JPH09176200A - ハロゲン化ベンジレート化合物に特異的な抗体、その抗体の製造方法、及び免疫学的測定方法 - Google Patents

ハロゲン化ベンジレート化合物に特異的な抗体、その抗体の製造方法、及び免疫学的測定方法

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JPH09176200A
JPH09176200A JP35201595A JP35201595A JPH09176200A JP H09176200 A JPH09176200 A JP H09176200A JP 35201595 A JP35201595 A JP 35201595A JP 35201595 A JP35201595 A JP 35201595A JP H09176200 A JPH09176200 A JP H09176200A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1回の測定操作で複数種類の残留農薬を測定
する手段を提供する。 【解決手段】 一般式(I): (X−Ph)2 −C
(R1 )(R2 ) 〔X−Ph−はパラハロゲン化フェニル、R1 は一般式 −B−(CH2 )n−A (Aは担体と結合可能な基;nは1〜5;BはO、−C
OOC(R3 )−;R3はH、メチル、エチル;R2
OH、COOR4 ;R4 はC1〜4のアルキル〕の化合
物と担体との結合体を免疫原として得られる抗体及びそ
の製法;前記抗体のフラグメント;及び前記抗体又はフ
ラグメントを用いる測定方法;前記抗体の調製に用いる
新規なハプテン化合物及びその中間体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化ベンジ
レート化合物と特異的に反応する新規抗体又はその抗体
フラグメントに関する。また、この抗体の製造方法、更
にはこの抗体及び/又は抗体フラグメントを用いるハロ
ゲン化ベンジレート化合物の免疫学的測定方法にも関す
る。更に、前記抗体の製造にハプテンとして用いること
のできる新規化合物又はその中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自然環境中に残留する農薬、又は
増加の一途をたどっている輸入食品若しくは農作物に残
留する農薬が、大きな社会的問題となっている。自然環
境又は食品等に対する安全を確保するためには、まずこ
れらに残留する農薬の量を迅速かつ正確に測定すること
が必要である。一般に残留農薬の分析は、農薬が登録さ
れた時点において作物ごとに定められており、主に試料
から農薬を抽出し、精製後、ガスクロマトグラフィー又
は液体クロマトグラフィーを用いて測定している。この
測定方法は、精度の点では問題ないものの、試料の調製
が煩雑で時間がかかること、及び測定装置又は設備等が
高価であること等の欠点があった。食品などに残留する
農薬の分析においては、多くの検体数を処理することが
でき、しかも鮮度が高いことが重要であるので、測定精
度面ばかりでなく簡便性や迅速性が要求されている。ま
た、自然環境中に残留する農薬の分析においても、屋外
で容易に測定する方法が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ハロゲン化ベンジレー
ト系農薬も、従来、ガスクロマトグラフィーを用いて測
定されていたが、その分析には相当の時間及び手間を要
していた。そこで、近年、低分子化合物の測定において
も応用されるようになってきた免疫化学的測定方法をハ
ロゲン化ベンジレート及びその類縁化合物の測定に適用
し、簡便かつ迅速な測定方法を確立することが望まれて
いた。また、ハロゲン化ベンジレート及びその類縁化合
物の測定においては、農作物や食品等に残留するハロゲ
ン化ベンジレート系農薬を被検試料から抽出する際に有
機溶媒の使用が避けられないことから、簡便かつ迅速な
操作工程を確立するためには、有機溶媒存在下において
も抗原抗体反応を行うことができることが望まれてい
た。そこで、本発明者らは、各種のハロゲン化ベンジレ
ート化合物を、免疫学的に簡便かつ迅速に測定すること
を目的とし、鋭意検討を重ねた結果、特定のハプテンを
用いることにより、複数種類のハロゲン化ベンジレート
化合物と特異的に反応するモノクローナル抗体及びポリ
クローナル抗体を作製することに成功し、更にこれらの
抗体を利用することによって、複数種類のハロゲン化ベ
ンジレート化合物を1回の免疫学的測定のみで正確に測
定することが可能になった。また、前記のハプテンとし
て用いる化合物の一部(及びそれらの中間体)は、新規
化合物である。
【0004】更に、作物や土壌等に残留するハロゲン化
ベンジレート系農薬を免疫学的に測定する場合には、被
検試料から農薬を抽出するために、通常、有機溶媒が使
用される。従って、有機溶媒存在下においても抗原抗体
反応を行うことができることが望ましい。そこで、本発
明者らは、迅速かつ簡便な操作工程の開発において、前
記のモノクローナル抗体やポリクローナル抗体の中か
ら、有機溶媒に対して耐性を示す抗体を見出し、この抗
体を用いると、有機溶媒存在下においても免疫学的に複
数種類のハロゲン化ベンジレート系農薬を1回の測定の
みで迅速に測定することができることを見出した。本発
明はこうした知見に基づくものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、一般
式(I): (X−Ph)2 −C(R1 )(R2 ) (I) 〔式中、X−Ph−はパラハロゲン化フェニル基であ
り、R1 は一般式 −B−(CH2 )n−A (式中、Aは生体高分子担体と結合することのできる官
能基であり、nは1〜5の整数であり、Bは−O−基又
は−COOCH(R3 )−基であり、R3 は水素原子、
メチル基又はエチル基である)で表される基であり、R
2 はヒドロキシル基又はCOOR4 基であり、R4 は炭
素数1〜4のアルキル基である〕で表される化合物と生
体高分子担体との結合体を免疫原として用いることを特
徴とする、抗体の製造方法に関する。
【0006】また、本発明は、前記一般式(I)で表さ
れる化合物と生体高分子担体との結合体を免疫原として
用いて調製され、一般式(II): (X−Ph)2 −C(R5 )(R6 ) (II) (式中、X−Ph−は前記と同じ意味であり、R5 は炭
素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロゲン化ア
ルキル基、又は−COOR7 基であり、R7 は炭素数1
〜4のアルキル基であり、R6 はヒドロキシル基である
か、あるいはR5とR6 とが一緒になって炭素数1〜4
のアルキリデン基又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキ
リデン基である)で表される化合物2種以上と特異的に
反応する抗体に関する。また、本発明は、前記抗体のフ
ラグメントであって、前記一般式(II)で表される化合
物に対する抗原結合部位を含む、抗体フラグメントにも
関する。更に、本発明は、前記抗体及び/又は前記抗体
フラグメントを用いることを特徴とする、一般式(II)
で表される化合物の免疫学的測定方法にも関する。
【0007】更にまた、本発明は、一般式(III): (X−Ph)2 −C(R8 )−COOCH(R9 )(R10) (III) 〔式中、X−Ph−はパラハロゲン化フェニル基であ
り、R8 はヒドロキシル基であるか、あるいは一般式 −O−(CH2 )m−R11 (式中、R11はヒドロキシル基、保護されたヒドロキシ
ル基、アルデヒド基、カルボキシル基、又はCOOR12
であり、R12は炭素数1〜4のアルキル基であり、mは
1〜5の整数である)で表される基であり、R9 は水素
原子、メチル基又はエチル基であり、R10は炭素数1〜
4のアルキル基、又は−(CH2 )p−COOR13であ
り、R13は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であ
り、pは1〜5の整数である〕で表される化合物にも関
する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明による抗体の製造方
法、すなわちポリクローナル抗体の製造方法、モノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマの分離方法とモノ
クローナル抗体の製造方法、免疫学的測定方法、更に
は、前記抗体の製法においてハプテンとして用いること
のできる新規化合物の順に説明する。本発明によれば、
前記一般式(I)で表される化合物をハプテンとして使
用することにより、ポリクローナル抗体、又はモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマを調製することが
できる。本発明のポリクローナル抗体の調製並びにモノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマの分離及びモ
ノクローナル抗体の調製は、常法、例えば、続生化学実
験講座、又は免疫生化学研究法(日本生化学会編)に記
載の方法に従って行うことができる。本明細書において
「ハプテン」とは、抗体との結合能を有しているもの
の、それ単独では免疫原性を有さず、担体(シュレッパ
ー)と結合することによって免疫原性を発現する物質を
意味する。
【0009】前記一般式(I)、一般式(II)及び一般
式(III)において、パラハロゲン化フェニル基であるX
−Ph−は、フェニル基の4位にハロゲン原子(例え
ば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はフッ素原子)
が置換されていることを意味し、ベンゼン環が4−ハロ
ゲン原子以外の置換基によって更に置換された構造、例
えば、3−メチル−4−ハロゲンフェニル基又は2−ク
ロロ−4−ハロゲンフェニル基等は含まれない。また、
前記一般式(I)〜(III)中において、2つのパラハロ
ゲン化フェニル基上のハロゲン原子はそれぞれ同じもの
でも異なるものでもあることができる。ハロゲン原子と
しては、塩素原子又は臭素原子が好ましく、2つのパラ
ハロゲン化フェニル基上のハロゲン原子はそれぞれ同じ
ものであることが好ましい。前記一般式(I)におい
て、nは、好ましくは2〜4の整数、より好ましくは3
である。
【0010】また、 前記一般式(I)において、Aは
生体高分子担体と結合することのできる官能基である。
ここで「生体高分子担体」とは、ハプテンと結合して複
合体(コンジュゲート)を形成し、免疫原性を発現する
ことのできる物質(シュレッパー)を意味する。本発明
においても、従来からシュレッパーとして一般に用いら
れている公知の物質を生体高分子担体として用いること
ができる。従って、生体高分子担体としては、例えば、
分子量が約1万以上、好ましくは約4万〜100万のタ
ンパク質〔例えば、哺乳類(例えばウシやヒト)の血清
アルブミン、免疫グロブリン、オボアルブミン、ポリリ
ジン、キーホールリンペットヘモシアニン、又は多糖類
(例えば、デキストラン、アミロース、アミロペクチ
ン);あるいは細胞〔例えば、哺乳類(例えばウシやヒ
ト)の赤血球又はBCG菌〕を挙げることができる。
【0011】前記の「担体と結合することのできる官能
基」としては、前記の各担体と結合することのできる官
能基である限り特に限定されず、使用する担体に応じて
適宜選択することができる。例えば、タンパク質のアミ
ノ基と結合することのできる官能基としてはカルボキシ
ル基、アミノ基、水酸基又はチオール基;タンパク質の
チオール基と結合することのできる官能基としてはチオ
ール基、又はアミノ基;多糖類の水酸基と結合すること
のできる官能基としてはチオール基、又はアルデヒド基
を挙げることができる。
【0012】前記一般式(VI)で表されるパラニトロフ
ェノキシアルキル誘導体と生体高分子担体(シュレッパ
ー)との結合は、従来公知の方法に従って実施すること
ができる。例えば、生体高分子担体としてウシ血清アル
ブミンを用いる場合には、混合酸無水物法、グルタルア
ルデヒド法、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロス
クシンイミド法、カルボジイミド法などの方法によって
アルブミンのアミノ基とパラニトロフェノキシアルキル
誘導体との結合体を調製することができる。
【0013】好ましい前記一般式(I)で表される化合
物は、Xが塩素原子又は臭素原子であって、2つのXが
同じか又は異なり、nが3〜5の整数であり、Aが−C
OOH、−NH2 、−SH、又は−OHであり、Bは−
O−基又は−COOCH(R3 )−基であり、R3 は水
素原子、メチル基又はエチル基であり、R2 はヒドロキ
シル基又はCOOR4 基であり、R4 は炭素数1〜4の
アルキル基である化合物である。本明細書において「炭
素数1〜4のアルキル基」は、例えば、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基又はtert−ブ
チル基である。より好ましい前記一般式(I)で表され
る化合物は、Xが塩素原子又は臭素原子であって、2つ
のXが同じであり、nが3であり、Aが−COOHであ
り、Bが−COOCH(CH3 )−であり、R2 がヒド
ロキシル基である化合物;又は、Xが塩素原子又は臭素
原子であって、2つのXが同じであり、nが3であり、
Aが−COOHであり、Bが−O−であり、R2 がCO
OR4 基(R4 は特にはプロピル基である)である化合
物である。
【0014】前記一般式(I)で表される化合物は、そ
れ自体が公知であるか、又は新規化合物である場合に
は、それ自体公知の方法に準じて調製することができ
る。例えば、一般式(I−1): (X−Ph)2 −C(R11)(R2 ) (I−1) 〔式中、X−Ph−は前記の意味であり、R11は一般式 −B−(CH2 )n−A’ (式中、A’はAに変換することのできる基であり、n
及びBは前記の意味である)で表される基であり、R2
は前記の意味である〕で表される化合物のA’をAに変
換することによって調製することができる。Aに変換す
ることのできる基A’は、Aがカルボキシル基である場
合にはアルコキシカルボニル基であり、Aが−NH2
ある場合にはニトロ基であり、Aが−SHである場合に
はハロゲン原子であり、Aが−OHである場合にはシリ
ルエーテル等で保護されたヒドロキシル基である。前記
一般式(I)で表される化合物の内、新規化合物につい
ては、その製造方法を後述する。
【0015】前記一般式(I)で表される化合物と生体
高分子担体(シュレッパー)とから形成した免疫原性複
合体を免疫原として用いて、抗血清(ポリクローナル抗
体)又はモノクローナル抗体を製造すると、前記一般式
(II)で表される化合物のすべて、又はその大部分と反
応することができる抗体を産生することができる点で好
ましい。ハロゲン化ベンジレート系農薬には、種々の化
合物が存在するため、できる限り多種類の測定対象を同
時に測定することが可能な抗体を取得することができる
免疫原を選択することが重要である。
【0016】これらの免疫原性複合体を用いて、哺乳動
物又は鳥類(例えば、マウス、ラット、又は鶏等)をイ
ン・ビボ免疫法により免疫することができる。例えば、
免疫原性複合体を等量のフロイントの完全アジュバント
又は不完全アジュバントと乳化混合し、ウサギやマウス
の皮下に投与する(初回免疫)。以後、2〜4週間の間
隔で同様の操作を行い、数回免疫する。このようにして
免疫した動物の血液を採取し、抗血清として、本発明の
ポリクローナル抗体を調製することができる。例えば、
前記一般式(VI)で表される化合物と前記生体高分子担
体(特に、血清アルブミン又は免疫グロブリン)との結
合体を免疫原として用いることにより、前記一般式(I
I)で表される化合物のすべて、又はその大部分と反応
することができる抗血清を得ることができる。
【0017】一方、本発明のモノクローナル抗体を調製
する場合には、前記の免疫操作〔特には、前記一般式
(I)で表される化合物と前記生体高分子担体(特に、
血清アルブミン又は免疫グロブリン)との結合体を免疫
原として用いて〕を行った哺乳動物又は鳥類、例えば、
マウスから、最終免疫操作の数日後に、脾臓を無菌的に
取り出し、ステンレススチールメッシュなどで押しつぶ
して脾臓細胞を調製し、細胞融合工程に用いる。細胞融
合のもう一方の親細胞であるミエローマ細胞(骨髄腫細
胞)としては、各種の公知の細胞株、例えば、p3・N
S−1/1・Ag4.1〔Eur.J.Immuno
l.,5,511−517(1975)〕、SP2/0
−Ag14〔Nature,276,269−270
(1978)〕、P3−X63−Ag8.653〔J.
Immunol.,123,1548−1550(19
79)〕、NS0〔Methods in Enzym
ology,73,3(1981)〕等を使用すること
ができる。
【0018】細胞融合は通常の方法、例えば、公知の融
合促進剤(例えば、ポリエチレングリコールなど)を用
いて行うことができ、細胞の使用比率も常法に従って、
例えば、マウスの脾臓細胞に対してミエローマ細胞を約
1/5〜1/10程度の割合で行なうことができる。細
胞融合用培地としては、例えば、市販の細胞融合用ポリ
エチレングリコール(分子量1500:ベーリンガーマ
ンハイム社製)を用いることができる。融合は、前記の
培地内で免疫脾臓細胞とミエローマ細胞とをよく混合す
ることによって行うことができる。
【0019】続いて、選別用培地(例えば、HAT培
地)を用いてハイブリドーマ以外の細胞を除去し、ハイ
ブリドーマ培養上清の抗体産生の有無を、例えば、前記
パラニトロフェノキシ系有機リン化合物を用いるELI
SA法によって測定し、目的とするハイブリドーマを分
離することができる。本発明の抗体を産生するハイブリ
ドーマは、通常、細胞クローニング法、例えば、限界希
釈法を用いてクローン化することができる。また、有機
溶媒に対して耐性を有するモノクローナル抗体を産生す
るハイブリドーマを選別する場合には、各種濃度で有機
溶媒を含む有機水溶液に前記パラニトロフェノキシ系有
機リン化合物を添加し、これにモノクローナル抗体を加
えた後に、抗原抗体反応が正常に進行することを確認す
ることによって、有機溶媒耐性モノクローナル抗体を産
生するハイブリドーマを分離することができる。有機溶
媒としては、測定対象となるパラニトロフェノキシ系有
機リン化合物の溶媒を選択するのが好ましい。分離した
ハイブリドーマは、公知の培地で継代培養することがで
き、液体窒素等の中で容易に長期間保存することができ
る。
【0020】また本発明によるモノクローナル抗体は、
目的のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを
培養することにより、容易に調製することができる。ハ
イブリドーマを培養する培地としては、イン・ビトロの
場合には、例えば、5%二酸化炭素及び37℃条件下で
培養に適した任意の培地を用いることができ、好適には
イスコフ改変ダルベコ培地(以下、イスコフ培地と称す
る)に10%ウシ胎児血清(以下、FBSと称する)を
含む培地(以下、イスコフ/10%FBS培地と称す
る)を用いることができる。また、イン・ビボの場合に
は、適当な哺乳動物、例えば、マウスの腹腔中で培養す
るのが好ましい。
【0021】前記のハイブリドーマ培養液、ハイブリド
ーマを腹腔中に投与した適当な哺乳動物の腹水、又はポ
リクローナル抗体を含む抗血清は、そのまま抗体液とし
て用いることができる。また、これらの抗体液を出発材
料に、目的とする抗体を分離・精製して用いることも可
能である。タンパク質の単離・精製に用いることができ
る通常の方法を使用して、抗体を分離・精製することが
できる。このような方法としては、硫安塩析、イオン交
換クロマトグラフィー、分子篩ゲルを用いる分子篩カラ
ムクロマトグラフィー、プロテインA若しくはプロテイ
ンG結合ポリマー等を用いるアフィニテイークロマトグ
ラフィー、又は透析等の方法がある。
【0022】本発明の抗体は、前記一般式(II)で表さ
れる化合物少なくとも2種と特異的に反応する。前記一
般式(II)で表される化合物には、種々の化合物が存在
し、本発明の抗体は、前記一般式(II)で表される複数
の化合物と特異的に反応することができる。目的とする
測定対象に応じて、適当な免疫原及び/又はスクリーニ
ングに用いる化合物を選択することによって、種々の特
異性を有する抗体を調製することができる。
【0023】前記一般式(II)において、炭素数1〜4
のアルキル基R5 は、好ましくはエチル基であり、より
好ましくはメチル基である。炭素数1〜4のハロゲン化
アルキル基R5 は、好ましくはペルクロロアルキル基で
あり、より好ましくはトリクロロメチル基又はペンタク
ロロエチル基である。R7 は好ましくは炭素数2〜3の
アルキル基であり、R5 とR6 とが一緒になって形成さ
れる炭素数1〜4のアルキリデン基は、好ましくはメチ
レン基であり、炭素数1〜4のハロゲン化アルキリデン
基は、好ましくはペルクロロアルキリデン基であり、よ
り好ましくはトリクロロメチレン基又はペンタクロロエ
チリデン基である。
【0024】本発明の抗体は、前記一般式(II)におい
て、Xが塩素原子であり、R5 がエトキシカルボニル基
であり、R6 がヒドロキシル基である化合物(クロロベ
ンジレート);前記一般式(II)において、Xが塩素原
子であり、R5 がイソプロポキシカルボニル基であり、
6 がヒドロキシル基である化合物(クロロプロピレー
ト);前記一般式(II)において、Xが臭素原子であ
り、R5 がイソプロポキシカルボニル基であり、R6
ヒドロキシル基である化合物(フェニソブロモレー
ト);前記一般式(II)において、Xが塩素原子であ
り、R5 がトリクロロメチル基であり、R6 がヒドロキ
シル基である化合物(ジコホール);前記一般式(II)
において、Xが塩素原子であり、R5 がメチル基であ
り、R6 がヒドロキシル基である化合物(クロロフェニ
トール);及び前記一般式(II)において、Xが塩素原
子であり、R5 とR6 とが一緒になってジクロロメチレ
ン基である化合物〔1,1−ジクロロ−2,2−ビス
(4−クロロフェニル)エチレン:P,P−DDE〕の
各々と特異的に反応するモノクローナル抗体であること
が好ましい。
【0025】また、本発明の抗体は、クロロベンジレー
ト;クロロプロピレート;フェニソブロモレート);ジ
コホール;及びクロロフェニトールの各々と特異的に反
応するポリクローナル抗体であることが好ましい。な
お、前記一般式(II)で表される化合物に光学異性体が
存在する場合には、それらのすべての光学異性体が前記
一般式(II)で表される化合物に含まれる。本発明の抗
体が、光学異性体の存在する化合物と特異的に反応する
抗体である場合には、そのラセミ体化合物と特異的に反
応する抗体であることが好ましい。
【0026】本発明の抗体には、前記一般式(II)で表
される化合物に対する抗原結合部位を含む抗体フラグメ
ント、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2 、又
はFv等が含まれる。これらのフラグメントは、例え
ば、本発明の抗体を、常法によりタンパク質分解酵素に
よって消化し、続いてタンパク質の単離・精製の常法に
従って得ることができる。
【0027】本発明による、前記一般式(II)で表され
る化合物の免疫学的測定方法は、前記のポリクローナル
抗体及び/又はモノクローナル抗体、あるいは抗体フラ
グメントを用いて実施するので、前記ハロゲン化ベンジ
レート系農薬を正確に測定することができる。また、本
発明の測定方法においては、有機溶媒耐性モノクローナ
ル抗体を用いると、測定対象のハロゲン化ベンジレート
化合物を充分に溶解することのできる有機溶媒を含有す
る有機水性系中でも正確な抗原抗体反応を進行させるこ
とができる。
【0028】本発明による測定方法は、ハロゲン化ベン
ジレート系農薬に反応するポリクローナル抗体及び/又
はモノクローナル抗体を用いること、そして好ましくは
有機溶媒耐性抗体を用いること(従って、有機溶媒の存
在下で抗原抗体反応を実施すること)を除けば、それ以
外の点では従来公知の免疫学的測定方法にそのまま適用
することができる。すなわち、酵素免疫測定法、ラテッ
クス凝集法、又は放射性免疫測定法等に適用することが
できる。酵素免疫測定法には、抗体を酵素標識して、固
相化した抗原及び試料中のハロゲン化ベンジレート化合
物と競合反応させる、酵素標識法の内直接競合法と通常
呼ばれる方法、若しくは未標識の抗体と固相化した抗原
及び試料中のハロゲン化ベンジレート化合物を競合反応
させた後、固相化した抗原に結合した抗体を、酵素標識
した二次抗体を用いて検出する間接競合法と通常呼ばれ
る方法、又は抗体を固相化し、標識化した抗原と試料中
のハロゲン化ベンジレート化合物とを競合させる抗原標
識法と通常呼ばれる方法などがある。ここでは、抗体標
識法の内、間接競合法と通常呼ばれる測定法に沿って、
本発明方法を以下に説明する。
【0029】本発明による測定方法により、ハロゲン化
ベンジレート化合物を測定する場合には、例えば、 (1)ハプテン〔例えば、前記一般式(I)で表される
化合物〕と生体高分子担体(例えば、血清アルブミン又
は免疫グロブリン等)との結合体を固相化する(以下、
固相化抗原と称する)工程; (2)被検試料(例えば、土壌、水、又は食品)を有機
溶媒(特には、水混和性有機溶媒)で抽出し、場合によ
り緩衝液で希釈して検体を調製する工程; (3)前記固相化抗原と、前記検体と、一定量の本発明
の抗体、すなわちハロゲン化ベンジレート化合物に対し
て反応する抗体、特には有機溶媒に耐性を有する抗体
(以下、第1抗体と称する)とを混合し、競合反応させ
る工程; (4)固相化抗原と結合した第1抗体と、検体中のハロ
ゲン化ベンジレート化合物と結合した第1抗体とを分離
する工程; (5)標識化した抗マウス抗体(以下、第2抗体と称す
る)を、固相化抗原と結合した第1抗体に接触させる工
程; (6)固相化した第1抗体に結合した第2抗体と、第1
抗体と結合していない第2抗体とを分離する工程;及び (7)前記工程(6)で分離したいずれか一方、好まし
くは第1抗体と結合した第2抗体が有する標識からの信
号を測定する工程からなる。
【0030】本発明方法で用いることのできる有機溶媒
は、ハロゲン化ベンジレート化合物を溶解できる溶媒で
ある。水混和性有機溶媒は、有機溶媒抽出液を水で適当
に希釈してから、抗原抗体反応を行うことができるので
好ましい。有機溶媒としては、例えば、アルコール化合
物(例えば、炭素原子1〜2個の低級アルコール、特に
は、メチルアルコール、エチルアルコール)、ケトン化
合物(特には、アセトン)、若しくはアセトニトリル、
又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0031】本発明方法を実施する場合には、標識化第
2抗体を用いてハロゲン化ベンジレート化合物の確認又
は定量を行うことができる。抗体の標識には、公知の標
識体、例えば、放射性同位体(例えば、32P、35S、若
しくは 3H)、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、若し
くはアルカリフォスファターゼ)、ビタミン(例えば、
ビオチン)、蛍光物質(例えば、FITC)、又は化学
発光物質(例えば、アクリジニウム)等を用いることが
できる。
【0032】標識化第2抗体は、第1抗体と、ハロゲン
化ベンジレート化合物及び固相化抗原との競合反応工程
が終了してから反応系に加えることができる。すなわ
ち、第1抗体を、ハロゲン化ベンジレート化合物及び固
相化抗原と競合反応させた後、固相化抗原と結合しなか
った第1抗体を分離除去してから標識化第2抗体を加え
ると、固相化抗原と結合した第1抗体に対して標識化第
2抗体が結合する。
【0033】本発明方法では、第1抗体と、ハロゲン化
ベンジレート化合物と、固相化抗原との競合反応が終了
した後で、固相化抗原に結合した第1抗体を分離する。
分離は、例えば、濾過、遠心処理、又は緩衝液による洗
浄によって行うことができる。更に、固相化抗原に結合
した第1抗体と標識化第2抗体との反応が終了した後
で、第1抗体と結合しなかった標識化第2抗体を分離
し、続いて、例えば、第1抗体と結合した標識化第2抗
体の標識からの信号を測定する。信号を測定する際に
は、標識化第2抗体を含む反応系を信号測定に好ましい
条件に変えることが好ましい。例えば、標識として蛍光
又は化学発光物質を用いた場合には、消光が起こらない
条件で信号を測定する。
【0034】前記一般式(I)で表される化合物には、
新規化合物が含まれており、それら化合物を製造するた
めの中間体にも新規化合物が含まれている。これらの新
規化合物は、前記一般式(III)で表される化合物であ
る。好ましい前記一般式(III)で表される化合物は、X
が塩素原子又は臭素原子であって、2つのXが同じか又
は異なり、R8 がヒドロキシル基であり、R9 が水素原
子、メチル基又はエチル基であり、R10が−(CH2
p−COOR13であり、R13が水素原子又は炭素数1〜
4のアルキル基であり、pが1〜5の整数である化合物
(なお、これらの化合物の内、R13が水素原子である化
合物はハプテンとして用いることができ、R13が炭素数
1〜4のアルキル基である化合物はその中間体であ
る);又はXが塩素原子又は臭素原子であって、2つの
Xが同じか又は異なり、R8 が−O−(CH2 )m−R
11であり、R11がヒドロキシル基、保護されたヒドロキ
シル基、アルデヒド基、カルボキシル基、又はCOOR
12であり、R12が炭素数1〜4のアルキル基であり、m
が1〜5の整数であり、R9が水素原子、メチル基又は
エチル基であり、R10が炭素数1〜4のアルキル基であ
る化合物(なお、これらの化合物の内、R11がヒドロキ
シル基又はカルボキシル基である化合物はハプテンとし
て用いることができ、R13が炭素数1〜4のアルキル基
である化合物はその中間体である)である。
【0035】R8 がヒドロキシル基である前記一般式
(III)で表される化合物は、例えば、一般式(IV): (X−Ph)2 −C(OH)−COOH (IV) (式中、X−Ph−は前記と同じ意味である)で表され
る化合物と一般式(V): Y−C(R8 )−COOCH(R9 )(R10) (V) (式中、Yはハロゲン原子であり、R8 、R9 及びR10
は前記と同じ意味である)で表される化合物とを反応さ
せることによって調製することができる。
【0036】一方、R8 が−O−(CH2 )m−R11
ある前記一般式(III)で表される化合物は、例えば、一
般式(VI): (X−Ph)2 −CZ−COOR10 (VI) (式中、Zはハロゲン原子であり、R10は炭素数1〜4
のアルキル基であり、X−Ph−は前記と同じ意味であ
る)で表される化合物と一般式(VII): HO−(CH2 )m−R11 (VII) (式中、m及びR11は前記と同じ意味である)で表され
る化合物とを反応させることによって調製することがで
きる。
【0037】なお、前記一般式(III)で表される化合物
の内、前記の中間体に相当する化合物は、それ自体公知
の方法により、ハプテンとして用いることのできる化合
物に変換することができる。例えば、前記一般式(III)
において、R8 がヒドロキシル基であり、R10が−(C
2 )p−COOR13であり、R13がアルキル基である
化合物に相当する5−〔2,2−ビス(4−クロロフェ
ニル)−2−ヒドロキシアセチルオキシ〕ヘキサン酸メ
チルを、溶媒中で、塩基存在下、約−50℃〜約110
℃の温度範囲において、約0.5時間〜約100時間か
けてエステル加水分解することによって調製することが
できる。前記溶媒の例として、エーテル類(例えば、ジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン、若しくはジオキ
サン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トル
エン、キシレン、若しくはクロロベンゼン等)、ハロゲ
ン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロロホル
ム、四塩化炭素、若しくは1,2−ジクロロエタン
等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノー
ル、若しくはイソプロピルアルコール等)、若しくは
水、又はそれらの混合物等を挙げることができる。使用
することのできる塩基として、例えば、無機塩基(例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、若しくは水酸
化リチウム等)、又は有機塩基(例えば、トリエチルア
ミン、ピリジン、若しくは4−N,N−ジメチルアニリ
ン等)を挙げることができる。反応終了後、例えば、有
機溶媒抽出、又は濃縮等の通常の後処理を行うことによ
って、目的とする前記一般式(III)において、R8 がヒ
ドロキシル基であり、R10が−(CH2 )p−COOH
である化合物を得ることができる。必要に応じて、例え
ば、クロマトグラフィー、蒸留、又は再結晶等により、
更に精製することもできる。
【0038】また、前記一般式(III)において、R8
−O−(CH2 )m−R11であり、R11がヒドロキシル
基である化合物に相当する2,2−ビス(4−クロロフ
ェニル)−2−(4−ヒドロキシブチルオキシ)酢酸イ
ソプロピルを、溶媒中、酸化剤存在下、−50℃〜約1
10℃の温度範囲において、約0.5時間〜約100時
間かけて行う。前記溶媒の例として、エーテル類(例え
ば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、若しくは
ジオキサン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、若しくはクロロベンゼン
等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、若しくは1,2−ジク
ロロエタン等)、ニトリル類(アセトニトリル、若しく
はプロピオニトリル等)、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド、若しくは水、又はそれらの混合物等
を挙げることができる。使用することのできる酸化剤と
して、例えば、過マンガン酸塩、クロム酸類、ハロゲ
ン、次亜塩素酸類、亜塩素酸類、二酸化マンガン、ペル
オキソ硫酸類、二酸化セレン、有機過酸化物、過酸化水
素、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。反
応終了後、例えば、有機溶媒抽出、又は濃縮等の通常の
後処理を行い、目的とする前記一般式(III)において、
8 が−O−(CH2 )m−R11であり、R11がアルデ
ヒド基である化合物を得ることができる。必要に応じ
て、例えば、クロマトグラフィー、蒸留、又は再結晶等
により、更に精製することもできる。
【0039】更に、前記の方法で得られた、前記一般式
(III)において、R8 が−O−(CH2 )m−R11であ
り、R11がアルデヒド基である化合物に相当する2,2
−ビス(4−クロロフェニル)−2−(4−オキソブチ
ルオキシ)酢酸イソプロピルを、溶媒中、酸化剤存在
下、−50℃〜約110℃の温度範囲において、約0.
5時間〜約100時間かけて行う。前記溶媒の例とし
て、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、若しくはジオキサン等)、芳香族炭化水素
類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、若しくは
クロロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、
ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、若しくは
1,2−ジクロロエタン等)、ニトリル類(アセトニト
リル、若しくはプロピオニトリル等)、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、若しくは水、又はそれ
らの混合物等を挙げることができる。使用することので
きる酸化剤として、例えば、過マンガン酸塩、クロム酸
類、ハロゲン、硝酸、次亜塩素酸類、亜塩素酸類、二酸
化マンガン、ペルオキソ硫酸類、二酸化セレン、有機過
酸化物、過酸化水素、ジメチルスルホキシド、過酸化ニ
ッケル、酸化銀、又は酸素等を挙げることができる。ま
た、必要に応じ、無機塩(例えば、酢酸ナトリウム、リ
ン酸一水素ナトリウム、又はリン酸二水素ナトリウム
等)を加えて反応させることができる。反応終了後、例
えば、有機溶媒抽出、又は濃縮等の通常の後処理を行
い、目的とする前記一般式(III)において、R8 が−O
−(CH2 )m−R11であり、R11がカルボキシル基で
ある化合物を得ることができる。必要に応じ、例えば、
クロマトグラフィー、蒸留、又は再結晶等により、更に
精製することもできる。
【0040】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:ハプテンの合成−1(図1参照) 2,2−ビス(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ
酢酸2.0g、5−ブロモヘキサン酸メチル2.1g、
及び炭酸カリウム1.4gをジメチルホルムアミド(D
MF)50mlに溶解し、80℃にて15時間攪拌し
た。反応混合液を水に加え、酢酸エチルにて抽出し、無
水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下で溶媒を留去し
た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、
5−〔2,2−ビス(4−クロロフェニル)−2−ヒド
ロキシアセチルオキシ〕ヘキサン酸メチル0.6gを得
た(収率:21.4%)。5−〔2,2−ビス(4−ク
ロロフェニル)−2−ヒドロキシアセチルオキシ〕ヘキ
サン酸メチル0.6g及び水酸化リチウム60mgをテ
トラヒドロフラン(THF)−水(1:1混液)10m
lに溶解し、25℃にて15時間攪拌した。反応混合液
を水に加え、希塩酸にて中和した後、酢酸エチルにて抽
出し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。減圧下で溶媒
を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精
製し、式(VII )で表される5−〔2,2−ビス(4−
クロロフェニル)−2−ヒドロキシアセチルオキシ〕ヘ
キサン酸(以下、化合物CP−Aと称する)0.2gを
得た(収率:34.8%)。反応工程式を図1に示す。
図1に示す化合物(1)〜(3)の内、化合物(2)及
び(3)は新規化合物である。
【0041】実施例2:ハプテンの合成−2(図2参
照) 2,2−ビス(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ
酢酸イソプロピル3.0g、三臭化リン2.4g、及び
臭素1.4gを混合した後、60℃で1時間攪拌した。
反応混合液を氷水に加え、炭酸カリウムにて中和した
後、酢酸エチルにて抽出した。無水硫酸ナトリウムにて
乾燥後、減圧下で溶媒を留去することにより、2−ブロ
モ−2,2−ビス(4−クロロフェニル)酢酸イソプロ
ピル3.0gを得た(収率:82.9%)。2−ブロモ
−2,2−ビス(4−クロロフェニル)酢酸イソプロピ
ル1.0gに4−t−ブチルジメチルシリル(TBDM
S)オキシブタノール4.4gを加え、100℃にて2
時間攪拌した。反応混合液を水に加え、酢酸エチルにて
抽出した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下で溶
媒を留去することにより、2,2−ビス(4−クロロフ
ェニル)−2−(4−t−ブチルジメチルシリルオキシ
ブチルオキシ)酢酸イソプロピル粗製物2.4gを得
た。これを精製することなく次の反応に用いた。
【0042】2,2−ビス(4−クロロフェニル)−2
−(4−t−ブチルジメチルシリルオキシブチルオキ
シ)酢酸イソプロピル粗製物2.4gをテトラヒドロフ
ラン50mlに溶解させた後、テトラブチルアンモニウ
ムフルオライド(Bu4 NF)3.6gを加え、25℃
にて2時間攪拌した。反応混合液を減圧下で留去し、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2,2
−ビス(4−クロロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ
ブチルオキシ)酢酸イソプロピル0.4gを得た(収
率:21.0%)。2,2−ビス(4−クロロフェニ
ル)−2−(4−ヒドロキシブチルオキシ)酢酸イソプ
ロピル1.0gを塩化メチレン30mlに溶解した後、
ピリジニウムクロロクロメート(PCC)1.2gを加
え、25℃にて2時間攪拌した。ジエチルエーテル50
mlを加え、不溶物をフロリジルにて濾過した後、減圧
下で溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにて精製し、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−
2−(4−オキソブチルオキシ)酢酸イソプロピル0.
6gを得た(収率:61.1%)。2,2−ビス(4−
クロロフェニル)−2−(4−オキソブチルオキシ)酢
酸イソプロピル0.6gをアセトニトリル6ml及び水
3mlの混液に溶解させた後、リン酸二水素ナトリウム
0.06g及び35%過酸化水素0.15gを加えた
後、氷冷し、亜塩素酸ナトリウム0.18gを加え、1
時間攪拌した。反応混合液を水に加え、酢酸エチルにて
抽出し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。減圧下で溶
媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて
精製し、4−〔ビス(4−クロロフェニル)−イソプロ
ポキシカルボニルメチルオキシ〕酪酸(以下、化合物C
P−Bと称する)0.3gを得た(収率:47.0
%)。反応工程式を図2に示す。図2に示す化合物
(4)〜(9)の内、化合物(6)〜(9)は新規化合
物である。
【0043】実施例3:ハプテンと担体との結合 前記実施例1で調製した化合物CP−A、又は前記実施
例2で調製した化合物CP−B25mgをそれぞれ無水
ジオキサン2mlに溶解した後、N−メチルモルホリン
50μlを添加し、10℃で10分間撹拌した。次に、
イソブチルクロロカーボネート20μlを少しずつ添加
し、20分間撹拌した。一方、オボアルブミン又は牛血
清アルブミン80mgをそれぞれ蒸留水1mlに溶解し
た後、10℃でジオキサン2.6mlを滴下し、更に1
N−NaOHでpH9に調整した。これらの溶液に、先
に調製したCP−A溶液又はCP−B溶液のいずれかの
溶液を、1N−NaOHでpH9に保ちながら、徐々に
滴下し、4℃で4時間反応させた後、ダルベコのリン酸
緩衝液(以下、PBS(−)と称する)に対して透析し
た。こうして作製した化合物CP−Aとオボアルブミン
又は牛血清アルブミンとの結合体、化合物CP−Bとオ
ボアルブミン又は牛血清アルブミンとの結合体は、凍結
乾燥後、それぞれ免疫原又は分析用抗原として用いた。
【0044】実施例4:ウサギへの免疫及びポリクロー
ナル抗体溶液の調製 ウサギへの免疫は、化合物CP−Aとオボアルブミンと
の結合体、又は化合物CP−Bとオボアルブミンとの結
合体各々1mgをPBS(−)1mlに溶解し、等量の
フロイントの完全アジュバントと混合した後、ウサギに
皮下接種することによって行った。1月後及び2月後に
それぞれ初回免疫量の1/4量を追加免疫した。その1
週間後に採血し、調製した抗血清をポリクローナル抗体
溶液として用いた。
【0045】実施例5:マウスへの免疫 マウスへの免疫は、化合物CP−Aとオボアルブミンと
の結合体、又は化合物CP−Bとオボアルブミンとの結
合体各々100μgをPBS(−)50μlに溶解し、
等量のフロイントの完全アジュバントと混合した後、マ
ウスに皮下接種することによって行った。1月後にそれ
ぞれ初回免疫量の1/4量を追加免疫し、化合物CP−
Aとオボアルブミンとの結合体の場合は、更に2ヶ月後
に、化合物CP−Bとオボアルブミンとの結合体の場合
は、前記追加免疫の3ヶ月後に最終免疫を行った。
【0046】実施例6:モノクローナル抗体の作製 細胞融合は、最終免疫後3日目のマウスの脾臓を用いて
行った。まず摘出した脾臓をイスコフ改変ダルベコ培地
(以下、イスコフ培地と称する)にて3回洗浄後、脾臓
細胞をイスコフ培地中に取り出した。この細胞懸濁液を
イスコフ培地で3回洗浄後、マウスのミエローマ細胞P
3−X63−Ag8.653と細胞数の比で5:1(脾
臓細胞:ミエローマ細胞)になるように混ぜ、遠心
(1,200rpm,5分間)して細胞沈さを得た。こ
れに50%ポリエチレングリコール(分子量1,50
0)溶液1mlを、ゆっくり加え、細胞を融合した。細
胞融合は、イスコフ培地10mlを徐々に添加し、牛胎
児血清(以下、FBSと称する)1mlを更に添加する
ことにより停止した。融合した細胞(ハイブリドーマ)
を、イスコフ培地に10%FBSを添加した培地(以
下、イスコフ/10%FBS培地と称する)にヒポキサ
ンチン、アミノプテリン、及びチミジンを添加したHA
T培地に懸濁し、その細胞懸濁液を96ウェルのポリス
チレンプレート中に2×105 細胞/mlで分注し、3
7℃にて5%二酸化炭素存在下で10日間〜14日間培
養した。培養後、化合物CP−Aと牛血清アルブミンと
の結合体、又は化合物CP−Bと牛血清アルブミンとの
結合体を分析用抗原として、反応するウェル中の抗体の
活性をそれぞれスクリーニングした。
【0047】抗体の活性は、ELISA法によって測定
した。化合物CP−Aとオボアルブミンとの結合体を免
疫して得たハイブリドーマに対しては、化合物CP−A
と牛血清アルブミンとの結合体1μg/mlをPBS
(−)に溶解し、96ウェルのマイクロタイタープレー
トに50μl/ウェルで添加した後、4℃で一晩静置す
ることにより固相化し、化合物CP−Bとオボアルブミ
ンとの結合体を免疫して得たハイブリドーマに対して
は、化合物CP−Bと牛血清アルブミンとの結合体を同
様にして固相化した。次に250μl/ウェルで1%の
牛血清アルブミンを添加したホウ酸バッファー〔62m
M−NaCl含有の85mMホウ酸バッファー(pH
8.0)〕(以下、ブロッキングバッファーと称する)
に置き換え、室温で1時間ブロッキングを行なった。こ
れにハイブリドーマの培養上清を75μl/ウェルで加
え、室温で1時間反応させた。62mM−NaCl含有
の85mMホウ酸バッファー(pH8.0)(以下、洗
浄液と称する)で3回洗浄してから、更にペルオキシダ
ーゼ結合抗マウスIgG抗体(キャペル社製)を2次抗
体希釈液(0.3%牛血清アルブミンを含有するホウ酸
バッファー)で1,000倍に希釈したものを100μ
l/ウェルで加え、1時間反応させた。洗浄液で3回洗
浄した後、ペルオキシダーゼの基質溶液〔100μg/
mlテトラメチルベンチジン(TMBZ)及び0.00
6%H22 含有の0.1M酢酸ナトリウムバッファー
(pH5.5)〕で発色させ、更に等量の2N−H2
4 で反応停止後、450nmの吸光度を測定した。
【0048】この結果、抗体の活性を示したウェルにつ
いて、限界希釈法によって細胞クローニングを行なっ
た。その結果、化合物CP−Aと牛血清アルブミンとの
結合体とは反応するが、牛血清アルブミン単独とは反応
しない抗体を産生しているハイブリドーマ5株(すなわ
ち、CP−A系ハイブリドーマ6−8株、9−18株、
10−18株、11−60株、及び16−90株)を得
た。以下、それらのハイブリドーマが産生するモノクロ
ーナル抗体をそれぞれ、CP−A系モノクローナル抗体
6−8、9−18、10−18、11−60、及び16
−90と称する。CP−A系モノクローナル抗体6−8
及び10−18の免疫グロブリンサブクラスはそれぞれ
IgG2aであり、CP−A系モノクローナル抗体9−1
8、11−60、及び16−90の免疫グロブリンサブ
クラスはそれぞれIgG1 であった。一方、化合物CP
−Bと牛血清アルブミンとの結合体とは反応するが、牛
血清アルブミン単独とは反応しない抗体を産生している
ハイブリドーマ3株(すなわち、CP−B系ハイブリド
ーマ17−1株、46−16株、及び62−20株)を
得た。以下、それらのハイブリドーマが産生するモノク
ローナル抗体をそれぞれ、CP−B系モノクローナル抗
体17−1、46−16、及び62−20と称する。C
P−B系モノクローナル抗体17−1、46−16、及
び62−20の免疫グロブリンサブクラスは、すべてI
gG1 であった。これらのハイブリドーマをイスコフ/
10%FBS培地で培養し、その培養上清を抗体液とし
た。
【0049】実施例7:間接競合ELISA法による反
応性の検討 まず化合物CP−Aとオボアルブミンとの結合体を免疫
して得たモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体に
ついて検討した。化合物CP−Aと牛血清アルブミンと
の結合体を実施例6に示したELISA法と同様にして
固相化し、ブロッキングした。このウェルを洗浄液にて
3回洗浄した後、所定濃度のクロロベンジレート溶液を
50μl/ウェルで加え、直ちに洗浄液にて適当な濃度
に希釈した抗体溶液を更に等量加えて混合し、室温にて
1時間反応させた。再び洗浄液で3回洗浄してから、2
次抗体希釈液で1,000倍に希釈したペルオキシダー
ゼ結合抗体(抗体として、モノクローナル抗体の場合
は、抗マウスIgG抗体,ポリクローナル抗体の場合
は、抗ウサギIgG抗体を使用した)を100μl/ウ
ェルで加え、1時間反応させた。洗浄液で3回洗浄した
後、実施例6と同様に、ペルオキシダーゼの基質溶液で
発色させ、更に等量の2NH2 SO4 で反応停止後、4
50nmの吸光度を測定し、阻害率(%)を算出した。
その結果、5種類のCP−A系ハイブリドーマが産生す
る5種類のCP−A系モノクローナル抗体のうち、6−
8株の産生するCP−A系モノクローナル抗体6−8が
最も測定感度が高いモノクローナル抗体であった。CP
−A系モノクローナル抗体6−8とクロロベンジレート
との反応性を図3に示す。モノクローナル抗体6−8を
用いることによって、クロロベンジレートを10ng/
ml程度から100ng/ml程度まで測定することが
できた。
【0050】CP−A系ポリクローナル抗体とクロロベ
ンジレートとの反応性を図4に示す。CP−A系ポリク
ローナル抗体を用いることによって、クロロベンジレー
トを10ng/ml程度から5μg/ml程度まで測定
することができた。一方、化合物CP−Bとオボアルブ
ミンとの結合体を免疫して得たCP−B系モノクローナ
ル抗体及びCP−B系ポリクローナル抗体についても、
化合物CP−Aと牛血清アルブミンとの結合体の代わり
に、固相化抗原として化合物CP−Bと牛血清アルブミ
ンとの結合体を用い、化合物CP−Aとオボアルブミン
との結合体を免疫して得た抗体の代わりに、化合物CP
−Bとオボアルブミンとの結合体を免疫して得た抗体を
用いること以外は、前記と同様の操作を繰り返した。そ
の結果、得られたCP−B系ハイブリドーマ3株が産生
する3種類のCP−B系モノクローナル抗体のすべてに
ついて、クロロベンジレートを測定することができた。
しかし、化合物CP−Aとオボアルブミンとの結合体を
免疫して得た抗体と比較して測定感度が低かったので、
以降の実験は、CP−A系モノクローナル抗体6−8及
びCP−A系ポリクローナル抗体を用いて実施した。
【0051】実施例8:抗体のメチルアルコール耐性 クロロベンジレートに対して測定感度の高かったCP−
A系モノクローナル抗体6−8及びCP−A系ポリクロ
ーナル抗体について、実施例5に示した間接競合ELI
SA法を用いてメチルアルコールへの耐性を調べた。メ
チルアルコールは、競合反応時の溶液に含まれる最終濃
度が各々0%〜60%となるように添加した。CP−A
系モノクローナル抗体6−8のメチルアルコールに対す
る耐性を図5に、CP−A系ポリクローナル抗体のメチ
ルアルコールに対する耐性を図6に、アルコールの濃度
によるクロロベンジレートの測定感度の変化としてそれ
ぞれ示す。図5に示すように、CP−A系モノクローナ
ル抗体6−8は、少なくとも20%以下のメチルアルコ
ール濃度では、ほとんどクロロベンジレートの測定感度
に影響しないことが明らかになった。また、40%のメ
チルアルコール濃度でも、0%のメチルアルコール濃度
の場合(すなわち、メチルアルコール不在下の場合)と
比較して、50%阻害率において、測定感度が約50倍
程度低下するものの、クロロベンジレートを測定するこ
とができることが明らかとなった。一方、CP−A系ポ
リクローナル抗体は、図6から明かなように、メチルア
ルコール濃度の上昇に伴なって、CP−A系モノクロー
ナル抗体6−8より大幅な測定感度の低下が認められる
ものの、メチルアルコール濃度が少なくとも40%まで
はクロロベンジレートを測定することができることが明
らかとなった。
【0052】実施例9:各種ハロゲン化ベンジレートと
の交差反応性 実施例5で示した間接競合ELISA法を用い、クロロ
ベンジレート又はその類縁化合物(農薬)と反応させ、
CP−A系モノクローナル抗体6−8及びCP−A系ポ
リクローナル抗体の交差反応性を調べた。それぞれの抗
体のクロロベンジレート又はその関連化合物のIC50
(μg/ml)及び交差反応性値(%)の結果を表1に
示す。なお、IC50値とは、対象となる供試化合物を加
えずに反応させた場合の吸光度を100%として、その
50%を阻害するのに必要な供試化合物の濃度をその供
試化合物のIC50値(μg/ml)とした。また、交差
反応性値(%)とは、クロロベンジレートのIC50値を
100%としたときの各供試化合物のIC50値の百分率
と定義し、以下の式により求めた。 交差反応性(%)=(クロロベンジレートのIC50/供
試化合物のIC50)×100
【0053】
【表1】 CP-A系モノクローナル 抗体 6-8 CP-A系ホ゜リクローナル 抗体 化合物名 IC50 交差反応性(%) IC50 交差反応性(%) クロロベンジレート 0.075 100.0 0.27 100.0 クロロプロピレート 0.10 75.0 0.07 385.7 フェニソブロモレート 0.425 17.6 0.11 245.5 ジコホール 5.45 1.38 5.40 5.0 クロロフェネトール 2.0 3.75 8.50 3.18 ジフェノアミド >50 <0.15 >50 <0.54 P,P−DDE 7.4 1.01 >50 <0.54 DCBP >50 <0.15 >50 <0.54 CNP >50 <0.15 >50 <0.54 メチルパラチオン >50 0.15 >50 <0.54MEP >50 <0.15 >50 <0.54
【0054】本実施例で用いた各供試化合物の構造式を
以下の表2及び表3に示す。また、表1〜表3における
記号は以下の意味である。 P,P−DDE:1,1−ジクロロ2,2−ビス(4−
クロロフェニル)エチレン DCBP:4,4’−ジクロロベンゾフェノン CNP:クロロニトロフェン MEP:フェニトロチオン
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】表1に示すように、CP−A系モノクロー
ナル抗体6−8は、クロロベンジレートだけでなく、ク
ロロプロピレートに対して75%の交差反応性を示し、
更には、フェニソブロモレート、ジコホール、クロロフ
ェネトール、及びP,P−DDEとも交差反応し、本発
明のCP−A系モノクローナル抗体6−8を用いること
によって、これらの化合物を1回の測定操作によって同
時に測定することができることが明らかになった。一
方、CP−A系ポリクローナル抗体は、クロロベンジレ
ートだけでなく、クロロプロピレート及びフェニソブロ
モレートに対してクロロベンジレートより高い反応性を
示し、更には、ジコホール及びクロロフェネトールにも
交差反応性を示し、本発明のCP−A系ポリクローナル
抗体を用いることによって、これらの化合物を1回の測
定操作によって同時に測定することができることが明ら
かになった。
【0058】
【発明の効果】本発明による免疫学的測定では、例え
ば、CP−A系モノクローナル抗体6−8を用いること
により、ハロゲン化ベンジレート化合物、例えば、クロ
ロベンジレート及びクロロプロピレートを高感度に測定
することができ、しかもフェニソブロモレート、ジコホ
ール、クロロフェネトール、及びP,P−DDEも測定
することができる。あるいは、例えば、CP−A系ポリ
クローナル抗体を用いることにより、クロロベンジレー
ト、クロロプロピレート、及びフェニソブロモレートを
高感度に測定でき、しかもジコホール及びクロロフェネ
トールも測定することができる。また、メチルアルコー
ルを含む条件下でも複数種類のハロゲン化ベンジレート
化合物を同時に測定することができ、例えば、河川、水
田、又は湖沼等から採取した被検水ばかりでなく、例え
ば、作物や土壌などの被検試料から有機溶媒で抽出した
抽出液についても容易に測定することができる。従っ
て、本発明による免疫学的測定法を用いることにより、
ハロゲン化ベンジレート化合物の測定が、大幅に簡略化
されるとともに測定時間が短縮され、多数の検体を迅速
かつ安価に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハプテン化合物を製造する反応工程式を示す説
明図である。
【図2】別のハプテン化合物を製造する反応工程式を示
す説明図である。
【図3】CP−A系モノクローナル抗体6−8とクロロ
ベンジレートとの反応性を示すグラフである。
【図4】CP−A系ポリクローナル抗体とクロロベンジ
レートとの反応性を示すグラフである。
【図5】クロロベンジレートとの反応において、CP−
A系モノクローナル抗体6−8のメチルアルコール耐性
を示すグラフである。
【図6】クロロベンジレートとの反応において、CP−
A系ポリクローナル抗体のメチルアルコール耐性を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (72)発明者 大川 秀郎 兵庫県芦屋市朝日ヶ丘町14−3−403

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): (X−Ph)2 −C(R1 )(R2 ) (I) 〔式中、X−Ph−はパラハロゲン化フェニル基であ
    り、R1 は一般式 −B−(CH2 )n−A (式中、Aは生体高分子担体と結合することのできる官
    能基であり、nは1〜5の整数であり、Bは−O−基又
    は−COOCH(R3 )−基であり、R3 は水素原子、
    メチル基又はエチル基である)で表される基であり、R
    2 はヒドロキシル基又はCOOR4 基であり、R4 は炭
    素数1〜4のアルキル基である〕で表される化合物と生
    体高分子担体との結合体を免疫原として用いることを特
    徴とする、抗体の製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式(I): (X−Ph)2 −C(R1 )(R2 ) (I) 〔式中、X−Ph−はパラハロゲン化フェニル基であ
    り、R1 は一般式 −B−(CH2 )n−A (式中、Aは生体高分子担体と結合することのできる官
    能基であり、nは1〜5の整数であり、Bは−O−基又
    は−COOCH(R3 )−基であり、R3 は水素原子、
    メチル基又はエチル基である)で表される基であり、R
    2 はヒドロキシル基又はCOOR4 基であり、R4 は炭
    素数1〜4のアルキル基である〕で表される化合物と生
    体高分子担体との結合体を免疫原として用いて製造さ
    れ、一般式(II): (X−Ph)2 −C(R5 )(R6 ) (II) (式中、X−Ph−は前記と同じ意味であり、R5 は炭
    素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロゲン化ア
    ルキル基、又は−COOR7 基であり、R7 は炭素数1
    〜4のアルキル基であり、R6 はヒドロキシル基である
    か、あるいはR5とR6 とが一緒になって炭素数1〜4
    のアルキリデン基又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキ
    リデン基である)で表される化合物2種以上と特異的に
    反応する抗体。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の抗体のフラグメントで
    あって、一般式(II): (X−Ph)2 −C(R5 )(R6 ) (II) (式中、X−Ph−は前記と同じ意味であり、R5 は炭
    素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロゲン化ア
    ルキル基、又は−COOR7 基であり、R7 は炭素数1
    〜4のアルキル基であり、R6 はヒドロキシル基である
    か、あるいはR5とR6 とが一緒になって炭素数1〜4
    のアルキリデン基又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキ
    リデン基である)で表される化合物に対する抗原結合部
    位を含むフラグメント。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の抗体及び/又は請求項
    3に記載の抗体フラグメントを用いることを特徴とす
    る、一般式(II): (X−Ph)2 −C(R5 )(R6 ) (II) (式中、X−Ph−は前記と同じ意味であり、R5 は炭
    素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロゲン化ア
    ルキル基、又は−COOR7 基であり、R7 は炭素数1
    〜4のアルキル基であり、R6 はヒドロキシル基である
    か、あるいはR5とR6 とが一緒になって炭素数1〜4
    のアルキリデン基又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキ
    リデン基である)で表される化合物の免疫学的測定方
    法。
  5. 【請求項5】 一般式(III): (X−Ph)2 −C(R8 )−COOCH(R9 )(R10) (III) 〔式中、X−Ph−はパラハロゲン化フェニル基であ
    り、R8 はヒドロキシル基であるか、あるいは一般式 −O−(CH2 )m−R11 (式中、R11はヒドロキシル基、保護されたヒドロキシ
    ル基、アルデヒド基、カルボキシル基、又はCOOR12
    であり、R12は炭素数1〜4のアルキル基であり、mは
    1〜5の整数である)で表される基であり、R9 は水素
    原子、メチル基又はエチル基であり、R10は炭素数1〜
    4のアルキル基、又は−(CH2 )p−COOR13であ
    り、R13は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であ
    り、pは1〜5の整数である〕で表される化合物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007131544A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Horiba Ltd エマメクチンおよびその類似化合物に対する抗体の製造方法、抗体、ハイブリドーマ、その免疫学的測定方法および測定キット
JP4509007B2 (ja) * 2005-11-08 2010-07-21 株式会社堀場製作所 エマメクチンおよびその類似化合物に対する抗体の製造方法、抗体、ハイブリドーマ、その免疫学的測定方法および測定キット

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