JPH09306718A - フェライト磁性材料とその製造方法 - Google Patents

フェライト磁性材料とその製造方法

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JPH09306718A
JPH09306718A JP8118710A JP11871096A JPH09306718A JP H09306718 A JPH09306718 A JP H09306718A JP 8118710 A JP8118710 A JP 8118710A JP 11871096 A JP11871096 A JP 11871096A JP H09306718 A JPH09306718 A JP H09306718A
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ferrite
magnetic material
calcined
crystal grain
grain size
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JP8118710A
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Yasuyuki Aono
保之 青野
Shinya Matsutani
伸哉 松谷
Shinji Harada
真二 原田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種電子部品に使用されるフェライト磁性材
料において、低温で焼結し、かつ磁気特性の優れたフェ
ライト磁性材料とその製造方法を提供することを目的と
する。 【解決手段】 フェライト仮焼粉の結晶粒径および活性
度に着目し、結晶粒径が0.5μm以下のフェライト仮
焼粉を本焼成して得られることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインダクタンス部
品、電源トランス等の各種電子部品に使用されるフェラ
イト磁性材料とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のフェライト磁性材料の製造方法は
次に述べる方法で製造していた。
【0003】まず結晶粒径が1〜3μm程度のフェライ
トを構成するMnO,ZnO,Fe 23,NiO,Cu
Oなどの酸化物を任意の組成比になるように配合し、そ
れを乾式または湿式で混合して700〜1100℃で仮
焼した後、ボールミル等で粉砕して仮焼粉を作製する。
このときの仮焼粉の粒径はおおむね1〜8μmである。
そして得られた仮焼粉をPVAなどのバインダーを加え
て造粒した後、成形して1100〜1400℃程度の温
度で焼成してフェライトを得るものである。このときM
n−Zn系フェライトでは焼成時の雰囲気が磁気特性に
大きな影響を及ぼすことが知られており、実際の焼成で
は焼成プロファイルを数ブロックに分割して、Mn−Z
nフェライトに適した雰囲気になるようにブロック毎に
異なる酸素分圧に制御している。
【0004】焼成温度を低下させる技術については低融
点酸化物を添加物として加えたものが一般に知られてい
るが、それと組成的なアプローチを組み合わせることに
よって880℃〜950℃で本焼成する(特開平8−1
2336号公報)といった方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】各種電子部品の小型
化、低コスト化が進む中で、フェライトと銀等の融点の
低い異種材料を同時焼成したいというニーズが高まって
いる。しかしながら従来のフェライト磁性材料の製造方
法では、焼成温度を下げることによって焼結が十分に進
行しないため、機械的強度の劣化、磁気特性の著しい劣
化を引き起こし、実用レベルのフェライト焼結体を得る
ことは非常に困難であった。また添加物と組成を制御す
ることで低温化する方法においては酸化度を制御する必
要性があるため、仮焼、造粒といった工程が複雑になる
という問題が存在する。
【0006】そこで、本発明は、低温で焼結し、かつ磁
気特性の優れたフェライト磁性材料とその製造方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、フェライト仮焼粉の結晶粒径および活性度
に着目し、結晶粒径が0.5μm以下のフェライト仮焼
粉を本焼成して得たものである。
【0008】これにより、焼結を促進して機械的強度、
磁気特性の優れたフェライト磁性材料が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、結晶粒径を0.5μm以下のフェライト仮焼粉を本
焼成したものであり、これにより粒子間の反応性が向上
し、焼結を促進して機械的強度、磁気特性の改善および
低温での焼成を可能にするものである。なおここで言う
結晶粒径は全て平均粒径である。
【0010】請求項2に記載の発明は、フェライト磁性
材料としてMn−Zn系フェライト、またはNi−Zn
系フェライトを用いたものであり、これらの系で結晶粒
径を0.5μm以下に制御した場合に特に特性の改善が
見られる。
【0011】請求項3に記載の発明は、Mn−Zn系フ
ェライトの主組成を50≦Fe≦60mol%、15≦
Mn≦45mol%、0≦Zn≦35mol%とするこ
とにより、さらに優れた磁気特性の改善を図ることが可
能である。
【0012】請求項4に記載の発明は、添加物A群とし
てBi23,V25,PbO,B23のうちの少なくと
も一種類以上を0.05〜0.8wt%加えることによ
り、フェライト粒子間の反応をさらに促進し、一層の低
温化、高性能化を図ることが可能となる。
【0013】請求項5に記載の発明は、添加物B群とし
てCaCO3,SiO2,ZrO2,Ta25のうちの少
なくとも一種類以上を0.03〜0.3wt%加えるも
のであり、これらは主に結晶粒界に偏析して異常粒成長
を抑制し、粒径の揃った均一な組織を形成させる効果を
有し、また結晶粒界を高抵抗化する効果を有するために
高周波特性の著しい改善をもたらすものである。
【0014】請求項6に記載の発明は、低融点酸化物で
ある添加物A群から少なくとも一種類以上と、異常粒成
長抑制、結晶粒界高抵抗化の効果を有する添加物B群か
ら少なくとも一種類以上を合わせた添加量が0.08〜
1.0wt%になるように同時に加えることによって磁
気特性と高周波特性を兼備したフェライト磁性材料が得
られるものである。
【0015】請求項7に記載の発明は、フェライト仮焼
粉として共沈材料を用いたものであり、共沈材料は通常
のフェライト仮焼粉と比較すると粒子の活性度が大き
く、共沈材料の結晶粒径を0.5μm以下に制御して成
形、焼成することによって、通常のフェライト仮焼粉に
比べて反応性が向上するために特に低温焼成において磁
気特性のさらなる改善を図ることができる。
【0016】請求項8に記載の発明は、結晶粒径が0.
5μm以下のフェライト仮焼粉を成形して800℃以上
1000℃以下で本焼成するフェライト磁性材料の製造
方法である。0.5μm以下の粒子径は平均粒子径であ
り、フェライト仮焼粉をボールミルにおいて玉石の径を
変えながら所望の粒径になるまで複数回粉砕処理を行う
ことで得られる。焼成温度については1000℃以上で
は粒子径を0.5μm以下にした場合とそうでない場合
の差異が殆どなくなるためで、800℃以下では十分に
焼結させることができない。さらに良好な特性を得るた
めには850℃以上であることがより好ましい。
【0017】請求項9に記載の発明は、媒体撹拌ミルを
用いて結晶粒径を0.5μm以下に粉砕したフェライト
仮焼粉を成形して本焼成するフェライト磁性材料の製造
方法であり、媒体撹拌ミルの大きな粉砕力を利用して結
晶粒径を0.5μm以下になるように粉砕することで結
晶粒径の効果だけでなく、機械的なエネルギーを付与す
る効果も得られるため、非常に活性な粉体が得られるも
のである。
【0018】請求項10に記載の発明は、酸素分圧を4
00ppm以下かつ一定として800℃〜1000℃で
本焼成することを特徴とするフェライト磁性材料の製造
方法であり、Mn−Znフェライトの雰囲気に強く依存
する温度領域が1000℃以上であることに着目し、焼
成プロファイルを数ブロックに分割してブロック毎に異
なる酸素分圧に制御することを不必要にしたものであ
る。これによってMn−Znフェライトを焼成するため
の設備を簡略化することが可能となる。
【0019】次に、本発明の具体的な実施の形態を説明
する。 (実施の形態1)出発原料には結晶粒径が1〜4μmの
MnCO3,ZnO,Fe23を用いた。これをMnC
3/ZnO/Fe23=25/23/52mol%の
比率で配合し、ボールミルで20時間湿式混合した。こ
れを700℃、2hr、大気中で仮焼した。これをボー
ルミルを用いて粉砕時間と玉石の径を変化させて平均粒
径の異なるフェライト仮焼粉を用意した。得られたフェ
ライト仮焼粉の結晶粒径はBETおよびTEMを用いて
確認した。これらのフェライト仮焼粉にポリビニールア
ルコール5%水溶液を粉体重量に対して10wt%加え
て混合し、成形圧1t/cm2で金型成形した。
【0020】この成形体を950℃、4hr、雰囲気中
で焼成を行った。焼結体の寸法はノギスを用いて測定
し、透磁率はインピーダンスアナライザーを用いて10
kHzで測定を行った。これらの結果を(表1)に示
す。
【0021】
【表1】
【0022】焼結性の一つの目安となる焼結体密度はフ
ェライト仮焼粉の結晶粒径に依存し、0.5μm以下の
とき焼結体密度が90%以上となり焼結性が向上してい
ることがわかる。また透磁率も焼結体密度と同様な傾向
を示していることがわかる。
【0023】(実施の形態2)出発原料には結晶粒径が
1〜6μmのMnCO3,ZnO,CuO,NiO,F
23を用いた。これらを(表2)に示した組成になる
ように配合し、ボールミルで20時間湿式混合した。こ
れを850℃、2hr、大気中で仮焼した。これをボー
ルミルを用いて結晶粒径が0.2〜0.5μmになるよ
うに粉砕したフェライト仮焼粉と結晶粒径が1μmにな
るように粉砕したフェライト仮焼粉の二種類を用意し
た。粉砕したフェライト仮焼粉の結晶粒径はBETおよ
びTEMを用いて確認した。これらのフェライト仮焼粉
にポリビニールアルコール5%水溶液を粉体重量に対し
て10wt%加えて混合し、成形圧1t/cm2で金型
成形した。この成形体を1000℃、4hrで焼成を行
った。ただし、Mn−Znフェライトは雰囲気中で焼成
を行い、その他のフェライトについては大気中で焼成を
行った。焼結体の寸法はノギスを用いて測定し、透磁率
はインピーダンスアナライザーを用いて10kHzで測
定を行った。これらの結果を(表3)に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】粒径を0.5μm以下にすることで組成に
関わらず焼結体密度、透磁率共に向上し、これらの系に
おいてフェライト仮焼粉の粒径制御が非常に有効である
ことがわかる。なお本実施の形態2以外の組成について
も有効であることは言うまでもない。
【0027】(実施の形態3)出発原料には結晶粒径が
1〜4μmのMnCO3,ZnO,Fe23を用いた。
これを(表4)に示す比率で配合し、ボールミルで20
時間湿式混合した。これを850℃、2hr、大気中で
仮焼した。これをボールミルを用いて結晶粒径が0.2
〜0.5μmになるように粉砕したフェライト仮焼粉と
結晶粒径が1μmになるように粉砕したフェライト仮焼
粉の二種類を用意した。得られたフェライト仮焼粉の結
晶粒径はBETおよびTEMを用いて確認した。これら
のフェライト仮焼粉にポリビニールアルコール5%水溶
液を粉体重量に対して8wt%加えて混合し、成形圧1
t/cm2で金型成形した。この成形体を1000℃、
4hr、雰囲気中で焼成を行った。焼結体の寸法はノギ
スを用いて測定し、透磁率はインピーダンスアナライザ
ーを用いて10kHzで測定を行った。これらの結果を
(表5)に示す。
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】実施の形態2で述べたようにあらゆる組成
領域で焼結性および磁気特性の改善が見られるが、本実
施の形態3で取り上げた組成領域とそれ以外の組成を比
較検討すると、本実施の形態3の組成領域の方が改善の
度合いが極めて大きく優れた磁気特性を有するフェライ
トコアが得られることがわかる。
【0031】(実施の形態4)出発原料には結晶粒径が
1〜4μmのMnCO3,ZnO,Fe23を用いた。
これらをMnCO3/ZnO/Fe23=24/24/
52mol%の比率で配合し、ボールミルで20時間湿
式混合した。これを750℃、2hr、大気中で仮焼し
た。これをボールミルを用いて結晶粒径が0.2〜0.
5μmになるように粉砕したフェライト仮焼粉を用意し
た。これに(表6)に示した添加物、添加量を加え、ポ
リビニールアルコール5%水溶液を粉体重量に対して1
0wt%加えて混合し、成形圧1t/cm2で金型成形
した。この成形体を900℃、6hr、雰囲気中で焼成
を行った。焼結体の寸法はノギスを用いて測定し、透磁
率はインピーダンスアナライザーを用いて10kHzで
測定を行った。これらの結果を(表6),(表7)に示
す。
【0032】
【表6】
【0033】
【表7】
【0034】添加物を加えたものは0.05wt%以上
でいずれも焼結体密度が著しく改善されていることがわ
かる。しかしながら添加量が0.8wt%以上加えた場
合には磁気特性が劣化し始める。これは不純物量の増加
による影響と一部に異常粒成長が見られるためである。
またここでは添加物は造粒時に加えているが、配合時に
添加しても問題ないのは言うまでもない。
【0035】(実施の形態5)出発原料には結晶粒径が
1〜4μmのMnCO3,ZnO,Fe23を用いた。
これらをMnCO3/ZnO/Fe23=37/8/5
5mol%の比率で配合し、ボールミルで20時間湿式
混合した。これを800℃、2hr、大気中で仮焼し
た。これをボールミルを用いて結晶粒径が0.2〜0.
5μmになるように粉砕したフェライト仮焼粉を用意し
た。これに(表8)に示した添加物、添加量を加え、ポ
リビニールアルコール5%水溶液を粉体重量に対して8
wt%加えて混合し、成形圧3t/cm2で金型成形し
た。この成形体を950℃、5hr、雰囲気中で焼成を
行った。焼結体の寸法はノギスを用いて測定し、透磁率
はインピーダンスアナライザーを用いて100kHz,
500kHz,1000kHzで測定を行い、磁気損失
の測定はB−Hアナライザーを用いてBm=50mTに
おいて100kHz,500kHz,1000kHzで
測定した。焼結体密度を(表8)に、透磁率を(表9)
に、磁気損失を(表10)に示す。
【0036】
【表8】
【0037】
【表9】
【0038】
【表10】
【0039】添加物を加えたものは0.03wt%以上
でいずれも500kHz,1000kHzでの透磁率の
値が共鳴周波数が高周波側にシフトしていることがわか
る。また磁気損失の増加も小さくなっており、高周波特
性が改善されているのがわかる。また添加量が0.03
wt%のとき透磁率が向上するものが見られるが、これ
は結晶粒径が均一になることによるものと考えられる。
添加量が0.3wt%以上加えた場合には磁気特性が劣
化し始めるのは不純物量の増加によるものである。また
ここでは添加物は造粒時に加えているが、配合時に添加
しても問題ないのは言うまでもない。
【0040】(実施の形態6)出発原料には結晶粒径が
1〜4μmのMnCO3,ZnO,Fe23を用いた。
これらをMnCO3/ZnO/Fe23=26/21/
53mol%の比率で配合し、ボールミルで20時間湿
式混合した。これを700℃、2hr、大気中で仮焼し
た。これをボールミルを用いて結晶粒径が0.2〜0.
5μmになるように粉砕したフェライト仮焼粉を用意し
た。これに添加物A群としてBi23を添加物B群とし
てSiO2を(表11)に示したように加え、ポリビニ
ールアルコール5%水溶液を粉体重量に対して10wt
%加えて混合し、成形圧3t/cm2で金型成形した。
この成形体を950℃、5hr、雰囲気中で焼成を行っ
た。焼結体の寸法はノギスを用いて測定し、透磁率はイ
ンピーダンスアナライザーを用いて100kHz,50
0kHzで測定を行った。これらの結果を(表11),
(表12)に示す。
【0041】
【表11】
【0042】
【表12】
【0043】複合添加による効果は、添加物B群(Si
2)の添加量が少ないときは結晶粒成長を均一に促進
する効果があり透磁率の向上に寄与する。一方B群の添
加量が大きくなると、全体としては高周波領域での特性
を改善する効果が大きくなるが、添加物A群(Bi
23)の効果により焼結性が向上しているために磁気特
性も良化する傾向にある。しかしながら添加物A群の添
加量が増大するのに伴い、結晶粒径が大きくなるため高
周波特性は劣化する。したがって使用目的に応じて添加
量を制御する必要性がある。また全体の添加量が1.0
wt%以上になると不純物効果により磁気特性が著しく
劣化するので注意が必要である。なお本実施の形態6に
挙げていない添加物、添加比率についても同様の効果を
示すのは言うまでもない。
【0044】(実施の形態7)出発原料には結晶粒径が
1〜4μmのMnCO3,ZnO,Fe23を用いた。
これらをMnCO3/ZnO/Fe23=24/23/
53mol%の比率で配合し、ボールミルで20時間湿
式混合した。これを800℃、2hr、大気中で仮焼し
た。これをボールミルを用いて結晶粒径が0.2〜0.
5μmになるように粉砕したフェライト仮焼粉を用意し
た。これとは別に共沈法で作製したMn−Znフェライ
トを準備した。共沈材料の組成は前述のフェライト仮焼
粉と同組成である。この共沈材料をボールミルを用いて
フェライト仮焼粉と結晶粒径が等しくなるように粉砕し
た。これらにポリビニールアルコール5%水溶液を粉体
重量に対して10wt%加えて混合し、成形圧1t/c
2で金型成形した。この成形体を900℃、2hr、
雰囲気中で焼成を行った。焼結体の寸法はノギスを用い
て測定し、透磁率はインピーダンスアナライザーを用い
て10kHzで測定を行った。これらの結果を(表1
3)に示す。
【0045】
【表13】
【0046】共沈材料を用いた場合にはフェライト仮焼
粉を用いた場合よりもさらに焼結性が向上しており、そ
の結果として透磁率が向上していることがわかる。なお
本実施の形態7では添加物を加えていないが、添加物を
加えた場合でも同様の結果を示すことは言うまでもな
い。
【0047】(実施の形態8)出発原料には結晶粒径が
1〜4μmのMnCO3,ZnO,Fe23を用いた。
これらをMnCO3/ZnO/Fe23=25/23/
52mol%の比率で配合し、水を分散媒としてボール
ミルで20時間湿式混合した。この混合スラリーをスプ
レードライヤーなどで乾燥させた後、700℃、2h
r、大気中で仮焼した。これをボールミルまたは媒体撹
拌ミルを用いて結晶粒径が0.2〜0.5μmになるよ
うに粉砕したフェライト仮焼粉を用意した。また比較例
として、700℃、2hrで仮焼し、ボールミルで結晶
粒径が1μm程度まで粉砕した仮焼粉を用意した。これ
らにバインダーとしてポリビニールアルコール5%水溶
液を粉体重量に対して10wt%加えて混合し、粒径1
00μm程度に造粒して成形圧1t/cm2で金型成形
した。この成形体を400℃、2hr大気中にて脱脂し
た後、所定の温度、雰囲気で6hr保持して焼成を行っ
た。焼結体の寸法はノギスを用いて測定し、透磁率はイ
ンピーダンスアナライザーを用いて10kHzで測定を
行った。これらの結果を(表14),(表15)に示
す。
【0048】
【表14】
【0049】
【表15】
【0050】0.3μm以下の結晶粒径を作製する手段
として媒体撹拌ミルを用いた場合には、ボールミルを用
いた場合よりも焼結体密度の向上が見られ、焼結性が向
上したことがわかる。これはボールミルを用いた場合に
比べ、粉体に対して機械的なエネルギーが多く付与され
るためであると考えられ、媒体撹拌ミル以外でも同様の
作用を有する装置を使用することによって媒体撹拌ミル
と同様の効果が得られるものと思われる。焼成温度につ
いては、800℃以下であったものは焼結が十分に進行
せず、また1000℃以上では雰囲気を一定にした場合
には酸素分圧のずれによる特性の劣化が顕著になった。
なお雰囲気を制御した場合には、結晶粒径を制御しなか
った試料との間に優位差が明確に現れなかった。一方焼
成雰囲気については1000℃以下で焼成した場合には
保持温度での酸素分圧が400ppm以下であれば昇
温、冷却時の雰囲気を特に切り替える必要がないことが
わかる。
【0051】なお保持温度での最適な酸素分圧に雰囲気
を制御することによってより良好な特性を得ることがで
きる。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、結晶粒径
を0.5μm以下とすることで粒子間の反応性が向上
し、焼結を促進して磁気特性を改善することができる。
また800℃〜1000℃という低温での焼成を可能に
し、さらに焼成プロファイルを数ブロックに分割してブ
ロック毎に異なる酸素分圧に制御することを不必要にす
ることを可能にする効果が得られる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶粒径が0.5μm以下のフェライト
    仮焼粉を本焼成して得たフェライト磁性材料。
  2. 【請求項2】 フェライト磁性材料としてMn−Zn系
    フェライト、またはNi−Zn系フェライトを用いた請
    求項1記載のフェライト磁性材料。
  3. 【請求項3】 Mn−Zn系フェライトの主組成が50
    ≦Fe≦60mol%、15≦Mn≦45mol%、0
    <Zn≦35mol%である請求項1記載のフェライト
    磁性材料。
  4. 【請求項4】 添加物A群としてBi23,V25,P
    bO,B23のうちの少なくとも一種類以上を0.05
    〜0.8wt%加えた請求項1記載のフェライト磁性材
    料。
  5. 【請求項5】 添加物B群としてCaCO3,SiO2
    ZrO2,Ta25のうちの少なくとも一種類以上を
    0.03〜0.3wt%加えた請求項1記載のフェライ
    ト磁性材料。
  6. 【請求項6】 添加物A群から少なくとも一種類以上、
    添加物B群から少なくとも一種類以上を合わせた添加量
    が0.08〜1.0wt%になるように加えた請求項
    1,4または5記載のフェライト磁性材料。
  7. 【請求項7】 フェライト仮焼粉として共沈材料を用い
    た請求項1〜6のいずれかに記載のフェライト磁性材
    料。
  8. 【請求項8】 結晶粒径が0.5μm以下のフェライト
    仮焼粉を成形して800℃以上1000℃以下で本焼成
    するフェライト磁性材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 媒体撹拌ミルを用いて結晶粒径を0.5
    μm以下に粉砕したフェライト仮焼粉を成形して本焼成
    するフェライト磁性材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 酸素分圧を400ppm以下かつ一定
    として800℃〜1000℃で本焼成する請求項8また
    は9に記載のフェライト磁性材料の製造方法。
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