して溶接接
合する取付構造でなく、ＰＣ鋼材やアンカーボルト等に
よる機械的結合であるため、溶接部欠陥や熱影響による
残留応力の排除が可能であり、疲労強度の大幅な向上が
達成される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例にかかる橋梁構造の長手方向
の模式的な側面図であり、鉄筋コンクリート部材と主桁
は部材内部を貫通したＰＣ鋼材によって機械的に結合さ
れている。

【図２】図１におけるＡ−Ａ断面図である。

【図３】本発明の別の実施例にかかる橋梁構造の横断方
向の模式的な端面図であり、鉄筋コンクリート部材と主
桁は部材内部に定着されたアンカーボルトによって機械
的に結合されている。

【図４】本発明の更に別の実施例にかかる橋梁構造の横
断方向の模式的な端面図であり、鉄筋コンクリート部材
と主桁は部材内部を貫通した鉄筋により機械的に結合さ
れている。

【図５】従来のプレートガーダー橋の概略的な斜視図で
ある。

【図６】従来のボックスガーダー橋の概略的な斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ 主桁の上フランジ ２ 主桁の腹板 ３ 主桁の下フランジ ４ 横桁 ５ 対傾構 ６ ガセットプレート ７ コンクリート床版 ８ 鉄筋コンクリート部材 ９ ＰＣ鋼材 １０ シース管 １１ ナット １２ アンカーボルト １３ 主鉄筋 １４ 主鉄筋のねじ付き端部 １５ 主桁 １６ 主桁の貫通孔

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 橋脚に所定間隔で複数並列配設した主桁
   上にコンクリート床版を設けた、合成または非合成プレ
   ートガーダー橋、あるいは合成または非合成ボックスガ
   ーダー橋において、前記主桁間に鉄筋コンクリート部材
   を配設し、該鉄筋コンクリート部材と前記主桁とを機械
   的に結合したことを特徴とする橋梁構造。
2. 【請求項２】 機械的な結合が、鉄筋コンクリート部材
   内部と主桁を貫通するＰＣ鋼材または主鉄筋を用いてな
   されることを特徴とする請求項１に記載の橋梁構造。
3. 【請求項３】 機械的な結合が、鉄筋コンクリート部材
   内部に定着されたアンカーボルトを用いてなされること
   を特徴とする請求項１に記載の橋梁構造。