JPH09162013A - サーミスタ用酸化物半導体及びその製造方法とサーミスタ - Google Patents

サーミスタ用酸化物半導体及びその製造方法とサーミスタ

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JPH09162013A
JPH09162013A JP7315046A JP31504695A JPH09162013A JP H09162013 A JPH09162013 A JP H09162013A JP 7315046 A JP7315046 A JP 7315046A JP 31504695 A JP31504695 A JP 31504695A JP H09162013 A JPH09162013 A JP H09162013A
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JP
Japan
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thermistor
atomic
oxide
oxide semiconductor
resistance
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JP7315046A
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English (en)
Inventor
Yoko Sakota
洋子 迫田
雅幸 ▲高▼橋
Masayuki Takahashi
Hironori Moriwake
博紀 森分
Nobuharu Katsuki
暢晴 香月
Takuoki Hata
拓興 畑
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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  • Measurement Of Levels Of Liquids Or Fluent Solid Materials (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サーミスタ式液面検出器への使用に適したサ
ーミスタ用酸化物半導体を提供する。 【解決手段】 金属元素成分表示でコバルト40原子%
以上、残部がクロム、マンガン、ニッケル及び銅から選
ばれた1種以上からなる100原子%の金属酸化物に対
し、同表示でバナジウム0.1〜15原子%及び鉄0.
1〜10原子%の各酸化物を添加した組成とすることに
より、抵抗−温度特性に曲がりが生じるため、液面検出
器に使用した際に図1の斜線で示す通過禁止領域を回避
することが容易となり、誤判定のない液面検出器を簡単
に作製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液面検出器等に用
いられる負の抵抗温度係数を有するサーミスタ用酸化物
半導体及びその製造方法とサーミスタに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の負の抵抗温度係数を有するサーミ
スタ用酸化物半導体からなるサーミスタ素子は、マンガ
ン−ニッケル系、マンガン−ニッケル−コバルト系、マ
ンガン−ニッケル−銅系などの酸化物からなるサーミス
タ組成物を使用し、その製造方法は、目的組成となるよ
うに原料の酸化物を配合し、これを湿式混合、仮焼、湿
式粉砕、造粒し、円板やブロックに成形後焼成し、その
まま、あるいはスライス、ダイシング等の加工を施して
所定形状にする工程を経て製造される。そして、このサ
ーミスタ素子に電極を付与し、さらに必要に応じてガラ
スや樹脂等の外装材による被覆を行い、サーミスタに仕
上げられる。
【0003】このようなサーミスタの代表的な用途の1
つに、車両用のガソリンの残量を検知するために用いる
サーミスタの自己発熱を利用したサーミスタ式液面検出
器がある。サーミスタはそれに電流を流すと発熱し、発
熱温度が高くなると抵抗値が小さくなる負の抵抗特性を
備えるものである。サーミスタの自己発熱温度は、サー
ミスタの位置が気中であるか、ガソリン中であるかの相
違により差異を生じる。サーミスタを用いて液面を検出
する方法は、この気中と液中の自己発熱温度の差を利用
して検出している。サーミスタの自己発熱温度は形状や
大きさによって変化し、また気中と液中の自己発熱温度
の差が、小さいと液面を検出できない。以下にその動作
原理を図面を用いて説明する。
【0004】図1は液面検出器におけるサーミスタの発
熱温度−抵抗特性図、図2は液面検出器における電気回
路図である。図2において、バッテリ3によりサーミス
タ1に電圧を印加して電流を流すとサーミスタ1が発熱
する。このとき、サーミスタ1の気中での熱放散定数に
対してガソリン中での熱放散定数の方が大きく、両者の
間には大きな差があるため、サーミスタ1がガソリン中
にある場合は冷却され易く、気中にある場合は冷却され
難い。したがって、サーミスタ1がガソリン中にある場
合は発熱温度が低くなり抵抗値が大きくなるので微小電
流しか流れず、警告灯2は点灯しない。一方、ガソリン
の液面が下がりサーミスタ1が気中に出た場合は、発熱
温度が高くなり抵抗値が小さくなるので所定の電流が流
れ警告灯2が点灯する。
【0005】サーミスタ式液面検出器のサーミスタが、
液面の有無を誤判定なく検出することができるための条
件(以下、判定可能条件という)については、警告灯の
大きさ、点灯及び消灯判定時の電流量、検出を必要とす
る液体及び気体の温度変化範囲、サーミスタの気中、液
中の熱放散定数を明確にする必要があり、これらを明確
にしたうえで、以下に示す式より算出することができ
る。
【0006】1.消灯特性を満足させる条件 (1)液中において消灯と判定する場合に、サーミスタ
に流すことのできる最大の電流を消灯飽和電流とする
と、この消灯飽和電流以上の電流が流れないようにする
ための抵抗値RT1(Ω)は、式(数1)の関係にあるこ
と。
【0007】
【数1】
【0008】(2)消灯飽和電流がサーミスタに通電さ
れている場合のサーミスタの自己発熱温度T1(K)
は、式(数2)の関係にあること。
【0009】
【数2】
【0010】2.点灯電流を満足させる条件 (1)気中において点灯と判定する場合に、サーミスタ
に流すことのできる最小の電流を点灯飽和電流とする
と、この点灯飽和電流以下の電流が流れないようにする
ための抵抗値RT2(Ω)は、式(数3)の関係にあるこ
と。
【0011】
【数3】
【0012】(2)点灯飽和電流がサーミスタに通電さ
れている場合のサーミスタの自己発熱温度T2(K)
は、式(数4)の関係にあること。
【0013】
【数4】
【0014】上記の各式より求まる特性図及びサーミス
タの発熱温度に対する抵抗値の目標特性を合わせて図1
に示す。図中斜線で示す領域はサーミスタが誤判定なく
液面を検出するのに通過してはならない通過禁止領域で
あり、上記各式を構成する要素の値によりこの領域が変
化する。
【0015】このように、液面検出器に用いられるサー
ミスタは、図1からも明らかなように、サーミスタの抵
抗温度特性が通過禁止領域を通過してはいけないため、
サーミスタの抵抗温度特性に曲がりが必要になってく
る。これを満足するためには、サーミスタ定数Bが温度
と共に変化し、温度が高くなる程、サーミスタ定数Bは
大きくならなければならない。また、この通過禁止領域
は上記各式を構成する要素により変化するため、これに
対応してサーミスタの抵抗温度特性の曲がり方も変化す
る。
【0016】サーミスタは、サーミスタ素子の半導体特
性を利用したもので、縦軸に抵抗の対数値、横軸に温度
の逆数(1/T)を取りその抵抗温度特性をグラフ化す
ると通常直線関係が得られ、その抵抗温度特性は次式で
表される。
【0017】
【数5】
【0018】式(数5)からも判るように、サーミスタ
定数Bは抵抗温度特性の傾きを表している。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】従来のサーミスタ用酸
化物半導体では、初期抵抗値、サーミスタ定数Bを設計
の要望特性に合わせ、なおかつサーミスタの抵抗温度特
性が通過禁止領域を通過しないように温度に対するサー
ミスタ定数Bの変化量をコントロールすることは難し
く、設計や構成部材を変更し、適度に妥協して使いこな
すしか仕方がないものであった。
【0020】本発明はこのような従来の課題を解決し、
簡単かつ容易に液面検出器用のサーミスタをつくること
ができ、特性図の通過禁止領域を通らないようにサーミ
スタの抵抗温度特性の曲がりを自由にコントロールする
ことができるサーミスタ用酸化物半導体及びその製造方
法と液面検出器用のサーミスタを提供することを目的と
するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のサーミスタ用酸化物半導体は、金属元素成分
表示でコバルトを主成分として40原子%以上、かつ副
成分としてクロム、マンガン、ニッケル及び銅の中から
選ばれた少なくとも1種を含有し、その含有比合計10
0原子%の金属酸化物に、金属元素成分表示でバナジウ
ムを0.1から15原子%、鉄を0.1〜10原子%の
それぞれ金属酸化物を添加した組成とするものである。
【0022】また、本発明のサーミスタ用酸化物半導体
の製造方法は、出発原料としての酸化バナジウムにV2
5を用い、焼成後の組成が上記組成となるように各構
成金属元素の酸化物からなる出発原料を秤量混合した
後、従来の仮焼工程を省略してこの混合物にバインダー
を加えて成形し、この成形物を焼成するものである。
【0023】さらに、本発明の液面検出器用のサーミス
タは、所定形状のサーミスタ用酸化物半導体(サーミス
タ素子)の表面に電極を備え、かつ液中におけるサーミ
スタの熱放散定数の自然対数値を気中におけるサーミス
タの熱放散定数の自然対数値で割算したときの値が2.
60より大きくしたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】サーミスタ用酸化物半導体の結晶
構造は通常スピネル構造を採るが、コバルトの濃度が4
0原子%以上になると900℃以上でスピネル構造の結
晶相からNaCl構造の結晶相に相転移する。NaCl
相はスピネル相より比抵抗が高く、サーミスタ定数Bが
低い。
【0025】これら2つの結晶相の抵抗値が並列接続さ
れていると考えると、その合成抵抗値は、所定の温度の
高温側ではサーミスタ定数Bの大きなスピネル相が支配
的になり、低温側ではサーミスタ定数Bの小さなNaC
l相が支配的になる。抵抗値が等しくなる所定の温度近
傍では、ちょうどその中間領域になる。このようにサー
ミスタ素子内部に2つの結晶相を混在させることによ
り、中間領域でリニアライズされた特性が得られ、抵抗
温度特性を曲げることができる。また、リニアライズさ
れる温度範囲(抵抗温度特性を曲げる温度範囲)は、組
成や結晶相の比率等を変え、2つの結晶相の抵抗値が等
しくなる温度をシフトさせることで調整可能となる。
【0026】サーミスタ用酸化物半導体に酸化鉄を添加
すると、酸化鉄は、NaCl相、スピネル相の双方に固
溶する。スピネル相に固溶した場合は、Co系酸化物半
導体はP型半導体、酸化鉄はN型半導体であるので、こ
れにより抵抗値、サーミスタ定数B共に上昇する。ま
た、NaCl相に固溶した場合は、これにより、抵抗値
は上がり、サーミスタ定数Bは変化しない。この結果N
aCl相とスピネル相の抵抗温度特性との差が広がり、
サーミスタ素子の抵抗温度特性がより曲げられる。
【0027】また、サーミスタ用酸化物半導体に酸化バ
ナジウムを添加することにより、酸化バナジウムがNa
Cl相に固溶し、これにより抵抗値が上がりサーミスタ
定数Bが下がり、スピネル相の抵抗温度特性との差が広
がり、サーミスタ素子の抵抗温度特性がより曲げられ
る。
【0028】酸化バナジウムは、種々の価数を採る酸化
物があるが、その中でV25の融点が最も低く690℃
である。通常サーミスタ素子は遷移金属酸化物により形
成されているため、その反応過程は固相反応で反応し難
く、製造工程に仮焼工程を入れている。サーミスタ素子
の製造工程における焼成温度は800℃から1350℃
ぐらいなので酸化バナジウムを添加する際、V25の形
で添加することにより液相ができて反応が促進され、仮
焼及び仮焼粉砕工程の省略や、また焼成温度を下げるこ
とができ、製造工程において大幅な時間短縮ができる。
【0029】サーミスタ式液面検出器の動作原理はサー
ミスタの気中と液中とにおける熱放散定数値の違いを利
用するものである。つまり、自己発熱による抵抗値の違
いを電流、または、電圧に変換し液面を検知するもので
ある。図3にサーミスタの電流(I)−電圧(V)特性
及び電球の負荷曲線を示す。図3に示すように、気中で
は飽和点Bが点灯時の回路電流値以上、液中では飽和点
Aが消灯時の回路電流値以下となるようにサーミスタの
抵抗温度特性及び熱放散定数を決定しなくてはならな
い。また気中と液中の熱放散定数の差が大きければ大き
いほどその検出精度はよくなる。熱放散定数はサーミス
タの体積と表面積の比を制御して変化させることがで
き、たとえば円柱形のサーミスタ素子を円筒形キャップ
に挿入したロッド型サーミスタにおいて、その長さを
L、直径をDとしたとき D/L<1 を満たすときに気中と液中の熱放散定数比が、式(数
6)を満たしていれば誤動作なく液面検出機能を果たす
ことを見い出した。
【0030】
【数6】
【0031】(実施形態1)まず、出発原料の酸化コバ
ルト、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ニッケ
ル、酸化銅、及び酸化バナジウムを焼結後の組成が金属
元素成分表示で、(表1)、(表2)、(表3)の組成
比になるように配合し、ボールミルで16時間湿式混合
した。
【0032】その後脱水乾燥し、乳鉢、乳棒を用いて粉
体にした。次にこの粉体を600℃〜1000℃で2時
間仮焼し、これら仮焼物をボールミルで湿式粉砕後、脱
水乾燥し、ポリビニールアルコール(PVA)をバイン
ダーとして添加し、乳鉢、乳棒で顆粒状に造粒した後、
所要量採取して加圧成形し、円柱形の成形品を得た。こ
れらを空気中1000℃〜1350℃の温度で2時間焼
結させ、これらの円柱形の焼結体からなるサーミスタ素
子の両面に銀−パラジウムペーストを塗布し、750℃
で焼き付けを行い電極を形成してオーミックコンタクト
を得た。
【0033】得られた各試料を直流4端子法を用いて2
5℃の抵抗値(R25)、50℃の抵抗値(R50)、10
0℃の抵抗値(R100)、150℃の抵抗値(R150)を
測定し、式(数7)を用いて、25℃での比抵抗
(ρ25)を、また式(数8)を用いて25℃と50℃間
のB定数(B25/50)、および100℃と150℃間の
B定数(B100/150)を算出し、(表1)、(表2)、
(表3)に示すような結果を得た。なお、(表1)、
(表2)、(表3)において、試料番号に*印を付した
試料は比較例である。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【数7】
【0038】
【数8】
【0039】(表1)、(表2)、(表3)から明らか
なように、バナジウムの添加量が0.1〜15原子%、
鉄の添加量が0.1〜10原子%の本実施形態の組成の
サーミスタ素子の試料は、いずれも、比抵抗、B定数と
もに実用的な値を示す。
【0040】また、本実施形態の試料では、B25/50
100/150とに大きな差がみられ、サーミスタ素子の抵
抗温度特性に曲がりが存在することがわかる。
【0041】一方、比較例におけるコバルト含有量が4
0原子%未満の試料では、スピネル相からNaCl相に
変態する相転移点をもたないため、B25/50とB100/150
とに大きな差がみられず、サーミスタ素子の抵抗温度特
性に曲がりが存在しないことがわかる。
【0042】鉄の含有量が0.1%未満では鉄の添加効
果がみられず、B25/50とB100/150とに大きな差がな
く、サーミスタ素子の抵抗温度特性に曲がりが存在しな
い。一方、鉄の含有量が10原子%を越えると比抵抗、
サーミスタ定数B共に大きくなり、液面検出器として用
をなさなくなる。
【0043】また、バナジウム含有量が0.1原子%未
満ではバナジウムの添加効果がなく、B25/50とB
100/150とに大きな差がみられず、サーミスタ素子の抵
抗温度特性に曲がりが存在しない。
【0044】一方、バナジウムが15原子%を越えると
比抵抗が大きく、かつサーミスタ定数Bは小さくなり、
元来の特性からかけ離れ、液面検出器として用をなさな
くなる。
【0045】(実施形態2)酸化バナジウムの出発原料
にV25を用い、酸化コバルト、酸化クロム、酸化マン
ガン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅、及び酸化バナジ
ウムを焼結後の組成が金属元素成分表示で、(表4)、
(表5)、(表6)の組成比になるように配合し、ボー
ルミルで16時間湿式混合粉砕した。
【0046】その後ポリビニールアルコール(PVA)
をバインダーとして添加し、乳鉢、乳棒で顆粒状に造粒
した後、所要量採取して加圧成形し、円柱形の成形品を
得た。これらを空気中800℃〜1300℃の温度で2
時間焼成して焼結させ、これらの円柱形の焼結体の両面
に銀−パラジウムペーストを塗布し、750℃で焼き付
けを行い電極を形成してオーミックコンタクトを得た。
【0047】得られた各試料を直流4端子法を用いて2
5℃の抵抗値(R25)、50℃の抵抗値(R50)、10
0℃の抵抗値(R100)、150℃の抵抗値(R150)を
測定し、式(数7)を用いて25℃での比抵抗(ρ25
を、また式(数8)を用いて25℃と50℃間のB定数
(B25/50)、100℃と150℃間のB定数(B100
/150)を算出し、(表4)、(表5)、(表6)に示す
ような結果を得た。
【0048】なお、(表4)、(表5)、(表6)にお
いて、試料番号に*印を付した試料は比較例である。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】(表1)、(表2)、(表3)に示す第1
の実施形態における本発明の試料と比較して、本実施形
態における本発明の組成の試料においては、仮焼を省略
しても特性に劣化はみられなかった。
【0053】酸化バナジウムは、種々の価数をとる酸化
物であるが、その中でV25の融点が最も低く690℃
である。通常サーミスタ素子は遷移金属酸化物により形
成され、その反応過程は固相反応で反応しにくいため途
中に仮焼工程を入れている。しかし、このように酸化バ
ナジウムを添加する際、V25の形で添加することによ
り液相が形成されて反応が促進し、仮焼および仮焼粉砕
工程を省略できるため、製造工程において大幅な時間短
縮ができる。
【0054】(実施形態3)本実施形態では、実施形態
1および実施形態2に示したB25/50とB100/150との差
が大きい組成のサーミスタ用酸化物半導体を用いて作製
した各種形状のサーミスタを、エンジンオイルの液面検
出器に適用した例について説明する。液面検出器の電気
回路図を示す図2において、サーミスタ1は電流が流れ
ると発熱し抵抗値が減少する負の抵抗特性を備えてお
り、バッテリ3により電圧が印加されると共に、液中で
あるか気中であるかに応じて抵抗値が変化する。
【0055】表示手段をなす警告灯2は、サーミスタ1
が気中に出た場合はサーミスタ1の抵抗値が減少するこ
とによって所定の電流が流れて点灯する。上述の回路
は、サーミスタ1、警告灯2、及びバッテリ3とを直列
に接続している。警告灯2は、電球は12V,3.4W
で、125mA以上の電流が流れたときに点灯し、回路
に流れている電流が60mA以下のときに消灯するもの
である。
【0056】バッテリ3は、定電圧電源を使用し11±
0.4Vの範囲で変動し、液面検出器の使用温度範囲は
60℃〜130℃とする。
【0057】サーミスタ式液面検出器の動作原理はサー
ミスタの気中と液中の熱放散定数の違いを利用するもの
である。図3にサーミスタのI−V特性と電球の負荷曲
線を示した。図3において気中では飽和点Bが125m
A以上、液中では飽和点Aが60mA以下になるように
サーミスタの抵抗温度特性及び熱放散定数値を決定しな
くてはならない。
【0058】(表7)に種々の形状のサーミスタを適用
したときの液中及び気中の熱放散定数値と液面検知機能
を果たしたかどうかを示す。なお(表7)において、デ
ィスクタイプとは電極を設けた円板状のサーミスタ素子
を樹脂モールドした円板形のもの、ロッドタイプとは電
極を設けた円柱状のサーミスタ素子を表面が絶縁被覆さ
れたキャップに挿入した円柱形のもの、ガラスタイプと
は電極を設けた円柱状のサーミスタ素子をガラスで被覆
した円柱形のものである。また、*印のものは比較例で
ある。
【0059】
【表7】
【0060】サーミスタ式液面検出器の動作原理はサー
ミスタの気中と液中における熱放散定数値の違いを利用
するものである。つまり、自己発熱による抵抗値の違い
を電流、または、電圧に変換し液面を検知するものであ
る。サーミスタが気中に出ているときのサーミスタの温
度は400℃以上になり、サーミスタ素子のみならずそ
の構成部材にも耐熱性が要求される。また、液中と気中
を行き来するため、400℃以上のサーミスタが100
℃の液中に入り急冷されることもあり、このときの熱衝
撃は相当なものである。ロッドタイプのサーミスタは、
サーミスタ素子とリード線との接合がリード線をスポッ
ト溶接したキャップをサーミスタ素子にかぶせて行うた
め耐熱性に優れ、また、サーミスタ素子とキャップとの
熱膨張係数を合わせることにより熱衝撃を緩和でき、液
面検出器に用いるサーミスタとして望ましいタイプであ
る。
【0061】液面検出器の諸条件は走行中での液面検出
機能を果たすことである。図3において気中では飽和点
Bが点灯時の回路電流値以上、液中では飽和点Aが消灯
時の回路電流値以下となるようにサーミスタの抵抗温度
特性及び熱放散定数を決定しなくてはならない。また気
中と液中の熱放散定数の差が大きければ大きいほどその
検出精度はよくなる。気中と液中の熱放散定数比が、式
(数6)を満たしていれば誤動作なく液面検出機能を果
たした。
【0062】気中と液中の熱放散定数値が式(数6)を
満たさない場合はいずれの場合も警告灯は点灯しなかっ
た。この式(数6)を満たすものは、ロッド型サーミス
タとガラス封入型サーミスタで、長さLが直径Dよりも
長いものであった。ディスク型のものでは樹脂コーティ
ングしているため構成部材の関係上400℃以上の耐熱
性が得られない。
【0063】なお、本実施形態では、実施形態1および
実施形態2に示した組成のサーミスタ素子を用いたサー
ミスタの例を示したが、本発明のサーミスタはこのよう
な組成のサーミスタ素子を用いたものに限定されるもの
ではなく、B25/50とB100/1 50との差が大きく、式(数
6)を満足するものであれば、他の組成のサーミスタ素
子を用いたものでもよい。また、サーミスタ素子および
サーミスタの形状も円柱形に限定されるものではなく、
角柱状など他の形状であってもかまわない。さらに本発
明のサーミスタは、単にエンジンオイルの液面検出器へ
の適用のみにとどまらず、ガソリンなど他の液体の液面
検出器への適用も可能である。
【0064】
【発明の効果】以上に述べたように本発明によれば、コ
バルトを主成分とするサーミスタ用酸化物半導体にバナ
ジウム酸化物と鉄酸化物とを添加することにより、抵抗
温度特性に曲がりを持たせたサーミスタ用酸化物半導体
を実現することができ、これを用いてサーミスタを構成
することにより、容易かつ簡単にサーミスタ式液面検出
器を作製することができる。また、出発原料にV25
用いることにより、焼結時の反応開始温度を低下させる
ことができるため仮焼工程が不要となり、サーミスタ用
酸化物半導体の製造工程の大幅な短縮が図れる。さら
に、本発明の液中および気中における熱放散定数の関係
が式(数6)を満たすサーミスタを用いることにより、
液面検出機能に優れたサーミスタ式液面検出器を実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液面検出器の動作を説明するためのサーミスタ
の発熱温度−抵抗特性図
【図2】液面検出器の電気回路図
【図3】液面検出器の動作を説明するためのサーミスタ
の電流−電圧特性および電球の負荷曲線を示す図
【符号の説明】
1 サーミスタ 2 警告灯 3 バッテリ
フロントページの続き (72)発明者 香月 暢晴 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 畑 拓興 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成金属元素成分表示において、40原
    子%以上のコバルトからなる主成分と、残部がクロム、
    マンガン、ニッケル及び銅から選ばれた少なくとも1種
    を含有する副成分とからなる100原子%の金属酸化物
    に対し、0.1〜15原子%のバナジウム及び0.1〜
    10原子%の鉄のそれぞれの酸化物を添加した金属酸化
    物の焼結体からなるサーミスタ用酸化物半導体。
  2. 【請求項2】 出発原料としてのバナジウム酸化物にV
    25を用い、焼成後の組成が構成金属元素表示でコバル
    ト40原子%以上とクロム、マンガン、ニッケル及び銅
    から選ばれた少なくとも1種を含有する残部とからなる
    金属元素100原子%に対して、バナジウムを0.1〜
    15原子%、鉄を0.1〜10原子%加えた金属酸化物
    の組成になるように構成金属元素の酸化物からなる出発
    原料を秤量及び混合する工程と、この混合物にバインダ
    ーを加えた後成形する工程と、この成形物を焼成する工
    程とを備えたサーミスタ用酸化物半導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 所定形状のサーミスタ用酸化物半導体の
    表面に電極を備え、液中の熱放散定数の自然対数値を気
    中の熱放散定数の自然対数値で除した値が2.60より
    も大きい液面検出器用のサーミスタ。
  4. 【請求項4】 形状が円柱状で、その直径よりも長さの
    ほうが大きい請求項3記載のサーミスタ。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のサーミスタ用酸化物半導
    体を用いた請求項3または4記載のサーミスタ。
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