JPH0833146B2 - エンジンのオイルパン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、長手方向一端に変速機結合用の結合部を
備えたようなエンジンのオイルパンに関する。

（従来技術） 従来、上述例のオイルパンとしては、例えば実開昭61
−10954号公報に記載のように、長手方向後端をクラッ
チハウジングに結合したパワープラント構造のものがあ
る。

この従来のオイルパンにおいては、同オイルパン全体
の剛性の向上を図ることができる利点を有する反面、オ
イルパンのクラッチハウジングとの合せ面の剛性が充分
でない問題点を有していた。

（発明の目的） この発明は、変速機ハウジングとの合せ面の剛性の向
上を図ることができ、曲げ応力に対して強いエンジンの
オイルパンの提供を目的とする。

（発明の構成） この発明は、長手方向一端に変速機結合用の結合部を
備えたオイルパンであって、上記結合部を略半円形状に
構成すると共に、上記結合部の下部周縁に形成された複
数の結合用ボス部と、左右両側に設けられ結合部を上下
方向に貫通するシリンダブロック締付用の締付け用ボス
部と、上記締付け用ボス部と結合用ボス部とを上下に連
結する第１リブ部と、シリンダブロック締付用の締付け
用ボス部間で上記第１リブ部を左右に連結する水平な第
２リブ部とを備えたエンジンのオイルパンであることを
特徴とする。

（発明の効果） この発明によれば、上述の締付け用ボス部と第１リブ
部と下部周縁との三者により、オイルパンの変速機ハウ
ジングとの合せ面にトラス（truss）構造が形成され、
かつ左右のトラス構造相互間を水平な第２リブ部で連結
しているので、変速機ハウジングとの合せ面の剛性を大
幅に向上させることができ、曲げ応力に対して強い構造
となる特有の効果がある。

（実施例） この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。

図面はエンジンのオイルパンを示し、第１図乃至第４
図において、シリンダブロック１の下部にオイルパン２
を連結し、このオイルパン２の長手方向一端に形成した
変速機結合用の結合部３には、トルクコンバータのハウ
ジング４を結合してパワープラントを構成している。

上述のオイルパン２は深底部５と、浅底部６と、排気
管挿通用の凹部７と、上述の結合部３とを一体形成した
アルミダイキャスト製のものである。

第２図に示す如く、上述のオイルパン２をその長手方
向に油溜め部８と、リリーフオイル回収部９とに二分割
し、この分割境界部にはオイルパン２の幅方向両端部を
接続する仕切り用リブ10を一体形成している。

この仕切り用リブ10は第８図にも示す如く、その上部
に凹部11を形成している。この凹部11は、オイルストレ
ーナ12とオイルポンプ（図示せず）とを連通するストレ
ーナパイプ13を挿通させるためのものである。

また上述の仕切り用リブ10の下部一端にはオイルリタ
ーン用のボス部14を一体形成し、第８図の矢印ａ方向か
ら該ボス部14のドリル加工と同時に、仕切り用リブ10の
下端を切削して、上述のボス部14に開口したオイルリタ
ーン孔15と、上述の仕切り用リブ10の下部に開けられた
オイル流動通路16とを一直線上に形成している。

そして、上述のオイル流動通路16で、第２図に示す油
溜め部８内のオイルと、リリーフオイル回収部９内オイ
ルとを相互に連通させている。

ここで、上述の仕切り用リブ10およびオイル流動通路
16は、車両旋回時の油面変動によりオイル吸込み部が空
になってオイルストレーナ12がエアを吸込むのを防止す
ると共に、振動音の発生を防止し、かつ油量を多くして
オイル劣化を防ぐうえ、オイルパン２上部の口開きを防
止する。

ところで、前述の油溜め部８には深底部５内壁から所
定高さの合計４つのバッフルプレート取付座17…を立設
すると共に、浅底部６の隅部に１つのバッフルプレート
取付座18を立設して、これらの各取付座17,18上にバッ
フルプレート（図示せず）をビス止めすべく構成してい
る。

また第２図、第６図に示す如く、上述の浅底部６に
は、深底部５の側壁5aまで延びる凸状リブ19と、この凸
状リブ19に沿う凹溝20とを一体形成し、上述の凸状リブ
19で浅底部６の剛性の向上を図ると共に、トルクコンバ
ータのハウジング４の振動による曲げ応力、特に第１図
の矢印ｂ方向への曲げ応力に抗し得る構造となしてい
る。

また上述の凹溝20で、リターンオイルの深底部５への
還流を円滑に行なうように構成している。

さらに、第２図、第５図に示す如く、前述の側壁5aに
対応するオイルパン２の内壁と、この側壁5aとの間には
斜交状の補強リブ21を張架すると共に、浅底部６に対応
するオイルパン２の内壁と、この浅底部６との間にも上
述の斜交状の補強リブ21と略平行な補強リブ22を張架し
て、これら２条の補強リブ21,22によってねじり応力に
対する補強を行なっている。

さらにまた、第２図、第５図に示す如く、浅底部６寄
りの深底部５には、前述のオイルリターン部６寄りの深
底部５には、前述のオイルリターン用の凹溝20と対向し
てオイルパン２の幅方向に延びる立設リブ23を一体形成
し、リターンオイルをこの立設リブ23に当てて、オイル
中の気泡を除去すべく構成している。

ところで、前述の結合部３は第４図、第７図に示す如
く、その形状の略半円形状となして、トルクコンバータ
のハウジング４との合せ面24下端を上述の浅底部６より
も下方へ延出している。

そして、上述の略半円形状の結合部３の下部周縁25に
は、所定の間隔を隔てて合計４つの結合用ボス部26…を
一体形成している。

また上述の結合部３の左右両側には、該結合部３を上
下方向に貫通するシリンダブロック１締付用の締付け用
ボス部27,27を一体形成している。

これら各締付け用ボス部27,27の上部と、下部周縁25
における結合用ボス部26…とを上下斜交状に連結する第
１リブ部28,28を設けると共に、これら左右の各第１リ
ブ部28,28を左右横方向に連結する水平な第２リブ部29
を一体形成している。

そして、上述の締付け用ボス部27と、第１リブ部28
と、下部周縁25との三者でトラス構造体30,30を形成し
ている。

また、上述の第２リブ部29直下における締付け用ボス
部27,27間、さらに詳しくは第１リブ部28,28間には、作
業用穴31を穿設し、この作業用穴31を利用して、エンジ
ン側のドライブプレートと、トルクコンバータの所定部
位との締付けを行なうように構成している。

さらに、前述の結合部３の周縁には凹状の肉抜き部32
…を形成して、曲げ応力に対抗する構造と成すと共に、
軽量化を図っている。

図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作
用を説明する。

エンジンの駆動その他に起因して、オイルパン２には
第１図の矢印ｂ方向の曲げ応力が付勢されるが、前述の
締付け用ボス部27と、第１リブ部28と、下部周縁25との
三者により、オイルパン２のトルクコンバータのハウジ
ング４との合せ面24には、その左右にトラス構造体30,3
0を形成し、かつ、これら左右のトラス構造体30,30の相
互間を水平な第２リブ部29で連結しているので、上述の
合せ面24の剛性を大幅に向上させることができて、上述
の曲げ応力に充分対抗し得る。

この合せ面24の剛性は、作業用穴31が開口されても充
分なものであるから、オートマチック車に適用すること
ができる。

特に、上述の作業用穴31の開口面積を作業性のため、
さらに大きくするような場合、前述の左右のトラス構造
体30,30と水平な第２リブ部29との合せ面構成は極めて
有効となる。

なお、上記実施例においては変速機としてトルクコン
バータを例示したが、オイルパン２の一端に結合される
変速機は上述のトルクコンバータに限定されるものでは
ない。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の一実施例を示し、 第１図はエンジンのオイルパンを示す側面図、 第２図はオイルパンの平面図、 第３図はオイルパンの左側面図、 第４図はオイルパンの右側面図、 第５図は第２図のＶ−Ｖ線矢視断面図、 第６図は第２図のVI−VI線矢視断面図、 第７図は第２図のVII−VII線矢視断面図、 第８図は第２図のVIII−VIII線矢視断面図である。 ２……オイルパン、３……結合部 25……下部周縁、26……結合用ボス部 27……締付け用ボス部、28……第１リブ部 29……第２リブ部、31……作業用穴

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】その長手方向の一端に変速機結合用の結合
   部を備えたオイルパンであって、 上記結合部を略半円形状に構成すると共に、 上記結合部の下部周縁に形成された複数の結合用ボス部
   と、 左右両側に設けられ結合部を上下方向に貫通するシリン
   ダブロック締付用の締付け用ボス部と、 上記締付け用ボス部と結合用ボス部とを上下に連結する
   第１リブと、 シリンダブロック締付用の締付け用ボス部間で上記第１
   リブ部を左右に連結する水平な第２リブ部とを備えた エンジンのオイルパン。
2. 【請求項２】上記結合部における左右の締付け用ボス部
   間に作業用穴を設けた 特許請求の範囲第１項記載の エンジンのオイルパン。