JP3560095B2 - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は走査型プローブ顕微鏡に関し、特に、光学顕微鏡が併用される原子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡において試料の観察場所に探針を容易かつ確実に位置合せするのに適した走査型プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査型プローブ顕微鏡は、先端の尖ったプローブすなわち探針(以下「探針」という)を、試料に対してnm(ナノメータ)のオーダで接近させ、観察表面領域を走査しながら、探針と試料の間に生じるトンネル電流や原子間力等を測定することにより、試料の表面の形状等の特性を原子寸法レベルで測定するための装置である。かかる走査型プローブ顕微鏡の試料表面における測定範囲は、最大でも数10μmである。従って、例えば光ディスク等の大きな試料において1つのアドレスビットの細部の異常をチェックするような場合、そのような微小な部分に探針の先端を目視で合せることは非常に困難である。そこで、通常、走査型プローブ顕微鏡では、試料を平面内、例えば直交するX軸とY軸で定義されるXY平面内で相対的に大きな変位量で変位させるためのXYステージと、走査型プローブ顕微鏡の測定範囲よりも大きな測定領域を有する測定機器、例えば光学顕微鏡が備えられる。
【0003】
光学顕微鏡を備えた走査型プローブ顕微鏡の従来の代表例の構成は次の通りである。プローブ顕微鏡装置部とは離れた箇所に光学顕微鏡を備え、かつXYステージで試料を比較的に大きな変位で移動させるようにし、光学顕微鏡とプローブ顕微鏡装置部を切替えることにより、試料表面上の目的とする測定対象箇所を観察する構成を有する(特開平3−40356号公報)。実際の測定動作では、最初に、XYステージで試料の位置を変え、測定対象箇所を光学顕微鏡の視野内に捕らえ、次に、再びXYステージにより当該測定対象箇所を、プローブ顕微鏡装置部の探針と対向する位置に移動させる。そしてその後、本来の走査型プローブ顕微鏡による測定を開始する。上記のXYステージによる移動において、光学顕微鏡の光軸と探針との距離は予め知られているので、XYステージは当該既知の距離だけの移動を行う。
【0004】
一方、走査型プローブ顕微鏡の探針は、使用時間に応じて先端の尖鋭度が劣化し、丸くなる。また探針の先端が試料等に接触して先端に曲がりを生じることもある。このため、探針はしばしば新しいものと交換する必要が生じる。プローブ顕微鏡装置部において、探針を交換すると、必ず取付け誤差が生じ、光学顕微鏡の光軸と探針との距離が変化する。従って、探針を交換するたびに両者の距離を測定し、その離間距離を予め知っておくことが必要となる。
【0005】
上記の距離の測定について、従来の第1の測定手段の構成は、位置合せ用標準試料を用意し、当該標準試料を光学顕微鏡で観察してその像を得、次に、想定される光軸と探針との距離(例えば設計上の値や探針交換前の距離)に従ってXYステージを移動し、この位置で探針を走査することによるプローブ顕微鏡装置部の像と、光学顕微鏡の像を比較して光軸と新しい探針との正確な距離を測定するようにしていた。
【0006】
また従来の第2の測定手段の構成は、光学顕微鏡と走査型プローブ顕微鏡との組合せにおいて、光学顕微鏡によって試料と探針を同時に真上から観察できるようにし、目的とする測定対象箇所を、プローブ顕微鏡装置部の探針に対して位置合せできるようにする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の第1の測定手段によれば、探針を交換するときに、標準試料の光学顕微鏡の像とプローブ顕微鏡の像を検出し、これらの像をパターン認識技術で認識することが必要で、相対的に高い情報処理技術が必要となる。またプローブ顕微鏡装置部の像を得るためには探針をX軸方向およびY軸方向に走査することが必要となり、この像を作成するために相当の時間を要するという不具合がある。
【0008】
加えて第1の測定手段によれば、標準試料を光学顕微鏡で観察した後、想定される光軸と探針との距離の分だけ移動を行うことになるが、光学顕微鏡の像に対して、プローブ顕微鏡装置部による像は数μm角の極微小範囲にあるので、得られたプローブ顕微鏡装置部による像が、標準試料のどの部分の像であるのかが分からなくなる場合がある。また確実に判断を行うようにするためには、精密なパターン認識という手法も必要となる。
【0009】
また標準試料の観点から考えると、当該標準試料は、数μm角以下の異なったパターンが高精度で配列されなければならず、かかるパターンを作成することは困難であり、コスト的に高いものとなる。
【0010】
また従来の第2の測定手段によれば、試料と探針とを同時に真上から観察できるようにするため、光学顕微鏡の対物レンズと試料との間に、探針とこれを支持する部材等を配置できることが必要である。このため、作動距離の小さい高倍率の対物レンズを有する光学顕微鏡を使用することが困難であるという問題が提起される。
【0011】
本発明の目的は、試料表面における測定対象箇所を特定するための光学顕微鏡が併用された走査型プローブ顕微鏡において、試料の測定対象箇所に探針を容易かつ確実に位置合せできると共に、特に探針を交換したときに、探針と光学顕微鏡との位置合せを、容易、安価かつ確実に行える走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】
第1の本発明(請求項1に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、X軸とY軸で決められる平面内で試料を比較的に大きな変位で変位させる移動手段(XYステージ)と、試料の表面を測定するように設けられた探針およびこの探針を備えたカンチレバーとを備え、さらに、試料の表面と探針を常に好ましくは真上位置または斜め上方位置から観察できるように配置され、その視野内の所定位置に探針の先端を位置合せするように用いられる第1の光学顕微鏡と、探針から離れた位置であって探針の上方位置にありかつ第1の光学顕微鏡から既知の一定距離の位置に配置され、試料の表面における目的とする測定位置を探し出すために用いられる第2の光学顕微鏡と、探針の位置を調整する探針位置決め機構を備えるように構成される。
【0013】
第1の本発明では、第1の光学顕微鏡に作動距離の大きなものが使用され、当該光学顕微鏡によって、探針と試料表面を同時に真上等から観察することができ、探針の先端を、第1の光学顕微鏡の視野内の例えば視野中心等の所定位置に位置合せを行うようにする。第1の光学顕微鏡の視野内での探針の位置合せは、探針位置決め機構によって行われ、特に探針を新しいものに交換するときなどに行われる。第1および第2の光学顕微鏡は、その光軸間距離が予めの測定によって既知の状態にあるので、探針と第1の光学顕微鏡との間で位置合せが行われると、探針と第2の光学顕微鏡との位置合せも同時に行われることになる。第2の光学顕微鏡には、第1の光学顕微鏡よりも高倍率(高い分解能)のものであって作動距離が小さいものが使用される。第2の光学顕微鏡は、試料の表面における目的とする観察場所を探し出すための手段であって、第2の光学顕微鏡によって当該観察場所が探し出されると、上記既知の光軸間距離だけ移動を行うことによって探針を当該観察場所に測定のための位置合せをすることができる。
【0014】
第2の本発明(請求項2に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第1の発明において、上記第1の光学顕微鏡が、探針が所定位置にあるか否かを確認するための探針位置確認手段であることを特徴とする。
【0015】
第3の本発明(請求項3に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第1の発明において、上記第1の光学顕微鏡が、その視野内で観察される上記探針の位置を探針位置決め手段によって調整することにより、探針と第2の光学顕微鏡の位置関係を所定位置関係に位置合せする位置合せ手段であることを特徴とする。
【0016】
第4の本発明(請求項4に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第1〜第3の発明において、上記第2の光学顕微鏡が、試料の表面における測定対象箇所を特定するための測定位置特定手段であることを特徴とする。
【0017】
第5の本発明(請求項5に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第4の発明において、第2の光学顕微鏡が、第1の光学顕微鏡に比較して相対的に高い分解能を有することを特徴とする。
【0018】
第6の本発明(請求項6に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第4の発明において、第2の光学顕微鏡が好ましくはレーザ顕微鏡である。このレーザ顕微鏡は十分に高い分解能を有する。
【0019】
第7の本発明(請求項7に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第4の発明において、第2の光学顕微鏡が好ましくは偏光顕微鏡である。偏光顕微鏡は、十分に高い分解能を有し、特に、形状の変化を伴わない、磁気ディスク上における磁気情報が記録されている場所を観察する場合に適している。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の代表的実施形態を示す。本図で、装置フレーム11の下部の上にXYステージ12が配置される。XYステージ12は、図中紙面に垂直なXY平面内で相対的に大きな移動変位を生じさせる移動装置であり、X軸方向の移動を行うためのXステージ12aと、Y軸方向の移動を行うためのYステージ12bとから構成される。XY平面は直交するX軸とY軸によって決定される。XYステージ12の上には、上面に試料13が置かれた3次元スキャナ14が配置される。3次元スキャナ14は、通常圧電素子を用いて構成され、上記のX軸とY軸の各方向に走査のための微動を行い、XY平面に垂直なZ軸方向に関して高さ(探針と試料の間の距離)を制御するための微動を行う。
【0022】
演算処理部15はコンピュータで構成され、CPUと記憶部を含む。記憶部には、前述のXステージ12a、Yステージ12b、3次元スキャナ14の各々の動作を制御するためのプログラムあるいは移動量を指定するための指令値等が記憶される。Xステージ12aとYステージ12bの各動作はコントローラ16を経由して演算処理部15によって制御され、3次元スキャナ14の動作はコントローラ17を経由して演算処理部15によって制御される。演算処理部15は、Xステージ12a、Yステージ12b、3次元スキャナ14の制御手段として機能する。
【0023】
XYステージ12の上方には装置フレーム11の支持部11aが設けられ、この支持部11aに、探針位置決め機構18、第1の光学顕微鏡19、CCDカメラ20a,20b、第2の光学顕微鏡21が取り付けられる。CCDカメラ20aは第1の光学顕微鏡19に対応し、光学顕微鏡19で得られる像を画像化する。CCDカメラ20bは第2の光学顕微鏡21に対応し、光学顕微鏡21で得られる像を画像化する。探針位置決め機構18、第1の光学顕微鏡19、第2の光学顕微鏡21は支持部11aに固定されており、支持部11aが剛体であることから、それぞれの間は既知の一定距離に保たれる。
【0024】
22はカンチレバーで、その先端部に探針23が設けられる。この実施形態によるカンチレバー22では、真上から探針23を見ることが可能な形状を有する。カンチレバー22と探針23は、走査型プローブ顕微鏡の装置部を構成する。走査型プローブ顕微鏡が例えば原子間力顕微鏡である場合には、探針23と試料13との間で生じる原子間力はカンチレバー22のたわみ量に変換され、このカンチレバー22のたわみ量を例えば光てこ方式の原理を利用して検出する。光てこ方式を適用するには、レーザ光源や光検出器からなる光学系、および探針・試料間の距離を所定の一定距離に保持するための制御系の構成が必要である。しかし、これらの装置構成はよく知られているので、図1中ではそれらの図示を省略している。カンチレバー22の基端は探針位置決め機構18に取り付けられ、この取付け状態において、走査プローブ顕微鏡として測定を行うときには、探針23の尖鋭な先端部は試料13の表面に臨むことになる。探針23を備えるカンチレバー22は、探針位置決め機構18に対して自在に取付け、取外しを行える構造となっている。探針23が測定にとって望ましくない状態であるときには新しい探針と交換される。
【0025】
カンチレバー22および探針23の具体的形状としては、図4に示すものが望ましい。図4のカンチレバー22では、その先端部が前方下方に折れ曲がった形状に形成され、当該先端部が探針23として用いられる。またカンチレバーの一般的なものとしては、図5に示すものが考えられる。図5のカンチレバー41は下側から見たものであって、その先端部分に、試料に臨むピラミッド形探針42が設けられる。かかる形態を有するカンチレバー41で、探針42が中空に作られるものでは、背面からピラミッド形探針42の稜線の位置を見ることができる。このため、探針42の先端位置を知ることが可能である。このようなカンチレバー41も、本発明による装置に利用することができる。
【0026】
第1の光学顕微鏡19と探針23は、第1の光学顕微鏡19によって、好ましくはその視野内(視野外であってもかまわない)で、探針23を常に好ましくは真上から観察できるような位置関係となるように、それらの取付け構造が設定されている。より厳密に述べると、走査型プローブ顕微鏡としての測定を行う際におけるもっとも望ましい状態では、探針23の先端が、光学顕微鏡19の円形視野の中心位置(光軸位置)に来るように、両者の取付け位置が設定されている。従って、探針23が試料13の上方位置に存在するときには、第1の光学顕微鏡19によって、試料13と探針23の先端とを同時に真上から観察することができる。第1の光学顕微鏡19によって得られた像は、CCDカメラ20aによって画像化され、当該画像は表示装置24に映し出される。第1の光学顕微鏡19で得られた像は、表示装置24によって確認することができる。
【0027】
前述の通り、カンチレバー22と探針23のユニットは探針位置決め機構18に対して取付け・取外し自在であるので、カンチレバー22と探針23のユニットを新しいものに交換した場合、探針23の先端が、第1の光学顕微鏡19の視野の中心に来ないことが起こり得る。そこで、このような場合には、探針位置決め機構18に内蔵される位置合せ部を利用して、探針23の先端が第1の光学顕微鏡19の視野の中心位置に来るように調整する。
【0028】
第2の光学顕微鏡21は、探針23から離れ、第1の光学顕微鏡19から一定距離の位置に配置される。この一定距離は、後述するように、2つの光学顕微鏡19,21の各々の光軸の間の距離として予め測定され、実際の測定において既知の距離として扱われる。第2の光学顕微鏡21で得られた像は、CCDカメラ20bによって画像化され、表示装置25に映し出される。第2の光学顕微鏡21で得られた像は、表示装置25によって確認することができる。
【0029】
ここで、第1および第2の光学顕微鏡19,21のそれぞれの機能および性能について説明する。
【0030】
第1の光学顕微鏡19は、前述の通り、その視野内で真上から探針23の先端を観察できる性能を有するものであることから、探針23の先端部が、合焦時における光学顕微鏡19の対物レンズ下端と試料表面との間の隙間、すなわち作動距離で決まる隙間の間に配置できるという特性を有することが必要である。換言すれば、第1の光学顕微鏡19は比較的に長い作動距離を有するものであることが要求される。このような特性を有する第1の光学顕微鏡19の性能は、相対的に倍率が低いものとなる。第1の光学顕微鏡19は、その円形視野内の例えば中心位置に探針23の先端を位置合せすることを可能とし、これによって、探針23の位置を確認または特定する手段として機能する。また第1の光学顕微鏡19によって、その光軸と探針23の先端との位置関係を明確に関係付けることができれば、光学顕微鏡19,21の各光軸の距離関係が既知であるので、探針23と第2の光学顕微鏡21の位置関係(距離)を正確に定めることが可能となる。その意味で、他の観点から、第1の光学顕微鏡19を、探針23と第2の光学顕微鏡21の位置関係を形成する位置合せ手段として把握することもできる。
【0031】
第2の光学顕微鏡21は、試料13の表面における測定対象箇所を特定するための手段である。実際の観察において、第2の光学顕微鏡21で試料13の表面を観察しながら、XYステージ12で試料13をXY平面内で移動し、目的とする観察場所すなわち測定対象箇所を探し出し、その箇所を円形視野内の中心位置(光軸位置)に設定する。試料表面における目的とする観察場所が例えば1μm以下の非常に微細なパターンである場合、第2の光学顕微鏡21には、分解能が1μm以下の非常に高倍率な光学顕微鏡を使用する。このような高倍率の光学顕微鏡は倍率に応じて作動距離が小さくなるので、前述した第1の光学顕微鏡として使用することができない。そこで、本実施形態では、第1の光学顕微鏡19として作動距離が大きいものを使用し、この第1の光学顕微鏡19と位置関係(離間距離)が既知である高倍率の第2の光学顕微鏡21を、試料表面の測定対象箇所を特定する手段として設けるようにし、このため、試料表面の微細パターンが1μm以下であっても、後述するように、探針23を測定対象箇所に容易に位置合せして観察できる。
【0032】
第2の光学顕微鏡21としては例えばレーザ顕微鏡を使用できる。また磁気ディズク上の磁気情報が記録されている場所を走査型プローブ顕微鏡で観察したい場合には、形状変化を伴わず、一般の光学顕微鏡による観察ができないので、代わりに偏光顕微鏡を使用する。
【0033】
次に、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の測定動作を説明する。
【0034】
測定を開始する前の段階では、探針23の交換の都度、第1の光学顕微鏡19の視野内における探針23の先端の位置を、探針位置決め機構18によって視野の中心に位置合せする。図2は、光学顕微鏡19の円形視野26において、探針23の先端が視野中心27から外れた状態を示し、図3は同円形視野26において、位置合せを行って探針23の先端をその視野中心27に位置合せした状態を示す。
【0035】
上記位置合せ作業は、表示装置24によって光学顕微鏡19で得た像を確認することができるので、比較的に容易な作業である。上記説明では、位置合せを行うのに利用する箇所を視野中心27としたが、これに限定されない。例えば、表示装置24の表示エリアに縦横の各々に直線を表示し、その交点を位置合せの基準点として利用することもできる。なお、上記位置合せ作業は探針ごとに一度行えばよく、その後探針を交換するまで行う必要がない。
【0036】
測定を開始すると、まず最初に、第2の光学顕微鏡21によって試料13を観察しながら、XYステージ12により試料13を移動し、試料表面における目的の観察場所を第2の光学顕微鏡21の視野中心に位置合せする。この位置合せ作業は、表示装置25に表示される画像を見ながら行う。その後、XYステージ12を動作させ、試料13を、第2の光学顕微鏡21の光軸と第1の光学顕微鏡19の光軸との間の距離だけ移動させる。この光軸間距離は、予め測定され、既知の値である。その結果、第2の光学顕微鏡21で探し出された目的の観察場所は、第1の光学顕微鏡19の視野中心に位置合せされる。光学顕微鏡19の視野中心には探針23の先端が位置合せされているので、探針23の先端と目的の観察場所が位置合せされる。従って探針23を試料13の表面に接近させ、3次元スキャナ14によって走査を行い、走査プローブ顕微鏡による測定を行うことによって、目的の観察場所の像を得ることができる。
【0037】
2つの光学顕微鏡19,21の光軸間距離の測定例を説明する。まず、第1の光学顕微鏡19により試料13の表面を観察しながら、試料13の上の特徴点をXYステージ12を動作させることによりその視野の中心点に位置合せする。次に、XYステージ12によって試料13を移動し、上記特徴点を第2の光学顕微鏡21の視野の中心点に位置合せする。そのときのXYステージ12による移動量が、2つの光学顕微鏡19,21の光軸間距離として求められる。また試料の表面に特徴点を見出せないときには、例えば試料の端の角部を利用することができる。光学顕微鏡19,21による観察を利用して光軸間距離を求めるようにしたため、特殊なパターンを有する試料を用意する必要はない。
【0038】
また、XYステージ12の移動量については、非常に精度よく測定したい場合には、例えばレーザ変位計を用いて測定すればよい。またμmオーダの精度でよければ、駆動部にステッピングモータを用い、その駆動パルスをカウントすることにより知ることができる。
【0039】
上記の光軸間距離の測定は、その値がその後変化することはないので、装置を構成した時の最初に1度だけ行えばよい。
【0040】
前述の実施形態では、第1の光学顕微鏡19によって真上から探針23の先端を観察するようにしていた。しかし、カンチレバーによっては、真上からその探針先端を観察できない場合もあり得る。そこで、第1の光学顕微鏡19を側方の上方に配置して、光学顕微鏡19によって斜め上方から探針の先端を観察できる実施形態を図6と図7に示す。
【0041】
図6は、探針位置決め機構18とカンチレバー61と探針62の側面図である。このカンチレバー61では、真上から探針62の先端位置を見ることができない。図7は、図6におけるA方向矢視図である。探針位置決め機構18とカンチレバー61と探針62の配置状態は、前述の実施形態の場合と同じである。かかるカンチレバー61と探針62に対して、第1の光学顕微鏡19が傾斜した姿勢で斜め上方から探針62を観察するように、装置フレーム11に設けられる。破線で示すように、第1の光学顕微鏡19の焦点位置は、探針62の先端位置に設定される。また第1の光学顕微鏡19と第2の光学顕微鏡21の距離は、前述の実施形態の場合と同じで、一定である。この実施形態による構成においても、第1の光学顕微鏡19の焦点位置が探針先端と一致するように設定しておけば、第1の光学顕微鏡19が傾斜している結果、その視野が前述の実施形態に比較して傾斜している点が相違するだけであるので、前記実施形態の場合とほぼ同様の働きを生じさせることができる。なお本実施形態によれば、第1に走査位置を知ることができる、第2に接近動作を行い易い、という利点を有する。
【0042】
また、上記実施形態による光学顕微鏡19の取付け姿勢は、前述の第1の実施形態に適用することもできる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、次の効果を奏する。
【0044】
相対的に倍率が低く作動距離が長い第1の光学顕微鏡と、試料表面の測定対象箇所を探し出すための、相対的に倍率が高く作動距離が短い第2の光学顕微鏡を設け、これらの2つの光学顕微鏡の間隔を既知の一定距離に保ち、第1の光学顕微鏡によって探針の位置を所定位置に位置合せすることにより探針と第2の光学顕微鏡の位置関係を正確に関係付けるようにしたため、第2の光学顕微鏡で試料表面上の測定対象箇所を探し出した後、探針を当該測定対象箇所に正確にかつ容易に位置合せすることができる。特に、探針を交換した場合に、探針と第2の光学顕微鏡との位置関係の調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る代表的実施形態を示す構成図である。
【図2】第1の光学顕微鏡の視野内で探針位置未調整の状態を示す図である。
【図3】第1の光学顕微鏡の視野内で探針位置が調整された状態を示す図である。
【図4】カンチレバーの代表的構造を示す外観斜視図である。
【図5】カンチレバーの他の形態を示す下面図である。
【図6】他の実施形態を説明するためのカンチレバーと探針位置決め機構の側面図である。
【図7】図6中のA方向矢視図である。
【符号の説明】
11 装置フレーム
12 XYステージ
13 試料
14 3次元スキャナ
18 探針位置決め機構
19 第1の光学顕微鏡
21 第2の光学顕微鏡
22,41,61 カンチレバー
23,42,62 探針
【発明の属する技術分野】
本発明は走査型プローブ顕微鏡に関し、特に、光学顕微鏡が併用される原子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡において試料の観察場所に探針を容易かつ確実に位置合せするのに適した走査型プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査型プローブ顕微鏡は、先端の尖ったプローブすなわち探針(以下「探針」という)を、試料に対してnm(ナノメータ)のオーダで接近させ、観察表面領域を走査しながら、探針と試料の間に生じるトンネル電流や原子間力等を測定することにより、試料の表面の形状等の特性を原子寸法レベルで測定するための装置である。かかる走査型プローブ顕微鏡の試料表面における測定範囲は、最大でも数10μmである。従って、例えば光ディスク等の大きな試料において1つのアドレスビットの細部の異常をチェックするような場合、そのような微小な部分に探針の先端を目視で合せることは非常に困難である。そこで、通常、走査型プローブ顕微鏡では、試料を平面内、例えば直交するX軸とY軸で定義されるXY平面内で相対的に大きな変位量で変位させるためのXYステージと、走査型プローブ顕微鏡の測定範囲よりも大きな測定領域を有する測定機器、例えば光学顕微鏡が備えられる。
【0003】
光学顕微鏡を備えた走査型プローブ顕微鏡の従来の代表例の構成は次の通りである。プローブ顕微鏡装置部とは離れた箇所に光学顕微鏡を備え、かつXYステージで試料を比較的に大きな変位で移動させるようにし、光学顕微鏡とプローブ顕微鏡装置部を切替えることにより、試料表面上の目的とする測定対象箇所を観察する構成を有する(特開平3−40356号公報)。実際の測定動作では、最初に、XYステージで試料の位置を変え、測定対象箇所を光学顕微鏡の視野内に捕らえ、次に、再びXYステージにより当該測定対象箇所を、プローブ顕微鏡装置部の探針と対向する位置に移動させる。そしてその後、本来の走査型プローブ顕微鏡による測定を開始する。上記のXYステージによる移動において、光学顕微鏡の光軸と探針との距離は予め知られているので、XYステージは当該既知の距離だけの移動を行う。
【0004】
一方、走査型プローブ顕微鏡の探針は、使用時間に応じて先端の尖鋭度が劣化し、丸くなる。また探針の先端が試料等に接触して先端に曲がりを生じることもある。このため、探針はしばしば新しいものと交換する必要が生じる。プローブ顕微鏡装置部において、探針を交換すると、必ず取付け誤差が生じ、光学顕微鏡の光軸と探針との距離が変化する。従って、探針を交換するたびに両者の距離を測定し、その離間距離を予め知っておくことが必要となる。
【0005】
上記の距離の測定について、従来の第1の測定手段の構成は、位置合せ用標準試料を用意し、当該標準試料を光学顕微鏡で観察してその像を得、次に、想定される光軸と探針との距離(例えば設計上の値や探針交換前の距離)に従ってXYステージを移動し、この位置で探針を走査することによるプローブ顕微鏡装置部の像と、光学顕微鏡の像を比較して光軸と新しい探針との正確な距離を測定するようにしていた。
【0006】
また従来の第2の測定手段の構成は、光学顕微鏡と走査型プローブ顕微鏡との組合せにおいて、光学顕微鏡によって試料と探針を同時に真上から観察できるようにし、目的とする測定対象箇所を、プローブ顕微鏡装置部の探針に対して位置合せできるようにする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の第1の測定手段によれば、探針を交換するときに、標準試料の光学顕微鏡の像とプローブ顕微鏡の像を検出し、これらの像をパターン認識技術で認識することが必要で、相対的に高い情報処理技術が必要となる。またプローブ顕微鏡装置部の像を得るためには探針をX軸方向およびY軸方向に走査することが必要となり、この像を作成するために相当の時間を要するという不具合がある。
【0008】
加えて第1の測定手段によれば、標準試料を光学顕微鏡で観察した後、想定される光軸と探針との距離の分だけ移動を行うことになるが、光学顕微鏡の像に対して、プローブ顕微鏡装置部による像は数μm角の極微小範囲にあるので、得られたプローブ顕微鏡装置部による像が、標準試料のどの部分の像であるのかが分からなくなる場合がある。また確実に判断を行うようにするためには、精密なパターン認識という手法も必要となる。
【0009】
また標準試料の観点から考えると、当該標準試料は、数μm角以下の異なったパターンが高精度で配列されなければならず、かかるパターンを作成することは困難であり、コスト的に高いものとなる。
【0010】
また従来の第2の測定手段によれば、試料と探針とを同時に真上から観察できるようにするため、光学顕微鏡の対物レンズと試料との間に、探針とこれを支持する部材等を配置できることが必要である。このため、作動距離の小さい高倍率の対物レンズを有する光学顕微鏡を使用することが困難であるという問題が提起される。
【0011】
本発明の目的は、試料表面における測定対象箇所を特定するための光学顕微鏡が併用された走査型プローブ顕微鏡において、試料の測定対象箇所に探針を容易かつ確実に位置合せできると共に、特に探針を交換したときに、探針と光学顕微鏡との位置合せを、容易、安価かつ確実に行える走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】
第1の本発明(請求項1に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、X軸とY軸で決められる平面内で試料を比較的に大きな変位で変位させる移動手段(XYステージ)と、試料の表面を測定するように設けられた探針およびこの探針を備えたカンチレバーとを備え、さらに、試料の表面と探針を常に好ましくは真上位置または斜め上方位置から観察できるように配置され、その視野内の所定位置に探針の先端を位置合せするように用いられる第1の光学顕微鏡と、探針から離れた位置であって探針の上方位置にありかつ第1の光学顕微鏡から既知の一定距離の位置に配置され、試料の表面における目的とする測定位置を探し出すために用いられる第2の光学顕微鏡と、探針の位置を調整する探針位置決め機構を備えるように構成される。
【0013】
第1の本発明では、第1の光学顕微鏡に作動距離の大きなものが使用され、当該光学顕微鏡によって、探針と試料表面を同時に真上等から観察することができ、探針の先端を、第1の光学顕微鏡の視野内の例えば視野中心等の所定位置に位置合せを行うようにする。第1の光学顕微鏡の視野内での探針の位置合せは、探針位置決め機構によって行われ、特に探針を新しいものに交換するときなどに行われる。第1および第2の光学顕微鏡は、その光軸間距離が予めの測定によって既知の状態にあるので、探針と第1の光学顕微鏡との間で位置合せが行われると、探針と第2の光学顕微鏡との位置合せも同時に行われることになる。第2の光学顕微鏡には、第1の光学顕微鏡よりも高倍率(高い分解能)のものであって作動距離が小さいものが使用される。第2の光学顕微鏡は、試料の表面における目的とする観察場所を探し出すための手段であって、第2の光学顕微鏡によって当該観察場所が探し出されると、上記既知の光軸間距離だけ移動を行うことによって探針を当該観察場所に測定のための位置合せをすることができる。
【0014】
第2の本発明(請求項2に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第1の発明において、上記第1の光学顕微鏡が、探針が所定位置にあるか否かを確認するための探針位置確認手段であることを特徴とする。
【0015】
第3の本発明(請求項3に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第1の発明において、上記第1の光学顕微鏡が、その視野内で観察される上記探針の位置を探針位置決め手段によって調整することにより、探針と第2の光学顕微鏡の位置関係を所定位置関係に位置合せする位置合せ手段であることを特徴とする。
【0016】
第4の本発明(請求項4に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第1〜第3の発明において、上記第2の光学顕微鏡が、試料の表面における測定対象箇所を特定するための測定位置特定手段であることを特徴とする。
【0017】
第5の本発明(請求項5に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第4の発明において、第2の光学顕微鏡が、第1の光学顕微鏡に比較して相対的に高い分解能を有することを特徴とする。
【0018】
第6の本発明(請求項6に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第4の発明において、第2の光学顕微鏡が好ましくはレーザ顕微鏡である。このレーザ顕微鏡は十分に高い分解能を有する。
【0019】
第7の本発明(請求項7に対応)に係る走査型プローブ顕微鏡は、第4の発明において、第2の光学顕微鏡が好ましくは偏光顕微鏡である。偏光顕微鏡は、十分に高い分解能を有し、特に、形状の変化を伴わない、磁気ディスク上における磁気情報が記録されている場所を観察する場合に適している。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の代表的実施形態を示す。本図で、装置フレーム11の下部の上にXYステージ12が配置される。XYステージ12は、図中紙面に垂直なXY平面内で相対的に大きな移動変位を生じさせる移動装置であり、X軸方向の移動を行うためのXステージ12aと、Y軸方向の移動を行うためのYステージ12bとから構成される。XY平面は直交するX軸とY軸によって決定される。XYステージ12の上には、上面に試料13が置かれた3次元スキャナ14が配置される。3次元スキャナ14は、通常圧電素子を用いて構成され、上記のX軸とY軸の各方向に走査のための微動を行い、XY平面に垂直なZ軸方向に関して高さ(探針と試料の間の距離)を制御するための微動を行う。
【0022】
演算処理部15はコンピュータで構成され、CPUと記憶部を含む。記憶部には、前述のXステージ12a、Yステージ12b、3次元スキャナ14の各々の動作を制御するためのプログラムあるいは移動量を指定するための指令値等が記憶される。Xステージ12aとYステージ12bの各動作はコントローラ16を経由して演算処理部15によって制御され、3次元スキャナ14の動作はコントローラ17を経由して演算処理部15によって制御される。演算処理部15は、Xステージ12a、Yステージ12b、3次元スキャナ14の制御手段として機能する。
【0023】
XYステージ12の上方には装置フレーム11の支持部11aが設けられ、この支持部11aに、探針位置決め機構18、第1の光学顕微鏡19、CCDカメラ20a,20b、第2の光学顕微鏡21が取り付けられる。CCDカメラ20aは第1の光学顕微鏡19に対応し、光学顕微鏡19で得られる像を画像化する。CCDカメラ20bは第2の光学顕微鏡21に対応し、光学顕微鏡21で得られる像を画像化する。探針位置決め機構18、第1の光学顕微鏡19、第2の光学顕微鏡21は支持部11aに固定されており、支持部11aが剛体であることから、それぞれの間は既知の一定距離に保たれる。
【0024】
22はカンチレバーで、その先端部に探針23が設けられる。この実施形態によるカンチレバー22では、真上から探針23を見ることが可能な形状を有する。カンチレバー22と探針23は、走査型プローブ顕微鏡の装置部を構成する。走査型プローブ顕微鏡が例えば原子間力顕微鏡である場合には、探針23と試料13との間で生じる原子間力はカンチレバー22のたわみ量に変換され、このカンチレバー22のたわみ量を例えば光てこ方式の原理を利用して検出する。光てこ方式を適用するには、レーザ光源や光検出器からなる光学系、および探針・試料間の距離を所定の一定距離に保持するための制御系の構成が必要である。しかし、これらの装置構成はよく知られているので、図1中ではそれらの図示を省略している。カンチレバー22の基端は探針位置決め機構18に取り付けられ、この取付け状態において、走査プローブ顕微鏡として測定を行うときには、探針23の尖鋭な先端部は試料13の表面に臨むことになる。探針23を備えるカンチレバー22は、探針位置決め機構18に対して自在に取付け、取外しを行える構造となっている。探針23が測定にとって望ましくない状態であるときには新しい探針と交換される。
【0025】
カンチレバー22および探針23の具体的形状としては、図4に示すものが望ましい。図4のカンチレバー22では、その先端部が前方下方に折れ曲がった形状に形成され、当該先端部が探針23として用いられる。またカンチレバーの一般的なものとしては、図5に示すものが考えられる。図5のカンチレバー41は下側から見たものであって、その先端部分に、試料に臨むピラミッド形探針42が設けられる。かかる形態を有するカンチレバー41で、探針42が中空に作られるものでは、背面からピラミッド形探針42の稜線の位置を見ることができる。このため、探針42の先端位置を知ることが可能である。このようなカンチレバー41も、本発明による装置に利用することができる。
【0026】
第1の光学顕微鏡19と探針23は、第1の光学顕微鏡19によって、好ましくはその視野内(視野外であってもかまわない)で、探針23を常に好ましくは真上から観察できるような位置関係となるように、それらの取付け構造が設定されている。より厳密に述べると、走査型プローブ顕微鏡としての測定を行う際におけるもっとも望ましい状態では、探針23の先端が、光学顕微鏡19の円形視野の中心位置(光軸位置)に来るように、両者の取付け位置が設定されている。従って、探針23が試料13の上方位置に存在するときには、第1の光学顕微鏡19によって、試料13と探針23の先端とを同時に真上から観察することができる。第1の光学顕微鏡19によって得られた像は、CCDカメラ20aによって画像化され、当該画像は表示装置24に映し出される。第1の光学顕微鏡19で得られた像は、表示装置24によって確認することができる。
【0027】
前述の通り、カンチレバー22と探針23のユニットは探針位置決め機構18に対して取付け・取外し自在であるので、カンチレバー22と探針23のユニットを新しいものに交換した場合、探針23の先端が、第1の光学顕微鏡19の視野の中心に来ないことが起こり得る。そこで、このような場合には、探針位置決め機構18に内蔵される位置合せ部を利用して、探針23の先端が第1の光学顕微鏡19の視野の中心位置に来るように調整する。
【0028】
第2の光学顕微鏡21は、探針23から離れ、第1の光学顕微鏡19から一定距離の位置に配置される。この一定距離は、後述するように、2つの光学顕微鏡19,21の各々の光軸の間の距離として予め測定され、実際の測定において既知の距離として扱われる。第2の光学顕微鏡21で得られた像は、CCDカメラ20bによって画像化され、表示装置25に映し出される。第2の光学顕微鏡21で得られた像は、表示装置25によって確認することができる。
【0029】
ここで、第1および第2の光学顕微鏡19,21のそれぞれの機能および性能について説明する。
【0030】
第1の光学顕微鏡19は、前述の通り、その視野内で真上から探針23の先端を観察できる性能を有するものであることから、探針23の先端部が、合焦時における光学顕微鏡19の対物レンズ下端と試料表面との間の隙間、すなわち作動距離で決まる隙間の間に配置できるという特性を有することが必要である。換言すれば、第1の光学顕微鏡19は比較的に長い作動距離を有するものであることが要求される。このような特性を有する第1の光学顕微鏡19の性能は、相対的に倍率が低いものとなる。第1の光学顕微鏡19は、その円形視野内の例えば中心位置に探針23の先端を位置合せすることを可能とし、これによって、探針23の位置を確認または特定する手段として機能する。また第1の光学顕微鏡19によって、その光軸と探針23の先端との位置関係を明確に関係付けることができれば、光学顕微鏡19,21の各光軸の距離関係が既知であるので、探針23と第2の光学顕微鏡21の位置関係(距離)を正確に定めることが可能となる。その意味で、他の観点から、第1の光学顕微鏡19を、探針23と第2の光学顕微鏡21の位置関係を形成する位置合せ手段として把握することもできる。
【0031】
第2の光学顕微鏡21は、試料13の表面における測定対象箇所を特定するための手段である。実際の観察において、第2の光学顕微鏡21で試料13の表面を観察しながら、XYステージ12で試料13をXY平面内で移動し、目的とする観察場所すなわち測定対象箇所を探し出し、その箇所を円形視野内の中心位置(光軸位置)に設定する。試料表面における目的とする観察場所が例えば1μm以下の非常に微細なパターンである場合、第2の光学顕微鏡21には、分解能が1μm以下の非常に高倍率な光学顕微鏡を使用する。このような高倍率の光学顕微鏡は倍率に応じて作動距離が小さくなるので、前述した第1の光学顕微鏡として使用することができない。そこで、本実施形態では、第1の光学顕微鏡19として作動距離が大きいものを使用し、この第1の光学顕微鏡19と位置関係(離間距離)が既知である高倍率の第2の光学顕微鏡21を、試料表面の測定対象箇所を特定する手段として設けるようにし、このため、試料表面の微細パターンが1μm以下であっても、後述するように、探針23を測定対象箇所に容易に位置合せして観察できる。
【0032】
第2の光学顕微鏡21としては例えばレーザ顕微鏡を使用できる。また磁気ディズク上の磁気情報が記録されている場所を走査型プローブ顕微鏡で観察したい場合には、形状変化を伴わず、一般の光学顕微鏡による観察ができないので、代わりに偏光顕微鏡を使用する。
【0033】
次に、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の測定動作を説明する。
【0034】
測定を開始する前の段階では、探針23の交換の都度、第1の光学顕微鏡19の視野内における探針23の先端の位置を、探針位置決め機構18によって視野の中心に位置合せする。図2は、光学顕微鏡19の円形視野26において、探針23の先端が視野中心27から外れた状態を示し、図3は同円形視野26において、位置合せを行って探針23の先端をその視野中心27に位置合せした状態を示す。
【0035】
上記位置合せ作業は、表示装置24によって光学顕微鏡19で得た像を確認することができるので、比較的に容易な作業である。上記説明では、位置合せを行うのに利用する箇所を視野中心27としたが、これに限定されない。例えば、表示装置24の表示エリアに縦横の各々に直線を表示し、その交点を位置合せの基準点として利用することもできる。なお、上記位置合せ作業は探針ごとに一度行えばよく、その後探針を交換するまで行う必要がない。
【0036】
測定を開始すると、まず最初に、第2の光学顕微鏡21によって試料13を観察しながら、XYステージ12により試料13を移動し、試料表面における目的の観察場所を第2の光学顕微鏡21の視野中心に位置合せする。この位置合せ作業は、表示装置25に表示される画像を見ながら行う。その後、XYステージ12を動作させ、試料13を、第2の光学顕微鏡21の光軸と第1の光学顕微鏡19の光軸との間の距離だけ移動させる。この光軸間距離は、予め測定され、既知の値である。その結果、第2の光学顕微鏡21で探し出された目的の観察場所は、第1の光学顕微鏡19の視野中心に位置合せされる。光学顕微鏡19の視野中心には探針23の先端が位置合せされているので、探針23の先端と目的の観察場所が位置合せされる。従って探針23を試料13の表面に接近させ、3次元スキャナ14によって走査を行い、走査プローブ顕微鏡による測定を行うことによって、目的の観察場所の像を得ることができる。
【0037】
2つの光学顕微鏡19,21の光軸間距離の測定例を説明する。まず、第1の光学顕微鏡19により試料13の表面を観察しながら、試料13の上の特徴点をXYステージ12を動作させることによりその視野の中心点に位置合せする。次に、XYステージ12によって試料13を移動し、上記特徴点を第2の光学顕微鏡21の視野の中心点に位置合せする。そのときのXYステージ12による移動量が、2つの光学顕微鏡19,21の光軸間距離として求められる。また試料の表面に特徴点を見出せないときには、例えば試料の端の角部を利用することができる。光学顕微鏡19,21による観察を利用して光軸間距離を求めるようにしたため、特殊なパターンを有する試料を用意する必要はない。
【0038】
また、XYステージ12の移動量については、非常に精度よく測定したい場合には、例えばレーザ変位計を用いて測定すればよい。またμmオーダの精度でよければ、駆動部にステッピングモータを用い、その駆動パルスをカウントすることにより知ることができる。
【0039】
上記の光軸間距離の測定は、その値がその後変化することはないので、装置を構成した時の最初に1度だけ行えばよい。
【0040】
前述の実施形態では、第1の光学顕微鏡19によって真上から探針23の先端を観察するようにしていた。しかし、カンチレバーによっては、真上からその探針先端を観察できない場合もあり得る。そこで、第1の光学顕微鏡19を側方の上方に配置して、光学顕微鏡19によって斜め上方から探針の先端を観察できる実施形態を図6と図7に示す。
【0041】
図6は、探針位置決め機構18とカンチレバー61と探針62の側面図である。このカンチレバー61では、真上から探針62の先端位置を見ることができない。図7は、図6におけるA方向矢視図である。探針位置決め機構18とカンチレバー61と探針62の配置状態は、前述の実施形態の場合と同じである。かかるカンチレバー61と探針62に対して、第1の光学顕微鏡19が傾斜した姿勢で斜め上方から探針62を観察するように、装置フレーム11に設けられる。破線で示すように、第1の光学顕微鏡19の焦点位置は、探針62の先端位置に設定される。また第1の光学顕微鏡19と第2の光学顕微鏡21の距離は、前述の実施形態の場合と同じで、一定である。この実施形態による構成においても、第1の光学顕微鏡19の焦点位置が探針先端と一致するように設定しておけば、第1の光学顕微鏡19が傾斜している結果、その視野が前述の実施形態に比較して傾斜している点が相違するだけであるので、前記実施形態の場合とほぼ同様の働きを生じさせることができる。なお本実施形態によれば、第1に走査位置を知ることができる、第2に接近動作を行い易い、という利点を有する。
【0042】
また、上記実施形態による光学顕微鏡19の取付け姿勢は、前述の第1の実施形態に適用することもできる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、次の効果を奏する。
【0044】
相対的に倍率が低く作動距離が長い第1の光学顕微鏡と、試料表面の測定対象箇所を探し出すための、相対的に倍率が高く作動距離が短い第2の光学顕微鏡を設け、これらの2つの光学顕微鏡の間隔を既知の一定距離に保ち、第1の光学顕微鏡によって探針の位置を所定位置に位置合せすることにより探針と第2の光学顕微鏡の位置関係を正確に関係付けるようにしたため、第2の光学顕微鏡で試料表面上の測定対象箇所を探し出した後、探針を当該測定対象箇所に正確にかつ容易に位置合せすることができる。特に、探針を交換した場合に、探針と第2の光学顕微鏡との位置関係の調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る代表的実施形態を示す構成図である。
【図2】第1の光学顕微鏡の視野内で探針位置未調整の状態を示す図である。
【図3】第1の光学顕微鏡の視野内で探針位置が調整された状態を示す図である。
【図4】カンチレバーの代表的構造を示す外観斜視図である。
【図5】カンチレバーの他の形態を示す下面図である。
【図6】他の実施形態を説明するためのカンチレバーと探針位置決め機構の側面図である。
【図7】図6中のA方向矢視図である。
【符号の説明】
11 装置フレーム
12 XYステージ
13 試料
14 3次元スキャナ
18 探針位置決め機構
19 第1の光学顕微鏡
21 第2の光学顕微鏡
22,41,61 カンチレバー
23,42,62 探針
Claims (7)
- 平面内で試料を変位させる移動手段と、前記試料の表面を測定するように設けられた探針を備える走査型プローブ顕微鏡において、
前記試料の表面と前記探針を常に上方の一定位置から観察できるように配置され、その視野内の所定位置に前記探針の先端を位置合せするように用いられる第1の光学顕微鏡と、前記探針から離れた位置であって前記探針の上方位置にありかつ前記第1の光学顕微鏡から既知の一定距離の位置に配置され、前記試料の表面における目的とする測定位置を探し出すために用いられる第2の光学顕微鏡と、前記探針の位置を調整する探針位置決め手段とを備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 前記第1の光学顕微鏡は、前記探針が前記所定位置にあるか否かを確認する探針位置確認手段であることを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。
- 前記第1の光学顕微鏡は、その視野内で観察される前記探針の位置を調整することにより、前記探針と前記第2の光学顕微鏡の位置関係を所定位置関係に位置合せする位置合せ手段であることを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。
- 前記第2の光学顕微鏡は、前記試料の表面における前記測定位置を特定するための測定位置特定手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡。
- 前記第2の光学顕微鏡は、前記第1の光学顕微鏡に比較して相対的に高い分解能を有することを特徴とする請求項4記載の走査型プローブ顕微鏡。
- 前記第2の光学顕微鏡はレーザ顕微鏡であることを特徴とする請求項4記載の走査型プローブ顕微鏡。
- 前記第2の光学顕微鏡は偏光顕微鏡であることを特徴とする請求項4記載の走査型プローブ顕微鏡。
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