JPH09174314A - 流体用ロータリジョイントを一体化したチャック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スピンドルの軸受またはシール面が大きな摩
耗を引き起こす過大の応力にさらされることなく、高回
転数に適している、チャックを提供することである。 【解決手段】 高回転数で回転する機械、特に工作機械
のための流体用ロータリジョイントを備えたチャック
は、中空のスピンドル１と、このスピンドルによって回
転可能な締付け要素を備えている。ロータリジョイント
はチャックに一体化され、締付け要素に第１のスライド
シール面２１を備えている。第１のスライドシール面の
方へ向いた第２のスライドシール面２２は、ロータリジ
ョイント２０の回転不能なシール部材２３に設けられて
いる。このシール部材は第１のスライドシール面２１と
の密封接触位置から離れる方向に付勢され、ロータリジ
ョイントは圧力付勢されたときに軸方向に移動可能なシ
ール部材２３をその付勢に抗して締付け要素の第１のス
ライドシール面２１に密封接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高回転数で作動す
るよう設計され、中心軸線の回りに回転可能な中空のス
ピンドルと、このスピンドル上またはスピンドル内に設
けられこのスピンドルによって回転可能な締付け要素を
備えた、高回転数で回転する機械、特に工作機械のため
の流体用ロータリジョイントを備えたチャックに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】このようなチャックの構造は知られてお
り、低い回転数のロータリジョイントを備えたチャック
と異なっていない。このようなチャックは一般的に、回
転可能なスピンドルを備えた工作機械に使用される。こ
のスピンドルの自由端には、特殊な締付け機構（本発明
の対象ではない）によって工具（場合によって工作物）
を締付け、高回転数で回転させる。工具が工作物に作用
することにより、切屑だけでなく、摩擦に基づいて多量
の熱エネルギーが発生する。発生した摩擦熱と切屑は、
邪魔にならないように、工具の作業範囲からできるだけ
迅速に排出しなければならない。その際、例えばフライ
ス加工時の切屑の排出は一般的に問題がないが、穿孔の
場合には問題がある。一般的に圧縮空気または水−油−
エマルジョンが使用される。これらは工具の作業範囲に
直接吹きつけられ、その際切屑と同時に熱エネルギーを
排出する。幾つかの加工工程で、特にフライス加工工程
で、圧縮空気または液状冷却および洗浄媒体の供給を外
部から行うことが可能であるが、他の加工工程、例えば
穿孔工程では、発生する切屑と熱エネルギーを搬出する
ために、外部からの冷却および洗浄媒体の供給は不充分
である。このような用途のために、内部から冷却媒体を
工具に共有する。このような工具は例えば中央の軸方向
縦穴を備えている。この縦穴は工具の加工範囲の近くの
どこかで１個または複数の流出口に開口している。これ
に応じて、締付け機構とスピンドルを内部冷却媒体供給
に合わせて設計しなければならない。すなわち、締付け
機構とスピンドルは中空であり、中心軸線に沿って冷却
および洗浄媒体の供給を可能にする。この冷却および洗
浄媒体は工具の後端から入り、前側の開口から出る。こ
のような工作機械はアクセスしにくい加工範囲の用途に
制限されるだけでなく、容易にアクセス可能な加工範囲
にも適用可能である。なぜなら、これにより、冷却およ
び洗浄媒体の必要量が大幅に減少するからである。

【０００３】このような工作機械は適当なロータリジョ
イントを備えている。なぜなら、冷却および洗浄媒体が
スピンドルと共に回転しないタンクに貯蔵され、そこか
ら回転するスピンドルに供給しなければならないからで
ある。そのために一般的に、互いに滑動し回転軸線に対
してほぼ垂直に延びるシール面を備えたロータリジョイ
ントが使用される。

【０００４】更に、工具交換を迅速にかつ自動的に行う
ことができるようにするために、このような工作機械の
多くは、締付け機構によって特別に適合された工具軸を
掴んで締付け固定するチャックを備えている。この場
合、必要な締付け力は多くの場合いわゆる引き棒によっ
て供給される。この引き棒はスピンドルの内部で回転軸
線に沿って延び、スピンドルの自由端で締付け機構に連
結され、締付けおよび締付け解除工程が引き棒の軸方向
の移動によって行われる。しかし、引き棒として特別に
形成されていることとは関係なく、本発明は、締付け要
素が当該の機構を締付けおよび締付け解除するために軸
方向の運動を行う、ロータリジョイントを備えたすべて
のチャックに関する。

【０００５】工具または工具軸と締付け機構とチャック
自体の一部の製作誤差に基づいておよび不可避の摩耗の
ために、締付けられた工具が異なる場合、締付け要素の
軸方向の位置が変化するかまたは装置の使用の途中で徐
々に変化することが避けられない。これはロータリジョ
イントにとって、スピンドルに設けられた締付け要素の
軸方向の位置が異なるにもかかわらず、ロータリジョイ
ントのスライドシール面が液体を常に漏らさぬよう接触
することを保証しなければならないことを意味する。

【０００６】ロータリジョイントを備えた今まで知られ
ているチャックはすべて重大な欠点を有する。このよう
なチャックが非常に摩耗しやすい、すなわち、スライド
シールが高回転数のときに短い時間で使用可能となり、
交換しなければならないかあるいは最初から高回転数の
ために設けられない。これは特に、スライドシール面が
動かない部品に設けられているロータリジョイントに当
てはまる。これは回転する質量の増大およびまたは軸受
からのその距離の増大につながり、このような場合高回
転数に適していない。その際、本願では、15,000〜30,0
00回転／分、特に20,000〜30,000回転／分の回転数範囲
が高回転数の範囲と見なされる。これは勿論、本発明が
それよりも低い回転数の回転機械または高い回転数の開
演機械にも適用可能であることを排除するものではな
い。一般的に、スライドシールまたは軸受の過大の摩耗
を一緒にもたらさないで、約20,000回転／分の回転数に
適した前述の種類のロータリジョイントを備えたチャッ
クは知られていない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】この技術水準に対し
て、本発明の根底をなす課題は、回転するスピンドルの
軸受またはシール面が大きな摩耗を引き起こす過大の応
力にさらされることなく、高回転数に適していて、同時
に、チャックのいろいろな軸方向位置を考慮に入れるこ
とができる、冒頭に述べた種類のロータリジョイントを
備えたチャックを提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この課題は、ロータリジ
ョイントがチャックに一体化され、締付け要素またはこ
の締付け要素に固定連結された部分に第１のスライドシ
ール面を備え、第１のスライドシール面の方へ向いた第
２のスライドシール面が、第１のスライドシール面に依
存しないで軸方向に移動可能である、ロータリジョイン
トの回転不能なシール部材に設けられ、このシール部材
が第１のスライドシール面との密封接触位置から離れる
方向に付勢され、ロータリジョイントが圧力付勢された
ときに軸方向に移動可能なシール部材をその付勢に抗し
て締付け要素の第１のスライドシール面に密封接触させ
ることができる装置が設けられていることによって解決
される。

【０００９】第２のスライドシール面を備えたシール部
材が軸方向に移動可能であることと、第のシール面の付
勢部が密封接触部から離れていることにより、一般的
に、スライドシール面は軸方向において互いに離れてお
り、互いに接触しない。これにより、特に大きな摩擦力
が避けられる。もしそうしないと、第２のスライドシー
ル面が軸方向において固定され、第１のスライドシール
面が製作誤差または摩耗誤差に基づいて異なる軸方向位
置を占めるときに、この大きな摩擦力が発生する。締付
け機構が摩耗するかまたは普通の製作誤差に基づいて異
なる位置を占めると、スライドシールが供給される媒体
によって圧力付勢されないかぎり、両スライドシール面
の間の間隔が大きくなったり小さくなったりする。スラ
イドシールが圧力で付勢されて初めて、第２のスライド
シール面が第１のスライドシール面の方へ移動し、両ス
ライドシール面が接触し、そして圧力が更に高まると、
付勢された逆止弁のような適当な装置により、供給され
る媒体が続いてスライドシールの入口からスピンドルま
たは引き棒内に導かれる。この場合、上述のシール面は
この状態で互いに密封接触している。その際同時に、ス
ピンドル軸受はスライドシール面から比較的に短い軸方
向距離をおいて設けられ、それによって、シール面を軸
方向に移動可能な締付け要素の向こう側に配置する場合
よりも、回転する機械部分から停止した機械部分への移
行部に近いところに配置可能である。

【００１０】本発明の好ましい実施形では、圧力付勢さ
れたときに第２のスライドシール面を第１のスライドシ
ール面に接触される装置が、付勢された逆止弁によって
形成され、逆止弁の付勢力が、第２のスライドシール面
を第１のスライドシール面から離れるよう押す付勢力よ
りも大きい。これにより、圧力付勢時先ず最初に、シー
ル面の接触が行われ、そして逆止弁が開放する。そして
シール面が上記の付勢力の差によって付勢される。

【００１１】本発明の他の実施形では、第２のシール面
を備えたシール部材が回転軸線に対して傾動するための
隙間を有する。これも製作誤差の補償を可能にし、両ス
ライドシール面はこのような誤差または方向づけ欠陥ま
たは整列欠陥に依存しないで大きな面で互いに平らに接
触する。更に、これに関連して、本発明の他の実施形で
は、スライドシール面を有するシール部材が、シール面
と反対側のその端部に、他のシール面または円錐形の面
と（部分的な）球形の面との間のシール移行部を備えて
いる。球面と円錐部の間のこのような移行部は線状の密
封接触を生じる。この場合、球面を有する部分は円錐面
を有する部分と相対的に大きな角度範囲にわたって傾動
可能であるかまたはそれとは逆に傾動可能であり、線状
の密封接触が無くなることはない。実際には不可避であ
る小さな整列誤差の場合、この構成におり、シール部材
がその対称軸線またはロータリジョイント全体の対称軸
線に対して平行にずれているスピンドルの回転軸線回り
に回転可能であり、その際ロータリジョイントのどこか
のシール面がこれによって不利な影響を受けることがな
い。

【００１２】この実施形の場合には、上記の逆止弁が特
に、流れ方向に見て球欠／円錐−移行部の前に設けられ
ている他のシール部材に収容されている。本発明の利点
は特に、機械スピンドルの比較的に高い回転数が可能で
あり、その際スライド面の過大の摩耗が発生したり、大
きな漏れが生じたりすることがないことにある。従っ
て、このようなスライドシールを備えたチャックは、1
5,000〜30,000回転／分の高い回転数範囲、特に20,000
回転／分以上の回転数の範囲に特に適している。

【００１３】これと関連して、ロータリジョイントが、
スピンドルとチャックの引き棒との間に内部式摩擦連結
部を備えている部材に一体化されていると特に有利であ
る。引き棒は好ましくはばねセット等によってスピンド
ルに締付け方向に支持されている。引き棒自体が影響を
受けないときには、スピンドルと引き棒に支持されたば
ねセットが引き棒を軸方向内側に押すので、シール面
（そのうちの一方が引き棒の端部に設けられている）が
互いに近接するがしかし接触しない。なぜなら、第１の
スライドシール面の軸方向端位置のための或る程度の隙
間を引き棒に設けるために、圧力で付勢されていないロ
ータリジョイントのシール部材のスライドシール面が密
封接触部から離して付勢されているからである。引き棒
の操作、すなわち締付け機構の締付け解除は一般的には
油圧で、場合によっては空気圧でおなわれる。その際、
操作装置がスピンドルと引き棒に作用し、スピンドル軸
承部に戻り作用しないときには、内部の摩擦的連結部を
用いる。これは本発明との関連において比較的に重要で
ある。なぜなら、高い回転数で回転するスピンドルの軸
受は、引き棒の操作時に発生する大きな軸方向の負荷を
できるだけ受けないようにすべきであるからである。す
なわち、スピンドルの軸受はどんな時点でもスピンドル
と引き棒の間に作用する締付け力によって付勢されな
い。

【００１４】本発明に従い、内部の摩擦連結部材を備え
たこのような操作装置は、軸方向に移動可能なシリンダ
を備えている。このシリンダ自体は、スピンドルのため
の１個または複数の軸受を有する固定された機械部分内
で軸方向に案内されている。ピストンの内部では、環状
ピストンが軸方向に自由に移動可能に案内されている。
環状ピストンは更にその内側に、スピンドルまたはスピ
ンドルの突起に交互に係合するための係合要素を備えて
いる。この突起は特に、差込み継手の方に所定の回転位
置でこの係合要素の係合するので、環状ピストンは軸方
向においてしかも両軸方向において、スピンドルの外側
へ突出する突起に支持可能である。しかし、その際、ス
ピンドルは環状ピストン内で自由に回転可能である。す
なわち、対応する係合要素と突起は遊びをもって係合し
ている。環状ピストンは両側から圧力で軸方向に付勢さ
れる環状ピストンである。環状ピストンの当該のシリン
ダは引き棒の操作要素と、ロータリジョイントのケーシ
ングに固定連結されている。環状ピストンは制限されて
軸方向に移動可能である。なぜなら、ピストン運動がス
ピンドルの突起とピストンの係合要素の間に設けられた
隙間を越えるや否や、その係合要素が両軸方向において
外側へ突出するスピンドルの突起に直ちに当接するから
である。スピンドル自体は一般的に固定された軸方向位
置を占める。この位置はスピンドルの高速軸受によって
も設定される。ピストンがシリンダ内で圧力付勢される
と、ピストンはスピンドルの突起に支持され、対応する
反力を軸方向に移動可能なシリンダに加える。このシリ
ンダは引き棒のための操作要素と、同時にロータリジョ
イントを連行する。従って、ロータリジョイントのシー
ル面の間隔は、操作要素と引き棒の間の隙間とピストン
とスピンドルの係合要素の間の隙間だけ小さくなる。こ
の場合、スライドシール要素の間には残りの隙間が残っ
ている。この隙間はロータリジョイントの圧力付勢時に
初めてロータリジョイントのシール部材が軸方向に移動
することによって除去される。

【００１５】それによって、スピンドル、環状ピスト
ン、シリンダおよび操作要素の間の摩擦連結が完全に達
成される。その際、スピンドルの軸受またはロータリジ
ョイントのシール面がその間に配置されたり、締付け力
で付勢されることがない。本発明による装置は、スピン
ドルと引き棒の上側端部すべてを取り囲む部材、すなわ
ち環状ピストン、操作要素とロータリジョイントのため
のケーシングを備えたシリンダおよびロータリジョイン
トが、軸方向に移動可能であり、部分的に相対的に移動
可能であるが回転できないように設けられていることに
ある。回転する部材は専ら、スピンドルと引き棒であ
る。この場合、スピンドルの軸受はできるだけスピンド
ルの突起の近くあるいは環状ピストンの近くに設けられ
ている。それによって、迅速に回転するスピンドルと引
き棒の上側端部の近くでスピンドルが支持される。従っ
て、非常に所望される軸受条件ときわめて小さな軸受負
荷が達成される。というのは、回転する部材の質量が小
さいからである。これは同時に内側の摩擦連結と組み合
わされている。それによって、締付けおよび締付け解除
中に、軸受の負荷を充分に減らすことができる。ロータ
リジョイントは適当に適合され、全部がシリンダと共に
そのケーシング内で軸方向に移動可能であるので、スラ
イドシールの負荷が最小限に抑えられ、高回転数の場合
に寿命が長くなる。

【００１６】

【発明の実施の形態】好ましい実施の形態の次の説明と
図面に基づいて、本発明の他の効果、特徴および用途が
明らかになる。図１には、回転可能なスピンドル１が１
で、そしてスピンドルの内部に設けた引き棒が２で示し
てある。引き棒２はその長さの大部分にわたってスピン
ドル１に隙間なく滑り嵌めされ、その上側または右側の
端部の近くにおいてばねセット７によって右側へ付勢さ
れている。この記載において、図１を参照するとき、概
念“右側”、“上側”および“軸方向内側”は同じ意味
で使用され、同じ方向を示している。スピンドル１と引
き棒２の左側の端部は図示していない。この左側すなわ
ち下側の端部には、工具または工作物のためのホルダー
を備えた締付け機構が設けられている。この工具または
工作物は締付け機構によって固定保持される。この締付
け機構は引き棒２によって操作される。図示したスピン
ドル１の右側端部は、ばねセット７のためのスペースを
提供するために、半径方向に拡大している。このばねセ
ットは半径方向内側に延びるスピンドル１の肩部に支持
されている。この肩部は図示していない。ばねセット７
の右側すなわち上側の端部はスリーブ１５に支持されて
いる。このスリーブはナット４のセットによって引き棒
２に保持されている。ナットのセット４はスリーブ１５
を調節するために軸方向の摺動および調整を可能にす
る。同時に、ナット４または２個のナット４の間に設け
られた環状円板４ａは、操作装置のための作用面として
の働きをする。これについては後述する。

【００１７】環状要素６の突起６′がスピンドル１に固
定連結され、このスピンドル上で軸方向に保持されてい
る。この突起６′には、半径方向内側に突出する、ピス
トン５の突起５′または係合要素が差込み係合してい
る。この場合、ピストン５の端位置でスピンドルの環状
要素６をピストン５と相対的に自由回転させることがで
きるようにするために、突起６′とピストン５の対応す
る突起５′すなわち係合要素との間には、充分な軸方向
隙間ｅが設けられている。

【００１８】ピストン５はシリンダ１２によって取り囲
まれている。このシリンダ１２は固定された機械部品８
内で軸方向に移動可能であり、その際操作要素１０に固
定連結されている。この操作要素は引き棒２の右側端部
の円板４ａに当接または作用するための当接面１６を備
えている。ロータリジョイント２０のためのケーシング
１１は操作要素１０に固定連結されている。

【００１９】先ず最初に、本発明による装置の締付け作
業と締付け解除作業について説明る。この場合、概念
“締付け”と“締付け解除”は、工具または工作物の作
業に関する。この工具または工作物は、図示していない
締付け機構によってスピンドル１の図示していない端部
に保持される。この場合しかし、この締付け機構の操作
は引き棒２と図１，３に示した要素によって行われる。
その際、個々の要素は図１において締付け機構の締付け
状態に対応する位置が示してあり、図３の位置は締付け
解除された位置である。これはねセット７の力に抗して
軸方向左側へ摺動した引き棒２の位置に対応する。一方
の位置から他方の位置へ切り換えることは、ピストン５
とシリンダ１２の間の２つのリング状圧力室のその都度
一方を圧力付勢することによって行われる。この圧力室
は図１においてＡ，Ｂで示してある。圧力室Ａ，Ｂへの
供給管路はＡ′，Ｂ′で示してあり、この供給管路は油
圧式操作接続口１３を備えている。

【００２０】締付け位置から出発して、締付け機構を締
付け解除するために、ピストン５とシリンダ１２の間の
環状室Ａが圧力で付勢され、環状室Ｂから圧力が抜け
る。これにより先ず最初に、環状ピストン５の係合要素
と環状要素６の突起６′との間に設けられた隙間に相応
して、環状ピストン５が少しだけ軸方向内側へ（右側）
へ移動する。これは図１の下側半分に良好に示してあ
る。しかしそのとき、係合要素５′と突起６′は互いに
接触せず、環状ピストン５の代わりにシリンダ１２が軸
方向外側へ（左側へ）移動し、その際操作要素１０とロ
ータリジョイント２０のケーシング１１を連行する。図
１の上側部分に示してある、操作面１６と中央の円板４
ａの間の隙間が、操作要素１０の軸方向外側への移動に
よって架橋されるや否や、この操作要素は円板４ａに当
接し、それによって圧力室Ａ内の充分な圧力でばねセッ
ト７の力に抗して引き棒２を左側に押す。左側すなわち
軸方向外側への引き棒２の運動は図示していない締付け
機構を操作し、工具または工作物を開放する。例えば新
しい工具を挿入した後締めつけるために、先ず最初に、
圧力室Ａ内の圧力を低下させる。この場合、ばねセット
７は引き棒２、ひいては操作要素１０とシリンダを右側
へ動かす。この場合、圧力室Ａの圧力が零になる。その
際、引き棒２の軸方向内側への運動は（図示していな
い）締付け機構によってのみ制限される。しかし、当接
面１５と円板４ａの間に隙間があり、環状ピストン５の
係合要素５′とスピンドル上の環状要素６の突起６′と
の間に隙間があるので、ばねセット７だけが保持される
対象物のための締付け力を生じるときには、ばねセット
の軸方向内側への押圧によって、図１に示した端状態に
はまだ達しない。しかし、スピンドル１と引き棒２がそ
れらを取り囲む部品、例えば環状ピストン５や操作要素
１０と相対的に回転するので、これらの部品の間に適当
な隙間を再び作らなければならない。この隙間は操作要
素１０についてはシリンダ１２の弾性的な支承によって
達成される。この支承により、シリンダ１２は右側すな
わち上側へ付勢される。その際、スナップリング１７に
よって、停止している機械部品８上でシリンダ１２の右
側すなわち上側の端当接が行われる。そして、ピストン
５の内側突起５′とスピンドル１の環状要素６の外側突
起６′との間の隙間は、室Ｂが圧力で付勢されて、環状
室Ａ，Ｂを軸方向で画成する環状ピストン５の軸方向外
側の環状面が環状室Ａの底に当接することにより形成さ
れる。この位置は最終的に図１に示してあり、そのとき
スピンドル１は引き棒２と協働し、引き棒に固定された
すべての部品は環状ピストン５、操作要素、ロータリジ
ョイント２０およびロータリジョイントケーシング１１
と相対的に自由に回転可能である。

【００２１】図示した実施の形態において、室Ｂ内の圧
力によって生じる力を、ばね力で加えることもできる。
次に、スライド円板１８，１９のスライドシール面２
１，２２の作用について詳しく説明する。図１，３に示
すように、スライド円板１８，１９は別個の部品といて
引き棒２と環状シール部材２３に統合されている。しか
し、引き棒２とシール部材２３のそれぞれの端面を適当
に準備または被覆し、スライドシール面２１，２２とし
ての働きをするようにすることができる。

【００２２】引き棒２のスライド円板１８のスライドシ
ール面２１は、記入した隙間ｓでもって、シール部材２
３内に配置されたスライド円板１９のスライドシール面
２２に対向している。このシール部材は軸方向右側に弾
性的に付勢されている。ロータリジョイント２０が圧力
で付勢されないと、図１に示した隙間ｓが生じる。この
隙間ｓは変化することができ、特に締付け機構が締付け
状態で引き棒２の軸方向位置を正確に固定しているどう
かあるいはこの位置が製作誤差に基づいてあるいは締付
けられる工具またはその摩耗に従って大きくまたは小さ
く変化しているかに依存する。両シール面２１，２２は
運転特に、冷却媒体または流体のための接続口１４が圧
力Ｐで付勢されることによって接触する。逆止弁２６が
第２のシール部材（ピストン）２５の円筒状ケーシング
内に設けられている。このシール部材はロータリジョン
イトのケーシング１１内に軸方向に移動可能に収容され
ている。第２のシール部材２５の前端部は球面のリング
状部分（球欠）の形をしている。第１のシール部材２３
は、第２のシール部材２５寄りのその右側端部に、嵌合
する円錐面を備えている。この円錐面はシール部材２５
の球面と共に線状のシール部を形成する。この形状は共
通の軸線３に関して部材２５と相対的に部材２３を少し
だけ揺動させることを可能にし、その際球面と円錐面の
間の線状のシール作用が除去されることがない。これは
更に、案内ピン２９を用いて第１のシール部材２３を軸
方向に移動可能に支承するだけでなく、軸線３に対して
シール部材２３を少しだけ傾動させることを可能にす
る。これにより、両スライドシール面２１，２２はいか
なる場合でも平らにかつ面一に密に接触する。

【００２３】スライド円板１８，１９の両シール面２
１，２２は、充分の大きな圧力Ｐで接続口１４が付勢さ
れることによって互いに接触する。逆止弁２６の球２８
と第２のシール部材２５の端面に作用するこの圧力Ｐに
よって、シール部材２５は軸方向左側へ押され、それに
よってばね２４に抗して第１のシール部材２３を押し、
シール面２１，２２を接触させる。その際、ばね２４の
反力は、ばね２７を圧縮することによって逆止弁２６を
開放するために必要な力よりも小さい。しかし、スライ
ドシール面２１，２２が接触した後で、圧力Ｐが更に上
昇すると、逆止弁２６は開放する。そのとき、供給され
る流体は接続口１４から中空の引き棒２の内部を通って
工具または工作物へ自由に流れる。

【００２４】無圧状態では、シール面２１，２２は接触
しない。これは、シール面２１，２２の間の隙間が隙間
ｄと隙間ｅの合計よりも大きいことに関連している。締
付け機構が環状室Ａの圧力付勢によって操作されると、
ピストン５は先ず最初に隙間ｅを克服し、続いて操作面
１６と円板４ａの間の（大きな）隙間ｄを克服する。そ
のとき初めて、引き棒２は軸方向外側へ移動する。これ
は接続口１４の圧力Ｐによる付勢とは無関係である。こ
の場合しかし、シール部材の弾性的な支承に基づいて、
Ｐで圧力付勢されないときにはシール面２１，２２の間
に隙間ｓ′が存在する。これにより、スライドシール面
２１，２２の損傷が防止される。その際、引き棒２が付
勢状態にあるか付勢解除状態にあるかとは関係なく、い
つでも、接続口１４を経て冷却媒体または洗浄媒体を供
給可能である。装置の異なる二つの締付け状態（および
ロータリジョイントが圧力付勢されていない状態）での
シール面２１，２２の間の隙間は、図２と図４の詳細図
に明瞭に示してある。

【００２５】図５には、ケーシング１１とスライド円板
シールリングと共にロータリジョイント２０が示してあ
る。その際、個々の部品は図１と同じ符号を付けてある
ので、図１に関する説明を参照することができる。図５
には、ロータリジョイント２０のケーシング１１が示し
てある。図の左側部分には更に、引き棒２の端部が見え
る。図３のこの部分は引き棒２に装着したスリーブ等で
あってもよい。スライド円板１８，１９とそのスライド
シール面２１，２２の配置、形状および機能は図１に関
連して既に述べたことと同じである。

【００２６】ケーシング１１内に収容されたロータリジ
ョイント２０は、両シール部材２３，２５からなってい
る。このシール部材は球欠状のシール面３２と円錐形の
シール面３１を介して互いに作用する。両部材２３，２
５はケーシング１１内で軸方向に移動可能に案内されて
いる。この場合、第２のシール部材２５はきつい滑り嵌
め部を有し、更に、その外面が弾性的なシール３３によ
ってシールされている。これに対して、シール部材２３
は穴内に収容され、この穴の内径は領域的に大きくなっ
ている。このようにして形成された環状室３０内には付
勢ばね２４と案内ピン２９が設けられている。案内ピン
２９は軸線に対して平行に延びるケーシング１１の穴内
に固着され、少なくとも３本、好ましくは６本以上設け
られている。第１のシール部材２３はその外面に軸方向
に延びる溝３６を備えている。この溝内には案内ピン２
９が部分的に収容されている。その際、案内ピン２９は
溝３６内に隙間嵌めされているので、第１のシール部材
２３は中心軸線３に対して小さな角度だけ傾動すること
ができる。そのために、球欠状のシール面３２と円錐形
のシール面３１との作用が有効である。なぜなら、シー
ル面３１，３２をこのように形成すると、第１のシール
部材２３が第２のシール部材２５と相対的に揺動して
も、球状の面３２と円錐形の面３１の間に線状の密封接
触が維持されるからである。

【００２７】ばね２４を支持するための突起３７がピン
２９の間で半径方向外側へ延びている。ばね２４の他端
はケーシング１１の穴内のリング状の周溝に嵌め込まれ
たスナップリング３５に支持されている。それによっ
て、第１のシール部材２３が軸方向右側へ付勢され、シ
ール面３１，３２を互いに押しつけている。この場合、
第２のシール部材２５はその外面に、半径方向に突出す
る肩部４２を備えている。この肩部は半径方向内側に突
出する、ケーシング１１の軸方向の穴の肩部４３に接触
し、軸方向に摺動可能な両シール部材２３，２５のため
の端ストッパーを形成している。

【００２８】シール部材２５は図５に示すように、弾性
的に付勢された逆止弁２６を備えている。この逆止弁２
６は実質的に、座部に収容された球２８からなってい
る。この球は第２のシール部材２５内に配置されてい
る。その際、ばね２７は図示状態でばね２４よりも大き
な付勢力を発生する。これは具体的には、ケーシング１
１の軸方向の穴、ひいては逆止弁２６および第２のシー
ル部材２５が圧力で付勢されるときに、先ず最初にシー
ル部材２５，２３が一緒に左側へ移動することを意味す
る。この場合、ばね２４は圧縮されるが、ばね２７はそ
の位置に留まる。シール部材２３，２５が軸方向に移動
した後、シール部材２３のシール面２２が対応するシー
ル面２１に当接したとき初めて、供給流体の圧力が更に
上昇して弁２６が開放する。この場合、球２８はばね２
７の力に抗して左側へ押される。この状態で、洗浄媒体
およびまたは冷却媒体がケーシング１１の半径方向穴３
８とシール部材２３，２５および引き棒２の軸方向穴３
９，４０，４１を通って、（図示していない）締付け機
構を操作するためのスピンドル１の前端部部に流れる。

【００２９】図５に示す個々の要素の位置では、本発明
によるチャックと関連して、シール部材２３，２５がそ
の最も外側の右側当接位置にあるときには、引き棒２ま
たはそのシール面２１はシール面２２に接触していな
い。その代わりに、この状態では、図４に詳細に示すよ
うに、シール面２１，２２の間に約0.5 〜2.5mm の隙間
ｓ′が設けられている。流体がこの隙間を通過する際、
流体によって加えられる圧力がばね２４を圧縮するのに
充分であるときには、この隙間はばね２４の圧縮および
シール面２３，２５の摺動によって左側へ架橋される。
両シール面２１，２２が接触した後で、圧力が更に高ま
ると、逆止弁２６が開放する。

【図面の簡単な説明】

【図１】スピンドルと引き棒の上側端部と引き棒のため
の操作装置と引き棒の端部に設けたロータリジョイント
を備えた工作機械の部分図である。

【図２】図１のＩＡ部分の詳細図である。

【図３】図１の工作機械の他の運転位置を示す部分図で
ある。

【図４】図２のＩＩＡ部分の詳細図である。

【図５】図２の運転位置にあるロータリジョイントを示
す図である。

【符号の説明】

１ スピンドル ２ 引き棒 ３ 中心軸線 ４ ナット ４ａ 環状円板 ５ ピストン ５′ ピストン５の突起 ６ 環状要素 ７ ばねセット ８ 固定された機械部分 １０ 操作要素 １１ ケーシング １２ シリンダ １３ 操作用接続口 １４ 接続口 １５ スリーブ １６ 当接面 １７ スナップリング １８，１９ スライド円板 ２０ ロータリジョイント ２１，２２ スライドシール面 ２３，２５ シール部材 ２４ ばね ２６ 逆止弁 ２７ ばね ２８ 球 ２９ 案内ピン ３０ 環状室 ３１ 円錐形のシール面 ３２ 球欠状シール面 ３３ 弾性シール ３４ 突出部分 ３５ スナップリング ３６ 溝 ３７ 突起 ３８ 穴 ３９，４０，４１ 中央の穴 ４２，４３ 肩 Ａ 圧力室 Ａ′ 圧力室Ａのための接続口 Ｂ 圧力室 Ｂ′ 圧力室Ｂのための接続口 ｄ，ｅ，ｓ，ｓ′ 隙間 Ｐ 圧力

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高回転数で作動するよう設計され、中心
   軸線（３）の回りに回転可能な中空のスピンドル（１）
   と、このスピンドル（１）上またはスピンドル内に設け
   られこのスピンドルによって回転可能な締付け要素を備
   えた、高回転数で回転する機械、特に工作機械のための
   流体用ロータリジョイントを備えたチャックにおいて、
   ロータリジョイントがチャックに一体化され、締付け要
   素またはこの締付け要素に固定連結された部分に第１の
   スライドシール面（２１）を備え、第１のスライドシー
   ル面（２１）の方へ向いた第２のスライドシール面（２
   ２）が、第１のスライドシール面（２１）に依存しない
   で軸方向に移動可能である、ロータリジョイント（２
   ０）の回転不能なシール部材（２３）に設けられ、この
   シール部材が第１のスライドシール面（２１）との密封
   接触位置から離れる方向に付勢され、ロータリジョイン
   ト（２０）が圧力付勢されたときに軸方向に移動可能な
   シール部材（２３）をその付勢に抗して締付け要素の第
   １のスライドシール面（２１）に密封接触させる装置が
   設けられていることを特徴とするチャック。
2. 【請求項２】 ロータリジョイントが軸方向に移動可能
   なシール部材と共に移動可能である付勢された逆止弁
   （２６）を備え、この逆止弁（２６）の付勢によって設
   定可能な流体圧力を上回った後で初めて逆止弁がスピン
   ドル（１）の方へ開放し、逆止弁（２６）の付勢力が、
   軸方向に移動可能なシール部材（２３）を締付け要素の
   第１のスライドシール面（２１）との作用位置から離れ
   るよう押す付勢力よりも大きいことを特徴とする請求項
   １記載のチャック。
3. 【請求項３】 軸方向に移動可能なシール部材が回転軸
   線（３）に対して傾動するための隙間を有することを特
   徴とする請求項１または２記載のチャック。
4. 【請求項４】 軸方向のシール部材（２３）が、流体供
   給部寄りのその端部に、軸方向に移動可能な第２の部材
   （２５）に対するシール移行部を備え、このシール移行
   部が軸方向に移動可能な一方の部材の円錐形の面と軸方
   向に移動可能な他方の部材の球形の面との間に形成され
   ていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一つに
   記載のチャック。
5. 【請求項５】 軸方向に移動可能な第２のシール部材
   （２５）が、軸方向に移動可能な第１のシール部材（２
   ３）へのシール移行部を除いて、ほぼ円筒体として形成
   され、この円筒体の内部に逆止弁が収容されていること
   を特徴とする請求項４記載のチャック。
6. 【請求項６】 締付け要素がスピンドル（１）の中空の
   内部を通って延びるそれ自体中空の引き棒（２）であ
   り、この引き棒が同時に流体管路を形成していることを
   特徴とする請求項１〜５のいずれか一つに記載のチャッ
   ク。
7. 【請求項７】 チャックがスピンドル（１）と締付け要
   素（２）と操作装置との間に内部の摩擦連結手段を備
   え、操作装置が一方ではスピンドル（１）に他方では締
   付け要素（２）に直接的または間接的に作用しているこ
   とを特徴とする請求項１〜６のいずれか一つに記載のチ
   ャック。
8. 【請求項８】 操作装置がピストン（５）として作用す
   る要素と、シリンダ（２）として作用する要素を備え、
   この両要素が回転不能でありかつ固定された機械部分
   （８）と相対的に軸方向に移動可能であることを特徴と
   する請求項７記載のチャック。
9. 【請求項９】 操作装置の一部がロータリジョイント
   （２０）のためのケーシングとして形成され、このケー
   シング内にロータリジョイント部品（２３，２５）が軸
   方向に移動可能に収容されていることを特徴とする請求
   項８記載のチャック。
10. 【請求項１０】 ピストン（５）が環状ピストンとして
    形成され、かつ内側へ突出する突起（５′）を備え、ピ
    ストン（５）とスピンドル（１）を軸方向において互い
    に錠止するために、この突起がスピンドル（１）の環状
    要素（６）の突起（６′）と共に、差込み係合部を形成
    し、スピンドル（１）がピストン（５）と相対的に自由
    に回転可能であることを特徴とする請求項８または９記
    載のチャック。