JPH0855624A - 層状構造酸化物および二次電池 - Google Patents
層状構造酸化物および二次電池Info
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- JPH0855624A JPH0855624A JP6247281A JP24728194A JPH0855624A JP H0855624 A JPH0855624 A JP H0855624A JP 6247281 A JP6247281 A JP 6247281A JP 24728194 A JP24728194 A JP 24728194A JP H0855624 A JPH0855624 A JP H0855624A
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Abstract
くし、この化合物の特性を向上させる。特に二次電池の
正極材料に用いた場合の放電容量を大きくする。 【構成】 式AMO2 (A=Li、Na、M=Co、N
i、Fe、Cr)で示される組成を含む層状構造酸化物
であって、添加元素ZとしてBi、Pb、BをZ/Mの
原子比が0.1以下となるように添加して焼成する。
Description
等の層状構造酸化物の製造方法、およびこの層状構造酸
化物とこれを用いた二次電池に関する。
により諸特性との関連において注目されてきた。すなわ
ち、これらの化合物は層状構造を有することにより、そ
の層間へのゲスト物質の挿入反応を可能にし、また結晶
構造上の異方性から電気特性に異方性を示すからであ
る。このような性質を利用した適用例としては、リチウ
ムイオンの層間挿入を利用したリチウム電池正極や配向
させた超伝導酸化物を用いた線材が挙げられる。
にすると図11に示される構造をもち、図11に示され
る層間をイオンが二次元的に移動することによってLi
イオンの挿入反応が可能になる。従って、二次電池正極
材料として用いるような場合、この特徴を最大限に活用
する方が望ましく、この化合物が必要な限り連続して存
在(例えば単結晶として)することが理想的である。反
対に多結晶体である場合は境界領域がイオンの移動の阻
害となる。
レス化に伴いその駆動用電源として、小型軽量で高エネ
ルギー密度を有するリチウム二次電池の研究開発が進ん
でおり、一部で実用化されている。こうしたリチウム二
次電池の正極材料として、AMO2 (A=Li、Na、
M=Co、Mn等の遷移金属)等の層状構造複合酸化物
を用いることが提案されている。例えば、特公昭63−
59507号公報には、LixMyO2 (MはCoまた
はNi、xは0.8以下であり、yはほぼ1に等しく、
イオン導電体中のLi+ 陽イオン空格子点がLi+ 陽イ
オン抽出によってつくられている。)が、また特開平4
−253162号公報には、LiCoO2 のCoの一部
をPb、Bi、Bの中から選ばれた少なくとも1種の元
素で置換したもの(実施例に示されるものはLiCo
0.90Pb0.10O2 の組成やこの組成においてPbのかわ
りにBi、Bとしたもの)が、さらに特開平5−290
849号公報には、原料粉末をバインダーと共に混合
し、造粒し、焼成して得られたLiCoO2 が示されて
いる。このなかで、特開平5−290849号公報では
焼結前段階における造粒工程により焼結体粒径(必ずし
も単結晶とは限らない)を増加させることが試みられて
おり、これにより自己放電率を低減させ、特性の向上を
図ることができることが示されている。
されていないが、粒径が大きくなると自己放電率が低下
するのは、焼結体粒子中から外へ拡散するリチウムイオ
ンの割合が減少するからであることが類推できる。従っ
て、層状化合物において、この考えを適用すれば、結晶
子(マイクロクリスタライト)の大きさ(結晶子サイ
ズ)を増すことによって特性の向上を図ることができる
と推定できる。
ては、正極材料としてその特徴を最大限に活用するため
には、結晶子サイズを増大し、さらにはこの化合物を必
要なかぎり連続して存在させることが重要であることが
判明した。すなわち、個々の粒子の結晶子化を促進し、
かつ結晶子サイズを増大させることは重要であると考え
られ、本発明者らはこの点に着目し、従来にない結晶子
化した層状化合物の開発を試みた。
げられ、充放電特性とともに、この特性を向上させるこ
とが望まれている。
に、層状構造化合物として利用されているAMO2 酸化
物において、この酸化物の結晶子サイズを増加させ、そ
れに伴う特性(例えば電池充放電特性、イオン導電性、
電荷移動性等)の向上を図ることができ、二次電池の正
極材料、固体電解質材料、ガスセンサー材料などの用途
が期待できる層状構造酸化物を提供することである。第
2に、二次電池の正極材料として用いたとき、さらにサ
イクル特性の向上を図ることができる層状構造酸化物を
提供することにある。第3に、上記の層状構造酸化物を
正極に用いて、充放電特性に優れる二次電池を提供する
ことである。
(1)〜(12)の本発明により達成される。 (1)式AMO2 (ここで、AはLiおよびNaのうち
の1種以上を表わし、MはCo、Ni、FeおよびCr
のうちの1種以上を表わす。)で示される組成を含む層
状構造酸化物の結晶子を有し、この結晶子の表面または
結晶子間にBi、PbおよびBから選ばれる少なくとも
1種の添加元素Zが酸化物の形で存在する層状構造酸化
物。 (2)前記Aの原料化合物および前記Mの原料化合物
と、前記層状構造酸化物の原料粉体との少なくとも一方
に対し、前記Zを添加して焼成した上記(1)の層状構
造酸化物。 (3)前記Mに対する前記Zの原子比Z/Mが0.1以
下である上記(1)または(2)の層状構造酸化物。 (4)前記Z/Mが0.0001以上である上記(1)
〜(3)のいずれかの層状構造酸化物。 (5)さらに前記元素AをA/Zが2以下となるように
添加して焼成した上記(1)〜(4)のいずれかの層状
構造酸化物。 (6)結晶子(マイクロクリスタライト)の平均径が2
μm 以上である上記(1)〜(5)のいずれかの層状構
造酸化物。 (7)X線回折スペクトルの(003)ピークと(10
4)ピークとの強度比I003 /I104 が2以上である上
記(1)〜(6)のいずれかの層状構造酸化物。 (8)前記焼成を1000℃以上の温度で行う上記
(7)の層状構造酸化物。 (9)前記焼成を加圧下で行う上記(7)または(8)
の層状構造酸化物。 (10)さらに、100〜500℃の温度で加熱処理を
行った上記(1)〜(9)のいずれかの層状構造酸化
物。 (11)前記加熱処理により、抵抗率を増加させ、抵抗
率の温度変化のヒステリシスを減少させた上記(10)の
層状構造酸化物。 (12)上記(1)〜(11)のいずれかの層状構造酸化
物を正極に用いた二次電池。
うちの1種以上、M;Co、Ni、FeおよびCrのう
ちの1種以上)で示される組成を含む層状構造酸化物を
製造するに際し、AMO2 で表わされる組成および結晶
構造を有する酸化物の粉末、あるいはその原料粉末を出
発原料とし、これにBi、PbおよびBから選ばれる少
なくとも1種の添加元素Zを、MとZとの原子比が所定
値となるように添加し焼成する。この結果、生成するA
MO2 層状構造酸化物の結晶子化および結晶子の成長を
促進させることができ、その特性を向上させることがで
きる。
て得られるが、この際の焼結過程を詳細に検討した結
果、AMO2 で表わされる組成および結晶構造を有する
酸化物の粉末、あるいはその原料粉末に対し微量添加物
としてBi、Pb、Bを添加することにより低融点のガ
ラス成分を再焼結過程に存在させることができ、これに
より焼結体中のAMO2 層状化合物結晶子の生成および
成長を著しく促進させることができることを見出した。
を有する酸化物の粉末、あるいはその原料粉末にBi等
を酸化物の形で微量添加することにより、無添加の従来
のものに比べ巨大化した六角板状の形状をもつLiCo
O2 等のAMO2 の結晶子が焼結体中に観察される。こ
の結果、本発明の層状構造酸化物を二次電池の正極材料
とした場合、充放電特性に優れた二次電池が得られる。
で、1000℃以上の温度で焼成することにより部分的
あるいは全域に亘って層状化し、結晶化し、配向化した
より大きな径の不定形の結晶子粒子が得られる。また加
圧焼成によっても同様に配向化した結晶子粒子が得られ
る。従来のものは配向性が小さいが、配向化させること
により充放電容量が増加する。近年負極材料として用い
られている炭素材料の一つにメソフェーズカーボンと呼
ばれるものがある。これはカーボン微粒子内部がグラフ
ァイト化したもので、結晶子化および配向化しており、
リチウム二次電池負極材料として用いると充放電容量が
増加することが示されており注目されている。これは各
粒子内部の配向性および結晶性が増加して、粒子の安定
性およびリチウムイオンの拡散が促進されるからであろ
うと考えられ、これと同様に、配向した結晶子の二次粒
子あるいは結晶子化した二次粒子の作製を検討した結
果、ビスマス等のZを添加した上で、かつ1000℃以
上の条件や加圧下で焼成することにより結晶子化および
配向化した粒子を得ることが可能となった。
るが、得られた焼結体をさらに100〜500℃の温度
で加熱処理を行うことで、二次電池の正極材料として用
いたとき、二次電池のサイクル特性が向上する。サイク
ル特性が劣ることについて正極活物質の特性との関連を
検討した結果、抵抗率が低いとサイクル特性が劣ること
を見い出した。この知見に基づき、抵抗率を増加させる
ことについて種々の検討を行ったところ、上記の加熱処
理が有効であることがわかった。上記の加熱処理によっ
て、LiCoO2 等の層状構造酸化物の抵抗増加が起こ
るのは、例えばLiCoO2 において、当初結晶中のL
i、Coの秩序構造が乱れて低抵抗化していた結晶が上
記の加熱処理を行うことにより秩序が回復したものと考
えられる。従って、上記の加熱処理により一旦上昇した
抵抗は、その後、維持され、加熱処理を施す以前の層状
構造酸化物の抵抗率の温度変化においてみられたヒステ
リシス(履歴現象)は減少し、観測されなくなる。
に説明する。
発明の一実施態様で出発原料として用いる層状構造酸化
物は、AMO2 で示される基本組成を含有する酸化物で
ある。そして、このAMO2 あるいはAおよびMの原料
化合物に対し、Bi、PbおよびBのうちの少なくとも
1種の添加元素Zを添加して製造される。
以上を表わし、LiとNaとが任意の割合で混在してい
てもよい。Aとしては、なかでもLiを必須として20
〜100%含むものであることが好ましい。
の1種以上を表わし、これらの元素の2種以上が任意の
割合で混在していてもよい。
照)を有することが知られており、本発明においてもX
線回折分析(XRD)によりこの構造が確認される。
PbおよびBのうちの少なくとも1種の添加元素Zを添
加するが、このときの添加量は、前記Mに対するZの原
子比Z/Mが0.1以下となるようにする。このように
Zを添加することによって、本発明の層状構造酸化物中
で粒子の結晶子化が進み、さらに結晶子の成長が促進さ
れ、結晶子サイズが大きくなる。また、添加元素Zによ
る第2相の出現もなく単結晶として存在することが可能
になる。これに対し、Z/Mが0.1をこえるようなZ
の添加を行うと、添加元素Zによる第2相成分が存在す
るようになって単結晶として存在することが不可能にな
り、この第2相成分が不純物となって特性が劣化する。
はないが、実用上0.0001であり、さらには0.0
005、特には0.001であることが好ましい。ただ
し、Z/Mが0.0001未満(ZがMに対して100
ppm 未満)の場合においても局所的には、結晶子化が進
行していることが確認できる。これは、フェライトやZ
nOバリスタにおいて、添加量が100ppm 未満の場合
にも、添加元素が有効に作用することから推量すれば妥
当な結果であるといえる。以上のことから、Z/Mは
0.001〜0.1、さらには0.003〜0.07、
特には0.008〜0.04の範囲にあることが好まし
い。添加元素Zは、1種のみを添加しても2種以上を併
用してもよいが、特にBiの添加を必須とすることが好
ましい。
造酸化物を出発原料としたときでも、また後述のAおよ
びMの化合物を原料としたときでも、Zを添加して焼成
したのちに、基本組成物AMO2 の層状構造を有してお
り、このことはX線回折分析の結果から容易に確認する
ことができる。また、添加元素Zは、ほぼ添加量を維持
したまま焼成後の層状構造酸化物中に存在しており、添
加元素Zの存在は、最終生成物である層状構造酸化物を
蛍光X線分析することにより確認することができる。一
般に、Zの含有量は、添加量の原子比の80〜100%
程度である。また最終生成物中のA/Mの原子比は百分
率で表わして通常15%〜110%程度である。なお、
添加元素Zを添加しない場合、あるいは添加量が著しく
少ない場合は、結晶子はほとんど観察されず、従って特
性の改善もみられない。
小な空隙を介して相互に連続して存在する六角板状ない
しそれに近い形に成長した結晶子を含有していること
が、走査型電子顕微鏡(SEM)により容易に観察でき
る。すなわち、通常は結晶子粒子が2次粒子化してい
る。
有される結晶子は、その平均径が2μm 以上、特に2.
5μm 以上、さらに3μm 以上であることが好ましい。
その上限には、特に制限はないが、通常、1000℃未
満の焼成温度や、非加圧下の焼成では10μm 程度、特
に8μm 以下、さらに6.5μm 以下である。また、結
晶子の平均板状比(最大径/厚さ)は2〜10程度であ
る。
下で、板状、特に六角板状に成長している結晶子を10
〜20個選択し、それらの結晶子の主面の最大径をSE
M観察により求め、その平均値として算出すればよい。
0℃以上の温度で焼成したり、加圧下で焼成を行うと、
結晶子が溶融し、それらが凝集し、さらに巨大化した結
晶子粒子となる。この粒子は、2次粒子内の結晶子間で
溶融が生じ、通常不定形化しており、その内部の一部あ
るいは全部は部分的あるいは全域に亘って結晶化、層状
化しており、しかも配向化が生じている。このときの粒
子もこの明細書では結晶子と称するが、そのサイズは1
0μm 以上、0.5mmにも及ぶ。
る条件では、配向化はほとんど生じず、結晶子の生成お
よび成長のみで充放電容量が増大している。この場合、
配向度は、X線回折スペクトルのAMO2 の(003)
ピーク(例えばLiCoO2の場合は2θ=18.94
°付近)と(104)ピーク(例えばLiCoO2 の場
合は2θ=45.26°付近)の強度比I003 /I104
を指標とすればよいが、その値は0.5〜2程度であ
る。しかし、さらに結晶化が部分的あるいは全域に亘っ
て生じる不定形の結晶子となる条件ではI003 /I104
は2以上、特に3〜50程度、さらに5〜20程度が得
られる。
は、そのX線回折分析の結果から、主成分である純粋な
AMO2 組成物の他に、添加元素Zの酸化物(例えばB
i2O3 )の存在が確認される。従って、主組成物のA
MO2 の単結晶結晶子が生成するほか、少量のZの酸化
物やAとZとの複合酸化物が結晶子間に生成するもので
ある。すなわち、ZはMを一部置換した形でAMO2 結
晶子中に存在するのでなく、Z自体の酸化物やAとの複
合酸化物を何らかの形で形成し、前述したように、これ
が焼結過程でガラス相として結晶子間に存在し、結晶子
の成長のための物質移動を容易にし、AMO2 の結晶子
の成長に寄与していると考えられる。また、さらに結晶
子を凝集化させ、巨大化させた場合にも、結晶子の表面
や、結晶子間にはZがそれ自体の酸化物やAとの複合酸
化物の酸化物の形で存在する。すなわち、巨大化させる
場合においても、結晶子間の第2相が存在することが重
要で、結晶子の凝集化を促進させる。通常こうした第2
相が介在しないものは巨大化が起こらない。
は、前述のとおり、LiCoO2 のCoの一部をPb、
Bi、Bの中から選ばれた少なくとも1種の元素で置換
したものが開示されている。そして、その実施例には、
LiCo0.90Pb0.10O2 とこの組成においてBiまた
はBをPbと代替した組成が示されている。上記公報に
は、Coの一部をPb等で置換すると明記されており、
本発明による添加元素の効果と全く異なっている。ま
た、Z/Mの値も本発明の範囲とは全く異なる。従っ
て、上記公報に開示された発明と本発明とは、構成のみ
ならず、その添加元素の作用および効果が全く異なるも
のである。
は、LixMyO2 (MはCoまたはNi、xは0.8
以下であってyはほぼ1に等しく、イオン導電体中のL
i+ 陽イオン空格子点がLi+ 陽イオン抽出によって作
られている。)が、また特開平5−290849号公報
には、原料粉末を造粒し、その後に焼成して得られたL
iCoO2 が、それぞれ開示されている。しかし、これ
らのものでは、いずれにおいても微量元素の添加につい
ては示唆すらされていない。従って、上記公報に開示さ
れた発明と本発明とは明らかに異なるものである。
Aの化合物とMの化合物の原料化合物の原料粉末を所定
量混合したものに対し、あるいはこれを一旦焼成して得
られたAMO2 に対し、さらに場合によってはこれらの
混合物に対し、前記条件を満たすように、後述のZの化
合物の原料粉末を添加し、これを焼成すればよく、具体
的には、公知のセラミックス製造方法を用いればよい。
のように合成される。Aの化合物およびMの化合物とし
ては、酸化物や炭酸塩などが挙げられる。具体的には、
Aの化合物として、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムなど
が用いられる。また、Mの化合物としては、塩基性炭酸
コバルト、酸化コバルト(Co3 O4 等)、炭酸ニッケ
ル、酸化ニッケル、酸化鉄(Fe2 O3 、Fe3 O4
等)、酸化クロム(Cr2 O3 等)などが挙げられる。
なお、これらの原料において炭酸塩等の塩を用いるとき
は予め溶液化して用いることもできる。
鱗片状、フレーク状等のいずれであってもよく、その平
均粒径は1〜2μm 程度のものを用いる。このときの平
均粒径は、粉末形状が球でないときには、投影面積を円
に換算してその直径を求めて算出したものである。
る。混合は湿式、乾式のいずれであってもよいが、通常
は湿式混合とする。湿式混合は、イソプロピルアルコー
ル等の溶媒を用い、アルミナボールあるいはジルコニア
ボール、あるいはこれらに樹脂等をライニングしたボー
ルを使用して行えばよい。
の化合物とMの化合物とに対して、Zの化合物を添加し
て混合する。Zの化合物としては、酸化ビスマス(Bi
2 O3 )、二酸化鉛、酸化ホウ素(B2 O3 )などの酸
化物や炭酸塩を用いればよい。なお、これらの原料にお
いても炭酸塩を用いるときは、予め溶液化して用いるこ
ともできる。この際、Zの化合物に加え、さらに前述の
Aの化合物を同時添加することもできる。Aの化合物添
加によりAとZとの複合酸化物の結晶子間生成量が増大
し、AMO2 の結晶子化を促進させることに寄与する。
しない場合もほぼ同等の効果が得られる。また、過剰の
Liが最終的に存在したと仮定しても、水洗により除去
可能である。Bi等のZ添加量が増加するにつれて、L
iBiO2 成分も生成されやすくなり、Li欠損型のA
MO2 になることが予想されるが、Li等の後添加はこ
の欠損を防止する。しかし、Liを添加しないときにも
最終的には正極として機能する。上記の範囲のBi添加
量ではLiMO2 の結晶構造が保てない程度の欠損型の
AMO2 は生成しないからである。なお、Aの添加量は
A/Zで2以下、特に1.7以下、一般に1.2〜1.
5であることが好ましい。なお、添加するZやAの化合
物の平均粒径は0.5〜2μm 程度とする。
し、仮焼を行う。仮焼は、酸化性雰囲気中(空気中ある
いは酸素気流中)で、500〜700℃程度の温度で2
〜15時間程度行う。
まあるいは適宜成形したのち、焼成する。焼成は、酸化
性雰囲気中で通常700〜1000℃、特に750〜9
50℃程度の温度で2〜80時間程度行う。また、焼成
温度を1000℃以上、特に1000〜1200℃、特
に1000〜1100℃とすれば、結晶化と配向化とを
行うことができる。
に、混合の際にバインダー(例えばポリビニルアルコー
ル)を加え湿式で造粒を行う造粒法を適用してもよい。
バインダー量は一般に10wt% 以下とする。そして、こ
のように造粒によって得られた顆粒を上記と同条件で焼
成すればよい。さらにまた、焼成に際しては加圧を行う
こともできる。加圧は10〜2000kg/cm2、特に50
〜500kg/cm2の圧力でホットプレス、熱間静水圧加圧
等を用いればよい。これによっても結晶化と配向化とを
行うことができる。
の化合物とを混合し、これを、そのままあるいは適宜成
形したのち、焼成する。焼成は、酸化性雰囲気中で60
0〜950℃程度の温度で2〜80時間程度行う。酸化
性雰囲気としては、酸素分圧0.1atm 以上、特に0.
2〜1atm が好ましい。
構造酸化物AMO2 を含有する一次粒子粉体の平均粒径
は、一般に0.1〜1μm 、特に0.5〜1μm とす
る。また、原料粉体AMO2 を得る方法としては、共沈
法や、凍結乾燥法あるいは超音波噴霧法等の微粉化プロ
セスを用いてもよい。
対してZの化合物を前述の添加量添加して混合する。あ
るいはさらにAの化合物を前記の量添加する。そして、
前記の条件で焼成する。なお、場合によっては、AMO
2 粉体、Aの化合物、Mの化合物を所定の比となるよう
に混合し、これにZの化合物やAの化合物を添加して混
合して焼成してもよい。この場合、1μm 程度のAMO
2 の核を中心とした結晶子化が起こる。
あるいは単に各成分を混合するかわりに、混合の際にバ
インダー(例えばポリビニルアルコール)を加え湿式で
造粒を行ってもよい。そして、混合物を焼成する。この
ようにして得られた焼結体は、前記のとおり、所定サイ
ズの結晶子の存在が確認されるものである。
は、100〜500℃、さらには120〜400℃、よ
り好ましくは120〜300℃、特に150〜250℃
の温度で加熱処理に供することが好ましい。このような
加熱処理により層状構造酸化物の結晶構造の秩序の乱れ
が解消されて抵抗が増加し、この結果二次電池の正極活
物質として用いたとき、二次電池のサイクル特性が向上
する。これに対し、加熱温度が100℃未満ではサイク
ル特性改善の効果がみられず、500℃をこえる加熱処
理を行っても効果の向上はみられない。
は、その後一定値を示すようになる。また、初回の加熱
処理においてみられた抵抗率の温度変化におけるヒステ
リシス(履歴現象)は減少し、観測されなくなる。加熱
処理は、通常、1回のみで十分であり、1回の加熱処理
によって上記のヒステリシスは観測されなくなるが、上
記のヒステリシスが観測されなくなるまで、加熱処理を
繰り返せばよい。
制限はない。また、室温に戻すためには自然放冷するな
ど、その降温速度にも特に制限はない。
制限はなく、1分〜24時間程度とすればよいが、通常
10分〜1時間程度とすることが好ましい。
℃〜30℃)における抵抗率がほぼ一桁上昇する。
物を正極材料として用いたものであり、他の構成につい
ては限定されず、種々のものであってよい。
状構造酸化物を粉末として適宜導電助剤(例えばアセチ
レンブラック)、バインダー(例えばテトラフルオロエ
チレン)等を混合して得られる正極合剤を用いて加圧成
形、塗布等の方法で形成すればよい。層状構造酸化物量
は60〜90wt% 程度とし、導電助剤は5〜20wt%、
バインダーは5〜20wt% 程度とする。また、負極材料
としては、リチウム金属、リチウム合金(Li−Al、
Li−Sn、Li−Pb等)、リチウムイオン挿入グラ
ファイトなどを用いればよい。
ものを用いることができる。有機溶剤としては例えばプ
ロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブ
チルラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、置換テトラヒドロフラン、ジオキソラ
ン、ピランおよびその誘導体、ジメトキシエタン、ジエ
トキシエタン等のエーテル類、3−メチル−2−オキサ
ゾリジノン等の3置換−2−オキサゾリジノン類が挙げ
られ、これらは単独または2種以上混合して使用するこ
とができる。また電解質としては、過塩素酸リチウム、
ホウフッ化リチウム、リンフッ化リチウム、塩化アルミ
ン酸リチウム、ハロゲン化リチウム、トリフルオロメタ
ンスルホン酸リチウム等を使用することができる。
質を使用してもよい。電池の形状についても特に制限は
なく、円筒形、角形、コイン形、ボタン形等種々の形状
にすることができる。
当り130〜150Wh/kg 、充放電効率が90%以上で
あり、二次電池として優れた性能を有するものである。
このときの放電容量は、充電上限電圧を4.1V とし、
上限電圧に達した後、充電時間を10時間として4.1
V で定電圧充電を行い、次に放電の下限電圧を3.1V
として求めたものである。
構造酸化物を正極材料に用いた場合、充放電サイクルに
伴う容量変化が少なくなりサイクル特性が向上する。
に、アルカリイオンの酸化物結晶格子中への挿入反応を
利用した電池正極材料とできるほか、アルカリイオン導
電性を利用した固体電解質を用いた固体電池、さらには
コバルト酸化物およびニッケル等の酸化物との接合を利
用したガスセンサーに用いることができる。
する。
炭酸コバルト(平均粒径2μm )260.8g とに、酸
化ビスマス(平均粒径2μm )を、Bi/Coの原子比
が0.01となるように添加し、これらのものをボール
ミル(アルミナボールを使用)によりイソプロピルアル
コール50g を加えて湿式混合した。
中で、588℃の保持温度で10時間仮焼を行った。こ
うして得られた仮焼粉を成形圧力1ton/cm2 で成形し、
電気炉にて、焼成雰囲気を空気とし、850℃の保持温
度で20時間焼成した。これを焼結体サンプルNo. 1と
する。サンプルNo. 1において、Biを添加しないもの
とするほかは同様にしてサンプルNo. 2を作製した。
察を行った。このときのSEM写真を図1、図2にそれ
ぞれ示す。図1から明らかなように、ビスマス添加によ
り板状に成長したLiCoO2 が観測される。これに対
し、ビスマスを添加しないサンプルでは結晶子はほとん
ど観察されない(図2)。
(平均結晶子径)は4.5μm であった。このときの平
均径は、SEMを用い六角板状に成長している結晶子を
選択しその最大径を結晶子径とし、試料内の結晶子の平
均値を算出して求めた。
行った。結果を図3に示す。このX線回折結果では純粋
なLiCoO2 が観測され、またBi2 O3 も検知され
た。従って添加したビスマスは、何らかの形で酸化物や
リチウムとの複合酸化物を形成し粒界に偏析するなどし
て結晶子の成長のための物質移動を容易にしたものと考
えられる。
によりBiの存在が確認された。また、サンプルNo.
1、No. 2について、焼結密度を求めたところ、サンプ
ルNo.1では、3.55g/cm3 、サンプルNo. 2では
3.40g/cm3 であり、後述のように、この組成域では
焼結密度は無添加時に比べ若干増加傾向にあるが、両者
の差は小さい。また収縮率も90%前後であり、焼結が
進んだというよりも結晶子サイズのみ増加したと考えら
れる。
のようにして求めたものである。
量である。
の直径とを求め、成形時の直径に対する焼成後の直径の
比を百分率で表わしたものである。
1、0.001、0.03、0.05、0.1、0.3
となるようにするほかは同様にしてサンプルを作製し
た。これらのサンプルを順にサンプルNo. 3〜No. 8と
する。これらのサンプルでは、蛍光X線分析によりBi
の存在が確認された。
て、実施例1と同様にSEM観察を行った。これによれ
ば、サンプルNo. 3〜No. 7では結晶子が観察された
が、Bi/Coが0.3のサンプルNo. 8では、実施例
1のサンプルNo. 1のような六角板状に成長した結晶子
は観察されなかった。また、X線回折の結果から、サン
プルNo. 8では、明らかに単相ではなく、LiBiO2
が共存していることがわかった。
No. 3〜No. 7における結晶子の平均径を求めた。ま
た、サンプルNo. 2、No. 8では結晶子の存在がみられ
ないため、サンプル中の結晶の平均径を求めた。これら
の結果に基づき、Bi/Coの原子比に対する平均結晶
径の関係を図4に示した。
の焼結密度から、Bi/Coの原子比に対する焼結密度
の関係を示した。
の増加とともに増加していることがわかる。また、図5
からは、Bi/Coが0.1付近までの範囲ではBiの
添加量の増加にともない焼結密度は増加するが、0.0
1付近までの範囲では、その増加がわずかであること、
および0.1付近をこえると、反対に焼結密度が減少す
ることがわかる。0.1付近をこえたときの焼結密度の
減少はBiの蒸発によると考えられる。
近の範囲までのBi添加は焼結密度の増加には寄与せ
ず、結晶子のサイズの増加に寄与していると考えられ
る。そして、Bi/Coが0.1までは、添加元素Bi
は結晶子サイズと焼結密度の増加の両方に寄与すると考
えられ、さらに、この範囲ではBi/Coが0.3のと
きに観察される第二相成分の存在も無視できる。
ば、LiCoO2 を基本組成とする層状構造酸化物で
は、結晶子のサイズの増加が期待でき、さらに、このよ
うな化合物において特性を劣化させると考えられる第二
相成分の影響も抑制されると推定される。これらの結果
から、層状構造酸化物の特性の向上は、Bi/Coが
0.1以下が妥当であると考えられる。
チウム電池系を作製した。
チウム金属、電解液は、電解質として過塩素酸リチウム
(LiClO4 )を用い、1MのLiClO4 プロピレ
ンカーボネート溶液を用いた。
レンブラックおよびポリテトラフルオロエチレンととも
に、これらがこの順で100:20:3の重量比となる
ように混合し、その後加圧成形を行って直径15mmのペ
レットを作製し、これを正極とした。
る。また、電池Aにおいて、正極材料としてサンプルN
o. 1のかわりに、実施例1で作製したサンプルNo.
2、実施例2で作製したサンプルNo. 5およびNo. 8を
各々用いて同様に電極を作製した。これらを順に電池B
〜Dとする。
容量を求めた。放電容量は、充電上限電圧を4.1Vと
し、上限電圧に達した後、4.1Vで定電圧充電を10
時間行い、下限電圧を3.1Vとして求めた。
/Coの原子比、平均結晶子径、結晶子の板状比を併せ
て記す。
用いた電池は、放電容量が比較のサンプルを用いたもの
に比べ大きいことがわかる。特にBi/Coが0.00
8〜0.04の範囲内であると、放電容量が大きくなる
ことがわかる。この範囲では結晶子のサイズが増加し、
不純物である第二相成分の生成が抑制されるため、良好
な特性が得られると考えられる。
わりに、二酸化鉛または酸化ホウ素を用いて、そのほか
は同様にサンプルを作製した。これらのサンプルをサン
プルNo. 11、No. 12とする。サンプルNo. 11では
Pb/Coが0.01、サンプルNo. 12ではB/Co
が0.01のものである。これらのサンプルについても
結晶子の存在がみられた。
3と同様に電池系を作製し、放電容量を求めたところ、
サンプルNo. 11を用いたものでは、137Wh/kg 、サ
ンプルNo. 12を用いたものでは133Wh/kg であっ
た。これらの値は同条件のBi添加のものより劣るもの
の無添加のものに比べれば向上している。
炭酸リチウムのかわりに炭酸ナトリウムを用い、またこ
れらにおいて塩基性炭酸コバルトのかわりに炭酸ニッケ
ルや酸化ニッケル、酸化鉄、酸化クロムを各々用いて、
種々のサンプルを作製したが、実施例1、2のサンプル
のZ/Mの原子比に応じて同様の傾向を示した。また、
これらのサンプルを用いて実施例3と同様に電池系を作
製し、放電容量を求めたが、Z/Mの原子比に応じて同
様の傾向を示した。さらに、上記のサンプルにおいて、
塩基性炭酸コバルト、炭酸ニッケル(あるいは酸化ニッ
ケル)、酸化鉄および酸化クロムのなかの2種以上を任
意の割合で添加した種々のサンプルを作製し、同様に特
性を調べたが、この場合もZ/Mの原子比に応じて、同
様の傾向を示した。
炭酸コバルト(平均粒径2μm )260.8g となるよ
うに添加し、これらのものをボールミル(アルミナボー
ルを使用)によりイソプロピルアルコール50g を加え
て湿式混合した。この混合物を乾燥し、粉砕したのち、
空気中で、600℃から900℃の温度範囲の保持温度
で10時間焼成した。
ムを平均粒径1μm に粉砕し、さらにBiをBi/Co
=0.01となるように酸化物Bi2 O3 (平均粒径
0.5μm )の形で添加し、またLiをLi/Bi=
1.5となるように炭酸塩Li2CO3 (平均粒径0.
5μm )の形で添加した。これらの原料粉末を湿式混合
した。得られた混合物を成形圧力1ton/cm2 で成形し、
電気炉にて、焼成雰囲気を空気とし、850℃の保持温
度で10時間焼成した。これを焼結体サンプルNo.21
とする。サンプルNo. 21において、Biを添加しない
ものとするほかは同様にしてサンプルNo. 22を作製し
た。
M観察を行ったところ、ビスマス添加により板状に成長
したLiCoO2 が観測された。これに対し、ビスマス
を添加しないサンプルでは結晶子はほとんど観察されな
かった。
(平均結晶子径)は4.7μm であった。このときの平
均径は、SEMを用い六角板状に成長している結晶子を
選択しその最大径を結晶子径とし、試料内の結晶子の平
均値を算出して求めた。
を行ったところ、純粋なLiCoO2 が観測され、また
Bi2 O3 も検知された。また、微少ではあるがLiB
iO2 と同定しうるピークも観察された。従って添加し
たビスマスは、何らかの形で酸化物やリチウムとの複合
酸化物を形成し結晶子間に偏析するなどして結晶子の成
長のための物質移動を容易にしたものと考えられる。
析により焼成後においてもBiの存在が確認された。ま
た、サンプルNo. 21、No. 22について、焼結密度を
求めたところ、サンプルNo. 21では、3.48g/cm
3 、サンプルNo. 22では3.44g/cm3 であり、後述
のように、この組成域では焼結密度は無添加時に比べ若
干増加傾向にあるが、両者の差は小さい。また収縮率も
90%前後であり、焼結が進んだというよりも結晶子サ
イズのみ増加したと考えられる。
1、0.001、0.03、0.05、0.1、0.3
となるようにしたほかは同様にしてサンプルを作製し
た。これらのサンプルを順にサンプルNo. 23〜No. 2
8とする。また、Liは実施例1と同様にLi/Bi=
1.5とした。
りBiの存在が確認された。これらのサンプルNo. 23
〜No. 28について、実施例1と同様にSEM観察を行
った。これによれば、サンプルNo. 23〜No. 27では
結晶子が観察されたが、Bi/Coが0.3のサンプル
No. 28では、実施例4のサンプルNo. 21のような六
角板状に成長した結晶子は観察されなかった。また、X
線回折の結果から、サンプルNo. 8では、明らかに単相
ではなく、LiBiO2 が共存していることがわかっ
た。
ルNo. 23〜No. 27における結晶子の平均径を求め
た。また、サンプルNo. 2、No. 8では結晶子の存在が
みられないため、サンプル中の結晶の平均径を求めた。
i添加は焼結密度の増加には寄与せず、結晶子のサイズ
の増加に寄与していると考えられる。そして、Bi/C
oが0.1までは、添加元素Biは結晶子サイズと焼結
密度の増加の両方に寄与すると考えられ、さらに、この
範囲ではBi/Coが0.3のときに観察される第二相
成分の存在も無視できる。
ば、LiCoO2 を基本組成とする層状構造酸化物で
は、結晶子のサイズの増加が期待でき、さらに、このよ
うな化合物において特性を劣化させると考えられる第二
相成分の影響も抑制されると推定される。これらの結果
から、層状構造酸化物の特性の向上は、Bi/Coが
0.1以下が妥当であると考えられる。
リチウム電池系を作製した。正極は、以下のように作製
し、負極にはリチウム金属、電解液は、電解質として過
塩素酸リチウム(LiClO4 )を用い、1MのLiC
lO4 プロピレンカーボネート溶液を用いた。
チレンブラックおよびポリテトラフルオロエチレンとと
もに、これらがこの順で100:20:3の重量比とな
るように混合し、その後加圧成形を行って直径15mmの
ペレットを作製し、これを正極とした。
る。また、電池Aにおいて、正極材料としてサンプルN
o. 21のかわりに、実施例4で作製したサンプルNo.
22、実施例5で作製したサンプルNo. 25およびNo.
28を各々用いて同様に電極を作製した。これらを順に
電池X〜Wとする。
容量を求めた。放電容量は、充電上限電圧を4.1V と
し、上限電圧に達した後、4.1V で定電圧充電を10
時間行い、下限電圧を3.1V として求めた。
/Coの原子比、平均結晶子径、結晶子の板状比を併せ
て記す。
用いた電池は、放電容量が比較のサンプルを用いたもの
に比べ大きいことがわかる。特にBi/Coが0.00
8〜0.04の範囲内であると、放電容量が大きくなる
ことがわかる。この範囲では結晶子のサイズが増加し、
不純物である第二相成分の生成が抑制されるため、良好
な特性が得られると考えられる。
かわりに、二酸化鉛または酸化ホウ素を用いて、そのほ
かは同様にサンプルを作製した。これらのサンプルをサ
ンプルNo. 31、No. 32とする。サンプルNo. 31で
はPb/Coが0.01、サンプルNo. 32ではB/C
oが0.01のものである。これらのサンプルについて
も結晶子の存在がみられた。
7と同様に電池系を作製し、放電容量を求めたところ、
サンプルNo. 21を用いたものでは、142Wh/kg 、サ
ンプルNo. 22を用いたものでは104Wh/kg であっ
た。これらの値は同条件のBi添加のものより劣るもの
の無添加のものに比べれば向上している。
炭酸リチウムのかわりに炭酸ナトリウムを用い、またこ
れらにおいて塩基性炭酸コバルトのかわりに炭酸ニッケ
ルや酸化ニッケル、酸化鉄、酸化クロムを各々用いて原
料粉末を得、これから種々のサンプルを作製したが、実
施例5、6のサンプルのZ/Mの原子比に応じて同様の
結果が得られた。また、これらのサンプルを用いて実施
例7と同様に電池系を作製し、放電容量を求めたが、Z
/Mの原子比に応じて同一の傾向を示した。さらに、上
記のサンプルにおいて、塩基性炭酸コバルト、炭酸ニッ
ケル(あるいは酸化ニッケル)、酸化鉄および酸化クロ
ムのなかの2種以上を任意の割合で添加した種々のサン
プルを作製し、同様に特性を調べたが、この場合もZ/
Mの原子比に応じて、同一の傾向を示した。また、実施
例5のサンプルにおいて、Biと同時にNa/Bi=
0.8〜2の範囲にてNa2 CO3 の後添加を行ったと
ころ、同等の結果が得られた。
1100℃、36時間としてサンプルNo. 31を得た。
SEM写真を図6に示す。図6に示されるように、図1
のサンプルNo. 1の結晶子が部分的に結晶化し、層状化
し、不定形の大きな結晶子粒子となっていることがわか
る。粒子径は約20〜100μm であった。
図7からI003 /I104 は12.2であり、サンプルN
o. 1の図3と比較して配向度が格段と向上しているこ
とがわかる。
上した。このような1000℃以上の焼成の効果は、前
記本発明の各サンプルで同等に実現した。
850℃、35時間とし、この際300kg/cm で加圧し
てホットプレス焼結してサンプルNo. 41を得た。この
場合も結晶子が部分的に結晶化し、層状化し、不定形の
大きな結晶子粒子となっており、粒子径は約60μm で
あった。また、I003 /I104 は8.0であり、配向度
が格段と向上した。この結果、充放電容量も146Wh/k
g に向上した。このような加圧焼成の効果も前記本発明
の各サンプルで同等に実現した。
950℃、36時間とするほかは同様にして焼結体を得
た。この焼結体をサンプルNo. 51とする。
1℃)から180℃程度の温度まで昇温し、この温度に
30分程度保持し、その後再び室温まで降温した。この
昇温過程と降温過程における抵抗率の変化を調べた。こ
れを図8に示す。図8中、実線は昇温過程を、破線は降
温過程を示している。また、比較のため、同様にしてL
iMn2O4 の抵抗率の変化を調べ、図8中に併記す
る。
iCoO2 )は上記の加熱処理により室温における抵抗
率が約一桁上昇することがわかる。また、このように一
旦抵抗増加したものでは、抵抗率の温度変化において、
図8にみられるような初期のヒステリシスを示さなくな
ることもわかった。
れるLiMn2 O4 では、Bi添加LiCoO2 にみら
れるヒステリシスは全く観測されない(図8参照)。
に実施例11の条件で加熱処理したサンプルNo. 52を
各々正極材料として用いて、実施例3と同様にして二次
電池を得た。サンプルNo. 51を用いた二次電池を電池
M、サンプルNo. 52を用いた二次電池を電池Nとす
る。
様にして放電容量を求めた。さらに容量のサイクル変化
を調べた。このサイクル特性を図9(電池M)、図10
(電池N)にそれぞれ示す。
施例3の電池Aとほぼ同程度であり、図9、図10で
は、この初期の放電容量を100%とし、これに対する
割合(%)でサイクル変化した放電容量を示している。
LiCoO2 を正極材料とすることにより、電池のサイ
クル特性が著しく改善することがわかる。
を950℃、36時間とするほかは同様にして焼結体を
作製し、この焼結体をサンプルNo. 61とした。
と同様の加熱処理を行ったところ、実施例11のサンプ
ルNo. 51と同様の現象を示した。
に実施例11の条件で加熱処理を行ったサンプルNo. 6
2を各々正極材料として用いて、実施例7と同様にして
二次電池を得た。サンプルNo. 61を用いた二次電池を
電池P、サンプルNo. 62を用いた二次電池を電池Qと
する。
様にして放電容量を求めた。さらに容量のサイクル変化
を調べた。
実施例7の電池Xとほぼ同程度であった。また、実施例
12と同様にして調べた容量のサイクル変化は、加熱処
理の有無に応じ、実施例12と同様の傾向を示した。
焼結体サンプルを前記のような種々の組成の焼結体サン
プルにかえて、同様に特性を調べたところ、加熱処理の
有無に応じ、実施例11〜14の結果と同様の結果を示
した。
することができ、この結果、例えば二次電池の正極材料
としたとき放電容量を大きくすることができる。また、
さらに加熱処理した正極材料を用いることによってサイ
クル特性が向上する。
サンプルのSEM写真である。
ンプルのSEM写真である。
ラフである。
を示すグラフである。
示すグラフである。
サンプルのSEM写真である。
ラフである。
る。
料に用いた二次電池のサイクル特性を示すグラフであ
る。
料に用いた二次電池のサイクル特性を示すグラフであ
る。
式図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 式AMO2 (ここで、AはLiおよびN
aのうちの1種以上を表わし、MはCo、Ni、Feお
よびCrのうちの1種以上を表わす。)で示される組成
を含む層状構造酸化物の結晶子を有し、 この結晶子の表面または結晶子間にBi、PbおよびB
から選ばれる少なくとも1種の添加元素Zが酸化物の形
で存在する層状構造酸化物。 - 【請求項2】 前記Aの原料化合物および前記Mの原料
化合物と、前記層状構造酸化物の原料粉体との少なくと
も一方に対し、前記Zを添加して焼成した請求項1の層
状構造酸化物。 - 【請求項3】 前記Mに対する前記Zの原子比Z/Mが
0.1以下である請求項1または2の層状構造酸化物。 - 【請求項4】 前記Z/Mが0.0001以上である請
求項1〜3のいずれかの層状構造酸化物。 - 【請求項5】 さらに前記元素AをA/Zが2以下とな
るように添加して焼成した請求項1〜4のいずれかの層
状構造酸化物。 - 【請求項6】 結晶子の平均径が2μm 以上である請求
項1〜5のいずれかの層状構造酸化物。 - 【請求項7】 X線回折スペクトルの(003)ピーク
と(104)ピークとの強度比I003 /I104 が2以上
である請求項1〜6のいずれかの層状構造酸化物。 - 【請求項8】 前記焼成を1000℃以上の温度で行う
請求項7の層状構造酸化物。 - 【請求項9】 前記焼成を加圧下で行う請求項7または
8の層状構造酸化物。 - 【請求項10】 さらに、100〜500℃の温度で加
熱処理を行った請求項1〜9のいずれかの層状構造酸化
物。 - 【請求項11】 前記加熱処理により、抵抗率を増加さ
せ、抵抗率の温度変化のヒステリシスを減少させた請求
項10の層状構造酸化物。 - 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかの層状構造
酸化物を正極に用いた二次電池。
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