JPH0872727A - 衝撃吸収式ステアリング装置用シャフト - Google Patents

衝撃吸収式ステアリング装置用シャフト

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JPH0872727A
JPH0872727A JP6215495A JP21549594A JPH0872727A JP H0872727 A JPH0872727 A JP H0872727A JP 6215495 A JP6215495 A JP 6215495A JP 21549594 A JP21549594 A JP 21549594A JP H0872727 A JPH0872727 A JP H0872727A
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誠一 森山
Yasuo Matsui
安雄 松井
Kiyoshi Sadakata
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    • F16F7/126Units with a telescopic-like action as one member moves into, or out of a second member against the action of shear pins; one member having protuberances, e.g. dimples, ball bearings which cause the other member to deform
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アウターシャフト11インナーシャフト12
の結合部の耐熱性を確保し、しかもコラプス荷重の低減
を図る。更に、大きなコラプス荷重を要する時間を短縮
する。 【構成】 アウターシャフト11内周面の雌セレーショ
ン溝13と、インナーシャフト12外周面の雄セレーシ
ョン溝14とを係合させる。インナーシャフト12の外
周面に、雄セレーション溝14の谷部15に整合させて
凹部16を設け、この凹部16に鋼球17を挿入する。
そしてこの鋼球17の一部を、雌セレーション溝13の
山部の頂部18に食い込ませる。雄セレーション溝14
の一部を切除して平坦部19を設け、鋼球17により押
し潰された頂部18と雄セレーション溝14との摩擦係
合を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係る衝撃吸収式ステア
リング装置用シャフトは、自動車のステアリング装置に
組み込んで、ステアリングホイールの動きをステアリン
グギヤに伝達する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】自動車用操舵装置に於いて、ステアリン
グホイールの動きをステアリングギヤに伝達する為、図
5に示す様な機構が使用されている。後端部にステアリ
ングホイール1を固定したステアリングシャフト2はス
テアリングコラム3の内側に、回転のみ自在に支持して
いる。このステアリングコラム3はインスツルメントパ
ネル21の下面に、上部、下部両ブラケット4、5によ
り固定されている。上記ステアリングシャフト2の下端
部で、上記ステアリングコラム3の下端開口から突出し
た部分には、第一の自在継手6を介して、中間シャフト
7の上端部を連結している。更に、この中間シャフト7
の下端部は、第二の自在継手8を介して、ステアリング
ギヤ(図示せず)の入力軸9に連結されている。この様
に構成される為、ステアリングホイール1の動きは、ス
テアリングコラム3を挿通したステアリングシャフト
2、第一の自在継手6、中間シャフト7、第二の自在継
手8を介してステアリングギヤの入力軸9に伝達され、
車輪に舵角を付与する。
【0003】ところで、この様に構成されるステアリン
グ機構に於いて、衝突時に運転者を保護する為、ステア
リングコラム3、ステアリングシャフト2、中間シャフ
ト7を、衝撃に伴って全長が縮まる衝撃吸収式のものと
する事が、一般的に行なわれている。この様な目的で使
用される衝撃吸収式ステアリング装置用シャフトとして
従来から、例えば、特開平2−286468号公報、或
は実公昭58−51096号公報に記載された構造が知
られている。ところが、これら各公報に記載された構造
のうち、特開平2−286468号公報に記載された構
造は、アウターシャフトとインナーシャフトとの結合支
持を合成樹脂のみで行なっている為、耐熱性が不足す
る。又、実公昭58−51096号公報に記載された構
造は、雌セレーション溝の谷部の内側面に対して、各鋼
球がそれぞれ2個所で当接しており、衝突時にはこの2
個所位置を塑性変形させつつ、アウターシャフトとイン
ナーシャフトとの相対的変位を許容する構造としている
為、衝撃吸収式ステアリング装置用シャフトの全長を縮
める為に要する力(所謂コラプス荷重)が大きくなりが
ちである。コラプス荷重が大きくなると、衝突事故の
際、衝突によるステアリングギヤの後退が途中で吸収さ
れず、ステアリングホイール1が後方に押されたり、或
はステアリングシャフト2の姿勢を変化させ、運転者の
身体がステアリングホイールに衝突する事に伴ってこの
ステアリングホイールに加わる前向きの衝撃が吸収され
ず、ステアリングホイールに衝突した運転者の体に大き
な衝撃が加わり、運転者に重大な障害を及ぼし易くなる
為、好ましくない。
【0004】この様な問題を解決する構造として実願平
4−18149号(実開平5−35542号)のマイク
ロフィルムには、図6〜8に示す様な構造が記載されて
いる。先ず、図6〜7はこの公報に記載された構造の第
1例を示している。この衝撃吸収式ステアリング装置用
のシャフト10は、アウターシャフト11とインナーシ
ャフト12とを軸方向に亙る相対的変位自在に組み合わ
せる事で、軸方向に亙る衝撃力が加わった場合に全長が
縮まる様に構成している。このうちのアウターシャフト
11は、全体を円管状とされており、一端部内周面に雌
セレーション溝13を形成している。又、インナーシャ
フト12は、全体を円杆状とされており、一端部外周面
に、上記雌セレーション溝13と係合する雄セレーショ
ン溝14を形成している。
【0005】上記インナーシャフト12の一端部外周面
で、前記雄セレーション溝14の谷部15に対応する部
分には凹部16を形成し、この凹部16内に硬質部材で
ある鋼球17を挿入している。そして、前記雌セレーシ
ョン溝13と雄セレーション溝14とを係合させる事
で、アウターシャフト11とインナーシャフト12とを
組み合わせると共に、前記鋼球17の一部を、前記雌セ
レーション溝13の山部の頂部18に食い込ませてい
る。即ち、図6〜7に示したシャフト10の場合、イン
ナーシャフト12の一端部外周面に形成した凹部16に
挿入された鋼球17の一部が、アウターシャフト11の
内周面に形成した雌セレーション溝13の山部の頂部1
8に食い込む事で、アウターシャフト11とインナーシ
ャフト12とが互いに結合される。この様に、アウター
シャフト11とインナーシャフト12との結合を鋼球1
7により行なう為、前述の結合支持を合成樹脂のみで行
なった構造に比べて結合部の耐熱性が十分となり、使用
条件によって結合部の支持力が不足する事がなくなる。
【0006】又、自動車が他の自動車等とぶつかる一次
衝突に伴って、ステアリングギヤが後方に押されたり
(中間シャフト7として使用する場合)、或は運転者の
身体がステアリングホイールにぶつかる二次衝突(ステ
アリングシャフト2として使用する場合)に伴って、上
記シャフト10に軸方向に亙って強い力が加わった場合
には、前記鋼球17が前記雌セレーション溝13の山部
の頂部18を塑性変形させつつ、アウターシャフト11
とインナーシャフト12との相対的変位を許容し、シャ
フト10の全長を縮める。このシャフト10の場合、上
記鋼球17は、前記雌セレーション溝13の山部の頂部
18で、この雌セレーション溝13と当接している為、
前記塑性変形を生じさせる為に要する力は比較的小さい
もので済む。従って、このシャフト10をステアリング
シャフト2或は中間シャフト7(図5)として使用した
場合に、これら各シャフト2、7の全長を縮める為に要
するコラプス荷重が大きくなる事がなく、衝突事故の
際、ステアリングホイールに衝突した運転者の身体に大
きな衝撃力が加わるのを防止する効果が大きくなる。
【0007】尚、図6〜7に示した構造例に於いては、
凹部16と鋼球17とを軸方向1個所にのみ設けている
が、セレーション係合部が長い場合には、これらを複数
個所設けても良い。又、図8に示す第2例の様に、凹部
16、16と鋼球17、17とを、円周方向複数個所に
設ける事も、前記公報に記載されている。この様に凹部
16、16と鋼球17、17とを、円周方向複数個所に
設けると、アウターシャフト11の内周面とインナーシ
ャフト12の外周面との間に作用する支持力が、円周方
向に亙ってほぼ均一となり、衝突時に於ける両シャフト
11、12同士の変位が、より円滑に行なわれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図6〜8に
示す様な従来構造は、依然として次の様な改良すべき点
がある。即ち、図6〜8に示したシャフト10は、イン
ナーシャフト12外周面の凹部16内に保持した鋼球1
7を、アウターシャフト11の内周面に形成された雌ス
プライン溝13を構成する山部の頂部18に食い込ませ
る事で、アウターシャフト11とインナーシャフト12
との間のがた止めを行なっている。従って、上記頂部1
8の一部で、鋼球17によりその内周面を強く押圧され
た部分は、頂部が潰されて幅が広がる方向に塑性変形す
る。そして、この様に塑性変形した部分と、上記インナ
ーシャフト12の外周面に形成した雄セレーション溝1
4の谷部15とが係合する場合に、係合部に大きな摩擦
力が作用する。この為、シャフト10の全長を縮める為
に大きな荷重を要するストロークが長くなり、衝突でス
テアリングホイールにぶつかった運転者の体に大きな衝
撃が加わる可能性が生じる。
【0009】即ち、上記シャフト10の本来の設計で
は、上記鋼球17設置部分と雌セレーション溝13の一
端との距離である、図6のL1 分だけシャフト10の全
長が縮まり、上記鋼球17が雌セレーション13から抜
け出せば、それ以上シャフト10の全長を縮めるのに要
する荷重は極く小さくなる。言い換えれば、二次衝突に
伴ってシャフト10の全長が縮まる際には、初めのスト
ロークL1 分は或る程度の荷重を要するが、このストロ
ークL1 を越えた場合には極く小さい荷重で縮まる様に
するのが、本来の設計である。
【0010】これに対して実際のシャフト10の場合に
は、上記鋼球17によるアウターシャフト11の塑性変
形部分がインナーシャフト12外周面の雄スプライン溝
14から抜け出すまでは、上記シャフト10の全長を縮
める為に要する荷重が大きくなる。上記塑性変形部分
は、通常状態では上記鋼球17が突き当たっている部分
のみであるが、衝突に伴って上記シャフト10の全長が
縮まるに従って、上記ストロークL1 範囲で、鋼球17
による塑性変形が生じる。そして、このL1 範囲の塑性
変形部分が総て前記雌スプライン溝13から抜け出るま
での間、上記シャフト10の全長を縮めるのに要する荷
重は大きいままとなる。
【0011】従って、上記鋼球17設置部分と雌セレー
ション13の他端との距離である、図6のL2 分が、シ
ャフト10の全長を縮めるのに大きな荷重を要する範囲
として、ストロークL1 分に足される事になる。例え
ば、本発明者の測定によると、上記シャフト10の全長
を縮めるべく、このシャフト10の軸方向に強い力を加
えた場合の軸方向荷重は、図9に示す様に変化した。こ
の図9の縦軸は荷重の大きさを、横軸はシャフト10の
縮み量を、それぞれ表している。このシャフト10の全
長を縮める為に大きな荷重を要する長さL3 は、ほぼL
1 +L2 に一致した(L3 ≒L1 +L2 )。
【0012】この様に、シャフト10の全長を縮める為
に要する荷重が、大きなストローク範囲(L3 )に亙っ
て、言い換えれば長い時間に亙って大きなままになる
と、衝突時にステアリングホイールにぶつかった運転者
の身体に大きな衝撃が加わり、運転者保護の面から好ま
しくない。前記マイクロフィルムには、衝突時にシャフ
ト10の全長を縮める為に要する荷重を安定させるべ
く、このシャフト10をステアリングコラム3の内側に
組み込む以前に一度伸縮させる技術が記載されている。
この様な技術により、或る程度の改善は期待できるが、
製造時に加わる荷重と衝突時に加わる荷重とは方向や大
きさが異なる場合が多く、上記鋼球17による塑性変形
も一致しない事があるので、確実な解決方法とは言えな
い。本発明の衝撃吸収式ステアリング装置用シャフト
は、この様な事情に鑑みて、シャフトの全長を縮める為
に要する荷重を小さく、且つ安定させるべく発明したも
のである。
【0013】
【課題を解決する為の手段】本発明のうち、請求項1に
記載した衝撃吸収式ステアリング装置用シャフトは、前
述のマイクロフィルムに記載された従来の衝撃吸収式ス
テアリング装置用シャフトと同様に、内周面に雌セレー
ション溝を形成したアウターシャフトと、外周面にこの
雌セレーション溝と係合する雄セレーション溝を形成し
たインナーシャフトと、このインナーシャフトの外周面
で、上記雄セレーション溝の谷部に対応する部分に形成
した凹部と、この凹部に挿入された硬質部材とから成
り、上記雌セレーション溝と雄セレーション溝とを係合
させると共に、上記硬質部材の一部を上記雌セレーショ
ン溝の山部の頂部に食い込ませている。
【0014】特に、請求項1に記載した衝撃吸収式ステ
アリング装置用シャフトに於いては、上記インナーシャ
フトの一部外周面で上記凹部よりもこのインナーシャフ
トの軸方向中央寄り部分に、上記硬質部材が食い込んだ
山部の頂部とインナーシャフト外周面との摩擦を避ける
為の逃げ部を設けている。
【0015】又、請求項2に記載した衝撃吸収式ステア
リング装置用シャフトは、内周面に雌セレーション溝を
形成したアウターシャフトと、外周面にこの雌セレーシ
ョン溝と係合する雄セレーション溝を形成したインナー
シャフトと、このインナーシャフトの外周面で、上記雄
セレーション溝の谷部に対応する部分に形成した凹部
と、この凹部に挿入された硬質部材とから成り、上記雌
セレーション溝と雄セレーション溝とを係合させると共
に、上記硬質部材の一部を上記アウターシャフトの内周
面に食い込ませている。
【0016】特に、請求項2に記載した衝撃吸収式ステ
アリング装置用シャフトに於いては、上記雌セレーショ
ン溝の一部で上記凹部と円周方向同位相位置に存在する
山部を除去し、上記雄セレーション溝と雌セレーション
溝との摩擦を避ける為の逃げ部を、上記雌セレーション
溝の全長に亙って設けている。
【0017】
【作用】上述の様に構成される本発明のうち、請求項1
に記載した衝撃吸収式ステアリング装置用シャフトの場
合には、インナーシャフトの外周面で逃げ部を設けた部
分が、雌セレーション溝の山部の頂部で硬質部材の押圧
に基づいて塑性変形した部分と摩擦係合する事がない。
従って、上記硬質部材が雌セレーション溝から外れた後
は、シャフトの全長を縮める為に要する荷重が小さくな
る。
【0018】又、請求項2に記載した衝撃吸収式ステア
リング装置用シャフトの場合には、雌スプライン溝の一
部で硬質部材により押圧される部分の山部を除去する事
で逃げ部を構成している為、シャフトが縮まる事で上記
硬質部材がアウターシャフトの内周面を軸方向に移動し
た場合でも、この内周面に雄スプライン溝と強く摩擦し
合う様な塑性変形部が形成される事がない。従って、上
記硬質部材が雌セレーション溝から外れた後は、シャフ
トの全長を縮める為に要する荷重が小さくなる。
【0019】
【実施例】図1〜2は、請求項1に対応する、本発明の
第一実施例を示している。尚、本発明の衝撃吸収式ステ
アリング装置用シャフトの特徴は、衝突に伴って全長が
縮まる際に要する荷重が、短時間経過後に小さくなる様
にする点にある。その他の部分の構成及び作用は、前述
のマイクロフィルムに記載した従来構造と同様であるか
ら、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略
若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説
明する。
【0020】インナーシャフト12の端部には平坦部1
9を、この端部に形成した雄セレーション溝14を削り
取る様に形成して、鋼球17が食い込んだ山部の頂部1
8とインナーシャフト12外周面との摩擦を避ける為の
逃げ部としている。この為に上記平坦部19の形成位置
は、硬質部材である鋼球17を挿入する凹部16と円周
方向同位相で、この凹部16よりも上記インナーシャフ
ト12の軸方向中央寄り(図1〜2の左寄り)部分とし
ている。従って、アウターシャフト11の端部内周面に
形成した雌セレーション溝13とインナーシャフト12
の端部外周面に形成した雄セレーション溝14とを係合
させた状態でも、上記雌セレーション溝13の一部で上
記平坦部19に対応する部分は、上記雄セレーション溝
14と係合しない。
【0021】上述の様に構成される本発明の衝撃吸収式
ステアリング装置用シャフトの場合には、インナーシャ
フト12の外周面で、逃げ部である平坦部19を設けた
部分が、雌セレーション溝13の山部の頂部18で鋼球
17の押圧に基づいて塑性変形した部分と摩擦係合する
事がない。即ち、衝突に伴ってシャフト10aの全長が
縮む際には、先ず鋼球17により上記頂部18が、図1
のL4 範囲に亙って押し潰され、この頂部18が、その
幅が広がる方向に塑性変形する。シャフト10aの全長
がL4 を越えて縮まると、上記鋼球17が雌セレーショ
ン溝13から外れると共に、この塑性変形部が上記平坦
部19に対向する。
【0022】図1〜2から明らかな通り、この平坦部1
9の中央部で前記凹部16と円周方向同位相位置に存在
する部分は、上記雄セレーション溝14の溝底よりもイ
ンナーシャフト12の断面の直径方向内側に位置する。
従って、シャフト10aの全長がL4 を越えて縮まり、
上記鋼球17が雌セレーション溝13から外れた後は、
シャフト10aの全長を縮める為に要する荷重が小さく
なる。即ち、この状態では、鋼球17も塑性変形部も相
手面と摩擦係合する事がなくなり、シャフト10aを軽
い力で縮められる様になる。
【0023】例えば、本発明者の測定によると、上記シ
ャフト10aの全長を縮めるべく、このシャフト10a
の軸方向に強い力を加えた場合の軸方向荷重は、図3に
示す様に変化した。この図3は前記した図9と同様に、
縦軸に荷重の大きさを、横軸にシャフト10aの縮み量
を、それぞれ表している。このシャフト10aの全長を
縮める為に大きな荷重を要する長さL4 は、上記雄セレ
ーション溝14の端部で、上記平坦部19を形成してい
ない部分の長さL4 に一致する。この図3から明らかな
通り、本発明のシャフト10aは、全長を縮める為に大
きな荷重を要するストローク範囲、言い換えれば時間
は、前述した従来構造に比べて短くなり、ステアリング
シャフト2の姿勢の変化を押えて、衝突時にステアリン
グホイールにぶつかった運転者の身体に大きな衝撃が加
わる事がなく、運転者保護を図れる。尚、凹部16と、
鋼球17と平坦部19とを円周方向複数個所に設ける事
もできるのは、前記図6〜8に示した従来構造と同様で
ある。
【0024】次に、図4は、請求項2に対応する、本発
明の第二実施例を示している。本実施例の場合には、ア
ウターシャフト11の端部内周面に形成した雌セレーシ
ョン溝13の一部で、鋼球17を収納した凹部16と円
周方向同位相位置に存在する山部を除去する事で円筒面
部20を、上記雌セレーション溝13の全長に亙って形
成している。上記鋼球17は、この円筒面部17に押し
当てられている。この円筒面部20が、インナーシャフ
ト12の端部外周面に形成した雄スプライン溝14と上
記雌スプライン溝13との摩擦を避ける為の逃げ部とな
る。
【0025】この様に構成されるシャフト10bが縮ま
る事で上記鋼球17がアウターシャフト11の内周面を
軸方向(図4の表裏方向)に移動した場合でも、この内
周面に雄スプライン溝14と強く摩擦し合う様な塑性変
形部が形成される事がない。即ち、上記シャフト10b
が縮まる際にも、鋼球17に強く押圧された円筒面部2
0に断面円弧状の凹溝が、軸方向に亙って形成されるの
みであり、上記鋼球17が雌セレーション溝13から外
れた後は、シャフト10bの全長を縮める為に要する荷
重が小さくなる。本実施例の場合も、凹部16と鋼球1
9と円筒面部20とを、円周方向複数個所に設置自在で
ある。
【0026】
【発明の効果】本発明の衝撃吸収式ステアリング装置用
シャフトは、以上に述べた通り構成され作用する為、前
述のマイクロフィルムに記載された従来構造と同様に、
十分な耐熱性を確保しつつ、コラプス荷重を低くして、
衝突事故の際に於ける運転者の安全確保を有効に図れ
る。特に、本発明の衝撃吸収式ステアリング装置用シャ
フトの場合には、上記コラプス荷重が大きい時間を短く
して、運転者の安全確保性能をより向上させる事ができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示す部分断面図。
【図2】第一実施例を構成するインナーシャフトの端部
斜視図。
【図3】第一実施例のシャフトを縮める際の衝撃荷重の
変動を示す線図。
【図4】本発明の第二実施例を示す、図1のA−A断面
に相当する図。
【図5】本発明の対象となる衝撃吸収式ステアリング装
置用シャフトを組み込んだ、ステアリング装置の1例を
示す側面図。
【図6】従来構造の第1例を示す部分切断側面図。
【図7】図6のB−B断面図。
【図8】従来構造の第2例を示す、図7と同様の図。
【図9】従来のシャフトを縮める際の衝撃荷重の変動を
示す線図。
【符合の説明】
1 ステアリングホイール 2 ステアリングシャフト 3 ステアリングコラム 4 上部ブラケット 5 下部ブラケット 6 第一の自在継手 7 中間シャフト 8 第二の自在継手 9 入力軸 10、10a、10b シャフト 11 アウターシャフト 12 インナーシャフト 13 雌セレーション溝 14 雄セレーション溝 15 谷部 16 凹部 17 鋼球 18 頂部 19 平坦部 20 円筒面部 21 インスツルメントパネル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に雌セレーション溝を形成したア
    ウターシャフトと、外周面にこの雌セレーション溝と係
    合する雄セレーション溝を形成したインナーシャフト
    と、このインナーシャフトの外周面で、上記雄セレーシ
    ョン溝の谷部に対応する部分に形成した凹部と、この凹
    部に挿入された硬質部材とから成り、上記雌セレーショ
    ン溝と雄セレーション溝とを係合させると共に、上記硬
    質部材の一部を上記雌セレーション溝の山部の頂部に食
    い込ませた衝撃吸収式ステアリング装置用シャフトに於
    いて、上記インナーシャフトの一部外周面で上記凹部よ
    りもこのインナーシャフトの軸方向中央寄り部分に、上
    記硬質部材が食い込んだ山部の頂部とインナーシャフト
    外周面との摩擦を避ける為の逃げ部を設けた事を特徴と
    する衝撃吸収式ステアリング装置用シャフト。
  2. 【請求項2】 内周面に雌セレーション溝を形成したア
    ウターシャフトと、外周面にこの雌セレーション溝と係
    合する雄セレーション溝を形成したインナーシャフト
    と、このインナーシャフトの外周面で、上記雄セレーシ
    ョン溝の谷部に対応する部分に形成した凹部と、この凹
    部に挿入された硬質部材とから成り、上記雌セレーショ
    ン溝と雄セレーション溝とを係合させると共に、上記硬
    質部材の一部を上記アウターシャフトの内周面に食い込
    ませた衝撃吸収式ステアリング装置用シャフトに於い
    て、上記雌セレーション溝の一部で上記凹部と円周方向
    同位相位置に存在する山部を除去し、上記雄セレーショ
    ン溝と雌セレーション溝との摩擦を避ける為の逃げ部
    を、上記雌セレーション溝の全長に亙って設けた事を特
    徴とする衝撃吸収式ステアリング装置用シャフト。
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