JPH09115719A - 高透磁率酸化物磁性材料及びその製造方法 - Google Patents
高透磁率酸化物磁性材料及びその製造方法Info
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- JPH09115719A JPH09115719A JP7296076A JP29607695A JPH09115719A JP H09115719 A JPH09115719 A JP H09115719A JP 7296076 A JP7296076 A JP 7296076A JP 29607695 A JP29607695 A JP 29607695A JP H09115719 A JPH09115719 A JP H09115719A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 亜鉛が揮発する温度よりも低い温度で焼結で
き、従って、埋没等の複雑な工程を必要としない高透磁
率、低損失のMn−Znフェライトを供すること。 【解決手段】 52〜53mol%のFe2O3,24〜
28mol%のMnO、残部ZnOを主成分とするMn
−Znフェライトに、副成分として0.01〜0.1wt
%のTa2O5及び0.01〜0.5wt%のMgOを添加
し、1300℃以下の温度で焼成し、焼結体の平均結晶
粒径は15〜30μmである。
き、従って、埋没等の複雑な工程を必要としない高透磁
率、低損失のMn−Znフェライトを供すること。 【解決手段】 52〜53mol%のFe2O3,24〜
28mol%のMnO、残部ZnOを主成分とするMn
−Znフェライトに、副成分として0.01〜0.1wt
%のTa2O5及び0.01〜0.5wt%のMgOを添加
し、1300℃以下の温度で焼成し、焼結体の平均結晶
粒径は15〜30μmである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高透磁率で低損失
なスピネル型Mn−Znフェライト材料及びその製造方
法に関するものである。
なスピネル型Mn−Znフェライト材料及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化、高性能化の技
術革新が著しく、それに伴い使用されるMn−Znフェ
ライトの高性能化、特に、高透磁率化、及び低損失化が
強く求められている。一般に、高透磁率を有するMn−
Znフェライトの主成分の組成範囲は、52〜53mo
l%Fe2O3,24〜28mol%MnO、残部ZnO
とされており、現在、市販されているものも、ほぼこの
範囲内にある。更に、このMn−Znフェライトには、
副成分としてSiO2,CaO,TiO2,Bi2O3を含
有させる場合がある。これは、高抵抗の粒界層を形成す
ることにより、渦電流損失を低減させ、特に、初透磁率
(μi)の周波数特性を良好とする目的と、粒成長をコ
ントロールすることを目的としてなされている。
術革新が著しく、それに伴い使用されるMn−Znフェ
ライトの高性能化、特に、高透磁率化、及び低損失化が
強く求められている。一般に、高透磁率を有するMn−
Znフェライトの主成分の組成範囲は、52〜53mo
l%Fe2O3,24〜28mol%MnO、残部ZnO
とされており、現在、市販されているものも、ほぼこの
範囲内にある。更に、このMn−Znフェライトには、
副成分としてSiO2,CaO,TiO2,Bi2O3を含
有させる場合がある。これは、高抵抗の粒界層を形成す
ることにより、渦電流損失を低減させ、特に、初透磁率
(μi)の周波数特性を良好とする目的と、粒成長をコ
ントロールすることを目的としてなされている。
【0003】更に、高いμiを達成するためには、上記
のような組成を吟味して最適な組成を選択することのみ
ならず、結晶粒径を比較的大きくすることが、きわめて
重要となる。このためには、焼成温度を高くすることが
最も有効である。
のような組成を吟味して最適な組成を選択することのみ
ならず、結晶粒径を比較的大きくすることが、きわめて
重要となる。このためには、焼成温度を高くすることが
最も有効である。
【0004】更に詳しくは、Mn−Znフェライトの高
透磁率化のためには、前述したごとく、組成を吟味する
ことはもちろんのこと、結晶粒径を均一で大きくするこ
とが不可欠である。通常のMn−Znフェライトは、混
合、仮焼、粉砕、造粒、成形、焼成の工程を経て製造さ
れる。この工程で、焼成体の結晶粒径を制御するために
は、粉砕後の粉末粒径、及び焼成条件、特に、焼成温度
を適切な条件に設定することが不可欠である。又、粉末
粒径に関しては、使用する原料、及び各製造条件により
決定され、通常、0.5〜2.0μm程度の大きさであ
る。そして、焼成温度については、1300〜1450
℃の間で行われているのが通例である。この焼成温度の
範囲内で、なるべく高い温度で焼成することが結晶粒径
を大きくし、高い透磁率を得るための必須条件となる。
透磁率化のためには、前述したごとく、組成を吟味する
ことはもちろんのこと、結晶粒径を均一で大きくするこ
とが不可欠である。通常のMn−Znフェライトは、混
合、仮焼、粉砕、造粒、成形、焼成の工程を経て製造さ
れる。この工程で、焼成体の結晶粒径を制御するために
は、粉砕後の粉末粒径、及び焼成条件、特に、焼成温度
を適切な条件に設定することが不可欠である。又、粉末
粒径に関しては、使用する原料、及び各製造条件により
決定され、通常、0.5〜2.0μm程度の大きさであ
る。そして、焼成温度については、1300〜1450
℃の間で行われているのが通例である。この焼成温度の
範囲内で、なるべく高い温度で焼成することが結晶粒径
を大きくし、高い透磁率を得るための必須条件となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、焼成温
度をあまり高くし過ぎると、種々の弊害が発生すること
が知られている。まず、第一点として、異常結晶成長粒
(以下、異常粒と略す)の発生が挙げられる。異常粒が
発生すると、結晶粒内にポアが取り残され、焼成体全体
の結晶粒径分布がブロードとなる。又、本来、粒界層の
構成成分となる微量添加物も、粒界層の切断等により、
結晶粒内に取り残される。その結果、結晶粒内が不浄と
なり、磁壁のなめらかな移動を阻害し、透磁率の低下、
及び損失の増大を招くこととなる。第二点としては、亜
鉛の揮発が挙げられる。亜鉛が揮発すると、焼成体の表
面層と内部層で組成差が生じ、これにより、内部応力が
発生し、透磁率の低下と、損失の増大を招くこととな
る。亜鉛の揮発は、表面部より発生することから、焼成
体の比表面積の大きな(小型の)製品ほど、その影響が
大きく、製品間の特性ばらつきが大きくなる。なお、こ
こで、比表面積とは、焼結体の表面積を体積で割ったも
のであり、単位重量当りの表面積を表す。そこで、特
に、高透磁率が10kHzにおいて初透磁率10000
以上のMn−Znフェライト焼成体の焼成を行う場合に
は、亜鉛の揮発を制御するため、焼成の際、成形体と同
一組成で、粒度を均一に調整した粉末に成形体を埋没し
て、焼成を行う方法がある。しかしながら、この方法で
は、埋没用粉末の原料費、製造費の増加、及び成形体の
積載時の作業増、焼成後の焼成体の洗浄の工程の発生、
並びに焼成後の焼成体の変形による歩留の低下等による
製造費の増加の問題があるため、高透磁率Mn−Znフ
ェライトは、他のMn−Zn系フェライトよりもコスト
が高いという欠点があった。
度をあまり高くし過ぎると、種々の弊害が発生すること
が知られている。まず、第一点として、異常結晶成長粒
(以下、異常粒と略す)の発生が挙げられる。異常粒が
発生すると、結晶粒内にポアが取り残され、焼成体全体
の結晶粒径分布がブロードとなる。又、本来、粒界層の
構成成分となる微量添加物も、粒界層の切断等により、
結晶粒内に取り残される。その結果、結晶粒内が不浄と
なり、磁壁のなめらかな移動を阻害し、透磁率の低下、
及び損失の増大を招くこととなる。第二点としては、亜
鉛の揮発が挙げられる。亜鉛が揮発すると、焼成体の表
面層と内部層で組成差が生じ、これにより、内部応力が
発生し、透磁率の低下と、損失の増大を招くこととな
る。亜鉛の揮発は、表面部より発生することから、焼成
体の比表面積の大きな(小型の)製品ほど、その影響が
大きく、製品間の特性ばらつきが大きくなる。なお、こ
こで、比表面積とは、焼結体の表面積を体積で割ったも
のであり、単位重量当りの表面積を表す。そこで、特
に、高透磁率が10kHzにおいて初透磁率10000
以上のMn−Znフェライト焼成体の焼成を行う場合に
は、亜鉛の揮発を制御するため、焼成の際、成形体と同
一組成で、粒度を均一に調整した粉末に成形体を埋没し
て、焼成を行う方法がある。しかしながら、この方法で
は、埋没用粉末の原料費、製造費の増加、及び成形体の
積載時の作業増、焼成後の焼成体の洗浄の工程の発生、
並びに焼成後の焼成体の変形による歩留の低下等による
製造費の増加の問題があるため、高透磁率Mn−Znフ
ェライトは、他のMn−Zn系フェライトよりもコスト
が高いという欠点があった。
【0006】又、透磁率の周波数特性を良好とするため
には、高周波で支配的な渦電流損失を低減することが必
須であり、そのため、高抵抗の粒界層を形成するSiO
2,CaO等の微量添加物を添加するのが一般的であ
る。しかしながら、SiO2は、粒成長を抑制する因子
であるとともに、適量を少しでも超えた場合、逆に異常
粒発生を促進する因子となることから、高抵抗化と組織
制御を同時に実現することを不可能としている。又、C
aOは、昇温過程における緻密化、及び粒成長を著しく
阻害するため、所定の初透磁率を得るためには、焼成温
度を高くし、結晶粒径を大きくする必要があり、結果、
亜鉛の揮発を生じる焼成温度で焼成せざるを得ない。
には、高周波で支配的な渦電流損失を低減することが必
須であり、そのため、高抵抗の粒界層を形成するSiO
2,CaO等の微量添加物を添加するのが一般的であ
る。しかしながら、SiO2は、粒成長を抑制する因子
であるとともに、適量を少しでも超えた場合、逆に異常
粒発生を促進する因子となることから、高抵抗化と組織
制御を同時に実現することを不可能としている。又、C
aOは、昇温過程における緻密化、及び粒成長を著しく
阻害するため、所定の初透磁率を得るためには、焼成温
度を高くし、結晶粒径を大きくする必要があり、結果、
亜鉛の揮発を生じる焼成温度で焼成せざるを得ない。
【0007】そこで、本発明の技術的な課題は、組織制
御を困難とするSiO2,CaOの微量添加物を用い
ず、結晶粒径を均一に大きく成長させ、かつ、高抵抗の
粒界層を形成して、高透磁率で低損失なMn−Znフェ
ライトからなる酸化物磁性材料とその製造方法を提供す
ることにある。
御を困難とするSiO2,CaOの微量添加物を用い
ず、結晶粒径を均一に大きく成長させ、かつ、高抵抗の
粒界層を形成して、高透磁率で低損失なMn−Znフェ
ライトからなる酸化物磁性材料とその製造方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、種々の検討
を行った結果、52〜53mol%のFe2O3,24〜
28mol%のMnO、残部ZnOとなるMn−Znフ
ェライトに、副成分として0.01〜0.1wt%のTa
2O5、0.01〜0.5wt%のMgOを含有する粉末か
らなる成形体を1300℃以下の焼成温度で焼成するこ
とにより、結晶粒径分布がシャープで、かつ、その平均
結晶粒径が15μm〜30μmとなる高透磁率の酸化物
磁性材料が得られることを見い出した。
を行った結果、52〜53mol%のFe2O3,24〜
28mol%のMnO、残部ZnOとなるMn−Znフ
ェライトに、副成分として0.01〜0.1wt%のTa
2O5、0.01〜0.5wt%のMgOを含有する粉末か
らなる成形体を1300℃以下の焼成温度で焼成するこ
とにより、結晶粒径分布がシャープで、かつ、その平均
結晶粒径が15μm〜30μmとなる高透磁率の酸化物
磁性材料が得られることを見い出した。
【0009】本発明によれば、従来法より粒成長が促進
されるため、亜鉛が揮発する温度より低温で焼成するこ
とが可能である。よって、比表面積の大きな(小型の)
製品でも、優れた特性が得られ、製品間の特性ばらつき
を解消できる。加えて、埋没等の煩雑な工程を必要とし
ない低コストで、優れた材料を得ることが可能である。
又、粒界層にTa2O5,MgOの微量添加物が高濃度に
析出することにより、粒界層の高抵抗化が実現され、渦
電流損失の低減が図れ、透磁率が高周波まで高い状態で
維持され、透磁率の周波数特性が良好となる。
されるため、亜鉛が揮発する温度より低温で焼成するこ
とが可能である。よって、比表面積の大きな(小型の)
製品でも、優れた特性が得られ、製品間の特性ばらつき
を解消できる。加えて、埋没等の煩雑な工程を必要とし
ない低コストで、優れた材料を得ることが可能である。
又、粒界層にTa2O5,MgOの微量添加物が高濃度に
析出することにより、粒界層の高抵抗化が実現され、渦
電流損失の低減が図れ、透磁率が高周波まで高い状態で
維持され、透磁率の周波数特性が良好となる。
【0010】ここで、本発明におけるTa2O5,MgO
の添加による粒成長促進、及び高抵抗粒界層形成のメカ
ニズムの詳細については、不明であるが、従来のSiO
2,CaOを添加する場合と比較すると、結晶粒の表
面、及び粒界の状態が改質されるためと思われる。
の添加による粒成長促進、及び高抵抗粒界層形成のメカ
ニズムの詳細については、不明であるが、従来のSiO
2,CaOを添加する場合と比較すると、結晶粒の表
面、及び粒界の状態が改質されるためと思われる。
【0011】ここで、本発明において、主成分の範囲を
52〜53mol%のFe2O3,24〜28mol%の
MnO、残部ZnOとしたのは、Fe2O3が52mol
%以下、MnOが28mol%以上であると、十分な透
磁率が得られないためであり、Fe2O3が53mol%
以上、もしくはMnOが24mol%以下では、キュリ
ー温度が低いため、実用的でないためである。又、本発
明において、Ta2O5を0.01〜0.1wt%、MgO
を0.01〜0.5wt%としたのは、それぞれ下限値以
下であると、十分な比抵抗が得られず、渦電流損失の増
大により、透磁率の周波数特性が劣化するためであり、
上限値以上であると、十分な密度が得られないためであ
る。
52〜53mol%のFe2O3,24〜28mol%の
MnO、残部ZnOとしたのは、Fe2O3が52mol
%以下、MnOが28mol%以上であると、十分な透
磁率が得られないためであり、Fe2O3が53mol%
以上、もしくはMnOが24mol%以下では、キュリ
ー温度が低いため、実用的でないためである。又、本発
明において、Ta2O5を0.01〜0.1wt%、MgO
を0.01〜0.5wt%としたのは、それぞれ下限値以
下であると、十分な比抵抗が得られず、渦電流損失の増
大により、透磁率の周波数特性が劣化するためであり、
上限値以上であると、十分な密度が得られないためであ
る。
【0012】又、Mn−Znフェライトの結晶粒を15
μm以上、30μm以下としたのは、15μm以下で
は、十分な透磁率が得られないためであり、30μm以
上であると、異常粒成長、亜鉛の揮発等の不具合が生じ
るためである。
μm以上、30μm以下としたのは、15μm以下で
は、十分な透磁率が得られないためであり、30μm以
上であると、異常粒成長、亜鉛の揮発等の不具合が生じ
るためである。
【0013】亜鉛の揮発量に関しては、焼成時の焼成温
度と酸素分圧の相関により決定され、焼成温度が一定で
あれば、酸素分圧が高いほど、揮発量は少ないことが知
られている。よって、酸素分圧を高くすることにより、
亜鉛の揮発を抑え、結晶粒径を大きくすることが可能で
あるが、分圧を高くし過ぎると、十分な焼成体密度が得
られないだけではなく、初透磁率が低くなることより、
1250℃程度が酸素分圧とのかねあいで、望ましい上
限の焼成温度である。
度と酸素分圧の相関により決定され、焼成温度が一定で
あれば、酸素分圧が高いほど、揮発量は少ないことが知
られている。よって、酸素分圧を高くすることにより、
亜鉛の揮発を抑え、結晶粒径を大きくすることが可能で
あるが、分圧を高くし過ぎると、十分な焼成体密度が得
られないだけではなく、初透磁率が低くなることより、
1250℃程度が酸素分圧とのかねあいで、望ましい上
限の焼成温度である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、実施例によって本発明の
実施の形態を詳述する。
実施の形態を詳述する。
【0015】(実施例1)それぞれ高純度のFe2O3,
MnO,ZnOの原料を用い、ボールミルで混合し、5
2.5mol%Fe2O3−25mol%MnO−22.5
mol%ZnOの組成を有する混合粉末を得た。この混
合粉末を大気中1000℃で仮焼した。更に、この仮焼
粉末に0〜0.2wt%の範囲のTa2O5、0〜0.5w
t%の範囲のMgOを添加し、ボールミルにて80時間
粉砕し、平均粉末粒径を1.0μmとした。得られた粉
砕粉末にポリビニールアルコールをバインダーとして添
加し、スプレー造粒を行った。その後、2トン/cm2
の圧力で、外径25mm、内径15mm、高さ5mmの
トロイダル形状(A形状)、及び外径10mm、内径6
mm、高さ1mmのトロイダル形状(B形状)に成形
し、1200℃の温度で1%O2−99%N2雰囲気中、
2時間保持し、焼成した。
MnO,ZnOの原料を用い、ボールミルで混合し、5
2.5mol%Fe2O3−25mol%MnO−22.5
mol%ZnOの組成を有する混合粉末を得た。この混
合粉末を大気中1000℃で仮焼した。更に、この仮焼
粉末に0〜0.2wt%の範囲のTa2O5、0〜0.5w
t%の範囲のMgOを添加し、ボールミルにて80時間
粉砕し、平均粉末粒径を1.0μmとした。得られた粉
砕粉末にポリビニールアルコールをバインダーとして添
加し、スプレー造粒を行った。その後、2トン/cm2
の圧力で、外径25mm、内径15mm、高さ5mmの
トロイダル形状(A形状)、及び外径10mm、内径6
mm、高さ1mmのトロイダル形状(B形状)に成形
し、1200℃の温度で1%O2−99%N2雰囲気中、
2時間保持し、焼成した。
【0016】比較品としては、高純度のFe2O3,Mn
O,ZnO原料を用い、ボールミルで混合し、52.5
mol%Fe2O3−25mol%MnO−22.5mo
l%ZnOの組成を有する混合粉末を得た。この混合粉
末を大気中1000℃で仮焼した。更に、この仮焼粉末
に0.03wt%のSiO2、0.01wt%のCaOを
添加し、ボールミルにて80時間粉砕し、平均粉末粒径
を1.0μmとした。得られた粉砕粉末にポリビニール
アルコールをバインダーとして添加し、スプレー造粒を
行った。この造粒粉末を、2トン/cm2の圧力で、外
径25mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダル形
状(A形状)、及び外径10mm、内径6mm、高さ1
mmのトロイダル形状(B形状)に成形し、得られた成
形体を1400℃の温度で、1%O2−99%N2雰囲気
中、2時間保持し、焼成した。
O,ZnO原料を用い、ボールミルで混合し、52.5
mol%Fe2O3−25mol%MnO−22.5mo
l%ZnOの組成を有する混合粉末を得た。この混合粉
末を大気中1000℃で仮焼した。更に、この仮焼粉末
に0.03wt%のSiO2、0.01wt%のCaOを
添加し、ボールミルにて80時間粉砕し、平均粉末粒径
を1.0μmとした。得られた粉砕粉末にポリビニール
アルコールをバインダーとして添加し、スプレー造粒を
行った。この造粒粉末を、2トン/cm2の圧力で、外
径25mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダル形
状(A形状)、及び外径10mm、内径6mm、高さ1
mmのトロイダル形状(B形状)に成形し、得られた成
形体を1400℃の温度で、1%O2−99%N2雰囲気
中、2時間保持し、焼成した。
【0017】表1に、本発明品と比較品の磁気特性と画
像解析装置を用いて、切辺長から求めた平均結晶粒径、
及び比抵抗を示す。
像解析装置を用いて、切辺長から求めた平均結晶粒径、
及び比抵抗を示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1から、Ta2O5が0.01〜0.1wt
%、MgOが0.01〜0.5wt%の範囲の本発明品
で、比較品と比べ優れた磁気特性を示すことがわかる。
つまり、比較品と比べ、粒界層の比抵抗が高く、μi及
び損失係数であるtanδ/μiを著しく改善してい
る。又、比較品では、比表面積の大きいB形状で磁気特
性が劣化しているが、本発明品では、比表面積の大小
(試料の大小)によらず、優れた磁気特性を示している
ことがわかる。
%、MgOが0.01〜0.5wt%の範囲の本発明品
で、比較品と比べ優れた磁気特性を示すことがわかる。
つまり、比較品と比べ、粒界層の比抵抗が高く、μi及
び損失係数であるtanδ/μiを著しく改善してい
る。又、比較品では、比表面積の大きいB形状で磁気特
性が劣化しているが、本発明品では、比表面積の大小
(試料の大小)によらず、優れた磁気特性を示している
ことがわかる。
【0020】(実施例2)高純度のFe2O3,MnO,
ZnOの原料を用い、ボールミルで混合し、51.5〜
53.5mol%Fe2O3−23〜29mol%Mn
O、残部ZnOの組成を有する混合粉末を得た。この混
合粉末を大気中1000℃で仮焼した。この仮焼粉末に
0.05wt%のTa2O5、0.1wt%のMgOを添加
し、ボールミルにて80時間粉砕し、平均粉末粒径を
1.0μmとした。得られた粉砕粉末にポリビニールア
ルコールをバインダーとして添加し、スプレー造粒を行
った。この造粒粉末を、2トン/cm2の圧力で、外径
25mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダル形状
(A形状)、及び外径10mm、内径6mm、高さ1m
mのトロイダル形状(B形状)に成形し、得られた成形
体を1200℃の温度で、1%O2−99%N2雰囲気
中、2時間保持し、焼成した。
ZnOの原料を用い、ボールミルで混合し、51.5〜
53.5mol%Fe2O3−23〜29mol%Mn
O、残部ZnOの組成を有する混合粉末を得た。この混
合粉末を大気中1000℃で仮焼した。この仮焼粉末に
0.05wt%のTa2O5、0.1wt%のMgOを添加
し、ボールミルにて80時間粉砕し、平均粉末粒径を
1.0μmとした。得られた粉砕粉末にポリビニールア
ルコールをバインダーとして添加し、スプレー造粒を行
った。この造粒粉末を、2トン/cm2の圧力で、外径
25mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダル形状
(A形状)、及び外径10mm、内径6mm、高さ1m
mのトロイダル形状(B形状)に成形し、得られた成形
体を1200℃の温度で、1%O2−99%N2雰囲気
中、2時間保持し、焼成した。
【0021】表2に、本発明品と比較品の磁気特性と画
像解析装置を用いて、切辺長から求めた平均結晶粒径、
及び比抵抗を示す。
像解析装置を用いて、切辺長から求めた平均結晶粒径、
及び比抵抗を示す。
【0022】
【表2】
【0023】表2から、52.0〜53.0mol%のF
e2O3、24〜28mol%のMnO、残部ZnOの発
明品で、比較品と比べ優れた磁気特性を示すことがわか
る。つまり、比較品と比べ、粒界層の比抵抗が高く、μ
i及び損失係数であるtanδ/μiを著しく改善して
いる。又、比較品では、比表面積の大きいB形状で磁気
特性が劣化しているが、本発明品では、比表面積の大小
(試料の大小)によらず、優れた磁気特性を示している
ことがわかる。
e2O3、24〜28mol%のMnO、残部ZnOの発
明品で、比較品と比べ優れた磁気特性を示すことがわか
る。つまり、比較品と比べ、粒界層の比抵抗が高く、μ
i及び損失係数であるtanδ/μiを著しく改善して
いる。又、比較品では、比表面積の大きいB形状で磁気
特性が劣化しているが、本発明品では、比表面積の大小
(試料の大小)によらず、優れた磁気特性を示している
ことがわかる。
【0024】(実施例3)高純度のFe2O3,MnO,
ZnOの原料を用い、ボールミルで混合し、52.5m
ol%Fe2O3−25mol%MnO−22.5mol
%ZnOの組成を有する混合粉末を得た。この混合粉末
を大気中1000℃で仮焼した。この仮焼粉末に0.0
5wt%のTa2O5、0.10wt%のMgOを添加
し、ボールミルにて80時間粉砕し、平均粉末粒径を
1.0μmとした。得られた粉砕粉末にポリビニールア
ルコールをバインダーとして添加し、スプレー造粒を行
った。この造粒粉末を、2トン/cm2の圧力で、外径
25mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダル形状
(A形状)、及び外径10mm、内径6mm、高さ1m
mのトロイダル形状(B形状)に成形し、得られた成形
体を1100℃〜1300℃の温度範囲で、所定の酸素
分圧下、2時間保持し、焼成した。
ZnOの原料を用い、ボールミルで混合し、52.5m
ol%Fe2O3−25mol%MnO−22.5mol
%ZnOの組成を有する混合粉末を得た。この混合粉末
を大気中1000℃で仮焼した。この仮焼粉末に0.0
5wt%のTa2O5、0.10wt%のMgOを添加
し、ボールミルにて80時間粉砕し、平均粉末粒径を
1.0μmとした。得られた粉砕粉末にポリビニールア
ルコールをバインダーとして添加し、スプレー造粒を行
った。この造粒粉末を、2トン/cm2の圧力で、外径
25mm、内径15mm、高さ5mmのトロイダル形状
(A形状)、及び外径10mm、内径6mm、高さ1m
mのトロイダル形状(B形状)に成形し、得られた成形
体を1100℃〜1300℃の温度範囲で、所定の酸素
分圧下、2時間保持し、焼成した。
【0025】表3に、本発明品と比較品の磁気特性と画
像解析装置を用いて、切辺長から求めた平均結晶粒径、
比抵抗、及び密度を示す。
像解析装置を用いて、切辺長から求めた平均結晶粒径、
比抵抗、及び密度を示す。
【0026】
【表3】
【0027】表3から、結晶粒径が15μm以上、30
μm以下、つまり、焼成温度が1300℃以下の範囲の
発明品で、比較品と比べ、優れた磁気特性を示すことが
わかる。つまり、比較品と比べ、粒界層の比抵抗が高
く、結晶粒の比抵抗が小さいことより、μi及び損失係
数であるtanδ/μiを著しく改善している。又、比
較品では、比表面積の大きいB形状で磁気特性が劣化し
ているが、本発明品では、比表面積の大小(試料の大
小)によらず、優れた磁気特性を示していることがわか
る。
μm以下、つまり、焼成温度が1300℃以下の範囲の
発明品で、比較品と比べ、優れた磁気特性を示すことが
わかる。つまり、比較品と比べ、粒界層の比抵抗が高
く、結晶粒の比抵抗が小さいことより、μi及び損失係
数であるtanδ/μiを著しく改善している。又、比
較品では、比表面積の大きいB形状で磁気特性が劣化し
ているが、本発明品では、比表面積の大小(試料の大
小)によらず、優れた磁気特性を示していることがわか
る。
【0028】図1に、本発明品(試料名;18−B)と
比較品Bのμiの周波数特性を示す。実線が本発明品、
破線が比較品の特性を表す。比較品に比べ、μiが高
く、かつ、μiの周波数特性が高周波まで伸びているこ
とを示している。
比較品Bのμiの周波数特性を示す。実線が本発明品、
破線が比較品の特性を表す。比較品に比べ、μiが高
く、かつ、μiの周波数特性が高周波まで伸びているこ
とを示している。
【0029】又、図2に、本発明品(試料名;18−
B)と比較品Bの結晶粒径の分布を示す。実線が本発明
品、破線が比較品の特性を表す。比較品に比べ、結晶粒
の粒度分布がシャープになっていることを示している。
B)と比較品Bの結晶粒径の分布を示す。実線が本発明
品、破線が比較品の特性を表す。比較品に比べ、結晶粒
の粒度分布がシャープになっていることを示している。
【0030】
【発明の効果】実施例で述べたごとく、本発明によれ
ば、52〜53mol%のFe2O3,24〜28mol
%のMnO、残部ZnOとなるMn−Znフェライト
に、副成分として0.01〜0.1wt%のTa2O5及び
0.01〜0.5wt%のMgOを含有する粉末を130
0℃以下の焼成温度で焼成することにより、結晶粒径分
布がシャープで、かつ、その平均結晶粒径が15μm〜
30μmとなる高透磁率の酸化物磁性材料が得られる。
ば、52〜53mol%のFe2O3,24〜28mol
%のMnO、残部ZnOとなるMn−Znフェライト
に、副成分として0.01〜0.1wt%のTa2O5及び
0.01〜0.5wt%のMgOを含有する粉末を130
0℃以下の焼成温度で焼成することにより、結晶粒径分
布がシャープで、かつ、その平均結晶粒径が15μm〜
30μmとなる高透磁率の酸化物磁性材料が得られる。
【0031】本発明法は、従来法に比べ、粒成長が促進
されるため、低温での焼成が可能であり、亜鉛が揮発す
る温度より低温で焼成することが可能である。よって、
埋没等の煩雑な工程を必要としない低コストで優れた材
料を得ることができる。又、粒界層にTa2O5,MgO
の微量添加物が高濃度に析出することにより、粒界層の
高比抵抗が実現され、高透磁率、低損失の酸化物磁性材
料が得られる。以上のことより、高性能、低価格の酸化
物磁性材料を提供することが可能である。
されるため、低温での焼成が可能であり、亜鉛が揮発す
る温度より低温で焼成することが可能である。よって、
埋没等の煩雑な工程を必要としない低コストで優れた材
料を得ることができる。又、粒界層にTa2O5,MgO
の微量添加物が高濃度に析出することにより、粒界層の
高比抵抗が実現され、高透磁率、低損失の酸化物磁性材
料が得られる。以上のことより、高性能、低価格の酸化
物磁性材料を提供することが可能である。
【図1】本発明品(試料名;18−B)と比較品Bのμ
iの周波数特性を示す図。
iの周波数特性を示す図。
【図2】本発明品(試料名;18−B)と比較品Bの結
晶粒径の分布を示す図。
晶粒径の分布を示す図。
Claims (3)
- 【請求項1】 52〜53mol%のFe2O3,24〜
28mol%のMnO、残部ZnOを主成分とするMn
−Zn系フェライトに、副成分として0.01〜0.1w
t%のTa2O5及び0.01〜0.5wt%のMgOを含
有したことを特徴とする高透磁率酸化物磁性材料。 - 【請求項2】 請求項1記載の高透磁率酸化物磁性材料
において、焼成体の平均結晶粒径が15μm以上、30
μm以下であることを特徴とする高透磁率酸化物磁性材
料。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の酸化物磁性材料の
焼成時の焼成温度が1300℃以下であることを特徴と
する高透磁率酸化物磁性材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7296076A JPH09115719A (ja) | 1995-10-18 | 1995-10-18 | 高透磁率酸化物磁性材料及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7296076A JPH09115719A (ja) | 1995-10-18 | 1995-10-18 | 高透磁率酸化物磁性材料及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09115719A true JPH09115719A (ja) | 1997-05-02 |
Family
ID=17828812
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7296076A Pending JPH09115719A (ja) | 1995-10-18 | 1995-10-18 | 高透磁率酸化物磁性材料及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09115719A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005255489A (ja) * | 2004-03-12 | 2005-09-22 | Kyocera Corp | フェライト焼結体とその製造方法及びそれを用いたフェライトコア並びにフェライトコイル |
JP2016044100A (ja) * | 2014-08-22 | 2016-04-04 | Necトーキン株式会社 | フェライト |
-
1995
- 1995-10-18 JP JP7296076A patent/JPH09115719A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005255489A (ja) * | 2004-03-12 | 2005-09-22 | Kyocera Corp | フェライト焼結体とその製造方法及びそれを用いたフェライトコア並びにフェライトコイル |
JP2016044100A (ja) * | 2014-08-22 | 2016-04-04 | Necトーキン株式会社 | フェライト |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040415 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040427 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040921 |