JPH0877637A - 磁気ヘッド駆動装置及び光磁気記録装置 - Google Patents

磁気ヘッド駆動装置及び光磁気記録装置

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JPH0877637A
JPH0877637A JP21277494A JP21277494A JPH0877637A JP H0877637 A JPH0877637 A JP H0877637A JP 21277494 A JP21277494 A JP 21277494A JP 21277494 A JP21277494 A JP 21277494A JP H0877637 A JPH0877637 A JP H0877637A
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magnetic head
current
switch element
auxiliary coil
magneto
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JP21277494A
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Kazunori Ishii
和慶 石井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 逆極性の磁界を発生する磁界発生手段を不要
にして、装置の低消費電力化、小型化及び低コスト化を
図る。 【構成】 磁気ヘッドHの一端に接続された第1のスイ
ッチ素子SW1と、磁気ヘッドHの他端に接続された第
2のスイッチ素子SW2と、第1のスイッチ素子SW1
と磁気ヘッドHの接続点に接続された第1の補助コイル
L1とを備え、記録マーク間に対応した情報信号に対し
ては第1のスイッチ素子SW1をオフ、第2のスイッチ
素子SW2をオンして直流電源Vから第1の補助コイル
L1及び磁気ヘッドHに直列的に電流を供給し、記録マ
ークに対応した情報信号に対しては第1のスイッチ素子
SW1をオン、第2のスイッチ素子SW2をオフして磁
気ヘッドHのインダクタンスと周辺の容量で生じる電流
振動によって磁気ヘッドHに逆方向に電流を供給する。
また、上記磁気ヘッド駆動装置を光磁気記録装置に搭載
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッドに情報信号
により変調された駆動電流を供給する磁気ヘッド駆動装
置、及びその磁気ヘッド駆動装置を使用した光磁気記録
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光磁気記録装置の記録方式として
は、旧データの上に新データを直接重ね書き(オーバラ
イト)することが可能な磁界変調方式が知られている。
図29はその磁界変調方式の光磁気記録装置の構成を示
した概略構成図である。図中1は情報記録媒体であると
ころの光磁気ディスク、1aはこのディスク1に設けら
れた光磁気記録層、2はディスク1を所定の速度で回転
させるためのスピンドルモータである。光磁気ディスク
1の上面には、磁芯にコイルを巻回した磁気ヘッドHが
設けられ、下面には磁気ヘッドHと相対向して光ヘッド
3が設けられている。磁気ヘッドHのコイルには、磁気
ヘッド駆動回路4が接続され、この駆動回路4から磁気
ヘッドHに駆動電流を供給することにより、光磁気ディ
スク1に垂直方向の磁界が印加される。また、光ヘッド
3にはレーザ駆動回路5が接続されており、このレーザ
駆動回路5から光ヘッド3内の半導体レーザに駆動電流
を供給することで、半導体レーザから所定強度の光ビー
ムが射出される。半導体レーザの光ビームは光ヘッド3
内の対物レンズにより記録層1a上に微小スポットに収
束して照射される。なお、レーザ駆動回路5に入力され
る制御信号は、情報の記録時と再生時で光ビームの強度
を記録パワーと再生パワーに切り換えるためのものであ
る。
【0003】ここで、光磁気ディスク1に情報信号を記
録する場合は、磁気ヘッド駆動回路4から磁気ヘッドH
へ情報信号に応じて変調された駆動電流が供給される。
これにより、磁気ヘッドHは情報信号に応じて変調され
た磁界を発生し、光磁気ディスク1に印加する。一方、
レーザ駆動回路5から光ヘッド3の半導体レーザに駆動
電流を供給することにより、光ヘッド3から連続した記
録パワーの光ビームが記録層1a上に照射され、記録層
1aの光ビームの照射部位はキュリー温度以上に加熱さ
れる。これにより、記録層1aの磁化は磁気ヘッドHに
よる印加磁界の方向に対応して上向き、または下向きに
配向する。そして、光磁気ディスク1の回転に伴い、レ
ーザ光の照射部分から遠ざかるに伴って冷却されると、
磁化方向は固定され、2値の情報信号“0”及び“1”
に対応して上向きまたは下向きの磁化方向の磁化領域
(ドメイン)の列が記録され、こうしたドメインの列に
よって一連の情報が記録される。
【0004】また、記録された情報信号を再生する場合
は、レーザ駆動回路5から半導体レーザに記録時よりも
小さい電流が供給され、光ヘッド3から記録パワーより
も低い再生パワーの光ビームが記録層1a上に照射され
る。この場合、記録層1aからの反射光の偏光面はカー
効果によって磁化領域の磁化方向に応じて回転してお
り、この変化を光センサにより電気信号として検出し、
更に再生回路6で所定の信号処理を行うことで2値の情
報信号が再生される。
【0005】ところで、従来からこのような2値の情報
信号の記録方式としてマークポジション記録方式が知ら
れている。このマークポジション記録は、情報信号
“1”をマークとし、このマークの“1”と“1”の間
の“0”の数、即ちマークの間隔を変化させて記録媒体
に情報信号を記録するという方式である。従来、このマ
ークポジション記録方式に使用される磁気ヘッド駆動装
置としては、例えば特開平4−212702号公報に開
示されたものがある。
【0006】図30はこの従来例の磁気ヘッド駆動装置
の構成を示した回路図、図31はその動作を説明するた
めの信号波形図である。図30においては、磁気ヘッド
HにコンデンサCを接続して直列共振回路が構成され、
この直列共振回路に第1のスイッチ素子SW1が接続さ
れている。また、共振用のコンデンサCに並列に十分に
大きいインダクタンスを有する補助コイルLが接続さ
れ、この補助コイルLと直列に第2のスイッチ素子SW
2が接続されている。なお、Vは直流電源、Iは反転回
路である。この駆動装置では、情報信号の“1”に対応
して第1のスイッチ素子SW1をオン、第2のスイッチ
素子SW2をオフするように制御して磁気ヘッドに共振
電流を流すように構成されている。
【0007】また、情報信号の“0”に対応して第1の
スイッチ素子SW1をオフ、第2のスイッチ素子SW2
をオンするように制御して補助コイルLに電源Vから電
流を供給する一方、磁気ヘッドHへの電流は遮断するよ
うにしている。なお、スイッチ素子としてはMOS−F
ETが使用されており、第1のスイッチ素子SW1のゲ
ートには情報信号が直接、第2のスイッチ素子SW2の
ゲートには反転回路Iにより反転された情報信号が与え
られる。
【0008】次に、図30の磁気ヘッド駆動装置の動作
を図31に基づいて説明する。図31(a)は光磁気デ
ィスク1に記録される2値の情報信号。図31(b)、
(c)は各々第1及び第2のスイッチ素子SW1、SW
2のオン、オフの動作状態を示している。また、図31
(d)は磁気ヘッドHに供給される駆動電流の波形を示
しており、情報信号の“1”に対応して一方向の半波の
正弦波状の共振電流が供給され、情報信号“0”に対し
ては駆動電流は遮断される。この時に磁気ヘッドHの発
生する磁界の波形は、駆動電流の波形に対応して図31
(e)のように一方向に変化する。
【0009】ここで、光磁気ディスク1に情報の記録を
行うためには、ディスク1に印加される磁界は情報の
“0”と“1”に対応して各々逆方向、即ちディスク1
に対して上向きまたは下向きに変調されなければならな
い。そのため、図31(f)に示すように−方向の一定
のバイアス磁界HO を他の磁界発生手段(例えば、磁気
ヘッドHに設けられた別のコイルに電流を供給、または
永久磁石)によって発生し、この磁界と磁気ヘッドHの
磁界を図31(g)に示すように合成することにより、
情報信号に対応して上向きまたは下向きに変調された磁
界が生成される。そして、このように合成された磁界を
光磁気ディスク1に印加することで、図31(h)に示
すように情報信号に対応した磁化方向の磁化領域が記録
される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の磁気ヘッド駆動装置では、磁気ヘッドは一方向の磁
界しか発生することができないため、逆方向のバイアス
磁界を発生するための他の磁界発生手段が必要である。
こうした他の磁界発生手段としては、前述のように磁気
ヘッドに設けられた他のコイルに電流を供給して逆極性
の磁界を発生する手段や、永久磁石などがあるが、他の
コイルに電流を供給する手段では、コストの増大、消費
電力の増大という問題があり、永久磁石では、配置スペ
ースの増大や磁界の制御の困難さ、コストの増大などと
いった問題があった。
【0011】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たもので、その目的は逆極性の磁界を発生する磁界発生
手段を不要にし、従来に比べて大幅に装置の低消費電力
化、小型化及び低コスト化を図ることが可能な磁気ヘッ
ド駆動装置及び光磁気記録装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、磁気ヘ
ッドの一端に接続された第1のスイッチ素子と、前記磁
気ヘッドの他端に接続された第2のスイッチ素子と、前
記第1のスイッチ素子と磁気ヘッドの接続点に接続され
た第1の補助コイルとを備え、記録マーク間に対応した
情報信号に対しては前記第1のスイッチ素子をオフ、第
2のスイッチ素子をオンするように制御して直流電源か
ら前記第1の補助コイル及び磁気ヘッドに直列的に電流
を供給し、記録マークに対応した情報信号に対しては前
記第1のスイッチ素子をオン、第2のスイッチ素子をオ
フするように制御して前記磁気ヘッドのインダクタンス
と周辺の容量で生じる電流振動によって、該磁気ヘッド
に逆方向に電流を供給することを特徴とする磁気ヘッド
駆動装置によって達成される。
【0013】また、本発明の目的は、光磁気記録媒体に
光ビームを照射する光ヘッドと、前記記録媒体の光ビー
ム照射部位にバイアス磁界を印加する磁気ヘッドと、記
録すべき情報信号に応じて前記磁気ヘッドを駆動する磁
気ヘッド駆動装置とを有し、前記記録媒体に記録マーク
間の間隔を変化させて情報を記録する光磁気記録装置に
おいて、前記磁気ヘッド駆動装置は、磁気ヘッドの一端
に接続された第1のスイッチ素子と、前記磁気ヘッドの
他端に接続された第2のスイッチ素子と、前記第1のス
イッチ素子と磁気ヘッドの接続点に接続された第1の補
助コイルとを備え、記録マーク間に対応した情報信号に
対しては、前記第1のスイッチ素子をオフ、第2のスイ
ッチ素子をオンするように制御して直流電源から前記第
1の補助コイル及び磁気ヘッドに直列的に電流を供給
し、記録マークに対応した情報信号に対しては前記第1
のスイッチ素子をオン、第2のスイッチ素子をオフする
ように制御して前記磁気ヘッドのインダクタンスと周辺
の容量で生じる電流振動によって該磁気ヘッドに逆方向
に電流を供給することを特徴とする光磁気記録装置によ
って達成される。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。図1は本発明の磁気ヘッド駆動装置
の第1実施例を示した回路図である。図1の磁気ヘッド
駆動装置は図29の光磁気記録装置に磁気ヘッド駆動回
路4として搭載され、光磁気ディスク1上にマークポジ
ション記録方式によって情報の記録が行われる。なお、
以下の実施例においても同様に図29の光磁気記録装置
に搭載されるものとする。図1において、磁気ヘッドH
の端子P1に補助コイルL1と第1のスイッチ素子SW
1が接続され、他方の端子P2には第2のスイッチ素子
SW2が接続されている。補助コイルL1はその定電流
性を利用して磁気ヘッドHの供給電流の切り換えを高速
化するために設けられている。そのため、補助コイルL
1のインダクタンスは磁気ヘッドHのインダクタンスの
2倍以上とするのが望ましい。補助コイルL1の他端は
直流電流Vに接続されている。
【0015】第1のスイッチ素子SW1は端子Tから入
力される情報信号に応じて動作し、情報信号“0”に対
してはオフ、“1”に対してはオンとなるように動作す
る。また、情報信号は反転回路Iによって反転され、第
2のスイッチ素子SW2の制御端子に入力される。従っ
て、第2のスイッチ素子SWは情報信号“0”に対して
はオン、“1”に対してはオフとなるように動作する。
第1、第2のスイッチ素子SW1、SW2としては、M
OS−FETなどのトランジスタを使用することができ
る。
【0016】ここで、情報信号が“0”である場合は、
第1のスイッチ素子SW1はオフ、第2のスイッチ素子
はオンであるので、直流電源Vから補助コイルL1を介
して磁気ヘッドHに端子P1からP2方向に直列的に駆
動電流が供給され、磁気ヘッドHは駆動電流の方向及び
大きさに対応した磁界を発生する。一方、情報信号が
“1”である場合は、第1のスイッチ素子SW1はオ
ン、第2のスイッチ素子はオフであるので、直流電源V
から補助コイルL1と第1のスイッチ素子SW1の経路
に電流が供給される。従って、このときは磁気ヘッドH
に直流電源Vから駆動電流は供給されないのであるが、
この場合、磁気ヘッドHはインダクタンスを有するた
め、そのインダクタンスと浮遊容量や第2のスイッチ素
子SW2のオフ状態の端子間容量などの静電容量との間
で電流振動(共振)を発生し、磁気ヘッドHに逆方向に
電流が供給される。磁気ヘッドHのインダクタンスをL
h 、静電容量をCf とすると、電流振動の周期To は、 To =2π√(Lh ・Cf ) となる。そこで、情報信号“1”の継続時間がTであっ
た場合、T=To となるようにインダクタンスLh と静
電容量Cf を設定すれば、図2に示すように磁気ヘッド
Hにマークの情報信号“1”に対応して逆方向の駆動電
流を供給することができる。
【0017】ここで、図2(a)は情報信号、図2
(b)は磁気ヘッドHに供給される駆動電流の波形であ
り、端子P1からP2の方向に流れる電流を−(マイナ
ス)方向としている。情報信号が“0”である場合は、
磁気ヘッドHに−方向の駆動電流IB が供給される。そ
して、情報信号が“1”に変化すると、前述のように磁
気ヘッドHに電流振動が発生し、この電流振動によって
図2(b)のように磁気ヘッドHに逆方向の駆動電流が
供給される。即ち、電流振動の発生により磁気ヘッドH
への供給電流の方向は反転して+方向となり、最初のピ
ーク値Ip に到達する。このピーク値Ip の大きさはマ
イナス方向の電流IB よりも小さい場合があるが、これ
は磁気ヘッドHや他の回路上の抵抗成分による損失のた
め、この電流振動が減衰振動となることに起因する。記
録に必要な十分な磁界を発生するためには、ピーク値I
p はなるべく大きく、できればIB と同等以上であるこ
とが望ましい。
【0018】次に、磁気ヘッドHの電流は電流振動を開
始してから振動の1周期である時間TO の後、極小値に
達するが、同時に情報信号は再び“0”となり、第1の
スイッチ素子SW1はオフ、第2のスイッチ素子SW2
はオンとなるので、図2(b)のように磁気ヘッドHに
−方向の電流IB が供給される。この場合、情報信号が
“0”となった後も図2(b)のように暫時小さい電流
振動が減衰しながら継続し、電流IB に重畳される場合
がある。これは、磁気ヘッドHのインダクタンスとオフ
状態にある第1のスイッチ素子SW1の端子間容量に起
因する電流振動(共振)である。記録動作に悪影響を与
えないためには、このような電流振動は小さく、また速
やかに減衰する方が望ましい。
【0019】次に、上記磁気ヘッド駆動装置を図29の
光磁気記録装置に搭載して情報を記録するときの動作を
図3に基づいて説明する。図3(a)は情報信号、図3
(b)、(c)は第1及び第2のスイッチ素子SW1、
SW2のオン、オフの動作状態、図3(d)は磁気ヘッ
ドHに供給される駆動電流の波形である。情報信号が
“0”であった場合は、第1のスイッチ素子SW1はオ
フ、第2のスイッチ素子SW2はオンとなるので、磁気
ヘッドHに図3(d)のように−方向の電流が供給され
る。
【0020】従って、このときは磁気ヘッドHは図3
(e)のように−方向にHB の大きさの磁界を発生し、
光磁気ディスク1に印加する。一方、情報信号が“1”
になると、前述のような電流振動によって図3(d)の
ように磁気ヘッドHに+方向の駆動電流Ip が供給され
る。これにより、磁気ヘッドHは図3(e)のようにピ
ーク値をHp とする+方向の磁界を発生し、光磁気ディ
スク1に印加する。ここで、磁界の−及び+方向とは光
磁気ディスク1に垂直な下向き磁界及び上向き磁界のこ
とを意味する。一方、光ヘッド3から光磁気ディスク1
に一定強度の光ビームが照射されており、この光ビーム
の照射と磁界の印加によって光磁気ディスク1の記録層
2に図3(f)に示すように情報信号の“0”に対応し
て下向きの磁化領域、情報信号の“1”に対応して上向
きの磁化領域が記録される。こうして情報信号“1”を
マークとし、マークとマークの間の“0”の間隔を変化
させてマークポジション記録方式による情報信号の記録
が行われる。
【0021】このように本実施例では、記録マークに対
応する情報信号“1”の期間に電流振動を利用して磁気
ヘッドHに逆方向の駆動電流を供給するようにしたの
で、1つの駆動装置でありながらマーク及びマーク間に
対応して上向き、下向きの磁界を発生させることができ
る。従って、磁気ヘッドに別にコイルを設けて電流を供
給したり、永久磁石を設けたりして、逆方向のバイアス
磁界を発生するための磁界発生手段が不要であるので、
装置の消費電力を低減できるばかりでなく、装置の小型
化、低コスト化を図ることができる。
【0022】図4は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第2
実施例を示した回路図である。本実施例では、磁気ヘッ
ドHと並列にコンデンサCが接続されている。コンデン
サCは磁気ヘッドHのインダクタンスと協同して電流振
動を発生させるためのものである。電流振動の周期To
は前述のようにTo =2π√(Lh ・Cf )で与えられ
るが、本実施例では静電容量Cf はコンデンサCの容量
の他に磁気ヘッドHの浮遊容量、オフ状態にある第2の
スイッチ素子SW2の端子間容量を含む合成した容量と
なる。そこで、本実施例では、コンデンサCの容量を調
整することによって、振動周期To と情報信号“1”の
継続時間Tを容易に一致させることができる。従って、
マークに対応するTの時間の大小に拘わらず、それに応
じて駆動電流の供給時間To を調整することができる。
【0023】図5は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第3
実施例、図6は第4実施例を示した回路図である。図5
の実施例では、磁気ヘッドHのインダクタンスと協同し
て電流振動を発生させるためのコンデンサCは磁気ヘッ
ドHの端子P2とグラウンドとの間に接続されている。
また、図6の実施例では、コンデンサCは磁気ヘッドH
の端子P2と直流電源Vとの間に接続されている。いず
れの場合も、コンデンサCは第2のスイッチ素子SW2
がオフの間、即ち情報信号が“1”である間は電流振動
の発生に寄与し、第2のスイッチ素子SW2がオンの
間、即ち情報信号が“0”である間は電流振動の発生に
は寄与しない。従って、図5、図6の実施例において
は、図7(b)に示すように電流振動のピーク値Ip
第1及び第2実施例よりも大きくすることができる。ま
た、図7(a)のように情報信号が再び“0”となった
際には、継続する電流振動を小さくすることができる。
なお、コンデンサCは磁気ヘッドHの端子P2とグラウ
ンド、直流電源Vとの間以外に端子P2と他の定電圧点
との間に接続してもよい。
【0024】図8は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第5
実施例を示した回路図である。本実施例では、磁気ヘッ
ドHと並列にダンピング用の抵抗器Rd が接続されてい
る。即ち、抵抗器Rd は磁気ヘッドHに発生する電流振
動を抑制するためのもので、抵抗Rd を適正な値に設定
することによって、磁気ヘッドHに発生する電流振動を
抑制するというものである。従って、本実施例において
は、抵抗器Rd のダンピング作用によって図9(b)に
示すように情報信号(図9(a))が“1”から“0”
になった際に電流振動を速やかに減衰させることができ
る。但し、抵抗Rd は情報信号が“1”である間にも磁
気ヘッドHに発生する電流振動を抑制するように作用す
るので、電流振動のピーク値Ip が小さくなることがあ
る。そこで、抵抗器Rd の定数を選択する場合は、電流
振動のピーク値Ip が小さくならないように設定しなけ
ればならない。
【0025】図10は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第
6実施例を示した回路図である。本実施例では、磁気ヘ
ッドHと並列にダンピング手段として抵抗器Rd とダイ
オードD1の直列回路が接続されている。ここで、情報
信号が図11(a)のように“0”から“1”へ変わ
り、第2のスイッチ素子SW2がオフし、電流振動が発
生してから磁気ヘッドHの電流が最初のピーク値Ip
達するまでの間、即ち振動の周期To の1/2の間は磁
気ヘッドHの端子P2の電圧は磁気ヘッドHの誘導起電
圧により端子P1よりも高くなる。従って、このときは
ダイオードD1は逆バイアス状態となるので、抵抗器R
d はダンピング手段として作用することはなく、図11
(b)のように電流振動が抑制されることはない。ま
た、情報信号が図11(a)のように“1”から“0”
へ変わり、第1のスイッチ素子SW1がオフ、第2のス
イッチ素子がオンする際には、磁気ヘッドHの端子P1
の電圧は補助コイルL1の誘導起電圧によって端子P2
よりも高くなる。従って、このときは抵抗器Rd とダイ
オードD1に電流が流れ、これらはダンピング手段とし
て作用するので、図11(b)のように電流振動を速や
かに減衰させることができる。
【0026】このように本実施例においては、ダイオー
ドD1のダンピング阻止作用によって電流振動のピーク
値IP が図8の実施例のように低下することはなく、し
かも情報信号が再び“0”となった際には抵抗器Rd
ダンピング作用によって電流振動を速やかに減衰させる
ことができる。従って、ダンピング用の抵抗器Rd を設
けたことによって磁気ヘッドHの駆動電流が減衰するこ
とはなく、しかも不要な電流振動は速やかに減衰させる
ことができる。
【0027】図12は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第
7実施例、図13は第8実施例を示した回路図である。
図12の第7実施例では、ダンピング手段である抵抗器
dは磁気ヘッドHの端子P1とグラウンドとの間に接
続され、図13の第8実施例では磁気ヘッドHの端子P
1と直流電源Vとの間に接続されている。いずれの場合
も、抵抗器Rd は第1のスイッチ素子SW1がオフする
際、即ち情報信号が“1”から“0”に変わる際に端子
P1に誘導電圧が発生した場合にのみダンピング手段と
して作用し、第2のスイッチ素子SW2がオフする際、
即ち情報信号が“0”から“1”に変わる際に端子P2
に誘導電圧が発生した場合には、ダンピング手段として
は作用しない。従って、第7、第8実施例においても、
第6実施例と同様、図11(b)に示すように電流振動
のピーク値Ip は低下することはなく、しかも情報信号
が再び“0”となった際には電流振動を速やかに減衰さ
せることができる。なお、抵抗器Rd は磁気ヘッドHの
端子P1とグラウンド、直流電源Vとの間以外に、端子
P1と他の定電圧点との間に接続してもよい。
【0028】図14は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第
9実施例、図15は第10実施例を示した回路図であ
る。第9、第10実施例においては、ダンピング手段と
して抵抗器Rd とダイオードD2が磁気ヘッドHの端子
P1とグラウンドとの間に接続されている。図14の実
施例では、ダイオードD2と抵抗器Rd は直列に接続さ
れ、図15の実施例ではダイオードD2と抵抗器Rd
並列に接続されている。いずれの場合においても、グラ
ウンドから端子P1へ向かう方向の抵抗値がその逆方向
の抵抗値よりも十分に小さくなっている。従って、この
ようなダンピング手段では、図16(a)のように情報
信号が“1”から“0”に変わった後に、端子P1に発
生する誘導電圧が+の間、即ち磁気ヘッドHの供給電流
が極小に達するまでよりも誘導電圧が−の間、つまり供
給電圧が極小となって以降の方がダンピング効果は大き
くなる。
【0029】そのため、情報信号が再び“0”になった
場合、図16(b)のように磁気ヘッドHの電流は振動
を繰り返すことはなく、速やかに抑制することができ
る。もちろん、図12、図13の実施例と同様に第2の
スイッチ素子SW2がオフする際、即ち情報信号が
“0”から“1”に変わる際に端子P2に誘導電圧が発
生した場合は、ダンピング手段として作用しないので、
電流振動のピーク値Ip が小さくなることはない。この
ように第9、第10実施例においては、電流振動のピー
ク値Ip が低下することはなく、しかも情報信号が
“1”から“0”に変わった際に電流振動は極小値に達
して以降は速やかに抑制されるので、電流振動が繰り返
すことはなく、更に効果的に電流振動を抑制することが
できる。なお、抵抗器Rd とダイオードD2のダンピン
グ手段は、磁気ヘッドHの端子P1とグラウンドとの間
以外に、端子P1と直流電源Vまたは他の定電圧点との
間に接続してもよい。
【0030】図17は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第
11実施例を示した回路図である。この実施例において
は、磁気ヘッドHのインダクタンスと協同して電流振動
を発生させるためのコンデンサCが磁気ヘッドHの端子
P2とグラウンドとの間に接続され、磁気ヘッドHに発
生する電流振動を抑制するためのダンピング用抵抗器R
d が磁気ヘッドHの端子P1とグラウンドとの間に接続
されている。従って、本実施例は、図5、図6の実施例
及び図12、図13実施例の特徴を合わせ持っている。
【0031】本実施例では、第1のスイッチ素子SW1
がオン、第2のスイッチ素子SW2がオフである間、即
ち図18(a)のように情報信号が“1”である間は、
コンデンサCは電流振動の発生に寄与し、磁気ヘッドH
には図18(b)のような電流Ip が供給される。この
ときは、抵抗器Rd はダンピング手段として作用しな
い。また、第1のスイッチ素子SW1がオフ、第2のス
イッチ素子SW2がオンである間、即ち図18(a)の
ように情報信号が“0”である間は、コンデンサCは電
流振動の発生には寄与せず、一方このときは抵抗器Rd
は図18(b)のようにダンピング手段として作用し、
電流振動を減衰させる。
【0032】このように本実施例においても、電流振動
のピーク値Ip を大きくでき、しかも情報信号が再び
“0”となった際には電流振動を速やかに減衰させるこ
とができる。なお、コンデンサCは磁気ヘッドHの端子
P2とグラウンドとの間以外に端子P2と直流電源Vま
たは他の定電圧点との間、抵抗器Rd も端子P1とグラ
ウンドとの間以外に端子P1と直流電源Vまたは他の定
電圧点との間に接続してもよい。更に、図14、図15
の実施例と同様に抵抗器Rd と直列または並列にダイオ
ードを接続してもよい。
【0033】図19は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第
12実施例を示した回路図である。本実施例では、磁気
ヘッドHの端子P2と直流電源Vとの間に第2の補助コ
イルL2が接続されている。ここでは、補助コイルが2
つあるので、L1を第1の補助コイル、L2を第2の補
助コイルという。第2の補助コイルL2は第1の補助コ
イルL1と同様に定電流性を利用して磁気ヘッドHの供
給電流の切換えを高速化するために設けられている。従
って、第2の補助コイルL2のインダクタンスは磁気ヘ
ッドHのインダクタンス以上とするのが望ましい。
【0034】本実施例では、まず図20(a)のように
情報信号が“0”である場合は、第1のスイッチ素子S
W1はオフ、第2のスイッチ素子SW2はオンであるの
で、図20(b)のように直流電源Vから第1の補助コ
イルL1及び磁気ヘッドHの端子P1からP2の方向に
直列的に電流IB が供給される。また、同時に直流電源
Vから第2の補助コイルL2にも電流が供給されるが、
この電流は磁気ヘッドHには供給されない。
【0035】一方、図20(a)のように情報信号が
“1”である場合は、第1のスイッチ素子SW1はオ
ン、第2のスイッチ素子SW2はオフであるので、直流
電源Vから第1の補助コイルL1に電流が供給される
が、この電流は磁気ヘッドHには供給されない。また、
この場合、磁気ヘッドHのインダクタンスとオフ状態に
ある第2のスイッチ素子SW2の端子間容量などの静電
容量との間で電流振動が発生し、図20(b)に破線で
示すように磁気ヘッドHに電流Ip が供給される。更
に、このとき直流電源Vから第2の補助コイルL2と磁
気ヘッドHに端子P2からP1の方向に直列的に電流が
供給される。この電流を図20(b)ではIp ´として
示している。このように情報信号が“1”である間は、
磁気ヘッドHに電流振動と第2の補助コイルL2からの
電流の両方が供給され、図20(b)のように電流振動
のピーク値Ip にIA を加えたIp ´(Ip ´=Ip
A )が供給される。
【0036】なお、電流振動による電流Ip は第2の補
助コイルL2を設けないときの第1実施例と同じ電流で
ある。ここで、電流振動のピーク値Ip は前述のように
情報信号の“0”に対応した−方向の電流IB よりも小
さい場合があるが、記録に必要な十分な磁界を得るには
磁気ヘッドHへの供給電流のピーク値Ip ´はIB と同
等以上であることが望ましい。そこで、第2の補助コイ
ルL2から供給される電流IA をIA ≧|IB |−Ip
となるように設定することによって記録に必要な十分な
磁界を保証することができる(|IB |は電流IB の絶
対値)。つまり電流振動のみによる駆動電流の不足を第
2の補助コイルL2からの電流により補うことができ
る。一方、回路の消費電力の点からはIA を不必要に大
きくすることは避けるべきであるから、IA を|IB
よりも小さく|IB |−Ip に略一致するように設定す
るのが最も望ましい。即ち、第2の補助コイルL2に供
給される電流は第1の補助コイルL1に供給される電流
よりも小さく設定するのが望ましい。
【0037】次に、磁気ヘッドHへの供給電流の安定性
と第1及び第2の補助コイルL1、L2のインダクタン
スの関係について説明する。一般に、コイルのインダク
タンスが大きい程定電流性が向上するので、本実施例に
おいても補助コイルのインダクタンスは十分に大きい方
が磁気ヘッドHの駆動電流を情報信号の周波数等によら
ず一定に保つために望ましい。しかし、一方で定格電流
を一定とすれば、インダクタンスの増大に比例してコイ
ルの大きさも増大するので、装置の小型化の点からイン
ダクタンスを無暗に大きくすることはできない。
【0038】ここで、第1、第2の補助コイルL1、L
2と電流の関係をみると、情報信号の“0”に対応した
−方向の電流IB は第1の補助コイルL1から磁気ヘッ
ドHへ供給され、情報信号“1”に対応した供給電流の
一部IA が第2の補助コイルL2から磁気ヘッドHへ供
給される。この場合、前述のように電流IA の大きさを
B よりも小さくするのが望ましく、またこの時電流I
B の変動が信号記録に与える影響は電流IA よりも大き
いので、電流IB が流れる第1の補助コイルL1のイン
ダクタンスを第2の補助コイルL2のインダクタンスよ
りも大きくして安定性を増すことが望ましい。また、本
願発明者の実験によれば、第2の補助コイルL2のイン
ダクタンスを磁気ヘッドHのインダクタンス以上とすれ
ば、情報信号の周波数等によらずに磁気ヘッドHへの駆
動電流が一定に保たれることを確認した。なお、本実施
例においても、磁気ヘッドHに発生する電流振動を抑制
するためのダンピング手段を付加してもよい。
【0039】図21は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第
13実施例を示した回路図である。本実施例では、第1
の補助コイルL1から磁気ヘッドHへ供給される電流を
より一層安定に保持するために、第1の補助コイルL1
と直流電源Vとの間に電流制御手段CCを設けたもので
ある。電流制御手段CCは直流電源Vから第1の補助コ
イルL1に供給される電流が一定となるよう制御するた
めの電流制御回路である。図22は電流制御手段CCの
一例を示した回路図である。図中Rs は電流検出用の抵
抗器、A1は検出電流を電圧変換して増幅するための差
動増幅器、Vrは基準電圧発生源、A2は差動増幅器A
1の出力電圧と基準電圧Vr の差動を出力する差動増幅
器、Qは差動増幅器A2の出力に基づいて電流を制御す
るためのトランジスタである。電流制御手段CCでは、
第1の補助コイルL1の電流を抵抗器Rs で検出し、差
動増幅器A2ではその検出値に応じてトランジスタQ2
のベース電流を増減することで磁気ヘッドHへの供給電
流が一定になるように制御が行われる。このように本実
施例においては、直流電源Vの電圧の変動や磁気ヘッド
Hなど負荷の温度による変動が生じた場合であっても、
常に第1の補助コイルL1から磁気ヘッドHへ供給され
る電流は一定に保持されるため、安定的な信号記録が可
能である。
【0040】なお、直流電源Vから第2の補助コイルL
2への供給電流についても同様の電流制御手段を設ける
こともできる。しかし、一方でこのような電流制御手段
を設けることは回路規模やコストの増大につながるの
で、図21に示すように第2の補助コイルL2と直流電
源Vとの間に電流制限用の抵抗器R1を設けて代用する
のも効果的である。つまり、第2の補助コイルL2から
磁気ヘッドHへ供給される電流の変動の影響は第1の補
助コイルL1から磁気ヘッドHへ供給される電流の変動
の影響よりも小さいので、抵抗器R1を設けた回路構成
でも実用上信号記録に問題がなく、このことは本願発明
者の実験によっても確認している。また、第1実施例な
どのように第2の補助コイルL2を備えない場合であっ
ても、第1の補助コイルL1と直流電源Vとの間に電流
制御手段を設けてもよいことはもちろんである。
【0041】図23は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第
14実施例、図24は第15実施例を示した回路図であ
る。これらの実施例では、磁気ヘッドHのインダクタン
スによって生じる電流振動の最初のピークの後に情報信
号“1”に対応する方向の電流を保持するための手段が
設けられている。この電流保持手段はダイオードDk
抵抗器Rk の直列回路から成り、図23の実施例ではこ
の直列回路は磁気ヘッドHの端子P2とグラウンドとの
間に接続され、図24の実施例ではこの直列回路は磁気
ヘッドHの端子P2と直流電源Vとの間に接続されてい
る。これらの実施例は、特に情報信号“1”の継続時間
Tがディスク上の記録位置によって変わる方式(例え
ば、ZCAV方式)の光磁気記録装置に効果的である。
【0042】ここで、図23及び図24の実施例では、
図25(a)のように情報信号“0”から“1”へ変わ
ると、図25(b)のように磁気ヘッドHに発生する電
流振動が最初のピーク値Ip に到達するのであるが、そ
の後磁気ヘッドHの端子P2の電圧が−(マイナス)と
なるので、ダイオードDk 及び抵抗器Rk を通して磁気
ヘッドHに電流が供給される。従って、図25(b)の
ように磁気ヘッドHの端子P2からP1方向への電流が
保持され、電流Ip は一定時間磁気ヘッドHに供給され
る。なお、図24の実施例では情報信号が“0”である
場合にも、直流電源Vから電流保持手段、第2のスイッ
チ素子SW2に直列的に電流が供給される。
【0043】このように本実施例においては、電流保持
手段を設けたことにより磁気ヘッドHへの駆動電流を情
報信号“1”の継続時間に対応してほぼピーク値Ip
保持することができる。但し、図23の実施例のように
電流保持手段をグラウンドに接続した場合は、電流が完
全には保持されずにピーク値Ip が徐々に低下すること
もある。ここで、前述した電流振動の周期To は必ずし
も情報信号“1”の継続時間Tに一致する必要はなく、
o ≦Tなる関係を満たせば、例えばZCAV方式の装
置のようにTが可変である装置に対処することができ
る。なお、電流保持手段は磁気ヘッドHの端子P2とグ
ラウンド、直流電源Vとの間以外に、端子P2と他の定
電圧点との間に接続してもよい。
【0044】図26は本発明の磁気ヘッド駆動装置の第
16実施例を示した回路図である。本実施例では、磁気
ヘッドHのインダクタンスによって生じる電流振動の最
初のピークの後に情報信号“1”に対応する方向の電流
を保持するための手段として磁気ヘッドHの端子P2と
直流電源Vとの間に第3のスイッチ素子SW3とダイオ
ードDk の直列回路が設けられている。ダイオードDk
は逆流を阻止するためのものである。第3のスイッチ素
子SW3の動作は第1のスイッチ素子SW1と同じで、
情報信号が“0”の時にはオフ、“1”の時にはオンと
なるように制御される。従って、情報信号が“0”であ
る場合、第3のスイッチ素子SW3はオフであるので、
磁気ヘッドHには第3のスイッチ素子SWを通して電流
は供給されず、情報信号が“1”である場合は、第3の
スイッチ素子SW3はオンするので、直流電源Vから電
流が供給され、磁気ヘッドHの端子P2からP1方向へ
の電流が一定時間保持される。
【0045】このように本実施例においても、図23、
図24の実施例と同様に磁気ヘッドHへの駆動電流を情
報信号“1”の継続時間に対応してほぼピーク値Ip
保持することができる。なお、本実施例においては、図
24の実施例とは異なり、情報信号が“0”である場合
は、第3のスイッチ素子SW3はオフであるので、直流
電源Vから不要な電流が供給されることはなく、回路の
消費電力を低減することができる。また、第3のスイッ
チ素子SW3と直列に供給電流を制限するための抵抗器
を設けてもよい。
【0046】図27は本発明の磁気ヘッド駆動装の置1
7実施例を示した回路である。本実施例では、第2の補
助コイルL2を設けた図19の実施例に、更に図26の
第3のスイッチ素子SW3とダイオードDk からなる電
流保持手段を設けたものである。従って、本実施例は、
図19と図26の実施例の特徴を合わせ持っている。こ
こで、図28(a)のように情報信号が“1”になる
と、第1のスイッチ素子SW1はオン、第2のスイッチ
素子SW2はオフし、磁気ヘッドHに対して、電流振動
のピーク値Ip に第2の補助コイルL2から供給される
電流IA を加えたIp ´が供給される。
【0047】この場合、第3のスイッチ素子SW3はオ
ンするのであるが、このオンの直後は端子P2の電位が
上昇しているので、第3のスイッチSW3の経路は遮断
された状態となっている。従って、第3のスイッチ素子
SW3のオンの直後は磁気ヘッドHに第2の補助コイル
L2から電流LA が供給されるのみで、第3のスイッチ
素子SW3の経路からは電流は供給されない。そして、
端子P2の電位が下がると、第3のスイッチ素子SW3
から磁気ヘッドHに電流が供給され、図28(b)のよ
うに電流Ip ´が一定時間供給される。このように本実
施例では、磁気ヘッドHに大きな駆動電流を供給でき、
しかもこの電流を情報信号“1”に対応して一定時間保
持することができる。なお、図27ではダイオードDK
を設けて電流の逆流を阻止しているが、第3のスイッチ
素子SW3のオンのタイミングを第1のスイッチ素子S
W1よりも遅らせることによっても電流の逆流を阻止す
ることができる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、次の効果
がある。 (1)記録マークに対応する情報信号の期間に電流振動
を利用して磁気ヘッドに逆方向の駆動電流を供給するこ
とにより、記録マーク、記録マーク間に対応して上向き
または下向きのバイアス磁界を得ることができる。従っ
て、逆方向のバイアス磁界を得るための磁界発生手段が
不要であるので、従来に比べて大幅に装置の消費電力
化、小型化、低コスト化を図ることができる。 (2)磁気ヘッドのインダクタンスと協同して電流振動
を発生させるためのコンデンサを設けたことにより、磁
気ヘッドに電流振動によって供給する駆動電流を大きく
でき、これによって記録に必要な十分な磁界を得ること
ができる。 (3)電流振動を抑制するためのダンピング手段を設け
たことにより、不要な電流振動を速やかに減衰させて信
号記録への悪影響を防止することができる。 (4)第2の補助コイルを設けて磁気ヘッドに所定電流
を供給するようにしたので、電流振動による電流の不足
分を第2の補助コイルからの駆動電流で補うことがで
き、記録に必要な十分な磁界を保証することができる。 (5)磁気ヘッドに供給される電流振動の最初のピーク
の後に駆動電流を所定時間保持するための電流保持手段
を設けたことにより、例えばZCAV方式のように記録
マークの長さが記録媒体の記録位置によって変わる記録
装置にも対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ヘッド駆動装置の第1実施例を示
した回路図である。
【図2】図1の実施例の情報信号と磁気ヘッド電流を示
した信号波形図である。
【図3】図1の磁気ヘッド駆動装置を光磁気記録装置に
搭載して情報記録を行った場合の動作を説明するための
図である。
【図4】本発明の第2実施例を示した回路図である。
【図5】本発明の第3実施例を示した回路図である。
【図6】本発明の第4実施例を示した回路図である。
【図7】図5、図6の実施例の情報信号と磁気ヘッド電
流を示した信号波形図である。
【図8】本発明の第5実施例を示した回路図である。
【図9】図8の実施例の情報信号と磁気ヘッド電流を示
した信号波形図である。
【図10】本発明の第6実施例を示した回路図である。
【図11】図10の実施例の情報信号と磁気ヘッド電流
を示した信号波形図である。
【図12】本発明の第7実施例を示した回路図である。
【図13】本発明の第8実施例を示した回路図である。
【図14】本発明の第9実施例を示した回路図である。
【図15】本発明の第10実施例を示した回路図であ
る。
【図16】図14、図15の実施例の情報信号と磁気ヘ
ッド電流を示した信号波形図である。
【図17】本発明の第11実施例を示した回路図であ
る。
【図18】図17の実施例の情報信号と磁気ヘッド電流
を示した信号波形図である。
【図19】本発明の第12実施例を示した回路図であ
る。
【図20】図19の実施例の情報信号と磁気ヘッド電流
を示した信号波形図である。
【図21】本発明の第13実施例を示した回路図であ
る。
【図22】図21の実施例に用いられる電流制御手段の
具体例を示した回路図である。
【図23】本発明の第14実施例を示した回路図であ
る。
【図24】本発明の第15実施例を示した回路図であ
る。
【図25】図23、図24の実施例の情報信号と磁気ヘ
ッド電流を示した信号波形図である。
【図26】本発明の第16実施例を示した回路図であ
る。
【図27】本発明の第17実施例を示した回路図であ
る。
【図28】図27の実施例の情報信号と磁気ヘッド電流
を示した信号波形図である。
【図29】磁界変調方式の光磁気記録装置の構成を示し
た図である。
【図30】従来のマークポジション記録方式の記録装置
に使用される磁気ヘッド駆動装置を示した回路図であ
る。
【図31】図30の磁気ヘッド駆動装置の動作を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 光磁気ディスク 1a 記録層 2 スピンドルモータ 3 光ヘッド 4 磁気ヘッド駆動回路 5 レーザ駆動回路 6 再生回路 H 磁気ヘッド SW1 第1のスイッチ素子 SW2 第2のスイッチ素子 SW2 第3のスイッチ素子 L1 第1の補助コイル L2 第2の補助コイル I 反転回路 C コンデンサ Rd ダンピング用の抵抗器 R1 、Rk 抵抗器 D1、D2、Dk ダイオード CC 電流制御手段

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ヘッドの一端に接続された第1のス
    イッチ素子と、前記磁気ヘッドの他端に接続された第2
    のスイッチ素子と、前記第1のスイッチ素子と磁気ヘッ
    ドの接続点に接続された第1の補助コイルとを備え、記
    録マーク間に対応した情報信号に対しては前記第1のス
    イッチ素子をオフ、第2のスイッチ素子をオンするよう
    に制御して直流電源から前記第1の補助コイル及び磁気
    ヘッドに直列的に電流を供給し、記録マークに対応した
    情報信号に対しては前記第1のスイッチ素子をオン、第
    2のスイッチ素子をオフするように制御して前記磁気ヘ
    ッドのインダクタンスと周辺の容量で生じる電流振動に
    よって該磁気ヘッドに逆方向に電流を供給することを特
    徴とする磁気ヘッド駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記磁気ヘッドのインダクタンスと協同
    して電流振動を発生させるためのコンデンサを有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記コンデンサは、前記磁気ヘッドと並
    列、または磁気ヘッドと第2のスイッチ素子が接続され
    た接続点とグラウンド、直流電源、または他の定電圧点
    との間に接続されていることを特徴とする請求項2に記
    載の磁気ヘッド駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記磁気ヘッドの電流振動を抑制するた
    めのダンピング手段を有することを特徴とする請求項1
    に記載の磁気ヘッド駆動装置。
  5. 【請求項5】 前記ダンピング手段は、前記磁気ヘッド
    と並列、または磁気ヘッドと第1のスイッチ素子が接続
    された接続点とグラウンド、直流電源、または他の定電
    圧点との間に接続されていることを特徴とする請求項4
    に記載の磁気ヘッド駆動装置。
  6. 【請求項6】 前記ダンピング手段は、抵抗素子、また
    は抵抗素子と整流素子との直列または並列回路からなる
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の磁気ヘッド
    駆動装置。
  7. 【請求項7】 前記磁気ヘッドと第2のスイッチ素子が
    接続された接続点と直流電源との間に、前記磁気ヘッド
    に電流振動による電流に加えて所定電流を供給するため
    の第2の補助コイルが接続されていることを特徴とする
    請求項1に記載の磁気ヘッド駆動装置。
  8. 【請求項8】 前記第1の補助コイルと第2の補助コイ
    ルの電流のうち少なくとも第1の補助コイルに供給され
    る電流を一定値に保持するための制御手段を有すること
    を特徴とする請求項1または7に記載の磁気ヘッド駆動
    装置。
  9. 【請求項9】 前記第2の補助コイルに供給される電流
    は、前記第1の補助コイルに供給される電流よりも小さ
    く設定されていることを特徴とする請求項7または8に
    記載の磁気ヘッド駆動装置。
  10. 【請求項10】 前記第2の補助コイルのインダクタン
    スは、前記磁気ヘッドのインダクタンス以上で、前記第
    1の補助コイルのインダクタンスよりも小さく設定され
    ていることを特徴とする請求項7に記載の磁気ヘッド駆
    動装置。
  11. 【請求項11】 前記磁気ヘッドに電流振動によって電
    流を供給する際に、該電流振動の最初のピークの後にこ
    の電流を所定時間保持するための電流保持手段を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド駆動装
    置。
  12. 【請求項12】 前記電流保持手段は、前記磁気ヘッド
    と第2のスイッチ素子が接続された接続点と、直流電源
    またはグラウンドとの間に接続された抵抗素子と整流素
    子の直列回路からなることを特徴とする請求項11に記
    載の磁気ヘッド駆動装置。
  13. 【請求項13】 前記電流保持手段は、前記磁気ヘッド
    と第2のスイッチ素子が接続された接続点と直流電源と
    の間に接続された第3のスイッチ素子と整流素子の直列
    回路からなることを特徴とする請求項11に記載の磁気
    ヘッド駆動装置。
  14. 【請求項14】 前記磁気ヘッドに電流振動による電流
    に加えて所定電流を供給するための第2の補助コイル
    と、前記磁気ヘッドに電流振動によって電流を供給する
    際に、該電流振動の最初のピークの後にこの電流を所定
    時間保持するための電流保持手段とを有することを特徴
    とする請求項1に記載の磁気ヘッド駆動装置。
  15. 【請求項15】 光磁気記録媒体に光ビームを照射する
    光ヘッドと、前記記録媒体の光ビーム照射部位にバイア
    ス磁界を印加する磁気ヘッドと、記録すべき情報信号に
    応じて前記磁気ヘッドを駆動する磁気ヘッド駆動装置と
    を有し、前記記録媒体に記録マーク間の間隔を変化させ
    て情報を記録する光磁気記録装置において、前記磁気ヘ
    ッド駆動装置は、磁気ヘッドの一端に接続された第1の
    スイッチ素子と、前記磁気ヘッドの他端に接続された第
    2のスイッチ素子と、前記第1のスイッチ素子と磁気ヘ
    ッドの接続点に接続された第1の補助コイルとを備え、
    記録マーク間に対応した情報信号に対しては前記第1の
    スイッチ素子をオフ、第2のスイッチ素子をオンするよ
    うに制御して直流電源から前記第1の補助コイル及び磁
    気ヘッドに直列的に電流を供給し、記録マークに対応し
    た情報信号に対しては前記第1のスイッチ素子をオン、
    第2のスイッチ素子をオフするように制御して前記磁気
    ヘッドのインダクタンスと周辺の容量で生じる電流振動
    によって該磁気ヘッドに逆方向に電流を供給することを
    特徴とする光磁気記録装置。
  16. 【請求項16】 前記磁気ヘッドのインダクタンスと協
    同して電流振動を発生させるためのコンデンサを有する
    ことを特徴とする請求項15に記載の光磁気記録装置。
  17. 【請求項17】 前記コンデンサは、前記磁気ヘッドと
    並列、または磁気ヘッドと第2のスイッチ素子が接続さ
    れた接続点とグラウンド、直流電源、または他の定電圧
    点との間に接続されていることを特徴とする請求項16
    に記載の光磁気記録装置。
  18. 【請求項18】 前記磁気ヘッドの電流振動を抑制する
    ためのダンピング手段を有することを特徴とする請求項
    15に記載の光磁気記録装置。
  19. 【請求項19】 前記ダンピング手段は、前記磁気ヘッ
    ドと並列、または磁気ヘッドと第1のスイッチ素子が接
    続された接続点とグラウンド、直流電源、または他の定
    電圧点との間に接続されていることを特徴とする請求項
    18に記載の光磁気記録装置。
  20. 【請求項20】 前記ダンピング手段は、抵抗素子、ま
    たは抵抗素子と整流素子との直列または並列回路からな
    ることを特徴とする請求項18または19に記載の光磁
    気記録装置。
  21. 【請求項21】 前記磁気ヘッドと第2のスイッチ素子
    が接続された接続点と直流電源との間に、前記磁気ヘッ
    ドに電流振動による電流に加えて所定電流を供給するた
    めの第2の補助コイルが接続されていることを特徴とす
    る請求項15に記載の光磁気記録装置。
  22. 【請求項22】 前記第1の補助コイルと第2の補助コ
    イルの電流のうち少なくとも第1の補助コイルに供給さ
    れる電流を一定値に保持するための制御手段を有するこ
    とを特徴とする請求項15または21に記載の光磁気記
    録装置。
  23. 【請求項23】 前記第2の補助コイルに供給される電
    流は、前記第1の補助コイルに供給される電流よりも小
    さく設定されていることを特徴とする請求項21または
    22に記載の光磁気記録装置。
  24. 【請求項24】 前記第2の補助コイルのインダクタン
    スは、前記磁気ヘッドのインダクタンス以上で、前記第
    1の補助コイルのインダクタンスよりも小さく設定され
    ていることを特徴とする請求項21に記載の光磁気記録
    装置。
  25. 【請求項25】 前記磁気ヘッドに電流振動によって電
    流を供給する際に、該電流振動の最初のピークの後にこ
    の電流を所定時間保持するための電流保持手段を有する
    ことを特徴とする請求項15に記載の光磁気記録装置。
  26. 【請求項26】 前記電流保持手段は、前記磁気ヘッド
    と第2のスイッチ素子が接続された接続点と、直流電源
    またはグラウンドとの間に接続された抵抗素子と整流素
    子の直列回路からなることを特徴とする請求項25に記
    載の光磁気記録装置。
  27. 【請求項27】 前記電流保持手段は、前記磁気ヘッド
    と第2のスイッチ素子が接続された接続点と直流電源と
    の間に接続された第3のスイッチ素子と整流素子の直列
    回路からなることを特徴とする請求項25に記載の光磁
    気記録装置。
  28. 【請求項28】 前記磁気ヘッドに電流振動による電流
    に加えて所定電流を供給するための第2の補助コイル
    と、前記磁気ヘッドに電流振動によって電流を供給する
    際に、該電流振動の最初のピークの後にこの電流を所定
    時間保持するための電流保持手段とを有することを特徴
    とする請求項15に記載の光磁気記録装置。
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