JP3126084B2 - 磁気ヘッド駆動回路 - Google Patents

磁気ヘッド駆動回路

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JP3126084B2
JP3126084B2 JP05169253A JP16925393A JP3126084B2 JP 3126084 B2 JP3126084 B2 JP 3126084B2 JP 05169253 A JP05169253 A JP 05169253A JP 16925393 A JP16925393 A JP 16925393A JP 3126084 B2 JP3126084 B2 JP 3126084B2
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Description

【発明の詳細な説明】
[発明の目的]
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録媒体に対し
て消去と記録を同時に行うオーバライト(重ね書き)可
能にした光磁気記録装置に用いられる磁気ヘッド駆動回
路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、消去と記録を同時に行うオーバラ
イトを可能にした光磁気記録装置として、図7に示すよ
うな磁界変調方式のものが知られている。かかる装置で
は、垂直磁化膜711とディスク基板712から構成さ
れる光磁気ディスク71に対向させて半導体レーザ72
を配置し、半導体レーザ72から照射された一定のレー
ザ光をレンズ73を介して垂直磁化膜711に集光させ
て該垂直磁化膜711の温度を、そのキュリー温度以上
に上昇させ、一方、磁界変調回路74により磁気ヘッド
75に発生する磁界を記録信号に応じて変調し、光磁気
ディスク71の磁化膜711に磁界の変化に応じた磁気
パターンを残すことにより情報の記録を行うようにして
いる。なお、図面中、751、752は、磁気ヘッド7
5を構成するコアおよびコイル、76は光磁気ディスク
71を回転させるスピンドルモータである。
【0003】このような磁界変調方式により記録を行う
場合、光磁気ディスク71の垂直磁化膜711の磁化を
反転することになるが、これに必要な磁界は、垂直磁化
膜712の膜特性に依存し、一般に数百Oe以上の大き
な磁界が必要である。また、高密度記録をするために
は、ヘッド発生磁界の立ち上がり時間も十分に短くする
必要がある。
【0004】そして、この条件で磁気ヘッド75を定電
圧駆動すると、磁気ヘッド75のコイル752のインダ
クタンス分により、駆動する記録周波数に比例してイン
ピーダンスが増加するようになり、磁気ヘッドを高速に
駆動するほどに高電圧が必要となって、駆動回路の損失
が増大するという問題点があった。
【0005】そこで、このような問題点を解決するため
に、特開昭63−94406号公報に開示される補助コ
イルの定電流効果を利用した磁気ヘッド駆動回路が考え
られている。
【0006】図8は、かかる磁気ヘッド駆動回路を示す
もので、電源81に補助コイル82とスイッチ83の直
列回路と補助コイル84とスイッチング素子85の直列
回路を並列接続し、補助コイル82とスイッチング素子
83の接続点と補助コイル84とスイッチ85の接続点
の間に磁気ヘッドコイル86を接続するようにしてい
る。この場合、補助コイル82、84は、磁気ヘッドコ
イル84のインダクタンスより十分大きなインダクタン
スを有していて、スイッチング素子83、85を記録信
号に応じてON・OFFすることにより、スイッチング
素子83、85がONの間に補助コイル82、84にエ
ネルギーを蓄え、スイッチング素子83、85がOFF
になると、補助コイル82、84の定電流効果により、
磁気ヘッドコイル86両端に逆起電圧を交互に誘起し、
記録信号に応じて高電圧を磁気ヘッドコイル86に交互
に印加するるようになっている。
【0007】このような磁気ヘッド駆動回路によれば、
補助コイル82、84に蓄えたエネルギーで磁気ヘッド
コイル86の電流を反転できるため、電源81の電圧が
低い場合でも、低消費電力で電流の立ち上がり時間を短
くした高密度記録が実現できることになる。
【0008】ところが、このような補助コイル82、8
4を用いたものでは、ON状態のスイッチング素子8
3、85に流れている電流は、磁気ヘッドコイル86に
流れる電流の約2倍程度となるため、ON状態での抵抗
の大きなスイッチング素子を用いた場合には、回路損失
が大きくなるという問題点があった。
【0009】即ち、このような磁気ヘッド駆動回路にお
いては、例えば、スイッチング素子83がON状態にあ
るとすると、このスイッチング素子83には、磁気ヘッ
ドコイル86に流れる電流と、電源81よりスイッチン
グ素子83に接続された補助コイル82を通して流れる
電流の和の電流が流れるため、補助コイル82のインピ
ーダンスが磁気ヘッドコイル86のインピーダンスより
十分大きいと、磁気ヘッドコイル86に流れる電流と補
助コイル82を通して電源81より流れ込む電流とほぼ
等しくなり、スイッチング素子83には、磁気ヘッドコ
イル86電流の約2倍の電流が流れることになる。
【0010】このことから、例えばスイッチング素子と
して、ON状態で比較的抵抗の大きくなる高速のMOS
−FETを使用すると、さらに回路損失が増大するとい
う問題点があった。
【0011】このような問題点を解決するために、実開
平5−15102号明細書に開示されるように磁気ヘッ
ドに2つのコイルをバイファイラに巻いて、補助コイル
を1つにした回路構成により、スイッチング素子に流れ
る電流を減らした磁気ヘッド駆動回路も考えられてい
る。
【0012】図9は、このようなバイファイラ巻の磁気
ヘッドコイルを用いた磁気ヘッド駆動回路の一例を示す
もので、電源91に補助コイル92と抵抗93の並列回
路を直列に接続するとともに、この並列回路と電源91
の間に、バイファイラに巻かれた磁気ヘッド90の2つ
のコイル94、95にそれぞれスイッチング素子96、
97を直列接続した回路を挿入するようにしている。
【0013】このような磁気ヘッド駆動回路によれば、
上述した図8に示す磁気ヘッド駆動回路では、一対のス
イッチング素子をON、OFFすることで磁気ヘッドコ
イルに流れる電流の向きを切り換えヘッド発生磁界を反
転するのに対して、バイファイラ巻きされた2つのコイ
ルを用いることにより、スイッチング素子96、97の
交互のON、OFFにより2つのコイル94、95のう
ちの1方にのみに電流を流すことにより磁界の反転を行
うようになる。
【0014】なお、図9に示す回路例において、補助コ
イル92に並列に接続される抵抗93は、ダンピング抵
抗でヘッドコイル電流の過度電流を抑制するものであ
る。しかして、バイファイラ巻きの磁気ヘッド90を用
いた回路では、スイッチング素子96または97に流れ
る電流は、全て磁気ヘッド90に流れる電流であり、こ
れは磁気ヘッド90のコイル電流と等しい電流がスイッ
チング素子96または97に流れることになるので、図
8で述べた回路に比較して、スイッチング素子に流れる
電流を半減できることになる。このことから、例えばス
イッチング素子として、ON状態で抵抗の大きくなる高
速のMOS−FETを用いた場合においても、回路損失
を低減することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなバイファイラ・コイルを用いた磁気ヘッド駆動回路
では、バイファイラ巻きとなっている2つのコイルは磁
気ヘッドコアで磁気的に結合しているため、記録周波数
を上げていくと、OFFしているスイッチング素子の端
子間容量によるスイッチのリーク電流等の影響により、
ヘッドコイル間で干渉が起きたりして、ヘッドコイル反
転後のヘッドコイル電流が一定にならないため、磁気ヘ
ッドで発生する磁界も反転後に一定とならずに、安定し
た磁界変調記録ができないという問題点があった。
【0016】図10は、このような問題点を説明するた
めのもので、ここでは図9と同一部分には、同符号を付
している。この場合、図示のようにスイッチング素子9
6がOFF、スイッチング素子97がONになった瞬間
を考えると、補助コイル92を通してヘッドコイル94
に一定に流れていた電流は、スイッチ切り換えにより、
ヘッドコイル95に流れるため、スイッチ切り替わりの
瞬間は、補助コイル92とヘッドコイル94、95の接
続点の電位は補助コイルの逆起電圧e3 により、電源電
圧V0 の数倍の高い電圧が発生する。
【0017】この時、同様にヘッドコイル94にも逆起
電圧e1 が発生するが、スイッチング素子96の端子間
静電容量C1 とヘッドコイル94のインダクタンスL1
との相互作用により、ヘッドコイル94には、リンギン
グを伴う振動電流iが流れる。ここで、ヘッドコイル9
4と95は、磁気ヘッド90のコアにより磁気的に結合
しているため、ヘッドコイル94で発生した振動電流i
はヘッドコア内で磁束変化となって、ヘッドコイル95
に電圧を誘起する。
【0018】従って、ヘッドコイル95にはヘッドコイ
ル94の干渉により、スイッチ切り換え直後にリンギン
グを伴う電流が重畳され、磁気ヘッドコアより発生する
記録媒体上に印加される磁界は、図11(f)に示すよ
うに磁界反転時直後に変動することになる。
【0019】また、スイッチング素子96の端子間静電
容量C1 の相互作用により、リンギング電流iが発生す
ると、ヘッドコイル94とヘッドコイル95の接続点の
電圧V1 は、ヘッドコイル94と補助コイル92の逆起
電圧が降下した後も一定とならずに0V近傍で振動す
る。このため、ヘッドコイル94、95に流れる励磁電
流I1 またはI2 も、反転後に一定とならずに図11
(d)、(e)に示すように徐々に低下する。この結
果、磁気ヘッド90の発生磁界の極性反転後に磁界を一
定に維持することができない。
【0020】このように、ヘッドコイル94、95に対
して、これらに対応するスイッチング素子96、97の
端子間静電容量との相互作用があると、磁気ヘッド90
から発生する磁界も、極性反転後に一定とならないた
め、十分に大きな磁界振幅を与えないと、記録媒体を磁
化するのに必要な磁界Hw を図11(f)に示すように
下回ることが発生して、記録媒体に十分な磁界変調記録
ができないという問題点があった。
【0021】そこで、磁気ヘッド90で極性反転後に変
動する分も含めた記録に十分な磁界を与えようとする
と、ヘッド駆動回路の損失が大きくなる問題が生じる。
一方、前記リンギング電流iを抑制するには、補助コイ
ル92に並列にダンピング抵抗93を接続するのも有効
と考えられているが、抑制効果を上げるためにダンピン
グ抵抗93の抵抗値Rを小さくすると、補助コイル92
による逆起電圧e3 が低下して、ヘッドコイル94、9
5に流れる電流の変化速度が小さくなるため、図11
(g)に示すように、ヘッド発生磁界の反転速度が遅く
なって、高密度記録時の媒体の磁化パターンエッジが不
鮮明になる問題があった。また、ダンピング抵抗93の
抵抗値の低下は、補助コイル90の定電流効果の低減を
意味するので、ヘッドコイル94、95に流れる電流
も、一定にならずに、図11(g)に示すように、磁界
反転後の磁界が変動する。
【0022】従って、この場合もヘッドより媒体に十分
な記録磁界を与えようとすると、磁界の変動分を含めた
記録磁界が必要となり、ヘッド駆動回路の損失が増大す
る問題があった。
【0023】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、磁気ヘッドより記録媒体に印加される磁界の極性を
高速で反転でき、反転後も一定にすることが可能な低損
失の磁気ヘッド駆動回路を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、直流電源と、
光磁気記録媒体に記録磁界を与える少なくとも2つのコ
イルを有する磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドのコイルと
前記直流電源の間に接続される補助コイルと、前記磁気
ヘッドのコイルと前記直流電源の間に2つ接続されると
ともにそれぞれの交互のオン・オフ動作により前記磁気
ヘッドの少なくとも2つのコイルに記録信号より変調さ
れた互いに反対極性の記録磁界を発生させるスイッチン
グ素子と、前記2つのスイッチング素子にそれぞれ並列
接続されるコンデンサと、前記2つのスイッチング素子
より前記磁気ヘッドの少なくとも2つのコイルに流れる
電流を阻止する電流阻止手段により構成されている。
【0025】また、本発明は、直流電源と、光磁気記録
媒体に記録磁界を与える少なくとも2つのコイルを有す
る磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドのコイルと前記直流電
源の間に接続される補助コイルと、前記磁気ヘッドのコ
イルと前記直流電源の間に2つ接続されるとともにそれ
ぞれの交互のオン・オフ動作により前記磁気ヘッドの少
なくとも2つのコイルに記録信号より変調された互いに
反対極性の記録磁界を発生させる端子間静電容量を有す
るスイッチング素子と、前記2つのスイッチング素子よ
り前記磁気ヘッドの少なくとも2つのコイルに流れる電
流を阻止する電流阻止手段により構成されている。
【0026】
【作用】この結果、本発明によれば、スイッチング素子
に並列に接続されたコンデンサの充電電荷または端子間
静電容量の働きにより、電流阻止手段によりスイッチン
グ素子より磁気ヘッドのコイルに流れる電流を阻止する
ことができ、オフとなっているスイッチング素子の端子
間静電容量とヘッドコイルの相互作用をほぼ完全に抑制
でき、磁気ヘッドのコイル間の干渉を減らすことができ
るようになる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従い説明す
る。 (第1実施例)図1は、第1実施例の概略構成を示して
いる。図において、101は直流電源で、この直流電源
101の正極端子を補助コイル102の一方端子に接続
し、この補助コイル102の他方端子をバイファイラ巻
きされた磁気ヘッド103の2つのヘッドコイル103
a、103bのそれぞれの一方端子に接続している。こ
の磁気ヘッド103は、図示しない光磁気記録媒体に記
録磁界を印加するためのヘッドコア103cに電流方向
に対して互いに逆向きで、巻き数の相等しい2つのヘッ
ドコイル103a、103bを巻装するようにしてい
る。
【0028】磁気ヘッド103のヘッドコイル103a
の他方端子を図示極性のダイオード104を介してトラ
ンジスタ105のコレクタに接続し、コイル103bの
他方端子を図示極性のダイオード106を介してトラン
ジスタ107のコレクタに接続している。
【0029】トランジスタ105は、エミッタを直流電
源101の負極端子に接続し、ベースを抵抗108を介
してデータ入力端子109に接続し、また、トランジス
タ107は、エミッタを直流電源101の負極端子に接
続し、ベースを抵抗110、インバータ111を介して
データ入力端子109に接続している。
【0030】そして、トランジスタ105のエミッタ、
コレクタ間にコンデンサ112を接続し、トランジスタ
107のエミッタ、コレクタ間にコンデンサ113を接
続している。
【0031】次に、以上のように構成した実施例の動作
を図2に示すタイムチャートを用いて説明する。いま、
図2(a)に示すような記録信号が与えられたとする
と、2つのトランジスタ105、107は、同図
(b)、(c)のように記録信号に応じてオンオフす
る。この時、図示していないスイッチング制御回路によ
り、トランジスタ105は記録信号が1の時オン、0の
時オフし、トランジスタ107は記録信号が1の時オ
フ、0の時オンとなるように動作する。即ち、2つの2
つのトランジスタ105、107は、記録信号に応じて
交互にオンオフする。
【0032】この時、トランジスタ105のオンの時の
み、磁気ヘッド103のヘッドコイル103aには、直
流電源101より補助コイル102を介して電流が流
れ、トランジスタ107がオンの時のみ磁気ヘッド10
3のヘッドコイル103bには、直流電源101より補
助コイル102を介して電流が流れる。
【0033】ここでヘッドコイル103a、103b
は、電流方向に対して互いに反対向きに巻かれ、巻き数
は各々等しく設定されているので、これらヘッドコイル
103aまたは103bに同じ大きさの電流を流すと、
ヘッドコア103cに発生する磁界は、振幅が等しく互
いに反対極性となる。
【0034】これにより、記録信号に応じてトランジス
タ105、107が交互にオンオフすると、磁気ヘッド
103のコア103cからは、記録信号に応じて極性の
変化する磁界が記録媒体に印加されることになる。
【0035】ここで、補助コイル102は、インダクタ
ンスをヘッドコイル103a、103bよりも数倍〜数
十倍と十分に大きくすることにより、高周波信号で定電
流素子として動作するため、トランジスタ105、10
7のオンオフによらず補助コイル102には直流電源1
01よりほぼ一定の電流が流れる。
【0036】従って、トランジスタ105がオン、トラ
ンジスタ107がオフする瞬間または、トランジスタ1
05がオフ、トランジスタ107がオンする瞬間、即ち
補助コイル102を流れる電流がヘッドコイル103a
から103bまたはヘッドコイル103bから103a
に切り替わる瞬間に、これらヘッドコイル103aおよ
び103bの接続点の電圧V1 は、補助コイル102の
発生する逆起電圧e1により、電源102の電圧V0 の
数倍の電圧Vp1 となり、図2(d)に示すような変化
をする。
【0037】ここで、トランジスタ105がオフ、トラ
ンジスタ107がオンになった瞬間を考えると、オフと
なっているトランジスタ105に接続されているヘッド
コイル103aも、電流が遮断されるので、電源電圧よ
りも高い逆起電圧e2 が発生し、この電圧e2 と補助コ
イル102で発生する逆起電圧e1 と電源101の電圧
V0 との和のe1 +e2 +V0 からなる高い電圧がダイ
オード104を介してコンデンサ112に印加されるこ
とになる。
【0038】これで、コンデンサ112には電荷がチャ
ージされ、これにともない電圧は降下するが、コンデン
サ112にチャージされた電荷は、ダイオード104を
逆バイアスにするので、トランジスタ105がオンとな
るまで放電されず、コンデンサ112の両端電圧V2 は
ほぼ一定の電圧に維持され、図2(e)のように変化す
る。
【0039】一方、トランジスタ105がオン、トラン
ジスタ107がオフの場合も同様の動作をするので、コ
ンデンサ113の端子電圧V3 も同様に図2(f)のよ
うに変化する。
【0040】このようにして、トランジスタ105、1
07に並列に接続されたコンデンサ112、113の働
きにより、ダイオード104、106の逆バイアス状態
は、これらダイオード104、106に接続したトラン
ジスタ105、107がオフしている間は維持されるこ
とになる。
【0041】従って、オフとなっているトランジスタ1
05、107の端子間静電容量とヘッドコイル103
a、103bとの相互作用は、ダイオード104、10
69およびコンデンサ112、113によりほぼ完全に
阻止される。
【0042】ここで、コンデンサ112および113の
静電容量C1 、C2 は、大きくする程、図2(e)、
(f)に示す一定部分の電圧Vc1 、Vc2 が高くなっ
て、ダイオードの逆バイアス電圧を高くしてダイオード
の電流阻止効果を大きくできるが、静電容量が大き過ぎ
ると、補助コイル102およびヘッドコイル103a、
103bの発生する逆起電圧を電荷として吸収する作用
も大きくなり、トランジスタ105、107の切り替わ
り時にヘッドコイル103a、103bに印加される電
圧が低下して、これらヘッドコイル103a、103b
に流れる電流立ち上がり速度が低下してしまうおそれが
あるため、記録周波数帯域に応じて最適な値に設定する
必要がある。
【0043】例えば、記録周波数が5〜10MHz程度
であるとすれば、コンデンサ112および113の最適
なC1 、C2 の値は、100pF前後となる。従って、
このようにすれば、信号記録時において、オフとなって
いるトランジスタ105、107の端子間静電容量と、
磁気ヘッド103のヘッドコイル103a、103bの
インダクタンスとの相互作用によるリンギング電流の発
生を阻止できることになり、2つのヘッドコイル103
a、103b間の電気的な干渉を無くすことができる。
【0044】また、これらヘッドコイル103a、10
3bとトランジスタ105、107との相互作用が無く
なることにより、ヘッドコイル103a、103bと補
助コイル102の接続点V1 の電位も図2(d)に示す
ようにトランジスタ105、107の切り替わり後は安
定となるので、2つのヘッドコイル103a、103b
に流れる電流も各々図2(g)、(h)に示すようにト
ランジスタ105、107の切り替わり後は速やかに一
定にすることができる。
【0045】従って、磁気ヘッド103から媒体上に印
加される記録磁界Hは、図2(i)のように極性反転後
に一定となり、安定した磁界変調記録が可能となる。な
お、トランジスタ105、107の端子間静電容量以外
に回路の補助コイル102などの回路中に寄生容量が存
在すると、トランジスタ105、107の切り替わり時
には、この寄生容量とインダクタやヘッドコイルによる
相互作用による小さなリンギング電流が発生する場合が
ある。
【0046】このような場合は、従来と同様に補助コイ
ル102に並列にダンピング抵抗114を接続すると、
リンギング電流抑制効果が得られるが、本第1実施例の
場合には、ダイオード104、106とコンデンサ11
2、113の作用により、すでに主なリンギング電流発
生源対策をしているので、回路中の寄生容量とヘッドコ
イルとのリンギング電流は従来回路より周波数帯域が高
く、振幅も小さいため、ダンピング抵抗114の抵抗値
Rは従来回路より一桁以上大きい値にできる。これによ
り、補助コイル102の逆起電圧が低下してヘッドコイ
ル103a、103bの電流変化速度が低下することは
無く、ヘッド磁界の反転速度が低下することはない。ま
た、ダンピング抵抗値を記録周波数により調整する必要
もなくなる。
【0047】以上述べたように第1実施例によれば、磁
気ヘッドより記録媒体に印加する磁界の反転速度を落と
さずに、磁界の反転直後の振動を抑制することができる
ため、高密度記録においても、記録媒体に記録パターン
エッジの鋭い安定した記録が可能となる。また、反転後
の磁界が速やかに一定となるため、記録媒体には最低必
要な磁界振幅を与えれば良く、磁界の不安定部分による
磁界の不足部分を補うために余分な磁界振幅を与える必
要もないため、従来回路よりも駆動回路の損失を減らす
ことができる。
【0048】(第2実施例)図3は、本発明の第2実施
例の概略構成を示すもので、上述の図1と同一部分には
同符号を付している。
【0049】この場合、トランジスタ105、107に
代えて、MOS−FET115、116を接続してい
る。そして、この時の記録周波数が5〜10MHz程度
であるとすると、最適なコンデンサ容量C1 、C2 の値
は、100pF前後となることから、MOS−FET1
15、116のソース・ドレイン間の静電容量を利用し
て、コンデンサ112、113に置き換えている。ま
た、ダイオード104、106に代えて高速応答の良い
ファースト・リカバリのダイオード117、118を接
続している。
【0050】ここで、ダイオードとしては高速応答の良
いファースト・リカバリのダイオード117、118を
用いることにより、これらダイオード117、118の
逆バイアス時の等価静電容量は、MOS−FET11
5、116のドレイン・ソース間静電容量より小さく、
しかもダイオード等価静電容量は、逆バイアス電圧が大
きい程、小さくなるので、MOS−FET115、11
6のドレイン・ソース間静電容量より一桁ほど小さくす
ることが可能になる。
【0051】しかして、このように構成すると、MOS
−FET115、116のスイッチングにより数MHz
以上の記録周波数帯域の高周波信号に対しても動作可能
となり、しかも、オフとなっているMOS−FET11
5、116は、そのソース・ドレイン間の静電容量でダ
イオード117、118により電気的にヘッドコイル1
03a、103bを含む回路から切り離されることにな
り、これらヘッドコイル103a、103bとMOS−
FET115、116との相互作用を無くすことができ
るようになる。これにより、上述した図2(d)に示す
ようにヘッドコイル103a、103bと補助コイル1
02の接続点V1 の電位をMOS−FET115、11
6の切り替わり後に安定なものにでき、2つのヘッドコ
イル103a、103bに流れる電流も各々図2
(g)、(h)に示すようにMOS−FET115、1
16切り替わり後に速やかに一定にすることができ、磁
気ヘッド103から媒体上に印加される記録磁界Hも図
2(i)のように極性反転後に一定となり、安定した磁
界変調記録が可能となる。
【0052】(第3実施例)図4は、本発明の第3実施
例の概略構成を示すもので、上述の図1と同一部分には
同符号を付している。
【0053】この場合、磁気ヘッド103に代え、磁気
ヘッド119として巻かれた2つのヘッドコイル119
a、119bの巻き数が異なるものを接続し、また、ト
ランジスタ105、107に代えて、MOS−FET1
20、121を接続し、これにMOS−FET120、
121に並列に接続されるコンデンサ122、123に
静電容量が異なるものを接続している。
【0054】すなわち、第3実施例では、2つのヘッド
コイル119a、119bの巻き数を変えることによ
り、磁気ヘッド119より発生する変調磁界に一定のバ
イアス磁界を重畳するようにしている。
【0055】図4において、磁気ヘッド119に巻かれ
たコイル119aおよび119bの巻き数を、各々N1
、N2 とすると、ヘッドコイル119aにより媒体上
に印加される磁界の大きさをH1 、ヘッドコイル119
bより媒体上に印加される磁界の大きさをH2 は、H1
∞N1 ・I1 、H2 ∞N2 ・I2 の関係が成り立つ。
【0056】ここで、補助コイル102のインダクタン
スが磁気ヘッド119のコイル119aおよび119b
のインダクタンスより十分に大きい場合には、インダク
タンスのの定電流作用により、補助コイル102は、ヘ
ッドコイル119aおよび119bの巻き数の差異によ
るインダクタンスの差異によらず、一定の電流を流し込
もうとする。
【0057】この結果、ヘッドコイル119aおよび1
19bに流れる電流I1 、I2 は、図5(a)、(b)
に示すようにほぼ等しくなり、磁気ヘッド119より媒
体上に印加される磁界H1 、H2 の大きさは、巻き数の
差の分大きさが異なり、図5(c)で、示すように一定
のバイアス磁界Hbが重畳された変調磁界となる。
【0058】一方、記録媒体上には、光ピックアップの
集光レンズを駆動するアクチュエータ等の周辺電磁部品
からの漏洩磁界が印加されているので、この漏洩磁界を
打ち消すようにバイアス磁界Hbの方向と大きさを設定
すれば、記録媒体上の磁界は、図5(d)のようにな
り、変調磁界の消去方向または書き込み方向の磁界が等
しくなるので、漏洩磁界により、記録に必要な磁界強度
を下回ることもなく、安定な磁界変調記録ができる。
【0059】特に、第3実施例を用いると、ヘッドコイ
ル119aおよび119bの巻き数をアンバランスにし
た場合にも、各コイル119aおよび119bで発生す
る逆起電圧の大きさに応じて、MOS−FET120、
121に並列に接続されるコンデンサ122、123の
静電容量C1 、C2 の値を各々最適に設定することによ
り、各々のヘッドコイル119aおよび119bで発生
する逆起電圧を個別に制御することが可能となるので、
ヘッドコイル119aおよび119bとMOS−FET
120、121の端子間静電容量との相互作用によるリ
ンギング電流の発生を抑制する効果を高めることができ
る。
【0060】また、2つのヘッドコイル119aおよび
119bの巻き数が異なる場合も、磁界反転後の磁界が
速やかに一定になるので、一定バイアスの重畳も必要最
小量で最適に印加できる。
【0061】なお、第3実施例においては、2つのコン
デンサ122、123が用いられているが、先に述べた
ように、記録周波数によっては、MOS−FET12
0、121の端子間静電容量と置き換えることができる
ので、ヘッドコイル119a、119bの巻き数の差異
に相当する静電容量の差の容量を有するコンデンサ1個
を、MOS−FET120、121のいずれか一方に付
加するだけでも良い。
【0062】(第4実施例)図6は、本発明の第4実施
例の概略構成を示すもので、上述の図1と同一部分には
同符号を付している。
【0063】この場合、第4実施例では、基本的な回路
構成は、第1実施例と同じであるが、補助コイルが、磁
気ヘッドコアに巻かれている点が異なる。図において、
130は補助コイルで、磁気ヘッド131のコア131
cに巻かれている。ここで、ヘッドコイル131a、1
31bの回りに形成される磁気回路を通る変調された磁
束φ1 は、補助コイル130と鎖交しないようにし、反
対に補助コイル130により形成される磁気回路を流れ
る磁束φ2 は、ヘッドコイル131a、131bと鎖交
するようにコア形状およびびコイル位置などを工夫す
る。
【0064】例えば、磁気ヘッド131のコア131c
形状を図6に示すようなにすれば、コイル131a、1
31bを補助コイル130よりも小さく形成することに
より実現する。
【0065】また、補助コイル130の巻き数をヘッド
コイル131a、131bの巻き数より増やして、磁気
コア131cの補助コイル130の巻かれている部分の
断面積をヘッドコイル131a、131bが巻かれてい
る部分の断面積よりも大きくすることにより、補助コイ
ル130のインダクタンスは、ヘッドコイル131a、
131bのインダクタンスの数倍〜数十倍にすることが
できる。
【0066】このように、補助コイル130を磁気ヘッ
ド131のコア131c上に形成することにより、補助
コイル130に流れる一定電流により発生する一定磁界
Hbをバイアス磁界として、ヘッドコイル131a、1
31bより発生する変調磁界H1 、H2 に重畳すること
ができる。
【0067】これにより、補助コイル130より発生す
る磁界を、記録媒体上に印加される光ピックアップ等か
らの漏洩磁界と、極性を反対にして同程度の磁界強度と
することにより、漏洩磁界の影響を補正することができ
る。
【0068】また、補助コイル130と磁気ヘッド13
1のコア131cを共通化することにより、駆動回路の
簡素化が図れる上、補助コイル130とヘッドコイル1
31a、131bを近接することにより、回路線上に発
生する寄生インダクタンスの影響を減らして、回路の高
周波化が容易になる。
【0069】また、磁気ヘッド130のコア131cの
形状や補助コイル130の巻き数および位置を調整する
ことにより、バイアス磁界の大きさを自由に設定できる
ため、第3実施例のような2つのヘッドコイルの巻き数
を変えることによるバイアス印加方法に比べ、ヘッドコ
イルのインダクタンスによる制限がなく、比較的大きな
漏洩磁界も打ち消すことができる。
【0070】また、補助コイル130をヘッドコイル1
31a、131bとを同じ磁気コア131c上に巻いた
場合には、補助コイル130に、ほぼ一定の電流が流れ
るので、一定バイアス磁界を発生させることができるも
のの、トランジスタ105、107の切り替わり時に、
補助コイル130に僅かな電流の変化が発生するため、
この電流変動によりコア131c内に発生した磁束変化
がヘッドコイル131a、131bにも誘起されて、ヘ
ッドコイル131a、131bとトランジスタ105、
107の端子間容量と相互作用によるリンギング電流の
発生を助長して大きなリンギング電流を引き起こすこと
が考えられるが、ここでも、ダイオード104、106
と、トランジスタ105、107に並列に接続されたコ
ンデンサ112、113の働きにより、トランジスタ1
05、107の端子間容量をヘッドコイル131a、1
31bから電気的に切り離すので、補助コイル130を
ヘッドコイル131a、131bと同一の磁気コア13
1cに巻いても、補助コイル130の磁束変化がヘッド
コイル131a、131bに及ぼす影響を小さくして、
バイアス磁界を重畳しても、安定した変調磁界を記録媒
体に印加できるようになる。なお、本発明は上記実施例
にのみ限定されず、要旨を変更しない範囲で適宜変形し
て実施できる。
【0071】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
スイッチング素子に並列に接続されたコンデンサの充電
電荷または端子間静電容量の働きにより、電流阻止手段
によりスイッチング素子より磁気ヘッドのコイルに流れ
る電流を阻止することができ、オフとなっているスイッ
チング素子の端子間静電容量とヘッドコイルの相互作用
をほぼ完全に抑制でき、磁気ヘッドのコイル間の干渉を
減らすことができるので、磁気ヘッドコイルに変化速度
の大きな励磁電流を流して、高磁気記録媒体を高速に磁
化反転できるとともに、励磁電流の変化直後に安定した
一定電流を流して、磁化反転後の磁界を速やかに一定に
することができ、信号再生時のノイズやジッタを小さく
した磁界変調記録が低損失で可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の概略構成を示す図。
【図2】第1実施例の動作を説明するためのタイムチャ
ート。
【図3】本発明の第2実施例の概略構成を示す図。
【図4】本発明の第3実施例の概略構成を示す図。
【図5】第3実施例の動作を説明するためのタイムチャ
ート。
【図6】本発明の第4実施例の概略構成を示す図。
【図7】オーバライトを可能にした光磁気記録装置の一
例を示す図。
【図8】従来の磁気ヘッド駆動回路の一例を示す図。
【図9】従来の磁気ヘッド駆動回路の他の例を示す図。
【図10】図9に示す磁気ヘッド駆動回路の問題点を説
明するための図。
【図11】図9に示す磁気ヘッド駆動回路の動作を説明
するためのタイムチャート。
【符号の説明】
101…直流電源、102…補助コイル、103…磁気
ヘッド、103a、103b…ヘッドコイル、103c
…ヘッドコア、104、106…ダイオード、105、
107…トランジスタ、108、111…抵抗、109
…データ入力端子、112、113…コンデンサ、11
4…ダンピング抵抗、115、116…MOS−FE
T、117、118…ダイオード、119…磁気ヘッ
ド、119a、119b…ヘッドコイル、120、12
1…MOS−FET、122、123…コンデンサ、1
30…補助コイル、131…磁気ヘッド、131a、1
31b…ヘッドコイル、131c…コア。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流電源と、 光磁気記録媒体に記録磁界を与える少なくとも2つのコ
    イルを有する磁気ヘッドと、 前記磁気ヘッドのコイルと前記直流電源の間に接続され
    る補助コイルと、 前記磁気ヘッドのコイルと前記直流電源の間に2つ接続
    されるとともにそれぞれの交互のオン・オフ動作により
    前記磁気ヘッドの少なくとも2つのコイルに記録信号よ
    り変調された互いに反対極性の記録磁界を発生させるス
    イッチング素子と、 前記2つのスイッチング素子にそれぞれ並列接続される
    コンデンサと、 前記2つのスイッチング素子より前記磁気ヘッドの少な
    くとも2つのコイルに流れる電流を阻止する電流阻止手
    段とを具備したことを特徴とする磁気ヘッド駆動回路。
  2. 【請求項2】 直流電源と、 光磁気記録媒体に記録磁界を与える少なくとも2つのコ
    イルを有する磁気ヘッドと、 前記磁気ヘッドのコイルと前記直流電源の間に接続され
    る補助コイルと、 前記磁気ヘッドのコイルと前記直流電源の間に2つ接続
    されるとともにそれぞれの交互のオン・オフ動作により
    前記磁気ヘッドの少なくとも2つのコイルに記録信号よ
    り変調された互いに反対極性の記録磁界を発生させる端
    子間静電容量を有するスイッチング素子と、 前記2つのスイッチング素子側より前記磁気ヘッドの少
    なくとも2つのコイルに流れる電流を阻止する電流阻止
    手段とを具備したことを特徴とする磁気ヘッド駆動回
    路。
  3. 【請求項3】 前記2つのスイッチング素子にそれぞれ
    コンデンサを並列接続したことを特徴とする請求項2記
    載の磁気ヘッド駆動回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH065307U (ja) * 1992-06-18 1994-01-21 河村電器産業株式会社 屋外設置用分電ボックスのガラス窓構造

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