JPH09203740A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡

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JPH09203740A
JPH09203740A JP8031368A JP3136896A JPH09203740A JP H09203740 A JPH09203740 A JP H09203740A JP 8031368 A JP8031368 A JP 8031368A JP 3136896 A JP3136896 A JP 3136896A JP H09203740 A JPH09203740 A JP H09203740A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定対象箇所を特定する光学顕微鏡が併用さ
れた走査型プローブ顕微鏡で、探針を交換したときに、
探針と光学顕微鏡の位置合せを容易、安価かつ確実に行
う。 【解決手段】 XY平面内で試料を変位させるXYステ
ージ12と、試料表面を測定するように設けられた探針23
とを備え、さらに、探針を真上位置から観察できる第1
の光学顕微鏡19と、第1の光学顕微鏡から既知の一定距
離の位置に配置された第2の光学顕微鏡21と、探針の位
置を調整する探針位置決め機構18を備える。第1の光学
顕微鏡には作動距離が大きなものが使用され、第2の光
学顕微鏡には高倍率であって作動距離が小さいものが使
用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は走査型プローブ顕微
鏡に関し、特に、光学顕微鏡が併用される原子間力顕微
鏡等の走査型プローブ顕微鏡において試料の観察場所に
探針を容易かつ確実に位置合せするのに適した走査型プ
ローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】走査型プローブ顕微鏡は、先端の尖った
プローブすなわち探針(以下「探針」という)を、試料
に対してnm(ナノメータ)のオーダで接近させ、観察
表面領域を走査しながら、探針と試料の間に生じるトン
ネル電流や原子間力等を測定することにより、試料の表
面の形状等の特性を原子寸法レベルで測定するための装
置である。かかる走査型プローブ顕微鏡の試料表面にお
ける測定範囲は、最大でも数10μmである。従って、
例えば光ディスク等の大きな試料において1つのアドレ
スビットの細部の異常をチェックするような場合、その
ような微小な部分に探針の先端を目視で合せることは非
常に困難である。そこで、通常、走査型プローブ顕微鏡
では、試料を平面内、例えば直交するX軸とY軸で定義
されるXY平面内で相対的に大きな変位量で変位させる
ためのXYステージと、走査型プローブ顕微鏡の測定範
囲よりも大きな測定領域を有する測定機器、例えば光学
顕微鏡が備えられる。
【0003】光学顕微鏡を備えた走査型プローブ顕微鏡
の従来の代表例の構成は次の通りである。プローブ顕微
鏡装置部とは離れた箇所に光学顕微鏡を備え、かつXY
ステージで試料を比較的に大きな変位で移動させるよう
にし、光学顕微鏡とプローブ顕微鏡装置部を切替えるこ
とにより、試料表面上の目的とする測定対象箇所を観察
する構成を有する(特開平3−40356号公報)。実
際の測定動作では、最初に、XYステージで試料の位置
を変え、測定対象箇所を光学顕微鏡の視野内に捕らえ、
次に、再びXYステージにより当該測定対象箇所を、プ
ローブ顕微鏡装置部の探針と対向する位置に移動させ
る。そしてその後、本来の走査型プローブ顕微鏡による
測定を開始する。上記のXYステージによる移動におい
て、光学顕微鏡の光軸と探針との距離は予め知られてい
るので、XYステージは当該既知の距離だけの移動を行
う。
【0004】一方、走査型プローブ顕微鏡の探針は、使
用時間に応じて先端の尖鋭度が劣化し、丸くなる。また
探針の先端が試料等に接触して先端に曲がりを生じるこ
ともある。このため、探針はしばしば新しいものと交換
する必要が生じる。プローブ顕微鏡装置部において、探
針を交換すると、必ず取付け誤差が生じ、光学顕微鏡の
光軸と探針との距離が変化する。従って、探針を交換す
るたびに両者の距離を測定し、その離間距離を予め知っ
ておくことが必要となる。
【0005】上記の距離の測定について、従来の第1の
測定手段の構成は、位置合せ用標準試料を用意し、当該
標準試料を光学顕微鏡で観察してその像を得、次に、想
定される光軸と探針との距離(例えば設計上の値や探針
交換前の距離)に従ってXYステージを移動し、この位
置で探針を走査することによるプローブ顕微鏡装置部の
像と、光学顕微鏡の像を比較して光軸と新しい探針との
正確な距離を測定するようにしていた。
【0006】また従来の第2の測定手段の構成は、光学
顕微鏡と走査型プローブ顕微鏡との組合せにおいて、光
学顕微鏡によって試料と探針を同時に真上から観察でき
るようにし、目的とする測定対象箇所を、プローブ顕微
鏡装置部の探針に対して位置合せできるようにする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の第1の測定手段
によれば、探針を交換するときに、標準試料の光学顕微
鏡の像とプローブ顕微鏡の像を検出し、これらの像をパ
ターン認識技術で認識することが必要で、相対的に高い
情報処理技術が必要となる。またプローブ顕微鏡装置部
の像を得るためには探針をX軸方向およびY軸方向に走
査することが必要となり、この像を作成するために相当
の時間を要するという不具合がある。
【0008】加えて第1の測定手段によれば、標準試料
を光学顕微鏡で観察した後、想定される光軸と探針との
距離の分だけ移動を行うことになるが、光学顕微鏡の像
に対して、プローブ顕微鏡装置部による像は数μm角の
極微小範囲にあるので、得られたプローブ顕微鏡装置部
による像が、標準試料のどの部分の像であるのかが分か
らなくなる場合がある。また確実に判断を行うようにす
るためには、精密なパターン認識という手法も必要とな
る。
【0009】また標準試料の観点から考えると、当該標
準試料は、数μm角以下の異なったパターンが高精度で
配列されなければならず、かかるパターンを作成するこ
とは困難であり、コスト的に高いものとなる。
【0010】また従来の第2の測定手段によれば、試料
と探針とを同時に真上から観察できるようにするため、
光学顕微鏡の対物レンズと試料との間に、探針とこれを
支持する部材等を配置できることが必要である。このた
め、作動距離の小さい高倍率の対物レンズを有する光学
顕微鏡を使用することが困難であるという問題が提起さ
れる。
【0011】本発明の目的は、試料表面における測定対
象箇所を特定するための光学顕微鏡が併用された走査型
プローブ顕微鏡において、試料の測定対象箇所に探針を
容易かつ確実に位置合せできると共に、特に探針を交換
したときに、探針と光学顕微鏡との位置合せを、容易、
安価かつ確実に行える走査型プローブ顕微鏡を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】第1の本発明
(請求項1に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、X
軸とY軸で決められる平面内で試料を比較的に大きな変
位で変位させる移動手段(XYステージ)と、試料の表
面を測定するように設けられた探針およびこの探針を備
えたカンチレバーとを備え、さらに探針を常に好ましく
は真上位置または斜め上方位置から観察できるように配
置された第1の光学顕微鏡と、探針から離れた位置であ
って第1の光学顕微鏡から既知の一定距離の位置に配置
された第2の光学顕微鏡と、探針の位置を調整する探針
位置決め機構を備えるように構成される。
【0013】第1の本発明では、第1の光学顕微鏡に作
動距離の大きなものが使用され、当該光学顕微鏡によっ
て、探針と試料表面を同時に真上等から観察することが
でき、探針の先端を、第1の光学顕微鏡の視野内の例え
ば視野中心等の所定位置に位置合せを行うようにする。
第1の光学顕微鏡の視野内での探針の位置合せは、探針
位置決め機構によって行われ、特に探針を新しいものに
交換するときなどに行われる。第1および第2の光学顕
微鏡は、その光軸間距離が予めの測定によって既知の状
態にあるので、探針と第1の光学顕微鏡との間で位置合
せが行われると、探針と第2の光学顕微鏡との位置合せ
も同時に行われることになる。第2の光学顕微鏡には、
第1の光学顕微鏡よりも高倍率(高い分解能)のもので
あって作動距離が小さいものが使用される。第2の光学
顕微鏡は、試料の表面における目的とする観察場所を探
し出すための手段であって、第2の光学顕微鏡によって
当該観察場所が探し出されると、上記既知の光軸間距離
だけ移動を行うことによって探針を当該観察場所に測定
のための位置合せをすることができる。
【0014】第2の本発明(請求項2に対応)に係る走
査型プローブ顕微鏡は、第1の発明において、上記第1
の光学顕微鏡が、探針が所定位置にあるか否かを確認す
るための探針位置確認手段であることを特徴とする。
【0015】第3の本発明(請求項3に対応)に係る走
査型プローブ顕微鏡は、第1の発明において、上記第1
の光学顕微鏡が、その視野内で観察される上記探針の位
置を探針位置決め手段によって調整することにより、探
針と第2の光学顕微鏡の位置関係を所定位置関係に位置
合せする位置合せ手段であることを特徴とする。
【0016】第4の本発明(請求項4に対応)に係る走
査型プローブ顕微鏡は、第1〜第3の発明において、上
記第2の光学顕微鏡が、試料の表面における測定対象箇
所を特定するための測定位置特定手段であることを特徴
とする。
【0017】第5の本発明(請求項5に対応)に係る走
査型プローブ顕微鏡は、第4の発明において、第2の光
学顕微鏡が、第1の光学顕微鏡に比較して相対的に高い
分解能を有することを特徴とする。
【0018】第6の本発明(請求項6に対応)に係る走
査型プローブ顕微鏡は、第4の発明において、第2の光
学顕微鏡が好ましくはレーザ顕微鏡である。このレーザ
顕微鏡は十分に高い分解能を有する。
【0019】第7の本発明(請求項7に対応)に係る走
査型プローブ顕微鏡は、第4の発明において、第2の光
学顕微鏡が好ましくは偏光顕微鏡である。偏光顕微鏡
は、十分に高い分解能を有し、特に、形状の変化を伴わ
ない、磁気ディスク上における磁気情報が記録されてい
る場所を観察する場合に適している。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0021】図1は本発明に係る走査型プローブ顕微鏡
の代表的実施形態を示す。本図で、装置フレーム11の
下部の上にXYステージ12が配置される。XYステー
ジ12は、図中紙面に垂直なXY平面内で相対的に大き
な移動変位を生じさせる移動装置であり、X軸方向の移
動を行うためのXステージ12aと、Y軸方向の移動を
行うためのYステージ12bとから構成される。XY平
面は直交するX軸とY軸によって決定される。XYステ
ージ12の上には、上面に試料13が置かれた3次元ス
キャナ14が配置される。3次元スキャナ14は、通常
圧電素子を用いて構成され、上記のX軸とY軸の各方向
に走査のための微動を行い、XY平面に垂直なZ軸方向
に関して高さ(探針と試料の間の距離)を制御するため
の微動を行う。
【0022】演算処理部15はコンピュータで構成さ
れ、CPUと記憶部を含む。記憶部には、前述のXステ
ージ12a、Yステージ12b、3次元スキャナ14の
各々の動作を制御するためのプログラムあるいは移動量
を指定するための指令値等が記憶される。Xステージ1
2aとYステージ12bの各動作はコントローラ16を
経由して演算処理部15によって制御され、3次元スキ
ャナ14の動作はコントローラ17を経由して演算処理
部15によって制御される。演算処理部15は、Xステ
ージ12a、Yステージ12b、3次元スキャナ14の
制御手段として機能する。
【0023】XYステージ12の上方には装置フレーム
11の支持部11aが設けられ、この支持部11aに、
探針位置決め機構18、第1の光学顕微鏡19、CCD
カメラ20a,20b、第2の光学顕微鏡21が取り付
けられる。CCDカメラ20aは第1の光学顕微鏡19
に対応し、光学顕微鏡19で得られる像を画像化する。
CCDカメラ20bは第2の光学顕微鏡21に対応し、
光学顕微鏡21で得られる像を画像化する。探針位置決
め機構18、第1の光学顕微鏡19、第2の光学顕微鏡
21は支持部11aに固定されており、支持部11aが
剛体であることから、それぞれの間は既知の一定距離に
保たれる。
【0024】22はカンチレバーで、その先端部に探針
23が設けられる。この実施形態によるカンチレバー2
2では、真上から探針23を見ることが可能な形状を有
する。カンチレバー22と探針23は、走査型プローブ
顕微鏡の装置部を構成する。走査型プローブ顕微鏡が例
えば原子間力顕微鏡である場合には、探針23と試料1
3との間で生じる原子間力はカンチレバー22のたわみ
量に変換され、このカンチレバー22のたわみ量を例え
ば光てこ方式の原理を利用して検出する。光てこ方式を
適用するには、レーザ光源や光検出器からなる光学系、
および探針・試料間の距離を所定の一定距離に保持する
ための制御系の構成が必要である。しかし、これらの装
置構成はよく知られているので、図1中ではそれらの図
示を省略している。カンチレバー22の基端は探針位置
決め機構18に取り付けられ、この取付け状態におい
て、走査プローブ顕微鏡として測定を行うときには、探
針23の尖鋭な先端部は試料13の表面に臨むことにな
る。探針23を備えるカンチレバー22は、探針位置決
め機構18に対して自在に取付け、取外しを行える構造
となっている。探針23が測定にとって望ましくない状
態であるときには新しい探針と交換される。
【0025】カンチレバー22および探針23の具体的
形状としては、図4に示すものが望ましい。図4のカン
チレバー22では、その先端部が前方下方に折れ曲がっ
た形状に形成され、当該先端部が探針23として用いら
れる。またカンチレバーの一般的なものとしては、図5
に示すものが考えられる。図5のカンチレバー41は下
側から見たものであって、その先端部分に、試料に臨む
ピラミッド形探針42が設けられる。かかる形態を有す
るカンチレバー41で、探針42が中空に作られるもの
では、背面からピラミッド形探針42の稜線の位置を見
ることができる。このため、探針42の先端位置を知る
ことが可能である。このようなカンチレバー41も、本
発明による装置に利用することができる。
【0026】第1の光学顕微鏡19と探針23は、第1
の光学顕微鏡19によって、好ましくはその視野内(視
野外であってもかまわない)で、探針23を常に好まし
くは真上から観察できるような位置関係となるように、
それらの取付け構造が設定されている。より厳密に述べ
ると、走査型プローブ顕微鏡としての測定を行う際にお
けるもっとも望ましい状態では、探針23の先端が、光
学顕微鏡19の円形視野の中心位置(光軸位置)に来る
ように、両者の取付け位置が設定されている。従って、
探針23が試料13の上方位置に存在するときには、第
1の光学顕微鏡19によって、試料13と探針23の先
端とを同時に真上から観察することができる。第1の光
学顕微鏡19によって得られた像は、CCDカメラ20
aによって画像化され、当該画像は表示装置24に映し
出される。第1の光学顕微鏡19で得られた像は、表示
装置24によって確認することができる。
【0027】前述の通り、カンチレバー22と探針23
のユニットは探針位置決め機構18に対して取付け・取
外し自在であるので、カンチレバー22と探針23のユ
ニットを新しいものに交換した場合、探針23の先端
が、第1の光学顕微鏡19の視野の中心に来ないことが
起こり得る。そこで、このような場合には、探針位置決
め機構18に内蔵される位置合せ部を利用して、探針2
3の先端が第1の光学顕微鏡19の視野の中心位置に来
るように調整する。
【0028】第2の光学顕微鏡21は、探針23から離
れ、第1の光学顕微鏡19から一定距離の位置に配置さ
れる。この一定距離は、後述するように、2つの光学顕
微鏡19,21の各々の光軸の間の距離として予め測定
され、実際の測定において既知の距離として扱われる。
第2の光学顕微鏡21で得られた像は、CCDカメラ2
0bによって画像化され、表示装置25に映し出され
る。第2の光学顕微鏡21で得られた像は、表示装置2
5によって確認することができる。
【0029】ここで、第1および第2の光学顕微鏡1
9,21のそれぞれの機能および性能について説明す
る。
【0030】第1の光学顕微鏡19は、前述の通り、そ
の視野内で真上から探針23の先端を観察できる性能を
有するものであることから、探針23の先端部が、合焦
時における光学顕微鏡19の対物レンズ下端と試料表面
との間の隙間、すなわち作動距離で決まる隙間の間に配
置できるという特性を有することが必要である。換言す
れば、第1の光学顕微鏡19は比較的に長い作動距離を
有するものであることが要求される。このような特性を
有する第1の光学顕微鏡19の性能は、相対的に倍率が
低いものとなる。第1の光学顕微鏡19は、その円形視
野内の例えば中心位置に探針23の先端を位置合せする
ことを可能とし、これによって、探針23の位置を確認
または特定する手段として機能する。また第1の光学顕
微鏡19によって、その光軸と探針23の先端との位置
関係を明確に関係付けることができれば、光学顕微鏡1
9,21の各光軸の距離関係が既知であるので、探針2
3と第2の光学顕微鏡21の位置関係(距離)を正確に
定めることが可能となる。その意味で、他の観点から、
第1の光学顕微鏡19を、探針23と第2の光学顕微鏡
21の位置関係を形成する位置合せ手段として把握する
こともできる。
【0031】第2の光学顕微鏡21は、試料13の表面
における測定対象箇所を特定するための手段である。実
際の観察において、第2の光学顕微鏡21で試料13の
表面を観察しながら、XYステージ12で試料13をX
Y平面内で移動し、目的とする観察場所すなわち測定対
象箇所を探し出し、その箇所を円形視野内の中心位置
(光軸位置)に設定する。試料表面における目的とする
観察場所が例えば1μm以下の非常に微細なパターンで
ある場合、第2の光学顕微鏡21には、分解能が1μm
以下の非常に高倍率な光学顕微鏡を使用する。このよう
な高倍率の光学顕微鏡は倍率に応じて作動距離が小さく
なるので、前述した第1の光学顕微鏡として使用するこ
とができない。そこで、本実施形態では、第1の光学顕
微鏡19として作動距離が大きいものを使用し、この第
1の光学顕微鏡19と位置関係(離間距離)が既知であ
る高倍率の第2の光学顕微鏡21を、試料表面の測定対
象箇所を特定する手段として設けるようにし、このた
め、試料表面の微細パターンが1μm以下であっても、
後述するように、探針23を測定対象箇所に容易に位置
合せして観察できる。
【0032】第2の光学顕微鏡21としては例えばレー
ザ顕微鏡を使用できる。また磁気ディズク上の磁気情報
が記録されている場所を走査型プローブ顕微鏡で観察し
たい場合には、形状変化を伴わず、一般の光学顕微鏡に
よる観察ができないので、代わりに偏光顕微鏡を使用す
る。
【0033】次に、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡
の測定動作を説明する。
【0034】測定を開始する前の段階では、探針23の
交換の都度、第1の光学顕微鏡19の視野内における探
針23の先端の位置を、探針位置決め機構18によって
視野の中心に位置合せする。図2は、光学顕微鏡19の
円形視野26において、探針23の先端が視野中心27
から外れた状態を示し、図3は同円形視野26におい
て、位置合せを行って探針23の先端をその視野中心2
7に位置合せした状態を示す。
【0035】上記位置合せ作業は、表示装置24によっ
て光学顕微鏡19で得た像を確認することができるの
で、比較的に容易な作業である。上記説明では、位置合
せを行うのに利用する箇所を視野中心27としたが、こ
れに限定されない。例えば、表示装置24の表示エリア
に縦横の各々に直線を表示し、その交点を位置合せの基
準点として利用することもできる。なお、上記位置合せ
作業は探針ごとに一度行えばよく、その後探針を交換す
るまで行う必要がない。
【0036】測定を開始すると、まず最初に、第2の光
学顕微鏡21によって試料13を観察しながら、XYス
テージ12により試料13を移動し、試料表面における
目的の観察場所を第2の光学顕微鏡21の視野中心に位
置合せする。この位置合せ作業は、表示装置25に表示
される画像を見ながら行う。その後、XYステージ12
を動作させ、試料13を、第2の光学顕微鏡21の光軸
と第1の光学顕微鏡19の光軸との間の距離だけ移動さ
せる。この光軸間距離は、予め測定され、既知の値であ
る。その結果、第2の光学顕微鏡21で探し出された目
的の観察場所は、第1の光学顕微鏡19の視野中心に位
置合せされる。光学顕微鏡19の視野中心には探針23
の先端が位置合せされているので、探針23の先端と目
的の観察場所が位置合せされる。従って探針23を試料
13の表面に接近させ、3次元スキャナ14によって走
査を行い、走査プローブ顕微鏡による測定を行うことに
よって、目的の観察場所の像を得ることができる。
【0037】2つの光学顕微鏡19,21の光軸間距離
の測定例を説明する。まず、第1の光学顕微鏡19によ
り試料13の表面を観察しながら、試料13の上の特徴
点をXYステージ12を動作させることによりその視野
の中心点に位置合せする。次に、XYステージ12によ
って試料13を移動し、上記特徴点を第2の光学顕微鏡
21の視野の中心点に位置合せする。そのときのXYス
テージ12による移動量が、2つの光学顕微鏡19,2
1の光軸間距離として求められる。また試料の表面に特
徴点を見出せないときには、例えば試料の端の角部を利
用することができる。光学顕微鏡19,21による観察
を利用して光軸間距離を求めるようにしたため、特殊な
パターンを有する試料を用意する必要はない。
【0038】また、XYステージ12の移動量について
は、非常に精度よく測定したい場合には、例えばレーザ
変位計を用いて測定すればよい。またμmオーダの精度
でよければ、駆動部にステッピングモータを用い、その
駆動パルスをカウントすることにより知ることができ
る。
【0039】上記の光軸間距離の測定は、その値がその
後変化することはないので、装置を構成した時の最初に
1度だけ行えばよい。
【0040】前述の実施形態では、第1の光学顕微鏡1
9によって真上から探針23の先端を観察するようにし
ていた。しかし、カンチレバーによっては、真上からそ
の探針先端を観察できない場合もあり得る。そこで、第
1の光学顕微鏡19を側方の上方に配置して、光学顕微
鏡19によって斜め上方から探針の先端を観察できる実
施形態を図6と図7に示す。
【0041】図6は、探針位置決め機構18とカンチレ
バー61と探針62の側面図である。このカンチレバー
61では、真上から探針62の先端位置を見ることがで
きない。図7は、図6におけるA方向矢視図である。探
針位置決め機構18とカンチレバー61と探針62の配
置状態は、前述の実施形態の場合と同じである。かかる
カンチレバー61と探針62に対して、第1の光学顕微
鏡19が傾斜した姿勢で斜め上方から探針62を観察す
るように、装置フレーム11に設けられる。破線で示す
ように、第1の光学顕微鏡19の焦点位置は、探針62
の先端位置に設定される。また第1の光学顕微鏡19と
第2の光学顕微鏡21の距離は、前述の実施形態の場合
と同じで、一定である。この実施形態による構成におい
ても、第1の光学顕微鏡19の焦点位置が探針先端と一
致するように設定しておけば、第1の光学顕微鏡19が
傾斜している結果、その視野が前述の実施形態に比較し
て傾斜している点が相違するだけであるので、前記実施
形態の場合とほぼ同様の働きを生じさせることができ
る。なお本実施形態によれば、第1に走査位置を知るこ
とができる、第2に接近動作を行い易い、という利点を
有する。
【0042】また、上記実施形態による光学顕微鏡19
の取付け姿勢は、前述の第1の実施形態に適用すること
もできる。
【0043】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、次の効果を奏する。
【0044】相対的に倍率が低く作動距離が長い第1の
光学顕微鏡と、試料表面の測定対象箇所を探し出すため
の、相対的に倍率が高く作動距離が短い第2の光学顕微
鏡を設け、これらの2つの光学顕微鏡の間隔を既知の一
定距離に保ち、第1の光学顕微鏡によって探針の位置を
所定位置に位置合せすることにより探針と第2の光学顕
微鏡の位置関係を正確に関係付けるようにしたため、第
2の光学顕微鏡で試料表面上の測定対象箇所を探し出し
た後、探針を当該測定対象箇所に正確にかつ容易に位置
合せすることができる。特に、探針を交換した場合に、
探針と第2の光学顕微鏡との位置関係の調整を容易に行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る代表的実施形態を示す構成図であ
る。
【図2】第1の光学顕微鏡の視野内で探針位置未調整の
状態を示す図である。
【図3】第1の光学顕微鏡の視野内で探針位置が調整さ
れた状態を示す図である。
【図4】カンチレバーの代表的構造を示す外観斜視図で
ある。
【図5】カンチレバーの他の形態を示す下面図である。
【図6】他の実施形態を説明するためのカンチレバーと
探針位置決め機構の側面図である。
【図7】図6中のA方向矢視図である。
【符号の説明】
11 装置フレーム 12 XYステージ 13 試料 14 3次元スキャナ 18 探針位置決め機構 19 第1の光学顕微鏡 21 第2の光学顕微鏡 22,41,61 カンチレバー 23,42,62 探針

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面内で試料を変位させる移動手段と、
    前記試料の表面を測定するように設けられた探針を備え
    る走査型プローブ顕微鏡において、 前記探針を常に上方の一定位置から観察できるように配
    置された第1の光学顕微鏡と、前記探針から離れた位置
    であって前記第1の光学顕微鏡から既知の一定距離の位
    置に配置された第2の光学顕微鏡と、前記探針の位置を
    調整する探針位置決め手段とを備えることを特徴とする
    走査型プローブ顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記第1の光学顕微鏡は、前記探針が所
    定位置にあるか否かを確認する探針位置確認手段である
    ことを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微
    鏡。
  3. 【請求項3】 前記第1の光学顕微鏡は、その視野内で
    観察される前記探針の位置を調整することにより、前記
    探針と前記第2の光学顕微鏡の位置関係を所定位置関係
    に位置合せする位置合せ手段であることを特徴とする請
    求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記第2の光学顕微鏡は、前記試料の表
    面における測定位置を特定するための測定位置特定手段
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の走査型プローブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記第2の光学顕微鏡は、前記第1の光
    学顕微鏡に比較して相対的に高い分解能を有することを
    特徴とする請求項4記載の走査型プローブ顕微鏡。
  6. 【請求項6】 前記第2の光学顕微鏡はレーザ顕微鏡で
    あることを特徴とする請求項4記載の走査型プローブ顕
    微鏡。
  7. 【請求項7】 前記第2の光学顕微鏡は偏光顕微鏡であ
    ることを特徴とする請求項4記載の走査型プローブ顕微
    鏡。
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