JPH0911935A - 自動車のピラー構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピラーに対する側方からの力をピラー補強用
パイプ部材へ集中させることなくピラー補強用パイプ部
材を介して床に伝えることができ、高い剛性が得られ、
且つピラーの変形を防止し得る自動車のピラー構造を提
供する。 【解決手段】 ピラーインナプレート１ａとピラーアウ
タプレート１ｂとによって形成される中空のピラー１内
に、ピラー補強用パイプ部材２を、その上端部がピラー
１内における所要高さ位置に固定され且つ下端部がピラ
ー１内における床面レベルより低い位置に固定されるよ
う、配設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のピラー構
造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の自動車のピラー構造としては、例
えば、実開平４−２４８７７号公報に記載されたような
ものが存在し、これは、図８〜図１０に示される如く、
自動車の幅方向両側部分に上下方向へ延びるよう配設し
たピラー１内に、ピラー補強用パイプ部材２を配設した
ものであって、該ピラー補強用パイプ部材２によってピ
ラー１の剛性を高めようとしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
如き従来の自動車のピラー構造では、ピラー補強用パイ
プ部材２の下端部がピラー１内における床面レベルより
高い位置に固定されており、床からピラー補強用パイプ
部材２を介してピラー１がしっかりと立設される形とな
っていないため、ピラー１に対して側方からの力が作用
した場合、その力がピラー補強用パイプ部材２を介して
床に伝えられず、ピラー補強用パイプ部材２に集中する
形となって、ピラー１に変形が生じる可能性があり、強
度的に充分であるとは言えなかった。

【０００４】本発明は、斯かる実情に鑑み、ピラーに対
する側方からの力をピラー補強用パイプ部材へ集中させ
ることなくピラー補強用パイプ部材を介して床に伝える
ことができ、高い剛性が得られ、且つピラーの変形を防
止し得る自動車のピラー構造を提供しようとするもので
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、自動車の幅方
向両側部分に上下方向へ延びるよう中空のピラーを配設
してなる自動車のピラー構造であって、ピラー内に、ピ
ラー補強用パイプ部材を、その上端部がピラー内におけ
る所要高さ位置に固定され且つ下端部がピラー内におけ
る床面レベルより低い位置に固定されるよう、配設した
ことを特徴とするものである。

【０００６】従って、ピラー補強用パイプ部材の下端部
をピラー内における床面レベルより低い位置に固定した
ことにより、自動車の基礎となる床からピラー補強用パ
イプ部材を介してピラーがしっかりと立設される形とな
り、ピラーに対して側方からの力が作用した場合、その
力がピラー補強用パイプ部材から床に伝えられ、ピラー
補強用パイプ部材に集中しなくなり、ピラーが変形しに
くくなる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示
例と共に説明する。

【０００８】図１及び図２は本発明を小型トラックのキ
ャブにおけるクォータピラーに適用した場合の第一の実
施の形態例であって、ピラーインナプレート１ａとピラ
ーアウタプレート１ｂとによって形成される中空のピラ
ー１内に、ピラー補強用パイプ部材２を、その上端部が
ピラー１内における所要高さ位置に固定され且つ下端部
がピラー１内における床面レベルより低い位置に固定さ
れるよう、配設したものである。

【０００９】前記ピラー補強用パイプ部材２の上端部
は、アッパエクステンション３を覆い被せて、該アッパ
エクステンション３をピラーインナプレート１ａに対し
てスポット溶接することにより、前記ピラー１内に固定
するようにしてある。

【００１０】又、前記ピラー補強用パイプ部材２の下端
部は、ロアエクステンション４を覆い被せて、該ロアエ
クステンション４の下端部を、ピラーアウタプレート１
ｂ下端のフランジ部５とフロアサイドメンバリインフォ
ース６下端のフランジ部７との間に挟み込んでスポット
溶接することにより、ピラー１内に固定するようにして
ある。

【００１１】尚、図中、８はピラー１内における上側に
配設された補強用のピラーリインフォース、９はフロア
パネル、１０はシャシフレーム、１１はシャシフレーム
１０から突設された支持ブラケット、１２は支持ブラケ
ット１１にキャブを載置するための振動吸収用のマウン
ティングゴムである。

【００１２】次に、上記実施の形態例の作動を説明す
る。

【００１３】ピラー補強用パイプ部材２の下端部をロア
エクステンション４を介してピラー１内における床面レ
ベルより低い位置に固定したことにより、自動車の基礎
となるフロアパネル９からピラー補強用パイプ部材２を
介してピラー１がしっかりと立設される形となり、ピラ
ー１に対して側方からの力が作用した場合、その力がピ
ラー補強用パイプ部材２からロアエクステンション４と
フロアサイドメンバリインフォース６とを介してフロア
パネル９に伝えられ、ピラー補強用パイプ部材２のみに
力が集中しなくなるため、ピラー１が変形しにくくな
り、更に、ピラー補強用パイプ部材２が床面レベルより
低い位置に固定されているため、即ちピラー補強用パイ
プ部材２とフロアパネル９とが上下でラップしているの
で、ピラー１に対する側方からの力がピラー補強用パイ
プ部材２からフロアパネル９に伝えられることにより、
フロアパネル９とピラーインナプレート１ａの接合部に
おいてピラー１が倒れるのが防止される。

【００１４】こうして、ピラー１に対する側方からの力
をピラー補強用パイプ部材２へ集中させることなくピラ
ー補強用パイプ部材２を介して床に伝えることができ、
高い剛性が得られ、且つピラー１の変形を防止し得る。

【００１５】図３は本発明の第二の実施の形態例であっ
て、図中、図２と同一の符号を付した部分は同一物を表
わしており、ピラー補強用パイプ部材２の下端部を完全
につぶして平板状とし、該平板状としたピラー補強用パ
イプ部材２の下端部を、ピラーアウタプレート１ｂ下端
のフランジ部５とフロアサイドメンバリインフォース６
下端のフランジ部７との間に挟み込んでスポット溶接す
ることにより、ピラー１内における床面レベルより低い
位置に固定するようにしたものである。

【００１６】図３に示す第二の実施の形態例において
は、平板状につぶしたピラー補強用パイプ部材２の下端
部をピラー１内における床面レベルより低い位置に固定
したことにより、自動車の基礎となるフロアパネル９か
らピラー補強用パイプ部材２を介してピラー１がしっか
りと立設される形となり、ピラー１に対して側方からの
力が作用した場合、その力がピラー補強用パイプ部材２
から直接フロアサイドメンバリインフォース６を介して
フロアパネル９に伝えられ、ピラー補強用パイプ部材２
に集中しなくなり、ピラー１が変形しにくくなる。尚、
図２に示す第一の実施の形態例と比較した場合、図３に
示す第二の実施の形態例では、ピラー補強用パイプ部材
２がロアエクステンション４を介してフランジ部５に溶
接されず直接フランジ部５に溶接されるため、変形に対
してより有利となる。

【００１７】こうして、図３に示す第二の実施の形態例
の場合も、ピラー１に対する側方からの力をピラー補強
用パイプ部材２へ集中させることなくピラー補強用パイ
プ部材２を介して床に伝えることができ、高い剛性が得
られ、且つピラー１の変形を防止し得る。

【００１８】図４及び図５は本発明の第三の実施の形態
例であって、図中、図３と同一の符号を付した部分は同
一物を表わしており、ピラー補強用パイプ部材２の下端
部を断面が略半円形状となるようにつぶし、該略半円形
状としたピラー補強用パイプ部材２の下端部を、ピラー
アウタプレート１ｂ下端のフランジ部５とフロアサイド
メンバリインフォース６下端のフランジ部７との間に挟
み込んでスポット溶接することにより、ピラー１内にお
ける床面レベルより低い位置に固定すると共に、前記ピ
ラー補強用パイプ部材２の下端部に、水やほこり等が侵
入することを防止するためのシーラ等の発泡材１３を充
填するようにしたものである。

【００１９】図４及び図５に示す第三の実施の形態例に
おいては、略半円形状につぶしたピラー補強用パイプ部
材２の下端部をピラー１内における床面レベルより低い
位置に固定したことにより、自動車の基礎となるフロア
パネル９からピラー補強用パイプ部材２を介してピラー
１がしっかりと立設される形となり、ピラー１に対して
側方からの力が作用した場合、その力がピラー補強用パ
イプ部材２からフロアサイドメンバリインフォース６を
介してフロアパネル９に伝えられ、ピラー補強用パイプ
部材２に集中しなくなり、ピラー１が変形しにくくな
る。尚、ピラー補強用パイプ部材２の下端部を完全につ
ぶすようにした図３に示す第二の実施の形態例に比べ、
図４及び図５に示す第三の実施の形態例では、ピラー補
強用パイプ部材２の下端部を略半円形状につぶしている
ため、ピラー補強用パイプ部材２の下端部におけるフラ
ンジ部５との結合強度が有利となる。

【００２０】又、略半円形状につぶしたピラー補強用パ
イプ部材２の下端部には、発泡材１３を充填してあるた
め、ピラー補強用パイプ部材２の内部に水やほこり等が
侵入する心配もない。

【００２１】こうして、図４及び図５に示す第三の実施
の形態例の場合も、ピラー１に対する側方からの力をピ
ラー補強用パイプ部材２へ集中させることなくピラー補
強用パイプ部材２を介して床に伝えることができ、高い
剛性が得られ、且つピラー１の変形を防止し得る。

【００２２】図６及び図７は本発明の第四の実施の形態
例であって、図中、図２と同一の符号を付した部分は同
一物を表わしており、ピラー補強用パイプ部材２の下端
部に固定ブラケット１４を溶接し、該固定ブラケット１
４をフロアサイドメンバリインフォース６に、スポット
溶接等によって一体に取り付けることにより、ピラー１
内における床面レベルより低い位置に前記ピラー補強用
パイプ部材２の下端部を固定するようにしたものであ
る。

【００２３】図６及び図７に示す第四の実施の形態例に
おいては、ピラー補強用パイプ部材２の下端部に取り付
けた固定ブラケット１４をピラー１内における床面レベ
ルより低い位置に固定したことにより、自動車の基礎と
なるフロアパネル９からピラー補強用パイプ部材２を介
してピラー１がしっかりと立設される形となり、ピラー
１に対して側方からの力が作用した場合、その力がピラ
ー補強用パイプ部材２から固定ブラケット１４とフロア
サイドメンバリインフォース６とを介してフロアパネル
９に伝えられ、ピラー補強用パイプ部材２に集中しなく
なり、ピラー１が変形しにくくなる。尚、前述の第一〜
第三の実施の形態例では、ピラー補強用パイプ部材２の
下端部をフランジ部５に結合させたが、図６及び図７に
示す第四の実施の形態例では、ピラー１に対する側方か
らの力に対して略直角となるフランジ部５よりも前記力
の方向に対して平行に近い固定ブラケット１４を用いて
ピラー補強用パイプ部材２の下端部をフロアサイドメン
バリインフォース６へ結合してあるため、ピラー１の変
形に対し最も有利となる。

【００２４】こうして、図６及び図７に示す第四の実施
の形態例の場合も、ピラー１に対する側方からの力をピ
ラー補強用パイプ部材２へ集中させることなくピラー補
強用パイプ部材２を介して床に伝えることができ、高い
剛性が得られ、且つピラー１の変形を防止し得る。

【００２５】尚、本発明の自動車のピラー構造は、上述
の実施の形態例にのみ限定されるものではなく、図２、
図３、或いは図４及び図５に夫々示す実施の形態例と、
図６及び図７に示す実施の形態例とを組み合わせるよう
にしてもよいこと等、その他、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であ
る。

【００２６】

【発明の効果】以上、説明したように本発明の自動車の
ピラー構造によれば、ピラーに対する側方からの力をピ
ラー補強用パイプ部材へ集中させることなくピラー補強
用パイプ部材を介して床に伝えることができ、高い剛性
が得られ、且つピラーの変形を防止し得るという優れた
効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の実施の形態例の全体概要側面図
である。

【図２】本発明の第一の実施の形態例の要部拡大正断面
図であって、図１のＩＩ−ＩＩ断面相当図である。

【図３】本発明の第二の実施の形態例の要部拡大正断面
図である。

【図４】本発明の第三の実施の形態例の要部拡大正断面
図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ断面図である。

【図６】本発明の第四の実施の形態例の要部拡大正断面
図である。

【図７】図６のＶＩＩ−ＶＩＩ断面図である。

【図８】従来例の全体概要斜視図である。

【図９】従来例の要部拡大斜視図である。

【図１０】図９のＸ−Ｘ断面図である。

【符号の説明】

１ ピラー ２ ピラー補強用パイプ部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車の幅方向両側部分に上下方向へ延
   びるよう中空のピラーを配設してなる自動車のピラー構
   造であって、 ピラー内に、ピラー補強用パイプ部材を、その上端部が
   ピラー内における所要高さ位置に固定され且つ下端部が
   ピラー内における床面レベルより低い位置に固定される
   よう、配設したことを特徴とする自動車のピラー構造。