JP2000219950A - 塗装後耐食性に優れた溶融Zn―Al―Mgめっき鋼板 - Google Patents
塗装後耐食性に優れた溶融Zn―Al―Mgめっき鋼板Info
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- JP2000219950A JP2000219950A JP11168167A JP16816799A JP2000219950A JP 2000219950 A JP2000219950 A JP 2000219950A JP 11168167 A JP11168167 A JP 11168167A JP 16816799 A JP16816799 A JP 16816799A JP 2000219950 A JP2000219950 A JP 2000219950A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 塗装後耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg
めっき鋼板の提供。 【解決手段】 重量%で、Al:3.0〜6.0%、M
g:1.0〜7.0%を含有し、残部がZnおよび不可
避的不純物からなり、かつ、Zn初晶相とZn−Al−
Mg3元共晶相により構成される溶融めっき層を片面も
しくは両面に有することを特徴とする塗装後耐食性に優
れた溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板。好ましくは、前
記溶融めっき層の下層として、Niめっき層を0.2〜
2g/m2有する。
めっき鋼板の提供。 【解決手段】 重量%で、Al:3.0〜6.0%、M
g:1.0〜7.0%を含有し、残部がZnおよび不可
避的不純物からなり、かつ、Zn初晶相とZn−Al−
Mg3元共晶相により構成される溶融めっき層を片面も
しくは両面に有することを特徴とする塗装後耐食性に優
れた溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板。好ましくは、前
記溶融めっき層の下層として、Niめっき層を0.2〜
2g/m2有する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として建材用途
に用いられる塗装後耐食性に優れた溶融めっき鋼板に関
するものである。
に用いられる塗装後耐食性に優れた溶融めっき鋼板に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】建材用途に用いられている塗装用の溶融
めっき鋼板としては、従来より溶融亜鉛系めっき鋼板、
溶融Zn−5%Al系めっき鋼板、溶融Zn−55%A
l系めっき鋼板が広く使用されている。最近ではこれら
めっき鋼板の耐食性を更に改善する為に、Zn、Al以
外の第3元素としてMg等を添加することで更なる耐食
性向上を図ることが提案され、例えば本発明者らも特開
平4−147955号公報にて加工部耐食性が優れるZ
n−Al−Mgめっき鋼板およびその製造方法が開示さ
れている。建材用途、例えば住宅の屋根、壁材、ガード
レール材、防音壁材等に対し塗装後耐食性に優れた溶融
めっき鋼板が広く使用され、今後も更なる耐食性向上が
求められている。
めっき鋼板としては、従来より溶融亜鉛系めっき鋼板、
溶融Zn−5%Al系めっき鋼板、溶融Zn−55%A
l系めっき鋼板が広く使用されている。最近ではこれら
めっき鋼板の耐食性を更に改善する為に、Zn、Al以
外の第3元素としてMg等を添加することで更なる耐食
性向上を図ることが提案され、例えば本発明者らも特開
平4−147955号公報にて加工部耐食性が優れるZ
n−Al−Mgめっき鋼板およびその製造方法が開示さ
れている。建材用途、例えば住宅の屋根、壁材、ガード
レール材、防音壁材等に対し塗装後耐食性に優れた溶融
めっき鋼板が広く使用され、今後も更なる耐食性向上が
求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来より広く使用され
ている溶融Znめっき鋼板、溶融Zn−5%Alめっき
鋼板、溶融Zn−55%Alめっき鋼板の塗装材を屋外
暴露試験にて塗装後耐食性を評価した場合、溶融Znめ
っき鋼板の塗装材は初期段階で塗膜膨れ幅が小さく良好
な性能を示すものの、長期段階では塗膜膨れ幅が増大
し、他めっき鋼板に較べ著しく塗装後耐食性が劣る結果
となる。逆に溶融Zn−55%Al系めっき鋼板は長期
段階では良好な耐食性を示すものの、初期段階ではZn
による犠牲防食効果が十分に発揮されない為、塗膜膨れ
幅が他めっき鋼板より大きくなる問題がある。溶融Zn
−5%Alめっき鋼板は両者の中間的な性能を示すもの
の他めっき鋼板に較べ特に優れた性能は得られない問題
がある。
ている溶融Znめっき鋼板、溶融Zn−5%Alめっき
鋼板、溶融Zn−55%Alめっき鋼板の塗装材を屋外
暴露試験にて塗装後耐食性を評価した場合、溶融Znめ
っき鋼板の塗装材は初期段階で塗膜膨れ幅が小さく良好
な性能を示すものの、長期段階では塗膜膨れ幅が増大
し、他めっき鋼板に較べ著しく塗装後耐食性が劣る結果
となる。逆に溶融Zn−55%Al系めっき鋼板は長期
段階では良好な耐食性を示すものの、初期段階ではZn
による犠牲防食効果が十分に発揮されない為、塗膜膨れ
幅が他めっき鋼板より大きくなる問題がある。溶融Zn
−5%Alめっき鋼板は両者の中間的な性能を示すもの
の他めっき鋼板に較べ特に優れた性能は得られない問題
がある。
【0004】上記課題解決の為に、めっき層の組成とし
てZn、Al以外の第3元素としてMgを添加すること
で耐食性を向上させる技術が提案されている。例えば、
特開平10−226865号公報でめっき層の組成がA
l:4.0〜10重量%、Mg:1.0〜4.0重量
%,残部がZnおよび不可避的不純物、かつめっき層の
構造が、〔Al初晶相〕と〔Al/Zn/Zn2 Mgの
三元共晶組織相〕もしくは、〔Al初晶相〕と〔Zn単
相〕と〔Al/Zn/Zn2 Mgの三元共晶組織〕が混
在した金属組織を有することを特徴とする溶融Zn−A
l−Mgめっき鋼板が開示されている。
てZn、Al以外の第3元素としてMgを添加すること
で耐食性を向上させる技術が提案されている。例えば、
特開平10−226865号公報でめっき層の組成がA
l:4.0〜10重量%、Mg:1.0〜4.0重量
%,残部がZnおよび不可避的不純物、かつめっき層の
構造が、〔Al初晶相〕と〔Al/Zn/Zn2 Mgの
三元共晶組織相〕もしくは、〔Al初晶相〕と〔Zn単
相〕と〔Al/Zn/Zn2 Mgの三元共晶組織〕が混
在した金属組織を有することを特徴とする溶融Zn−A
l−Mgめっき鋼板が開示されている。
【0005】このめっき鋼板は良好な裸耐食性及び表面
外観を有するものの、塗装後耐食性において、特に腐食
初期段階では溶融亜鉛めっき鋼板もしくは溶融Zn−5
%Alめっき鋼板に比較して塗膜膨れ幅が大きい問題を
生じた。これは、めっき層の組織構造がAl初晶相を基
本としており、塗装後耐食性を確保する上で重要な役割
を果たすZnの犠牲防食効果が十分働かないためである
と考えられる。本発明は上記問題点を解決し、腐食初期
及び長期の両段階で良好な塗装後耐食性を発揮する溶融
Zn−Al−Mgめっき鋼板を提供することを目的とし
ている。
外観を有するものの、塗装後耐食性において、特に腐食
初期段階では溶融亜鉛めっき鋼板もしくは溶融Zn−5
%Alめっき鋼板に比較して塗膜膨れ幅が大きい問題を
生じた。これは、めっき層の組織構造がAl初晶相を基
本としており、塗装後耐食性を確保する上で重要な役割
を果たすZnの犠牲防食効果が十分働かないためである
と考えられる。本発明は上記問題点を解決し、腐食初期
及び長期の両段階で良好な塗装後耐食性を発揮する溶融
Zn−Al−Mgめっき鋼板を提供することを目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、溶融Zn
−Al−Mgめっき鋼板の組成及びめっき層の組織構造
と塗装後耐食性の関係を調査した。その結果、溶融めっ
き層の組成が、Al:3.0〜6.0重量%、Mg:
1.0〜7.0重量%残部がZnおよび不可避的不純物
からなり、その構造がZn初晶相とZn−Al−Mg3
元共晶相により構成されることにより良好な塗装後耐食
性を示す溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板が得られるこ
とを見いだした。また、該溶融めっき層の下層としてN
iめっき層を0.2〜2g/m2 を施すことによりめっ
き密着性が高まり切断端部の耐食性が向上することを見
いだすに至り、本発明を完成させたもので、その要旨と
するところは、
−Al−Mgめっき鋼板の組成及びめっき層の組織構造
と塗装後耐食性の関係を調査した。その結果、溶融めっ
き層の組成が、Al:3.0〜6.0重量%、Mg:
1.0〜7.0重量%残部がZnおよび不可避的不純物
からなり、その構造がZn初晶相とZn−Al−Mg3
元共晶相により構成されることにより良好な塗装後耐食
性を示す溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板が得られるこ
とを見いだした。また、該溶融めっき層の下層としてN
iめっき層を0.2〜2g/m2 を施すことによりめっ
き密着性が高まり切断端部の耐食性が向上することを見
いだすに至り、本発明を完成させたもので、その要旨と
するところは、
【0007】(1)重量%で、Al:3.0〜6.0
%、Mg:1.0〜7.0%を含有し、残部がZnおよ
び不可避的不純物からなり、かつ、Zn初晶相とZn−
Al−Mg3元共晶相により構成される溶融めっき層を
片面もしくは両面に有することを特徴とする塗装後耐食
性に優れた溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板。 (2)溶融めっき層の下層として、Niめっき層を0.
2〜2g/m2 有することを特徴とする前記(1)に記
載の塗装後耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mgめっき
鋼板、である。
%、Mg:1.0〜7.0%を含有し、残部がZnおよ
び不可避的不純物からなり、かつ、Zn初晶相とZn−
Al−Mg3元共晶相により構成される溶融めっき層を
片面もしくは両面に有することを特徴とする塗装後耐食
性に優れた溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板。 (2)溶融めっき層の下層として、Niめっき層を0.
2〜2g/m2 有することを特徴とする前記(1)に記
載の塗装後耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mgめっき
鋼板、である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の良好な塗装後耐食性を示
す溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板は、組成がAl:
3.0〜6.0重量%、Mg:1.0〜7.0重量%、
残部がZnおよび不可避的不純物からなり、かつめっき
層の構造がZn初晶相とZn−Al−Mg3元共晶相に
より構成されることを特徴とする。ここで、めっき層の
組成において、Alは3.0〜6.0重量%とする。A
lが3.0重量%未満では塗装後耐食性において特に長
期段階での腐食抑制効果が低下する問題を生じる。ま
た、Alが6.0重量%を超えるとめっき層構造におい
てAl初晶相が生成し、塗装後耐食性において、特に初
期段階の性能が低下する問題を生じる。
す溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板は、組成がAl:
3.0〜6.0重量%、Mg:1.0〜7.0重量%、
残部がZnおよび不可避的不純物からなり、かつめっき
層の構造がZn初晶相とZn−Al−Mg3元共晶相に
より構成されることを特徴とする。ここで、めっき層の
組成において、Alは3.0〜6.0重量%とする。A
lが3.0重量%未満では塗装後耐食性において特に長
期段階での腐食抑制効果が低下する問題を生じる。ま
た、Alが6.0重量%を超えるとめっき層構造におい
てAl初晶相が生成し、塗装後耐食性において、特に初
期段階の性能が低下する問題を生じる。
【0009】Mgは、1.0〜7.0重量%とする。M
gが1.0重量%未満ではMg添加による耐食性向上効
果が十分に得られない。Mgが7.0重量%を超える
と、Mgによる耐食性向上効果が飽和するばかりでな
く、製造時に溶融めっき浴のドロス発生量が増大し、め
っき層の外観品位低下等の問題を生じる。なお、めっき
層組成の残部はZn及び不可避的不純物である。不可避
的不純物とはFe、Sb、Pb、Cd、Si等であり、
これら元素が単独もしくは複合で合計1.0重量%以下
含まれても本発明めっき鋼板の性能は維持される。ま
た、溶融めっき浴をインゴット投入による溶解加熱過程
で、めっき浴内でAl、Mg成分の濃度偏析が部分的に
生じる等の理由により、Zn初晶相とZn−Al−Mg
3元共晶相以外に、Al単相がめっき層の断面観察での
面積率で5%範囲以下含まれる場合でも、本発明めっき
鋼板の性能は維持される。
gが1.0重量%未満ではMg添加による耐食性向上効
果が十分に得られない。Mgが7.0重量%を超える
と、Mgによる耐食性向上効果が飽和するばかりでな
く、製造時に溶融めっき浴のドロス発生量が増大し、め
っき層の外観品位低下等の問題を生じる。なお、めっき
層組成の残部はZn及び不可避的不純物である。不可避
的不純物とはFe、Sb、Pb、Cd、Si等であり、
これら元素が単独もしくは複合で合計1.0重量%以下
含まれても本発明めっき鋼板の性能は維持される。ま
た、溶融めっき浴をインゴット投入による溶解加熱過程
で、めっき浴内でAl、Mg成分の濃度偏析が部分的に
生じる等の理由により、Zn初晶相とZn−Al−Mg
3元共晶相以外に、Al単相がめっき層の断面観察での
面積率で5%範囲以下含まれる場合でも、本発明めっき
鋼板の性能は維持される。
【0010】Zn初晶相とは、めっき層断面の電子顕微
鏡観察で島状もしくは花びら模様状形態を示し、EPM
A分析ではZnのみが検出される。Zn−Al−Mg3
元共晶相とは、めっき層断面の電子顕微鏡観察でZn初
晶相以外の部分であり、厚み約0.1μm程度のAl濃
化相とZn濃化相の薄片が積み重なった形態を示し、E
PMA分析ではZn,Al,Mgが検出される。本発明
めっき層の一例として、図1にのめっき層断面の電子顕
微鏡写真を示す。めっき層は、Zn−Al−Mg3元共
晶相1とその中に島状に形成された。Zn初晶相2とか
ら構成されている。
鏡観察で島状もしくは花びら模様状形態を示し、EPM
A分析ではZnのみが検出される。Zn−Al−Mg3
元共晶相とは、めっき層断面の電子顕微鏡観察でZn初
晶相以外の部分であり、厚み約0.1μm程度のAl濃
化相とZn濃化相の薄片が積み重なった形態を示し、E
PMA分析ではZn,Al,Mgが検出される。本発明
めっき層の一例として、図1にのめっき層断面の電子顕
微鏡写真を示す。めっき層は、Zn−Al−Mg3元共
晶相1とその中に島状に形成された。Zn初晶相2とか
ら構成されている。
【0011】また、図2に本発明のめっき層構造の詳細
を示すために、Zn−Al−Mg3元共晶相1とZn初
晶相2とを拡大して撮影した電子顕微鏡写真とZn,A
l,Mgの分布をEPMA分析により調査した結果を示
す。Al,MgはZn−Al−Mg3元共晶相1にしか
含有されていないことが、それぞれの元素分布調査より
わかる。
を示すために、Zn−Al−Mg3元共晶相1とZn初
晶相2とを拡大して撮影した電子顕微鏡写真とZn,A
l,Mgの分布をEPMA分析により調査した結果を示
す。Al,MgはZn−Al−Mg3元共晶相1にしか
含有されていないことが、それぞれの元素分布調査より
わかる。
【0012】めっき層組成のAlが高すぎる等、本発明
を逸脱した場合においてはAl初晶相が生成するが、塗
装後耐食性の評価でAl初晶相を有するめっき層はZn
による犠牲防食効果が十分に発揮されないので腐食初期
段階で塗膜膨れ幅が大きくなる問題を生じる。図3に比
較例としてAl初晶相3が生成した場合のめっき相構造
の一例を示す。図に示すようにAl初晶相3は、通常Z
n初晶相2とは異なった形態にて析出し、Zn初晶相2
は共存しない。
を逸脱した場合においてはAl初晶相が生成するが、塗
装後耐食性の評価でAl初晶相を有するめっき層はZn
による犠牲防食効果が十分に発揮されないので腐食初期
段階で塗膜膨れ幅が大きくなる問題を生じる。図3に比
較例としてAl初晶相3が生成した場合のめっき相構造
の一例を示す。図に示すようにAl初晶相3は、通常Z
n初晶相2とは異なった形態にて析出し、Zn初晶相2
は共存しない。
【0013】上記Zn−Al−Mgめっきの付着量につ
いては、特に制限は設けないが、耐食性の観点から10
g/m2 以上、加工性の観点からすると300g/m2
以下であることが望ましい。溶融めっき条件はめっき浴
温度が融点以上、480℃以下が好ましく。めっき付着
量制御は特に指定するものではないが、窒素ガスワイピ
ング方式が酸化ドロスの発生量を低く押さえられるので
好ましい。
いては、特に制限は設けないが、耐食性の観点から10
g/m2 以上、加工性の観点からすると300g/m2
以下であることが望ましい。溶融めっき条件はめっき浴
温度が融点以上、480℃以下が好ましく。めっき付着
量制御は特に指定するものではないが、窒素ガスワイピ
ング方式が酸化ドロスの発生量を低く押さえられるので
好ましい。
【0014】また、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板の
めっき層の下層としてNiめっき層を0.2〜2g/m
2 を施すことで、めっき密着性が高まり切断端部の耐食
性が向上する。Niめっき付着量が0.2g/m2 未満
では、その効果が得られず、2g/m2 を超える場合は
効果が飽和するばかりでなく製造コストが高くなる問題
を生じる。Niめっき方法としては電気めっき法などが
適用できる。本発明の下地鋼板としては、熱延鋼板、冷
延鋼板共に使用でき、鋼種もAlキルド鋼、Ti,Nb
等を添加した極低炭素鋼板、およびこれらにP、Si、
Mn等の強化元素を添加した高強度鋼板 等種々のもの
が使用できる。めっき鋼板の製造方法として無酸化炉と
還元炉を有する連続式溶融亜鉛めっきプロセス、還元炉
のみを有する連続式溶融亜鉛めっきプロセス等を用いる
ことができる。
めっき層の下層としてNiめっき層を0.2〜2g/m
2 を施すことで、めっき密着性が高まり切断端部の耐食
性が向上する。Niめっき付着量が0.2g/m2 未満
では、その効果が得られず、2g/m2 を超える場合は
効果が飽和するばかりでなく製造コストが高くなる問題
を生じる。Niめっき方法としては電気めっき法などが
適用できる。本発明の下地鋼板としては、熱延鋼板、冷
延鋼板共に使用でき、鋼種もAlキルド鋼、Ti,Nb
等を添加した極低炭素鋼板、およびこれらにP、Si、
Mn等の強化元素を添加した高強度鋼板 等種々のもの
が使用できる。めっき鋼板の製造方法として無酸化炉と
還元炉を有する連続式溶融亜鉛めっきプロセス、還元炉
のみを有する連続式溶融亜鉛めっきプロセス等を用いる
ことができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。板厚0.8mmの被めっき鋼板を加熱還元処
理した後、表1に示すめっき組成条件でめっきを行い、
めっき層の構造観察及び塗装後の耐食性評価を実施し
た。なお、溶融めっき条件は浴温度420℃、めっき付
着量制御は窒素ガスワイピング方式で行い、めっき付着
量は約100g/m2 に調整した。めっき層の構造観察
はめっき層の90度断面を電子顕微鏡及びEPMA分析
で行った。塗装後耐食性評価はめっき層表面にクロメー
ト処理、約20μm厚さの塗装を行った後、サイクル腐
食試験(CCT)を用いてエッヂクリープ性(切断端面
からの塗膜膨れ)を評価した。なお、サイクル腐食試験
条件は0.5%NaClの塩水噴霧工程と乾燥工程(5
0℃,60%)と湿潤工程(49℃,98%)を組み合
わせ16時間/サイクルである。腐食初期段階として3
0サイクル時点及び腐食後期段階として100サイクル
時点でエッヂクリープ性(切断端面からの塗膜府膨れ)
を評価した。
説明する。板厚0.8mmの被めっき鋼板を加熱還元処
理した後、表1に示すめっき組成条件でめっきを行い、
めっき層の構造観察及び塗装後の耐食性評価を実施し
た。なお、溶融めっき条件は浴温度420℃、めっき付
着量制御は窒素ガスワイピング方式で行い、めっき付着
量は約100g/m2 に調整した。めっき層の構造観察
はめっき層の90度断面を電子顕微鏡及びEPMA分析
で行った。塗装後耐食性評価はめっき層表面にクロメー
ト処理、約20μm厚さの塗装を行った後、サイクル腐
食試験(CCT)を用いてエッヂクリープ性(切断端面
からの塗膜膨れ)を評価した。なお、サイクル腐食試験
条件は0.5%NaClの塩水噴霧工程と乾燥工程(5
0℃,60%)と湿潤工程(49℃,98%)を組み合
わせ16時間/サイクルである。腐食初期段階として3
0サイクル時点及び腐食後期段階として100サイクル
時点でエッヂクリープ性(切断端面からの塗膜府膨れ)
を評価した。
【0016】
【表1】
【0017】本発明のめっき鋼板(No.1〜7,N
o.8(下層Niめっき))は塗装後耐食性の評価にお
いて腐食初期段階(CCT試験30サイクル)で2.5
mm以下、腐食後期段階(CCT試験100サイクル)
で4mm以下であり何れも良好な性能を示す。一方、比
較のAl初晶相を有するNo.9,10及びZn−55
%Alめっき鋼板(ガルバリューム)No.13は腐食
初期段階でのエッヂクリープ幅が大きい。また、Mgを
含有しないNo.11及び溶融亜鉛めっき鋼板No.1
4は長期段階でエッヂクリープ幅が増大し不良である。
またMgを添加しすぎたNo.12は溶融めっき浴での
ドロス発生が大きく良好なめっき表面外観を得ることが
困難であった。
o.8(下層Niめっき))は塗装後耐食性の評価にお
いて腐食初期段階(CCT試験30サイクル)で2.5
mm以下、腐食後期段階(CCT試験100サイクル)
で4mm以下であり何れも良好な性能を示す。一方、比
較のAl初晶相を有するNo.9,10及びZn−55
%Alめっき鋼板(ガルバリューム)No.13は腐食
初期段階でのエッヂクリープ幅が大きい。また、Mgを
含有しないNo.11及び溶融亜鉛めっき鋼板No.1
4は長期段階でエッヂクリープ幅が増大し不良である。
またMgを添加しすぎたNo.12は溶融めっき浴での
ドロス発生が大きく良好なめっき表面外観を得ることが
困難であった。
【0018】
【発明の効果】本発明により、塗装後耐食性に非常に優
れた溶融Zn−Mg−Alめっき鋼板を提供でき、建
材、土木等の用途に特に有用である。したがって、本発
明は産業上極めて高い価値を有する発明であるといえ
る。
れた溶融Zn−Mg−Alめっき鋼板を提供でき、建
材、土木等の用途に特に有用である。したがって、本発
明は産業上極めて高い価値を有する発明であるといえ
る。
【図1】本発明に属す溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板
のめっき層構造を示す断面の電子顕微鏡写真である。
のめっき層構造を示す断面の電子顕微鏡写真である。
【図2】図1のめっき層の相境界付近を拡大し、Zn、
Al、Mgの元素分布と併せて示した電子顕微鏡写真で
ある。
Al、Mgの元素分布と併せて示した電子顕微鏡写真で
ある。
【図3】従来技術に属すAl初晶相を含む溶融Zn−A
l−Mgめっき鋼板のめっき層構造を示す断面の電子顕
微鏡写真である。
l−Mgめっき鋼板のめっき層構造を示す断面の電子顕
微鏡写真である。
1 Zn−Al−Mg3元共晶相 2 Zn初晶相 3 Al初晶相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 和彦 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 新頭 英俊 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日本 製鐵株式会社広畑製鐵所内 (72)発明者 西本 一実 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 田中 曉 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 末宗 義広 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA22 AB05 AB09 AB26 AB32 AB44 AC15 AE03 AE23
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、Al:3.0〜6.0%、M
g:1.0〜7.0%を含有し、残部がZnおよび不可
避的不純物からなり、かつ、Zn初晶相とZn−Al−
Mg3元共晶相により構成される溶融めっき層を片面も
しくは両面に有することを特徴とする塗装後耐食性に優
れた溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板。 - 【請求項2】 前記溶融めっき層の下層として、Niめ
っき層を0.2〜2g/m2 有することを特徴とする請
求項1に記載の塗装後耐食性に優れた溶融Zn−Al−
Mgめっき鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11168167A JP2000219950A (ja) | 1998-11-27 | 1999-06-15 | 塗装後耐食性に優れた溶融Zn―Al―Mgめっき鋼板 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-337895 | 1998-11-27 | ||
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