JP4868309B2 - 探針先端の位置合わせ方法 - Google Patents
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Description
この走査型プローブ顕微鏡の測定範囲としては、最大でも数十μmである。そのため、大きな試料における微小領域の観察を行う場合、観察したい微小領域に探針の先端を目視で位置合わせすることは不可能である。従って、通常走査型プローブ顕微鏡は、試料を移動させるステージを備えると共に、SPMの測定範囲よりも大きな視野を持つ光学顕微鏡等の光学観察装置を備えている。
しかしながら、光学観察装置は、探針及びカンチレバーの上方に配置されているので、カンチレバーの背面しか観察することができない。そのため、その反対側に形成されている探針を光学観察装置で直接観察することができず、探針の先端位置を正確に特定することが困難であった。
即ち、従来の方法は、探針に対向するようにカンチレバーの背面に正確にマーカーを設ける必要があるが、実際上、正確に位置を合わせながら製造を行うことが難しかった。一般的に探針及びカンチレバーを有するプローブを製造する場合には、フォトレジスト膜を利用したエッチング加工を複数回行って半導体基板から製造しているが、探針を作る側とマーカーを作る側とが逆側になるので、同じフォトレジスト膜を使用して一度に形成したり、同一方向側から作り込んだりすることができるものではなかった。そのため、どうしても位置ずれが生じてしまい、探針に対向した位置にマーカーを正確に合わせることができなかった。
また、どうしても製造工程が多くなってしまうので、時間と手間がかかるうえ、製造コストを安価に抑えることができなかった。
本発明の探針先端の位置合わせ方法は、カンチレバーの先端に形成された探針の先端位置を、試料上の狙った測定開始位置に位置合わせさせる探針先端の位置合わせ方法であって、予め、前記探針が形成されている側から前記カンチレバーを撮像することで、該カンチレバーの外形輪郭線及び探針の先端位置のデータを取得する取得工程と、該取得工程後、取得したデータから前記探針の先端位置と前記カンチレバーの幾何学的特徴ポイントとを抽出すると共に、これら探針の先端位置と幾何学的特徴ポイントとを互いの相対位置関係を関連付けた状態で組み合わせた案内マーカーを生成する生成工程と、該生成工程後、前記試料を光学的に観察して観察画像をモニタ上に表示させると共に、該観察画像から前記測定開始位置を特定する特定工程と、該特定工程後、特定された前記測定開始位置に前記案内マーカーの探針の先端位置を一致させた状態で、該案内マーカーを前記観察画像に重ねて表示させる第1の表示工程と、該第1の表示工程後、前記特定工程時と同一の光軸で前記カンチレバーを光学的に観察すると共に、前記観察画像にカンチレバーの観察像を表示させる第2の表示工程と、該第2の表示工程後、前記観察像を確認しながら、前記案内マーカーの幾何学的特徴ポイントに一致させるように前記カンチレバーの位置を調整する調整工程と、を備えていることを特徴とするものである。
ここで、案内マーカーとして表示されている幾何学的特徴ポイント及び探針の先端位置は、互いの相対位置関係が関連付けられた状態で生成されているので、調整工程で実際のカンチレバーを幾何学的特徴ポイントに一致させることで、実際の探針の先端位置を測定開始位置に正確に位置合わせすることができる。その結果、より正確な試料の測定を行うことができる。
そして、表示されたこの2つの交点に実際のカンチレバーの交点を一致させることで、案内マーカーの探針の先端位置に、実際の探針の先端位置を一致させることができる。これにより、実際の探針の先端位置を測定開始位置に正確に位置合わせすることができる。
そして、表示されたこの一辺に実際のカンチレバーの一辺を一致させることで、案内マーカーの探針の先端位置に、実際の探針の先端位置を一致させることができる。これにより、実際の探針の先端位置を測定開始位置に正確に位置合わせすることができる。
そして、表示された外形輪郭線に実際のカンチレバーの外形を一致させることで、案内マーカーの探針の先端位置に、実際の探針の先端位置を一致させることができる。これにより、実際の探針の先端位置を測定開始位置に正確に位置合わせすることができる。特に、カンチレバーの外形輪郭線をそのまま表示しているので、カンチレバーを位置合わせし易く、より正確な位置合わせを行うことができる。
つまり、光軸に直交する平面に対して角度を付けた状態でカンチレバーを取り付けた場合には、光軸方向から見たときに、カンチレバーの外形輪郭線及び探針の先端位置が、角度がない状態のときと比較してずれてしまう。そこで、生成工程を行う際に、このずれを補正する補正工程を行う。
この走査型プローブ顕微鏡1は、図1に示すように、試料Sの上方に配され、先端に探針2aを有するカンチレバー2bと、該カンチレバー2bの基端側を片持ち状に支持する本体部2cとを有するプローブ2と、試料Sとプローブ2とを相対的に移動させるカンチレバー駆動部3と、カンチレバー2b及び試料Sを同一光軸で光学的に観察する光学顕微鏡4と、該光学顕微鏡4で観察した観察画像を表示するモニタ5と、これら各構成品及び後述する各構成品を総合的に制御する制御部6とを備えている。
上記カンチレバー駆動部3は、上述した試料駆動部10と同様に、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等からなる圧電素子であり、制御部6からの指示に基づいてホルダ本体12を介してプローブ2をXYZ方向に微小移動させるようになっている。なお、本実施形態のカンチレバー駆動部3は、探針2aの先端を位置合わせする際に使用するものである。
具体的には、図示しない金属配線を介してピエゾ抵抗素子14にバイアス電圧が印加されており、カンチレバー2bの撓み、即ち、ピエゾ抵抗素子14に生じる歪みに応じてレベル変化する電気的信号を、出力信号として取り出すことができるようになっている。そして、制御部6は、送られてきた出力信号に基づいてカンチレバー2bの撓みを算出し、試料Sの測定を行うようになっている。
なお、本実施形態では、幾何学的特徴ポイントP3を、カンチレバー2bの外形輪郭線P3とし、案内マーカーMを、抽出した外形輪郭線P3と探針の先端位置(以下、探針先端位置P2とする)とを組み合わせて生成したものとして説明する。
本実施形態の探針先端の位置合わせ方法は、取得工程、生成工程、特定工程、第1の表示工程、第2の表示工程及び調整工程を順次行って、位置合わせを行う方法である。以下、これら各工程について詳細に説明する。
即ち、制御部6に組み込まれている生成部6bが、データ取得部6aに記憶されているデータから、探針先端位置P2とカンチレバー2bの外形輪郭線P3とをそれぞれ抽出すると共に、図3に示すように、これらを互いの相対位置関係を関連付けた状態で組み合わせて案内マーカーMを生成する。
即ち、再度光学顕微鏡4を利用してカンチレバー2bを光学的に観察する。この際、先ほど試料Sを観察したときと同一の光軸で観察を行う。これにより、図2(b)に示すように、モニタ5の観察画像に、試料S、案内マーカーM及びカンチレバー2bを表示することができる。
即ち、モニタ5に表示された観察画像を確認しがら、制御部6によりカンチレバー駆動部3を適宜作動させて、カンチレバー2bと試料Sとを相対的に移動させ、カンチレバー2bを案内マーカーMに向かって移動させる。そして、図2(c)に示すように、表示された外形輪郭線P3に実際のカンチレバー2bの外形を一致させる。この際、案内マーカーMとして表示されている外形輪郭線P3及び探針先端位置P2は、互いの相対位置関係が関連付けられた状態で生成されているので、外形輪郭線P3に実際のカンチレバー2bの外形を一致させることで、案内マーカーMの探針先端位置P2に、実際の探針2aの先端位置を一致させることができる。これにより、実際の探針2aの先端位置を、測定開始位置P1に正確に位置合わせすることができる。
これにより、探針2aと試料Sとの距離を、カンチレバー2bの撓みが一定となるように制御した状態で走査することができる。また、制御部6は、試料駆動部10を上下させる信号に基づいて、試料Sの表面形状を測定することができる。
つまり、レーザ光Lを照射するレーザ光源20と、照射されたレーザ光Lを、ホルダ本体12の開口12aを通してカンチレバー2bの背面に形成された図示しない反射面に向けて反射させるハーフミラー21と、反射面で反射されホルダ本体12の開口12aを通過してきたレーザ光Lをレーザ受光部23に反射させるミラー22と、ミラー22で反射されたレーザ光Lを受光するレーザ受光部23とからなる変位測定手段24を設ければ良い。
また、案内マーカーMの探針先端位置P2を基準にして、探針2aの根元に対向する位置にレーザ光Lを正確に照射することもできる。
この場合には、第1の表示工程で案内マーカーMをモニタ5に表示させたときに、図5(b)に示すように、特定した測定開始位置P1に案内マーカーMの探針先端位置P2が表示されると共に、その周辺に3つの交点P4が表示される。
そして、図5(c)に示すように、表示されたこの3つの交点P4に実際のカンチレバー2bの交点を一致させることで、案内マーカーMの探針先端位置P2に、実際の探針2aの先端位置を一致させることができる。これにより、実際の探針2aの先端位置を測定開始位置P1に正確に位置合わせすることができる。
この場合には、第1の表示工程で案内マーカーMをモニタ5に表示させたときに、図6(b)に示すように、特定した測定開始位置P1に案内マーカーMの探針先端位置P2が表示されると共に、その周辺に一辺P5が表示される。
そして、図6(c)に示すように、表示されたこの一辺P5に実際のカンチレバー2bの一辺を一致させることで、案内マーカーMの探針先端位置P2に、実際の探針2aの先端位置を一致させることができる。これにより、実際の探針2aの先端位置を測定開始位置P1に正確に位置合わせすることができる。
なお、この場合において、図6(d)に示すように、一辺P5の両端と探針先端位置P2とを結んだ三角マークを案内マーカーMとしても構わない。
なお、図7では、光軸に直交する平面に沿ってカンチレバー2bを取り付けた状態と、そのときの案内マーカーMとを点線で図示している。
S 試料
P1 測定開始位置
P2 探針先端位置(案内マーカーを構成する探針の先端位置)
P3 外形輪郭線(幾何学的特徴ポイント)
P4 交点(幾何学的特徴ポイント)
P5 一辺(幾何学的特徴ポイント)
2b カンチレバー
2a 探針
5 モニタ
Claims (5)
- カンチレバーの先端に形成された探針の先端位置を、試料上の狙った測定開始位置に位置合わせさせる探針先端の位置合わせ方法であって、
予め、前記探針が形成されている側から前記カンチレバーを撮像することで、該カンチレバーの外形輪郭線及び探針の先端位置のデータを取得する取得工程と、
該取得工程後、取得したデータから前記探針の先端位置と前記カンチレバーの幾何学的特徴ポイントとを抽出すると共に、これら探針の先端位置と幾何学的特徴ポイントとを互いの相対位置関係を関連付けた状態で組み合わせた案内マーカーを生成する生成工程と、
該生成工程後、前記試料を光学的に観察して観察画像をモニタ上に表示させると共に、該観察画像から前記測定開始位置を特定する特定工程と、
該特定工程後、特定された前記測定開始位置に前記案内マーカーの探針の先端位置を一致させた状態で、該案内マーカーを前記観察画像に重ねて表示させる第1の表示工程と、
該第1の表示工程後、前記特定工程時と同一の光軸で前記カンチレバーを光学的に観察すると共に、前記観察画像にカンチレバーの観察像を表示させる第2の表示工程と、
該第2の表示工程後、前記観察像を確認しながら、前記案内マーカーの幾何学的特徴ポイントに一致させるように前記カンチレバーの位置を調整する調整工程と、を備えていることを特徴とする探針先端の位置合わせ方法。 - 請求項1に記載の探針先端の位置合わせ方法において、
前記幾何学的特徴ポイントは、前記外形輪郭線から少なくとも辺同士が交わる交点を2点抽出したものであり、
前記案内マーカーは、抽出した前記交点と前記探針の先端位置とを組み合わせて生成されていることを特徴とする探針先端の位置合わせ方法。 - 請求項1に記載の探針先端の位置合わせ方法において、
前記幾何学的特徴ポイントは、前記外形輪郭線から少なくとも一辺を抽出したものであり、
前記案内マーカーは、抽出した前記一辺と前記探針の先端位置とを組み合わせて生成されていることを特徴とする探針先端の位置合わせ方法。 - 請求項1に記載の探針先端の位置合わせ方法において、
前記幾何学的特徴ポイントは、前記外形輪郭線そのものであり、
前記案内マーカーは、抽出した外形輪郭線と前記探針の先端位置とを組み合わせて生成されていることを特徴とする探針先端の位置合わせ方法。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の探針先端の位置合わせ方法において、
前記生成工程は、取得した外形輪郭線のデータを、前記光軸に直交する平面に投影させた状態に補正すると共に、取得した前記探針の先端位置のデータを、前記カンチレバーの取付角度と探針の長さとに基づいて前記平面に投影させた状態に補正する補正工程を有し、該補正工程後、補正後のデータから探針の先端位置と前記幾何学的特徴ポイントとを抽出して前記案内マーカーを形成することを特徴とする探針先端の位置合わせ方法。
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