JPH08319549A - 加工後の耐食性に優れた溶融アルミめっき鋼板の製造方法 - Google Patents
加工後の耐食性に優れた溶融アルミめっき鋼板の製造方法Info
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- JPH08319549A JPH08319549A JP7126112A JP12611295A JPH08319549A JP H08319549 A JPH08319549 A JP H08319549A JP 7126112 A JP7126112 A JP 7126112A JP 12611295 A JP12611295 A JP 12611295A JP H08319549 A JPH08319549 A JP H08319549A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は建材、家電等に使用される加工後の
耐食性等に優れた溶融アルミめっき鋼板の製造法を提供
する。 【構成】 Si:3〜12%、Fe:0.5〜2.5
%、Mn:0.05〜1%、Cr:0.02〜0.15
%を含有し、SnとZnの和が1%以下であるようなア
ルミめっき浴で鋼板にめっきを行い、めっき付着量を両
面で60g/m2 以上に調節した後、下記のA,B,
C,D,E,F6点を結ぶ領域内の条件で焼鈍処理をす
る溶融アルミめっき鋼板の製造法。本来はその後有機樹
脂塗装を施しても良い。 A(5秒, 510℃) B(1分, 530℃) C(30時間, 530℃) D(30時間, 300℃) E(1分, 300℃) F(5秒, 450℃)
耐食性等に優れた溶融アルミめっき鋼板の製造法を提供
する。 【構成】 Si:3〜12%、Fe:0.5〜2.5
%、Mn:0.05〜1%、Cr:0.02〜0.15
%を含有し、SnとZnの和が1%以下であるようなア
ルミめっき浴で鋼板にめっきを行い、めっき付着量を両
面で60g/m2 以上に調節した後、下記のA,B,
C,D,E,F6点を結ぶ領域内の条件で焼鈍処理をす
る溶融アルミめっき鋼板の製造法。本来はその後有機樹
脂塗装を施しても良い。 A(5秒, 510℃) B(1分, 530℃) C(30時間, 530℃) D(30時間, 300℃) E(1分, 300℃) F(5秒, 450℃)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として建材として使
用される、加工後の耐食性に優れた溶融アルミめっき鋼
板の製造法に関するものである。
用される、加工後の耐食性に優れた溶融アルミめっき鋼
板の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融アルミめっき鋼板は主としてアルミ
からなるアルミめっき層(以下、めっき層と言う)、及
び被めっき鋼板とアルミの反応物である金属間化合物か
らなる層(以下、合金層と言う)とを有する鋼板で、耐
熱性、耐食性に優れることが知られている。これらの特
長を生かして、自動車排気系素材、熱器具を主とする家
電製品として使用されてきた。また耐候性に非常に優
れ、美しい銀白色の外観を有する事から近年では屋根、
壁などの建材にもその用途が広がってきている。更にこ
れに有機塗膜を施した製品も商品化されている。
からなるアルミめっき層(以下、めっき層と言う)、及
び被めっき鋼板とアルミの反応物である金属間化合物か
らなる層(以下、合金層と言う)とを有する鋼板で、耐
熱性、耐食性に優れることが知られている。これらの特
長を生かして、自動車排気系素材、熱器具を主とする家
電製品として使用されてきた。また耐候性に非常に優
れ、美しい銀白色の外観を有する事から近年では屋根、
壁などの建材にもその用途が広がってきている。更にこ
れに有機塗膜を施した製品も商品化されている。
【0003】ところが溶融アルミめっき鋼板を建材用、
或いは家電用に使用する際次のような問題点があった。
すなわち建材、家電用途においてはその加工方法は主と
して曲げ加工であるが、厳しい曲げ加工を受けた際にめ
っき層に亀裂が発生して、ここから初期に赤錆が発生し
て外観を損ない、長期的にみても耐久性を損なう事にな
っていた。そこでこれを改善する方法が幾つか提案され
ている。本出願人らも特開平6−128713号公報に
おいてめっき後に特定条件で加熱し、更に樹脂塗装する
発明を開示した。
或いは家電用に使用する際次のような問題点があった。
すなわち建材、家電用途においてはその加工方法は主と
して曲げ加工であるが、厳しい曲げ加工を受けた際にめ
っき層に亀裂が発生して、ここから初期に赤錆が発生し
て外観を損ない、長期的にみても耐久性を損なう事にな
っていた。そこでこれを改善する方法が幾つか提案され
ている。本出願人らも特開平6−128713号公報に
おいてめっき後に特定条件で加熱し、更に樹脂塗装する
発明を開示した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この方法によってもか
なりの改善が可能であったが、アルミめっきの付着量が
両面100g/m2 以上無いと効果がなく、また焼鈍に
比較的長時間を要するため、BAF焼鈍が前提で比較的
コスト上昇を伴うものであった。
なりの改善が可能であったが、アルミめっきの付着量が
両面100g/m2 以上無いと効果がなく、また焼鈍に
比較的長時間を要するため、BAF焼鈍が前提で比較的
コスト上昇を伴うものであった。
【0005】
【課題を解決するための手段】これに対して本発明はめ
っき付着量が両面で60g/m2 以上で効果があるため
に、付着量の少ない家電分野にも適用可能で、また焼鈍
も短時間で良いためにインラインで焼鈍する事が可能で
コストを低減する事が可能となるものである。特開平6
−330274号公報にも開示したように、本発明者ら
は溶融アルミめっき鋼板を特定条件で加熱すると加工後
の耐食性が向上する理由について以下のように考えてい
る。すなわち加熱によってめっき層中に固溶していた不
純物成分で固溶硬化成分でもあるFeが析出する過時効
効果でめっき層が軟化し、めっき層が軟質化して延性が
向上するため加工部のめっき層に亀裂が入りにくくな
り、めっき層中の亀裂がなくなるため赤錆の発生が抑制
される。この際にめっき層の下層の合金層は非常に脆性
で合金層の亀裂は避けられない。しかし軟質なめっき層
がある厚み以上有れば表面までの亀裂の伝播を抑制でき
る。また焼鈍時にめっき層が軟化するまで時間がかかる
のはFeの析出に時間がかかるためである。
っき付着量が両面で60g/m2 以上で効果があるため
に、付着量の少ない家電分野にも適用可能で、また焼鈍
も短時間で良いためにインラインで焼鈍する事が可能で
コストを低減する事が可能となるものである。特開平6
−330274号公報にも開示したように、本発明者ら
は溶融アルミめっき鋼板を特定条件で加熱すると加工後
の耐食性が向上する理由について以下のように考えてい
る。すなわち加熱によってめっき層中に固溶していた不
純物成分で固溶硬化成分でもあるFeが析出する過時効
効果でめっき層が軟化し、めっき層が軟質化して延性が
向上するため加工部のめっき層に亀裂が入りにくくな
り、めっき層中の亀裂がなくなるため赤錆の発生が抑制
される。この際にめっき層の下層の合金層は非常に脆性
で合金層の亀裂は避けられない。しかし軟質なめっき層
がある厚み以上有れば表面までの亀裂の伝播を抑制でき
る。また焼鈍時にめっき層が軟化するまで時間がかかる
のはFeの析出に時間がかかるためである。
【0006】以上を鑑みて本発明者らは溶融アルミめっ
き鋼板のめっき層をより速く、より軟質にする手段につ
いて種々実験を繰り返し、以下の知見を得るに至った。
つまりアルミめっき浴にMnとCrを複合添加すると、
めっき直後の軟質化効果はないが、その後の焼鈍時にお
いてめっき層の軟質化効果がより速くまたより強く現れ
る事実を見いだした。めっき浴にこれらの元素を添加し
たとき、これらの元素はめっき層に均一に分散するので
はなく、合金層へ顕著に濃化していく。具体的にはめっ
き層中のこれら元素の濃度は添加量の1/5〜1/10
程度で、残りは合金層中へ濃化していく。その結果めっ
き層中のMn,Cr濃度はそれぞれ0.04%、0.0
1%程度と小さい値になるが、これがおそらくFe析出
のサイトになってめっき層の軟質化を早めていると思わ
れる。まためっき浴中のSn,Znはいずれもアルミめ
っき鋼板の耐食性を著しく阻害する元素である。このた
めこれら不純物元素の和は一定量以下に制限する必要が
ある。
き鋼板のめっき層をより速く、より軟質にする手段につ
いて種々実験を繰り返し、以下の知見を得るに至った。
つまりアルミめっき浴にMnとCrを複合添加すると、
めっき直後の軟質化効果はないが、その後の焼鈍時にお
いてめっき層の軟質化効果がより速くまたより強く現れ
る事実を見いだした。めっき浴にこれらの元素を添加し
たとき、これらの元素はめっき層に均一に分散するので
はなく、合金層へ顕著に濃化していく。具体的にはめっ
き層中のこれら元素の濃度は添加量の1/5〜1/10
程度で、残りは合金層中へ濃化していく。その結果めっ
き層中のMn,Cr濃度はそれぞれ0.04%、0.0
1%程度と小さい値になるが、これがおそらくFe析出
のサイトになってめっき層の軟質化を早めていると思わ
れる。まためっき浴中のSn,Znはいずれもアルミめ
っき鋼板の耐食性を著しく阻害する元素である。このた
めこれら不純物元素の和は一定量以下に制限する必要が
ある。
【0007】本発明によれば上記の溶融アルミめっき鋼
板の製造法として、Si:3〜12%、Fe:0.5〜
2.5%、Mn:0.05〜1.0%、Cr:0.02
〜0.15%、残部が実質的にAlからなり、かつ不純
物中のZnとSnの和が1%以下であるようなめっき浴
でめっきして、付着量を両面で60g/m2 以下に調整
した後に300〜530℃で10秒〜30時間加熱処理
をする製造法が提供される。また更にその後にクロメー
ト処理と有機樹脂塗装を施す製造法が提供される。
板の製造法として、Si:3〜12%、Fe:0.5〜
2.5%、Mn:0.05〜1.0%、Cr:0.02
〜0.15%、残部が実質的にAlからなり、かつ不純
物中のZnとSnの和が1%以下であるようなめっき浴
でめっきして、付着量を両面で60g/m2 以下に調整
した後に300〜530℃で10秒〜30時間加熱処理
をする製造法が提供される。また更にその後にクロメー
ト処理と有機樹脂塗装を施す製造法が提供される。
【0008】以下、本発明の限定理由について説明す
る。まずめっき浴組成に関して説明する。 Si:溶融アルミめっき鋼板には前述したようにアルミ
めっき層に加えて非常に硬くて脆い合金層が生成し、こ
の層はめっき密着性を阻害する。この影響を少なくする
ために通常めっき浴中にSiを10%程度添加して、合
金層の厚みを抑制している。本発明においても同様の目
的でSiを添加する。この目的のためには浴中のSi量
は最低限3%は必要で、一方Siを添加し過ぎるとめっ
き層中に粗大な初晶Siが生成して耐食性に悪影響を与
えるため上限を12%とする。
る。まずめっき浴組成に関して説明する。 Si:溶融アルミめっき鋼板には前述したようにアルミ
めっき層に加えて非常に硬くて脆い合金層が生成し、こ
の層はめっき密着性を阻害する。この影響を少なくする
ために通常めっき浴中にSiを10%程度添加して、合
金層の厚みを抑制している。本発明においても同様の目
的でSiを添加する。この目的のためには浴中のSi量
は最低限3%は必要で、一方Siを添加し過ぎるとめっ
き層中に粗大な初晶Siが生成して耐食性に悪影響を与
えるため上限を12%とする。
【0009】Fe:Feは前述したようにめっき層に固
溶して硬化させる元素で、本来的には浴中濃度は少なけ
れば少ないほど好ましいものである。通常浴中に2%程
度入っていて、めっき層中にも0.3〜0.8%程度含
有されている。この由来はめっき原板あるいは浴中機器
より溶出してくるものであるため、不可避的に混入して
くる元素で完全に除去することは不可能に近い。無理に
低減すると浴中機器を溶損しやすくなるため、浴中下限
値を0.5%とする。耐食性阻害あるいはドロス起因の
外観汚れがでることから上限値を2.5%とする。
溶して硬化させる元素で、本来的には浴中濃度は少なけ
れば少ないほど好ましいものである。通常浴中に2%程
度入っていて、めっき層中にも0.3〜0.8%程度含
有されている。この由来はめっき原板あるいは浴中機器
より溶出してくるものであるため、不可避的に混入して
くる元素で完全に除去することは不可能に近い。無理に
低減すると浴中機器を溶損しやすくなるため、浴中下限
値を0.5%とする。耐食性阻害あるいはドロス起因の
外観汚れがでることから上限値を2.5%とする。
【0010】Mn:この元素は本発明において重要な元
素である。Crと共存する事でめっき層中のFeの析出
を促進する。その効果を発揮するためには浴中に最低
0.05%は必要である。一方Mnのめっき浴中の溶解
度は、通常のめっき温度である650℃において約0.
6%である。Al−Mn二元系状態図ではMnの溶解度
は約1%とされているが、Siを約10%を含有する浴
においては溶解度が下がるものと思われる。Mnを0.
6%以上溶かすには浴温を上げる必要があり、そうする
と合金層が厚く成長しやすくなってめっき密着性が劣化
するという問題を生じる。このため浴中Mn濃度の上限
は1%とする。この浴でめっきを行うときのめっき層中
Mn濃度は最大0.5%程度である。
素である。Crと共存する事でめっき層中のFeの析出
を促進する。その効果を発揮するためには浴中に最低
0.05%は必要である。一方Mnのめっき浴中の溶解
度は、通常のめっき温度である650℃において約0.
6%である。Al−Mn二元系状態図ではMnの溶解度
は約1%とされているが、Siを約10%を含有する浴
においては溶解度が下がるものと思われる。Mnを0.
6%以上溶かすには浴温を上げる必要があり、そうする
と合金層が厚く成長しやすくなってめっき密着性が劣化
するという問題を生じる。このため浴中Mn濃度の上限
は1%とする。この浴でめっきを行うときのめっき層中
Mn濃度は最大0.5%程度である。
【0011】Cr:Mnと並んでやはり本発明に重要な
元素である。Mnと同じくめっき層中Fe析出を促進す
る。この効果を期待するためには浴中に0.02%以上
の添加が必要である。CrもMnと同様にめっき浴への
溶解度が低く、650℃で約0.1%で、これ以上溶解
させようとするとやはり浴温を上げなければならない。
すると合金層が厚く成長するため、0.15%を浴中C
r量上限値とする。このときのめっき層中Cr量は0.
05%程度である。Al−Cr二元状態図ではAl中C
r溶解度は0.4%であるが、Mnと同様の理由で溶解
度は下がっていると思われる。
元素である。Mnと同じくめっき層中Fe析出を促進す
る。この効果を期待するためには浴中に0.02%以上
の添加が必要である。CrもMnと同様にめっき浴への
溶解度が低く、650℃で約0.1%で、これ以上溶解
させようとするとやはり浴温を上げなければならない。
すると合金層が厚く成長するため、0.15%を浴中C
r量上限値とする。このときのめっき層中Cr量は0.
05%程度である。Al−Cr二元状態図ではAl中C
r溶解度は0.4%であるが、Mnと同様の理由で溶解
度は下がっていると思われる。
【0012】CrとMnを複合添加した際に両元素が合
金層に濃化する理由については現在のところまだ不明確
ではあるが、Cr−Mn−Fe(−Al−Si)系の安
定な金属間化合物が生成するためにFe濃度の高い原板
側にCr,Mnが移動していく事が考えられる。 Zn,Sn:これらは全てAlの耐食性を大きく阻害
し、白錆発生を早める元素である。このため浴中におけ
るこれらの元素の和を1%以下に限定する。
金層に濃化する理由については現在のところまだ不明確
ではあるが、Cr−Mn−Fe(−Al−Si)系の安
定な金属間化合物が生成するためにFe濃度の高い原板
側にCr,Mnが移動していく事が考えられる。 Zn,Sn:これらは全てAlの耐食性を大きく阻害
し、白錆発生を早める元素である。このため浴中におけ
るこれらの元素の和を1%以下に限定する。
【0013】次にめっきの付着量の限定理由とめっき後
の焼鈍条件の限定理由を説明する。前述したように焼鈍
してめっき層が軟化すると、曲げ加工時の合金層からの
亀裂の表面までの伝播を抑制して結果的にめっきを貫通
する亀裂が少なくなる。従ってこの効果はめっきの付着
量に依存し、付着量が少ないと効果も少なくなる。本発
明ではめっき層の軟質化が充分起こっているが、それで
も付着量が両面60g/m2 以下ではその効果は発揮さ
れない。従って付着量の下限を60g/m2とする。こ
れ以上であれば効果はあるが、付着量が多すぎるとめっ
き密着性を損なうおそれや、製造時に流れ模様を発生し
やすくなる等不利な点も多く、望ましい付着量は80〜
300g/m2 である。
の焼鈍条件の限定理由を説明する。前述したように焼鈍
してめっき層が軟化すると、曲げ加工時の合金層からの
亀裂の表面までの伝播を抑制して結果的にめっきを貫通
する亀裂が少なくなる。従ってこの効果はめっきの付着
量に依存し、付着量が少ないと効果も少なくなる。本発
明ではめっき層の軟質化が充分起こっているが、それで
も付着量が両面60g/m2 以下ではその効果は発揮さ
れない。従って付着量の下限を60g/m2とする。こ
れ以上であれば効果はあるが、付着量が多すぎるとめっ
き密着性を損なうおそれや、製造時に流れ模様を発生し
やすくなる等不利な点も多く、望ましい付着量は80〜
300g/m2 である。
【0014】焼鈍条件について説明する。まず温度につ
いては温度が低いとFeの析出反応の速度が遅く、めっ
き層軟化までに時間がかかりすぎる。この理由から焼鈍
温度の下限を300℃とする。またこの反応速度は温度
と共に大きくなり、500℃で極値を示し、それ以上で
は急速に減少する。530℃以上の温度でもめっき層軟
化までに時間がかかりすぎ、寧ろ地鉄とめっき層の拡散
反応の方が起こって合金層が成長してしまう。そこで上
限をこの温度とする。焼鈍時間は勿論焼鈍温度との兼ね
合いで決まってくるが、450〜510℃という500
℃近傍でも5秒以下では軟質化は不可能で、時間の下限
はこの値である。一方焼鈍時間を長くすると温度範囲は
広がり、1分という時間では温度範囲は300℃から5
00℃まで可能である。長時間側はBAF焼鈍が前提と
なるが、あまり長時間の焼鈍は経済的な理由から実現が
困難であるため時間の上限を30hrとした。500℃
近傍の温度では短時間で処理が可能で、インラインの炉
で処理を行う事が可能なためコスト上のメリットも大き
い。
いては温度が低いとFeの析出反応の速度が遅く、めっ
き層軟化までに時間がかかりすぎる。この理由から焼鈍
温度の下限を300℃とする。またこの反応速度は温度
と共に大きくなり、500℃で極値を示し、それ以上で
は急速に減少する。530℃以上の温度でもめっき層軟
化までに時間がかかりすぎ、寧ろ地鉄とめっき層の拡散
反応の方が起こって合金層が成長してしまう。そこで上
限をこの温度とする。焼鈍時間は勿論焼鈍温度との兼ね
合いで決まってくるが、450〜510℃という500
℃近傍でも5秒以下では軟質化は不可能で、時間の下限
はこの値である。一方焼鈍時間を長くすると温度範囲は
広がり、1分という時間では温度範囲は300℃から5
00℃まで可能である。長時間側はBAF焼鈍が前提と
なるが、あまり長時間の焼鈍は経済的な理由から実現が
困難であるため時間の上限を30hrとした。500℃
近傍の温度では短時間で処理が可能で、インラインの炉
で処理を行う事が可能なためコスト上のメリットも大き
い。
【0015】また本発明を建材用に使用する場合、多く
はその上に塗装して使用に供する。塗装の目的は主に2
種類あり、1つはアルミの持つ美しい銀白色の外観を生
かして使用する場合で、この時アルミめっき鋼板はめっ
き層が軟らかいために、加工が施されるとめっき層の疵
付きとそれに伴う疵部からの赤錆発生が起こりやすい。
これを防止するため透明塗膜を付与する。特に苛酷な加
工が施される場合にはワックスを添加した透明樹脂塗装
が効果的である。もう1つは耐食性に優れるアルミめっ
きを塗装原板として使用する場合で、下塗り塗膜と上塗
り塗膜を有する着色鋼板となる。
はその上に塗装して使用に供する。塗装の目的は主に2
種類あり、1つはアルミの持つ美しい銀白色の外観を生
かして使用する場合で、この時アルミめっき鋼板はめっ
き層が軟らかいために、加工が施されるとめっき層の疵
付きとそれに伴う疵部からの赤錆発生が起こりやすい。
これを防止するため透明塗膜を付与する。特に苛酷な加
工が施される場合にはワックスを添加した透明樹脂塗装
が効果的である。もう1つは耐食性に優れるアルミめっ
きを塗装原板として使用する場合で、下塗り塗膜と上塗
り塗膜を有する着色鋼板となる。
【0016】塗装の工程はまずクロメート処理を行い、
次に有機樹脂を塗装するわけであるが、本発明において
クロメート種、樹脂塗膜の種類はとくにこれを問わな
い。通常のクロメートには、クロム酸の他に耐食性のた
めシリカ、白色化のため燐酸等が含有されている。クロ
メートの膜厚についても特に限定しないが通常は5〜4
0mg程度の範囲で安定した防錆能を有する。塗装につ
いても防錆顔料等を含有する下塗り塗膜と、その上に着
色顔料を含有する上塗り塗膜を施す場合には、下塗り塗
料としてはエポキシ系、アクリル系、ポリエステル系
等、また上塗り塗料としてはアクリル系、シリコンポリ
エステル系、フッソ系等が使用可能である。
次に有機樹脂を塗装するわけであるが、本発明において
クロメート種、樹脂塗膜の種類はとくにこれを問わな
い。通常のクロメートには、クロム酸の他に耐食性のた
めシリカ、白色化のため燐酸等が含有されている。クロ
メートの膜厚についても特に限定しないが通常は5〜4
0mg程度の範囲で安定した防錆能を有する。塗装につ
いても防錆顔料等を含有する下塗り塗膜と、その上に着
色顔料を含有する上塗り塗膜を施す場合には、下塗り塗
料としてはエポキシ系、アクリル系、ポリエステル系
等、また上塗り塗料としてはアクリル系、シリコンポリ
エステル系、フッソ系等が使用可能である。
【0017】防錆顔料としてもクロム酸ストロンチウム
やクロム酸カルシウム等使用可能である。透明塗膜を施
す場合にもアクリル系、ポリエステル系、シリコン変性
系等各種塗料が使用可能である。また透明塗膜において
特に高い耐疵付き性、加工性を得たい場合には透明塗膜
中への1%程度のワックス添加が有効で、ワックスの種
類もポリエチレン系、ポリプロピレン系等各種が使用可
能である。本発明品は外観を美麗にするためにゼロスパ
ングル処理を行う事もできる。本発明のめっき原板とし
ても特に限定するものではない。通常のAl−k鋼で充
分な性能を発揮するが、特に厳しい加工を要する場合に
はTi−IF鋼の適用が望ましい。
やクロム酸カルシウム等使用可能である。透明塗膜を施
す場合にもアクリル系、ポリエステル系、シリコン変性
系等各種塗料が使用可能である。また透明塗膜において
特に高い耐疵付き性、加工性を得たい場合には透明塗膜
中への1%程度のワックス添加が有効で、ワックスの種
類もポリエチレン系、ポリプロピレン系等各種が使用可
能である。本発明品は外観を美麗にするためにゼロスパ
ングル処理を行う事もできる。本発明のめっき原板とし
ても特に限定するものではない。通常のAl−k鋼で充
分な性能を発揮するが、特に厳しい加工を要する場合に
はTi−IF鋼の適用が望ましい。
【0018】
【実施例】次に本発明を実施例でもって更に詳しく説明
する。通常の熱延、冷延工程を経た板厚0.8mmの表
1に示すような数種類の鋼成分の鋼をめっき原板として
使用し、無酸化炉−還元炉タイプのラインで溶融アルミ
めっきを行った。めっき後ガスワイピング法でめっき付
着量を両面で40〜300g/m2 に調整し、冷却後捲
取った。この際めっき浴成分としてSi,Mn,Crを
添加してめっきを行い、良好な外観のめっきが可能であ
った。一部のアルミめっき鋼板に対しては有機樹脂塗装
を行った。まずCrO3 :30g/l,H3 PO4 :1
0g/l,SiO2 :10g/lの液を使用してロール
塗布を行い、100℃で乾燥させ、付着量15mg/m
2 のクロメート処理を施した。次に塗装を行った。塗装
系は2コートタイプと1コートの透明樹脂の両方とし
た。その塗装条件を表2に示す。これら一連の試料を製
造後各特性を下記に示す評価法で評価した。また製造条
件と評価結果を表3にまとめる。
する。通常の熱延、冷延工程を経た板厚0.8mmの表
1に示すような数種類の鋼成分の鋼をめっき原板として
使用し、無酸化炉−還元炉タイプのラインで溶融アルミ
めっきを行った。めっき後ガスワイピング法でめっき付
着量を両面で40〜300g/m2 に調整し、冷却後捲
取った。この際めっき浴成分としてSi,Mn,Crを
添加してめっきを行い、良好な外観のめっきが可能であ
った。一部のアルミめっき鋼板に対しては有機樹脂塗装
を行った。まずCrO3 :30g/l,H3 PO4 :1
0g/l,SiO2 :10g/lの液を使用してロール
塗布を行い、100℃で乾燥させ、付着量15mg/m
2 のクロメート処理を施した。次に塗装を行った。塗装
系は2コートタイプと1コートの透明樹脂の両方とし
た。その塗装条件を表2に示す。これら一連の試料を製
造後各特性を下記に示す評価法で評価した。また製造条
件と評価結果を表3にまとめる。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】(1)耐食性試験 加工後耐食性試験 寸法50×100mmの試料を使用して、tを板厚とし
て0t曲げ(密着曲げ)から2t曲げを行い、南向き3
0°に傾斜させ、重工業地帯で1ケ月間の屋外暴露試験
を行い、加工部の赤錆発生面積率を求めた。 平板耐食性試験 寸法70×150mmの試料を使用して、JIS Z
2371に準拠した塩水噴霧試験(SST)を30日間
行い、試験後の白錆発生状況より下記の基準に従い判定
した。尚塗装したものは試験していない。 ◎:白錆3%以下 〇:白錆3%超〜10% △:白錆10%超〜20% ×:白錆20%超
て0t曲げ(密着曲げ)から2t曲げを行い、南向き3
0°に傾斜させ、重工業地帯で1ケ月間の屋外暴露試験
を行い、加工部の赤錆発生面積率を求めた。 平板耐食性試験 寸法70×150mmの試料を使用して、JIS Z
2371に準拠した塩水噴霧試験(SST)を30日間
行い、試験後の白錆発生状況より下記の基準に従い判定
した。尚塗装したものは試験していない。 ◎:白錆3%以下 〇:白錆3%超〜10% △:白錆10%超〜20% ×:白錆20%超
【0023】(2)めっき密着性:下記2種の試験を行
った。 リバースベンド試験 図1に示すような形状に試片の衝撃曲げを行い、曲げ部
のめっき剥離状況を観 察して、評点をつけた。評点の基準を下に示す。 評 点 基 準 1 異常無し 2 めっき層に亀裂発生 3 点状めっき剥離あり 4 箔状めっき剥離あり 5 全面めっき剥離 カップ絞り試験 ブランク径:50mm 絞り深さ:10mm ダイス肩半径:20mm ポンチ径:33mm
った。 リバースベンド試験 図1に示すような形状に試片の衝撃曲げを行い、曲げ部
のめっき剥離状況を観 察して、評点をつけた。評点の基準を下に示す。 評 点 基 準 1 異常無し 2 めっき層に亀裂発生 3 点状めっき剥離あり 4 箔状めっき剥離あり 5 全面めっき剥離 カップ絞り試験 ブランク径:50mm 絞り深さ:10mm ダイス肩半径:20mm ポンチ径:33mm
【0024】上記条件で絞り加工を行い、側面部のめっ
き剥離状況を観察した。評点の基準はのリバースベン
ド試験と同一である。Mn,Crを添加していないめっ
き浴でめっきした溶融アルミめっき鋼板は短時間焼鈍で
は充分な加工後の耐食性が得られない。またMn,Cr
が多すぎると浴温の上昇を伴い、合金層発達による密着
性劣化を招く。付着量が少なすぎるか、或いは焼鈍条件
が適正でないと加工後の耐食性は向上しない。逆にM
n,Crを添加した浴で適正なめっき付着量に調整し
て、適正な条件で焼鈍すると良好な密着性、加工後耐食
性を示す。またこれに塗装を施しても効果は変わらな
い。
き剥離状況を観察した。評点の基準はのリバースベン
ド試験と同一である。Mn,Crを添加していないめっ
き浴でめっきした溶融アルミめっき鋼板は短時間焼鈍で
は充分な加工後の耐食性が得られない。またMn,Cr
が多すぎると浴温の上昇を伴い、合金層発達による密着
性劣化を招く。付着量が少なすぎるか、或いは焼鈍条件
が適正でないと加工後の耐食性は向上しない。逆にM
n,Crを添加した浴で適正なめっき付着量に調整し
て、適正な条件で焼鈍すると良好な密着性、加工後耐食
性を示す。またこれに塗装を施しても効果は変わらな
い。
【0025】
【発明の効果】本発明によって製造された溶融アルミめ
っき鋼板は優れた加工後の耐食性を有する。特に従来の
方法で製造されたものよりも付着量の少ない領域でも効
果的であるため適用範囲が広がり、また短時間焼鈍が可
能になってコスト上のメリットも大きく、産業上寄与す
るところが大きいものである。
っき鋼板は優れた加工後の耐食性を有する。特に従来の
方法で製造されたものよりも付着量の少ない領域でも効
果的であるため適用範囲が広がり、また短時間焼鈍が可
能になってコスト上のメリットも大きく、産業上寄与す
るところが大きいものである。
【図1】めっき密着性評価法であるリバースベンド法の
成形形状、手順の説明図である。
成形形状、手順の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 28/00 C23C 28/00 C
Claims (2)
- 【請求項1】 鋼板に、Si:3〜12%、Fe:0.
5〜2.5%、Mn:0.05〜1.0%、Cr:0.
02〜0.15%、残部が実質的にAlよりなり、かつ
不純物中のZn,Sn含有量が合計で1%以下であるめ
っき浴で溶融アルミめっきを施し、めっきの付着量を両
面で60g/m2 以上に調整した後に、時間を横軸、温
度を縦軸とする座標上で次のA,B,C,D,E,Fで
囲まれる領域上の条件で加熱を行うことを特徴とする加
工後の耐食性に優れた溶融アルミめっき鋼板の製造方
法。 A(5sec,510℃) B(1min,530℃) C(30hr,530℃) D(30hr,300℃) E(1min,300℃) F(5sec,450℃) - 【請求項2】 溶融アルミめっきと焼鈍を行った後にク
ロメート処理、有機樹脂塗装する事を特徴とする請求項
1記載の加工後の耐食性に優れた塗装溶融アルミめっき
鋼板の製造方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12611295A JP3383123B2 (ja) | 1995-05-25 | 1995-05-25 | 加工後の耐食性に優れた溶融アルミめっき鋼板の製造方法 |
EP96107911A EP0743373B1 (en) | 1995-05-18 | 1996-05-17 | Hot-dipped aluminum coated steel sheet having excellent corrosion resistance and heat resistance, and production method thereof |
US08/649,363 US5789089A (en) | 1995-05-18 | 1996-05-17 | Hot-dipped aluminum coated steel sheet having excellent corrosion resistance and heat resistance, and production method thereof |
DE69603782T DE69603782T2 (de) | 1995-05-18 | 1996-05-17 | Aluminiumbeschichtetes Stahlband mit sehr guter Korrosions- und Wärmebeständigkeit und zugehöriges Herstellungsverfahren |
KR1019960016812A KR0176301B1 (ko) | 1995-05-18 | 1996-05-18 | 우수한 내식성과 내열성을 가지는 용융 알루미늄 코팅 강판과 그의 제조 방법 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12611295A JP3383123B2 (ja) | 1995-05-25 | 1995-05-25 | 加工後の耐食性に優れた溶融アルミめっき鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08319549A true JPH08319549A (ja) | 1996-12-03 |
JP3383123B2 JP3383123B2 (ja) | 2003-03-04 |
Family
ID=14926934
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12611295A Expired - Fee Related JP3383123B2 (ja) | 1995-05-18 | 1995-05-25 | 加工後の耐食性に優れた溶融アルミめっき鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3383123B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013194295A (ja) * | 2012-03-21 | 2013-09-30 | Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp | めっき金属板、遮熱塗装金属板及び遮熱塗装金属板の製造方法 |
WO2015022821A1 (ja) | 2013-08-14 | 2015-02-19 | 日新製鋼株式会社 | 全反射特性と耐食性に優れたAl被覆鋼板およびその製造法 |
-
1995
- 1995-05-25 JP JP12611295A patent/JP3383123B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013194295A (ja) * | 2012-03-21 | 2013-09-30 | Nippon Steel & Sumikin Coated Sheet Corp | めっき金属板、遮熱塗装金属板及び遮熱塗装金属板の製造方法 |
WO2015022821A1 (ja) | 2013-08-14 | 2015-02-19 | 日新製鋼株式会社 | 全反射特性と耐食性に優れたAl被覆鋼板およびその製造法 |
KR20160043990A (ko) | 2013-08-14 | 2016-04-22 | 닛신 세이코 가부시키가이샤 | 전반사 특성과 내식성이 우수한 Al 피복 강판 및 이의 제조법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3383123B2 (ja) | 2003-03-04 |
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