JP5294777B2 - 工作機械のミル主軸 - Google Patents

Description

本発明は、工作機械のミル主軸に関し、特にミル主軸内に供給される切削液のドレン（排出）構造を改良した工作機械のミル主軸に関する。

図６〜図９は工作機械のミル主軸の一般的な構造を示す。
図６は、ミル主軸の構造を示す断面図、図７は要部の拡大断面図である。
全体を符号１で示すミル主軸は、ハウジング１０内に前側の軸受１２，１４と後側の軸受１６で支持されるスピンドル２０を有する。スピンドル２０内には工具をスピンドルに引き込んだり、押し出すドローバー２４が設けてあり、ドローバー２４の中心には工具に切削液を供給するためのスルークーラント通路２２が形成してある。
スピンドル２０の外周部にはモータのロータ３０がとりつけてあり、ステータ３２との間でスピンドルを直接駆動するモータを構成する。

ドローバー２４の後端部には回転側の継手４０がとりつけてあり、ハウジング１０側に固定される継手５０との間で回転継手を構成する。
固定側の継手５０の通路５２から供給される切削液は回転側の継手４０の通路４２を介してスルークーラント通路２２へ送られる。固定側の継手５０と回転側の継手４０の間には微小な間隙Ｇ_１が設けてあるので、この間隙Ｇ_１から少量の切削液の漏れが発生する。

回転継手の構造上、この切削液の漏れを完全には防止することは困難である。
そこで、ハウジング１０内部のドレン室６２とハウジングの外部を通ずるドレン穴６０を設けて漏れた切削液をミル主軸の外部へ排出する構成としてある。
また、切削液が軸受１６やモータ部３０，３２へ浸入すると、軸受やモータで構成される駆動部を破損する重大な故障の原因となるので、ラビリンス装置７０を配置して切削液の駆動部への浸入を防止している。

しかしながら、図８に示すように、何らかの原因で大量の切削液Ｃ_１が回転継手部からドレン室６２に漏れたときには、ドレン穴６０からの排出が間に合わずに、切削液Ｃ_１の一部はラビリンス装置７０を通過して軸受１６やモータ３０，３２を損傷する場合がある。

図９に示すように、ドレン穴６０ａを大径のものとすると、外部からの切削屑等の異物Ｄ_１の浸入の原因となる不具合がある。
スピンドルの回転継手部から漏れる切削液が駆動部へ浸入するのを防止する機構は、下記の特許文献１にも開示されている。
特開２００２−３２１１３８号公報

本発明の目的は、外部からの異物の浸入を防止するとともに、漏れた切削液を確実に排出するドレン装置を備えた工作機械のミル主軸を提供するものである。

上述した目的を達成するために、本発明のミル主軸は、主軸のハウジング内に軸受を介して支持されるスピンドルと、スピンドルを直接駆動するハウジング内に配設されるモータと、スピンドル内に摺動可能に挿入されるドローバーと、ドローバーの軸心に設けられて切削液を供給するスルークーラント通路と、ドローバーの後端部側に配設されて固定側から供給される切削液を回転しているスピンドル側へ送る回転継手を備え、
回転継手から漏れる切削液を収容するためにハウジング内部に設けられるドレン室と、ドレン室とハウジング外部とを連通するドレン通路と、ドレン通路内に装備されるドレン装置を備える。

そして、ドレン装置は、ドレン通路内にとりつけられる円筒形の本体と、ドレン室に通ずる入口通路と、外部に通ずる出口通路と、入口通路に形成される弁座と、弁座の出口通路側に配設されて弁座を開閉するボールと、ボールを弁座に向けて付勢するスプリングを備えるものである。

本発明の工作機械のミル主軸にあっては、回転継手部から漏れる切削液は、ドレン室に収容され、ドレン装置を通って外部へ排出される。ドレン装置は逆流防止機能をもつチェックバルブを構成するのでドレン室に大量の切削液が流入しても確実に外部へ排出され、軸受やモータへの切削液の浸入が防止される。
また、外部からの切削屑等の浸入も防止される。

図１は本発明の工作機械のミル主軸の構造を示す断面図、図２は図１のＡ−Ａ断面図、図３は要部の断面図、図４は図１の切断面を変更した断面図である。
全体を符号１００で示す本発明の工作機械のミル主軸は、ハウジング１０内に軸受１２，１４，１６で支持されるスピンドル２０を備える。ドローバー２４とスルークーラント通路２２、ロータ３０、ステータ３２、ラビリンス装置７０の構成は、図６以下で説明したものと同様であるので、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

このミル主軸１００にあっても、固定側の継手５０とドローバー２４の端部にとりつけた回転側の継手４０によって回転継手を構成してある。
固定側の継手５０と回転側の継手４０の間に間隙Ｇ_１が形成されることも、先に説明したミル主軸と同様である。

本発明のミル主軸１００もハウジング１０内にドレン室１１０を有するが、ドレン室１１０とハウジング１０の外部とを結ぶ２本のドレン通路１２０が設けてある。本実施例にあっては、２本のドレン通路１２０は図２に示す位置に配設される。
そして、各ドレン通路１２０内に全体を符号１５０で示すドレン装置が装備される。

図３は、ドレン装置１５０の詳細を示す。ドレン装置１５０は、円筒状の本体１５１を有し、本体１５１の一方の端部に入口通路１５２が、他方の端部には出口通路１５６が形成される。
入口通路１５２の内側にはオリフィス（弁座）１５４が形成され、この弁座１５４の径寸法より大きな外径寸法を有するボール１６０がこのオリフィス１５４に当接する位置に配設される。
このボール１６０の出口通路１５６側には、スプリング１７０が挿入されており、ボール１６０をオリフィス１５４にむけて付勢する。

図５は、本発明のミル主軸１００の機能を示す説明図である。
固定側の継手５０から回転側の継手４０に供給される切削液はＣ_１は間隙Ｇ_１を通ってドレン室１１０内に漏れ出す。
ドレン室１１０内に充填される切削液Ｃ_１の液圧が上昇すると、オリフィスに圧接されているボール１６０は、スプリング１７０に抗して押し開けられる。オリフィスとボール１７０の間を通過した切削液Ｃ_１は、出口通路１５６を通って外部へ排出される。

ドレン室１１０内の圧力が低下すると、ボール１６０はオリフィスを閉じる。この作用によって、ドレン室１１０内の圧力の過大な上昇は防止されるので、切削液Ｃ_１がラビリンス装置７０を通って駆動部側へ侵入する不具合は防止される。
この発明のドレン装置１５０は、上述したように、チェック弁機能を備えるので、外部からのダストがドレン室側へ侵入することも防止される。
ドレン装置１５０は、ドレン通路１２０内に形成されるねじ部１２２を用いてドレン通路１２０内にとりつけられる。

以上のように、本発明の工作機械のミル主軸にあっては、スピンドルのスルークーラント通路に供給される切削液が回転継手部からハウジング内部に漏れることに対応して、漏れた切削液をドレン装置を介して外部へ排出する構成を備えている。

ドレン装置は、チェックバルブ機能を有するので、大量の切削液が漏れ出したときにも、過大な圧力となる前に円滑に外部へ排出し、切削液が軸受やモータ側へ浸入するのを防止する。
また、外部のダスト等が内部に侵入することも確実に防止することができるものである。

本発明の工作機械のミル主軸の断面図。 図１のＡ−Ａ断面図。 要部の断面図。 図１の切断面を変更した断面図。 本発明の機能を示す説明図。 工作機械のミル主軸の構造を示す断面図。 要部の拡大図。 切削液の流れを示す説明図。 切削液の流れを示す説明図。

符号の説明

１０ ハウジング
１２，１４，１６ 軸受
２０ スピンドル
３０ ロータ
３２ ステータ
４０，５０ 回転継手
１００ ミル主軸
１１０ ドレン室
１５０ ドレン装置
１６０ ボール
１７０ スプリング

Claims (3)

1. 工作機械に装備されるミル主軸であって、
   主軸のハウジング内に軸受を介して支持されるスピンドルと、
   スピンドルを直接駆動するハウジング内に配設されるモータと、
   スピンドル内に摺動可能に挿入されるドローバーと、
   ドローバーの軸心に設けられて切削液を供給するスルークーラント通路と、
   ドローバーの後端部側に配設されて固定側から供給される切削液を回転しているスピンドル側へ送る回転継手と、
   回転継手から漏れる切削液を収容するためにハウジング内部に設けられるドレン室と、
   ドレン室に主軸の半径方向に設けられドレン室とハウジング外部とを直線的に連通するドレン通路と、
   ドレン通路内に装備されるドレン装置を備え、
   ドレン装置は、
   ドレン通路内にとりつけられる円筒形の本体と、
   ドレン室に通ずる入口通路と、
   外部に通ずる出口通路と、
   入口通路に形成される弁座と、
   弁座の出口通路側に配設されて弁座を開閉するボールと、
   ボールを弁座に向けて付勢するスプリングを備え、
   ドレン通路及びドレン装置の入口通路の内径寸法は回転継手の固定側とスピンドル側の接続部の外径寸法よりも大きいことを特徴とする
   工作機械のミル主軸。
2. 主軸の半径方向の異なる位置に複数のドレン通路と複数のドレン装置を備えることを特徴とする請求項１記載の工作機械のミル主軸。
3. ドレン装置はドレン通路に設けられたネジ部を用いてドレン通路内に取り付けられることを特徴とする請求項１記載の工作機械のミル主軸。
   

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